FFの恋する小説スレPart5at FF
FFの恋する小説スレPart5 - 暇つぶし2ch500:DC後 【38】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/19 01:38:09 8EV2z4100
子ども達も眠ったようで、家の中はさっきまでの賑やかさが嘘のように、しんとしている。
(つい昨日まで、星と…私たちの生存をかけた戦いだったのに…)
激しい戦いと、暖かい団欒とを一度に体験したせいだろうか、
「私も…疲れました…」
誰に言うでもなく、そう呟くと、シェルクはベッドに横になった。
地下に連れ去られてから、眠る場所と言えばずっと無骨なパイプベッドに固いマットレスだった。
いや、ベッドで眠れればいい方で、一晩中カプセルの中だったり、
手術室でたくさんの機械に繋がれて何日も過ごしたり…
それが今や“お姫さまみたい”なベッドの上だ。
お陽様の匂いのする洗い立てのスーツに柔らかい毛布…
それだけでも充分なのだが、やはり気持ちが華やぐ。
ふと動かした視線の先に、例の段ボールがあった。
(明日こそ…ティファに聞こう…)
今度は窓の外を見る。
(彼は…いつ戻るのかし…ら…)
彼が戻ったら、何から話そう?やはり、最後に交わしたあの約束だろうか。
そこからすとん、と意識が途切れ、シェルクに10年ぶりの穏やな眠りが訪れた。

501:DC後 【39】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/19 01:40:18 8EV2z4100
とても長く眠っていた様な気がする。
誰かが呼んでいて、それで目を覚ました。
「シェルク、朝ご飯なくなっちゃうよ!」
マリンとデンゼルが顔を覗き込んでいる。
「シェルクはお寝坊さんね。みんなお腹を空かせて待ってるわよ。」
マリンのおしゃまな言い方にシェルクも釣られて笑う。
いや、笑おうとしたが出来ない。
ありがとう、すぐに起きます…そう言おうとしたが、唇が動かない。
起き上がろうとしても、身体に力が入らない。
「…?どうしたの?」
子ども達の笑顔が曇る。
(そんな顔、もうさせたくないのに…)
ちゃんと起きて、心配しないでと言ってあげたい。
なのに、身体の感覚がなくなり、手足がなくなってしまったかのようだ。
舌も痺れてしまって、思う様に動かせない。
「…め…うご…け…ない…」
もつれる舌で、それだけ言うのがやっとだった。
「…ィ…ファを……んで…」
二人は転がる様にして部屋を飛び出すと、大声でティファを呼んだ。
(いつか来ると思ってましたが…こんなに早く来るとは…)
耳はまだ大丈夫なようで、誰かが急いで階段を駆け上がって来る音が聞こえた。
でも、舌はもつれ、顎を動かす事すら出来ない。
これでは話も出来ない。
(…話したい事が…たくさん…あるのに…)

つづく。

502:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/19 15:08:55 yfP5NoRHO
イイヨイイヨー
続きが気になる!

503:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/19 16:35:56 KFAONQ/30
GJ!!
続きはやくみたい~~!!

504: ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/19 23:46:32 8EV2z4100
>>502>>503
ありがとうございます。また週末に参りますねノシ

チラシの裏ですが、クラウドってあまり女心が分からないと言いましょうか、
プレゼントなんか、さんざん外してきたのではないかと思っています。
(ラウディウルフのリングは除きます。)
「そんなことないやいヽ(`Д´)ノ」と思われてる方は
イメージ壊しちゃってごめんなさい。




505:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/20 13:33:54 rYDbZGXkO
保守

506:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/21 11:03:34 g8LEcWoGO
保守

507:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/22 11:18:49 6S+u1Tyq0
保全

508:DC後 【40】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:31:12 iCTtZy6p0
お断り】魔晄エネルギーに関する記述は投稿人の独自の解釈です。間違ってたらごめんなさいよ。

>>348-354 >>360-362 >>416-420 >>427-432 >>441-442 >>459-461 >>464-470>>496-501の続きです。

「ティファ!シェルクが大変なの!」
ベッドの側でマリンがティファに叫ぶ。
「身体が動かないって…うまく喋れないみたいなの。」
ベッドでいっぱいになった部屋の隙間を通って、
ティファはシェルクのベッドの側で屈み、顔を覗き込んだ。
青ざめ、泣き出しそうな顔でティファを見上げている。
唇が震えていて、上手く動かせないのが分かる。
「ユフィ!そこの箱の中のカプセルを取って!」
その瞬間、シェルクが眉を顰めた。
部屋に入りきれないで入り口で様子を伺っていたユフィは
すぐに箱の中からカプセルを取り出し、ベッドの上を通ってティファに手渡す。
それを受け取ったティファは、シェルクの毛布を剥いで、
空になったカプセルを外そうとする。
「ティファ。」
その様子を見ていたマリンがティファの腕に手を置く。
「シェルク…それを付けるの、嫌みたい。」
「え…?」
ティファは思わず手を止め、マリンを見て、そして改めてシェルクを見た。
「そうなの?」
頭が微かに動いた。


509:DC後 【41】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:32:40 iCTtZy6p0
ティファは一瞬悩んだ。が、それでも空になったカプセルを外して新しいのに付け替えた。
「分かるわ、シェルク…でも今は…私に時間をちょうだい。それに…」
シェルクの額に優しく手を置く。
「どのみち、カプセルはこれが最後なの。」
シェルクが目で頷いた。
「頑張れる?」
唇の端が少し上がって、笑っているように見えた。
ティファはシェルクの髪をくしゃくしゃと撫でてから、立ち上がり、
「ユフィ、マリン、デンゼルはまずはこのベッドを壁際に寄せて。
ナナキ、クラウドにメールしてくれる?文面は……」
一同はすぐに動き出した。
ティファは箱の底から、もう一つの箱を取り出した。
昨日からシェルクが聞き損ねていた、あの箱だ。
それは、大きな段ボールのほとんどのスペースを占めていた。
ベッドを移動させて出来たスペースに、ティファはその中身を取り出し、広げる。
細いパイプのような物、点滴のパック…
カプセルを付け替えたお陰で、少し頭を動かせる様になったシェルクは、
ベッドの上からそれを眺めていた。
ティファが細いパイプを組み立てると、それは点滴のスタンドになった。
「ユフィ!脈を見て…デンゼル!地下室にプラスティックのブルーの箱があるの。
それを持ってきてちょうだい。マリンは水差しにお水を汲んで来て。」
ユフィはベッドの側にしゃがむと、シェルクの手を取った。
棒の様に細い腕、手は冷たくなっていて、その痛々しさにユフィは唇を噛んだ。
「ティファ、体温も下がってるよ。」
「ナナキ、体温計も!場所はマリンに聞いて。」
「分かった。」
目の前にあるユフィの顔があまりにも辛そうで、シェルクは溜まらない気持ちになる。
「すみ…ません…」
「ばか!謝ってなんかいらないって!脈も上がって来てんだ。心配いらないよ。」
「それ…は…これの…お陰です…」
シェルクの視線の先にはさっき付け替えたカプセルがあった。

510:DC後 【42】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:35:00 iCTtZy6p0
シェルクはティファの瞳を見つめ返す。
「それはね、私が看護のプロだからよ。」
確かに、シェルクの容態を見ての対応や家族への指示の出し方、
挙げ句の果てには点滴までやってのけたのだ。
「そぉー言えばそうだっけ。」
横でユフィが素っ頓狂な声を上げる。
「クラウドなんてさ、ティファが居なけりゃ未だに廃人だもんなぁ。
シェルク、安心してティファに任せなよ。」
「ユフィ。クラウドが未だに廃人だったら、この星はとっくになくなってたわよ。」
ティファは手を止めず、シェルクの髪を撫で続けてやる。
「クラウドもね…重度の魔晄中毒だったの。他にも色んな…本当に色んな事が重なって…
歩けないし、意識もハッキリしなくって、ひどい状態だったわ。私も、もうダメって何度も
諦めかけたけど、今では元気に子ども達のパパ代わりで、配達屋さんよ。」
ティファの最後の言葉が、シェルクは笑ってしまう。
ぶっきらぼうなあんた呼ばわりのクラウドが、子ども達のパパ代わり…
そして、ティファの言葉通りなら、ひょっとしたら自分も
再び起き上げれる時が来るかもしれないと思える。
「ティファ…」
「なぁに?」
「どうして…みんな私に親切にしてくれるんですか…?私…敵だったのに…
ヴィンセントやWROを手伝ったのも…成り行きで…」


511:DC後 【43】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:38:19 iCTtZy6p0
「私たちだって、成り行きみたいなものよ。そうね…確かに最初は星を救うためだ!
って強く思ってたし、その気持ちに嘘はないわ。」
「ヴィンセントが言ってました。『私の周りには理屈抜きで飛び出して、
誰かを助けるお人好しばかりだ。』と。これはあなた達の事ですか?」
その言葉にユフィは大憤慨だ。
「な…なんだよ!自分だって、相当お人好しのくせしてさっ!」
ユフィの様子がおかしくて、ティファはくすくすと笑った。
「彼にそう言われるなんて光栄ね。でも…ずっと星のためだと思って戦ってきたけど、
本当は自分のためだって分かったの。大切な人といつまでも一緒に居たいって…
大切な人と…会えなくなるのは嫌…失いたくない…」
ふと、ティファは言葉を切った。ユフィも、ナナキも顔を伏せてしまう。
「上手く言えないわ。でも…私はあなたに元気になって欲しいの。それだけ。」
ティファは明るく言うと、血圧計に目を移した。
「ねぇ、ティファ。」
ナナキが口を開く。
「さっきクラウドの話で思ったんだけど、魔晄エネルギーを浴びるのって、
オイラ達が封印した“古の薬”に似ているんだ。」
「なに、それ?」
ユフィが尋ねる。
「昔、戦いの前に戦士が飲む特別な薬なんだ。それを飲むと魔力も体力も強くなるんだ。
だけど、飲み過ぎたり、飲み続けると…クラウドみたいになっちゃう。
聞きかじっただけだけど、シェルクの力は他のソルジャーと違って、
とても集中力が必要なんじゃないかな?それと、10歳の女の子がずっと地下で
色んな実験をされて来たんでしょ?とても怖かったと思うんだ。」
宝条に捕まって実験動物扱いを受けた時、強がってはいたが、
本当はとても怖かったとナナキは言う。
「だから、能力を高めるのと、ストレス緩和の両方を
魔晄エネルギーに依存してたんじゃないかな?」
「麻薬みたいなものね…」
溜め息まじりにティファが呟く。

512:DC後 【44】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:41:04 iCTtZy6p0
「でもさ!ってことは、もう怖くないんだし、すぐに良くなるよ。」
「…だと…いいのですが…」
楽観的なユフィの言葉にシェルクは苦笑いしつつも、
「…私も…最初は思っていました…いつかこの服を脱ぎたい…魔晄に頼らず…」
自由に。そう言いかけた途端、シェルクの身体が大きく痙攣した。
「シェルク…?シェルク!」
「ユフィ!押さえて!」
ガクガクと身体をのけ反らせるシェルクを、ユフィが覆い被さって押さえる。
ティファは箱の中から銀色のケースを取り出し、中の注射器を手に取ると、
一緒に入っていたアンプルから薬を吸い取る。
動かない様に腕を押さえて消毒すると、注射をする。
暫くして痙攣は収まったが、シェルクはそのまま昏睡状態に陥った。

つづく。

※チラシの裏です。
ソルジャーになるのに魔晄を浴びるのは、身体を作り替えると同時に、
精神力と言いましょうか、集中力を高めるのではないかと自分なりに解釈しました。
間違っていたらごめんなさいよ。


513: ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:50:50 iCTtZy6p0
>>509 DC後 【41】 と
>>510 DC後 【42】 の間が抜けてました。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

ライフストリームの渦に落ちて逝って参ります…o)))rt

以下、抜けてた分です。

514:DC後 【41.5】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 15:51:24 iCTtZy6p0
「また…話せなく…なる…から…」
ティファは3つの点滴パックをバイパスで繋ぐと、箱の中にあったアルコールを
ガーゼに含ませ、シェルクの左腕の肘の裏側をそれで拭いた。
親指で軽く押して、血管を探すが見つからない。
(落ち着いて…)
少し場所を変えても見つからず、手の甲でやっと細い細い血管を捕らえた。
「シェルク、少し痛いわよ。」
そして、躊躇いなくシェルクの手の甲に針を差し入れた。
傷みに、シェルクが小さく呻く。
「ティファ!」
デンゼルが運んで来た箱を持って来る。
「ありがとう。そこに置いておいて…」
デンゼルは頷くと、心配そうにシェルクを見つめる。
それに気付いたシェルクが、微かに微笑むと、デンゼルは何故か顔を赤くした。
マリンは持って来た水差しをベッドサイドテーブルに置くと、
デンゼルの手を引いて部屋を出て行った。
ティファはナナキから体温計を受け取ると、目盛りを確かめてから
胸元のファスナーを少し下ろして、腋に挟む。
「ティファ…聞いて…下さい…」
「なぁに?」
デンゼルの持って来た箱から血圧計を取り出すと、それを腕に巻きながら答える。
「もともと…カプセルだけでは…足りないのです。」
ティファは血圧計のスィッチを入れると、ユフィの傍らに屈みこんだ。
「どういうこと?」
「私は…他のディープグランウンドソルジャー達と違って、とてもひ弱に出来ています。
魔晄エネルギーも…毎日…全身に浴びなくては身体が保たないのです…」
「それは初めて聞いたけど…あなたが“ひ弱”だとは思わないわ。」
「そぉーだよ!リーブのおっちゃんが頼むくらいだもん。弱かなんかないよ!」
ティファがシェルクの頭を撫でながらは優しく諭すと、ユフィも同調する。
「でも…私…」
「シェルク、あなたが聞きたがっていたこと、答えてあげるわね。
 リーブがあなたが滞在するのに家が最適だって言ってた理由。」

