05/12/19 18:26:31 NhWw5uI40
街の光に霞みながら、大気の向こうに星が瞬く。
「……うるせえ。燃料代はケットが……クソッ、わーってらあ!
何度も云うが、仲間の情報なら回さねえからな」
けどよ。お前さん、生きてて良かったぜ。
休むシエラにも。電話の相手が誰であるか分かった。
本来。神羅のエンジニアパイロット、即ち将校であったシドに
クラウド一行の情報提供が求められたのは、当然の事だった。
反逆罪にも敵前逃亡罪にも問われず、村に追っ手も現れない不自然。
シドは言う。
「神羅としても、ジェノバとウエポンを倒さなきゃなんねえからな」
冒険者への裏切りやスパイなどありえない明快な性格。しかし。
この問いへの答えは、まだ―ない。
「小難しい顔してんなあ」
「きゃあ!」
近視のシエラさんにもよく分かるぐらい、ものっそいアップの艇長。
「……艇長」
「あん?」
「あ、あの、って……手、握っていいですか?」
冷えた小さな手を。熱い拳が包む。
シエラさんは、嬉しそうで。艇長は少し困ったように笑って。
戦いの前の、穏やかな時間が流れてゆく。
おわるよ