FFの恋する小説スレPart5at FF
FFの恋する小説スレPart5 - 暇つぶし2ch180:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(1)
06/02/25 00:47:38 MohZOVm80
前提に>>161-164
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 奥で電話が鳴っている事は分かっていた。彼女はカウンターで洗い物の最中
だった事もあり、受話器は取り上げられないまま電話はしばらく鳴り続けていた。
 ティファは手を休めて様子を伺うように振り返ったが、呼び出し音が収まる様子は
一向にない。よほど緊急の依頼なのだろうかと内心で思いながら、あきらめたように
蛇口を閉めて簡単に手を拭くと、足早に階段を上った。
 受話器を取り上げる前に深呼吸をする。いつもそうしていると言うわけではなかった
が、何かいやな予感がしたのだ。これと言って思い当たる節はなかったのだけれど、
こういう予感は得てして当たるのだと相場が決まっている。
 しかし、鳴り続ける電話を無視することはできなかった。手を伸ばし受話器を取り
上げる。
「……はい、ストライフ・デリバリー・サービスです。当社はなんでも……」
 決まり文句ではあったが、ティファが全てを言い終えないうちに電話の向こうにいる
相手の言葉が重なった。
「1件、ご依頼したい事があるのですが」
 聞こえてきたのは、とても穏やかで落ち着いた口調の男性の声。一言一句ていねいに
発音されていて、なんだか聞いていると安心するような不思議な心地がした。
 受話器を通して声だけを聞けば紳士的だったけれど、それだけに引っかかる。
「……どちら様ですか?」
 相手に姿が見えないことを良いことに、ティファは思いっきり怪訝な表情を作って見せた。
自分が誰かも名乗らずに、話を遮ってまで一方的に依頼内容を話し出そうとするなんて、
電話の向こうにいるのはなんて傲慢な人物なのだろう、と。
「『ボクの事、忘れてしもたんやろか~?』」
 すると急に、緊張感を吹き飛ばすような間延びした声が返ってきた。こんな妙な口調を
する人物に心当たりは1人―いや、1匹?―しかいない。その愛くるしい姿が脳裏に
よぎった途端、ティファの表情は和らいだ。


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