515:DC後 【45】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 23:00:15 iCTtZy6p0
【お断り】看病の仕方やなんかは、投稿人の適当な知識です。まちがってたら、ごめんなさいよ。

夜になっても、シェルクは目を覚まさなかった。
ティファとユフィは交代で側についていたが、
血圧や脈を測る以外にはただ見守る事しか出来なかった。
「ユフィ…私、食事の支度してくるわね。」
ユフィは椅子に反対向きに、背もたれを抱える様にして座っている。
「うん、分かった。」
ティファは入れ違いに、マリンが入って来た。
「シェルクは目を覚ました?」
「まだだよ。」
マリンはさっきまでティファが腰掛けていた椅子に
よいしょ、と座ると、持っていた絵本を開いた。
「シェルク、眠ったままでしょ?ご本を読んであげようと思って。」
「あ~…その話なら今のシェルクにはぴったりかもね。」
マリンは声を上げて、その本を読み始めた。
魔女の呪いで100年間眠り続けたお姫様の話だ。
意識がなくなってからずっと、点滴のお陰で血圧は安定している。
身体の力が抜けてしまうので呼吸が浅くなるから…と酸素マスクもされている。
もう必要ないだろうと、ディープグラウンドソルジャーの服も
ティファが用意したパジャマに着替えさせられている。
「あとは…シェルクの気力次第だと思うの。」
ティファはそう言っていた。
マリンが語る物語を聞くともなしに聞いていたユフィだったが、
(もし、シェルクがこのまま眠り続けて目を覚まさなかったら…)
ユフィは慌てて頭を振り、血圧計に目をやる。
その数字を見て、一気に血の気が引いた。

516:DC後 【46】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 23:00:59 iCTtZy6p0
「大変だ…!」
慌てて脈を取る。今にも途切れそうだ。
「ティファ!!…マリン、ティファを呼んで来て!」
マリンは椅子から滑り降りると、急いでティファを呼びに走る。
ティファが部屋に飛び込むと、ユフィが必死で心臓マッサージをしている。
「ティファ!血圧が…脈も弱ってるの…」
ティファは箱の中からまた注射器を取り出す。
「強心剤よ。効いてくれるといいけど…」
「効くよ!」
即座にユフィが叫ぶ。ティファは驚いてユフィを見る。
「そうね…ごめんなさい。」
ティファは心臓マッサージを続けるユフィの傍に屈むと、
シェルクの細い腕に注射をする。
子ども達とナナキが心配そうにドアの外から様子を伺っている。
「あ、クラウドだ。」
店の外で聞き覚えのあるエンジン音がして、デンゼルが階下に走る。
扉を開けて、また大きな箱を抱えてクラウドが入って来る。
「クラウド!シェルクが…!」
クラウドが箱を抱えたままティファの部屋に入ると、
昨日とはうってかわって、死人の様に青ざめたシェルクが横たわっていた。
「どうした…?」
「クラウド…」
ティファはクラウドの持っていた箱を受け取った。
「良くないの…意識がなくなって…急に呼吸も心拍数も落ちて…」
箱の中を漁りながらティファが答える。
ふと、見た事のない点滴パックを見つけ、取り出す。
「クラウド、これは?」
「神羅ビルの地下にいた研究者達に話を聞いて、
必要な薬も貰って来た。ティファが持っているのがそうだ。」
「ありがとう…これね。」
ティファは早速、薬を点滴に繋ぐ。

517:DC後 【47】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 23:22:45 iCTtZy6p0
「ユフィ、代わろう。」
「クラウドぉ…」
ユフィは涙でぐちゃぐちゃの顔でクラウドを見上げる。
「手ぇ…っ…止めたら、シェルクが死んじゃいそうで…」
「ちゃんと薬を持って来た。大丈夫だ。少し休め。」
クラウドとユフィが代わる。
「ティファ…シェルクがこうなって、どれくらい経つ?」
「朝からよ。」
「シェルクの担当者が呼吸が浅い状態が長くなると良くないから気を付けろと。
脳に酸素が充分行き渡らないと障害が残ったり、手足にも血液が行き渡らなくて、
最悪の場合、切断しなくてはいけない場合もあるそうだ。」
「そんな…」
二人の会話を聞いていたユフィは突然立ち上がると、部屋の外に飛び出した。
そして、台所で何かを物色する物音がし、だだだだ、という
けたたましい足音と共に階段を駆け上って部屋に戻って来た。
手には料理用のオリーブオイルが握られている。
「ユフィ…?」
一体何事かと呆然とする二人に構わず、ユフィはシェルクの足下の毛布を捲る。
「な…何をするの?」
「要するにさ、血行を良くすればいいんでしょ?」
ユフィは手にオイルを垂らして、よく馴染ませるとシェルクの足をごしごしと擦り始めた。
「ウータイ流のマッサージ!目が覚めて、手や足がなくなってたら
シェルクがかわいそうじゃん!」
「ユフィ…」
ティファはユフィの傍に座ると、同じ様にオイルを手に取る。
「私にも、教えてくれる?」

518:DC後 【48】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/22 23:23:18 iCTtZy6p0
子ども達をナナキに任せ、3人は付きっきりで看病を続けた。
クラウドの持って来た薬のお陰で、なんとか持ち直したようだが、
油断すると数値ががくんと下がるのだ。
設備も薬も足りない状態で、心拍数が落ちれば心臓マッサージをし、手足を擦り続けた。
空が白々と明けかけて来ても、シェルクの病状は一向に良くならない。
「WROの施設に運んだ方がいいのかしら…」
クラウドは首を横に振る。
「あそこは…もっとひどい。」
そこが今どういう状態なのか、クラウドの表情を見れば十分だった。
「でも…!リーブに頼んで…なんとかならない?このままじゃ…!」
「ティファ、落ち着いてくれ。」
珍しく取り乱すティファの肩にクラウドは手を置く。
「…ごめんなさい…」
「…見て…」
ずっと手を握っていたユフィが二人を呼ぶ。
「シェルク…何か喋ってる…」
酸素マスクの中の唇が微かに動いている。
「寝言…?夢を見てるのかしら。」
「目…マブタも…ほら!」
睫毛が震えている。
「クラウド!カーテンを開けて!」
ティファが叫ぶ。クラウドはすぐにカーテンを開け放つ。
上りかけの朝日が差し込み、シェルクの顔を照らす。
と、眩しげに眉が寄せられ、睫毛がさっきよりも大きく動いた。
「シェルク!」
ティファとユフィが必死に呼び掛ける。
目蓋が、ゆっくりと開く。
うっすらと開かれた目が、ユフィと、その後ろに立つティファとクラウドを見つめた。
その目が閉じられ、今度はぱっちりと開かれた。頬にも、少しずつ赤みが戻る。
「…良かったぁ…」
ユフィはその場にへたりこむと、すん、と鼻を鳴らした。

519:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/23 01:08:29 WLqn0j8F0
シェルクーー!!
続ききになるなぁw

520: ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/23 01:45:21 SBXo5wMA0
粗忽者のDC後でございます。読んで下さる皆様にご質問。
このままこのペースで書いていたら、【80】くらいまでかかってしまうかと。

1)それでもいいよ。
2)いい加減終われ。

の、どちらがいいですか?
引き延ばし過ぎ、スレ消費し過ぎではないかと気になっております。
ご意見お寄せ下さいませ。

>>519
ありがとうございます。
自分でも早く読んで頂きたくて頑張ってます。
もう少しお待ち下さいませ。


521:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/23 02:04:15 qwbbwwXoO
>>520
それでもいい
スレ消費しすぎ云々は別に気にしなくていいとオモ。書き手あってこその小説スレだし、変に展開を急がず、この調子でマターリ書いたらいいんじゃないか

522:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/23 09:22:52 H0TrvFwKO
>>521と同意見
引き続き期待sage

523: ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/23 20:02:57 SBXo5wMA0
>>521 >>522

ありがとうございます。
一応、話の大筋はあるのですが、投稿人が楽しむあまりエピソードを詰め過ぎて、
スレを独占してるのではないか?他シリーズや、他の職人様が
投稿しにくくなっているのでは?と心配になってしまって。

今回に関してはお言葉に甘えてこのペースで書かせて頂きます。
次回作があれば、その時に考えますね。

また次の週末に参りますノシ そして、他の職人様の光臨もお待ちしてます。

524:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/24 02:08:02 ITA/2Lgu0
>>DC後 ◆BLWP4Wh4Oo
6章終盤、本部施設でシャルアの傍にいたことが描かれているユフィが
(そこにいた時間は長くないかも知れませんが、少なくとも看護に携わっては
いないと思う…という点を根拠に)必死にシェルクを救おうとする描写の中には、
あの時の「奇跡でも起きない限り~」の“奇跡”を意識していたんだろうか? って。
ユフィ視点で読むと、彼女が自分の手で“奇跡”を起こそうとしている姿が
とても印象的でした。
…と言うか、ケット・シー@FF7本編ミディールのセリフが伏線になっいるなんて!!
ケット・シー好きとしては着眼点がすてき過ぎて素直に嬉しいですよw(>>510の2行目)
違ったらスンマセン。

喜びすぎましたw、おとなしく続き待ってます。


それから>>520に関しては自分も(1)で。
書ける時、書きたいときが投下し時。
気にせずどんどん投下汁!!!

525:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(1)
06/04/24 02:27:19 ITA/2Lgu0
前話:>>482-485
舞台:FF7本編開始の約15年前
備考:「ネオ・ミッドガル計画」再開をほのめかす本編(Disc1神羅ビル)
    でのリーブの発言が今作の根拠。
    古代種エアリスが連れ戻された報せを受けての発言である事から、
    同計画が凍結されたのは古代種2名が脱走した時点(本編開始
    15年前=Disc1エルミナ)と推測。この推測が間違っているとおかしな話にw。
追記:都市開発部門に関してはすべて捏造です。
   :ネオ・ミッドガル計画ってそもそも何なのか、未だによく分かってませんwすいません。
   :今回、前説(言い訳)長くてホントすんません。
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 倉庫の隅に捨て置かれていたジョウロを拝借しようとしたが見あたらず、仕方なく
フロアへ戻ってくると、窓辺にたたずむ人影が見えた。その人物は、やれやれと言った
表情でジョウロを傾け水を与えるのと同時に、首まで傾げていた。水と視線が注がれる
先には、1つの小さな鉢植えがあった。
 毎日、毎日。彼女が出社すると決まってこの光景に出会う。始業の2時間以上前には
フロアに着いていたのだが、男はそれよりも前からここにいるらしい。妙な男だなという
のが、彼に対する第一印象だった。何度か声をかけようかとも思ったが、なんだかんだと
いつもタイミングを逃してしまい、そのまま日々が過ぎていった。
 そんなある日。
 この日は朝からどんよりとした曇り空が広がり、まだ始業前で人のいな事もあいまって、
心なしかフロア全体も暗く沈んだように見えた。日中の喧噪が嘘のように静まりかえる
フロアの一角、いつもの場所に彼の姿を見出した。
(また)
 特に何かがあるという訳ではないのだが、実は気になっていた。毎日顔を合わせる彼の
存在そのものももちろんなのだが、彼の行為―鉢植えに水をあげる―というのが、
どうしても腑に落ちない。湿気の多い今日のような日にも、彼は鉢植に水をやり続けている。
(こういう事に口出しするから、お節介だとか言われちゃうんだろうけど)

526:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(2)
06/04/24 02:39:34 ITA/2Lgu0
 彼女は意を決し、男のたたずむ窓際まで歩き出した。彼の背後まで来たところで、
鉢植えをのぞき込む。それが見えた瞬間、彼女は思わず大声をあげた。
「……ちょっと!!」
 言うのとほぼ同時に、水をやる男の手首を掴むと有無を言わさずジョウロを取り
上げた。
「アナタ何やってるの!? それはもともと乾燥地帯に自生する植物なのよ。そんな
物に毎日、それもこんなに水をあげてどうするの。しかもこんな悪天候の日にまで!
無責任に水ばかり与えればいいって物じゃないのよ」
「……は、はい?」
 いきなり背後からジョウロを取り上げられ、あげく説教のような詰問のような言葉を
浴びせられた男は、驚いて後ろを振り返った。彼の目に映ったのは、黒いパンツスーツを
身につけ、スーツと同じように黒くて長い髪を持った細身の女性だった。
 そんな彼女の勢いに押し切られたような形で、男は謝罪の言葉を口にした。
「す、すみません……」
「……あ。ごめんなさい」
 その姿に思わず我に返った彼女も頭を下げる。
(私はいったい何をしてるのかな……)
 自分の取った行動に疑問を抱きながらも、彼女の口は自然と言葉を紡いでいた。
しかしその声に、先ほどまでの厳しさは見られない。
「乾燥地帯に自生する植物は、根、あるいは茎に水分を蓄えておいて降雨の少ない土地に
順応した機能を備えているの。だから頻繁に水を与えなくても良いし、逆に日差しの少ない
場所では生育に適しているとは言えないわ」
 鉢植えを置くなら場所を変えた方が良いのでは? と提案した。元々オフィスは北向きに
作られているので、休憩室や待合所の方が環境は良かった。しかし、あちらには既に立派な
観葉植物達が置かれているので、男の手元にあるような小さな鉢植えに居場所はなかった。
そのことは、どうやら男も認識していたようで。
「……希望としては、できればここに置いておきたいと思うのですが」
 一度、手元の鉢植えに視線を落としてから少し間をおいて再び顔を上げた男は、申し訳
なさそうに言った。その姿を見た彼女の顔に、はじめて小さな笑顔が浮かぶ。
「そうね。きっと、その鉢植えにとってもここが一番よ」
 笑顔のままで彼女は男の言葉に同意を示すと、次にこう尋ねた。

527:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(3)
06/04/24 02:44:46 ITA/2Lgu0
「植物にとって水や日光以上に必要な物があるの。なんだか分かる?」
 男はしばらく鉢植えを見つめて考え込んでいたようだったが、やがて小さく
首を横に振った。
「いいえ……見当も付きません」
「それを得るためには、どうやらこの場所が一番適しているようね。ただ……」
 彼女の言葉を遮ったのは、自身のポケットから聞こえてくるやたらと甲高い
機械音だった。「失礼」と断ってから携帯を取り出してディスプレイをちらりと見た
後、またすぐにそれをポケットにしまう。
「くれぐれも、水はやり過ぎないことね」
 それだけを告げて、彼女は急ぎ足でフロアを後にした。
(……なんや?)
 取り残された男は声に出さず呟くと、彼女の出て行った方をじっと見つめていた。



----------
・うまく繋がるかは今のところ分からないのですが、生暖かい目で見守って頂ければ幸いです。
・ちなみにDC公式コンプリートガイドに掲載されている「38歳」はそれほど考慮してません。
 その点あしからずご了承下さい。

528:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(3)[訂正]
06/04/24 02:49:50 ITA/2Lgu0
コピペミスです。…これじゃ意味が分からないw
>>527最終行訂正
----------
(……なんや?)
 取り残された男は声に出さず呟くと、彼女の出て行った方をじっと見つめていた。
----------



それから524、冷静に考えるとミディールでの発言が伏線なのではなくて、
あの場面でのティファの行動を元にしたお話だということに気づいて
お恥ずかしい限りです。作者さんごめんなさい。
そんな重度の(FF7+DC)中毒症状な自分を看病してもらいたいです、ええw

529:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/24 22:25:47 QC1OqzDC0
GJ!

530:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/25 12:36:00 VEz3Y+FnO
ほす

531:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/25 14:37:03 N4QfYnFH0
筋肉

532:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/25 23:33:15 wkee6stSO
ほすあげ

533:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/26 21:07:15 uj3I8Oh00
保守

534:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/27 00:21:18 veR/SUu20
>>525-528
GJ!
登場した女性はBCのキャラクターでしょうか?
間違ってたらごめんなさい。
ふと思ったのですが、局長は彼も何かを償うかのようにWROの職務に
没頭してますよね。そんな中でも、お花に水をやってるのかなぁ…と、
そんなことを思いました。

535:DC後 【49】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/27 00:35:46 veR/SUu20
>348-354 >360-362 >416-420 >427-432 >441-442
>459-461 >464-470>496-501 >508-509 >514
>510-512 >515-518の続きです。

【お断り】
リーブの『インスパイヤ』という能力の解釈やシェルクやディープグラウンドソルジャー達の
魔晄中毒の見解は投稿人独自の物です。間違ってたらごめんなさいよ。

まだ襲撃の後が生々しいWROの急ごしらえの局長室で、
リーブは次々と送られてくる報告書を見ていた。
世界は再び混乱に見舞われ、送られてくる報告書は
彼に溜め息を吐かせるものばかりだった。
だが、三日も経つと、ごく僅かではあるが、
ちらほらと明るい話題も飛び込んで来る。
「人とは…前に進むものなんですね。」
そして、どこかで聞いた言い回しだと思い、
誰の言葉だったかと思い出そうとする。
「なんで分からへんのや。ヴィンセントはんやろ?」
書類の間からぴょこん、と顔を出したのは、リーブ自身の分身で相棒だ。

536:DC後 【50】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/27 00:37:31 veR/SUu20
「そうでしたね。私としたことが。」
「おっさん、ちょっとは休んだらどうや?疲れてるんちゃうか。」
ケット・シーは今度は反対側の書類の山から顔を出す。
我ながら他愛もない遊びだと思いつつ、ここに籠る前に仲間と話して以来、
交した会話と言えば、報告、相談、指示、のいずれかだ。
(だから…まぁ、ちょっとした息抜きですね。)
隊員達は出払っていて、今はこのフロアには誰も居ない。
この一人遊びを誰かに聞かれる事もないだろう。
「あん時はおもろかったなぁ。」
ケット・シーは机の上でぴょんぴょんと跳ねる。
「艦長があんな事言い出すとは思わへんかったなぁ。」
手を後ろに組んで、机の上をちょろちょろと歩き回る。
「それにしても…実際に旅したのは、わいやけど…
みんなわいに話しかけるみたいにおっさんに話しかけとったなぁ。」
ケット・シーはふと歩みを止めると、リーブを見上げる。
「おっさんも…ホンマはこんな所より、
みんなとヴィンセントはんを探したいんやろ?」
自分を見上げる相棒の表情はどこか寂しそうだ。
「一緒に行きたいのはどっちでしょうね?」
リーブはふっと笑うと、指先でケット・シーの鼻を突つく。
ケット・シーは大袈裟に足をバタバタさせながら両手で鼻を押さえる。
「シェルクさんが心配です。レッド…いえ、ナナキから連絡はありませんか?」
「ホンマに…ワイくらいにはホンマの気持ち言うたらええのに…」
ぽてん、ぽてん、と不思議な足音をさせながら
机の端の充電ホルダーに刺してある携帯電話を取りに行く。

537:DC後 【51】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/27 00:40:14 veR/SUu20
マスターは自分なのに、この分身は時おり
自分の思惑以外のことを喋ってリーブを驚かせる。
『インスパイヤ』という能力はまだまだ未知な何かを秘めているのか、
それとも人が操る故に気持ちの揺らぎのような物を反映するのだろうか?
リーブはそんなことを思いながら電話を受け取り、メールを見る。
「彼は本当にまめに報告してくれますね。」
「おっさんがここから出られへんのを知ってるからや。」
ケット・シーはエエ仲間やなぁ…と言いながら、
うんうん、と何度も頷いて見せる。が、不意に腕組みをして、首を傾げ、
「…せやけど、ナナキはんは一体どないしてメールしよるんやろうなぁ?」
そして、携帯を握りしめるリーブをまた見上げる。
『本部の復旧は後回し』という局長の方針の為、電力不足で部屋は薄暗い。
携帯のディスプレイの灯がリーブの顔を照らしている。
「シェルクはんはどうなんや?」
「意識は戻ったようですね。でも、まだ起き上がるのは無理なようです。」
「一進一退ってとこやなあ。」
「とりあえず、クラウドさんはヴィンセント捜索に戻りました。」
ディスプレイの文字を目で追うと、献身的かつ、
素人とは思えない適格な看護の様子が書かれている。
「やはりティファさんに預けたのは正解でしたね。」
ホンマになぁ…とケット・シーが頷く。
クラウドがティファに言った通り、収容したディープグラウンドソルジャー達は、
皆、魔晄中毒だ。シェルクほど重傷ではないが、人数が多い為、
ベッドも足りず、ろくな治療も受けられないまま床に横たわるだけなのだ。
彼らの治療、社会復帰…課題は山積みだ。

538:DC後 【52】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/27 00:41:43 veR/SUu20
「こんな時にヴィンセントはんがおってくれたらなぁ…
今頃、どこで何してんねん…」
これは、分身に言わせた本当の気持ちだ。
仲間は皆、彼の無事を信じている。
かと言って、悪い予感が過ぎる時がない訳ではないのだ。
早く無事な姿を見たい。
無事でよかったと、肩を叩いてやりたい。
病身のシェルクにも会わせてやりたい。
彼が無事だと分かれば、彼女も元気になるだろう。
「まったく、どこで何をしてるんでしょうね。」
「ヴィンセントはんの事やから『面倒はごめんだ』
とか言うて隠れてるんちゃうか?」
ちゃんとヴィンセントの声色と仕草をマネさせてみる。
ここで漸く我ながら何をしているんだろう、と苦笑いを浮かべる。

しかし。

『面倒はごめんだ』

そう、確かにそう言いつつも、彼は星の為に戦ってくれた。
(しかし、それは人道的な見地であって…)
一度閃くと、後は簡単だった。
「すぐに行って貰いたい場所があります。」
ケット・シーは頷くと、ひょいと机から飛び下り、どこかへ走り去った。

539: ◆BLWP4Wh4Oo
06/04/27 00:51:11 veR/SUu20
>524
ユフィってエアリスが死んだ時もすごく泣いてましたよね。
19歳と言えばまだまだ多感なお年頃だし、
気楽な様でいて実は『仲間の死』にはものすごく弱くて、
そういう状況だとすごく頑張るコではないかなぁ…と思いまして。
>527
ミディールでケットが何を言ったか、アルティマニアを
音読したのですが見つけられませんでしたorz
別の発言と勘違いされたとの事ですが、
その元になった台詞等教えて頂けるとうれしいです。
看病はティファとユフィとどちらに?クラウドももちろん可ですよ。


今回、ケット初書きですが、ご満足いただけるといいのですが。

【チラ裏】投稿人は生粋の関西人です。
関西人から見ると、ケット・シーの関西弁って、ちょっと不自然なんですよ。
なので却って“ケットらしい関西弁”が難しかったです。
ちゃんとケットになってたかな?

540:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/27 05:28:09 Zkf/xx/E0
エアリス「やだっ、この水着はずかしいよぉ」
ティファ「大丈夫だって!ほらクラウドにみせにいこっ!」
エアリス「う…うん」

エアリス「ど…どぉかな?似合う?」
クラウド「///ああ…似合っている」
エアリス「えへへ、ありがと」
ティファ「あー!クラウドってばエアリス見て鼻のばしちゃってぇ!ね、ね!あたしはぁ?にあうっしょ?」
クラウド「お前はいつも下着みたいなもんだろ」
ティファ「ひっど~い!エアリスばっかり~!いいも~んだ!サーファーの子たちとあそんでこよっと!クラウドなんて知らない!」
エアリス「あ、ティファ」
クラウド「ティファなんてほっとけ。エアリス。」
エアリス「でも…」
クラウド「ティファが気を利かせてくれたのがわからないのか?」
エアリス「あ…///」

541:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/27 23:02:31 GjhQOfau0
保守

542:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/28 12:31:58 v4VmnxyTO
保守

543:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/28 14:44:22 MilYJTn/O
イイヨイイヨー
ここ読んでたらリーブ好きになりそうだw

544:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/28 19:52:25 o8UuNOo/O
>>543
嫌いだったの?

545:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/29 02:43:49 XK8Zvah30
>>535-538
ケット・シー可愛いよケット・シー。
DC1章の事を思えば、リーブの一人遊びとして充分あり得そうです。
それにしても和むなぁ…。(他の方のリーブ話読めるだけで非常に幸せですw)
リーブの提案はどこを指しているんでしょうか? 続き期待sage
 >>539記憶に間違いがなければFF7本編でティファが看病のためパーティーを離脱する際、
 「ティファさんに看病されるなら(クラウドと)代わりたい」という主旨の発言をケット・シーがしてます。
 ティファを気遣いつつ、状況的にそれはギリギリ精一杯の気遣いなんだろうなと。

546:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/29 02:53:46 XK8Zvah30
横レス失礼します。興味のない方はスルーよろ。



ケット・シーってFF7本編ではあまり良い印象を持たれないか、目立たないキャラクターの様な気がします。
登場時の印象(スパイ)も、古代種の神殿で感動的な見せ場もあっけなく終了(直後の2号機登場)などで、
実のところ初プレイ当時、自分はあまり好きじゃなかったんですが、ウェポン近辺で覆りました。
古代種の神殿と再集結時に関しては、解釈の仕方によってリーブの意図するところが大きく変わるし。
FF7の中でも特に解釈の余地が残されている部分・キャラクターの多いのが、ケット・シー(リーブ)なんですよね。
また、彼を通して見ていくと7の全体像が掴みやすい…様な気がするんです。DCでナビゲーター役になったのは
良い人選だった気がします。

> ケット・シーの関西弁って、ちょっと不自然

そもそもケット・シー自体、存在が不自然ですよね。
本来なら四足歩行の動物を無理矢理二足歩行させている“ぬいぐるみ”。
1つ1つの事実を組み立てた理論(や推論)ではなく、“占い”という不確定の物を扱う存在。
あえてFF7世界中の標準語(共用語)を使わせずに“なまり”を強調させたのか。
これらケット・シーが背負う要素は本体(リーブ)とは一見すると真逆ですが、実は同じ物を指している気がしてなりません。
そして訛りに関しては、望郷を表現しているのだとずっと解釈してきましたが、「不自然」という所に着目すると
実はもっと別の物を表現しているキャラクターなのかも知れない、とも思い始めました。
(Disc1で彼の両親が描かれていますが、出身地はどこなのか等、答えを出そうとすると謎も多いw)
こういった話は専用のスレですべきなんでしょうが、
不自然という発想からふくらんだリーブ考察(妄想)が面白くてやった。今はちょっと反省している。

…そんなことを抜きにしても、お茶目な二人(?)が好きというだけの話w

547:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/29 19:57:32 g8qvP8OdO
>>544
嫌いでも好きでもなかった
深いなー

548:539
06/04/29 23:39:27 WTkbSMIl0
>>547
実は自分もort
彼の能力自体はとてもおもしろいと思ったのですが、実際にゲーム内では使い辛くって、
実はほとんどメンバーに入れてなかったという。(お好きな方、ごめんなさい)
アルティマニアやDCと、ここでリーブのお話を読んでいる内にだんだんと
彼らの良さが分かって来て、そういった意味でDCと書き手さんはネ申になってます。

>>545
そんな事を言ってたんですか…おどけつつも、気を遣ってるんですね。
リーブが言うと洒落た感じがしますが、ケットが言ってると思うと、
なんだかいじらしいくて、しかも微笑ましいなぁ。

>>546
本当の関西人はめったに“わい”なんて言わないんだけど、程度のボヤきでしたが、
深い考察をしてくださってありがとうございました。
言われてみると、あんな不思議なコンビが目の前に現れて、
いくら本人が強引に参加したとは言え、クラウドはよく仲間にしましたよね。
やっぱり見た目がお茶目だったからと言いますか、かわいらしさにやられたに違いない。

長レス失礼致しました。お話の方はGW中には終わるかなぁと思います。
後半はおじ様達大活躍(の、予定)ですので、どうぞお楽しみにお待ち下さいませ。

549:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/04/30 21:25:06 xEZGr8sSO
一日一保守

550:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/01 01:07:02 FCK2U/Uc0
保守

551:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/01 17:37:43 9TLtWJX6O


552:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/02 08:41:27 FEJM+MuO0
保全

553:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/02 10:42:51 yMvrN1K40


          ./    \
          .| ^   ^ |
          | .>ノ(、_, )ヽ、.|
         __! ! -=ニ=- ノ     
     /´ ̄  .|\`ニニ´/ 
    / 、、i    ヽ__,,/
    / ヽノ  j ,   j |ヽ 
    |⌒`'、__ / /   /r  |
    {     ̄''ー-、,,_,ヘ^ |
    ゝ-,,,_____)--、j
     / \__       /
     |    "'ー‐‐---'|'
     | \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ|
     ト,  ;;;;;;^ω^;;;;;;、 i
     |',',;;   }  ! ',',;;;i

554:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(4)
06/05/03 00:21:01 EqXZM4yr0
>>525-527より。
----------


 男がこのフロアを訪れるようになったのはつい最近のことだった。もっとも
日中は、以前までの所属部署で後任者への引継ぎなどに追われデスクを
空けている時間が圧倒的に多く、朝のこの時間ぐらいしかオフィスにいられ
なかった。
 男の所属する部署は神羅の都市開発部門。しかし都市開発と一口に言っても、
さらに10以上の細かい部署が設けられている。中でも『管理課』と呼ばれる
ここは、巨大都市ミッドガルの設計から建造、運営を包括的に担う部署で、
表舞台に出るような事はあまりないが、既存のシステムや魔晄炉の稼働状況の
監視・調整などを主な業務としていた。そして彼はつい先日、このセクションに
配属されたばかりだった。
(なんで管理なんや……)
 今回の人事異動は彼自身の希望によるものではなかった。実のところ、内心では
未だにこの配置転換に納得できていなかった。それでも、上からの指示には逆らえ
ない。それは組織の中にいる以上、従わざるを得ないし避けられない事だとも頭では
理解しているつもりだった。
 むしろ理解というよりも、諦めに近い。
 都市計画・開発という仕事に希望を抱き、神羅という企業に勤め始めた当時とは
徐々に変わりつつある自分の姿に、彼は無意識のうちに焦燥のようなものを感じて
いたのかも知れない。
 男にとって、それはこの先に続く長い悪夢の始まりに過ぎなかった。

555:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(5)
06/05/03 00:26:12 EqXZM4yr0

                    ***


 呼び出しに応じてその部屋の前までやってきた彼女を出迎えたのは、総務部
調査課に所属する男だった。先ほど、このフロアに設置されている通信機から、
彼女の携帯用端末にメッセージを送信しここへ呼び出したのも彼である。呼び
出しを受けた時点で、彼と遭遇することは予測していたものの、その姿を見るや
彼女はあからさまに眉をひそめた。
「……こんな所で会うなんて」
「一応、ここも社内ですから。我々がいても何ら不自然ではありません」
「そうじゃないわ」男の言葉に彼女は即座に反論した。「あなた方に会うとロクな
事がないって言う意味よ」その言葉に込めた意味を汲んで、男は苦笑する。
「相変わらず手厳しい」
「事実を言ったまでよ」
 あくまでも事務的な返答であしらいながら、男に先導され部屋の奥へと通された。
そこから専用エレベーターを使い建物上層へ、さらに厳重なセキュリティを通過した
先にある木目の美しい扉の前でふたりは立ち止まると、彼女はネームプレートを外し、
それを扉横に設置されているセンサーに通した。すると赤く点灯していたランプが
緑色に変わり、小さな認識音が聞こえてから扉のロックは静かに解除された。それを
確認した男がドアノブを回して扉を開くと、そのまま黙礼で入室する彼女を見送った。
 男の横を素通りして部屋へ足を踏み入れる。それまで通ってきたフロアよりは薄暗く、
一見すると誰もいないように見える室内に向けて一礼した。まるでそれを見計らった
ようにして部屋の扉は外側から静かに閉められた。扉が閉じられると同時に自動で
ロックがかかる。かちゃり、という音を最後に室内は静寂に包まれた。
 ビル全体が近代的で無機質な印象を与える作りにあって、この空間だけは木目調の
壁と天井、窓際に置かれた観葉植物と扉横にある大型の水槽などのお陰で、他の
フロアに比べると幾分かあたたかみを感じさせた。

556:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(6)
06/05/03 00:34:06 EqXZM4yr0
 しかし彼女にとってここは、社内でもっとも息苦しい場所に他ならない。
「……よく来てくれた」
 部屋の奥から、唐突に声が聞こえてきた。まるで声そのものに質量がある
ような、威厳と威圧感に満ちた男性の声。
(人を呼び出しておいて、よく言うわ)
 心の中で悪態をついてみたものの、彼女が男に逆らえるわけもなく。恭しく
礼をした。
「遅くなり申し訳ありません……プレジデント」
 プレジデント神羅。彼は文字通り、この企業の最高権力者だ。大きな革製の
椅子の背をこちら側に向け、姿は見えない。彼女が頭を上げようとしたところに、
プレジデントの声が届く。
「さっそくだが、“例の計画”の進捗状況を報告したまえ」
「…………」
 中途半端な姿勢のまま押し黙ってしまった彼女に、プレジデントは口調を
変えずに尋ねた。
「質問の意味を理解しているかね?」
「……はい」
「ならば答えたまえ」
 プレジデントの言う“例の計画”が何を示しているのか、彼女は充分過ぎるほど
理解していた。
「……はい」反射的にそう返してはみたものの、やはり口に出すことをためらってか、
場に沈黙が流れた。しかし彼女は、自分にこれ以上逃げ場がない事も充分に理解
していた。やがて諦めたようにして口を開く。
「システムの実装段階で、問題が発生しました。検……」
「問題が解決するまでにかかる時間と費用の見積は?」
 彼女が何かを言うよりも先に、プレジデントが言葉を発した。察するところシステムに
関する細かな話には、どうやら興味がないらしい。
「既に対策は講じております。新たな開発者……部内で実績を出している優秀な
技術者を呼びました。問題の解決までには1ヶ月もかからないものと」

557:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(7)
06/05/03 00:42:40 EqXZM4yr0
 そこまで言い終えて彼女はいったん言葉を止めた。少しばかり考えた末、
次の言葉を口に出す決意を固めた。
「失礼を承知で、……率直なところを申し上げれば私は、未だこの計画には
疑問を感じています」
 プレジデントは何も答えない。だがこれ以上語るべき言葉を見出せない彼女は、
重苦しい沈黙が通り過ぎるのを黙って待つことしかできなかった。腕時計の
秒針の音だけが聞こえる、その音をどれだけ数えた頃だろうか。やがて声が
返ってくる。
「私は、この計画に対する君の個人的な感想を訊くために、わざわざ君をここへ
呼んだ訳ではないんだがね」
「ですがプレジデント、人々の行動を監視するというシステムが果たして……!」
 彼女が必死に叫んだ言葉を吹き消すようにして、ふぅ、と言うため息の音が聞こ
えてきた。
 次に椅子が軋む音。
 最後に、男の声がした。
「……君は、何だね?」
「はい」

558:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(8)
06/05/03 00:45:34 EqXZM4yr0
「君が私に意見できる立場にある者なのか……と尋いている」
 彼女は今度こそ押し黙った。返す言葉も為す術も見つからず、その場に立ちつくす
だけだった。そんな彼女にとどめを刺すように、プレジデントは冷然と言った。

「都市開発部門の統括責任者が不在の今、君は代理としてその任を全うする。
……それだけを考えていれば良いのだよ。分かったなら下がりたまえ」

 結局、プレジデントは一度もこちらを見ることはなかった。



「余計なお世話かも知れませんが」
 部屋を出た彼女を労うように、総務部調査課の男は声をかけようとしたのだが。
「ええ、余計なお世話よ」
 そう言って彼女は会話を続けることを拒否すると、エレベーターホールへ向けて
歩き出した。男は何かを言う事も追うこともせず、ただ彼女の背中を見守っていた。
----------


・再三言っておくと、都合解釈を伴った捏造。
・人と言うよりも、神羅内の各部署の関係性に萌えてみたいという意味不明なコンセプトでお送りする予定。

559:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/03 02:49:22 0jrdMIuz0
>>554-558
GJ!
やはり“彼女”が誰なのか分からないorz
スカーレットなわけないし…続きが気になります。

560:DC後 【53】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/03 02:50:46 0jrdMIuz0
>348-354 >360-362 >416-420 >427-432 >441-442 >459-461 >464-470 >496-501
>508-509 >514 >510-512 >515-518 >535-538の続きです。

意識は戻ったが、本当に大変だったのはそれからだった。
シェルクは朝には寒がり、ティファは湯たんぽを用意し、
ユフィはベッドに上がって震えるシェルクを抱きしめた。
夜になると熱が上がり、ティファは今度は氷嚢を用意し、
ユフィは熱で朦朧(もうろう)としているシェルクの口に氷を入れてやる。
寝たきりだと身体中が痛むので、二人で寝返りを打たせてやり、身体を擦る。
クラウドは薬や栄養剤を探して走り回った。
少しずつ症状が落ち着き始めたのは5日目のことだった。

ティファが作った冷たいスープをユフィが飲ませている合間に
シェルクはぽつりと口を開いた。
「夢を…見ました…」
まだ少し熱があるので、顔が赤い。
「どんな?」
点滴を替えていたティファが答える。
ユフィは、冷たいスープなのに、つい息を吹きかけて冷そうとしかけて、
何をやっているんだと肩を竦め、シェルクに照れ笑いを見せる。
シェルクも笑って、ユフィが飲ませてくれるスープを飲む。
ひんやりとして、火照った口の中にも気持ちいい。
(おいしい…)
「おいしい?」
ユフィが顔を覗きこんで来るので、シェルクは素直に頷いた。
「やっぱね~!顔が笑ってるもん。」
「やっと私の料理を食べてもらえてうれしわ…それで、どんな夢を見たの?」
「…お姉ちゃんの夢…」

561:DC後 【54】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/03 02:52:37 0jrdMIuz0
せっせとスプーンを口元に運んでいたユフィの手が止まる。
ティファは椅子を持って来ると、ベッドの傍に置き、そこに腰掛けた。
「身体が動かなくなって…私…やっぱり…と思いました。」
「どうして?」
「私…私のせいでお姉ちゃん…」
何かを叫びかけたユフィを、ティファが黙って制する。
「怖かった…束の間だけど私に与えられた団欒、もう一度彼に会う事…
それすら許されないのかと…そう思うと、死ぬのが初めて“怖い”と思いました。」
シェルクは毛布をぎゅっと握りしめる。
「許されるはずがない…私は…幸せになる資格がない…
だからこのまま死んでしまうんだと…そう思いました。」
ネロの闇に捕われた時でさえ、こんなに怖いとは思わなかった。
怖くて怖くて…夢の中の暗闇を何かに追われる様に闇雲に走っていた。
「夢の中だと…上手く走れなくて転んでしまいました。そしたら足に何か絡み付いて…」
シェルクははっと我に返る。
「私…何を話しているんでしょう?こんな…非現実的なこと…」
「でも…話したいんでしょ?」
「シャルアが助けてくれたんだろ…?なんて言ってた?」
ティファもユフィも膝を乗り出して話を聞いている。
(臨死体験なんて…信じてもらえないかと思ってました…)
シェルクは話を聞いてもらえることにホッとして、続きを話し始めた。
「はい。お姉ちゃんが…助けてくれました。」

562:DC後 【55】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/03 02:55:24 0jrdMIuz0
シャルアはあの時の様に、シェルクの手を引いて走ろうとしていた。
が、絡み付いた“何か”の力と、シャルアが引っ張る力が拮抗して抜け出せない。
「お姉ちゃん…もうだめだよ!」
シャルアの唇が動いた。
言葉は発せられないがシェルクには何を言っているかが分かった。
“生きて…”
シェルクは激しく頭を振る。
“シェルクは強い…そいつだって、自分でやっつけられるよ。”
(やっつける…?)
シェルクは反射的に足に装備していたスピアを片手で抜き、足下を薙ぎ払った。
すると、足に絡み付いていた物達が、ふっ…と消えてしまった。
“ほらね”
シャルアはいたずらっぽい表情でウィンクして、シェルクを立たせてくれた。
「お姉ちゃん…」
“ずっと傍に居るよ。いつも見てるから…だから…”
シャルアは屈んで、シェルクの瞳を覗きこむ。
“頼むから「私のせいでお姉ちゃんが…」なんてうじうじしてる姿、見せないでよ”
「そんなの…無理だよ。」
“大丈夫…もう、一人じゃないだろ?”
夢の中なのに、頬に触れた手は温かかった。
“大好きなシェルク…”
シャルアは両手でシェルクの頬を包み込んだ。
“また会えるから…それまで私の分も生きるんだよ”

「そこで…目が覚めました…ティファと、ユフィと…クラウドさんが居ました。」
気が付くと、ユフィはシェルクに背中を向けて鼻をすすっている。

563:DC後 【56】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/03 02:58:05 0jrdMIuz0
「優しくて、強いお姉さんね。」
「はい…でも…」
“でも”という言葉に反応して、ユフィがシェルクに向き直る。
「それでも…私のせいでお姉ちゃんが…という想いはきっと消える事はないと思います。
“私の分も生きろ”と…私にそれが出来るのでしょうか?生きる事さえ罪だと感じているのに。」
「だぁーからぁっ!シェルクはそういう風に考えんなって言ってるんだろ?」
「ですが…」
「生きてることが罪なんて!そんなの、どっかの根暗野郎に言わせときゃいいの!」
激高するユフィをシェルクは驚いて見つめる。
「ヴィンセントだよ!アイツもそんな事ばっか言ってさぁ…でも、神羅屋敷の棺桶から出てきて、
アタシ達と旅して、ちゃんと役に立ったんだ!あ~見えても、“星を救った英雄”の一人なんだって!」
もちろん、『アタシほどじゃないけど』を付け足すのを忘れていない。
「シェルクだって大活躍だったじゃん!ね?アンタが居なかったら、
ヴィンセントの奴だって、この星だって、どーなってたか分からないんだから!」
「ユフィの言い方は問題有りだけど、私もそう思うわ。
あなたは前を向いて生きる事で償っていけると思うの。」
横でユフィがうんうん、と大きく頷く。
「だから…お姉さんの言葉を大切にね。」
ユフィは傍らに置いておいたスープの入った皿を再び手に取る。
「大丈夫だって!アタシが付いてるからさ!とにかく、まずは食べなくちゃね。」
「私達が…でしょ?」
ティファが呆れた口調で言う。
“ほらね”
耳元で姉の声がした様な気がした。
「ん?食べないの?」
ユフィがスプーンを持っておどけている。
(こういう時は…どういう風に言えばいいんでしょう?)
「シェルク…」
ティファがタオルでいつの間にか溢れていた涙を拭いてくれるた。
「今はいいの。いつでもいいのよ…私たちはずっと傍に居るから。」

つづく。

564:また訂正orz ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/03 12:04:25 0jrdMIuz0
>>563
また訂正です。ごめんなさいorz

> ×「だぁーからぁっ!シェルクはそういう風に考えんなって言ってるんだろ?」
> ○「だぁーからぁっ!シャルアはそういう風に考えんなって言ってるんだろ?」

ところで、ユフィとシャルアは顔見知りなんでしょうか。
今更何を言ってるんだ、ですがDCプレイ時から不思議で。
ひょっとしてBCで会ってるのかな?教えてちゃんでごめんなさい。

565:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/03 12:56:27 EXk559kbO
>>564
BCでは二人は会ってない
DCでユフィがWROに協力してるから、リーブから互いに紹介されたんじゃないかと思う

566:564
06/05/04 00:59:52 Ch7SYC360
>>565
そうでしたか…お陰でスッキリ(・∀・)しました。
ありが???とうございました。


567:564
06/05/04 01:24:28 Ch7SYC360
>>565
ごめんなさい、文字化けorz
失礼致しました。

568:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/04 04:19:19 owYEGRiq0
>>560-563
DC本編中で直接的には描かれなかった(様な気がする)シェルクの後悔の念というか、
失ったもの(姉)が大切だと気づく描写があって嬉しいと素直に思う。
この勢いでカプセル回収出立編を書いてもらいたい。またはDC-2をw。
9章(栄枯盛衰神羅ビル)でルクレツィアと同調しながらシェルクは「生きて」と言っていた
(字幕には登場しないんですが、ここは確かに「生きて」と言っているように聞こえたーよ)
ところから考えると、展開的にちょっと切ないです。続きにも期待。


ところでシャルアとユフィの面識について。
>>565と見解は同じですが、正式な形で互いを紹介されたような面識はないかも、と
言うのが個人的な見方です。WROの地下にシャルアを回収しに行ったのはユフィだと
思っている(リーブorケット・シーじゃ無理w)ので、対面はそれが初めてだった…のかな。
とか色々。
6章終盤「シャルアは…」と言いかけたセリフに続く言葉を想像すると、ユフィの人となりを
色々想像できて楽しいです。DCのお陰で好きになったよユフィ。

569:朱の夢1 (DCFF7/シングルプレイモード)
06/05/04 04:36:55 owYEGRiq0
舞台:DCFF7第2章~
備考:マルチプレイモードは考慮の対象外。
   :微妙にエグイ内容なので嫌な方は回避されたし。
   :それから、ロッソが好きな人も(多分に捏造された過去につき)回避推奨。




----------

 この地に生を受けたとき、少なくとも彼女にとって世界はまだとても退屈な場所だった。
 両親の笑顔が傍にある、そんなごくふつうの世界。
 頭上に広がる空がないことだけが「ふつう」とは唯一異なっていたが、それを知るのは
20年以上も先の話である。
 彼女には幼馴染みがいた。彼の名前がなんだったのか、今さら思い出そうとしても
分からない。思い出そうとする事もなくなった。
 ただ、覚えているのは朱にまみれた彼の表情。
 床に転がったそれを、踏みつける巨大な人影。抵抗することなく踏みつけられる彼の顔。
 なぜ、そんなことをするのかが分からなかった。
 なぜ、そうなるのかが分からなかった。
 彼女にとって初めての「死」はこうして突然に訪れた。あまりにも突然の出来事だったから、
彼女にはそれが理解できなかった。だからどうして良いのか分からず、その場で立っている
ことしかできなかった。
「……怖いか?」
 下卑た笑い声をたてながら、巨大な人影が近づいてくる。横たわった彼の亡骸を前に
呆然と立ちつくす幼い彼女に、武器を持たない方の手を伸ばす。
 それでも彼女の視線は、床に転がる幼馴染みに向けられたままだった。さんざん身体に
触れられたあげく、上着を脱がされかけても彼女は動じなかった。
 ただ、男が自分の前に立ちはだかって床に転がった彼の姿が見えなくなった事だけが
腹立たしかった。
「どいて」
 それだけを口にした。だが巨大な人影が退くことはなかった。

570:朱の夢2 (DCFF7/シングルプレイモード)
06/05/04 04:39:33 owYEGRiq0
 次にどうしたのかは覚えていない。ただ、巨大な人影が腰に着けていた銃を持ち、
転がったそれを見下ろしていた。
 床に転がる顔は2つになった。だけど片方だけが朱に染まっている。
「どうしたの?」
 呼んでみても返事がない。
「いたいの?」
 頬に触れてみた、あたたかい。彼の顔を染める朱も、あたたかかった。
 自分の頬を伝うものに気づき、手に触れてみる。
 透明なしずく。それはとてもあたたかかった。

                    ***

 倉庫の割れた天窓から見上げた空の色を、彼女は好きになれなかった。
 白なのか黒なのか、はっきりしない曖昧な色。
 降り注ぐ飛沫が身体を濡らす。それはあたたかくも冷たくもなかった。
 斬り殺した―手応えすらなく死んでいった連中が、周囲に散らばっている。
あの日と同じように、彼らの身体は朱に染まっている。
 それを見下ろす彼女の頬を伝うのは、透明な滴。
 だがそれに、温度はなかった。

「私ねぇ、生まれて初めて雨に濡れたわ」

 彼女の頬を涙が伝うことは、二度となかった。

571:朱の夢3 (DCFF7/シングルプレイモード)
06/05/04 04:44:17 owYEGRiq0

                    ***


 死とは制圧。
 死とは安息。
 脳裏に焼き付いた彼の表情が忘れられなくて。
 あの時と同じ思いを二度としたくなくて。
 人間であることを捨ててでも、彼女はその夢を抱き、武器を取り頭上に広がる空を見上げた。

「終わりが、始まるわ」



                                   ―朱の夢<終>―


----------
・ロッソが好きでやった。今は(ry。
・DCFF7中、一番好きなんだけど文章で表現すると印象と真逆になるのはなぜだろう。
 (こんな人じゃない!!)
・ゆがんだ人間の手によって作られた、人間ではない存在を演じる(=中央螺旋の塔)
 という解釈はシカトしましたすみません。この辺なんとかしたいです。

572:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/05 03:06:36 l9vcXo0h0
>>569-570
ロッソ姐さん(*´Д`)ハアハア
エキセントリックで、色っぽくて強い(実際に居たらコワいですが)彼女が(・∀・)イイ!!
ミッドガル大侵攻ではクラウドと切り結んでいましたが、勝敗はどうだったんでしょうね。

573:DC後 【57】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/05 03:07:24 l9vcXo0h0
【お詫び】レスアンカー(>>)を入れ過ぎると書き込みが規制される為
500以前の引用は省かせて頂きます。
お手数ですが>>508から、500以前の引用を辿って下さい。ご迷惑かけて申し訳ありません。
前回の投稿で>にしたら、IE等のノーマルなブラウザではリンクが
貼られない様で、見辛いと思われた方がおられたらごめんなさい。

>>508-509 >>514 >>510-512 >>515-518 >>535-538の続きです。

シェルクが快方に向かうにつれて、クラウドが7th Heavenに立ち寄る回数も減った。
食欲が出て来てきた為栄養剤に頼る必要がなくなったからだ。
ヴィンセントはまだ見つからない。
時間が許す限りシドが手伝ってくれたが、クラウドが居ない時は
バレットがほとんど一人で探しているのだ。
「頼みたい物が出来たらまた連絡するわ。」
ティファにそう言われて、ヴィンセント探索に戻ったのだ。
生命反応を調べる携帯型の端末を持って、ミッドガルの廃墟を歩き回る。
バレットにシェルクの様子を聞かれ、それに答えている時にふと思い出したことがあった。
「なぁ…バレット。」
「なんだ?」
捜索を終えた地点に赤いサインペンでバツ印を付けながらバレットが答える。
「家に届けたい物がある。」
「なんだ?ティファから連絡でもあったのか?」
「いや、そうじゃない。」
バレットが顔を上げてクラウドを見る。
「その…俺が、勝手に思っただけだ。これがあればティファ達が助かるんじゃないかって。」
「何を持ってくつもりだ?」

574:DC後 【58】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/05 03:09:05 l9vcXo0h0
クラウドの答えにバレットは感心した風で、快く許してくれた。
「お前にしちゃあ、珍しく気が利くことを言うじゃねぇか。いいぜ、行ってこいよ!
その代わり…頼むから早く戻って来てくれよ。ここは一人だと気が滅入るからな。」
毎日廃墟を歩き回って楽しい気分になれるはずもない。
それにここは色々と思い出す事が多い。出来ればクラウドも長居したくはない場所だ。
バレットはそんな場所で一人で長時間過ごして来たのだ。
「悪いな。」
「いいってことよ!」
バレットは笑い飛ばし、マリンへの言伝(ことづて)を頼み、クラウドを送り出してくれた。
手近に居たWROの隊員を捕まえ、目当ての物の調達を頼む。
ここに運ばせると言う隊員の申し出を自分で行くからと断り、
クラウドは病院にフェンリルを走らせた。
目当ての物を受け取ると、フェンリルの後部座席に積み、通い慣れた道を我が家に向う。
家に着くと、入り口には鍵がかかっていないのに、店には誰も居ない。
おかしいと思っていると、フェンリルのエンジン音を聞きつけたデンゼルが飛び出して来た。
「おかえり、クラウド!」
クラウドはただいま、と答えると、
「デンゼル…ティファは上か?」
「ユフィ姉ちゃんと二人で出かけたよ。すぐに帰るって。」
「そうか…」
クラウドは二人が戻るのを待とうかと思ったが、ここへ来る時のバレットの言葉を思い出し、
「デンゼル…これをティファに渡しておいてくれ。」
「何…?これ。」
クラウドが持って来たのは折りたたみ式の車椅子だった。
足下のバーを軽く踏んで広げるだけで組み立てられるタイプだ。
実際にやって見せると、デンゼルは大喜びだった。
「うわ~!すっげーや、これ!シェルクの?」
クラウドが頷く。
「シェルク、きっと喜ぶよ!俺、知らせて来る!」
デンゼルはクラウドの返事も待たずに階段を駆け上ってしまった。

575:DC後 【58】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/05 03:12:14 l9vcXo0h0
(…参ったな…)
このまま帰る訳にも行かず、クラウドは仕方なくデンゼルの後を追う。
「シェルク!」
デンゼルはシェルクの傍に息を切らせて駆け寄る。
「クラウドがいい物を持って来てくれたよ!」
ベッドに座っていたシェルクと、傍でシェルクに絵本を
読んであげていたマリンが驚いて顔を向ける。
「なぁに?デンゼル!今ご本を読んであげてるのよ。」
「違うんだよ、マリン!クラウドが来たんだ。」
マリンは開けっ放しになっているドアに佇んでいる
クラウドに気が付くと、驚いて椅子を降り、駆け寄る。
「クラウド!どうしたの?お遣い?」
「いや…」
マリンの頭に手を置き、クラウドはどう答えた物かと必死で考える。
「シェルクの為に車椅子を持って来てくれたんだよ、な?クラウド!」
「私の…?」
シェルクに見つめられ、クラウドはますます言葉に詰まってしまう。
口下手で人見知りのクラウドは、まだ数回しかシェルクと言葉を交わした事がない。
頼りのティファも勝手に騒いでくれるユフィも居ない。
「…ずっとベッドに居ると、良くないからな。」
考えに考え抜いて、やっと出た言葉がこれだった。
シェルクが目を丸くして自分を見ているのがいたたまれない。
クラウドはそのまま踵を返して部屋を出ようとしたが、マリンがそうはさせない。
「もう!クラウドったら!ちゃんとシェルクに言ってあげてよ。」
クラウドの手を引くと、強引にベッドの傍まで引っ張って来る。
そして、ませた口調でシェルクに、
「ごめんなさい。クラウドは恥ずかしがり屋さんなの。」
「マリン…!」
(恥ずかし…がり…?)
シェルクはまじまじとクラウドを見つめる。
クラウドの顔が心なしか赤い。

576:DC後 【60】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/05 03:16:19 l9vcXo0h0
「シェルクの為に持って来てくれたんでしょ?」
クラウドはマリンには敵わないな…と小さく呟くと、
「俺も…長い間寝たきりだった事がある…治ったら身体中ガタが来ていた…
だから、具合がいい時は少しでも外に出た方がいい。」
「そうだったんですか…」
シェルクの返事はは車椅子の事を指しているのではない。
“クラウドは恥ずかしがり屋さんなの”
(じゃあ、あの時の…)
ここに初めて来た時の“クラウドの失礼な物言いに腹が立ったが、
あれはどうやら、彼なりに心配してくれた故の言葉らしい。
車椅子も、ベッドから起きられない自分を心配してわざわざ探して来てくれたようだ。
得心がいくと、今までのわだかまりが消えていく気がした。
また、胸の中がほんわりと温かくなる。
「…ありがとう…ございます…」
「…いや…たいしたことじゃない…」
「とても…うれしいです。」
微笑むシェルクに、クラウドは俯いてしまう。
ふと横を見るとマリンがいたずらっぽく笑っている。
デンゼルは状況が良く飲み込めない様でぽかんとクラウドを見ている。
「…バレットが待ってる…ミッドガルに戻る。」
クラウドはやっとそれだけ言うと、そそくさと部屋を出て行ってしまった。


577:DC後 【61】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/05 03:20:19 l9vcXo0h0
デンゼルが慌てて追いかける。
その後ろ姿を見送って、マリンとシェルクは思わず顔を見合わせた。
「クラウドはね、仲良しになるのにすごく時間がかかるの。」
一緒に住み始めた頃は大変だったのよと、マリンがこぼす。
「…でも…優しいんですね。」
マリンは腕組みをして、やれやれ、という顔をシェルクに見せ、
「まあ…ね!」
シェルクは思わず吹き出してしまった。
父親代わりより娘の方がよっぽどしっかりしているではないか。
そして、慌てたせいで、マリンへの伝言を忘れていたクラウドは、
ミッドガルに戻ってからバレットに呆れられたのだった。

つづく。
===========================================================

>>574 ×DC後 【58】→○DC後 【59】
もう、本当にね、ごめんなさい_| ̄|(((○

>>572の『生命反応を調べる携帯型の端末』は、DCオープニングムービーで
ユフィが持っていた物だと思って下さい。(正式名、あるのかな?)

>>568
ゲーム内ではちゃんと書かれてませんが、シェルクが人らしさを取り戻していくと、
絶対にぶつかる問題ですよね。
彼女は被害者でもあるのですが、シエラ号での奮戦ぶりを見てると、
きっと思い悩むんだろうなぁ…と。


578:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/06 01:30:34 whFYJ4Pg0
>>573-577
今回はクラウドとバレットの描写から主に感じましたが、
シェルクを取り囲む周囲の、FF7オリジナルメンバーの
優しさが滲み出ているお話で、読んでいるとホッとします。
子どもに背中を押される図というのも、なかなか良いですねw。
続き期待sage

579:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/07 01:04:38 WsU6Ny6b0
保守

580:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/07 17:53:42 StxNlN0/0


581:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/08 00:30:17 hn38PsZy0
ぼ   ?

582:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/08 20:22:14 M0eioXRb0
RPG最萌トーナメントのお知らせ
●5月8日 月曜日
H-09 <<ティナ@ファイナルファンタジー6>> vs ファルナ@エメドラ vs マナ@FE聖戦

本日は<<ティナ@ファイナルファンタジー6>>の投票日です

支援と投票の方よろしくお願いします

ここでティナが負けるわけにはいかない。応援よろしくお願いします。
リルムの分まで頑張れ、ティナ!!
●ルールとトーナメント表(本部サイト)
URLリンク(www.geocities.jp)

●コード発行所(PCは予約制で発行まで通常60分かかります。携帯電話は即時発行)
URLリンク(saimoecode.sakura.ne.jp)

●支援用張り板
URLリンク(mig380.chez-alice.fr) (汎用あぷろだ)

現在の投票スレ(投票所板)スレリンク(vote板)l50
投票の仕方
1.上記のコード発行所で投票コードをもらう(発行は23:30~)
2.投票スレに発行された投票コードと<<>>囲みの名前(↓をコピペ)を貼る
<<ティナ@ファイナルファンタジー6>>


※投票は5月8日(月曜)の23:00までに!

対戦相手はどちらもかなりの強敵です。
今日投票しておかないと、もう二度と投票できない可能性も大いにあります・・・
ティナへの愛や萌えなどを、ぜひこの機会に投入しましょう!!


583:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/08 23:25:16 2dDvUj1I0
もう本戦始まってたんか、ありがとう。
ってリルムも出てたのかーーーーーーーー!!!!!!orz
ちくちくちく(ry

コメント読んでると6やりたくなって来たw

584:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(9)
06/05/09 00:06:29 DmvxAsk30
>>554-558より。
----------

                    ***

 その日の午後、彼らは朝と同じフロアで再び顔を合わせることになる。
「……すると、あなたが?」
「そう。都市開発部門管理課の主任として、あなたをここへ呼んだ張本人、
というわけ。『よくもこんな地味な部署に回してくれたものだ』と私を恨んで
くれるのは自由だけど、仕事はしっかりこなしてね」
 部内でも大きなセクションである『管理課』の主任を務めるのが女性だった
のは、正直意外だった。ただ、この口調と言葉を聞けばそれも納得がいく。
「改めてよろしく、リーブ君。それから、分からないことがあったら遠慮なく
聞いて」
 そう言って彼女は特に笑顔になるわけでもなく右手を差し出した。つられる
ようにしてリーブも手を差し出し、握手を交わす。まさか彼女が自分の上司に
なろうとは。
 今朝ここで顔を合わせた時と同じく黒いパンツスーツに身を包み、黒く長い
髪はバレッタでひとまとめに束ねている。元々が整った顔立ちではあるのだが、
女性的な美しさはまったく感じられず、どちらかと言えば隙のない―まるで
総務部に所属するタークスのような―印象すら与える。
「それではお言葉に甘えて1つお尋ねします。なぜ今回の配置転換を?」
「理由のない結果はないわ。当然……あなたの能力を見込んでの人事よ」
 リーブは配置転換が決定した当初から疑問に思っていた事を思い切って尋ねて
みたが、あっさりと返されてしまう。言っていることはその通りなのだろうが、
求めていたのはそんな回答ではない。

585:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(10)
06/05/09 00:12:13 DmvxAsk30
「具体的に私はどういった能力を見込まれてここへ招かれたのでしょうか? 
差し支えなければお聞かせ頂きたいのですが」
 管理維持と言うのは退屈なものだと思っていた。彼は都市開発に従事する者
として、常に生み出す側である事を望んでいた。魔晄炉誘致や設計から建設。
時には内部のシステムにも関与した事がある。だから管理とは、都市開発の中で
自分には一番縁遠いセクションだと思っていた。
 しかし、彼女はその考えを真っ向から否定した。だからこそ聞きたかった。なぜ
自分がここへ呼ばれたのか? 返答次第では元のセクションへ戻してもらう事を
進言するつもりでいたのだが、どうやら彼女の方が一枚上手だったようだ。
「差し支えるので現時点であなたの質問には答えられないわ。不服かしら?」
「……いえ」
 言葉こそ疑問形ではあるが、それ以上の問いには応じないという彼女の姿
勢ははっきり現れている。それ以上の抵抗は無意味だと、リーブは諦め声で
答えた。
「そう、なら持ち場に戻ってちょうだい」
 彼女はそう言って会話を切り上げると、ふたりは別々の方向からそれぞれ
名前を呼ばれ、忙しない日常業務へと引き戻されたのだった。

(とんでもない上司の下に回されてしもたな……)

 誰にも聞かれないよう、リーブは心の中でだけ呟いたのだった。

----------
・短いですが一区切りです。

586:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/09 16:42:58 Eho5PFu+0
保守

587:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/09 22:42:33 6gmQd3an0
>584-585
GJ!上司の人カッコいいです。どんな目的があるんだろう?

588:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/10 11:07:22 enBtP7ijO
一日一保守

589:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/10 21:57:19 lQhmHSKX0


590:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/11 08:43:32 FdD5WaIj0


591:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/11 12:31:08 65BuTDTBO


592:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/12 00:06:50 y5YBChJ40


593:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/12 00:37:06 JfmH+GuG0
サンガリア

594:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(11)
06/05/12 00:58:57 a48LehO80
>>584-585より
----------

                    ***

 晴れ渡った空には白い飛行機雲が一筋、くっきり浮かび上がっていた。まるで
絵に描いたような空の下、ミッドガルの外れにある更地にふたりの男の姿があった。
 飛行機雲の行方でも追っているのか、空を見上げているリーブの横顔を見ながら、
彼は込み上げてくる笑いをどうにか堪えながら尋ねた。
「もしかして今『とんでもない人が上司になった』……なんて思ってらっしゃいますか?」
 リーブが都市開発の管理課に異動になったことを聞いた彼は、確信をもって
その問いを向けていた。もちろん、これに対する返答が否定であることも予測済みだ。
 問いかけられたリーブは慌てて視線を下げ顔を質問者に向けると、ふるふると首を
振りながら早口になって答えた。
「……い、いえ。とんでもない」
(読心術かいな!?)
 リーブからしてみればあまりにも的確な指摘だったものだから、内心かなり動揺した
のだった。無論、態度に出ていることなど本人は気づいていない。
 彼はリーブが以前に関わった魔晄炉建設予定地での折衝の際、世話になった男
だった。総務部調査課に所属しており、件の都市開発管理課主任の彼女とも旧知の
間柄にあった。
 リーブは知る由もないことだが、あの日の朝、彼女を社長室へ呼び出したのも彼である。
「……まあ、お気持ちは分かります。彼女はとても厳しい人ですからね」
「あなたが言う程ですから、相当なんですね……」
 ああ、とため息をついて見せるリーブに、男は今度こそ笑うのだった。
「そんなに悲観しないで下さい、現に彼女は素晴らしい人なんですよ。そうでなければ
主任になんてなれませんよ。……ついでに、私が保証しておきます」

595:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(12)
06/05/12 01:08:12 a48LehO80
 そんな保証なら、ないのと同じね―と、きっと彼女がこの場にいたらそう
切り返すに違いない。ふと、リーブの脳裏にそんな考えがよぎった。
 それにしても、妙にリアルな再現映像が頭の中には流れている。知り合って
まだ間もないというのに、よほど強く印象に残っているのだろう。
「私の保証なんて意味もないでしょうし、きっと彼女ならすぐさま断るでしょうが」
そう言って笑う男の反応から見ても、リーブの考えはあながち的外れではなさ
そうだ。
 そう考えるとなんだか可笑しくなって、リーブも笑った。その姿を見て、彼は
少し安堵したような表情を向ける。
「立場上、さまざまな部署から依頼を受けますが……あなた方と一緒に仕事を……」
 言いかけて、不意に男は言葉を切った。先ほどまでの笑顔が一瞬で消える。
「すみません。本来、私の口からこのようなことは……」
 話すべき事ではない、男はそう言った。まるで沈黙を嫌うようにしてリーブは
すぐさま反論した。
「人間ですから、何かを思い、感じるのは仕方のない事だと思います」
「ですが、それを仕事に持ち込むのはプロのやることではありません」
 彼の持つ高いプロ意識には敬服する。しかし、感情を全て否定してしまっては
身も蓋もないのではないか? リーブはそう思った。
「私たちは確かにプロです。しかし、プロである前にひとりの人間でしょう? 
それを否定してしまっては……」
「あなたのおっしゃる通りです。ですが、それを大切にするあまり、任務の遂行に
支障を来すようなら……それは我々にとって、無用の長物でしかありません」
 彼の言葉を聞いて、リーブは返す言葉を見失った。人の持つ、人であるが故に
持つ感情を否定されたことを受け入れるまでに、些か時間がかかった。
「……それが、あなた方タークスだと?」
「ええ」
 彼は真っ直ぐにリーブを見て頷いた。揺るぎない自信、確固たる信念。そんな
物を身に纏っているような、強さを感じた。
 都市開発などよりも厳しい現場に直面する総務部調査課・タークスの一員たる
誇りが、彼にそれを与えているのか。それとも、数々の任務を経て身につけた
ものなのか。

596:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(13)
06/05/12 01:13:30 a48LehO80
 いずれにしても、自分にはない物だとリーブは思った。
「……私はまだまだ甘いんでしょうね。本音を言えば、あなた方の様になれる
自信がありません。タークスの協力がなければ、先の魔晄炉建設計画は頓挫して
いたでしょう。本来ならば私たちの力で完遂すべき計画だった、……筈なんですが」
 それは配置転換が行われる直前、リーブが関わっていた都市計画の1つだった。
計画の前に立ちはだかった最大の障害は、住民達だった。魔晄炉建設予定地の
一部はすでに居住区として機能していたのである。
 そこでリーブ達は住民達の説得に乗り出した。可能な限りの時間を割いてリーブは
住民達との交渉に当たった。その後、これに応じなかった者達への対応を都市開発
部門は総務部調査課へ依頼した。ここでふたりは知り合うことになる。
 総務部調査課の働きもあって予定通り着工を迎えることができた。しかしこの際、
彼らがどのような手段を使ったのかは、神羅内ですら正式には公表されていない。
 仮にどれほど強く現地住民が反発したとしても、神羅が魔晄炉建設を諦めるはずが
ない。となれば大方の予想はつく。都市開発部門が提示した条件をのまない、あるいは
呑めない者達に対して残された手段は、強制排除しかない。
 たしかに全力は尽くした。決裂した交渉の前に行き詰まったリーブ達を救い、道を切り
開いてくれたのは総務部調査課だった。だが、このやり方が果たして最善の策だった
のだろうかと、今でも思い悩む事はある。
 魔晄エネルギーは神羅にとって重要な収益源になりうる。同時に、ミッドガルの住民
にも富と豊かさをもたらしてくれる。それ自体に嘘偽りはない。
 少なくともリーブはその信念の元に、都市開発事業に取り組んでいる。
 ―それを住民達に納得してもらう方法は、他に無かったのだろうか?
    力で排除する以外に、方法はあったのではないか?
    私たちの声を届ける方法が、他にも……。

597:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(14)
06/05/12 01:16:03 a48LehO80
 もう何度目になるか分からない自身への問いかけに、リーブは小さく頭を振った。
過ぎてしまったことを悔やんだって仕方がない。そして、彼らタークスがいなければ、
魔晄炉建設計画は間違いなく暗礁に乗り上げていた。彼らには、どれだけ言葉を尽く
しても感謝を伝えることはできないだろう。
 ただ、都市開発部門―もとい、自分の手を汚さずにいておいて、そんな風に思う
のは虫の良い話だと、同時に罪悪感を抱くのだ。
 魔晄炉建設はもう後には引けない、引くわけにはいかない。とすれば、自分が
最後まで携わることで結果を残そう。それが、ミッドガルの住民達に対する最低限の
責務であり、最高の仕事になるのだと―そう決意した矢先の配置転換だった。
 ―だから聞きたかった。管理課へ回された理由を。
    魔晄炉建設から離れてでも、ここへ来なければならなかった理由を。
 煮え切らない思いを、どこへぶつければいいのだろう? そんなリーブには感情を
「無用の長物」として否定できるはずがない。
 だが―いや、だからこそ。彼の言っている事が正しいのだとも思う。結果として
回答が得られなければ、思いになど何の意味もないのだ。

598:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(15)
06/05/12 01:22:37 a48LehO80
 出口の見えない迷路の中を思考が迷走する中で、自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
「リーブ。あなたが、我々の様になる必要はありません。……いいえ」
 その声はとても力強く、まるで迷路の出口へと導くように響いてくる。
「あなたのような人が、これからは必要なんです。もし、できれば覚えておいて下さい。
今回の配置転換は……彼女の賭でもあるのです」
 彼は話しながら腕時計を見て立ち上がる。そろそろ、時間だ。
「待ってください?! ……それは、どういう」
 顔を上げたと同時に、リーブの胸ポケットから彼を呼ぶ電子音が聞こえてきた。
それを見下ろして男はやれやれと言いたげに微笑んだ後。彼は表情を見せない
ようにとリーブに背を向けた。
「私は、……あなた方を信頼しています。あなた方には我々……いえ、私のようには
なってもらいたくない、……というのは私の勝手な思いです」
 そう言ってから振り返った彼の表情は、いつもと変わらないものだった。
「私が、あなたを信頼しているように。彼女もまた、あなたを信頼し期待しているのだと
思います」
 もちろん確証はないものの、おそらく間違いありませんと付け足して。

「どうか彼女を助けてあげてください。彼女を救えるのは……あなただけなんです、リーブ」


599:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(16)
06/05/12 01:30:40 a48LehO80
「ちょっ……!」
 問い返そうとしたリーブを遮ったのは、ずっと放っておかれている胸ポケットの
携帯電話の甲高い電子音だった。彼はリーブに向けて電話に出るよう促す。が、
そんな彼の胸ポケットからも同じような電子音が聞こえてきた。
 ふたりは互いに顔を見合わせ苦笑しながら、それぞれの携帯を取り上げて
通話を始めた。
『……リーブ君、あなた何やってるの?!』
『主任、大変です!』
 端末の向こうから、それぞれの持ち主の名を呼ぶ声がほぼ同時に告げる。

 ―『ミッドガル魔晄炉建設予定地付近に、軌道を外れたものと見られる
    試作ロケットが墜落。死傷者、被害状況等の詳細は今のところ不明。』

「なんですって?! 場所と状況を詳しく教えてください!」
「……分かった。今すぐ戻る」
 ふたりは携帯を手にしたまま、別々の方向へ走り出した。
 リーブが見上げていた青空に伸びる一筋の雲がたどり着く先と、彼らが目指す
地点は、同じだった。




----------
・大風呂敷広げて夢を見すぎた。後で反省しながら畳もうと思う。
・尚、ロケットの話はFF7本編Disc3ミッドガル上陸後(ウェポン襲来前?)のシドより拝借。
 設定資料とかにこの辺の年代記載があったら目も当てられないw。

600:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/13 01:04:19 /Np77KcU0
ロケット墜落ktkr!都市開発協力の内幕が面白いです

601:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/13 13:30:37 onyAmoyX0
>>584-599
女性上司がリーブを呼んだ理由が気になります。
最終的にミッドガルを守れるのは彼しか居ないと思ったんでしょうか。

ついでにロケット墜落でシドとシエラも出て来るのかな?
と、期待sage。

602:DC後 【62】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/13 14:26:38 onyAmoyX0
>>508-509 >>514 >>510-512 >>515-518 >>535-538 >>573-577の続きです。
それ以前は >>508から辿って下さい。(理由は>>573)

広大なミッドガルの瓦礫の山の中でヴィンセントを探す…という
不毛な作業を続けるクラウドとバレットの所にシドがやって来た。
「リーブが呼んでるんだとよ。」
クラウドとバレットは顔を見合わせた。
「おい、まさか探すの止めろって言うんじゃねぇだろうな。」
「いや…そんな事は言ってなかった。が、なんだか要領を得ねぇ…ってか…」
なんでも3人揃ったら話すとのことらしい。
だったら行って話を聞く事だとリーブの居るWRO本部に向う事にする。
道すがら、シェルクの話になった。
「あの娘はどうだ?倒れたって聞いたときはびっくりしたぜ。」
「今ではすっかり元気だ。時々寝込む事はあるが、大した事はないらしい。」
「マリンやデンゼルとも仲良くやってるそうだ。」
「そーか、そりゃ結構。」
シドは満足げに頷く。
「俺も忙しくて見舞いに行けなかったからよ、気になってたんだ。
時々ナナキのヤツがメールくれたんだが…俺も忙しくてな。」
「今、暇なヤツなんか居ねぇだろ。俺だってマリンに会いに行けねぇし。」
「ったく、ヴィンセントの野郎、どこに隠れてやがるんだぁ?シエラも心配してっしよ。」




襲撃の傷跡が生々しく残るWRO本部の巨大なビルの前に佇み、
3人は上空遥か彼方にある局長室を見上げた。
「随分やられているな。」
「…なんだか嫌な予感がするぜ。」
バレットは高層ビルを見ると、嫌な事を思い出さずにはいられないのだ。
中に入るとがらん、としていて誰も居ない。

603:DC後 【63】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/13 14:27:08 onyAmoyX0
電力が回復していないのか薄暗く、床や柱には銃痕があり、
かつての賑やかさを知るシドは思わず溜め息を吐き、そして煙草に火を点けた。
「ま、こんな調子じゃ、禁煙だなんだ言う奴はいねぇだろ。」
そして突き当たりにあるエレベーターを見ると、見事なまでに破壊されている。
「で、エスカレータも動かないってかぁ?」
回廊の上の方見て、シドとバレットはあんぐりと口を開け、
何も言わずに階段を上り始めたクラウドの後にしぶしぶ続く。
「リーブの野郎、毎日この階段を上ってんのか?」
「ケット・シーはともかく、アイツ、俺らより年上だよな?」
半分上った所で、真っ先に音を上げたのがシドだった。
「俺みたいにタバコ吸う奴にゃ、キツイぜ、この階段。」
階段にどっかと腰掛けて、首にかけていたタオルで汗を拭う。
「おい、行くぞシド。」
バレットは容赦ない。
「うっせぇなぁ、ちょっと休ませろよ。」
シドはうんざりした口調で言うと、また煙草に火を点けた。
これはなかなか動きそうにない。
「悪いが俺はもっと長い階段を上った事があるんだよ。これくらいなんともねぇさ。」
バレットが言っているのは、神羅ビルのあの長い階段の事らしい。
あの時、さんざゴネてティファを困らせた事は
ここでは黙っていた方ががいいな、とクラウドは思った。
かと言って先に行くと言うと、親父二人に文句を言われているのは目に見えてるし。
ポーカーフェイスのまま、うんざりとそんな事を考えていると、
書類の束を持った女性隊員が通りかかった。
3人の姿を見ると、直ちに敬礼すると、遠慮がちに、
「ところで…皆さんはこんな所で何をしておいでですか?」
「リーブの野郎にに呼ばれたんだ。」
「それで、この因果な階段を上ってる所だよ。」
女性隊員は言いにくそうに、
「あの…エレベーターが使えないので、局長室は2階に移ったのですが…」

604: ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/13 14:27:57 onyAmoyX0
短くてごめんなさい。
うまくいけば、今日明日には完結するかもです。


605:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/14 00:46:30 pScTXxYL0
> 「あの…エレベーターが使えないので、局長室は2階に移ったのですが…」

腹痛い、ホント腹痛いw
リーブ(DC1章)という人物像をここまで的確に表現し、かつオチを着けてくれる作品を
拝見できる日がくるなんて!!
おいリーブ早く言えよ!と、大クレーム勃発の予感!!に期待sage。
(しかもこの後2Fまで下ることも考えると、結局上まで行くのと同じ距離になるんだよな…w)

いやもうホント幸せです。ありがとうありがとう。

606:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(17)
06/05/14 00:56:27 pScTXxYL0
>>594-599より。
----------

                    ***

 依然として出力低下の続く飛空艇シエラ号は、コントロールルームで必死に
操縦桿を握るクルーの操縦技術と努力の甲斐あって、辛うじて航行を維持していた。
「チッ、……やりすぎちまったか?」
 目の前で倒れたリーブの身を起こしたが、気を失ったまま意識が戻ることは
なかった。シドとしてはそれほど強い力で殴っちゃいないのだが、などと言い
訳じみたことを考えながら、通路の壁にリーブの上半身を凭せかけてから、
腕組みをして吐き捨てた。
「まったく世話の焼ける野郎だぜ」
 さて、これからどうしてくれようか。ようやくシドが考え始めた。しかし彼が考えて
いるよりもシエラ号を取り巻く事態の進行スピードは早く、そして向かう方向は
悪かった。
 飛空艇全体に、けたたましい警告音が鳴り響いた。それから間もなく、艇(ふね)が
大きく傾きかける。シドはバランスを取るために壁に手をつき、なんとかその場に
踏みとどまる。幸い、飛空艇の方も体勢はすぐ持ち直したようだったが、警告音は
止まらなかった。
 艇に迫る危機と、操縦桿を握るクルーの焦る顔が思い浮かび、シドは勢いよく
立ち上がり呼びかけた。
「……おいリーブ、ちょっと待ってろ!!」
 意識のない彼から返答はないが、シドはリーブの身体を通路の隅に寄せた。完璧と
は言えないが、こうして2面の壁で彼の身体を支えていれば、急激な揺れにも少しは
耐えられるだろう。間違っても、艇が揺れるたびに通路を転げ回る、なんて事には
ならずに済むはずだ。
 それからシドはコントロールルームへと駆け込むと、扉が開くと同時に叫んだ。
「おい、どうした!?」

607:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(18)
06/05/14 00:59:36 pScTXxYL0
「艦長……!!」
 先ほどシドから操縦桿を託されたクルーが声をあげる。
「依然としてシエラ号の出力は低下中。それどころか、このままではじきに
……全てのコントロールを受け付けなくなります」
 シドが階段を駆け上がる間にも、彼の状況報告は続く。コントロールルームに
設置された、おそらくはシエラ号全艦に設置されたディスプレイで、同じ現象が
起きていた。
 “退避勧告”。画面には簡潔にその文字が表示されていた。階段を上りきって、
手近にあったディスプレイでそれを確認すると、シドは噛みしめるように呟いた。
「……オレ様に艇を捨てろってのか?」
 クルーは一度シドから視線を外すと、黙って頷いた。シドの顔を見て、それは
言えなかったのだ。
「出力低下に伴い、既に高度調節の機能は使えなくなっています。このままの
軌道で進めば……ミッドガル中央塔付近……あるいは、六から八番魔晄炉
付近に……」
「おい待て! それじゃあ地上部隊が巻き添えになっちまうじゃねぇか!!」
 シドはクルーが言い終える前に叫ぶと、今にも胸ぐらにつかみかかる勢いで
詰め寄る。無論、操縦桿を託されたクルーとてそれを望んで操縦している訳では
ない。
 しかし彼が口にしていたのは考えられる中で最悪の、同時に現段階で最も
起こりうる可能性の高いシナリオだった。確かにこのまま飛空艇が墜落すれば、
爆発の余波で魔晄炉のいくつかは破壊できるだろう。そうなれば当初の計画通り、
零番魔晄炉へのエネルギー供給を絶つことができる。
 しかし、地上にいるクラウド達はどうなる? 仮に魔晄炉ではなく中央塔にでも
接触してみろ、中で交戦中であろうヴィンセントやユフィ、WRO隊員達を一気に
失うことになりかねない。
 どこへ墜落したとしても、シエラ号に搭乗しているクルー全員が間違いなく……。
 それは、なんとしてでも避けなければならなかった。

608:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅥ(19)
06/05/14 01:05:06 pScTXxYL0
「ミッドガルに墜落……か」
 口に出してから、さらに嫌なことを思い出した。
 かつて神羅宇宙開発部門が作った試作ロケットが、ミッドガルに墜落した
時の話だ。当時、シドはまだ宇宙ロケットの正式パイロットにはなっていな
かった頃の出来事で、あの当時ミッドガルスラム街付近に墜落したとされる
ロケットは幸いにも爆発しなかったため事なきを得たのだと聞かされ、安堵
したことを覚えている。しかしそれ以降、宇宙開発への風当たりが社内で強
くなったことは間違いない。
 宇宙開発事業からの撤退を最初に提言したのは、都市開発部門だった。シ
ドは上官からそう聞いている。もっとも、今となってはどうでもいい話だ。
「……艦長」
 再び操縦桿を受け取ったシドに、クルーは神妙な面持ちでこう告げた。
「既にプログラムの起動準備は整っています。あとは……」
 それ以上は口にすることができなかった。飛空艇を放棄する選択を、シド
に下せと言うのは、あまりにも酷なことだとクルーは思った。
 しかし、それができるのはシド以外にはいなかった。

「このまま……ミッドガルに落ちる訳には行かねぇ……!」

 操縦桿を握るシドの手に、力がこもった。


----------
・(場面が飛びまくって分かりづらいですが、一応)ネロ戦後のシエラ号。

609:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/14 04:20:19 kTYdcOO80
シエラ号の続きキタ━━(゚∀゚)━━ッ!!
気を失ったリーブに声を掛けているシーンが(・∀・)カコイイ!!


610:DC後 【64】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:22:52 kTYdcOO80
>>508-509 >>514 >>510-512 >>515-518 >>535-538 >>573-577 >>602-603の続きです。
それ以前は >>508から辿って下さい。(理由は>>573)


「お呼びだてして申し訳ありません。」
局長室には書類が山積みになり、リーブの顔も疲労の色が濃い。
それでも仲間が訪ねて来てくれたのがうれしいのか、目を輝かせている。
が、すぐにシドとバレットが不機嫌そうなのに気付いた。
「…どうしました?」
「なんでもない。」
横からさらりと言ってのけたクラウドのせいで、リーブに文句を言う気満々だった
シドとバレとは気勢をそがれ、腹立ち紛れに、どかりと乱暴に来客用のソファに座った。
クラウドもリーブに勧められ、空いている一人掛けのソファに座る。
「どうしてもここから離れられないので、わざわざ来て頂きましたが…話とは、ヴィンセントの事です。」
「ま、そうだろうな。」
階段の事をまだ根に持っているのか、シドが不機嫌そうに答える。
「何か分かったのか?」
クラウドはそれを無視し、リーブに尋ねる。
「それが…」
言いにくそうに言葉を濁すリーブに嫌な予感を覚え、シドとバレットは身を乗り出した。
「なんだよ、ヤツの身になんかあったのか?」
「もったいぶらずに早く言えよ!」
「私…考えたんですよ。」
また話をはぐらかされて、シドとバレットはあっさりキレてしまう。
「勿体ぶんなっつってんだろ?」
「結論から話せ、結論から!」

611:DC後 【65】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:25:19 kTYdcOO80
二人の剣幕に目を丸くするリーブだが、簡単にペースを乱される彼ではない。
「順を追ってお話しますので…」
おだやかな口調で言われると、またもや二人のイライラのベクトルが乱されてしまう。
「わぁーったよ!」
「黙っててやるからさっさと話せ!」
「私…考えたんですよ。」
「そこからかよ!」
「クラウドさんとバレットさんが不眠不休で探しているのに、彼が見つからないのは何故かと。」
「その内の何日かは俺一人だったぜ。」
むすっとして、バレットが口を挟むが、リーブは無視して話を進める。
「私たちの誰もが彼の生存を信じています。なのに見つからないという事は、
彼はもうここには居ないのではないかと。」
3人は、ぽかん、とリーブを見つめる。
「じゃ…じゃあ、アレか?アイツは、無事なのにとっとと姿を眩ましやがったってのか?」
「おそらく。」
「俺たちが心配してるのを知ってか!?」
予想通りのリアクションに、リーブは考えに、考え抜いた返事をする。
「私が思うに…」
「おう、なんだ?」
「彼独特の奥ゆかしさではないかと。」
白けた空気が流れた。
シドとバレットは空いた口が塞がらず、クラウドは顔を手で覆ってしまう。
「随分と言葉を選んだな、リーブ。」
「皮肉ですか、クラウドさん?」リーブは肩を竦めた。「他に、どう言い様があるんです?」
口をぱくんと開いたまま呆然としていたシドとバレットだが、
すぐに目に光が戻り、ワナワナと震え始めた。
「二人とも、落ち着いて下さい。」
二人は同時に片足を応接セットの机の上にだん!と乗せると、
「落ち着けだとおおおおーっ!」
「これが落ち着いていられるかよ!」
「お二人とも、お願いですから座って下さい!」
リーブは必死で二人を宥める。

612:DC後 【66】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:27:36 kTYdcOO80
クラウドは、なんだか子どもの頃に見たサーカスの猛獣と猛獣使いの様だな、と
傍観していたが、さすがにリーブが気の毒になり、
「それで、ヴィンセントはどこに居るんだ?」
リーブに飛びかからんばかりの二人と、そしてリーブがクラウドを見る。
「リーブの事だ。もう居場所は分かっているんだろ?」
さすがに気恥ずかしくなったのか、親父3人はいそいそとソファに座り直した。
「おう、で、奴はどこに居るんだ?」
「私…考えたんですよ。」
「またそこからかよ!」
「だから結論から言え、結論から!」
「シド、バレット。」
クラウドは少し声を荒げる。
「とにかく、今はリーブの話を聞こう。ヴィンセントが無事ならいいじゃないか。」
「ったく、おめぇはどうしてこんな時でも冷静なんだよ。」
ブツブツ言いながらも、二人はとりあえず黙るが、
それでも眼光でリーブを威圧するのは忘れない。
それをさらりと受け流し、漸く話を続けられる状況にリーブは満足げだ。
「まず、命がけの戦いを終えた後、皆さんならどうします?」
この質問は効果的だった。
途端に二人は大人しくなり、誰かの顔を思い浮かべている様子だ。
「ま、仲間ん所に戻るかな。」
「そうだな。俺ならそれからマリンの所に駆けつけるな。」
そうでしょう、とリーブも大きく頷く。
「当然、皆さんを待っていてくれる人の所ですよね。でも…私の質問に真っ先に浮かんだのは、
それぞれの奥方だったり、恋人だったり、娘さんだったのではないですか?」
これはクラウドを含めて、3人とも図星だったので誰も言い返せない。
「待てよ、リーブ。けどヴィンセントにゃそんな相手は…」
言いかけたシドがあっ!と叫んだ。
「…あんの野郎!まさか!!」
「おい、シド、どういうことだ?」
まだ分からないバレットがシドに尋ねる。

613:DC後 【67】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:30:55 kTYdcOO80
「ヴィンセントはんは“ルクレツィアの祠”に居はります。」
ぽてん、ぽてん、とまたもや不思議な足音をさせてケット・シーが部屋に入って来た。
「わいがこの目で見て来ましたから、間違いないですわ。」
ケット・シーはよいしょ、と飛び上がってリーブの隣に座る。
「じゃあ、あの野郎…!俺らの事を放っておいて思い出の場所に駆けつけたのか…?」
バレットが再びわなわなと震え始める。
「皆さんもご存知の通り、彼はああいった性格ですから。」
「単に照れくさくて、みんなの前によう顔出されへんだけでっせ~。」
今度は1人と1匹での説得だ。
「あの野郎!俺等が心配しないとでも思ってるのかよ?」
「今すぐ洞窟から首根っこ引っ掴んで引きずり出してやる!」
ケット・シーが慌てて両手を振りながら、
「ま…待って下さい、バレットはん!ヴィンセントはんは悪気があったんとちゃいまっせ!
きっと皆さんやったら分かってくれる、そう思うて…」
「いくら俺達だからって、分かんねーよ!」
「悪気があったらもっと許せるかよ!」
バレットとシドにコワい顔を突きつけられ、ケットシーは毛を逆立てて飛び上がった。
「俺は…少し分かるな。」
クラウドがボソッと呟く。それを聞き逃す親父二人ではない。
「どういう事だ?」
「みんなが待っているのは分かってる…1年前、俺はそれが分かって救われた。でも…」
その活躍のせいか、配達先の街で知らない人にいきなり
握手を求められたりして大変だったとクラウドは説明した。
「だから…出て来ないんだと思う。」
「せやから言うたでしょう?ヴィンセントはんは奥ゆかしいおヒトやって!」
我が意を得たり、とケットシーとリーブが同じタイミングで頷いている。
確かに、いくら気心の知れた仲間とは言え、ヴィンセントは仲間内でも特殊である。
常人とは違う身体の持ち主だ。
彼が出来るだけ人とは関わらない様に細心の注意を払って生きて来た事を思うと、
(さすがのお二人も、これで納得するでしょう…)


614:DC後 【68】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:36:29 kTYdcOO80
リーブにとって、口下手クラウドがヴィンセントの立場で発言してくれるかどうかは、賭けだったのだが、
(やはり、3人一緒に呼んでおいて良かったようですね。)
作戦成功に、リーブはまたもや満足気に頷いた。
「ですから…今は彼をそっとしておいてあげましょう。大丈夫ですよ。
落ち着いたらひょっこり顔を出してくれまよ。
その時は何事もなかったかの様に、彼を受け入れてあげればいいだけのことです。」
穏やかなリーブの声が、静まり返った局長室に響く。
「…まぁなぁ…」
「アイツの性格を考えるとなぁ…」
説得成功!リーブがそう確信した瞬間、
「でもよ。ちょっとおかしいんじゃねぇか?」
「電話だろうが、メールだろうが、なんでも知らせられたんじゃねーのか?」
「そ…それは…」
情に脆い二人のこと、このセリフで決まりだと確信していたリーブは
思いがけない反応のすっかり狼狽えてしまっている。
「なぁ、リーブ、俺たちはな…」
「飛空艇団員に頭下げて抜け出して何日もミッドガルを歩き回って。」
「マリンにも会えずで、おまけに足が棒になっちまったぜ。」
「シェルクの見舞いにも行けなかったなぁ…」
強面2人に詰め寄られ、リーブは縋る様にクラウドを見るが、黙って首を横に振るだけだ。
ケットシーはとっくに姿を眩ませている。逃げ場はない。
「お前の言い分はもっともだぜ、リーブ。」
「それにヤツの気持ちも分からないでもねぇしよ。」
「そ…そうでしょう?」
リーブは引きつった笑みを浮かべる。
シドもバレットも同じ様に笑っているが、目が笑っていない。
「そこでだ。俺様にいい考えがあるんだ。」
にやりとシドが笑う。
「もちろん、お前も協力してくれるよなぁ?」

つづく。

615: ◆BLWP4Wh4Oo
06/05/14 04:37:22 kTYdcOO80
すいません、やっぱ、もー少しかかっちゃいます。
もーしばらくお付き合い下さいませ。

>>605

>リーブ(DC1章)という人物像

普段はダンディで上司にしたい男性No.1の局長も、
旅の仲間にはお茶目な所を見せるところがうれしくって、
DC1章のあのシーンは何度も繰り返して見てしまいます。
それとも、普段からあんな感じなんでしょうかね。
神羅時代の都市管理課としての重責、そして、WRO局長としての責務で大変だけど、
心から許し合える仲間と一緒の時はリラックスして欲しいなぁ…と思って書きました。

616:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/05/14 15:51:43 1q0JoqH+0
「彼独特の奥ゆかしさではないかと。いいww
おっさんらワロタw

保守。



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