06/02/27 21:01:40 QlxY8ScB0
頭上でノックと、鍵が回される音が聞こえ、マリンはハッと顔を上げた。
「ティファ!」
マリンはすぐに立ち上がって、地上へのはしごに駆け寄り、デンゼルも後に続く。
ティファが戻って来てくれたことと、これでマリンも落ち着くだろうと思い、
少し気が軽くなる。だが、降りて来たのは見知らぬ家族だった。
呆然とする二人に、
「あんたら…あの髪の長い女の人の知り合いかい?」
デンゼルが頷く。マリンは呆然として、それすら出来ない。
「逃げてる途中であの人に助けられてね。ここに来るようにって、鍵をもらったんだ。」
父親の方が鍵をデンゼルに渡す。
「ティファ…は?」
「行かなきゃならないところがあるって…私達のジープを貸してあげたんだよ。」
二人はいかにティファが強かったか、どれだけ感謝しているかわからない、
と語るのがデンゼルには誇らしい。
が、マリンの口がどんどんへの字型になるのが気が気でない。
その時、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。
デンゼルは救われた気がして、話が終わらない家族連れと、マリンに、
ご…ごめんなさい…ちょっと見て来ます!」
そう言って、慌ててその場を離れた。
泣いているのはミミが抱いてる赤ん坊だ。
「どうしたの?」
「デンゼル…ミルクはあるんだけど…水が足りないの。」
ティファはちゃんと非常用キットを用意していてくれたのだが、
避難する人数の方が多過ぎた。