かなり真面目にFFをノベライズしてみる。その3at FFかなり真面目にFFをノベライズしてみる。その3 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト250:竜の騎士団 05/10/14 00:07:51 5KjLTY+Q 「でも私もだいぶ上達したと思います。父上にもぜひ見ていただきたいものです。今度の遠征は 随分と長いようですから、お稽古を付けていただくのが待ち遠しいです」 かりそめの陽気がうすれ、また副長の心にいつもの罪悪感がたちこめだした。 父はもういない。何度も何度も顔を合わせながら、彼にはどうしてもこの子にその残酷な事実を 告げることができないでいた。 「任せてよいのだな」 後見を申し出たとき、王は副長にそう尋ねた。くたびれた目尻にいっそう皺を寄せ、王は冷たい 押しつぶすような眼差しを副長にぶつける。静かな威圧が、言葉以上に雄弁に問いかけた。 時期を得てカインに事実を告げると言う大任。それを委ねてよいのだな、と。 彼は即座に頷いた。 だが、実際それはあまりに重い役目だった。第一、事実を告げればその重圧はそのままカインに のしかかるのだ。副長は隣を歩くカインに目をやる。視線に気づいたカインは、無邪気な笑顔で それに応えた。この笑顔を曇らすことなど、どうして自分に出来るはずがあろうか。 彼は本当にカインを良く知っていたのだ。しわくちゃな顔で泣きわめく赤子の頃も、槍を支えに 立ちだした頃も、そして母を失った苦しみに悶えていた頃も、ずっと見ていた。初めてゴブリンを 倒したときも側にいた。入学式に参列した時などは、本当に我が子のような気すらしたものだ。 けれど、カインは彼の息子などではない。たとえ副長が後見を引き受けようとも、カインが父の 死を知らない以上、彼はカイン=ハイウィンドであり続ける。そしてカインがそれを知ったとき、 彼が何を選ぶかは誰にも分からない。 まだ早い。 そうしてまた、彼はいつものいいわけを心の中でつぶやいた。まだ早い、と。 その言葉が通用しなくなる時期は、すぐに訪れると分かっていながら。 そして今日も、空っぽのあの家にカインと歩いていくのだ。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch