06/01/30 14:10:41 KHyKUm1A0
〆月㊥日 スカーレット
ああ、しくじったわ。私は、面白おかしく人生を送っていきたいのに。
久々の出勤になるリーブの様子でもからかってやろうと、彼の部屋に行ってやったら
ちょうどそこで、リーブを訪ねてきていたルーファウス社長とも鉢合わせしちゃったのよ。
いつもの調子で、呼び出しもせずにいきなり開けちゃったから、気まずいの何のって。
しかも最悪な事に、ちょうど例のアンゲロに関する話だったんだから、もう。
「どこまで知っている?」社長にきつく尋問されて、
「スカーレット……」リーブに懇願されるように言われて、
──結局、2人には今までの流れを説明するほかなかったわ。
クマエルちゃんを手に入れて、洗脳されかけた事。手放した事で、元の自分を取り戻した事。
私とした事が、自分の汚点をさらけ出す羽目になるなんてね。……ホント、情けないわ。
私の話を聞き終わった2人は顔を見合わせて、決意したように頷きあった。社長が言う。
「スカーレット。きみはアンゲロ化から元に戻った前例を持つ人物の1人だ。
現ミッションにおける重要人物になるかもしれない──協力してくれるな?」
………来た。絶対こう来ると思ったわよ。だから今まで言わなかったってのに。
私は面倒な事をこれ以上抱え込みたくないのよ。ただでさえ兵器開発に忙しいんですから。
「頼む、スカーレット」
社長とリーブが声を揃える。──そんなの、どうやって断ればいいのよ、もう。
兵器開発部門統括、そしてAngello Crisis部隊第二副隊長。
それが今日からの私の肩書き。フン、もちろん、後者に関しては極秘ですけれど。
「スカーレットの話から、アンゲロ化を伝染させる媒体は“クマエル”の力が大きい事が分かった。
私は宝条を使ってその感染経路や拡散速度に関して調査を進めると共に、ツォンに尋問を行う。
リーブは引き続き、例の“レッドマーダー”の特定を急いでくれ。
スカーレット、きみはリーブの補佐に回ってほしい。………頼んだぞ」
社長はいつもながら、素早く的確な指示を出して、部屋を去っていった。