05/09/01 16:04:57 6Z6Tkiuu
闇深い封印の洞窟で、少年は姫君を発見した。少年たちは叫んだ。
「おまえは、だれだ!」
「私はサラ。サスーン王ダウの一人娘です。
ところで『お前』なんて失礼ね。声を揃えて言わなくてもいいじゃない」
少年たちは驚いた。
「サラひめ。どうしてここに?」
「ムスリムの指輪をつけていたので、私にはジンの呪いは効かなかったの。
城のみんなを助けるためにここまで来たけど…。それより、あなたたちこそ誰」
少年たちは口々に叫ぶ。
「ぼくたちは、ひかりのせんし!」
「ここはきけんです」
「すごく」
「サラひめは、おしろでまってて」
サラの胸までしかない子供たちが、取り巻いてきゃーきゃー騒ぐ。
「光の戦士? 訳わかんないこと言ってないで帰りなさい。ここは危ないのよ」
「こまったおひめさまだ」
「なにー!」
あの大地震でさえ、来るべき破滅の予兆にすぎない。
パルテナ山脈一帯を治めるサスーン領国も、いままた新たな脅威に晒されていた。
地震でよみがえった古き魔神ジンは、サスーンのダウ一族に恨みがあるらしく、
呪いの一声で城下を全滅させた。
亡霊の姿となった父と領民を救うべく、サラ姫・御年二十一歳、勇を鼓して立ち上がる。