06/02/23 01:05:34 prxFVoJV0
舞台:FF7Disc3(最終決戦前)
(DCのネタバレはありません。)
設定:DCFF7であったというインスパイア能力保持者※1
AC公式サイトの小説の設定は依然としてお借りしています。
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フロアの床を埋め尽くしているのは、継ぎ接ぎを施してようやく繋がった
おびただしい量の配線コードと、飛び散った窓ガラスや照明の破片、その
上には誰の物とも分からない荷物や書類などが散乱していて、文字通り
足の踏み場もなかった。幸いにも日はまだ高く、メインの電力供給を絶たれた
室内でも作業に充分な光度が保たれていた。
いまや瓦礫に埋もれてしまったフロアを目の当たりにすれば、多くの者は
愕然と立ち尽くすだろう。こんな状況で何ができるのだろう? と。
しかし、彼は違った。
迷うことなく倉庫へ向かい、傾いたドアをくぐって奥にあった自家発電用
バッテリを持ち出すと、それらを手早く機器に接続しはじめた。ものの30分で
必要最低限の動力を得て機能を確保すると、休む間もなく各部署との通信を
試みた。
足元に散乱するフロアタイルの残骸やガラス片などに混じって、茶色い土が
混じっていたことにも気が付いていた。その正体にも心当たりはあった。それ
でも手を止めず、ひたすら作業を続けた。彼が作業を始めてからもう何時間に
なるだろうか? 処理を終えた書類を投げ落とし、新たに出力された書類を渡す。
鳴り止まない電話を横に置き、とにかく必死に作業をこなした。我々に残された
時間はあまりにも少なかった、休んでいる暇などない。ミッドガルの構造を知り、
あらゆる通信設備を駆使して、一刻も早く全住民にこの危機を知らせなければ
ならない。
しかも混乱を招かないように、彼らをスラムまで誘導する。与えられた猶予は、
たったの7日。
完全に成し遂げることなど、とうてい無理な事だとは分かっていた。だから
目標値をあらかじめ設定しておいた。全住民の63パーセント―綿密な計算の
果てに出された数値は、ようやく過半数を上回る程度でしかない。ミッドガルという
都市を知り尽くしているからこそ、誰よりも間近で現実を直視しなければならなかった。