【みわくの眼差し】ククール×ゼシカ 5【愛のムチ】at FF
【みわくの眼差し】ククール×ゼシカ 5【愛のムチ】 - 暇つぶし2ch23:『そして』前編1/8 ◆JbyYzEg8Is
06/01/19 19:09:24 LtFCXAn+0
自分でも呆れるほど早かった。ラプソーンを倒してから、ものの五分もかからなかったと思う。
オレが自分を見失うまでの時間のことだ。

レティスの背中に乗りトロデーンに向かう途中、ゼシカが口にした言葉で、オレはわかりきっていたはずのことに、改めて気づかされた。
「ふう・・・。これでやっとポルクとマルクに報告できるわ。あと、サーベルト兄さんにも、ちゃんと報告しなきゃ・・・。私、自分の信じた道を進んで、ここまで来たのって」
ゼシカには故郷があって、旅の目的を果たした今、その大事な故郷に戻るべきなんだってことだ。
急速に自分の中の何かが冷えていくのがわかった。
だけど皆が喜んでるっていうのに、それに水を差すこともできなくて、何とか言葉を振り絞る。
「・・・やれやれ。我ながら、とんでもないところまでつきあわされたもんだな」
スカした口調で、キザったらしく前髪を掻き上げる。
「さすがのおっさんも、ここまでは来られないようでがす!」
ヤンガスの言葉に笑い声をあげる仲間たち。
だけどオレの心だけが取り残されて、一緒に笑うことができなかった。
少しずつ、ゆっくりと剥がしてきたはずの冷たい仮面は、外すためにかけた時間をあざ笑うかのように、あっさりと元に戻ってくれていた。

姫様やトロデ王が元の姿に戻り、城も、城の住人も呪いから無事に解放された。
それは素直に良かったと思えるけど、宴を楽しむ気分にはなれない。
せっかくドニの安酒とは段違いの上等なワインが振る舞われてるっていうのに、城の壁にもたれて、それをグラスの中で遊ばせてるだけだ。
『終わった後の事を考えろ』『それもできるだけ楽しいこと』
偉そうにゼシカに忠告してきたくせに、いざ戦いが終わってみたら自分がこのザマだ。
最後にもう一つ付け足すのを忘れてたのが失敗だった。
『ただし、現実味のあることにしておけ』ってやつをな。
ラプソーンを倒して目的を果たしたら、ゼシカに想いを打ち明けるつもりでいた。そして・・・。
そして? 笑い話だ、その後を考えてなかった。
戦いが終わった時に、ゼシカの頭に真っ先に浮かんだのは故郷のこと、そして兄のサーベルトのこと。そこにオレの入り込む余地なんてない。
本当に筋金入りのブラコンだよな。まあ、だからってゼシカの兄になりたいとも思わんがね。



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch