FFの恋する小説スレPart5at FF
FFの恋する小説スレPart5 - 暇つぶし2ch50:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/05 18:46:41 N0dlQX5X0


51:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/05 19:05:55 3X+9wBTE0


52:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/05 21:08:34 8iKQAHY30


53:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/05 22:42:10 NQJDBSXI0
んー

保守は1日1レスで十分かと

54:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/05 23:38:40 kErq7UiN0
おいおいスレが1番最後だったぞ危険

55:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/06 09:46:29 /VyK7t2cO
ageとくね

56:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/07 00:40:39 dJK5Gxww0
保守しますよー

57:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 00:54:48 6IwJEYDc0
ほしゅ

58:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/09 02:28:43 fSZqXKQv0
ほす

59:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/09 19:39:49 dXX9q8fS0
ほしゅしゅ

60:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/10 15:39:27 1BPtIjeU0
ほす

61:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/11 05:15:56 j7P2uJ9t0
保守乙です。自分も保守のお手伝いすます。
今年が皆様にとってよい年でありますように。

>42
いつもお世話になります。ありがとうです。

62:脱出 1/4  ◆SIRO/4.i8M
06/01/11 05:17:56 j7P2uJ9t0
 ここはどこだ? 檻の中にいるらしい。
扉のない、鉄製の檻だ。
鉄格子は頑丈だ。
檻は天井から釣り下がっている。
床には何も無い。
鉄格子の隙間から装置が見える。

  手持ちの物:
  ファイアしか使えないマテリア
  六得巨大包丁
  ディオのサイン色紙

 上の物はともかく、下のアイテムは使えそうにない。

 巨大包丁でレバーを動かす。
届かないようだ。
マテリアを装置のレバーに投げてみる。
レバーに当たらず、戻ってきた。装置は動かない。

「ニャー」
猫屋敷の猫だ。
 猫がマテリアにじゃれつき側に来た。
猫の首輪からリモコンを手に入れた!
「何故こんなところにこんなものが」
リモコンで檻から脱出しよう。
「ユフィめ……」

63:脱出 2/4
06/01/11 05:19:06 j7P2uJ9t0
 あの日は、お互い酷い体調だった。
飛空艇の上下動と振動で意識が朦朧としていた。
むしろ魂が抜けそうだった。
「はう……マテリアはこれで全部アタシの物だね!」
 何故サインしてしまったのか。
パーティで使うものは共有なのに。
それでいてマテリア育成は、何故か俺の役目だ。
「だってー! クラウドならいつでも戦闘になるし!」
いつでもって何だ?

「とにかく、マテリア契約書を取り戻すんだ!」
 廊下に出た。壁に何かあるようだ。
『かめ道楽新メニュー!
 炎の味わいイフリート鍋!
 お祝い事はぜひ、のみ処かめ道楽へ!』
……有益な情報はないようだ。ん? 端にメモがあるぞ?
『九字印』
なんだろう、これ。

 階段を上がって、ユフィの部屋に来た。
「やっぱり」
ドアには鍵がかかっている。
脱出が目的なのか、契約書探しか分からなくなってきた。
「どこかに鍵がある筈だ」

64:脱出 3/4
06/01/11 05:20:40 j7P2uJ9t0
 ちゃぶ台の下に、小さな鍵を見つけた。
「化粧箱の鍵か?」
鏡台が開いた。手裏剣を手に入れた。
 箪笥と柳行李は?
「やめておこう」
女の子の部屋を漁る不審者になりたくない。
もうなってる事は考えないでおく。

 鶴の敷物の下から、クナイ。
丸撃風呂敷を開けると『前は座禅也』のメモ。
弁天の衝立は『 臨兵闘者皆陣烈在前』のメモ。
あんどんの中に、三角手裏剣。
花瓶から、車手裏剣……。
「うーん」
 鍵につながるものは無さそうだ。
どこかから聞こえる忍び笑いが怖い。

 改めて地下に戻る。
床から撒きビシ、忍法秘術書、十方手裏剣、忍び熊手。
掛け軸の裏から、升目のメモ。
稲荷像には何もないようだ。

「アイテムを組み合わせてみるか」
手裏剣から、大きな鍵が出来た。
「これをどうするんだ?」

65:脱出 4/4
06/01/11 05:22:07 j7P2uJ9t0
 繰り返されていたのは手印。
九字を格子状に組む時もあったはずだ。
 確か印は。次々と指を組み、九字を唱える。
「臨める兵 闘う者 皆 陣破れて前に在り」
途端にお稲荷さんが回転し、絨毯の下に扉が出現した!

 鍵で扉を開ける。真っ暗だ。
ディオに謝りながら、ファイアで色紙を燃やす。
ようやく契約書を見つけた。

「ずっるーい!」
「うわあ?!」
ユフィが天井から飛び降りて来た。
「アタシずーっと隠れてたんだからね!」
「とにかく契約は無効だ」
「……だってさ、クラウド」
 ユフィが寂しそうな顔をした。
「みんな離れ離れじゃん。すぐには会えないよ。
 いつでも全員でアタシのマテリア使えるようにすれば、
 それでみんなと繋がるじゃないか」
「皆。いつだって仲間だろ?」

 ユフィがはにかむ。うまく誤魔化された気がする。
ヒントを置いた労力を考えて、はぐらかされておこう。


END

66:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/12 01:40:17 pQ2y4btx0


67:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/13 00:09:10 ep/GPGaB0
乙です!

> 女の子の部屋を漁る不審者になりたくない。
> もうなってる事は考えないでおく。
ワロタ
他人様の家宅への不法侵入と物色が許されるのは
どこの世界でも勇者の特権。そう言うことですか?
そう言うことなんですねクラウドさんw

68:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/13 19:38:50 Q8FCb/r+0
良スレage

69:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/13 20:20:32 2jmFB69f0
キモスレsage

70:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/15 02:46:18 ZNa4y3sF0


71:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/16 03:10:54 63ZfG4Dw0


72:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/16 23:43:23 G2rRmyYbO


73:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/17 19:24:17 C2zazRtN0


74:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/17 19:24:35 /I8zArua0


75:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/18 22:42:02 NvLQWUAWO


76:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/19 20:55:59 dyABZcSW0


77:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/20 09:23:16 Lqc08w0a0


78:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/20 11:31:36 QhlR3av2O


気が付いたらノベライズスレが落ちていた・・・

79:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/20 12:44:40 w2QBlwgb0
復活。

かなり真面目にFFをノベライズしてみる。その5
スレリンク(ff板)
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5
スレリンク(ff板)

80:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/21 17:10:38 cAAy1nZ+0
>79
復活キタ━━━(゜∀゜)━━━ !!!!! 乙です。



81:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/22 17:09:15 mD12ElZD0


82:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/23 17:57:34 an7YeXACO


83:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/24 00:25:21 HUIzE7TN0


84:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/24 22:58:40 quMhrvFlO


85:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/25 20:40:30 87dMfE+U0


86:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/25 20:48:05 VMtiWZMx0


87:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/26 00:17:20 wAX+ddFB0


88:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/26 19:18:22 dju4jbte0
ほぼ味醂と醤油本出汁炒り子出汁味FF小説期待sage。
保守乙華麗様です。以下ネタバレがちょこっとあります。

89:天駆ける船 1/4  ◆SIRO/4.i8M
06/01/26 19:19:25 dju4jbte0
  みんなに、お別れを告げました。
  ぼくの意識は、そこで終わりました。

「……うーん」
「気がついたもんよ!」
「無事?」
 黒魔導士の子供が、目前の少年達にうろたえる。
体躯のいい日焼けした少年。銀髪と赤い瞳の少女。
「ぼくは?」
「森で倒れてたんだもんよ! サイファーが助けたもんよ!」
少年は満開の笑顔を子供に向けた。

「サイファーだ。覚えておけ」
「我名。風神」
「雷神だもんよ! 名前教えるもんよ!」
 アレキサンドリアとリンドブルムに手紙を出して、
黒魔導士の村で倒れた少年。
「……ビビです」

 黒魔導士の子供は、ぴったりとサイファー一行に張り付いた。
どうしていいのか分からないようだった。
自販機の使い方を知らず、携帯すら首を傾げる。
「記憶喪失?」
風神の質問に、ビビは口ごもった。

  覚えてはいるんです。だけど。だって、僕は……。

90:天駆ける船 2/4
06/01/26 20:04:59 dju4jbte0
「ここに居ればいい。思い出すまで、俺の家来だぞ」
そう語るサイファーの声は優しかった。
「学校の宿題めんどいもんよー」
「学校……?」
 学校は人間の、それも貴族だけが行くものだった。
黒魔導士達は人ではないので、本を取り寄せ互いに教え合っていた。
それがビビの世界だった。

 雷神が虫取りに行くと言うので、一行もついていく。
ビビの世界を思わせる深い森。
枝の軋む音と同時に、魔物が剣を突き出す。
サイファーの銃剣が疾る。風神の刃が敵にめり込んだ。
その背後に魔物が飛び出した!
 ジハード。禁じられし暗黒の魔法。その炎が魔物を殲滅する。
「ビビ、すごいもんよ!」

 騒動が起こった。ビビの姿をした魔物が、路上に現れたのだ。
目に涙を貯め、声を殺して黒魔導士が震える。
信じるよと風神が答える。
雷神もサイファーも怒っていた。ビビを傷つけるな、と。

「もう、この街にはいられないなあ……」
穏やかな街だった。やんちゃなサイファー達が好きだった。

91:天駆ける船 3/4
06/01/26 20:06:11 dju4jbte0
「電車って言うのに乗れば、きっと遠くに行けるよね」
「止。待」
「どこに行くんだもんよ!?」
 ものすごい勢いであっさり見つかりますた。
「ビビの記憶だが」
サイファーが、ビビの肩に手を置いた。
「知ってる奴がいるかも知れない。お前ならきっと行ける」

「えー次の停車駅はー」
激しくビビっぽい車掌さんが、目的地を告げる。
 お侍さんが立ってました。
「お前も死人か?」
「わ、わからないです」
 紆余曲折の末、ド迫力の剣士が帰って来てた訳です。
目前のアーロンからすると、ビビはまるで幼稚園児だったりします。
「なるほど。以前の世界を覚えているのか」
「そうみたいです。でも、帰れない……」

  サイファー達は親切だけど、あんまり迷惑かけちゃいけない。
  帰りたい。魂だけでも。

「帰れるはずがない。俺とお前は似ている」
アーロンの潔い断言っぷりに、ビビの落胆は深い訳で。
「お前の仲間が、ここにも必ずいるはずだ。それを探せ」
「……はい!」

92:天駆ける船 4/4
06/01/26 20:06:58 dju4jbte0
「どうしよう。戻って来ちゃったよ」
「ビビ!」
タックル級の素早さで、サイファー一行が飛びついた。
「情けないぞ、雷神」
「心配したもんよー。ビビがそのままあの世に戻ったら、 
 そりゃあんまりだもんよー!」

  知ってるんだ! 
  この人達は知ってて、ぼくを仲間だって。

 ビビの胸が一杯になって。
そこにいるのは別世界の人間ではなく、確かに仲間であったので。
「帰宅、嬉」

 頬を赤らめ狼狽するビビの横から、涼しい声がする。
「化け物がビビのふりをしていたらしいが。災難だったな」
「みんな……それで納得してくれるでしょうか?」
「賭けてみようぜ」
 不意の突風。少年の帽子が風に浮き上がる。
帽子の下の澄んだ瞳に、巨大な飛空艇が映った。
「ブラックジャック号で」
夕映えの中。セッツアーの飛空艇がうなりを上げる。

 少年の目に映るものは─未来。

END

93:FF7AC後【1】
06/01/27 17:23:33 8GajF/8t0
早く切り上げたいけど、でも、久しぶりだから念入りにしなきゃ…

ジレンマの結果は「出来るだけ急いで念入りに」で、
いつも通りの時間になってしまった。
髪を乾かすのがもどかしい。
こんな時は長い髪が少しうっとおしくなる。

今日は久しぶりにクラウドが早く帰って来たのだ。
それでも、時間はとっくに深夜を回っていたのだが。

軽めの夕食を済ませ席を立つと、
クラウドは明日の予定を手短かに伝えた。

「だから、朝は少しのんびり出来るんだ。」
「そうなの?」

少しはしゃいだティファに、クラウドは顔を少し赤くして、
消え入りそうな声で呟いた。

「…あぁ。だから今日…」
「うん?」
「待ってていいか。」
「…え?…あ、うん…」

94:FF7AC後【2】
06/01/27 17:24:06 8GajF/8t0
するとクラウドはティファの顔も見ずに
さっさとシャワールームに消えてしまった。
取り残されたティファは短か過ぎる言葉と、
彼の態度を見て、漸く言わんとする事を察する。

「…もう!」

誘っているのなら、もう少し言い様があるのではないかといつも思う。

(あれじゃあ、明日の朝、早起きしなくていいから誘ってるみたいね。)

でも、あの言い方が彼には精一杯なのだ。
食事の間、少し落ち着きがなかった理由も今なら分かる。

(こういう時のクラウドって、本当に…)

ティファはくすりと笑うと、急いで後片付けを始めた。

洗い物をしていると、シャワールームの扉が開いて、
クラウドが2階の自室に引き揚げる音が聞こえた。

(やだ…)

なんだか、急に胸がドキドキしてきた。
クラウドが部屋で自分を待ってるんだと思うと、
うれしさと恥ずかしさで顔が赤くなる。
ティファは水仕事で冷えた手を火照った頬に当てた。

95:FF7AC後【3】
06/01/27 17:25:00 8GajF/8t0
(クラウドのこと、言えないか…)

残りの片付け物を終えると、着替えとタオルを持ってシャワールームに入る。
そうすると、ますます「今からします」感がこみ上げて来て、
冷静でいられない自分がいた。


漸く髪を乾かし終えた所で、秘蔵のコロンを足下に
シュッと一吹きだけスプレーする。
さっぱりした柑橘系の匂いがかすかに立ちこめる。

普段は口紅一本つけないのだが、
買い物に行った時にマリンが執拗にすすめてくれた物だ。

「クラウドもこんなさっぱりした香りなら好きだと思うな。」

の、一言にさんざん悩んだ挙げ句、
一番小さなアトマイザー入りの物を買ってしまったのだ。

(これ、使ってるの、クラウドと二人きりの時なんだけど、
 彼は気が付いているのかしら?)

暫くコロンのアトマイザーを眺めていたティファだが、
我ながら不毛な問いかけだと気付き、それを戸棚にしまう。
明かりを消す前にもう一度鏡に映る自分をチェックしてから
彼の待つ部屋へと上って行った。


96:93
06/01/27 17:34:33 8GajF/8t0
>>89
すいません、流れ考えずに投下してしまいました。

97:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/28 00:55:51 76qANnXM0
>>89-92
KH2未プレイなので、この作品の半分は白さんの
やさしさでできていると解釈しても…。
ビビ相変わらず可愛すぎる。サイファー、本編よりやんちゃっぷりが発揮されてていいね。
風塵雷神やさしいよ。それでもってアーロン潔すぎw、でも確かに境遇似てるんですね…。
……そして何より、扱いのひどかった(らしい)ギャンブラーがいい味出してて嬉しい!

>>93-95
2人のぎこちなさと、その中にある思いやりが伝わってきて、
思わずうっとりします。
でもって、読んでるこっちが恥ずかしくなるような2人がいいです。

98:93
06/01/28 16:41:57 VqAn9Z460
>>97
感想ありがとうございます。
また何か書いたら投下に参りますノシ

99:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/29 18:24:30 OHqNq3KIO
ウィッザティッサ!

100:東別院
06/01/30 11:00:30 pMVDEX640
鰈に100get!


101:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/31 17:21:39 srQszipX0


102:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/01 01:38:49 wU61VdCR0
とりあえず1日に1回保守

103:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/02 05:23:26 N87Aypre0


104:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/02 18:10:30 9JJuBthRO
あげ

105:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/02 18:36:23 ll7d4gw0O
>>95の続ききになります。

106:93
06/02/02 21:28:01 0T0fI3kz0
>>105
一応、あれでお終いです。ENDマークを入れ忘れましたm(__)m

続きも書きかけたのですが、エロになりますので、
ここに投下していいのか分からず、
千夜一夜のスレも投下していいのか分かりませんでした。

よろしかったら誘導お願いします。


107:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/02 23:04:58 DZbUXByp0
>>3に該当スレがあります。

一応この板は全年齢対象のため、エロはご法度とされています。
だから千一夜にも投下はしない方が無難です。(というかあそこは総合ですから余計マズイかと)
一時期削除云々で揉めたことがあるので、エロパロへの投下という形になってます。ご理解ください。
あと、行った先のスレの雰囲気は一読して掴んでおいた方が良いかも知れません。
良くも悪くもこことは違ってます。

108:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/02 23:08:54 IxNiQ1dy0
>106
エロパロ板にFF7スレがありますので、作者様がR21以上であれば
投下よろしくお願いします

109:93
06/02/03 00:23:33 I8TXOzix0
>>107
>>108
ご親切にありがとうございました。

前に>>3を読んで、エロパロ板に行ってみたのですが、
該当スレを見つけられず、ortとなっておりました。
アドバイス通り、もう一度行ってみたら無事辿り着けました。
(マカーなのでローマ数字が文字化けしていただけでした。不覚。)

確かにこことは違う雰囲気ですね。甘々なのは大丈夫のかなぁ…
明日、スレもう一度読み直して、いけそうだったら投下しますねノシ


110:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/03 23:28:35 RonA5eBfO
保守

111:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/04 21:11:01 GUSJl0NW0
保全

112:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/05 22:39:19 8m6KDvVy0
えーじーいー

113:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/06 19:59:48 at7evsjX0


114:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/07 20:30:52 0oLHCK6O0


115:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/08 16:55:28 qs8laUBH0


116:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/09 14:54:32 VDWIbpSx0
ri

117:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/10 17:59:05 LAWfUaEt0


118:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/10 18:12:56 9edjekOY0


119:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/11 14:55:58 E4aVo7h20
( ・∀・)

120:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/12 00:26:00 F6GAibmM0
( ∩∀∩)  ⊂( ・∀・)つ バァ

121:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
06/02/12 02:05:03 Vofy70Nm0
お久しぶりにて保守兼ねての投下です。
以下、DCFF7ネタでお送りします。
“DCFF7序盤をプレイ途中”の人にとって、一部(決定的ではないにしろ)ネタバレとなり得る
要素がありますので、ご注意ください。

※DCFF7の進行に準じた妄想です。本編ではこのようなことはありません…たぶん。

122:春を望む 1
06/02/12 02:16:00 Vofy70Nm0
舞台:DCFF7/7章時点での回想。
設定:DCFF7/FF7AC/AC公式サイトに掲載のOn the Way to a Smile
※  :これからDCFF7プレイを考えている方は、FF7のバッドEDを考えたくない方、
    …は、読まない事をお勧めします。(一部不完全ながらもネタバレ要素あり)







--------------------

 都は滅び、私たちのすべてを賭した闘いが終焉を迎えたあの日から、心のどこかで
還都を望んでいたのだろう。
 けれど残留魔晄による汚染は、私たちの子や孫の代、それどころかさらに先の代に
まで及ぶ負の遺産だった。あの場所へ戻ることなど叶わない。望む資格すら無いと
いわれても、反論のすべは無かった。
 長きにわたる戦役と世界の危機から数年を経た今、季節をなくした都市にも新たな
命は芽吹こうとしている。
 しかし、この地に本当の春が訪れるまではまだ遠く、この目でその遠景を望むことは
不可能になってしまった。
 叶わないと分かっていながら、それでも私は、誰よりも春を待ち望んでいた。

123:春を望む 2
06/02/12 02:21:41 Vofy70Nm0

 ―あれから3年。

 艇長最愛の者の名を冠したその艇は、雲を抜け大空を進む。荒れ果てた大地を眼下に
望みながら、窓外に広がる空の色は自分が幼い頃に故郷の大地から見上げた時と
変わっていないことと、大人になってからは見上げる余裕すらもなくここまで来たことを
知った。
 傷ついた仲間たちとそれぞれの思いを乗せ、いざ決戦の地へと我々を誘ってくれる。
 ―なにも変わっていない、そう思った。
 仲間の向けてくれる笑顔や、豪快な笑い声、進むべき道をしっかり見据える瞳も、通信の
向こうに見える仲間たちの姿も、あの頃と何一つ変わっていない。それはケット・シーが
見たハイウインドの光景そのままだった。嬉しかった。かけがえの無いものがそばにある。
『ほな、ちゃっちゃと行きましょか!』
 かつての都は、再び戦火に包まれようとしている。
 それでも―

                    ***

 制圧された本部ビルの最上層で、もはや何も映し出さなくなったモニターが目の前に
横たわっている。まるで痙攣するように、あるいは断末魔のように。モニターはちかちかと
火花を散らし、小さな電子音を何度か鳴らしながら、やがてすべての機能を停止させると
静かに最期を迎えた。
 真っ黒のモニターに、瓦礫を背にした自身の姿が映った。何もかもを失った3年前の
光景が、脳裏によみがえる。

 ―神羅ビル。

 そうかと気づく。これは私にとって二度目の敗北だった。

124:春を望む 3
06/02/12 02:25:11 Vofy70Nm0
 近づいてくる足音に顔を上げた。目があった彼の表情は相変わらず読めない。真っ直ぐに
視線を向けてくる彼は何も言わず、それでも口をついて出たのは。

「……情けないですよ」
 弱音だった。

「『ジェノバ戦役の英雄』なんてもてはやされても、このザマです」
 別に許しを請いたいのではない。無論、彼は私を責めているわけでもない。それでも心に
横たわるのは憂いにも似た虚しさと、強烈な罪悪感だった。
 あの戦いを経ても、武器を手にして実際に戦場に立てるわけではない。あの当時と何も
変わらない。そんな自分が惨めだと、今でも感じることがある。
 しかし目の前に立つこの男は違った。あの時も、今も。
「私も同じだ」
 彼は柔らかい口調で―私の心に揺蕩うすべてを否定した。
 私に落胆する間を与えず、彼は次にこう問うのだった。
「お前はここで止まるつもりか?」
 その言葉にハッとして顔を上げた。目の前の男は表情ひとつ変えずに佇んでいる。一瞬、
それが希望の使者であるようにも見えた。だがそれが幻想なのだと言う事は、背後の崩れた
壁面を見れば嫌でも思い知らされる。
(この絶望的な状況を目の当たりにして、なぜそんな風にして立っていられる?!)
 不死身の男に向けた憤りのような、憧れのような。そんな感情が渦を巻く。だからと言って、
それを直接向けるのはお門違いだというのも分かっている。ましてや彼が自ら望んで手に
入れた身体ではないことも。
 言葉を飲み込んでしまえば、自身の浅ましさを目の当たりにしたようで、彼を直視することが
できずに視線をそらした。
 私は無力だった。
 襲撃を受けた神羅ビルの上層から動こうとしなかった"彼"も、同じことを思ったのだろうか? 
そして今に至ったとでも言うのか?―居ない者に問うたところで、答えは返ってこないというのに。

125:春を望む 4
06/02/12 02:31:17 Vofy70Nm0
 ……あの日、ミッドガルが最期の時を迎えた日。
 何度も何度も鳴ったはずの電話。何かを告げようと、伝えようと必死に私を呼ぶ声に
耳を傾けなかった過ち―それらのすべてを賭けて、戦った。そして完膚なきまでに
叩きのめされた。
 失くしたものは数え切れないほどあった。
 では、それらと引き換えにして私が得たものは―何だった?
 どうして"私"は今もここに在り続ける?
 堂々巡りを繰り返す思考を断ち切ったのは、穏やかだが力強い声だった。

「時を止めた私に、前へ進むことを教えたのは……お前たちだったんだがな」

 半ば呆然とする私を置いて、彼はその言葉を残して去っていった。
 上司にするには厳しすぎる男だと、そう思うと自然と笑いがこみ上げてきた。
たくさんの犠牲を強いた、その上に自分が立っている。ならば、ここで止まって
などいられない。出資者に対する債務もあるのだ、欠損を出したまま終わる
わけには行かなかった。
「―まずは残存の設備・部隊の把握と立て直し。次に使えそうな通信設備を
使ってデータの移行作業、それから……」
 考え出してみればまさに猫の手も借りたい状況だ。リーブが苦笑しながら腰を
上げると、ちょうど同じタイミングで相棒が現れる。
『ほな、ちゃっちゃと行きましょか!』
 かつての都を目指し、再び戦いに赴く決心をさせてくれた彼らのためにも。
 決着を―

                    ***

 こうして乗り込んだのが飛空艇・シエラ号。オーバーテクノロジーと最新技術の
集合体、それは最後の砦たる最強の移動要塞だった。同時に内部には多くの
未知を内包しており、艇の全容を把握しているものはいなかった。そんな艇の
操縦桿を託せるのはシドしかいない。そして彼は見事に艇を制御している。
 とても乗り心地の良い艇だった。文字通り大船に乗った心地でいることができた。
だからこそ、心の曇りがはれることは無かった。

126:春を望む 5
06/02/12 02:35:43 Vofy70Nm0
「今日は本体なのか?」
 声をかけられるまで、フロアの中を移り行く景色を眺めていた。人工的に作られた
グラフィックは美しい風景を描き出す。季節を失くした大地の記憶を抱え、人間は
大空を進んでいた。
 顔を上げれば、そこには彼が立っている。数年前までは地下で眠り続けていた
この男を、最近では私がいつも見上げているなと気づく。
「……本部もなくなってしまいましたからね」
 苦笑しながら返した言葉に、彼は否定も肯定もせずに黙って耳を傾けているだけだった。

 ―いや、もしかしたら彼は知っているのかも知れない。
    私が"本体"ではないということを。

 二度目の敗北。
 それはつまり、二度目の死を意味していた。

                    ***

 7番街のプレートを落とす。
 それは下敷きになるスラム住民だけではなく、プレート上に住む者たちの命も
道連れにするという非情な手段であることは誰の目にも明らかだった。
 それを知れば肉親から、責められると思った。私がこの件にどう関与しているのか、
とか。詳しい内情は知らないまでも、神羅という組織に属し、今や責任ある立場に
身を置いている自分に、懐疑や非難が向けられると思っていた。けれど彼女は
そうしなかった。
 かわりに受話器から聞こえてきたのは―「こっちは心配要らないよ」と、そんな
一言だけだった。

 結果的にはこれが、母と交わした最後の会話になった。

127:春を望む 6
06/02/12 02:41:21 Vofy70Nm0

 あの日以来はじめて携帯が鳴った。けれど通話をする勇気はなかった。それから
何度も、何度も。神羅本社ビルが襲撃され、崩れ落ちたあの日でさえ鳴ることの
なかった携帯は、今頃になって私を呼んだ。
 しかし私は、彼女の声に耳を傾けることはしなかった。
 一番の親不孝をしてしまった後では、取り返しがつかないのだと思っていたからだ。
残されたわずかな時間は、すべてミッドガル住民の避難誘導に費やした。
 住民の中には、母もいた。
 そのはずなのに、母を救うことはできなかった。


 これが2つ目の親不孝であり、最大の過ちだった。


128:春を望む 7
06/02/12 02:42:17 Vofy70Nm0

                    ***

(本体、は……)
 絶対に漏らしてはならない言葉が口をついて出そうになって、自身でも驚く
ほど動揺したものだった。もちろん、それを表に出すほど間抜けではない。
「でも、今日も連れてきてますよ」
『どうもー』
 忙しいときには手を貸し、沈んでいるときには愛嬌を振りまく。そんな愛くる
しい相棒が、場を和ませてくれる。そして何より、この小さな相棒は"本体"の
存在を隠してくれる。
 まだ、この身を棄てるわけにはいかない。もう少しだけもってくれないか?
今、本体として機能している"私"に私は呼びかけた。
 ―私の感情を吹き込んだそれは、二度の死を乗り越え、今も生き続けている。



 女の子じみていると、持つことをためらった母からの贈り物―いつかの
ハンカチの柄のような小さな花々が咲く地に、先に着いているはずの私を
母は待っているのかも知れない。
 だとしたら一番の親不孝者は、私のような者を言うんでしょうね。……社長。


                                  ー春を望む<終>-

--------------------
・書いている本人はクリアしてない(8章中)ので、偏重気味の世界観。
・インスパイア設定ワケワカラン。
・7章のあのセリフを聞いてこういう展開を妄想した人は全国に数人はいるはずだ
 …と、信じて疑わない。
・FF7究極のバッドEDと言えなくもない話。
・リーブ好きが高じて色々暴走した。正直スマンカッタ。

129:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/12 04:29:35 qSAo6qu90
あのシーンは自分も好きだよ。
リーブかこいいな。GJ!

130:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/12 11:36:03 FadKF9FoO
リーブ!リーブ…!
GJ超良かったです

でもたしかにバッドエンディn(ry
ケット・シーの明るさが逆に切ないよ…

131:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/12 12:49:13 WybmXZdzO
  ( ゚∀゚) <ageチン
  (    )
   | 彡つ
   し∪J

132:see you again
06/02/12 13:56:38 xRtAOsti0
僕は・・・、少し寂しかった。同じ作戦に同行してわかったけど、皆昔のことは覚えてないみたいだ。
魔女暗殺作戦の時皆は僕を見ても誰一人気づかなかった。
というか、全員お互いの関係を忘れてしまったような感じだ。
なんでなんだろう?と考えて一つの話が頭をよぎった。

「G.F.を使うと記憶を失う」

本当かどうかわからないけど、可能性はあった。
バラムガーデンではG.F.を使うのは普通のことだとスコールが言ってた。
…じゃあセフィは?なんで覚えていないんだろう?




今僕らはミサイル発射阻止作戦から帰還してスコール達とF.Hでばったり会った。
ミサイル基地の自爆装置を起動して脱出しようと思ったところに、ガルバディア軍の大型兵器が現れて脱出を阻まれた。
けど、どうにか破壊してそれに間一髪乗り込んだ。
それは驚くほど頑丈で自爆の爆発にもビクともしなかった。
それでそのまま回収されてF.Hにきてスコール達と戦うハメになった、ていうわけ。
ガーデンが動き出してミサイルを回避できたものの、そのままF.Hに追突してしまったとのことだった。


133:see you again
06/02/12 14:04:58 xRtAOsti0
「おかえり、みんな。よかった、ほんとうに。」
というのはスコールが言ったセリフだが、どうにもくすぐったかった。
セフィは、
「らしくな~い。」
なんて言ってたけどすごい嬉しそうだった。


そんなこんなでガーデンをF.Hの人たちに修復してもらうことになって一件落着かと思いきや…。
バラムガーデンでセフィは自分プロデュースのコンサートの準備をしていたらしかったけど、
ガーデンが動いたりですっかりめちゃめちゃになっちゃってた。
「ああ~、せっかく用意進んでたのに~!」
セフィはすこし落ち込んでるようだった。でも僕はセフィを直接なぐさめる勇気がでなかったから、
ひとまずスコールにお願いすることにした。
でもスコールは、少しなぐさめただけで、
「あとはまかせたアーヴァイン・キニアス。」
僕は文字通り飛び上がった。
「うぇ!?」
がががんばれ、僕。本番に弱いのはいい加減卒業しないと。
ちょっとかっこつけて言わないとばれちゃう…よな。


134:see you again
06/02/12 14:07:46 xRtAOsti0
「元気出せよ~セルフィ~。僕も手伝うからさ~。」
「え?ほんとに?」
僕は必死で方法を考えた。
「そうだ!F.Hの人に頼めばいいんだよ。ガーデン直しちゃうんだからステージくらい簡単だろ?」
「そうかな?やってくれるかな?」
「やってくれるさ~。僕も一緒に頼んでやるからさ~。」
「ということは?」
「セルフィプロデュースのバンドがステージに立てるっていうこと!」
セフィは飛び跳ねて喜んでる。
「じゃあじゃあ!メンバー集め行きますか!」

お?こりゃ~いけるかも!
本番に弱いのも克服かな?我ながら土壇場でよく思いついたな。




「お?おもしろそうだな!どうせなら駅長の家の前でど~んとやろうや!」
F.Hの人は快く引き受けてくれた。色んなものを創るのが好きなんだそうだ。
「やった~!」
喜んでるセフィの顔をみたら僕も嬉しくなってきた。
思えば昔からそうだったっけ。


135:see you again
06/02/12 14:11:00 xRtAOsti0
孤児院にいる時、皆一緒に遊んでたけど僕とセフィ意外は先に帰っちゃってた。
僕は昔からセフィのことが好きで最後までセフィにつきあってたんだっけな。
それでいつもママ先生に怒られてたんだ。いっつも走り回ってるから追いかけるのが大変だったけど。

「アービンもっと遊ぶ~?」

僕は彼女からそう言われたくていつも一緒に居たんだ。セフィにとっての特別な存在になりたくて。
彼女は僕のことを『アービン』と呼んでいた。
彼女が僕のことを忘れていると確信したのはここだった。
今は僕のことをアーヴァインと呼んでくる。
すごく寂しかったけどセフィが昔とほとんどなにも変わってないのをみて嬉しかったりもした。



「バンドのメンバーどうしよ~。曲は簡単なのにメンバーがいないんじゃあしょうがないよ~。」
僕達はメンバーを探し回ったけど結局みつからなかった。
「どうしよ~、もうステージできてきちゃってるのに~。」
「いっそ僕らでやるかい?」
「あ!それいいかも~!じゃあみんなに集まってもらお~!」


136:see you again
06/02/12 14:14:34 xRtAOsti0
それから僕らはスコール、リノア以外で各楽器を担当して無事にアイリッシュジグを演奏することに成功した。リノアには急に委員長となってしまい、ガーデンの全権委任をされて一人で悩んでるスコールに僕らの気持ちを伝えてもらう役になってもらった。
この曲ならちゃんと僕らの気持ちが伝わったに違いない。
問題は僕だ。セフィに少しでも気持ちは伝わってるのかな。



みんな各々この夜を楽しんでる。そこで僕らは駅長の家の前で二人きりになった。
「手伝ってくれてありがとね~。」
「いえいえ~。お役に立てて光栄だよ~。」と僕。
「トラビアのみんなと約束してたんだ~。セルフィバンドを成功させるって。」
「・・・そうだったんだ。」
「うん。きっとみんな無事だよね~?ミサイルはずれたよね~?」
セフィはすごい無理してる。僕は知ってる。落ち込んでるのに周りに見せないのはセフィの悪い癖だ。
「きっとだいじょうぶさ。やるだけの事はやったんだから。」
「そうだよね~。うん!そうだね!」
「ガーデンが動くようになったらトラビアに行くようにスコールに頼めばいいよ。気になるだろ~?」
「だね!後で頼んでみる!」
けっこう仲良くなれたかな。あともうちょっと?


137:see you again
06/02/12 14:18:50 xRtAOsti0
「ねぇねぇ。アーヴァインって呼びにくいからさ~。アービンって呼んでいい?」
僕は心臓が大きく一回収縮したのを感じた。
「もちろんOKだよ~。じゃあ僕はセフィって呼んでもいいかい?」
「全然いいよ~。なんか幼馴染みたいだね。これからもよろしくね~。」



…やっぱりセフィは気づいてないみたいだ。でも深層意識のなかに昔の記憶はあるみたい。
これならきっといつか思い出してくれるはず。
みんなに知っておいてもらわないと。僕らの戦ってる魔女イデアはママ先生なんだから。
僕らにとって親にも当たる存在。優しくて、時に厳しかったりしたママ先生。
ていうか、バラムガーデンの学園長はあの人じゃないか。どんな思いで戦っているんだろう。
僕なんかよりも全然辛いんじゃないかな。あぁ、思い切って皆に話してみようか…。
落ち着いた時にでも話そう。きっと皆、思い出す。



そうしたら…。思い出してもらったら、皆やセフィに本当の意味で再会できる気がする。


see you again  ~Fin~

138:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/13 13:43:20 OfwVyEoK0
おお~投下GJ!!!!!

139:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/14 08:00:14 gGH40QLN0


140:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/14 19:27:43 aV/1Qn8DO
携帯からの保守

141:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/15 19:03:30 AvfCwwgm0


142:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/16 19:51:58 ZRV6+8UH0


143:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/17 18:44:20 nut2HLvC0


144:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/18 08:12:55 w07EFgGe0
保守?

145:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/19 00:20:58 YKJ4IBp90


146:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/19 01:23:22 hUlbyk550


147:エッジ前哨戦
06/02/19 07:11:48 4EXjnasl0
DCでエッジが襲われた時、彼と彼女が
何をしていたのか補完したくて書いてみました。

プレイされてない方はネタバレになるかもなのでご注意願います。

投下は途切れ途切れになるのでご了承下さい。

投稿者は戦闘シーンが苦手の為、
訂正やアドバイスを頂けるとうれしいです。

148:エッジ前哨戦【1】
06/02/19 07:14:59 4EXjnasl0
遠雷が聞こえて、ティファは手を止め、窓の外に目をやった。
『本日のスープ』に使うキャベツを小さな手に抱えた子ども達も同じ様に外を見る。

「雨かな?」
「クラウド、大丈夫かなぁ?」
「大丈夫よ。」
心配そうなマリンとデンゼルは窓から声の主に視線を移す。
「通り雨よ。」
「通り雨?」
「そう。この季節は多いの。でも、雨が降る場所も狭い範囲だし、すぐに雨は止んじゃうわ。
クラウドが今日行ってる辺りだと、逆にいいお天気かもしれないわ。」

本当にそうだといいんだけど、と心の中でティファは付け足す。
それに、この季節に雷が鳴る事はめったにない。
それがティファの心に小さな不安を呼び起こす。

「クラウドったら、レインコート持ってるかしら?」
「そんな物なくても平気さ。」
女の子らしい心配をするマリンに、男の子らしい負けん気のデンゼル。

二人の気を反らせようと、次のお手伝いをティファが言いかけたその時、
空気を裂く様な音がし、すぐに爆音が響いた。
『7th Heaven』が激しく揺れて、ティファは咄嗟に二人に覆いかぶさった。
棚から食器が派手な音を立てて落ちて来る。
子ども達は何が起こったのか分からず、ティファの下で呆然としている。
(…爆弾?)
いや、その前に頭上から空気を裂く、ヒュウウウ…という嫌な音がした。
(ミサイル…?それとも爆撃?)
カダージュ達の登場、セフィロス復活から1年経っていた。
世界はまた復興に向けた進み始めたのに、一体何者の襲撃なのだろう。

149:エッジ前哨戦【2】
06/02/19 07:33:08 4EXjnasl0
しかし、今はそんな事を考えている場合ではない。
声もなく震えている、この子達を守らなくては。

(クラウド…!)

ここにいない、自分だけの英雄の名前を呼ぶ。

爆発は途切れる事なく続き、激しい揺れが続く。
それでも、棚の物はひとしきり落ちてしまったようだ。
ティファは立ち上がり、二人を立たせると、フロアのテーブルの下に隠れさせた。

落ち着かなくては。子供達を怖がらせちゃいけない…
出来るだけ、いつもの声音で、
「いい?動いちゃだめよ、ね?」
ぎこちなく頷く二人の頭を撫でると、ティファは立ち上がった。

何かあった時に、どう動くか…
ちゃんとクラウドと相談しておいてよかった。

カウンターの椅子を乱暴にどけると、床板と床板の間の3cm程の幅の隙間がある。
それが目印だ。

「はぁっ!」

気合いと共にその隙間に手を垂直に差し入れる、と同時に床板をまくり上げた。
畳一畳はあるかの板を軽々と捲り上げたティファに、
テーブルの下で震えていた二人も息を飲んだ。

床下に現れた1m四方の金属の扉を開けると、二人を庇う様にして扉の側まで連れて行く。

150:エッジ前哨戦【3】
06/02/19 07:35:11 4EXjnasl0
「いい?扉を3回叩くから。」
「ティファ!」
「それ以外は何があっても開けちゃだめよ。」
「ティファ!ティファはどうするの…?」
「大丈夫。ちょっと街の様子を見て来るだけ。」
「やだ!危ないよ!ティファも一緒に…」
「マリン…」
縋り付くマリンの頭を優しく撫でてやると、ティファはウィンクをしてみせる。
「孤児院の様子も見に行きたいの…大丈夫よ。
 私だって、クラウドやバレットにだって負けやしないんだから。」
「でも…」
マリンは大きな瞳に涙をいっぱい溜めてティファを見上げる。
「分かって、マリン…私は、そうしなければいけないの。」
真剣なティファの瞳に、マリンは言葉を失う。
でも、行かせてはならないと必死に言葉を巡らせる。
「大丈夫だよ、ティファ!マリンは俺が守る!」
「デンゼル…」
「マリン、俺と行こう」
「やだ!」
マリンは大きく頭を振る。
「デンゼル、ここを降りると、下水道よ。そこでじっとしていなさい。
 食料と、水と、緊急用に電話があるわ。もし…」
言いかけて、ティファは口を噤んだ。
(いえ、そんな事があってはいけないのだけど…)
言い淀んだティファを察したのか、
「俺、マリンの父ちゃんに連絡するよ!クラウドにも!」
元気にデンゼルが答えた。そして、マリンの手を取ると、
「俺たち、大事な役目があるんだ。行こう!マリン!」
マリンはきゅっと唇を噛んで、ティファを見、そしてデンゼルを見て、漸く頷いたのだった。


151:エッジ前哨戦
06/02/19 23:39:13 4EXjnasl0
すいませんが、どなたかマリンがバレットを
なんて呼んでいたか覚えてられませんか?
「父ちゃん」でよかったかと思うのですが、
ちょっと自信がないです_| ̄|○


152:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/20 00:39:17 2G7AzH6G0
>>132-137
アーヴァインに対する見識を改めさせられました。
彼らしい、気さくな語り口で描写されているものの、
考えてみるとつらい立場だったんですねアーヴァイン。
タイトルと内容がピッタリはまってて良い感じです。GJ!

>>148-150
ACで見せてくれたデンゼルの前向きさが良く現れてるなと思いました。
欲を言えば、ACでマリンはティファ(と、ロッズの)強さを目の当たりにしているので、
その辺もあったらよかったかな、なんて。
(強いと分かってるんだけど、それでも心配するという…なんか矛盾してる気もしてきた)
ついでにDC地上部隊編も書いてくれないかな~とか、どさくさ紛れにリクエストしてみるw

153:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/20 00:42:00 2G7AzH6G0
強いとは分かってるけどそれでも心配なんだよって言う
……なんか書いてて分からなくなってきた。あくまで個人的な意見です。


>>151
以前にも似たような質問をこのスレで見た気がするw

「父ちゃん」で正解だったと思います。
7本編中、ゴールドソーサーでのデートイベント直後
ケット・シー経由での通信でそう言っていた記憶から。
(手元にデータがないので確証はありませんが…。)

154:エッジ前哨戦
06/02/20 00:52:29 td2ow/zj0
>>152-153
>強いとは分かってるけどそれでも心配なんだよって言う

仰りたいこと、分かる気がします。
マリンもティファが強いと分かってるけど、
それでも心配でだだをこねてる…ってつもりで書いたのですが、
やはし難しいですね_| ̄|○

>ついでにDC地上部隊編も書いてくれないかな~とか、どさくさ紛れにリクエストしてみるw

ありがとうございますw
でも、自分、そこまで辿り着いてないんですよ。
もう少し進めてから考えてみますね。

少しずつよりも一気に投下の方が良いみたいなので、
完成したら投下に参ります。
バトル関係とか、分からない事があったら質問に参りますので
その時はまたお願い致します。

特に>>151 、切実です・゜(つД∩)゜・。

155:エッジ前哨戦
06/02/20 00:53:32 td2ow/zj0
すいません、リロってなかった_| ̄|○
>>153
ありがとうございます。
そして、無駄にスレ消費してごめんなさい。

156:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/20 22:57:06 HJ/tzdZu0


157:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/21 14:37:35 Mx2NOc+t0


158:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/22 02:27:07 OY8WUsYt0


159:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/22 08:39:09 oCKOyGK00


160:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
06/02/23 01:01:58 prxFVoJV0
性懲りもなくケット・シー(リーブ)ネタです。
色々すみません。謝るようなら書くなと言う感じですが
DCFF7クリアしたてなので、時期的にちょうどいいかな、
なんて。

タイトルに機種依存文字を使用する事をお許し下さい。

161:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅠ(1)
06/02/23 01:05:34 prxFVoJV0
舞台:FF7Disc3(最終決戦前)
    (DCのネタバレはありません。)
設定:DCFF7であったというインスパイア能力保持者※1
    AC公式サイトの小説の設定は依然としてお借りしています。
----------------------------------------

 フロアの床を埋め尽くしているのは、継ぎ接ぎを施してようやく繋がった
おびただしい量の配線コードと、飛び散った窓ガラスや照明の破片、その
上には誰の物とも分からない荷物や書類などが散乱していて、文字通り
足の踏み場もなかった。幸いにも日はまだ高く、メインの電力供給を絶たれた
室内でも作業に充分な光度が保たれていた。
 いまや瓦礫に埋もれてしまったフロアを目の当たりにすれば、多くの者は
愕然と立ち尽くすだろう。こんな状況で何ができるのだろう? と。
 しかし、彼は違った。
 迷うことなく倉庫へ向かい、傾いたドアをくぐって奥にあった自家発電用
バッテリを持ち出すと、それらを手早く機器に接続しはじめた。ものの30分で
必要最低限の動力を得て機能を確保すると、休む間もなく各部署との通信を
試みた。
 足元に散乱するフロアタイルの残骸やガラス片などに混じって、茶色い土が
混じっていたことにも気が付いていた。その正体にも心当たりはあった。それ
でも手を止めず、ひたすら作業を続けた。彼が作業を始めてからもう何時間に
なるだろうか? 処理を終えた書類を投げ落とし、新たに出力された書類を渡す。
鳴り止まない電話を横に置き、とにかく必死に作業をこなした。我々に残された
時間はあまりにも少なかった、休んでいる暇などない。ミッドガルの構造を知り、
あらゆる通信設備を駆使して、一刻も早く全住民にこの危機を知らせなければ
ならない。
 しかも混乱を招かないように、彼らをスラムまで誘導する。与えられた猶予は、
たったの7日。
 完全に成し遂げることなど、とうてい無理な事だとは分かっていた。だから
目標値をあらかじめ設定しておいた。全住民の63パーセント―綿密な計算の
果てに出された数値は、ようやく過半数を上回る程度でしかない。ミッドガルという
都市を知り尽くしているからこそ、誰よりも間近で現実を直視しなければならなかった。

162:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅠ(2)
06/02/23 01:08:24 prxFVoJV0
 出された数値に落胆している暇も、悩んで立ち止まっている暇もない。次々に
送られてくる情報が、彼の手を休める暇を与えなかった。
 猫の手も借りたい状況とはまさにこのことで、幸いなことに彼には手を貸して
くれる猫が存在していた。ケット・シーという名前で、ここにいるのは3号機だった。
『人手が足らへん。……まずは都市開発の人たち、集めてみましょか?』
 しかもこの猫、しゃべるのである。
 それも満面の笑みで。
「無事だといいのですが」
『大丈夫やて。……アンタらの作った街やろ?』
「ははは……確かに、そうですね」
 ケット・シーはいつも、笑顔をくれる。作り笑いさえもしなくなって久しい私に、
いつも微笑んでくれる。
「……」
 ―笑うことなど許されていない、そんな気がしている。なぜなら私は。
「自分で作った街……だったんですよ。……でも、私は。この手で」
 脳裏によみがえるのは7番街の光景。プレート上の平穏と、プレート下の生命を
同時に奪った悪夢。なによりそれを生み出したのは自分自身であった。

163:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅠ(3)
06/02/23 01:10:56 prxFVoJV0
 抗えなかった。抗えずに従うのなら、いっそ身も心も染まってしまえば良かった
のに。中途半端に放り出されてしまった良心は、今でも傷口で膿んだままだった。

 ―……"多少"? 多少って何やねんな!?
    アンタにとっては多少でも、死んでしもた人たちにとっては
    それが全てなんやて!

 あの日。
 それはバレットに向けて放ったはずの言葉だったのに。
「彼の言うとおり、私に彼らを責める資格なんてない……それに」
 現に今だって、37パーセントの人間を切り捨てようとしているのではないのか?
次の句を紡ごうとした私を遮ったのは、彼だった。
『泣きたいなら泣いたらええ。けどな、おっさん』
 主人の事を「おっさん」呼ばわりするのはどうなのかと眉をひそめたが、いかにも
彼らしいと思う。
『アンタがそんな顔したらアカンで。小さくて悪いけど、わいの胸貸すからそこで
泣いとき』
 ケット・シーの表情が変わることはない、人形なのだから当然だ。
 それでも彼は、微笑んでくれる。
「……ありがとう」
 その瞬間、ほんの少しだけ目を閉じて―夢を見たような気がする。とても心地の
良い、夢だった。

164:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅠ(4)
06/02/23 01:16:20 prxFVoJV0


 私の感情を吹き込んだロボット、それがケット・シー。
 神羅に入社して以来、私が捨ててしまった感情を、殺さなければならなかった
思いを、小さな猫のおもちゃに託した。
 ―ありがとう。
 小さく臆病な私に、彼は大きな勇気をくれる。そんなことを考えていたら、
年甲斐もなく……。


 母がいる、この街を。
 救うまでは―


 まだ、この場所を離れるわけにはいかなかった。



                         鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅠ<終>


----------------------------------------
※1設定資料などは全く見てないので、“インスパイア”の解釈は違うと思われます。

165:エッジ前哨戦
06/02/23 01:20:45 Ql9yMn8m0
どなたも投下されないみたいなので、
板の保守に書き溜めた分投下します。


166:エッジ前哨戦
06/02/23 01:42:29 Ql9yMn8m0
すいません、自分、またリロってなかった。
ドリルに貫通されて逝ってきます…_| ̄|○

>>ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYwさん
GJです!
最後の決戦前のクラウドとケットの会話を思い出しました。


167:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/23 01:57:08 6UESPphN0
>>161-164
ケット・シーカワイイ!危機的状況でがんばるリーブがいい!GJ!

168:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/24 00:59:50 kS43PtA60
鯖復活記念保守パピポ

169:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/24 01:33:30 x9iujmcS0
一瞬なにが起きたのかと思ったw

>>165
書ける時、書きたいときが投下し時。
気にせずどんどん投下汁!

170:エッジ前哨戦【4】
06/02/24 01:51:04 69UrLjOp0
粗忽者のエッジ前哨戦でございます。

>>169
ありがとうございます。

ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYwさんの
余韻を壊してしまって本当にごめんなさい。

お言葉に甘えて投下致します。
ちょっとクラティ入ってるので、お嫌いな方はご注意を。
-----------------------------------------------------------------

 外に飛び出すと、空が真っ赤だ。隣のおばさんが不安げに空を見上げている。
 「おばさん!」
 「あぁ…ティファちゃん…一体何が…」
 「話はあと!早く家へ!」
 ティファは近所の住民を、子ども達が避難した下水道への扉に誘導する。
 「いいですか?扉を叩くのは3回です。敵に見つからない様に…」
 「敵?…敵って誰だい?」
 それはティファが聞きたいくらいだった。

 不安がる住民達をとりあえず下水道に避難させると、2ブロック先にある孤児院に向かう。
 中から子供達の泣き声が聞こえるが、まだ火の手は上がっていない。
 「大丈夫?」
 ティファが入って来たのを見た、二人いた保母はホッとしたように、
 「助かるわ、ティファ。子ども達、みんな泣き出して動けなかったのよ。」
 小さな子供は抱きかかえて、歩ける子は歩かせて、なんとか店の中まで連れて行く事が出来た。
 先に避難させていた住民達に手伝ってもらい、子供達を地下に降ろす。

171:エッジ前哨戦【5】
06/02/24 01:54:40 69UrLjOp0
最後に残ったのは保母の一人でミミという女性だった。
ティファとは歳も近く、7thHeavenにもよく食事に来ていた。
「あなたが最後よ、ミミ。」
「ありがとう、ティファ…でも…一体何が起こったの?たくさんの人がミッドガルで行方不明になったり…」
行方不明者の中にはミミの恋人もいたのだ。
ミミの何気ない言葉がティファの頭の中で何かと何かを結びつけた。
「ティファ…?」
「う…うん、なんでもない…」
「ティファ、早く!」
老人や子供を率先して手助けをしていたデンゼルが顔を出して叫ぶ。
「クラウドや、マリンの父ちゃんにはちゃんと連絡したよ!
クラウドは、こっちに向かってる!2時間くらいかかっちゃうけど。」
「バレットは?」
「シエラ号の館長さんに連絡してから来るって!トレーラーで来るから、みんなを運べるよ!」
無駄のない報告にティファは満足げに頷いた。

ミミが下水道に降りてしまうと同時に、爆音がますます近付いて来た。
マリンも心配そうにデンゼルの横から顔を覗かせる。
「ティファ!クラウドが、ティファも一緒に待ってなさいって!」
「分かったわ、マリン。」
ティファの言葉にマリンも安心したようだ。
二人が先に降り、ティファもそれに続くのだろうと梯子の上を見上げて待っている。
しかし、ティファは降りて来ようとしない。 
「ティファ?」
ティファは少し悲しそうな顔をして、ごめんね、と呟くとゆっくりと扉を閉め、
ポケットに入れてあった鍵で鍵を閉めた。

172:エッジ前哨戦【6】
06/02/24 01:56:58 69UrLjOp0
マリンは悲鳴を声を上げ、再び梯子を上る。
「ティファ!ティファ!」 
 中から必死に扉をを叩く。すぐに優しい声で返事が返って来た。
 「大丈夫、マリン。ちょっと様子を見て来るだけ。」
 横でデンゼルが宥める声も聞こえてくる。
「ごめんね…」
(でも、行かなきゃならないの…)
 ティファは振り切る様に立ち上がると、床板をはめ、その上に椅子を並べるた。
カウンターのシンクの下に直してあった箱を散り出すと、
中から肘あてと革手袋を取り出し、身に着ける。
そして、とある場所に向かって駆け出した。


クラウドはデンゼルからの連絡を受け、エッジを目指してひたすらフェンリルを走らせていた。
腰のホルダーに入れてある携帯が震えている。着信を見るとバレットだ。
あらかじめ電話を耳から離しておいてから着信ボタンを押す。
案の定、電話の向こうで大声が響く。エンジンの音がやかましいのに、余裕で耳まで届くほどだ。
「クラウドおー!今、どこだぁーっ?」
「エッジに向かっているところだ。」
バレットはマリンやデンゼルから連絡があったこと。マリンがひどく怯えていること。
トレーラーで向かうので避難する人を乗せられることを伝え、
クラウドはそれを耳から遠ざけた状態で聞いた。

「それとよ、シドに聞いたんだがよ。神羅のマークを付けた軍隊があちこちを襲っているらしい。」
「神羅の?」
「おかしいだろ?つかみ所のねぇ奴だが、今のルーファスがそこまでやるとは考えるられねぇ!
 どうもプレジデントが生きてる時代のやっかいな遺産らしい。」
「セフィロスではないんだな。」
「WROの本部も襲われた。リーブとビィンセントが一緒らしい。
 エッジが襲われてるから助っ人に来てくれるとよ。」

173:エッジ前哨戦【7】
06/02/24 01:59:29 69UrLjOp0
言われてみると、昔、そんな噂を聞いたような気もする。
「…バレット!その時の責任者は誰だ?」
「スカーレットと、宝条だっ!」
「宝条…?…それは…」
「面倒な話は後だ!お前の方が先に着くはずだ!マリンを頼んだぜ!」
(やはりな…)
死んだ後もどれだけ災いを引き起こすのだろう…全ての災いの元凶だ。
だが、今は一刻も早くミッドガルに辿り着き、ティファを止めることだ。
(もう、あんな思いはごめんだ…)
あの時は間に合わなかったが、今度は間に合わせてみせる。
そして、ティファを思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。
(そう言えば…)
バレットはヴィンセントもこちらに向かっていると言っていた。
(ヴィンセントがあの身体になったのも宝条のせいだったな…)
何か因縁の様な物を感じた。


残された下水道で、デンゼルの声も耳に入らないかの様にマリンが泣いている。
「泣くなよ、マリン…」
デンゼルは途方に暮れていた。
心配なのは自分も同じだか、いつも聞き分けの良いマリンがなぜ…?
「大丈夫だよ、ティファもすっげー強いんだろ?」
デンゼルは戦うティファを見たことがない。
たまに、トレーニングをしているのは知っていたが、あの細腕でサンドバッグが
折れんばかりのパンチを繰り出すのを見ていたからだ。
「知ってるよ!」
マリンの強い口調に、デンゼルはたじろいだ。
だったらどうして…と聞こうとするが、マリンはぎゅっと唇を結んで開こうとしない。
(なんなんだよ、一体…)
途方に暮れて、ポケットに手を突っ込むと、指先に電話が当たった。
(ティファの事を報告しなきゃ…)
デンゼルはそれを取り出し、再びクラウドにかけた。

174:エッジ前哨戦【8】
06/02/24 02:00:31 69UrLjOp0
電話はすぐに繋がった。
「クラウド!ティファが…」
「どうした?」
「様子を見に行くって、出て行っちゃったんだ!」
クラウド、ハンドルを切り損ね、危うく転倒しそうになる。
「クラウド?」
「ああ…」
ひどく動揺している自分がいた。と、同時にティファならそうすると分かっていたのに、
何故注意しなかったのかと自分を責める。
「ティファは…子供の頃からそうだった。いつも自分の事は後回しなんだ。」
「クラウド…?」
クラウドが何を言っているのか分からず、デンゼルは鼻白んだ。
でも、泣いているマリンをどう扱えばいいのか分からない。
泣きたいのは自分も同じだ。クラウドに何か言ってもらいたい。
「クラウド、マリンが泣いてるんだ。ティファを心配して。」
一瞬、自分の思考に沈みかけたが、デンゼルの悲痛な叫びに現実に呼び戻される。
「デンゼル。ティファは俺が連れ戻す。信じろ。」
「分かった!」
はっきりと言い切ったクラウドにホッとして電話を切る。
「マリン!クラウドが大丈夫だって!ティファを連れ戻すって!」
膝を抱え、そこに顔を埋めていたマリンがゆっくりと顔を上げる。
「うそ。」
「マリン?」
「だって、この前、クラウド来なかった…」
「この前って…?」
「教会で…ティファが…やられてるのに、“クラウド!”って呼んだのに、来なかった…」
マリンが言っているのは1年前のセフィロスの復活の時の事らしい。
(それで…)
いつも聞き分けの良いマリンがと不思議だったのが漸く合点がいった。
「分かってるよ。ティファを信じなきゃ。でも…怖かったの。ティファが死んじゃうって。」
マリンは再び、膝を抱えるようにして顔を伏せてしまった。

175:エッジ前哨戦【9】
06/02/24 02:03:49 69UrLjOp0
連れ戻すと言っても、エッジの街はまだ先だ。
とりあえず電話をしようと思うが、ひょっとして今のティファは
自分からの電話に出ないのではないか?
それでも、今はそれしか方法がないのだ。

ティファの番号にかけてみる。が、呼び出し音が空しく耳に響く。
(頼む…出てくれ!)
手に力が入り過ぎて、携帯を握りつぶしそうだ。
不意に呼び出し音が途切れた。
「クラウド…?」
「ティファ!俺だ…今どこにいるんだ!?」
とりあえず出てくれた事にホッとして、安心した反動でつい大声になる。
「エッジの街の、端まで来てるわ。」
「なんでそんな所にいるんだ!」
「ごめんなさい…でも、ミミが気になる事を言ってたの。」
ミミの一言で今回の襲撃は、どうも神羅の何かが関係していると確信したのだと言う。
「だから…神羅ビルを探ってみようと思うの。ミッドガルに向かうわ。」
「ダメだ!」
ティファは小さく溜め息を吐いた。
「そう言って聞く私ではないのは、誰よりあなたが知ってるでしょう?」
「でも!」
その時、ティファの背後から何者かが飛び出して来た。
殺気を感じるそれに対し、ティファは振り向きもせず、
右腕に左手を添え、肘を鋭く後ろ向きに突き出す。
エルボーがきれいに入って、犬とも人間とも思えない
不気味な生物が「ギャン!」と悲鳴を上げて地面に落ちた。
ティファは戦闘不能に陥ったそれを見下ろし、再び携帯を耳に当てた。
「あなたが来るまでに出来る事をしておきたいの。」
「おい!ティファ!」
そこで電話が切れた。


176:エッジ前哨戦【10】
06/02/24 02:05:40 69UrLjOp0
電話が切れたあと、クラウドは電話を叩き付けそうになり、辛うじて思いとどまった。
クラウドはものすごく怒っていた。こんなに腹を立てたのは久しぶりだ。
何に腹を立てているのかというと、自分の言う事を聞かないティファと、
彼女を止めるどころか、まともに話すら出来なかった自分の口下手さと、
家族の危機に側に居ない間の悪い自分にだ。
「くそっ…」
1年前、教会で倒れていた彼女の姿を思い出し、スピードを上げた。

===================================================================

今宵はここまで。
明日から一足早いお休みなので、また書き溜めて投下に来ますね。ノシ

177:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/24 02:15:05 xF6aVu4c0
>>170-176
乙。続き楽しみにしてます。

178:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/25 00:21:56 MohZOVm80
>>170-176
あれか、転送してくれた地図の事か!!
(はやまってたらゴメンナサイ)
ミミの発言がどう繋がっていくのかが予想できませんでした。
続き期待sage。

179:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
06/02/25 00:42:11 MohZOVm80
…投下させて頂きます。
もうこうなったら開き直ります、ケット・シーが 大 好 き だ!
今回の投下分は、「エッジ前哨戦」と時間的に重なる部分があります。
混乱させてしまったら、すみません。

勢い任せに妄想まとめを作ってみたので、ついでに置いときます。
URLリンク(www5f.biglobe.ne.jp)

180:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(1)
06/02/25 00:47:38 MohZOVm80
前提に>>161-164
----------


 奥で電話が鳴っている事は分かっていた。彼女はカウンターで洗い物の最中
だった事もあり、受話器は取り上げられないまま電話はしばらく鳴り続けていた。
 ティファは手を休めて様子を伺うように振り返ったが、呼び出し音が収まる様子は
一向にない。よほど緊急の依頼なのだろうかと内心で思いながら、あきらめたように
蛇口を閉めて簡単に手を拭くと、足早に階段を上った。
 受話器を取り上げる前に深呼吸をする。いつもそうしていると言うわけではなかった
が、何かいやな予感がしたのだ。これと言って思い当たる節はなかったのだけれど、
こういう予感は得てして当たるのだと相場が決まっている。
 しかし、鳴り続ける電話を無視することはできなかった。手を伸ばし受話器を取り
上げる。
「……はい、ストライフ・デリバリー・サービスです。当社はなんでも……」
 決まり文句ではあったが、ティファが全てを言い終えないうちに電話の向こうにいる
相手の言葉が重なった。
「1件、ご依頼したい事があるのですが」
 聞こえてきたのは、とても穏やかで落ち着いた口調の男性の声。一言一句ていねいに
発音されていて、なんだか聞いていると安心するような不思議な心地がした。
 受話器を通して声だけを聞けば紳士的だったけれど、それだけに引っかかる。
「……どちら様ですか?」
 相手に姿が見えないことを良いことに、ティファは思いっきり怪訝な表情を作って見せた。
自分が誰かも名乗らずに、話を遮ってまで一方的に依頼内容を話し出そうとするなんて、
電話の向こうにいるのはなんて傲慢な人物なのだろう、と。
「『ボクの事、忘れてしもたんやろか~?』」
 すると急に、緊張感を吹き飛ばすような間延びした声が返ってきた。こんな妙な口調を
する人物に心当たりは1人―いや、1匹?―しかいない。その愛くるしい姿が脳裏に
よぎった途端、ティファの表情は和らいだ。

181:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(2)
06/02/25 00:56:03 MohZOVm80
「……覚えてますよ、部長さん」
 少しあきれたように、だが電話の相手が知っている人物だと分かって内心で胸を
なで下ろしていた。
「……リーブです、お久しぶりです。覚えていてくれたんですね、嬉しいです。
お元気でしたか?」
「ええ。リーブさんもケット・シーもお元気そうで」
「『せやけど、あんま会う機会がなくて淋しいですわぁ~』」
 ほんの少しの間、ふたりは互いの近況について話をしていた。けれどそれは
本当に短い時間だった。先に話を切り出したのはティファだった。なぜ、リーブが
“ここ”に電話をかけて来たのか、やはり引っかかるのだ。
「ずいぶんお急ぎみたいですね?」
「先程はすみません。……では、さっそく本題に入らせていただきます。
今回、私があなた方にご依頼したいのは、ある物をある場所まで届けて頂きたい
のです」
「……“あなた方”って?」
 『ストライフ・デリバリー・サービス』は、名前の示すとおりクラウドが始めた仕事
である。彼が不在の時にこうしてティファが電話応対をすることはあっても、彼女が
荷物を運ぶという訳ではない。手伝いたいとも思うが、この店の切り盛りで手一杯
だったからだ。
 もちろん、それは仲間達の誰もが知っている。当然、連絡を取り合うリーブも
そのはずだった。しかし含みを持たせるような口ぶりに、ティファは首をかしげた。

182:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(3)
06/02/25 00:58:47 MohZOVm80
「ええ、そうです。今回の依頼でお願いする物は、おそらく……クラウドさん
お一人の力では難しいものと思いますので」
 ますます言っている事が分からなくなって、ティファは単刀直入に尋ねた。
「どこに、何を運べば良いんですか?」
 するとリーブはあっさりとこう答える。

「“平和”を、“ミッドガル”まで届けて頂きたいのです。
 ……具体的な内容はまた後ほど。依頼、お受けして頂けると信じています」

 その後リーブは自らの連絡先を告げた後、通話を終えた。受話器を置くと
ティファは大きく息をはき出した。どうやらティファの予感は当たりそうである。
そういえば3年前の旅の時も、こんな風にして半ば一方的に依頼を受けていた
ような気がするな―そんな風に思うと、少しおかしくなった。
(相変わらずなのね)
 隣の部屋まで行きティファは自分の携帯を取り出すと、慣れた手つきで幼馴染みの
アドレスを呼び出した。4回目のコール音で彼とつながる。
「あ、クラウド?」
 もちろん、この依頼を断る理由はなかった。

183:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(4)
06/02/25 01:05:53 MohZOVm80

                    ***

 彼の携帯が鳴ったのは、ちょうど同じ頃のことだった。
 油田の採掘現場から戻って一息つこうとしたところに、ちょうどタイミング良く着信が
あったこともあり、別に気にせず通話ボタンを押した。
「……お久しぶりです、バレットさん」
「んっ?!」
 バレットは一度耳から携帯を離すと、彼の手には小さく見える携帯のディスプレイを
まじまじと見つめた。見覚えのある番号―ではない。いや、たとえ見覚えのある番号
だったとしても、彼は番号を登録していなかったのだ。
 しかし、電話の相手は自分のことを知っている。そもそも知らなければこの番号に
かけてくる事もないのだが。
「だ、誰だ!?」
 不信感を隠さず声に出したバレットに対し、電話の向こうの男もまた皮肉を口にする
のだった。
「『かつての宿敵や、覚えとれへんのか?』」
「け、ケット・シー!? ……っつーことはお前、リーブか!」
 反神羅組織アバランチのリーダと、神羅カンパニー都市開発部門統括責任者。かつて
彼らは壱番魔晄炉爆破と7番街プレートの件を巡り、真っ向から対立していた時期も
あった。旅路を共にする中で、反目し時には激論を交わしながらも互いを知り、最終的に
北の大空洞では背中を預けて戦えるまでの信頼関係を築いた。当時のわだかまりは、
シスター・レイがバリアと共に砕いくれたのだ。
 旅が終われば各々が進むべき道を歩き始め、自然と会うことも少なくなった。とはいえ
定期的な連絡を取り続けてはいたものの、何の前触れもなくリーブから唐突に連絡が
来るなんて。バレットにとっては予期せぬ出来事に、嬉しさと戸惑いを覚えたのだった。
「ようやく思い出して頂けた様ですね。改めてお久しぶりですバレットさん、お元気そうで
なによりです」
 淡々と語るリーブに、バレットはくつろいだ体勢になりながら、こう切り出した。
「お前がかけてくるなんて珍しい事もあるもんだな。……どうせ、なんか魂胆でもあるんだろ?」
 くだけた口調で言ってはいたが、わりと本心から出た言葉であることは間違いなかった。
そしてリーブは「ご名答」と、こちらもやはりくだけた口調で返すのだった。

184:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(5)
06/02/25 01:10:24 MohZOVm80
「実は、折り入ってお願いしたいことがありまして……」
 その言葉を境に、リーブの口調は先程までとは明らかに違い、一気に深刻さの度を
増した。バレットは思わず姿勢を正し、リーブが発する次の言葉に意識を集中した。

「……魔晄炉を、破壊して欲しいのです」

 いったい何を言われているのか、理解するのにしばらく時間が必要だった。バレットは
姿勢を正したまま、瞬きすらしなかった。「もしもし?」とリーブの呼びかける声でようやく
我に返ると、素っ頓狂な声で問う。
「お前……今さらオレになに言って……」
「……正直、皮肉な話だとは思いますが」
 小さくため息を吐く音が聞こえたような気がする。バレットが次の言葉を探している間に、
リーブは続けた。
「星のために……もう一度。あなたの力を貸して欲しいのです」

185:鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ(6)
06/02/25 01:14:09 MohZOVm80
 まるでアバランチとして活動していた頃の様に、壱番魔晄炉を破壊した当時の自分と同じ
事を今になって口にしたリーブの言葉と、その声を聞いた自身の耳を疑った。

「星のために、もう一度いっしょに戦ってもらえませんか?
 ……具体的な内容はまた後ほど。お引き受けして頂けると信じています」

 その後リーブは自らの連絡先を告げた後、通話を終えた。ランプの消えた携帯をぼんやりと
見つめながら、バレットは大きく息をはき出した。
 なぜ、今頃になって魔晄炉を?
 魔晄炉はおろか、ミッドガルそのものが機能を停止してから数年が経つと言うのに。今さら? 
疑問は頭の中をぐるぐると回るだけで、答えが出てくる気配はなかった。
 それが癖なのか、バレットは無意識のうちに頭を掻いていた。しばらく考え込んだ末、意を決した
ように再び携帯の発信履歴を呼び出すと、通話ボタンを必要以上に力一杯押したのだった。
「おう、バレットだ!」
 5回のコールでつながった相手に、これまた必要以上の大声で呼びかける。
 もちろん、彼がこの申し出を断る理由はなかった。



 彼らがミッドガルへと続く荒野に立ったのは、それから間もなくのことである。



                              鼓吹士、リーブ=トゥエスティⅡ<終>
--------------------
舞台:FF7AC~DCFF7第2章
備考:FF7の飛空艇イベント(ウェポン近辺)を見てから、
    DC12章のムービーを見ると、こんな展開を期待でき…なくもないかなと。

186:エッジ前哨戦
06/02/25 01:22:41 fIyQppQX0
>>180->>185
投下リアルタイムで読めるなんて…
リーブとバレットの会話がすごく(・∀・)イイ!!です。
読んでいて溜め息が出ました。
自分、バレットがかつて魔晄炉を爆破して心に傷を負った事、
二人に確執(?)があったを失念してました。

全くの個人的な話で恐縮ですが、すごく凹んでいた所に
読ませて頂いたので、復活する事が出来ました。
自分も頑張ります。ありがとうございましたm(__)m

187:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 16:20:42 fIyQppQX0
コテ付けました。訂正です。時間軸おかしくなってた_| ̄|○
>>173
× だが、今は一刻も早くミッドガルに辿り着き、ティファを止めることだ。
(もう、あんな思いはごめんだ…)
あの時は間に合わなかったが、今度は間に合わせてみせる。
そして、ティファを思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。

○だが、今は一刻も早くエッジに辿り着くことだ。
(もう、あんな思いはごめんだ…)
そして、家族を思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。

>>178
「ご名答」

チラシの裏です。DC内でティファを操作して、地図確保とか、バレットを使って街の人を救出…
なんて混ぜてくれたら、うれしかったんだけどなぁ…と思って書いてます。
まだまだ、続きますが、どうぞお付き合い下さいませ。

188:エッジ前哨戦【11】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 16:21:40 fIyQppQX0
ミッドガルに向かうとなると、まずは乗り物を確保しなくては。
乗り捨てられたトラックがあり、ティファは運転席によじ上る。
中には息絶えた運転手がハンドルに突っ伏していた。
(ひどい…)
ティファは眉を顰めた。足下から怒りが湧いて来る。
運転手をそっと抱き起こし、助手席に横たえてから
エンジンをかけてみるが、キーが空回りするだけだ。
(ダメだわ…エンジンも撃たれたのね)
それにしても、襲撃者は一体何が目的なのだろう?
ミッドガルのすぐ近くにあり、人工も多い街だが、
軍事的拠点というわけではない。
WROの基地ではなく、この街が目的なのは何故だろう。
ティファはここに辿り着くまで、たくさんの亡くなった人たちを見て来た。
大人も子供も関係なく折り重なって倒れていた。
街の制圧が目的ではないようだ。むしろこれはまるで、
(皆殺しが…目的みたい…)
自分の考えにぞっとした。背筋が寒くなる。
(早く…行かなきゃ。)
運転席を降りる前に、助手席を振り返る。
「あなたの…敵はきっと取るから…」
そんな事で、死んだ人間は帰って来ないのだが。
 もう少し早く辿り着いていたらこの人は助かっただろうか。
自分の無力さに崩れ落ちそうになるのを必死で踏みとどまり、
車を探すためにティファはまた駆け出した。

189:エッジ前哨戦【12】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 16:22:11 fIyQppQX0
次々と光るブルーのラインの入った戦闘服を着た兵士が
ティファに機銃を浴びせる。それを相手の懐に飛び込み、
掌打を浴びせ、足を払い、投げ飛ばし片端から倒して行く。
ふと攻撃の波が途切れた。息が上がるのを、呼吸法で整える。
如何に手練れとは言え数が多過ぎた。しかも、銃を持った相手だと
瞬間にダッシュして相手の胸元に飛び込んで倒さなければならない。
「ちょっと…なまってるかな?」
そう強がったた所に、頭上から何かが落ちて来た。
(な、何…?)
と、思った所で身体ごと何かに引っ張られて宙に浮いた。
(網…?)
落ちて来たのはがっしりとしたワイヤーで出来た捕獲用のネットだった。
振り向くと、蜘蛛の様な足を持った巨大な機械の塊がいた。
頭頂部からマジックハンドが出ていて、その先に自分はぶら下げられているのだ。
(油断した…)
歯痒さに奥歯を噛み締める。
ワイヤーを切ろうともがけばもがく程、身体に絡み付く。
身体の位置が定まらず、気が付けば頭が下に来ている。
(…もう、最悪ねコレ!)
自分の不甲斐なさをとりあえずネットのせいにする。
ふと機械の方を見ると、銃口が伸びて来て、ティファに標準をぴたりと合わせた。
銃口の奥にチラリと炎が見え、ティファは息を飲んだ。
(…クラウド!)

190:エッジ前哨戦【13】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 17:09:08 fIyQppQX0
頭が下、足が上という不自由な体制で、
ティファは思い切り反動を付ける為に身体を揺する。
ゆらゆらと振り子の様に揺れるネットの中で銃口の火が
まさに飛び出さんとする瞬間を見極める。
(今だ…!)
さらに反動を付け、ネットごとジャンプする。間一髪で炎が足の下を通過する。
高熱で溶けかけた部分に手をかけ、引きちぎり、そこから辛うじて抜け出すと、
自分を捕らえていた忌々しい機械の塊の上に降り立ち、掌打ラッシュを浴びせる。
鉄板が、ティファの拳の形にどんどん凹んでいく。
蜘蛛の様な足の一本ががくん、と崩れた所で足下に飛び降り、
本体を片手で持ち上げると、高々とジャンプし、地面に叩き付けた。
バラバラに砕け散り、火を吹くそれの傍らに降り立つ。
「倍返しよ。」
そううそぶくと、スクラップとなった塊に見向きもせずにまた駆け出したのだった。
それにしても、ピンチの時になると彼の顔が過るのは、以前のままらしい。
彼は今頃、猛スピードでこちらに向かっているはずだ。
(でも、きっと、とても怒ってるだろうけど…)

191:エッジ前哨戦【14】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 17:10:01 fIyQppQX0
入り組んだ路地を駆け抜け、南側の広場の手前で足を止めた。
物陰から様子を伺うと、『神羅』の文字の入ったカーゴに
たくさんの人が詰め込まれている所だ。周りを兵士が取り囲んでいる。
ティファにも今の神羅がここまでするとは思えなかった。
腹の底こそ分からないが、ルーファスを始めとする残存勢力は
今では『借り』を返す為復旧に全面的に協力していると聞く。
(でも…やっぱり怪しいわ。)
中には奇妙なヘルメットの様な物を被っているが、
ソルジャーの服装の者もいたからだ。
ティファはますます確信を深めた。
そして、現状をどうすべきか頭を巡らせる。
今、飛び出して戦うと、街の人を巻き込んでしまう。
大きなプロペラを付けた巨大なヘリコプターが
街の人を乗せたカーゴを積み込み、どんどん飛び立っていくのを
物陰に隠れて見ているだけだ。
またもや自分の無力さにティファは唇を血がにじむほど噛み締めた。

192:エッジ前哨戦【15】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 17:12:02 fIyQppQX0
不意にティファのいる反対側の道路からジープが走って来た。
乗っているのは家族連れのようだ。後ろから、さっき倒したのと同じ、
奇妙な生物ービーストソルジャーが追いすがる。
ティファはすぐにこちらに走ってくるジープに向かって駆け出した。
必死で運転していた父親は思わず悲鳴を上げた。
後ろからは得体の知れない獣が追いかけて来て、
正面からは人間が突っ込んできたからだ。
思わず目を閉じ、急ブレーキを踏む、と、正面の人物は
走っている車のフロントにとん…と両手をつくと、
まるで跳び箱でも飛ぶかの様に軽々とジャンプしジープを飛び越えた。
かと思うと、掌拳で一匹目のビーストソルジャーを吹き飛ばした。
掌拳の勢いで身体を回転させると、残り1匹を鮮やかな回転蹴りを喰らわす。
飛ばされたビーストソルジャーは壁に叩き付けられ、ずるずると地面に滑り落ちた。
蹴り飛ばされた方は宙に舞い上がり、即座に地面に叩き付けられた。
着地したティファはすぐにジープに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
乗っていた家族は父親と母親、そして二人の女の子だった。

193:エッジ前哨戦【16】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/25 17:13:11 fIyQppQX0
何が起こったか漸く理解した父親はすぐにティファに礼を言った。
「街の外に逃げようと思ったんだが…周り中、銃を持った兵士ばかりで…」
「私の家に下水道に続く隠し扉があります…
そこに近所の人みんな避難してもらってるんです…そこへ行って下さい。」
ティファはそう言うと、ポケットから鍵を取り出し、父親に渡した。
「入り組んだ路地なので車では行けませんが…
 ここに来るまでの敵は残らず倒しました。だから子供連れでも大丈夫です。」
「倒したって…あんたが一人で…?」
ティファは曖昧に微笑む。
「もうすぐ救援も来ます。でも、急いで。」
ティファは店の場所、隠し扉の位置、3回ノックのルールを伝えた。
「でも…鍵をもらっちゃったら、あんたが入れないんじゃ…」
横にいた母親が心配そうに尋ねる。
「もう一つ鍵を持ってるの。だから心配しないで。」
 それと…私、どうしても行かなきゃいけない所があるの。
 このジープを借りてもいいかしら?」

7th Heavenに向かう家族を見送り、ティファはホッと息を吐いた。
一人でも多く助けられる事が前に進む活力を与えてくれるのだ。
鍵を渡してしまったが、心配ない。
(そう…鍵はもう一つあるの)
もう一つの鍵は、フェンリルのキーにぶらさがっているはずだ。
クラウドはきっと来てくれる。だから、鍵は一つでいいのだ。
ティファはジープに飛び乗ると、エンジンをかけた。
そして、街から臨む魔晄キャノンを一睨みすると、
「首を洗って待ってらっしゃい!」
そう呟いて、アクセルを乱暴に踏み込んだ。

194:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/25 17:51:42 v+Ae9KrE0
おお、いいねえ!

195:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/26 00:18:10 nCaYKv2Y0
ハラハラの展開

196:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/27 00:21:54 s4KsOWwW0
新作いっぱいキタ━━━(゜∀゜)━━━ !!!!!

197:エッジ前哨戦【17】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/27 21:01:40 QlxY8ScB0
頭上でノックと、鍵が回される音が聞こえ、マリンはハッと顔を上げた。
「ティファ!」
マリンはすぐに立ち上がって、地上へのはしごに駆け寄り、デンゼルも後に続く。
ティファが戻って来てくれたことと、これでマリンも落ち着くだろうと思い、
少し気が軽くなる。だが、降りて来たのは見知らぬ家族だった。
呆然とする二人に、
「あんたら…あの髪の長い女の人の知り合いかい?」
デンゼルが頷く。マリンは呆然として、それすら出来ない。
「逃げてる途中であの人に助けられてね。ここに来るようにって、鍵をもらったんだ。」
父親の方が鍵をデンゼルに渡す。
「ティファ…は?」
「行かなきゃならないところがあるって…私達のジープを貸してあげたんだよ。」
二人はいかにティファが強かったか、どれだけ感謝しているかわからない、
と語るのがデンゼルには誇らしい。
が、マリンの口がどんどんへの字型になるのが気が気でない。
その時、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。
デンゼルは救われた気がして、話が終わらない家族連れと、マリンに、
ご…ごめんなさい…ちょっと見て来ます!」
そう言って、慌ててその場を離れた。

泣いているのはミミが抱いてる赤ん坊だ。
「どうしたの?」
「デンゼル…ミルクはあるんだけど…水が足りないの。」
ティファはちゃんと非常用キットを用意していてくれたのだが、
避難する人数の方が多過ぎた。

198:エッジ前哨戦【18】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/27 21:03:42 QlxY8ScB0
「俺、汲んで来るよ!」
「だめ!」
いつの間に側に来たのか、マリンが叫ぶ。
「危ないよ!絶対にだめ!」
でも、泣いてる赤ん坊を放っておけないし、泣き声で見つかってしまうかもしれない。
「すぐ上の、店の厨房だし平気だよ!」
大人達も口々に止めるが、
少しでもクラウド達の役に立ちたい気持ちと、子供らしい冒険心と、
何よりも泣いている赤ん坊を守ってあげたくて、
「大丈夫!俺、こう見えてもWROの隊員なんだ。」
訝しげな大人達の顔をぐるりと見渡し、デンゼルは努めて明るい声で続ける。
「本当だよ!リーブ局長に許可ももらって、訓練だって出てるんだ。
見つからないように…すぐそこだし、大丈夫!」
「確かに、今のところ怪しいやつらはいなかったけどねぇ…」
ティファに助けられた家族の、母親の方が呟く。
「様子を見て、危ないようならすぐに戻ります。」
「デンゼル!」
「マリン…」
デンゼルはマリンの手を取った。
「一緒に行くぞ!」
「え…?」
「怖い?」
びっくりして、まんまるになった目がデンゼルを見つめ返す。
やがてにっこりと笑うと、大きく頷いた。
「うん!待っているのはもうやだ!待つのはきらい…一緒に行く!」
二人はしっかりと手を繋ぐと、心配気な大人達を後目にはしごに向かった。

199:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/27 22:26:22 aZD4ouJNO
おつです!つづきまってます

200:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/27 23:30:52 QlxY8ScB0
乙コール下さったみなさま、ありがとうございます。
まだまだ続きますが、投稿人、書くのが楽しくて仕方がないので
どうぞもう少しお付き合い下さいませ。

週末DCをクリアして、ぜひミッドガル地上戦も書きたいと思うのですが、
ゲーム内だけだといま一つ背景が分かりにくく、お話が膨らみません。
投稿人としては失格ですが、「この時は誰々はこうしてた」とか、
アイデアや、ヒントを頂けたらと思います。(特にシド)

それをこの場でしてもいいのか、それとも該当スレがあるのか、
それともスレを立てねばならないのか、アドバイスを頂けますでしょうか。

201:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/27 23:55:57 uOtJQs/U0
>>エッジ前哨戦
息絶えたドライバーの描写が重たくて。だから逆に、次に描かれる
戦闘シーンの力強さになってる印象で良かったです。
ただ、デンゼルとリーブが面接(“On the Way to a Smile”の舞台)は
DCから1年後…(…だったと、自分も再読して気づいたクチですがが)

 >>187地上部隊操作できたらDCは自分にとって神ゲーになってたと思うw
 その意味で、前哨戦は読んでてとても楽しいので、続き期待sage。

202:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/28 00:02:27 FyGaVtBU0
【DC】DIRGE of CERBERUS 考察スレ
スレリンク(ff板)

DC内で描写されていない点については完全に
脳内補完で設定をしてしまって良いと思う。
補完に当たっての根拠探しのお手伝いならできるかも知れないけど
上記のスレか、総合スレのが詳しい情報聞けるかも。

203:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/28 03:39:53 JoyRlsaS0
>>200
展開にハラハラドキドキしてすごく面白いです。
続きが楽しみすぎ(0゜・∀・)wktk

204:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/02/28 17:29:10 yWUNqJ0L0


205:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/02/28 22:41:50 rzHt13/r0
レス下さったみなさま、ありがとうございますm(__)m

>>201
>地上部隊操作できたらDCは自分にとって神ゲー
ナカーマ(*・∀・)人(・∀・*)
そして、ご指摘ありがとうござます。
慌てて読み直しましたが、3回音読してどこにその記述があるのか
気付かないあほたれですortドコナノー

>>202
誘導ありがとうございます。あちこちのスレを回って、
ヒントがないか探してみます。その前にこちらを終わらせますね。

>>195-196>>199>>203
ありがとうございますm(__)m週末までに書き溜めて、
どどんと投下する予定ですので、それまでどうぞお待ち下さいませ。


206:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/01 00:00:40 NdgamKlaO
>>205
小説の冒頭に

「四年前、ライフストリームが地中からあふれ出した時」

との記述がある。
ACはゲーム本編から二年後、DCはACから一年後(本編から三年後)
つまりOWSデンゼル編はDCから一年後ということになるかと。

207:バッツ
06/03/01 02:16:31 yH/Ysgox0
保守age

208:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/02 01:12:23 6x+ZZmdn0
>>206
ありがとうございます。
冒頭にあるのに気付かないこの目は節穴…
目玉くりぬいて、代わりに銀紙入れて逝って来ます…ort

209:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/03 00:08:54 Zi1HOhsz0
FF12発売も近いし保守は頻繁にしておきますよ

210:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 01:13:23 aNeo5d/u0
>>148-150 >>170-176 >>198から続きます。

一方、ティファは、物陰から神羅ビルを伺っていた。
アバランチ時代のお陰で迂回路を知っているとはいえ、
発見されずに辿り着けたのは奇跡に近い。
しかも大多数はエッジに進軍中で、人影もまばらだ。
(ツイてる…)
それでも地下から兵士や兵器ロボットが断続的に出て来るので、
侵入は裏からにする事にする。
(こういうの、ユフィの方が得意なんだろうけど…)
クラウドには探って来ると言ったものの、巨大な神羅ビル跡地の
どこを重点的に探ればいいのか見当も付かない。
もう一度ビルを見上げ、上層部は崩壊がひどいし、
大量の行方不明者が出た地下がやはり怪しいだろう…くらいは分かる。
(後は成り行き任せ…かな?)
とりあえず、裏口を前まで来ると、一瞬にして過去がよみがえった。
長い長い階段、ナナキとの出会い、プレジデントの死…
(そして、エアリス…)
ここには、エアリスを助ける為に来たのだ。
(もうあなたに甘えられないんだよね。)
エッジからもミッドガル…特にこの魔晄キャノンはよく見えた。
それは日常の風景の一部となっていたが、
こうしてその足下に立つと、3年前の戦いがまざまざと思い出された。

211:エッジ前哨戦【20】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 01:14:01 aNeo5d/u0
でも、それは感傷ではなかった。
彼女の事を思い出すと、自然に力が湧いて来た。
立ち止まらず、前に進まなければと思う。
今なら誰が来ても負ける気がしない。
(安心して、エアリス…私たちが、必ず守るから。)
裏口には兵士が二人立っていた。
ティファが飛び出す。まるで弾丸のようだ。たちまち機銃が火を吹く。
それを軽く身体を捻ってかわし、あっという間に敵の胸元に飛び込む。
一人をドルフィンブロウで倒し、ジャンプした勢いでもう一人を蹴り倒す。
倒れた兵士のポケットからカードキーを取り出し、扉横の端末に差し込んで開けた。

1フロア降りた所に壁一面にいくつものモニターがあり、
そこに指令書らしき物がいくつか表示されていた。
ティファは手前にある端末を操作し、指令書がどこから出てるのかを探る。
(もう…!また間違えた…)
どうにか指令書の出所を突き止めた。
(でも…ここじゃないわ。ここで中継されてるから…)
端末の操作にはあまり慣れていないので、時間がかかる。
「お手上げだわ。」
指令書は出所を探られない様に、いくつかのサーバーを経由しているようだ。
「とりあえず、この中継地点まで降りてみることね。地下12階か…」
エレベーターを使うか、階段を使うか迷う所だ。
(確か…階段にはカメラもついてなかったわよね。)
だが、地上フロアと地下フロアが同じ施設だとは限らない。
迷った末、階段を降りる事にした。
狭いエレベーターの中だと動きが制限されてティファにとっては不利だからだ。
(上るよりマシ…ね。)
帰りの事はあまり考えない様にして、ティファは非常階段を降り始めた。

212:エッジ前哨戦【21】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 01:14:38 aNeo5d/u0
マリンとデンゼルはそっと音がしないよう、扉を開けて床下に出た。
床板はしっかりとはめられていて、子供でも屈むくらいのスペースしかない。
「ねぇ、デンゼル、どうするの?こんな大きな板、持ち上げられる?」
「ダメだよ、持ち上げたら上の椅子が倒れて、音で見つかっちゃうよ。」
「そっか…じゃあ、どうやって出るの?」
「前に店の周りを掃除して見つけたんだ。反対側から表に出られる所があるんだ。」
デンゼルが先に立って四つん這いのまま進むのに、マリンも続く。
「そこから一旦外に出て、店の入り口から入るしかないよ。」
外に出ると聞いてマリンが驚く。
「大丈夫なの?」
「ほんの2~3メートルさ。マリンが見張ってくれてる間に、
 俺が走って店に入る。で、水を汲んですぐに戻って来るから。」
うん、とマリンが頷く。
「え~っと…」
現在地のおおよその見当をつけ、デンゼルは更に床下を進み、マリンが後に続く。
「うん、ここだ。」
床下の、湿気を逃がすための通風口がある。
メッシュ状になったそれの内側から外の様子を伺う。
道路、屋根の上…デンゼルは怪しい奴がいないか、何度も確認する。
「大丈夫だ。」

213:エッジ前哨戦【22】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 01:15:55 aNeo5d/u0
そして、網戸を外すと、外に出て、もう一度周りを見渡すしてから床下のマリンを手招く。
マリンも頷いて立ち上がると、デンゼルに続く。
二人は忍び足で店の入り口から中に入ると、鍵を閉めた。
「はーっ…」
二人同時に大きく息を吐く。やはりドキドキしたが、無事に中に入れた。
冒険が成功した様な気持ちになって、顔を見合わせて笑った。
「早く水を。」
「うん!」
マリンが床に落ちた割れた食器の中から、プラスチック製の保存用容器を拾うと、
デンゼルがそれを受け取り、蛇口を捻る。が、肝心の水が出ない。
「水が…止まってる…」
ミネラルウォーターを探したがない。汲み置きの水もない。
でも、このままでは戻れない。
(でも…どこに水があるんだよ!)
幼い二人は途方に暮れてしまった。
「デンゼル!地下よ!」
「え…?」
「ボイラーの中なら、お水が残ってるんじゃない?」
以前、お湯が出なくなった事があって、地下室に置いてあるボイラーを
クラウドが直してくれたのをデンゼルも思い出した。
「あのお水を、湧かしてあげたらいいんじゃない?」
避難キットの中に携帯用のコンロがあったはずだ。
「よし!汲みに行こう!」
喜び勇んで二人は駆け出し…そして…つい、いつものクセで
扉をバタン!と強く閉めてしまった。

214:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 01:18:56 aNeo5d/u0
>>210番号が抜けてました。【19】です。
今宵はここまで。

>>209保守乙です。


215:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/03 01:33:57 TjBgcWX10
ドキドキしながら続き待ってます。
デンゼル、マリン、頑張れ!

216:エッジ前哨戦【23】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 14:41:55 aNeo5d/u0
地下室には保存のきく食料や、酒や飲み物の瓶がきちんと整理して置かれている。
ボイラーは高さ2m程の筒状の物で、下の方に中の水を抜く為の蛇口が付いている。
二人はすぐにそこに取り付き、捻ろうとすると、錆び付いて動かない。
(クラウドは簡単そうに開いてたのに…)
デンゼルはポケットから花柄のハンカチを取り出すと、蛇口にかけ、力一杯捻る。
「だめだ…」
「デンゼル!」
マリンがクラウドの工具箱を持って来た。
自分が守ってあげなくてはいけないのに、さっきからマリンにフォローして貰ってばかりだ。
(しっかりしなくちゃ…!)
「ありがとう。」
デンゼルはそれを受け取ると、蓋を開ける。色々な形の工具がきちんと収められている。
バイクの整備をいつも横で見ていたので、工具の使い方なら分かる。
錆(さび)を落とすスプレーをかけ、ペンチで挟んで動かすと、勢いよく水が出て来た。
それを、マリンがタイミング良く容器を差し出し、溢れない様に入れる。
8分目くらいで蛇口を止めると、しっかりと蓋をした。
「よし、行こう!」
工具を直しかけて、ふと金づちが目に入った。
大丈夫だと思う。けど、
(何かあった時のために持って行こう。)
その“何か”が何なのか深く考えず、軽い気持ちでポケットに入れた。

217:エッジ前哨戦【24】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 14:43:01 aNeo5d/u0
が、それを使う機会はすぐに訪れる事になった。
地下室を出て、店と住居スペースの間の扉を開けた途端、
腕がニュッと伸びて来て、首に巻き付いた。
「やはり居たぞ!」
「デンゼル!!」
後に続いたマリンが悲鳴を上げる。
首を締め付けられ、息が苦しい。必死でもがきながら周りを見ると、
店の中に4~5人ほどの銃を持った兵士がいた。

“デンゼル、扉は静かに閉めなさい!”

こんな時に、ティファのお小言が思い出された。
残りの兵士達が銃口をマリンに向け、じわじわと距離を詰める。
デンゼルの頭にも銃口が押し付けられている。
身体が震えて、歯がガチガチする。息が苦しい。怖い。
マリンは少しずつ後ずさるが、すぐに背中が扉に当たって、動けなくなる。
(マリン…!)
守らなきゃ!デンゼルは歯を食いしばると、ポケットから金槌を取り出し、
自分を抱えてる兵士めがけて思い切り振り上げた。
「ぎゃっ!」
と、悲鳴がし、同時に手に“ぐしゃり”と嫌な感触が伝わった。
それが、骨が砕けた時の物だと理解した途端、恐怖が身体中を駆け抜けた。
兵士は倒れ、デンゼルも自由になったが、腰が抜けて立てない。寒気がする。
「うわああああああ!」
デンゼルは思わず金槌を放り出し、叫んだ。
(ほっ…骨が…っ…ひ…ヒトが壊れた…っ!)
マリンに向かっていた兵士達が一斉にデンゼルの方を向き、銃口を向ける。
自分に向けられた、直径3センチ程の筒が、デンゼルにはまるで大砲の様に見えた。

218:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 14:44:59 aNeo5d/u0
ちょっと時間が空いたので保守がてらの投下です。
デンゼルのWRO隊員の件は訂正しようと思ってますので、暫くお待ち下さいませ。
どう直そうか、辻褄合わせ中です。ご指摘下さったのに、対応が遅れてごめんなさい。


219:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/03 18:24:42 Yic+iMKZ0
>>218
乙!
すごくハラハラしてしまった…
ラストのデンゼルの動揺がいいね。

デンゼルのWRO隊員はみんなを安心させるためについた
その場しのぎの嘘だよね?
デンゼルは面接の時には既にリーブを知ってたから面識はあるはず。
最初に会ったのがDC後か前か分からないけど。

220:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/03 18:37:01 mQnblHqkO
保守

221:エッジ前哨戦【25】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 21:57:24 aNeo5d/u0
>>148-150 >>170-176 >>197-198>>216-217から続きます。

「マリン、逃げろ!」
それだけ叫ぶのが精一杯だった。
マリンが駆け出す。銃口がマリンに向かう。
デンゼルは兵士の一人に体当たりするが、軽く払われてしまい、
床に倒れ、後頭部を思い切り打ち付けた。
鈍い痛みで気が遠くなりかけた。それでも必死に目はマリンを追う。
逃げたと思ったマリンは、なんとデンゼルが放り出した金槌を拾っている。
「マリン、やめろ…!」
叫んだつもりが、声は微かなものだった。
兵士を殴った時のあの感触…あれはとてつもなく恐ろしく、嫌な物だった。
だから、マリンにあんな事をさせてはいけない。
起き上がって止めたいのに、身体が言う事を聞かない。
クラウドはティファの所だ。ここにはいない。
マリンは金槌を拾い上げると、兵士達を睨み付けている。
今にも飛びかかりそうだ。危ない。
(誰か…!)
その時、ガトリング銃が店の中に撃ち込まれた。
カウンターの後ろの棚に無数の弾痕が出来る。
と、同時に赤いしなやかな体躯の者が、割れた窓から飛び込んで来た。
店の中に降り立ったその者は、デンゼルも良く知る、
赤い、豹の様な、虎の様な不思議な生き物だった。


222:エッジ前哨戦【26】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 21:58:12 aNeo5d/u0
(な…ナナキ…?)
ナナキはマリンを狙う兵士達に飛びかかると、その喉笛にかぶり付く。
と、同時に店の扉が乱暴に開き、飛び込んで来た
バレットが右手の銃で残りの兵士を一掃する。
飛び込んで来たナナキに気を取られていた兵士達が
次々と倒され、7th Heavenに静寂が戻った。
「大丈夫か!?」
マリンは金槌を取り落とし、バレットにしがみ付く。
バレットはマリンを軽々と抱き上げると、しっかりと抱きしめる。
「父ちゃん…!」
「もう、大丈夫だ。怖かったか?」
マリンは気丈にも首を横に振る。が、瞳にいっぱい涙を溜めている。
「よく、頑張ったな。」
そして倒れてるデンゼルに歩み寄る。
「デンゼル…?」
「頭を打ってる。しばらく動かさない方がいいな。」
鼻先をデンゼルの顔に押しつけ、容態を診ていたナナキが答える。
「分かった。」
助かったんだ…そう思うと、力が抜け、
デンゼルはあっとうい間に意識を手放した。

223:エッジ前哨戦【27】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 21:59:31 aNeo5d/u0
ザワザワとした人の気配がして、デンゼルは目を覚ました。
下水道から、避難していた人が次々と出て来ているのだ。
思わず跳ね起きた途端、ずきん、と頭が痛んだ。
「デンゼル、大丈夫?」
マリンが心配そうに覗き込む。ずっと側にいてくれたらしい。
「起き上がるなら、ゆっくり。頭を打ってるんだ。急に動いちゃいけないよ。」
不意にナナキが顔を覗き込んだので、デンゼルはびっくりして後ろ向きに
倒れかかったのを、なんとか肘を着いて堪えた。
「驚かせたかい?」
デンゼルはふるふると頭を振る、と、余計に頭がずきずきと痛んだ。
「もう暫く、大人しくしているんだ。気分が悪くなったり、吐き気がしたらすぐに言うんだよ。」
「分かった…ありがとう、ナナキ。」
すると、ナナキは頭を少し傾げ、
「覚えていてくれてうれしいよ。それに、その名前で呼ばれるのも好きなんだ。」
そう言い残して、バレットを手伝うために表に出て行った。
入れ違いにバレットが入って来た。
「マリン、先に車に乗ってろ。」
マリンは不満げにバレットを見上げる。
「大丈夫だ。デンゼルを怒るワケじゃねぇ。少し、話しておきたい事があるだけだ。」
「本当に叱らない?」
「俺がマリンとの約束を破ったことがあるか?」
バレットは義手でない方の手を、マリンの小さな頭に乗せながら言う。
「たくさん、あるよ!」
バレットはがっはっはと豪快に笑うと、
「そうだったか?でも、デンゼルを叱ったりしない。男同士の大事な話だ。」
マリンはぷぅっと頬を膨らませたが、しぶしぶ立ち上がると表に出て行った。


224:エッジ前哨戦【28】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 22:00:53 aNeo5d/u0
「…ごめんなさい。」
バレットの顔がまともに見れなかった。
「俺…俺も何かしたかったんだ。役に立ちたかったんだ。みんなを守りたくて…」
バレットは口を挟まない。
「マリンが…ずっとティファを心配して泣いてるから…ずっと泣いてたんだ… 
だから、なんとかしてやりたくて…でも、俺…俺のせいでマリンを危ない目に
合わせちゃった…俺、頑張ったけど、全然敵わなくて…」
「一人、やっつけたじゃねぇか。」
その言葉に、デンゼルはびくんと身体を震わせ、
自分を自分で抱きしめる様にして身体を縮こませた。
「やっつけても、ちっともうれしかねぇだろ。」
デンゼルはハッとなって、バレットの顔を見る。怒ってはいない。
「戦うってのは、そういう事だ。血が吹き出して、骨が砕ける。キレイごとじゃねぇ。」
デンゼルは黙って頷く。
「それが分かれば、十分だ。いいか、デンゼル、自分より強いヤツと戦うな。それは、卑怯な事じゃねぇ。」
デンゼルはまた頷く。今ならバレットの言っている事がいやという程、理解出来た。
「よし、もう“お痛”はするなよ?」
「…ごめんなさい。」
バレットはデンゼルをそっと抱え上げると、デンゼルに笑いかけた。
「謝ってもらわなきゃなんねぇのは、クラウドとティファだ。アイツら、マリンを置いてどこに行ったんだ?」
「ティファは…様子を見に行くって。」
「どこへだ?」
「分からない…クラウドはティファを連れ戻すって。」
「それっきりか?」
うん、と頷くデンゼルに、バレットは思わず掌で顔を覆ってしまった。
「ナニやってんだ、アイツらは…。」


225:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/03 22:09:29 aNeo5d/u0
>>215
ありがとうございます。この二人のエピソードは
>>152-153さんのお言葉で思い付いたんですよ。
>>152-153さんにも感謝。

>>219さん
フォローありがとうございます・゜(つД∩)゜・。
いくら正当防衛でも、人を傷つけたら動揺しますよね。
子供ならなおさら…と思って。

226:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/04 02:20:40 JMolVYSp0
わくてか保守

227:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/03/04 09:16:24 OxnOo6Px0
うわ本気でハラハラしながら読んでたよ…GJ!
バレットたち来てくれてよかった。
たくさん、あるよ!ってマリンらしくていいなw

228:エッジ前哨戦【29】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/04 12:15:19 5sTf3RY20
>>148-150 >>170-176 >>197-198>>216-217>>221-224から続きます。

非常階段に監視カメラはなく、ティファはなんなく地下12階まで降りる事が出来た。
ここまでは楽に来れたが、ここからはそうはいかない。
踊り場からフロアに抜ける重い鉄の扉をほんの少しだけ開き、中の様子を伺う。
やはり、監視カメラがあった。
だが、天井に設置されたそれを破壊する術をティファは持っていない。
飛び蹴りや、何かをぶつけるにしても、音で見つかってしまう。
仕方がないので、カメラが反対側を向いている間に飛び出し、その真下の壁にぴたりと張り付く。
反対側を向いたカメラが戻って来て、今度は180度逆を向いた隙に、
ティファは向かいにある部屋に飛び込んだ。

最初に入った部屋より広いだけでほぼ同じ作りだ。壁一面のモニターと端末。
「ここね…」
ティファはモニタの側に駆け寄ると、片端から指令書を読んで行く。
どれも、最初の部屋で見た物と同じだ。
他のファイルを開こうとしてみたが、パスワードがかかっている。
パスワードを解析したり、いくつものサーバーを経由されているルートを探る技術がティファにはない。
ここまで来て、手詰まりかと思った所で、最後のモニターに見覚えのないファイルが開いている。
おそらく、閉じ忘れたか、見ている途中で席を外したのか…
(やっぱり、ツイてる…)
ティファは携帯電話から薄型の記録メディアを取り出すと、
カードリーダーに差し込んだ。地図のファイルを別名保存して、移す。
データーを移動させている間に、地図を見てみると、
「ディープ・グラウンド…?何かしら?」
端末を操り、地図をどんどん開いていく。
(いくつもエレベーターを乗り継ぐのね。もっとずっと地下…)
データーを移し終えた所で静まり返った室内に携帯の呼び出し音が響いた。
 着信を見るまでもない。
良いタイミングで電話をくれたと、ティファは着信ボタンを押した。


229:エッジ前哨戦【30】 ◆BLWP4Wh4Oo
06/03/04 12:16:18 5sTf3RY20
話は少し戻って。
怒髪天を衝くとはまさにこの事、状態のクラウド。
ティファを説得する言葉が浮かばず、考えれば考えるほど、
(1)ティファの気持ちは分かる。
(2)でも心配。
(3)心配なのが何故分からないんだ。
(4)いや、ティファの気持ちを理解すべきだ。
(5)でも心配。
を、頭の中で延々繰り返し、自分の怒りに自分で油を注いでしまい、
まるで興奮剤でも飲んだかのようだ。
いつも自分を待っていてくれる者がどれだけ不安を抱えているのか知る由もなく、
それに振り回され、持て余していた。
(何を考えてるんだ…こんな時に!)
クラウドは軽く頭を振り、冷静さを取り戻そうとする。
そして、改めてティファ説得の言葉を考えるのだが、
そうするとまた思考ループに逆戻りしてしまうのだ。
彼の名誉の為に補足させてもらうが、ティファの心配ばかりをして、
決してマリンやデンゼルの事を忘れているわけではない。
子ども達は大人しく避難しているものだと思い込み、
そこから抜け出しているなんて、彼の想像の範疇外の出来事なのだ。
ともあれ、なんとか言葉を整理し、要点をまとめた所でミッドガルの廃墟が見えて来た。
まずはティファの居場所を確認しなくては…と、電話を手に取る。
今度はすぐに繋がった。


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