【みわくの眼差し】ククール×ゼシカ 5【愛のムチ】at FF
【みわくの眼差し】ククール×ゼシカ 5【愛のムチ】 - 暇つぶし2ch150:『祝福の瞳』6/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:10:14 p/j185tX0
地面が揺れるような爆音が響き、慌てて飛び起きる。いざ起き上がってみると、頭痛も吐き気も耳鳴りも無くなってた。
イシュマウリに文句つけてる場合じゃなかった。ちょっと呑気に生きてると、すぐに緊張感がなくなる。我ながら困ったもんだな。
爆音がした方に目を向けると、月明かりの中、数十匹の魔物と、岩を背にそれを一人で迎えうってる人影が目に入った。
再び爆音。襲われてる人間の方が、イオナズンを放った音だ。加勢しようにも、迂闊に近づけばオレまでふっとばされそうだ。
だけどこの最高位の爆発呪文でも、魔物たちの数は全く減ってない。それどころかその中の何匹かが、反撃のイオナズンを放った。その呪文は光のカベに反射し、呪文を唱えた相手に跳ね返される。マホカンタの効果だ。
こんな高度な呪文の応酬の中でオレの出る幕があるのかどうか怪しいが、見ぬフリするわけにもいかない。とりあえず自分にマホカンタをかけておく。
魔法は無効だと知った魔物たちが、武器を振り上げるのが見えた。ここから一気に詰めるのは、無理な距離だ。
「バギクロス!」
風の呪文の中では最高位の呪文だが、これだけの数の魔物を一度に切り裂くのは無理だ。
でも新手の存在が牽制にはなったようで、魔物は再び少し遠巻きになる。そのスキにオレは襲われてた人間の隣に駆け寄った。
「大丈夫か? オレは回復呪文なら大抵使える。必要があるなら言ってくれ」
「あ、ありがとう。助かるわ」
その声を聞いて思わず敵から目をそらし、声の主の顔を見てしまう。
女!? 男装してるが間違いなく、うら若き乙女。それもかなりの美女だ。
だけど驚いてる場合でもない。魔物の種族を確認すると、アークデーモンやデスプリースト、リザードファッツなんていう、力も体力も有り余ってるようなヤツばかりだ。ほとんど無傷なヤツも結構いる。
防具と言えるものも身につけず、レイピア一本でやり合うにはキツい相手だが、レディのピンチとなると、やる気は五割増しくらいにはなる。
「バイキルト!」
隣の美女が筋力増強の呪文をオレに唱えてくれる。だけどマホカンタがかかった状態だから当然のごとく、その呪文は術者本人に跳ね返った。
「あいたた、いたたたた!」
攻撃魔法が跳ね返ったわけでもないのに、その女性はいきなり腹をおさえて苦しみだした。


151:『祝福の瞳』7/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:10:57 p/j185tX0
だけど今は治してやってる余裕はない。魔物たちが距離を詰めだし、襲いかかるタイミングを見計らってる。
ここは大技使って、最短時間で仕留めるしかない。
意識を集中して剣先に魔力を送り込み、地面に突き立てた。
魔法の力を呼び水に、雷が地面を這い上がり、突き立てた剣に到達する。沸き上がった地獄の雷、ジゴスパークを解放した。
さすがに、この顔触れを一発では仕留められない。間髪入れずに、もう一発放つ。それでようやく、残ってた魔物もあらかた倒すことができた。
だけど一匹残しちまった。この輪郭としぶとさはボストロールか。
頭上にこんぼうが振り上げられる。剣を地面に突き立てたままのこの状態じゃあ、とどめはさせない。死なないように防御するしかない。
だが、その必要はなかった。その次の瞬間、ボストロールの首は胴体とキレイにお別れしたからだ。
ついさっきまで苦しそうにうずくまっていた女性が、晴れやかな顔で剣を鞘に収めた。伝説の剣、人間世界最強の剣とも言われてるメタルキングの剣だった。
「危ないところをありがとう。今の技すごいわね。初めて見たわ、あんなの」
「いや、こちらこそ。おかげで無傷で済んだ。それより、どこかケガしてたんじゃないのか?」
「ああ、違うのよ。バイキルトのせいで、お腹の子がビックリしちゃったみたい。あなたも人が悪いわね。マホカンタかけてあるならあるって言ってよ」
思いっきり背中を叩かれた。思わずムセそうになる。信じられねぇバカ力。ボストロールの首を一撃で切り落とした剣の腕といい、女にしとくのがもったいない。
・・・それよりお腹の子って・・・妊婦!? 思わず腹の辺りをマジマジと見てしまう。
「まだ五カ月だから、そんなに目立たないわよ。でもさっきは本当に死ぬかと思ったわ。あ、私のことはリズって呼んで」
死ぬなんて、少しも思ってなかったとしか思えない調子で、高らかに笑ってる。
ゼシカのことも逞しいとは思ってたけど、この女性は更に上を行ってるな。
ゼシカ並の魔法に、オレより強いかもしれない剣技。大体、あれだけ大量の魔物が一度に現れるのを見たのは初めてだった。この女性を狙ってのことだとしたら、ただごとじゃない。
でも、オレの心をより大きく占めていたのは別のことだった。
「オレはククールだ。・・・あんた、一度どこかで会ったことなかったか?」


152:『祝福の瞳』8/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:11:46 p/j185tX0
夜中だけど月明かりがやけに明るいせいで、彼女の姿がはっきりと見てとれる。流れるような稲穂色の髪と春の若葉のような明るい碧の瞳。どうも見覚えがある気がする。こんな美人に会ったことがあるなら忘れるはずがないんだけど、どうしても思い出せない。
「やだ、それって口説き文句?」
言われてみて、ちょっと恥ずかしくなる。確かにベタな口説き文句に聞こえなくもない。
「ないわよ、会ったことなんて。こんな絶世の美男子に、一度でも会ったことがあるなら忘れたりするわけないじゃない」
もう一発、バカ力で叩かれた。やっぱり声にも聞き覚えがあるような気がするんだけどな。

当面の魔物は全部倒したとはいえ、こんな時間に妊婦を一人で放り出すわけにもいかないんで、家まで送っていくことにした。
切り立った崖を左手、海岸線を右手に見ながら、道らしきもののない草の上を歩く。この辺りにはリズとその旦那以外の人間は誰も住んでないから、道なんてものは無いらしい。当然店屋もないから、全てを自給自足で賄ってる。
こんな時間に外をうろついてたのは、まんげつ草を詰むためだそうだ。まんげつ草は普段は雑草と見分けがつかないが、満月の夜にだけ花を咲かせるから、自生してるのを集めるには、こういう夜に探す方が効率がいいからだ。
何でも彼女の遠いご先祖とやらが、魔物の恨みを買うようなことをして、そのせいで魔物に狙われることも少なくないから、今夜のようなことは慣れっこなんだと、笑い話にならない話を笑いながら口にする。
「今のうちに少しでも多くああいう魔物を倒しておけば、それだけ私の子供たちを狙う魔物の数は減るでしょう? 出来ることなら、この子が生まれる前に全滅させたいくらいよ」
魔物の恨みを買うってことは、ご先祖とやらのしたことはむしろ善行なんだろうけど、オレだったらきっと、とばっちりくらわせやがってって恨むだろうな。

開けた草原に出たところで、進路を右に取る。
何だろう。辺りの風景に見覚えはないのに、道も目印もないこの場所で曲がることが自然に感じる。
今日はいろいろと、おかしいなことばかりだ。
やたらとマルチェロのことを思い出したり、ゼシカたちがやけに心配してきたり、知らないはずの人物や場所に覚えがあったり。
イシュマウリに問答無用で飛ばされたってのが、何よりも極めつけだけどな。


153:『祝福の瞳』9/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:12:32 p/j185tX0
リズに案内されたのは、子供が生まれたら狭いんじゃないかと思うような、簡単な造りの小さな家だった。
そのすぐそばには、大量の木材や石材が家を何十軒も建てられそうなほど山積みになっていて、男が一人、地道に土台らしきものをを積み上げている。
「ただいま、あなた!」
結構な大声で呼びかけても、リズの旦那は気づきもしない。いるんだよな、こういうヤツ。何かにのめり込むと、何も見えない聞こえないってタイプ。
「もう、マリウスったら」
リズは足元の土を拾い上げ、器用に泥団子を造って、旦那の頭に投げ付けた。見事に命中、ナイスコントロール。って、いいのか? これ。
「やあ、おかえり、リズ。そちらの方は?」
旦那の方も動じずにこっちに歩いてくる。この二人の間では普通のことなんだろう。
「ナンパされちゃったの。というのは冗談で、魔物と戦ってる時に助けてもらったの。夫のマリウスよ。それで、こちらはククールさん」
おい、変な冗談やめてくれよ。一瞬、旦那の発する空気が怖くなったぞ。こういう、一見おとなしくて人の良さそうな顔したヤツほど、情け容赦なかったりするんだからな。
「そうだったんですか。妻が大変お世話になりました。ありがとうございます」
魔物に襲われたって方はスルーかよ。まあ、こんなところで二人だけで暮らしてる辺り、その辺はお互いに納得済みなんだろうな。夫婦の間に、よけいな口出しはしないさ。
「ちょっと待ってて、ククール。あなたに渡したいものがあるの」
そう言ってリズは家の中に入っていく。渡したいものって何だ? マリウスも訳知り顔でその姿を見送っている。まあ、貰えるものはとりあえず貰っとくけどさ。
「乱雑にしててすみません。これでも建築家の端くれでして、ここに大きな塔を建てようと思ってるんですよ。そしてリズの彫った像をその最上階に飾って、いろんな人が見に来てくれるような場所にしたいと思ってるんです。彼女は見事な腕の彫刻家なんですよ」

物事っていうのは、わからない時はいくら考えてもわからないが、逆に何げない一言で全てのことがしっくりはまるように出来てるもんだ。
強力な魔法と剣、彫刻家。そして魔物の恨みを買うほどのことをした先祖を持つ女性。このフレーズから導き出される答えは一つだ。


154:『祝福の瞳』10/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:14:07 p/j185tX0
「お待たせ。いきなりこんなもの渡されても困るだろうけど、何も言わずに受け取ってくれない?」
戻ってきたリズが布包みを差し出してくるが、今はそれどころじゃない。
「リズ、あんたリーザス・・・リーザス=クランバートルだったのか・・・」
身体が覚えていた。ポルトリンクとの間の海岸線から、リーザス像の塔へと続く道。何度もゼシカと二人で歩いた、その距離感を。
マリウスが建てた塔の最上階に、リズが彫った像が飾られている。年に一度の聖なる日に、リーザス村の皆が昇るのを楽しみにしている場所。
今立っているのはオレがいた時代から、遥か昔の同じ場所。
「あら、もうクランバートルじゃなくて、アルバートよ。リーザス=アルバート。間違えてもらっちゃ困るわ」
リーザス嬢は人差し指を立てて横に振る。
「やっぱりこれを渡す相手は、あなたで間違いないみたいね。あのね、私と同じように魔物の恨みを買ったご先祖を持った人の中に、予言の力を持った人がいるの。
ちょっと悩んでることがあって、その人に見てもらったら『満月の夜に出会う、風の魔法の使い手』にこれを渡せば、全てうまくいくって」
リーザス嬢が手にしていた布包みを解く。そこには強い魔法の力を宿した血のような色の二つの宝石。
クランバートル家に代々受け継がれてたという、クラン・スピネルだ。

そう、その宝石をオレが受け取るのは間違いじゃない。ゼシカをラプソーンの杖の呪いから解放するための結界の材料に、どうしてもなくてはならないものだった。
でも、だからこそ、今のオレが受け取るわけにはいかない。世界に二つしかないこの宝石は、リーザス像に埋め込まれた状態で塔に収まってなきゃいけなかったんだ。
「だから、人助けと思って持っていって」
リズに手を取られ、クラン・スピネルを握らされそうになって、慌てちまう。
「ダメなんだ。今オレがこれを持っていっちまったら、ゼシカがっ・・・」
ここでゼシカの名前なんて出してどうすんだ。動揺しすぎて、うまい言葉が出てこない。
・・・でも、何だかこのクラン・スピネルは、オレの記憶の中にあるのと比べて、随分デカい気がする。倍くらいはあるような・・・。それに形も違う。リーザス像に埋め込まれてたのは片方だけが尖ってて、もう片方は平らだったはず。でもこれは、両側とも鋭く尖っている。


155:『祝福の瞳』11/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:15:03 p/j185tX0
「・・・ゼシカ・・・。そうそう、リズ、言わなきゃいけない一言を忘れてるよ」
それまで傍観を決め込んでたマリウスが口を開いた。
「こう言えば全部わかるはずだって言われたじゃないか。『ゼシカをよろしく頼む』って」
それはまるで魔法のようだった。マリウスのその言葉と同時に、二つのクラン・スピネルの中心に亀裂が入り、鋭い刃で切断されたように綺麗に半分に別れる。リズの手に二つ。そしてオレの手にも二つ。そう、リーザス像に収まっていたのは、確かにこの形だった。
「あらら、すごいわね、言葉の魔力ってやつかしら」
こうなっても、リズは全く動じない。本当に肝が座ってる。
「そうだった、すっかり忘れてたわ。最近ちょっと熟睡できなかったもんだから、ついうっかり。この子を身ごもってから、時々変な夢見るのよ。誰かが泣いてるんだけど、顔は見えないの。ただ泣き声が聞こえてくるだけ。『私のせいで瞳が無くなっちゃった』って。
何のことかサッパリわかんないんだけど、どうしても気になっちゃって、予言者の友人に相談したってわけ」
・・・瞳が無くなったって、リーザス像のことか?
「そういえば、女の子の声だったわね。・・・そのコがゼシカなの?」
バカだな、あいつ。そんなこと気に病んでたのかよ。
オレはもう、クラン・スピネルを握り締めて頷くしかない。
「・・・お言葉に甘えて、こっちはありがたく貰ってくよ。そっちはあんた達が預かっててくれ、いつか必ず貰いに来るから」
遠くから、月影のハープの音が聞こえた気がした。
「その時はさ、できればキレイなドレスとか着て、ちょっとでいいからネコかぶってくれるとありがたいな。もちろん、そのままのキミの方がステキだけど、その頃のオレにとっては、場の雰囲気っていうか、イメージっていうのは結構重要なんだよ」
「・・・何かよくわからないけど、検討しておくわ。それに今のセリフは、また会えるって意味だと受け取っていいのよね?」
これはちょっと返事に困る。次に会う時はきっと、彼女は生ある人間ではないから。


156:『祝福の瞳』12/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:16:20 p/j185tX0
「きっとずっと先のことになると思う。そうだな、マリウスがこの塔を完成させて、そこにリズの最高傑作の像が置かれるようになって。その後くらいになるかな」
「それは困ったな。この塔が完成したら、今度はちゃんとした家を建てようと思ってるんだよ。子供が十人できても大丈夫なような大きな家をね。
そんなに遠くには行かないつもりだけど、ここに訪ねてもらってもボクたちはいないかもしれない。どこかに印でもつけておこうか・・・」
マリウスは真剣に考え込んでる。人の良さそうな顔して、本当に人がいいらしい。
「そうだ! キミは風の呪文を使うんだから、塔のてっぺんに風車をつけておこう。次にここに来た時は、魔法でそれを回してくれればいい。それが見えたらすぐにここへ駆けつけるから」
ハープの音が少し大きくなった気がする。もう時間切れってことか。元の世界に戻りたい気持ちに変わりはないけど、妙に名残惜しい気はする。
あんまり余計なことは言わない方がいいんだろうけど、これだけは言っておいてもバチは当たらないだろう。
「リズ、いつになるかはオレにもわからないけど、あんたの子孫が魔物に狙われずに済む日は必ず来る。そんなことがあったことさえ忘れられて、誰も彼もが呑気に生きてるような未来が待ってる。だから、あんたはそのまま、自分の信じた道を進んでいってくれ」
空間が歪むような感覚。目眩と耳鳴りが一気に襲ってきた。
「もちろん、いつだって自分の信じた道を進むわよ。ククールこそ、忘れないで。ゼシカのことは、よろしく頼むわよ。今度また、あのコが泣いてる夢なんか見させたら、テンション溜めてメラゾーマだからね」
意識が遠のいていく。このまま目の前からいきなり消えたりしたら、オレは幽霊扱いにでもなるんだろうか。でも二人とも、案外ケロッとしてそうだな。
オレともあろうものが、こんな美女を見忘れるなんて、ありえなかったけど仕方がない。リーザス嬢がこんなはっちゃけたレディだったなんて、誰が思う? でも不思議と納得はいく。なんてったって、あのゼシカのご先祖だもんな。


157:『祝福の瞳』13/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:17:05 p/j185tX0
「ククール! ねえ、しっかりしてよ。ククールってば!」
目を開けると、ゼシカが泣きそうな顔でオレのことを覗き込んでいた。
「ゼシカ・・・どうして、こんなとこに?」
何とか上体を起こすが、頭痛と吐き気と耳鳴りがする。それなのに妙にフワフワしてて、これが自分の身体だって実感がしない。
「それはこっちのセリフよ。ポルクたちが教えに来てくれたのよ。ククールが普通じゃない様子でこの塔の方に行くのを見たって。それで心配になって来てみたら、こうやって倒れてるんだもの。死んじゃったのかと思ったじゃないの!」
最後の方は涙声になってしがみついてきた。そういえばサーベルトは、ここでドルマゲスに殺されたんだったっけ。ちょっと刺激が強すぎたか。
それにしても、やっぱりゼシカは抱き心地いいなぁ。極上の柔らかさと弾力に、一気に現実感が戻ってくる。でも、さっきまでのことが夢じゃないことは、手の中にあるものが証明してくれている。
「心配かけてゴメン。ほら、ちゃんとお詫びの品もあるから、元気出せよ」
「・・・お詫びの品?」
ゼシカの手の平に、二つのクラン・スピネルを乗せる。二つの宝石と同じ色の瞳が、大きく見開かれた。
「これ・・・クラン・スピネル!? どうして? だってこれはもう・・・」
「その件は後でゆっくり説明するとして・・・。そのことよりも、オレの知らないところで、一人で気に病んで泣いてたっていう、このお嬢様をどうしてやろうかと思ってんだけどな。何で言ってくれなかったんだよ」
長い間ほったらかしにしてたのはオレの方だってことは、この際棚上げだ。
「えっ、だって、そんなずっと気にしてたってわけじゃないし・・・。ただ、みんな毎年聖なる日を楽しみにしてるのに、リーザス像の瞳が無かったら、やっぱりガッカリするんじゃないかと思うと・・・」
「そのことは、もう村中みんな納得してんだろ? ガッカリなんてするわけないだろ、バカ」
「バカって何よ。この像は、村が出来る前からずっとあったものなのよ? その瞳が私のために無くなったんだから、気にするのが当たり前じゃないの」


158:『祝福の瞳』14/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:18:25 p/j185tX0
ヤバイ、泣かしちまった。リズに泣かすなって言われたばっかりなのに、メラゾーマくらうな、これは。
「あのな、家宝だか三大宝石だか知らないけど、結局はこんなもん、ただの石ころなんだよ。ゼシカ自身に代えられるもんじゃない。このクラン・スピネルは、ゼシカが泣いてるのが辛いって、リーザス嬢が渡してくれたものなんだ。
お前、百年以上前のご先祖からまで愛されてんだからさ、そのことだけは忘れるなよ」
そしてオレも忘れない。その大切なゼシカを『よろしく頼む』と言ってもらえたことを。何にも持ってないオレでも、ゼシカのためにしてやれることはあるんだってことをな。

ゼシカが落ち着いてから、二人でリーザス像にクラン・スピネルをはめ込んだ。
元の姿に戻っただけのはずなのに、初めて見た時よりも像が優しい顔をしているような気がする。
「ありがとう、ククール。もう一度、この姿を見られるなんて思ってなかった。本当に嬉しい。夢みたい」
クラン・スピネルのような瞳が、真っすぐにオレを見つめてくる。まるで魔力を持っているように、心の中の深いところまで入り込んでくる瞳。
本当は自分でもわかってた。この瞳から目を逸らしたくなるのは、奥底に隠して見ないフリしてた本心が、全部さらけ出されてしまいそうになるからだってことは。
今までずっと、オレの勝手な都合でゼシカを振り回してきた。もうこれ以上、ゼシカに寂しい思いはさせたくない。だけど・・・。
この気持ちから目を背けたままじゃあ、いつまでもゼシカの視線から逃げ続けてしまう。
「ごめんゼシカ。今度こそ幸せにするって・・・ゼシカだけ見て、そばで守ってくって約束しなきゃいけないはずなのに。オレ、マルチェロを・・・兄貴を捜したい。居場所の心当たりなんてないけど、どうしても、もう一度あいつに会いたいんだ」
そこからやり直さないと、オレはきっとこの先、どこかで前に進めなくなる。
「会ってどうしたいわけじゃない。だけど、オレは決めたはずだったんだ。憎しみだろうが何だろうが、真っ正面から受け止めるって。それなのにオレはゴルドで、あいつの目を見て話せなかった。最後の最後で、背を向けて逃げたんだ。
一度でいい。ちゃんとあいつと向き合って、目を見て話したい」


159:『祝福の瞳』15/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:19:27 p/j185tX0
「うん、わかった。いってらっしゃい」
また悲しませると思ってたのに、あんまりアッサリした調子で言われて、一気に肩の力が抜けた。
「そんなにまくしたてなくても大丈夫よ。マルチェロのことに関しては、いつかそう言い出すんじゃないかと思ってたから。ものすご~くイヤだけど、ククールのお兄さんてことは、私にとってもお兄さんになるってことだし、このままにはしておけないわよね」
「・・・それって、プロポーズ?」
何て言っていいのかわからず、つい茶化したようなことを言っちまう。
「それはちょっとイヤ」
「うん、オレもイヤだ」
ゼシカは呆れたような溜め息を吐く。
「しょうがないわよ。私は何だかんだ言っても、お兄さんを心配して捜しちゃうようなククールが好きなんだから、気の済むようにすればいいわ」
・・・何か、どっかで聞いたようなセリフだな。
「それにね、私は一度だって『私だけ見て』とか『私だけ守って』なんて言った覚えはないわよ。私一人のことで精一杯なんて器の小さい男、こっちから願い下げだわ。自分のためには生きられないような不器用さんだから好きになっちゃったんだもの。
後回しにされるのは、それだけ近い存在になれたんだって思うとイヤじゃないし。幸せにしてもらおうなんて、初めから思ってないわよ」
そうだな、それはわかってる。ゼシカは何でも自分で選んで、自分で決める。オレなんかより、ずっと強い人間だ。
「だからククールのことも、私が幸せにしてあげる。心配で、とてもじゃないけど、ほっとけないんだもの。・・・こっちはプロポーズと受け取ってくれてもいいわよ」
「・・・ゼシカ、男らしいなぁ」
思わず口をついた。本当に、オレなんて足元にも及ばない。
「・・・念のために訊いておくけど、それは褒めてるのよね?」
「もちろん、最大級に」
「何かスッキリしないけど、まあいいわ。あ、でも私だけ見なくてもいいって言ったけど、浮気はダメよ。それだけはイヤよ、絶対許さないからね。本来待つタイプじゃない私が、こんなに何度も待つなんて特別なんだからね。それは忘れないでよ」
ゼシカは真剣だ。オレって、そういう点では信用ねぇんだな。
「ああ,もちろん。・・・今夜はこのまま、一緒にいよう」
瞳の戻ったリーザス像の前では、キスより先にはいけないけどな。


160:『祝福の瞳』16/16 ◆JbyYzEg8Is
06/02/28 19:21:04 p/j185tX0
思えば、イシュマウリは初めから言ってたんだよな。『美しい像』の願いを聞き届けてくれって。
リズが見た夢はリーザス像の感じていたものなんだろう。何も見えないのに声だけが聞こえたのは、像が瞳を失っていたから。
ラプソーンを倒したオレたちが、手下の魔物に狙われることもなく呑気に暮らしていけてるのは、リズのように子孫のために戦ってくれてた人たちがいたからなんだよな。
クラン・スピネルが戻ったことで、またリーザス像はこの地を、そして子孫を見守ることが出来るようになった。このことでゼシカが泣くことも、もう無い。
願いっていうのは、これで叶ったって、そう思っていいんだよな?

夜の外出を止めに入った用心棒に、ラリホーかけて飛び出してきたとゼシカから聞かされ、一緒に謝るために、朝一番で塔を出た。これでまた、アローザさんの心証が悪くなってんだろうな。
でも、村の名前の由来にまでなったご先祖は認めてくれてるんだと思えば、どれだけかかっても認めてもらうことを諦めずにいられる。
随分時間は経ったけど、マリウスとの約束通り塔のてっぺんの風車をバギマで回す。結構これが難しい。それに自然の風でいつでも回ってるから、目印の意味なんてほとんどねぇし。もう少し風の制御を練習してみるか。
そういえば、リーザス村の入り口にも同じように風車があったっけ。
「何かさ、急にリーザス村が、オレにとっても故郷みたいに思えてきた。イヤミな兄貴を捜す旅でも、帰るところがあるんだって思うと、少しは気持ちが軽くなるもんなんだな」
「うん・・・。辛くなったら、いつでも戻ってきてね。私はずっと、待ってるから」
「ああ。必ず戻るよ。ゼシカのところに。そうしたら今度こそ、どこにも行かない」
ゼシカはまるで世界中の全てから祝福されてるようだった。大事にされて、愛されて。だから、こんなにまっすぐで強い人間になれたんだと思う。
それに比べてオレは、生まれてきたことが元凶だの、疫病神だの、散々言われてきた。
だけど、こうしてゼシカの瞳に映ってる自分の姿を見ると。
オレだってちゃんと祝福されて生きてるんだって、そう思うことができる。
・・・オレは幸せだ。
    <終> 


161:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/28 20:55:53 rlvHQlSk0
いつまでつづくんや。

162:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 00:55:36 EXFwao1zO
まぁ
ろくに書き込む人もいないスレだし
いいんじゃないか?

163:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 00:58:32 Ro5IEgH70
>>145-160
…ただただため息です。本当に乙!
ゼシカ、本当に強いなぁ…感服です。

164:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 14:33:24 jrCPsK1s0
>>162
個人的には続けて欲しい。無理のない程度に。
今職人さんがいなくなったら落ちるよなぁ…このスレ。

165:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 20:20:17 Zpe18u5C0
毎度毎度乙です!
「幸せにするよ」ってセリフ、ゼシカがククールに言う方が
しっくり来るよなーって、私も思ってたw

私もJbyさんのSS好きだから投下されてるとそれだけで嬉しい。
ってか、それを目当てにこのスレを巡回コースに入れてる。
だからなくなると悲しいし、スレ自体落ちるよ。
職人さんがいっぱいいて賑わってる訳じゃないからねー。

166:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 20:20:52 Aes98JQxO
Jbyさん、またしてもGJです!
冒険以外の事やそれからの事もこんなにも自然に表現できるなんて、ただただ感服です。
ゼシカがいて今のククールがいる。逆もまたしかり。
しかもリーザス嬢とククールが出会う事で、なんだかククゼシに運命的なものを感じて嬉しいです。
是非これからも無理のない範囲で続けて下さい!楽しみにしてます。

167:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 21:40:23 v5+qMpEBO
GJすぎて何ていったらいいか分かりません…!!
泣き声だけ聞こえる理由とか、塔とかイシュマウリとか全てがGJ。
何度でも読み返したい、そう思えるSSでした。
あああ本当GJ。ネ申。

168:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 22:09:23 xU/emGzH0
ワードからコピペするだけで疲れるような長話をしっかり読んでもらえて、丁寧な感想までもらえて、本当に感謝以外の気持ち以外、何も返せません。
実はこの話は半年前から温めてました。
ヤンガスはゲルダにビーナスの涙。エイトがミーティア姫にアルゴンリング。
となったら、ククールはゼシカにクラン・スピネル贈るしかない! 三大宝石コンプリート!
・・・それだけのことが半年かけて、こんなに膨らんじゃいましたorz
すぐに書かなかったのは、これ書いちゃうと、くっつくまでの過程の話に気持ちが入れられなくなりそうだったからです。

一応、続き物としては次回で完結予定です。
そろそろ二人には試練を与えずに、のんびりと平和に暮らしてほしいので。
でもペースは落ちると思うけど、保守代わりに小ネタは投下したいと思ってます。
FF12発売後の荒波を頑張って乗り越え、スレを守りましょう。

169:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 23:31:00 Qea4mP8E0
がんばって2行くらいはよんでみたかった。

170:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/02 02:02:45 H9Mfld/KO
三代宝石コンプリート!
そんな野望が隠されていたとは流石です。
次で連載が終わるなんて寂しすぎる・・・感動をありがとう。
小ネタも楽しみにしてます。
自分もFF12の波に巻き込まれない様にスレ保守頑張りたいです。
Jbyさん、GJでした!!

171:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/02 16:59:41 xf7HrNRx0
あ、3大宝石コンプリートを目指してたのか!
そこまでは気づかなかったっす。

そういや、もうすぐFF12が発売になるのか・・・。
スレ乱立&圧縮が続きそうだもんね。
落ちないように保守したいけどhoshとだけ書かれたレスが
ズラーっと並んだスレも悲しいような。
自分でもネタ投下できればいいんだけどなー。
文章書ける人ってちょっと尊敬する。

172:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/03 18:58:29 QzmYLwvy0
>>171
おまえさんならかけるよ!!

173:171
06/03/04 00:40:02 x+KUTwRO0
>>172
誰だか知らんが根拠のない励ましをどうもありがとうw
それでもなんかうれしいよ


174:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/04 01:00:38 U7RAYEMW0
( ´_ゝ`)フーン

175:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/04 18:36:07 T8LzG5Vk0
腐女子同士仲良く。

176:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/05 00:41:49 6/c7L/AN0
イッショニシテクレルナヨ(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャ

177:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/05 01:45:40 Ny6IaccYO
三大宝石コンプリートって…

なんかなあ

178:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/05 12:28:26 CbXGCZN90
主姫スレ落ちたね。
24時間もたないとは恐ろしい事態だ。


179:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/05 14:51:52 wCsahK0F0
ここ一ヶ月がダット落ち攻防期間ってとこでしょうかね。

180:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/05 19:35:05 kLpdmAVB0
はっやいなあ。
例のあれはまだ発売されてないでしょ。なのに

181:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/06 00:51:20 oNrS6/2I0
頑張って落とさないようにしないとね。
という訳でホシュ

182:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/06 16:42:13 Zca3SlYp0
高校の卒業式終わったし、暇な人が増えたんでしょう。
気をつけていかないと危ないね。

183:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/06 22:51:32 SwNIlcUF0
そんなにしんぱいならあげれ。

184:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/06 22:57:05 Y5oJve1G0

   ,.〃彡ミヽ
  〈((((/(~!》   >>1も読めねーのか お前は……
   ヾ巛.-_-ノ"|\
.   /~"i!づ!}つ  )
  ん、_」"Y!i |/       .      i\j
    i†=|=|!                 | ∧_∧
     |ー |-|             と⌒⌒つ."Д")つ>>183
      ̄  ̄

185:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/06 23:59:03 W1v4cBff0
>>184
可愛すぎる!ゼシカとペアのAAなんてのも見て見たいものだ。
絵描き職人さん(最近少なくてテラサビシス!)や小説職人さんがいるのだから
AA職人さんてのも欲しいなあ。

186:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/07 01:43:46 8jXJvTnjO
そういえば絵の方もカキコミがないとそろそろ落ちるんじゃ・・・

187:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/07 07:30:59 /UtnJgf/0
ククール単独スレも少し前に落ちたみたいだし…あれで2回目

188:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/07 12:55:12 X6qKmUeK0
>>184
うわー、ほんとにかわいい。
弓ククもいいけど、剣ククでもいいかも。

189:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/07 21:45:21 PPlUb2Ch0
ゼシカへ愛の矢を射って欲しい。

190:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 09:31:39 fTeAFzro0
愛のさみだれうち?w

191:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 19:12:27 4hmHgB5O0
でもメラで焼いてしまいそうだなww

192:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 20:14:34 L2ScrZ6L0
羽の生えたミニククール(アンジェロ?)が2人に矢を放つ

…全然違う物のはずのキューピッドと混同してる罠。


193:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 21:34:14 9S3RhJ6F0
>>184
こんな腐女子の巣窟スレ頭から読む価値なんぞねーからじゃねーの。

194:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 21:47:09 PJJBXXk80
ゼシカは結局ククールの事を気に入っているのか?

195:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/08 22:37:35 ZvgEgtCU0
どっちかと言えば嫌い

無口リーダー、山賊くずれ、わがまま王と同じ扱い

196:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/09 09:31:53 Qs5OaBLl0
嫌い嫌いも好きのうち

197:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/09 11:03:14 5lwrTHbN0
嫌いから好きに変わっていく過程が良いんじゃないか。最初は印象悪くなくちゃ!

嫌い→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→好き
気に入らない奴→なんとなく気になる→なぜか意識しちゃう→好きかも

198:『ずっと二人で』前編1/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:15:57 8hExe+4m0
いったい、何が起こってるんだ?
マルチェロを捜す旅から戻ってみると、リーザス村はもぬけの空になっていた。
武器屋にも、防具屋にも、宿屋にも、教会にさえ人っ子一人いない。
いつも村を巡回してるポルクとマルクの姿もない。
旅に出てたのは、二カ月ちょっとだ。だけど一月前に様子を見にきた時には、何か起こるような気配は無かったのに・・・。
アルバート家に向けて足を速める。
ゼシカはどうなった? 仮に何かが襲ってきたんだとしても、あいつだったら必ず抵抗するはずだ。それなのに争ったような跡はどこにもない。静かすぎて、かえって不気味だ。
頼むから、どうか無事でいてくれ・・・!

「ゼシカ!! どこにいるんだ!? いたら返事してくれ! ゼシカ!」
アルバート家の屋敷中探しても、やっぱり誰もいない。
ゼシカも、アローザさんも、使用人たちも、影も形も見えない。
一体、何がどうなってやがるんだ。
この村を離れるべきじゃなかったのか? もしオレがそばにいたら、少しはマシなことになってたんだろうか。
・・・落ち着け。
まだ何があったかもわかってないんだ。サザンビークの大臣の家の鏡みたいに、異世界に通じる何かがあって、村中全員がそこに迷い込んだのかもしれない。少なくとも一カ月前までは無事だったんだ。今からでも助けられる可能性は十分ある。
最悪の事態ばかり考えるのは、オレの悪いクセだ。
まずはもう一度村の中を見て回って、何か変わったことが無いかをチェックして、ポルトリンクの様子も確かめて、それでも何もわからないようだったら、トロデーン城に応援を頼もう。
動揺も後悔も、やれることを全部やってからだ。
まずはアルバート家の中を探索する。村中の人間が消えてしまうなんて現象の原因になりそうなのは、こういう名家に伝わる魔法のアイテムなんてもんに、ありがちだ。
・・・そうだ、魔法の力といえば、リーザス像と何か関係してるのかもしれない。
一度そう思いつくと、もう他の可能性は考えられなくなり、オレはアルバートの屋敷を飛びだした。


199:『ずっと二人で』前編2/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:17:44 8hExe+4m0
それは不幸な事故だった。出合い頭の一発ってヤツだ。
リーザス像の塔に向かおうと勢いよく開けた扉が、向こう側から同じように扉を開こうとしていた、この屋敷の用心棒に直撃した。
「わ、悪い! 大丈夫か?」
とりあえずホイミをかける。運の悪いヤツ。いや、本当に悪いのはオレなんだけど。
・・・人がいる。
用心棒だけじゃなく、メイドやコック、そしてアローザさんも。
「無事だったのか・・・」
思わず口にしてしまった言葉に、アローザさんが怪訝な顔をする。
「何の話をしてるんです?」
「いや、あの・・・ゼシカは?」
これじゃあ、返事になってねぇし。
「まだリーザス像の塔にいますよ。まったくあの娘ときたら、聖なる日に塔の中庭でお祭りなんて何を考えてるのかしら。先祖の加護に感謝して、厳かに過ごすべき日だというのに、困ったものだわ」
・・・聖なる日・・・。
一気に身体の力が抜けた。
そういえば、この前会った時にゼシカが言ってたよな、聖なる日が近いって。年に一度だけ塔の中に魔物が出ないその日に、村の皆でリーザス像にお参りするんだって。
でも皆って、本当に村中全員、総出でなのかよ! 留守番くらい残してけよ、いつか盗賊団とかに狙われるぞ! さっきまでのオレの焦りは何なんだよ、恥ずかしくてやってらんねえよ!
・・・誰も見てなかったのが、せめてもの救いか・・・。
「どうかしました?」
アローザさんは、完全にオレをうさん臭いものとして見てる。そりゃあ、そうか。
「すいません、あの・・・よけいなことだけど、戸締まりくらいはした方がいいですよ?」
自分で自分のセリフのマヌケさに呆れる。まだ動揺さめやらぬといったところだから、どうにもならない。
だけどまた怒らせると思ったのに、アローザさんはちょっと大きく目を見開いて、それからクスクスと笑い出した。
「そうね、こんなふうに勝手に入り込む人もいることだしね。・・・忠告のお礼にお茶でもいかが? だいぶお疲れのようですわね」


200:『ずっと二人で』前編3/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:19:46 8hExe+4m0
オレ、何やってんだろう?
オレを毛嫌いしてるはずのアローザさんに誘われるままに、二階の居間で差し向かいで茶を飲んでる。まさか毒を入れたりしてはこないとは思うけど、真意はつかめない。
でも不思議なもんだな。嫌われるってのは、やっぱり少し辛くて、アローザさんのことは正直少し苦手だった。だけど今は、そうは感じない。
この人がいなければ、ゼシカは生まれてきてなかった。もしゼシカに逢えてなかったら、オレは一体どうなっていただろう。そう思うと、感謝の気持ち以外を抱くことなんてできない。
「さっきあなたが言っていた戸締まりですけどね、したくても出来ないのよ。初めから扉には鍵がついていないの」
アローザさんの言葉で、衝撃の事実を初めて知った。
「私も他所から嫁いできた身ですからね、初めは驚いたものですよ。これだけの屋敷に鍵がついてないなんて、思いもしなかったわ。だけどこのアルバート家は、代々魔法剣士の力を受け継がれている家系ですから、悪意を持って侵入する者などいないのよ」
なるほど、侵入者の方が痛い思いをするだけだと。
「だからあなたが、無人になってしまった村を見て慌てふためくのも、わからなくはないわ。来年以降はポルトリンクからでも、留守番役を寄越してもらった方が良さそうね」
・・・バレバレだし。あー、みっともねえ。
「いつも私が何を言おうと眉一つ動かさないあなたが、あれだけ顔色を変えるとは思わなかったわ。どうやら本当に、ゼシカのことを大事に想ってはくれてるようね」
言葉面だけ捕らえると認めてくれたように聞こえるけど、その声は今までの中でも一番冷たい響きだった。
「それなのにどうしてこんなに何度も、あの娘を放っておくことが出来るの? 残される者の気持ちを、少しでも考えてみたことがあるの? 勝手なのにも程があるわ」
今のはきいた。言葉に詰まる。
「兄のサーベルトの仇を討つという目的を果たして、気持ちの整理をつけて元気に戻ってきてくれると思いきや、毎日毎日物思いにふけって溜め息ばかり。ろくに外にも出ず、食事もまともに取らない有り様。
大事な娘にそんな思いをさせ続けた男を、どうして母親の私が認める気持ちになどなれると思うの? たとえあなたが悪い評判など何もない人だったとしても、そのことを許すつもりはないわ」


201:『ずっと二人で』前編4/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:22:18 8hExe+4m0
「・・・返す言葉もありません」
ゼシカはずっとアローザさんのオレに対する態度に怒ってたけど、オレはそのことを理不尽だと感じたことは一度も無かった。
死んだオレの親父の面影や、世間の評判で嫌ってた部分も確かにあったんだろうけど、言い訳しようのないオレ自身の行いが一番大きな怒りの理由だってことに、自分でも知らない間に気づいてたのかもしれない。
「だけどゼシカは私の言うことなど聞くつもりは無いようだし、このまま反対しつづけたら、また家出でもされかねないし・・・だからククールさん、もしどうしてもゼシカとの仲を認めてほしいというのなら、この先もう二度と剣をとらないと約束してちょうだい」
「・・・剣を?」
想像もつかなかった条件を出され、少しとまどった。
「ポルトリンクから出ている定期船のお客様の中には、マイエラ修道院への巡礼者も多いのよ。半年ほど前に、よく耳にする噂があったわ。
それまで修道院の周りにはいなかった凶悪な魔物が出るということと、その魔物から一人で巡礼者を守っている、真っ赤な服を着た銀髪の剣士さんの話をね」
さすがに定期船のオーナーは、耳が早い。
確かに、オレがあの頃ゼシカを放ったらかしにしてた理由の一つは、グダグダになってた聖堂騎士団の代わりに巡礼者たちを守るためだった。
でもそれを、ゼシカに寂しい思いさせ続けたことの言い訳には出来ない。
「息子のサーベルトが、リーザス像の様子を一人で見に行ったために殺されてしまったのは、ご存じよね? サーベルトとゼシカの父親も子供たちがまだ小さい頃、定期船を襲う凶悪な魔物を一人で退治しに行き、相打ちになって還らぬ人になりました」
父親が死んだ時にはゼシカはまだ小さすぎて、ほとんど何も覚えてないと言ってたから、魔物と戦って死んだという話は初めて聞いた。
「夫も息子も、いつもあなたのように剣を身体から離さない人でした。危険なことはやめてほしいと頼んでも、『自分には力があるから責任もある』と何でも自分でやろうとして、結局は二人とも還ってきてはくれなかった。私はただ残されるだけ・・・。
ゼシカには私と同じ思いはさせたくないの。だからあの娘の結婚相手には、武器なんて扱えない人がいい、そう思ったのよ。これ以上ゼシカを悲しませたくないのなら、危険なことはせずに、あの娘のそばにずっといてやってちょうだい」


202:『ずっと二人で』前編5/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:24:44 8hExe+4m0
・・・何だよ、ゼシカ。お前、メチャメチャ愛されてんじゃねえかよ。
アルバート家がどうとかじゃなくて、ただゼシカに幸せになってほしいだけ。寂しい思い、悲しい思いをさせたくない。だからオレみたいにいつ死ぬかわからない生き方してた人間は、認めたくない。
大事な人間に先立たれる悲しみを、二度も味わってしまってるからこその想いだ。
でも・・・。
「すみませんけど、それはできません」
ゼシカはずっと、この村を懐かしいとは思えないと言っていた。贅沢言ってるとは思ったけど、ラプソーンが復活した後で寄ったこの村の様子を見ていて、何となく理由もわかるような気はした。
村の住人はほとんどが、ゼシカが家族と最期の時を迎えるために帰ってきたなんて言ってたよな。それは普通の反応で、空を赤く染めるようなヤツと戦おうなんて考える人間はほんの一握りだ。
だけどゼシカの父親や兄は、大切なものを守るために自分で武器を取って戦うっていう考え方で、そういう人間が一番身近な存在だったゼシカにとっては、自分の力で戦って大事なものを勝ち取ることが当たり前のことだった。
そんなゼシカにとって、何かあった時に一緒に戦ってくれる人間はいないってことは、結構寂しいことなのかもしれない。ポルクとマルクは違うけど、あいつらはまだガキだしな。
「何かあった時は、ゼシカは真っ先に飛び出して先頭に立って戦うはずです。その時に隣に並んで戦えない人間にはなりたくありません」
そんなオレがずっとそばにいたって、ゼシカにとってはやっぱり寂しいはずだ。
「あなたは、ゼシカを危ない目に遇わせても平気なの? あの娘を幸せにしたいとは思わないの?」
『幸せにしたい』か、もちろんそう思ってはいるけど、肝心のゼシカがそれを望んでない。いや、望んでないっていうより、あてにされてないってのが正しいか。
「ゼシカは本当に強くて、オレなんかが彼女の幸せをどうにかするのは無理です。それどころか『あんた頼りないから私が幸せにしてやる』なんて言われる次第で。あの逞しさの1/10でいいから分けてほしいと思ってるけど、足元にも及ばなくて・・・。
でも逆にオレなんかに、ゼシカを不幸にすることも絶対できないと思うから、そういう意味では安心してもらえると思います」


203:『ずっと二人で』前編6/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:26:51 8hExe+4m0
アローザさんは大きな溜め息を吐き、カップをソーサーに置いた。
「いいえ、あなたも立派に逞しくて図太いわ。付き合いを反対してる母親の前で、よくそんなしまりのない顔してノロケられるものね。普通の神経じゃないわよ」
・・・今、ノロケてたっけ? それにしまりのない顔って、どんな顔してたんだ?
「もういいわ。サッサとゼシカの所にでも行ってくださいな。もうその顔を見ていたくありません。ゼシカの顔も見たくないから、今日は帰ってこなくて結構って伝えておいてちょうだい」
・・・ゼシカ、アローザさん、頭固くねぇよ。話がわかりすぎ。外泊OKだってさ。
「これで認めたと思ったら大間違いよ。そうそう思い通りにはさせません。結局最後には私の方が折れるハメになるんだから、尚更です」
苦労してるんだな、この人も。オレとの仲を反対する本当の理由を言うわけにもいかなくて、憎まれ役をしなきゃいけないのは辛かっただろう。思わずアローザさんの方の味方したくなる。
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。ゼシカを家出させるようなことは絶対にしませんから、それだけは心配しないでください。それと彼女を残していくようなことも、もう無いと思います。・・・今日はお話できて良かった。ありがとうございました」
オレも知ってる、置いていかれることの痛み。自分が味わうことも、誰かに味あわせることも、確かにもうたくさんだよな。
「これからのあてはあるの? 住む所や仕事のことだけど」
唐突に現実的な質問をされてしまった。
確かに今のオレは、住所不定無職状態だ。ルーラが使えるおかげでどこに住んでもリーザス村との距離はゼロに等しい分、選択肢が多すぎる。
「ゼシカが、西の大陸に定期船を出したいと計画してるのよ。もっと安全な方法で世界を旅できる人が増えるようにしたいと言ってね。だけど安全な航路を探すのには、海の魔物に強い護衛がいないと現実には難しいわ。
腕に覚えがあるのなら、引き受けてくださらない? ポルトリンクで良ければ、お部屋の手配もさせてもらうわ。返事は明日で結構よ。夕食にご招待するから、その時までに考えておいてくださいな」
・・・どうにも、まいったな。ありがたいような、怖いような。
アローザさんはオレより数段、役者が上らしい。これから先どうあっても、この親心を裏切ることは出来ないようだ。


204:『ずっと二人で』前編7/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:29:54 8hExe+4m0
リーザス像の塔から、音楽や村の人たちの楽しそうな声が聞こえてくる。ご先祖たちに楽しく生きてる姿を見てほしいと、ゼシカが計画したそうだ。定期船を西の大陸まで運行することといい、ゼシカもいろいろ考えて頑張ってたんだな。
ゼシカとオレだけが知っている目印、塔のてっぺんにある風車を魔法で回す。初めて試した時よりも、風の制御はうまくなったと思う。もっと訓練重ねていけば、空を飛ぶとこも出来るかもしれない。
ゼシカは気づいてくれただろうか? オレの方から塔に入っていってもいいんだけど、再会の抱擁やキスを村の人間に見せつけるのは、ゼシカが嫌がるだろうしな。
「ククール!」
背後からの声に振り返る。
ああ、そういえばこの塔は、リレミトで出ると随分離れたところに出るんだったっけ。
気品は漂うのに、おてんばぶりは相変わらずで、スカートのすそを跳ね上げて駆けてくる。
今日のゼシカは白いブラウスの普段着姿だ。やっぱり旅の間に着てた服より、こっちの格好の方が可愛いよな。目が赤くて、ツインテールが耳みたいで、ぴょんぴょん撥ねてくるウサギみたいだ。
態勢を整えて、飛びついてくるゼシカを抱きとめた。ゼシカのタックルは結構強力で、油断してると受け止めきれずに引っ繰り返るハメになる。
でも頬を上気させて、喜びを全面に表してくるその姿に、たまらない愛しさが込み上げてくる。
なのに・・・。
「お酒くさっ!!!」
おい! 再会の第一声は、これかよ!?
いや待て。確かに酒臭くて当たり前な量を飲んだんだ。
「・・・そんなに?」
「すごいわよ。だいぶ前に二日酔いになってた時よりひどいかも」
よくアローザさん、そんな奴に文句も言わず、夕食に招待までしてくれたよな。
「ホントまいったんだよな。あいつ、そっちの方では堅物だったから、酒なんてほとんど飲んだことないはずなのに、つえーの何のって。親父が大酒飲みだったから、血筋なのかもな」
「・・・会えたの? マルチェロに?」
ゼシカが心配そうな顔で訊ねてきた。
「それがさ、聞いてくれよ。あのクソ兄貴、会うなりいきなり斬りつけてきやがって、反射神経のいいオレじゃなかったら死んでたぞ、絶対。
おまけに『貴様のようなヤツと素面で話など出来るか』なんて言いやがって『だから酒飲みながら話すぞ』ってことになって。しかも酒代は全部オレ持ち」


205:『ずっと二人で』前編8/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:35:46 8hExe+4m0
「それで出た結論は『しがらみとか血の繋がりとか因縁なんて一切関係なく、やっぱりお互いソリが合わない』だった。だけど仲の悪い兄弟なんて、世の中には溢れる程いるだろうし、オレとしてはもう充分スッキリしたんだけど・・・これって変か?」
ゼシカはさっきから、異世界の話でも聞いてるような顔をしてる。
まっとうな兄弟だったことが一度もないから、標準がどういうもんかわからねぇんだよな。だけどいい年した男同士の兄弟って、意外とそんなもんかとも思ってるんだけど、やっぱりちょっとは不安になる。
この期に及んで、実は気持ちの整理はついてませんってオチは目も当てられない。
ゼシカはちょっとだけ呆れたような顔をして、だけどすぐに柔らかく微笑みかけてくれた。
「ううん、変じゃない。・・・良かったね」
心の中にゆっくりと染みてくる言葉。
そうだな、良かったんだ。その証拠に、ゼシカの瞳を真っすぐに見つめ返せる。心の奥まで見透かされるのが怖くて、今まで何度も逃げ続けてきた瞳。でももう、心の中全部見られても、何一つ後ろめたいことはない。
「ああ、ありがとう。ずっと待たせてごめん。今度こそ、もうどこにも行かない」
そこまで言った後に、とりあえず付けたしといた。
「多分」
何となく、オレはそう簡単に平穏な暮らしは出来ないような予感がしたからだ。あと一回ぐらいは、揉め事に巻き込まれそうな気がする。
「何よ、その多分って! 普段嘘つきなくせに、どうしてこういう時だけバカ正直なの!?」
やっぱり怒られた。
「だけど、もうゼシカを残してはいかない。何かあった時は力を貸してほしい。・・・酒臭くて悪いけど、キスしていいか?」
「・・・そういうことは、いちいち訊かないでちょうだい」
ちょっとテレたように怒る顔が可愛くて、つい笑ってしまう。
「相変わらずイジワルなんだから。でも変わってないから、ホッとした。おかえりなさい」
「・・・ただいま」
ずいぶん遠回りして、ようやく辿り着くことが出来た。真っすぐにゼシカと向き合える自分に。
今度こそ本当に大丈夫だ。
これからは何があっても、ずっと二人で生きていける。


206:『ずっと二人で』後編1/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:38:09 8hExe+4m0
「良かったね、ミーティア。ずっとこの日が来るのを待ってたんだものね。二人ともよく我慢できたと思う。本当に立派だったわ」
サヴェッラ大聖堂から、エイトとミーティアが手を取り合って、結婚式を脱走してから丸二年。
一方的に婚約破棄したチャゴス王子に対してのせめてものお詫びとケジメのためと、王子の赦しが得られるまでは、二人は決して結ばれようとはしなかった。
私もククールも、ヤンガスやトロデ王も、チャゴス王子にそんな気持ちが通じるわけがない、赦しが出るのを待っていたら一生結婚なんて出来ないと説得したわ。
だけど二人は、クラビウス王が王位をチャゴス王子に譲った時に、争いの火種になるようなことにはなりたくないと、頑ななまでに王女と臣下という関係を守り通した。
それが三カ月前、何とあのチャゴス王子が結婚し、しかもそのお相手が、ダメダメ王子の首根っこを押さえ付けて叱ってくれるしっかりした女性で、正式にトロデーンに使者を寄越し、二つの国の間の友好と平和を約束してくれた。
ようやく二人は明日、このトロデーンの城で結婚式を挙げることになった。

ついさっきまで、東屋で一緒に旅した六人でお酒を飲んでたんだけど、男性陣は残して私とミーティアは二階のテラスで酔いを覚ましてる。
私は二人きりの時だけ、ミーティアから『姫様』を取って呼んでる。私もずっとリーザス村では『お嬢様』って着けて呼ばれてて、お互いに呼び捨て出来る女友達を持ったのは初めてだった。
「ほんとに私、何にもしてあげられなかったね。ようやく呪いが解けた後も、なかなか幸せになれないのを見てるのは辛かったわ」
「何にもできなかったなんて、そんなことありませんわ。ゼシカたちが暗黒神を倒してくれたからこそ、私もお父様も、そしてこの城の人たち全員が呪いから解放されたんですもの。それにサヴェッラ大聖堂で、聖堂騎士団の方たちと戦ってくださったこと、絶対に忘れませんわ」
サヴェッラでの話をされると、ちょっと胸が痛むわ。あの時はククールがエイトにハッパかけるために『オレが姫様さらって逃げる』なんて言ったもんだから、私そっちの方で頭が一杯で、ミーティアの心配してあげてなかったのよね。
そういうことを黙ってるのは得意じゃないし、そろそろ時効だとも思うので、その時のことをミーティアに打ち明けた。


207:『ずっと二人で』後編2/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:40:09 8hExe+4m0
「まあ、ゼシカって本当に鈍いわ。ククールさんがずっとゼシカを大事に想ってたことなんて、あのエイトやヤンガスさんでさえ丸分かりでしたのに」
私って鈍い? カンはいい方だと思うんだけど。それにエイトとヤンガスにさえ丸分かりって、そんなにわかりやすくなかったわよ。確かに優しくはあったけど、同じくらい意地悪もされてたもの。
「エイトもね、その時のことは一生忘れないって言ってましたわ。
ミーティアをさらって逃げるなんて言葉は、どうせハッパかけてるだけだっていうのはわかりきってたので、何とも思わなかったらしいんだけれど、大階段の下で『仲間だから力を貸す』って背中を押してもらった時、何も怖いものなんて無くなったんですって」
私もその時のことは覚えてる。それまでちょっと俯き加減だったエイトが、急に力を取り戻したように階段を駆け上がっていったのを。
「あれだけツンツンしてて、ひねくれたことばっかり言ってて、気まぐれで気難しくて素直じゃなかったククールさんに、面と向かって『仲間』だって言ってもらえる日がくるとは思ってなかったんですって。
その言葉を言ってもらうことに比べたら、結婚式の邪魔をすることなんて、大変でも何ともない。そう思ったって言ってましたわ」
・・・それ、ほめてないわよね?
でもエイトの気持ちはわかる気がする。確かに初めの頃のククールはひどかったわ。特にエイトに対して八つ当たりしすぎて、よくシメられてたものね。
そんなククールに認めてもらえたと思うと嬉しいよね。
・・・あれ?
今思い返して見ると私、もしかして一度もククールに『仲間』って言ってもらったこと無いんじゃないかしら・・・。

「お前の話なんかまともに聞こうとしたオレがバカだったよ。だいたい、ムサ苦しい野郎ばかりのとこで酒飲んだってうまくねえや。オレはレディたちに交ぜてもらうぜ」
ククールが何やら怒りながらテラスにやって来た。エイトが一生懸命、宥めようとしながら着いてきてる。
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねえよ。珍しくひとのこと褒めてんのかと思いきや、ツンツンしてたの、ひねくれ者だの、きまぐれで気難しくて素直じゃねえだの、言いたい放題言いやがって。
このおとなしい顔に騙されるけど、こいつとんでもなく毒舌で容赦なくて、腹ん中は真っ黒だぞ」


208:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/09 22:40:38 BJzNys5yO
なげーよW

209:『ずっと二人で』後編3/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:41:42 8hExe+4m0
・・・もしかして、さっきミーティアが言ってたのと、全く同じことを言ったのかしら。
ミーティアと顔を見合わせて笑ってしまう。
多分エイトはお礼を言ったつもりなんだろうけど、ククールじゃなくたってそうは思えないわよ。エイト、思ったままを正直に言い過ぎよ。

新郎新婦が結婚式の場でお酒臭いのは問題ありなので、いろいろ話は尽きないけれど、早めにそれぞれの部屋に引き取った。
誰が部屋割りしたのかは知らないけど、私とククールは当たり前のように同じ部屋をあてがわれてしまった。もちろん今更、そのことに抵抗はないけれど。
「なあ、エイトのやつ、少し元気なかったと思わなかったか?」
ククールがいきなり深刻そうに言い出すから、私はドキッする。
「ううん、気が付かなかった。元気ないってどんな風に?」
「初めはマリッジブルーかとも思ったけど、あの呑気者にそんなのあるわけねぇし、どっちかっていうと精神的な問題じゃなくて、身体の方が弱ってるような感じなんだよな。でもヤンガスも気づかなかったって言ってたから、オレの思い過ごしだな」
そんなこと言われても、ちょっと不安にはなる。だって、ククールのそういう感覚って怖いくらい外れないから。
「そんな顔するなよ。多分、結婚式の準備なんかで疲れてたんだろ。エイトがそういうのに向いてるとは思えないからな」
ククールの声は真面目なのに、手の方は私の服を脱がせはじめてる。
「何やってるの?」
「何って、こうやって二人きりでゆっくりできるの久しぶりなんだから、有意義に過ごそうとしてるだけ」
お母さんが自分の手でサーベルト兄さんの部屋を片付けて、そこをククールの為にあけてくれてから、もう半年。
だけど結婚はおろか、つきあいすら認めてないと言い張ってる。
なまじ同じ家に住んでるのに、家長の目が光ってるという微妙な状態だから、確かにゆっくり二人きりにはなりにくい。
お母さんたら、私よりもククールとの方が気が合うみたいなのに、本当に何がいつまでも気にいらないのかしら。
ここまで来るともう、ただ意固地になってるとしか思えないわ。


210:『ずっと二人で』後編4/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:43:31 8hExe+4m0
結婚式はトロデーン城の中庭で行われた。
サザンビークへの遠慮もあって、招待されたのは少数の親しい人たちだけなんだけど、二人の晴れの姿を一目見たいと多くの人が集まってくれることは予測できていたので、
自分たちの幸せな姿を見てもらうために、教会の建物の中ではなく、こうして外に面した場所で永遠の愛を誓うことを選んだんだとミーティアが教えてくれた。
広大なお城よりも更に広い面積を誇る中庭は、国中から集まった人たちで溢れかえり、高価なものや豪華なものなんて何もなかったけど、喜びや幸せ、祝福と感謝が一杯で、何よりも素敵な時間だった。

結婚式から一週間後。明日はエイトとミーティアが新婚旅行に出発し、私たちもそれぞれの生活に戻るという日、おかしな夢を見た。
星空がとても近い、高いところにある祭壇のような場所。大きな竜の石像が、何も記されていない石碑を守るかのようにたたずんでいる。やがて炎に照らされたその石碑の中央に、何か紋章のようなものが浮かびあがる。神秘的な光景のようで、何か恐ろしい程の力を感じた。
目を覚ました時、それがどこかで見た覚えのある場所だと気づく。
確かあれは、ベルガラックからサザンビークへ続く街道の途中にある高台の上の遺跡。
空を飛ばなきゃ行けないような所に、どうしてこんな巨大な建造物があるのかと思った場所だったはず。
何でこんな変な夢を見たりしたのかしら?

朝になって、エイトが高熱を出して起きあがることさえ出来ないほどに弱った状態になっていると知らされた。
病気に対しては回復魔法は効かず、出来ることといえばオークニスのグラッドさんの所へ行って、良く効く解熱薬を貰ってくることぐらい。
さすがにグラッドさんの調合した薬の効き目はすごくて、熱だけは程なく下がったけど、何かに生気を吸い取られているように感じて、力が入らないらしい。
ねずみのトーポも、飼い主の不調に同調してしまったように、力無く横たわってしまっている。
ミーティアの話によると、私が見たのと全く同じ、祭壇の遺跡をミーティアもエイトも見たらしい。そしてその直後に、エイトは熱を出して寝込んでしまった。
ククールとヤンガス、トロデ王も同じ夢を見たという。この事とエイトの異変が無関係だとはとても思えない。


211:『ずっと二人で』後編5/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:44:50 8hExe+4m0
「だけど、もう神鳥のたましいは親のレティスとどっかへ行っちまったでがす。確かめに行こうにもお手上げでがすよ」
ヤンガスの言葉に、ククールが答える。
「いや、様子を見に行くぐらいなら、多分何とかなるぜ。あそこは街道からは離れてないから、二日あれば行って戻って来れると思う」
ククールはずっとバギの魔法を、切り裂くだけじゃなくて、物を動かしたり持ち上げたりするのに使えるんじゃないかって、風の制御の練習をしていた。
亡くなったオディロ院長がそういう風の使い方をしていたらしく、そのご先祖の予言者エジェウスも、空を飛ばなきゃいけないような所に石碑を残していたことから、使いようによっては空ぐらい飛べるんじゃないかって思ったんだって。
実際に、鳥のように飛ぶことは出来てないけど、真上にだったら、かなりの高さまで浮きあがることが出来るようになってる。

ヤンガスも一緒に行きたがったけど、『その体重を抱えて飛ぶ自信は無い』というククールの言葉で、おとなしく留守番することになった。
そして私とククールの二人だけで、謎の石碑の様子を確かめにいく。
そこには夢で見たのと同じ光景があった。初めて見た時には確かに何も記されていなかったのに、今は翼を広げた竜のような紋章が浮かび上がっている。
そしてその紋章に手を触れると辺りの風景が変わり、洞窟のような場所に出る。だけど、ほんの少し進んだだけで、すぐに引き返すことになった。
出現する魔物の強さが半端じゃないんだもの。何があるかわからないから、一応武装はしてあったけど、ラプソーンの空飛ぶ城にいたのより、更に強い魔物がゴロゴロしていた。
二人だけで先に進むのは、諦めるしかなかった。

トロデーンに戻ると、エイトは大分元気を取り戻して、起き上がれるようにはなっていた。
だけど何かに体力を奪われてるような感覚が完全に無くなったわけでもなくて、本人曰く『慣れた』らしい。
あと嘘みたいな話だけど、ヤンガスのアドバイス通り、とにかく食べまくったら少しはマシになったそうだ。トーポにも大好物のチーズをたくさんあげたら、ちょっとだけ元気になったって。
その辺りは、いろんな意味で『さすがエイト』っていうしか無いわよね。


212:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/09 22:46:16 BJzNys5yO
あげときますね

213:『ずっと二人で』後編6/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:47:38 8hExe+4m0
トロデ王を含めた六人で、この後どうするべきかを相談した。
やっぱりあの石碑が無関係じゃないっていうのは、全員一致した意見なんだけど、簡単に『行けるとこまで行こう』というわけにもいかない。
出てくる魔物が普通の強さじゃなくて、エイトもいつまた倒れるかわからない状態。ククールも石碑までは一人ずつ運ぶので精一杯で、体重が二人分は軽くあるヤンガスは最悪残ってもらって、ルーラ可能な町があるようなら、そこから合流ってことになる。
あんまりにも戦力が心もとなさすぎる。
それにエイトはこのトロデーンの近衛隊長であると同時に、世継ぎの王女の夫でもあるんだもの。どれだけかかるかわからない旅に出るなんて簡単には出来るわけがない。
「では、新婚旅行はそこにしましょう」
そんなことを色々考えていたのにミーティアは、その辺の湖にピクニックでも行くような調子でそう言ってきた。
「もう馬車を引いてお手伝いすることは出来ませんけど、ご一緒させてください。今度はミーティアがエイトの為に力になりたいんです。自分のことは自分で守れるようにしますから、どうか連れていってください」
ククールとヤンガスは慌てて止めようとするけど、トロデ王はアッサリ賛成した。
「そうじゃな、それがいいかもしれん。二年もの間、我慢を続けてきたのじゃから、新婚旅行が少しぐらい長くなっても、異を唱える者はおらんじゃろう」
二人を一番近くで見守り続けていたトロデ王は反対しない。
ドルマゲスがこの城から杖を強奪した日、賊が潜んでいるかもしれない場所に愛娘のミーティアを同行させた話を聞いた時は、少し驚いた。旅の間は、ミーティアを危険な場所に連れていくのを何より嫌がっていたトロデ王だから。
でもトロデ王は知ってるんだ。それが必要な時はどんな危険な場所でも、ミーティアは必ず行く人だってことを。まして今度はエイトのことだもの。お城で留守番なんて絶対しないわよね。
そして私はこれも知っている。実はミーティアが、とっても力持ちだということ。
馬に姿を変えられて、旅の間引き続けていた馬車は錬金大好きエイトのせいで、使わない武器防具も捨てられずに荷物が増える一方だった。そうしてる内に自然に足腰は鍛えられていき、腕も足と同じだけの力に持つに至ったことを。
確かに自分の身ぐらいは自分で守れるかもしれない。

214:『ずっと二人で』後編7/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:49:32 8hExe+4m0
出発は三日後に決まり、準備のために一旦それぞれの住まいに帰ることになった。
「ククールさん、あなた一体いつになったら落ち着いてくれるの? おまけに今度はゼシカまで連れていくのね。それなら許されると思ってるわけ?」
事情を説明して家を開けることを伝えると、お母さんは深い溜め息を吐いてククールに文句を言う。
「すみません。でもほら、もう残してはいかないっていうのは嘘じゃなかったっていうことで」
それに対してククールは全く悪びれない。私には今一つ意味がわからないんだけど、二人には通じてるみたいで、お母さんはククールを睨みながら、更に大きな溜め息を吐いた。
「・・・三カ月だけですよ。三カ月経ったら絶対に戻ってきなさい。私はその間、ウエディングドレスでも縫いながら待ってることにしますから」
お母さんにしては、ずいぶん諦めが早いわ。って・・・ウエディングドレス?
「いつまでも独り身でいるから、フラフラするのかもしれないわね。あなたたちも、いつまでも若くないんだから、いい加減に家庭を持ってしっかりしてちょうだい」
自分で反対しまくってたくせに、よくそんなセリフが口から出てくるもんだと思う。だけどあんまり突然のことで、声の出し方を思い出せない。
「ありがとう、ございます・・・」
いつもは冷静なククールも、それだけ言うのがやっとみたい。
「いいから、早くお行きなさい。そして忘れないで、三カ月だけですよ。三カ月経ったら、どこにいようとどんな状況だろうと、必ず戻ってらっしゃい。あなたたちが帰ってくる場所はここなんですからね」

支度を終え、トロデーン城へルーラするために家の外に出た時、ククールが呟いた。
「三カ月か・・・」
お母さんがとうとう認めてくれたことで頭がいっぱいだった私は、ククールのその言葉で三カ月という期限をつけられたことを思い出す。
あんなふうに言ってくれたお母さんの気持ちを裏切ることは出来ない。だけど三カ月経ってもまだ問題が解決してなかったとしたら、エイトをそのままにして戻るなんて、もっと出来ない。
何とか三カ月の間に、エイトの体調不良の原因を突き止めて、それを取り除けるように頑張らなくちゃ・・・。


215:『ずっと二人で』後編8/8 ◆JbyYzEg8Is
06/03/09 22:52:33 8hExe+4m0
「なあゼシカ。仮にこの件を二カ月で片付けたとして、その後の一カ月はゆっくり二人旅なんてするのはダメだと思うか?」
後に続く言葉があんまりにも予想外のことで、咄嗟に意味がわからなかった。
「次に帰ってきたら、さすがにしばらくおとなしくしてないといけない気はするし、せっかく三カ月も時間くれたんだから、目一杯使わせてもらうのも悪くないかな、と。・・・ダメ?」
「・・・ダメよ」
バカみたい。ククールがじゃなくて、私が。
「それじゃ短いわ。この件を一カ月で片付けて、残りの二カ月で二人旅しましょう」
エイトをあんな体調のままで、三カ月も過ごさせるわけにいかないわよね。一日でも早く解決させた方がいいに決まってるわ。そんなのわかりきってたことなのに。
もしリーザス像の塔でエイトに出会わなければ、私はポルトリンクから先へは行けなかった。南の大陸にさえ渡れずに兄さんの仇も討てなくて、そしてククールに逢うことも出来なかった。
ずっと感謝してた。だから今度は私がエイトを助ける番。ううん『私たち』でよね。
「最悪ヤンガスは留守番だし、エイトとミーティア姫様は戦力として計算に入れない方がいいから、実際はオレとゼシカの二人であいつらを守って戦うことになると思う。かなりキツいだろうけど、しっかりやろうぜ」
ククールが私の手をしっかりと握ってくれる。この手の暖かさが、私に何度も前に進む力をくれた。
「まかせといて」
以前の私だったら、ククールに一度も『仲間』だって言ってもらったことがないのに気づいた時、寂しい気持ちになって、エイトを羨ましく思ったかもしれない。
でも、そんな言葉なんてもう必要ないのよね。ククールが私を信じてくれてるのなんて、確かめるまでもないことだもの。
今回のことだって、一度だって私に『どうする?』って訊いてはこなかった。私が一緒に行くことなんて、言うまでもなくわかってくれてた。
ククールとは考え方や価値観が違いすぎて、ぶつかることさえ出来ずに悲しい思いしたことも何度もあった。
だけど一番大事な時はいつだって、同じ答えを選んでいた。大切なものは自分自身の力で守るということ。
握っているものがお互いの手じゃなく武器に変わっても、私たちはもう離れたりしない。
進む道は同じだから、ずっと二人で生きていける。
<終>

216:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/09 22:59:06 Ob/5bkYEO
・・・(´Д⊂)゚。・∵。・.

217:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/10 00:32:17 1an8yoZOO
。・゚・(ノД`)・゚・。

218:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/10 01:00:20 e/1FNCfQO
……(ノ∀`)・゚・。

219:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/10 10:18:01 TRQQmz6Y0
Jbyさま

いつも、深い考察と、独自の解釈に感服してます。
そして今回も、お話を読み終えて、「こう来たかー」と呟いちゃいました。
良い意味で裏をかかれた感じですよ。お話は残り1つだって言ってましたけど、
まだ続きますよね? この後。
すっごく楽しみにしてますので、是非是非書いて下さいませ!

220:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/10 17:01:25 9PAc0g1Y0
つづきをかくのら!

221:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/10 18:22:29 uX94t6uu0
毎度お疲れ様です。
やっぱ職人さんがいると活気が出てきて嬉しい。

222:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 00:01:17 1Jd7o9PQ0
(TдT) アリガトウ

223:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 09:07:50 3aQj88su0
長い間、妄想にお付き合いきただきまして、ありがとうございました。
おかげさまで気持ちよく萌えつきることが出来ました。
続きを望んでいただけるのはとってもありがたいです。
だけど私、仲良くない二人を書いてる時は、仲良しな二人を書きたくなり、微妙な関係を書いてる時は早くくっつけたくなり、ラブラブ状態を書いてると、今度はケンカさせたくなるという業の深い妄想家らしいですw
まとめサイトさん一周年の時はお礼に、何か一本書こうかな、とは思ってるのですが・・・。
なので続き物としては、これで完結ということで。
今まで、本当にありがとうございました。





224:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 11:41:13 HfuJeOTwO
本当にGJ。

225:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 15:59:16 fkCRQlDjO
サヨナラ

226:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 16:02:17 cMbSp8mu0
重病ですな

227:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/11 16:45:03 h5D/p4H50
Jbyさん、ありがとう!GJです!
これまでたくさんの作品が見れてほんとに楽しかったです。

228:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/12 13:00:27 /VDSet59O
こちらこそ本当に本当にありがとう

229:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/12 13:47:19 WgvnoERF0
まだ続いとったんかいな

230:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/12 22:23:02 b1hOF8r/O
わたしのククゼシ小説を応援してくれた皆さんありがとう
今度はテリバースレで会いましょう







~~~~糸冬~~~~

231:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/13 13:52:59 imdYXmn80
「イオナズ…」
「!!」
「………zzz……むにゃむにゃ…」
(寝言かよ…おちおち寝てらんねー)

232:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/13 23:00:49 x4DWEbjV0
>>231
一緒に寝てるのか?モエスw

233:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/14 00:51:27 /o3UkB4D0
>>223
少し残念な気もしますが、ここは笑顔でお疲れサマー&アリガトーと叫びたいと思います。
一緒にククゼシに萌えることができて、私にはとても励みになりました。
ほんと、サンクスです。

234:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/14 09:42:39 W+3KHUrX0
( ´_ゝ`)フーン

235:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/15 00:40:13 8ROQLeaFO
保守

236:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/15 08:00:09 1etqzYGy0
hosh

237:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/15 20:34:04 9tI4Nbas0
gkbnipj:6esin6pesuines]・・・(泣)

238:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 01:13:19 GR6S3VKNO
保守

239:祝・まとめサイトさん一周年
06/03/16 03:45:45 dx0ch63W0
だけど『一周年』と何の関係もない話にorz
お題で話が作れないと痛感。
>>54
本当に今さらだけど、ちょっと取りいれてみました。
でも、きっとこういうのが見たかったんじゃないかもしれない。
ごめんなさい、これが私の限界です。

240:『わかってない』前編1/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:47:28 dx0ch63W0
どうしてこう、やることなすこと裏目に出てばかりなんだろう。
新法皇即位式に乗り込んで、マルチェロを止めることが出来たと思ったら、逆にあいつが抑え込んでた暗黒神が自由になって、聖地ゴルドが崩壊した。
操られてたんだと思ってたマルチェロが、自分の意志で法皇様を殺したらしいと知って、頭の中はグチャグチャだ。
煉獄島に収監された時に、身に着けてた武器防具の全てを没収されたせいで、ラプソーンの空飛ぶ城に攻め込むには装備がお粗末すぎるってんで、エイトが錬金釜を使って何とかマシな防具を造ると張り切ってる。
心の整理をする時間の猶予が出来たことだけが、唯一の救いってやつだった。
ベルガラックのホテルで部屋を取る時、ゼシカだけでなくオレも個室を取ると良いとヤンガスが勧めてくれた。悪人顔のくせに、こういう時はあいつが一番、人の気持ちってやつをわかってくれる。
だけどそれと全く逆なのはゼシカで、部屋に入って装備を解く間もなく、オレの所に押しかけてきた。
用件は『エイトが錬金してるあいだにマルチェロを捜しに行こう』だ。
ゼシカに悪気がないのはわかってる。何事も逃げずに真っすぐ立ち向かう彼女にとって、大ケガを負ってたマルチェロの手当もせずに、黙って行かせるって行為は理解できなかったんだろう。
だけどオレはゼシカじゃない。あの時のオレにはあれで精一杯だったんだ。それにあのプライドの高い男が捜されることを望んでるとも思えなかった。
エイトとヤンガスがいてくれたら、もう少しどうにかなっただろうに、個室なんて取ったせいで仲裁してくれる人間もないまま言い合いになり、ひどいことも言ってゼシカを泣かせてしまったりもした。
はっきり言って、泣きたいのはオレの方だ。
だけどそれでもゼシカは一度決めたことを譲ろうとはしてくれないんで、オレはつい余計なことを言い、それが自分の首を締めることになった。
『ひとの兄貴の心配してるヒマがあったら、勘当された婚約者の心配でもしてやれよ』
ゼシカが、あのラグサットとやらを相手にしてないのはわかってた。だけど周囲では、婚約解消されたって認識は浸透してないようだから『お前にだってハッキリさせずに状況に流されてる部分があるだろ』って、つい言っちまったんだ。
そういうことを言えば、ゼシカがどういう行動に出るかなんて、予想はついたはずなのに。


241:『わかってない』前編2/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:49:16 dx0ch63W0
「なあゼシカ、頼むからもう戻ろうぜ。まずいって、これ。こんなところで死んだら、誰にも気づいてもらえないぞ。そうしたら誰がラプソーンを倒すんだよ」
「何で死ぬって決めつけてんのよ。こんな所の魔物たちに負けるようで、暗黒神なんかに勝てるわけないじゃない。そんなに帰りたいなら、勝手に一人でどうぞ」
目標まで一直線モードに入ったゼシカにホテルから連れ出され、サザンビークまでのルーラ係にされ、真夜中だっていうのに武装した状態で大臣宅に上がり込むなんて、暴挙に突き合わされてしまってる。
精神的にちょっと参ってたオレはその間ほとんど言いなりで、いかにも怪しく光ってる鏡から異世界らしい所に迷い込むまで、ゼシカを止める気力もなかった。
だけど、もうそんなこと言ってる場合じゃない。この迷宮にいる魔物の大半がトロルとかサイクロプスとかの力押しタイプで、本来後衛タイプのオレやゼシカにとっては、ヤバい相手だ。装備もショボイから、一撃くらうだけでも結構な大ダメージになる。
なのにこっちの魔法もかなり効くもんだから、ゼシカはすっかり強気で、全く引こうとしない。力ずくで連れ帰ろうかとも思ったが、そんな風に揉めてるところを魔物に襲われる方が危険が大きい。こんな時、リレミトを使えない自分が憎いぜ。
「屋敷の住人はここに紛れ込んだのかもしれないって言ったの、ククールじゃない。見つけるまでは戻らないわよ。そうしてキッチリとラグサットと結婚する気は無いって言えばいいんでしょう? それならククールも文句はないのよね?」
「だから、オレは文句なんか初めからないって。どうでもいいだろ、そんなこと」
「どうでもいいって何よ!? 自分から言い出したくせに!」
「怒鳴るなよ、魔物が寄ってくるだろ」
こうしてる間にも、ゼシカはズンズン前に進んでいく。なんでこんなに猪突猛進なんだろう。止められないオレが情けないだけなのかもしれないけど。
そもそも、何でゼシカがこんなに怒ってんのかも実は今一つわからない。
感情が全部顔に出るから、何を思ってるのかは大体わかるけど、そうなる原因がわかりにくいから、余計にとまどうことになる。
こんな迷宮よりも、よっぽど惑わされるぜ。

242:『わかってない』前編3/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:51:03 dx0ch63W0
ああ、でもこれは本当にマズい。
予測通り、大臣一家は迷宮の奥でボストロールに捕まって調理されようとしていた。
ボストロール二匹ぐらい、普通の状態だったら問題なく倒せる。だけど、もうオレはほとんどMPが残ってない。回復呪文なしで戦うのは無謀すぎる。
なのにゼシカはすっかりやる気でいる。状況がわかってないんだろう。
「まさか、このボストロールの食事をジャマしにきたとでもいうのか?」
「当たり前でしょう。私たちが来たからには、人間をエサにするようなマネ、絶対にさせないんだから!」
ゼシカ、頼むから挑発しないでくれ。ここは一旦引き上げて、エイトとヤンガスを連れて戻ってくるべきだ。大臣たちには悪いが、勝てそうにない勝負をして一緒に死んでやるつもりはない。
「だが、ボストロール的には、強いヤツとは絶対に剣を交えたくないのだよ。おぬらは見たところ強そうだ。どうかこの場は見逃してくれんか?」
それに対して、ゼシカは威勢良く反論しようとしてる。
レディに対してこのやり方は乱暴だが仕方ない。後ろからゼシカを押さえ付けて口を塞ぐ。後で仕返しされるのも覚悟の上だ。こんな所で死なせるよりはマシだ。
「いいぜ。魔物にだって食事を楽しむ権利くらいはあるだろうしな。そこまで言うなら、見逃してやってもいい」
ゼシカが腕の中で暴れまくってるけど、力を緩めてやるわけにはいかない。
せっかく向こうが下手に出てくれてるんだ。ありがたく勘違いしてもらったまま退散させてもらおう。うまく鍋の湯を引っ繰り返せれば、大臣たちが食われるまでの時間稼ぎも出来るだろう。
エイトとヤンガスが装備を整え、オレもMPを回復させて、またここまで戻ってくるのに早くて二時間ってとこか。もしかして一番てこずるのはゼシカを説き伏せてリレミト唱えさせることかもしれないな。
「そうか見逃してくれるか。ありがたやありがたや。お礼におぬらを回復してやろう」
この後の展開をいろいろ考えてたのに、ボストロールは親切にもオレたちの体力とMPを回復させてくれた。
「これで気がすんだだろう。そうそうに立ち去ってくれい」
・・・MPさえ回復すれば話は別だ。さっき宝箱の中で見つけた剣の切れ味、こいつで確かめさせてもらうとするか。


243:『わかってない』後編1/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:55:00 dx0ch63W0
「だがボストロール的には・・・。いい夢見させてもらったぜ!」
幸せそうな顔でボストロールは崩れ落ちた。
「変な奴だったな。オレたちのことは回復しといて、何で自分は一度も回復しなかったんだろうな。単にバカなだけか」
尤もなツッコミを入れながら、ククールは剣を鞘に収めた。
「あんたって、サイテー」
思わず悪態が口から飛び出す。
「なーにが『魔物にも食事を楽しむ権利がある』よ。そんなこと白々しいこと言って逃げようとしたくせに、回復してもらった途端、何事も無かったように退治するなんて信じられない。『恩を仇で返した』って怒られて当たり前よ」
「何言ってんだよ。勝てそうにない勝負を避けて通るのは当然だろ。そして勝てる勝負はキッチリ勝つのが当たり前。人間をエサにしてる奴なんて、見逃せるわけねえだろ」
「MPが無かったんなら言ってくれれば良かったのに、あんな乱暴なことするなんてひどいじゃない。窒息するかと思ったわよ」
「そのことは悪かったよ。だけど敵の真ん前で『MPが無い』なんて言うバカいるかよ。そんなに茹で魔法使いになりたかったのか?」
ククールはボストロールの落とした鍵で牢を開けて、大臣一家を出してやってる。
一緒にリレミトしてあげようと思ってたのに、大臣たちは自分たちだけでサッサと走っていってしまった。
あれ? そういえば私、大臣に話があって来たのよね。
「ゼシカ、いいのか? 大臣たち行っちまったぞ。言いたいことがあったんだろ?」
「・・・忘れてたー!!」
「忘れんなよ!」
この場合のククールのツッコミも、尤もだと思う。

「私、ラグサットとは結婚するつもりなんてありませんから! もうフィアンセでも何でもないってことで、いいですね!?」
無事屋敷に戻っていた大臣は、魔物に食べられそうになったショックから抜け切れてないのか、あんまりピンときてないみたい。
「ゼシカ・・・。おお! そなた、アルバート家のゼシカさんだったのか」
「おい! 息子のフィアンセの顔も知らなかったのかよ!?」
今日のククールは、ツッコミに忙しいわね。
「それは残念だが、そなたがそう言うのなら仕方ない。ラグサットもどこでどうしているかもわからんしの。それではこの婚約は無かったということで」
これで話は終わり。どうせこの婚約なんて、その程度のものだったのよ。


244:『わかってない』後編2/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:56:43 dx0ch63W0
外に出ると、もう空が白んでいた。こうやって普通に朝は来るのに、私たちの目の届かないところで世界は着々と滅びの道を歩んでるのかもしれない。
それを止める手立てはラプソーンを倒すことだけ。だからこそ、絶対負けられない戦いに向かうためには、気持ちの整理を着けなきゃいけないこともあると思う。
「どう? これで文句ないでしょう?」
「ああ、はいはい。文句なんてとんでもない。そんなもん、初めからありませんよ」
・・・そんなもん? 初めからない?
「・・・なかったの? 文句」
「そう、文句なんてなかった。っていうか、どうでも良かった。話逸らそうとして、言い掛かりつけただけだ。オレが悪かったから、もう勘弁してくれ」
何だろう、この何とも言えない苛立ちは。
「本当に、どうでも良かったの?」
「何でそんなに絡むんだよ。文句あった方が良かったのか?」
「そうじゃないけど・・・何かモヤモヤするのよ」
だって、ククールにラグサットの名前出された時、すごく腹立ったんだもの。『あんたに関係ないでしょう!』って怒鳴ってやりたくなった。
だけど『どうでも良かった』って言われる方が何倍も腹立つのはどうしてなのかしら。

「ごめんなさい、ククール。もうマルチェロのことは言わないわ、私が間違ってた。ククールは私とは違うんだものね」
ベルガラックまで戻り、ホテルへ戻る道の途中で、ククールに謝っておいた。
私がククールの立場だったら、マルチェロのことを心に残したままで、戦いに集中することなんてきっと出来ない。それが原因でククールに大ケガしたりしてほしくなかった。だからマルチェロを捜そうとしつこく勧めたけど、本当によけいなお世話だったみたい。
鏡の中の迷宮でも、私はすっかり頭に血が昇ってたのに、ククールは全然冷静さを失ってなかったもの。
私が心配なんかしなくても、ククールはちゃんと気持ちの切り替えが出来る、しっかりした人なんだ。
なんて思ったのよ。なのに・・・。
「そういうこと。オレはゼシカと違って、あんなマルチェロなんかの心配してやれるほど優しくねぇんだよ。だけどあいつだってガキじゃねえんだから、自分の面倒くらい自分で見るさ。もうあんまり気にすんなよ」
・・・何なの、ほんとに。


245:『わかってない』後編3/3 ◆JbyYzEg8Is
06/03/16 03:59:30 dx0ch63W0
「・・・バカ!!!」
もう他に何も言う言葉が浮かばない。
何で私が、あのマルチェロの心配なんかしなくちゃいけないのよ!
心配されてるのは自分だってこと、頭の片隅にも浮かばないわけ?
「あんたってどうしてそう、人の気持ちがわからないの? ああもう! この苛立ちを何て表現したらいいのかわからないわ!」
「わかんねぇのはこっちだよ。何でいきなり怒ってんだよ。オレ今『優しい』って褒めただろ? それで怒られてたんじゃ割にあわねえよ」
普段は信じられないほど頭も勘も良くて、全部わかってるような顔して人の気持ち見透かすくせに、こういう根本的なことになると全然何もわかってない。
ククールはまだ私が怒る理由がわからないらしく、途方に暮れた顔してる。
そして私はそんな姿を見てると、不思議と怒る気持ちが薄れていってしまう。
「ごめんね」
もう一回謝っておく。わかってるわよ、私が一方的に勝手なこと言って迷惑かけたってことくらい。
ククールはちょっと肩をすくめて、しょうがないって感じになる。
「もういいから、早いとこ戻って休もうぜ。さすがにちょっとばかり疲れた。出来ればバーで一杯引っかけてから寝たいんだけど、付き合ってくれるか?」
「・・・一杯だけよ」
一応お詫びのつもりで了承すると、ククールはちょっと驚いたような、意外そうな顔をした。
「・・・ほんとに?」
「自分で誘っておいて何よ。私だってたまには飲みたい時もあるの。一つ言っておくけどね、ククールって自分で思ってる程には私のことわかってくれてないからね。それだけは覚えておいてよ」
「そういうこと言うってことは、ゼシカも自分で思ってるほどにはオレの事わかってないな。オレはゼシカのこと理解できてるなんて思ったこと一度もないぜ。何やらかすか予測もつかないおかげで、スリルに満ちた毎日を送らせてもらってる。これはこれで楽しいけどな」
どうしてククールってこうなの?
強がって平気なフリばっかりして、わがままに付き合わせた私が気に病まないように、わざと意地悪な言い方をする。
やっぱりダメだわ。せめて私ぐらいは心配していてあげないと、この人どうなっちゃうかわからない。
その辺り、全然わかってくれてないみたいだけど仕方ないわ。
どうしても気になっちゃって、自分でもどうにもならないんだものね。
   <終>

246:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 04:05:09 TjFpDKd0O
リアルタイムで読ませていただきました!!
GJ~!!!

247:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 09:44:20 rc7r4LHz0
GJ!

248:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 09:58:27 j4Xwy1pR0
Jbyさんのククってほんとイイ奴ですよね。
顔なんか良くなくたって、このククなら性格だけで絶対モテルと思う。
しかもゼシカの断り方も男前ですよ。
それとJbyさんのお話はこれが最後だと思って、しっかり噛み締めました。カミカミ。
それでは、本当に、お疲れ様でした。ありがとう。

249:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 10:42:12 w6BcYbuMO
まとめサイトさん一周年おめでとう!お疲れ様です。
Jbyさんもお疲れ様。最後と言わずにまた思い付いたら
短編でも投下してって下さいよ。

ところで丸のあれって自分の意思だったのかな?
解釈って人それぞれですね。スレ違いスマソ。

250:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 14:53:52 rc7r4LHz0
とりあえず保守しておきますね。

251:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 15:09:58 bImLzOQ5O
hosyu

252:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 19:33:59 GR6S3VKNO
そろそろ圧縮…保守

253:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/16 21:39:54 VQBskocj0
そういや、ゼシカはわかるが、ククはなんであんなに強かったんだっけ……。

254:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 00:34:01 VKKrNHt/0
保守


255:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 04:05:43 PJgYecy30
感想くださった方、どうもありがとう。
しかし、想像してた以上に乱立すごいみたいですね。12時間もたずに落ちたスレもあるみたい。
それでは私も、ひとまず名無しに戻って。

【保守】

256:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 04:18:14 iJ5fGmiH0
大丈夫だと思うけど保守。
それにしても乱立すごい。

257:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 07:27:52 JswAMBhr0
数時間でスレが落ちるのか…スゴス


258:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 11:31:46 b6kUC27d0
まだやってたんか

259:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 15:42:57 IJtHDKAxO
>>253
何が強いんだ?

260:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 16:34:11 wfMrt40t0
>>240-245
遅ればせながらGJです!!
>>54書いたの私なんですけど、まさか覚えていてくださったとは!!
何気なくいっただけなのにここまでラブラブな話を作ってくれるなんてもう感激ですよ!
ゼシカ、確かに世話焼きっぽい性格が災いして
大きなお世話もいっぱい焼いてそうかもw
文句言いながらも最後まで付き合うククールもほんとにいいやつだなぁ。

>>253
私も聞きたい。何が?

261:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 16:34:27 VKKrNHt/0
hoshu

262:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 18:52:24 Jqb5zq+QO
戦いの強さのことじゃないの?
ゼシカは強いのの末裔だけど、みたいな
でもそうなるとヤンガスもなんで?ってことになるか

263:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 18:55:58 PJgYecy30
ヤンガスは子供の頃に、不思議なダンジョンで鍛えたからだよ、きっと。

264:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/17 21:32:11 wfMrt40t0
うーん、ククールも一応騎士団員だったし基礎的なことは
団長から叩き込まれていたんじゃないかと。
団長自ら手を出さなくても、いじめという名の特訓があっただろうし、
オディロ院長のお気に入りだったから魔法も教えられてたみたいだし。
強くないとやっていけなかったんじゃないかな。

265:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 00:00:03 KzpInpol0
ところで、いたストポータブルのパッケージがうpされてたけど、
今作もククゼシ参加するみたいですよ。
ククール&ゼシカが一番前に出ててイイ!!
ゼシカも今回は顔がかわいくなってるし、装備も短剣からムチに変わってるし、
ぜひお相手願いたいですなw

さらにマルチェロ兄さんまで参加する模様です。
ネチネチした嫌な兄弟対決が見られそうで楽しみですw

>URLリンク(image.www.rakuten.co.jp)


266:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 00:22:53 zF5LHDuhO
マルチェロなんかどーでもいいよ

267:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 00:41:55 KzpInpol0
あ、ひどい・・・。

268:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 00:50:12 sg06BC8y0
私は団長が出るのも嬉しいぞ。
2人のやりとりにゼシカがそれにちなんだコメントをしてくれたら嬉しい。
しっかし団長の目つきがイヤミだな~w

それにしてもなんて美味しいパッケージなんだ。(*´д`*)

269:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 08:08:01 ZqsHQSGx0
保守

270:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 10:10:05 iGwyhHw20
>>267
そんな ひどい・・・。
だともっと良かったw

271:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 14:50:23 u6ddmG8U0

     そんな ひどい……!!

     ̄ ̄∨ ̄ ̄∨ ̄ ̄∨ ̄ ̄
  .   _ _     _     r:v;‐、
  . ,'´,. -、ヽ ;'´;.(Ω)ヽ , ' ⌒.,ヾ.ヽ
   川―゚ー!| i. jii^iii^ji! .〈((゙(ヽヾ.〉!
   |!(|TnTノl_ノ (!TnTノ、 i、TnT)シi |
   と)|ト-チiつ⊂{i゙ー)i}つとRヾと)_i_!
   ソリ゙/iヾi!~^</~i゚~ヾ>  .ハ:ハ.:ハ
   んレ';_!_リゝ .//.ハヾゝ  i|.|_|._|」
  .       `~^~~^´

272:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 18:04:48 1XVUY4gu0
ひどいどいどい土井たか子

273:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 22:13:45 E3HjRdUc0
>>270
うん。送信してから気づいたんだけどね。遅かったみたい。
ところで、なんかまたククールのスレができてたよ。

ククールの美貌にやられた輩→
スレリンク(ff板)l50

ぬるぽガッスレみたいなスレになってるけどw

274:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/19 10:00:48 wA72h/Ph0


275:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/19 14:54:40 bQbw+ds9O
しゅ

276:1/2
06/03/19 16:03:56 wA72h/Ph0
「えっ・・・?」
その瞬間、ゼシカは重力がなくなったような気がした。でもそうじゃない。足を踏み外したのだ。
体がゆっくりと傾き、がけの底に向かって倒れていく。
あたりを見回してもつかまれそうなものがない。
周りのものがやけにゆっくり動いているように見える。
(ピンチの時って時間がゆっくり流れるって言うけど、これがそうなんだ・・・ってのんびり考えてる場合じゃないわね)
つかまるものはないと分かっていても一縷の望みを託して地面の方へ手を伸ばすと強い力でグイと引っ張られた。
ククールだ。
「おい、大丈夫か!」
私より前を歩いてたはずなのに、よく私が落ちそうになってるのに気づいたわね。
しかもとっさに私の方に手を伸ばしてよく間に合ったもんだわ。さすがマルチェロに一度手を振り払われた後
また掴みなおせるすばやさを持った男だわ。あの時はどうしてマルチェロが落ちなかったのか、正直不思議だったもの。
「あ、ありがと・・・。もう大丈夫よ。」
自分の声がかすれている。急に心臓がバクバクしてきた。
冷静なつもりだったけど、思ったより焦ってたってことね。お礼を言ったきり何も言えないし、何も考えられない。


277:2/2
06/03/19 16:04:57 wA72h/Ph0
「えっと・・・、ごめんなさい、ボーとしてたのかしら・・・。これからは気をつけるわ。」
「気にすんなって。ゼシカだけの責任じゃねーよ。さっき街で聞いた所によるとFF12号が通過中らしいからな。
危険なのは分かってたけど、だからって俺たちの旅は止められないだろう?みんなで気をつけて行くしかないんだよ。
それに誰かが気づいて保守してくれさえすれば落ちねーし。だから、さっきも言ったけど
落ちそうになったとしてもゼシカだけの責任じゃないから気にすんな。」
「・・・?保守?」
「ああ。誰にも保守されないと日の当たらない世界へと落ちて、二度と復活できなくなるらしい。すでにマルチェロの奴も
落ちたって話だぜ。まあ、あいつの事だから落ち着いた頃に戻ってくるだろうけどな。」
「怖いわね・・・。って、どうしてマルチェロの事が分かったの?二度と復活できないのに戻って来れるってどういうこと??」
「FF12号はもう2~3日で落ち着くんじゃないかって言われてるけど、まだまだ油断はできないぜ。でも安心しな、ハニー。
君を守る騎士になるって言っただろ?君を守るってことはこのスレも守るって事なんだよ。だからこのオレに任せてくれ!」
「はいはい、ありがとうございますー・・・ってスレって何よ?さっきから会話が成り立ってるようで成り立ってないわね。」
「という訳だから、落ち着くまでの間、保守がんばろうぜ!」
「だから保守ってなんなのよーーー!!」
「大丈夫でがす、ゼシカのねーちゃん。あっしにもククールの言ってる意味は分かんねーでがすよ。ねーちゃんだけじゃないでがす。」

278:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/19 17:28:28 vz+uanoc0
新職人さん誕生かと思ってwktkしながら読んでたのに、どうしてくれるんだー!!
でも面白かったw
こういうタイムリーなネタっていいよね。

279:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/19 21:46:29 XOk2V2350
キャラ雑談ネタだな。

280:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/19 23:58:32 ayh2/FHG0
>>279
あたりです。

281:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/20 13:28:00 ky9elr1C0
「ん?何かしら、この匂い」
「え?何か匂うか?」
「香水の匂い?かしら?」
「(やべっ。酒場でバニーちゃんにもたれ掛かられたんだった)さ、さあ、知らないな」
「…やっぱり香水の匂いね。他所の香りを身につけて私の前に立つなんていい度胸しているじゃない?」
「お、おい落ち着けよ。何か紫色に光ってる?!」
「さあ選ぶのよ。マダンテと双竜打ち、どっちがいい?」
「どっちも嫌ぎゃあぁぁぁぁぁーっ!」

282:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/20 16:41:39 wbvUSYTf0
いたすと表紙今みたよ。
ククもゼシカもかわいい。
ククの年齢がだいぶ下がってみえるところがやや気なるけどな。


283:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/20 19:35:42 UZMOg0VD0
俺も表紙見たぞ。
よく見てみたらゼシカもククールも触覚2本出てるんだなww

284:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/20 22:09:40 8V5gs0ki0
きっとあの触角からテレパシー発して愛を語り合ってるんだよ

285:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 01:21:46 8RK6omBP0
ぬるぽ

286:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 02:46:34 G+cr9Fib0
いまどきぬるぽなんて久々に見た

287:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 08:58:12 HnEztvBY0
ククールとゼシカがくっつくなんてありえないのに必死だなお前らw

288:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 15:32:33 V5B4SQ2B0
否定的なこと書く人間が一番保守に貢献してるあたり
このスレも末期だな
落ちてもいいんじゃねーのW

289:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 22:48:56 8KfVHq/K0
>>287
ファンスレとはそういうものだ。
嫌なのにわざわざ来る神経が不可解。


290:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 22:51:49 NGtRYwXS0

   ,.〃彡ミヽ
  〈((((/(~!》   だからな >>1くらい読もうな……
   ヾ巛.-_-ノ"|\
.   /~"i!づ!}つ  )
  ん、_」"Y!i |/       .      i\j
    i†=|=|!                 | ∧_∧
     |ー |-|             と⌒⌒つ."Д")つ>>289
      ̄  ̄

291:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/21 22:54:32 1XP7rLVz0
そうだぞ、>>289

292:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/22 20:40:04 MgQ+al9f0
保守


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