FFの恋する小説スレPart5at FF
FFの恋する小説スレPart5 - 暇つぶし2ch316:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/18 01:22:09 BTfnD1Fo0
>>313-315
ありがとうございます(つд`)続編も投下させていただきます。

ジェノバ戦役から10年、かつてコレルプリズンと呼ばれた荒野に1組の父娘が訪れていた。
そこには、風化してしまったような2本の十字架と、それよりは新しい十字架が1本立っていた。
「これが、母さんと、父さんの奥さんと……」
マリンが言葉を選べずに視線を彷徨わせていると、バレットはその大きな掌をマリンの頭に乗せた。
「お前の、本当の父ちゃんの墓だ」

ダインとの約束を果たすのは、随分遅くなってしまった。幼い頃のマリンには厳しい話であったが
それでも、少し先延ばしにし過ぎてしまったのかもしれない。
しかし、マリンは事実をしっかりと受け止めてくれた。そして、バレットにこう言ったのだ。
「母さんと、父さんに会いに行きたい」

「ねえ父さん……私の母さんって、どんな人だった?」
バレットが朽ちてしまった十字架を、ちゃんとした物と取り替える作業をしているとマリンが尋ねた。
「そうだな……エレノアは、本ッ当に綺麗な人だった。もちろん、見た目だけじゃねぇぞ。
 気立ても良くて、明るくって……本当はな、父ちゃんの初恋の相手だったんだぞ」
「そうなんだ……。じゃあ、父さんの奥さんは?」
「ミーナは、とにっかく気の強い女だったな。結婚してからも、よく怒られたよ。
 けど、笑顔がすごく可愛かった。その笑顔に、やられちまったのさ」
「じゃあ……ダイン……さんは?」
「ダインは……村一番の悪ガキだったな。けど、誰よりも人を思いやれるヤツだった。
 俺とは、赤ん坊の頃からの仲だったけどよ……毎日毎日、馬鹿ばっかやってたなぁ」
バレットは、14年前に造られたワインのコルクを抜き、十字架に注いだ。
最後に3つの墓それぞれに花束を添えると、2人は目を瞑り手を合わせた。

― ダイン、随分時間がかかっちまったが、これで約束は果たしたぜ。
   エレノア、お前の自慢の娘は、こんなに綺麗な子になったんだ。お前そっくりさ。
   ミーナ、今はまだ無理だけどよ、いつか俺が星に還ったら、また手を繋いで歩こうぜ。
   ……俺は、お前等と会えて本当に良かった― 


次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch