FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜at FF
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜 - 暇つぶし2ch100:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/21 22:30:46 v0zH1yet
>>99
乙です。
ウルっと来ました。こんなドラマがあったかもしれんと本気で思ったよ。
ギャリングはゲームの中では名前しか出てこないに等しかったけど、
ちゃんと登場していたらいい味のキャラだったろうなぁ。

101:99
05/07/22 21:09:20 tEjkjls2
>100
カジノ兄妹イベントのラストでギャリング氏の肖像画がにっこりするシーンが好きなんですよね。
街の人たちからも気さくな人柄を窺わせる話が多く聞けるし。
喜んでいただけたのならこちらとしてもうれしいです。

102:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/24 01:57:05 a0Qc/Suv
ドラクエの小説スレ、あれだけほしいとほざきながら
立ったら立ったで閑散としているとはアフォらしいな。


もしスレが落ちたらもう二度とスレを立てる必要はないんじゃない?


103:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/24 22:13:17 0qVtg6Ej
そこまで言う必要はないけど、立てて欲しかった人は頑張った方がいいかもね。
頑張る人がいなければスレは機能しなくなっちゃう。

一度くらい書いてみたいけど、過去スレを読む時間、書く時間がない。
お題スレも同上。
正確には時間がないというよりも、他のことに時間使いたい状況です。

立てた方々は頑張れ~。案外書き込みはなくとも人は観てるものだから。

104:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 02:19:35 idECcBgM
FFをDQを会わせたパロディでも投下Okでしょうか?
しかもちょっと長くなりそうなのですが・・・
一気には無理なので、ちょこちょこ投下する形になると思います

105:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 06:35:23 5RzcKfCA
全然OK
間が空く時は
1:名前欄にタイトル及びトリップをつける
2:前回のレス番にアンカーをつける
3:エロやその他18禁はやめてね

106:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 18:33:18 RzseVJtK
ぬるほ

107:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 22:19:23 5r2u54UT
千一夜は3:については口を出さないべきかと

108:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 22:25:09 murbRTO/
千一夜サイトそのものはOKだが
千一夜スレのある板では問題がある
ってことだろ

109:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 22:52:06 5r2u54UT
それは分かるんだけどスレとしては明確にせず黙(ry

110:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 23:31:48 4loWlwYx
一応夏だからってことじゃないのか?

111:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/25 23:44:00 5r2u54UT
なるほど。つか姿勢としては一応禁止くらいにした方がいいのかもしれんね。
削除以来出されたら洒落にならないっすわ。

112:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/07/26 02:01:24 Zov0AlYn
 霧の大陸の南東に位置する、巨大機械都市リンドブルム王国。
 その内の劇場街と呼ばれる一角に、盗賊団タンタラスのアジトはある。
「…… ダガーじゃないよな?」
 そろそろ昼にさしかかろうかという頃、ジタン・トライバルは部屋の中央にある
テーブルに足を投げ出し、自慢の尻尾で遊びながら一枚の紙を睨んでいた。
「フライヤでもない、クイナでもない、ましてやスタイナーのおっさんでもない」
 どうやら手紙のようであった。
 内容は短いもので、自分を何か催しに招待するといった内容である。これといって
彼に思い当たる節はなく、タンタラスのメンバーに当てた物とも思えない。
 そもそもレースって何なんだ? リンドブルムらしく飛空挺でやろうってんじゃ……
色々と思い巡らせてはみるが、何のことやらさっぱりといった状況である。
「狩猟祭でもないし……なんなんだ?」
「失礼します」
「!」
 と、勢いよくドアが開いたかと思うと、見知らぬ男が姿を現した。
 格好からしてリンドブルム兵士である。
「ジタン・トライバル殿ですね」
「ああ、そうだ」
「突然のことで恐縮ですが、我々と共に来て下さい」
「……なんだって?」
 いよいよ状況が掴めなくなってきた。
 よくわからない手紙が届いたかと思うと、今度はリンドブルム兵士に一緒に来いと
言われている。一体自分が何をしたというのか? ジタンは拒否もしないまま、腕組みを
して考え込んでしまった。
「ジタン殿」
「ちょっと待ってくれ、俺が一体何をしたんだ? この手紙もあんた達が」
「……スリプル!」
「っ! い、いきなりかよ……!!」
 ジタンを耐え難い睡魔が襲い、瞼がゆっくりと閉じられていく。
 虚を突いたスリプルの魔法に、ジタンはその場に倒れ込んでしまった。

113:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/07/26 02:14:15 Zov0AlYn
>>112
「……ジタン、ジタン」
「む……」
「ジタンってば!」
「う……ううん…… んっ?」
「! 良かった、目が覚めたのね!」
 聞き覚えのある声で、ジタンは眠りから目覚めた。
 徐々に開かれる視界に、さらに見覚えのある顔が飛び込んできた。
「! お前、エーコじゃないか!」
「ひっさしぶりねジタン! 元気してた? ダガーとは上手くやってる? スタイナーの
 おじさんは…」
 かつて冒険を共にした仲間、召還師の少女エーコであった。
「あー待った待った! まず俺に聞かせてくれ、ここはどこなんだ?」
「見たまんまよ。どこかのお城」
 周囲を見回して、ジタンは唖然としてしまった。
 高い天井、大理石の床、美しい調度品がさりげなく置かれた室内。ジタンがいるベッドは
天井付きである。
「エーコも別のお部屋で目が覚めてね、でね、色々探検してたらこの子に出会ったの。ほら!」
「ガウー!」
「うわっ!」
 エーコが呼びかけると、エーコの後ろから少年が飛び出してきた。
 人間業は思えない程高く飛び上がると、そのままジタンの上へ着地、鼻と鼻が付く程の
距離まで顔を近づけた。
 緑の髪にぼろぼろの短いズボン、裸の上半身に布一枚をひっかけ、足は案の定裸足である。
「紹介するわ! ガウよ!」
「が……お前、ガウっていうのか?」
「ガウ! ガウ! お前だれだ!? だれだ!?」
「俺か? 俺はジタン、見てのとおりの色男さ」
「ジタンか! お前しっぽある! ガウと似てる!」
「は、はぁ?」
「さっ、自己紹介はそれくらいにして、さっそく探検よ! ここが一体どこなのか探らなくっちゃ!」
 ガウに負けじと元気な声で、エーコは2人の手を取った。

114:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/26 14:31:01 xnRMwr0y
そうか

115:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/07/28 02:18:27 pQYIVzed
>>113
 広々とした廊下の赤絨毯の上を、あれこれ見回しながら3人が歩いていく。
 人の気配はない。聞こえるのは自分達の足音、エーコとガウの話し声、先程から
窓に吹き付けている風の音だけである。
(……風?)
 ふと気になったジタンは、外の様子を見ようと窓の側まで近づいてみた。
 とそこには、驚くべき光景が広がっていたのである。
「っ! おいおい、なんなんだここは!?」
「どうしたのジタン、何か見えた?」
「見えたなんてもんじゃないぜ、ここは空の……空の上だ!」
 窓の外にあったのは、ただひたすら広がる青空のみであった。
 陸地らしきものは全く見えず、外壁も黒々とした断崖である。建物としての面影すらない。
誰もが城だと思っていたこの空間は、どうやらとてつもなく巨大な岩山のようであった。
「なんだか、リンドブルム城みたいなところね……」
「あぁ。どうやら、俺達はとんでもないことに巻き込まれちまったらしいぜ」
 そう呟いて、ジタンはふっと笑った。

116:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/07/28 02:23:24 pQYIVzed
>>115
 とにかく前に進むしかない3人は、長い廊下を再び歩き出した。
 奇妙なことに通路が分かれる場所には道標が示してあり、明らかに特定の場所へと誘っている。
罠と考えられないこともないが、ひとまずそれに従うことにした。
 しばらく進んでいくと、やがて大きな扉の前に出た。
「明らかに、ここが怪しいな」
「……中から人の声も聞こえるわ! もう入るっきゃないわね!」
「おう! 入る! 入る!」
 意を決し、ジタンは扉に手をかけた。
 エーコとガウは後ろに下がらせ、自らは突然の襲撃に備え短剣を口に咥える。体勢を整えた
所で、一気に力を込めた。
「ふっ!」
「……!」
 ギギッと重い音を響かせ、徐々に扉が開放されていく。
「ぐっ、ぐぅぅぅ……!」
「がんばってジタン! もう少し! もうすこ……」
「? どうした!? 何があっ……」
 やがて完全に開かれると、中の喧噪がどっと流れ出してきた。
「……!」
 大広間のような空間に、多種多様な人間と生物がひしめいている。
 金髪、銀髪、黒髪、白と緑の変わった帽子をかぶった青年、赤毛ツインテールの少女、チョコボにモーグリに
ぷるぷるとした何か、けむくじゃらの怪物等々……
 これにはさすがのエーコやガウも、唖然としてしまう。

117:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/30 21:45:14 /fy3/Iae


118:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/31 20:01:20 a9/bxK2e
しゅ?

119:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/07/31 20:57:20 vDktJuhW
即死防止保守゚+.(っ´∀`)っ゚+.゚

120:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/01 01:44:03 sxWvb4lY
>>116
 と、
「おぉ~~い! ジタン! ジタンではないか~!?」
「!? この声は……スタイナーのおっさんか!」 
 ジタンを呼ぶ声が聞こえたと思うと、鎧をガシャガシャ鳴らしながら男が走り寄ってきた。
 エーコと同じかつての仲間、騎士アデルバート・スタイナーである。
「お主、ここで一体何を…」
「お久しぶりね! スタイナーのおじさま!」
「がうー!」
「おおっ、これはエーコ殿……こちらの少年は?」
「っておっさん、感動の再会はあとあと! こりゃ一体なんなんだ!? ここにいる人達は……」
 ひとまず再会を果たすと、ジタン達は互いに今までの経緯を説明した。
 誘拐や突然の襲撃など様々な手段でここに連れてこられたこと、危害は一つも加えられていない
こと、ここにいる人々も同じ境遇であろうということ……
「自分も何がなにやらさっぱりである! ガーネット様もご無事であればよいが」
「もしかしたら、この中にいるかもしれないな。探して……」
 
『え~~~皆さん! ちょっと静かに! 今から大事な話をするんで、静かに願います!』

「? 声が……」
 突然、奇妙な声が聞こえてきた。
 どこからということもなく、四方八方から雑音混じりに聞こえてくる。
「姿は見えぬが声のみ聞こえる……何とも奇妙である!」
「しっ、なんか話すぜ」

『え~、この度はお忙しい所をお集まり頂きまして、ありがとうございます。なぜこのような場所に
来て頂いたかといいますと、皆さんにレースをね、やってもらいたいんですよ』

 レースという言葉を聞いて、周囲がにわかに騒ぎ出した。
 手紙に書かれていた言葉である。差し出し人の名前もなく、目的もわからず、ただレースに招待
するというだけの内容。
 反応からして、ジタン以外の者達も同じものを受け取っているらしい。

121:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/01 01:47:02 sxWvb4lY
『無理矢理連れて来といて何言ってんだってお思いでしょうが、まあ、その通りですわ。単刀直入に
言います。……元いた所に帰りたかったら、レースに参加して下さい』

 さらに、ざわつきが大きくなる。
 
『もう薄々気づいてると思いますけど、ここ、皆さんがいた世界とは別次元の世界ですから。どこに逃げたって
無駄です。魔法や呪文の類は一切消去させてもらってますし、脅迫しても無理です』

「……エーコ、ちょっと試してみてくれ」
「うん。ケアル!」
 エーコが魔法を唱えてみるが、何も起こらない。
 思わず、ジタン達は顔を見合わせてしまう。
「こっ、これは一体どうしたことなのだ!?」
「なのだ!? なのだ!? なのだ!?」
「そんなの知るかよ……ただ、この声の言うとおり物事が進んでることだけは確かだぜ」 
 と、再び声が話し出した。
 
『と、いきなり最後になりましたが、ここでレース開催を宣言して終わりたいと思います。詳しい話はまた
後で』
 
「ふが~~! 人をバカにしおって~~!!」
「なんなのよ! エーコ達をどうするつもり?」
 周囲からも避難の声が上がるが、声の主から反応はない。
 そして、

『ゴホン……  第1回チキチキ! S・E杯飛空挺レースーーー!!』

「飛空挺ですって!?」
「ひくう……? ファルコン! ひさしぶりー!」
「まぁ、途中からそんな気はしてたけど」
 そう言って、ジタンはため息をついた。

122:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/03 19:46:01 D28Oe1Gz
104◆V0Z9gQxKXc氏の登場を待つ間、今現在この板にあるSSが投下されているスレを挙げていくのはどうだろう?
少し前にも「DQ8のSSは?」という質問もあったし。
まとめてあると楽なんじゃないかな。保守代わりにもなるし。

123:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/04 01:16:51 gZ4GC283
>>121
『え~~~それではいよいよ冒険のはじまりです! 使用する挺、チーム分けとかは勝手に決めさせて
もらってますから。じゃさっそく、飛空挺ポートまで送らせてもらいますんで』

「送る…… !? うわっ!」
「きゃっ!」
 話が忙しなくなってきたかと思うと、突然、ジタン達を緑色の淡い光が包み込んだ。
 他の参加者達も同様に、そのままゆっくりと浮かび上がっていく。
「こ、これは一体どうした…」
「なのだ! しっかりしろ!」
「う、うるさいのである!」
「問答無用ってことね…… ダガー……」
 そして……

『それじゃ皆さん、またいつか~~~』

 そう言った次の瞬間、その場にいた全員の姿が消え去ってしまった。

124:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/04 02:05:47 gZ4GC283
>>123
 最初に気がついたのはジタンであった。
 けたたましい機械音を気にしつつ、目をこすりながらゆっくり、体を起こす。
「……飛空、挺?」
 段々と視界がはっきりしてきた彼の目に飛び込んできたのは、広大な機械空間に幾つも浮かんでいる、
飛空挺の群れであった。
 中央に底知れない深さの溝を挟み、両側の至る所に停泊スペースが設けられている。その光景に、
ジタンは見入ってしまった。
「すげえな、こりゃ」
「うっ…」
 と、手元で何やら声が聞こえる。
 ふと見ると、傍らに見知らぬ青年が倒れている。
「おい、大丈夫か!? しっかり!」
「こ、ここは?」
 ジタンに抱えられ、青年はゆっくりと起きあがった。
 青いターバンに同じ色のマント、白い服。後ろでに縛っている髪から見ると、どうやら旅人である。
「俺の名はジタン、あんたは?」
「僕はトンヌラ、グラン……いや、ただの旅人さ」
「ふむ。俺達がここにいるってことは、どうやら同じチームになったみたいだぜ」
「ああ。彼らも、そうみたいだね」
 言われて、ジタンは周囲に目をやった。
 巨大な雪男、モーグリ、四つ足の機械、反液体状のスライム、赤い頭巾の少女に緑の髪の少女……
皆目が覚めたらしく、むくりと体を起こし始めた。
 と、
「気づいたみたいだなァ」
「!」
 甲高い声と共に、黒い肌の「何か」が空中に出現した。

125:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/06 19:30:09 5NPNkEPI
(・∀・)

126:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/07 00:45:07 kX7/n7Dv
ニヤニヤスンナ(・∀・)

127:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/07 02:53:52 8nNINULb
 子供ほどの大きさのそれは、肌と同じ黒い布きれを身にまとい、赤く灯った瞳でこちらを見つめている。
その表情はうかがい知ることはできない。
「僕は、君らの案内役をつとめるクムクムさ。よろし…」
「うがー!!」
「ピキィッ!?」
「ぶっ!」
 言い終わらないうちに、後ろから凄まじいスピードでスライムが飛んできたかと思うと、鈍い音を立てて
クムクムの顔面に命中した。
 ジタンが振り向くと、腕を振り切った姿勢で雪男が立っている。クムクムはその場に落ち、スライムは
上手くトンヌラの懐に収まった。
「な、なかなかの歓迎じゃないか……ぐふっ」
「だ、大丈夫かい?」
「なんとかね……まずは点呼を行う。その前に」
「ウ? ウゥ……」
 赤い瞳が怪しく光ったと思うと、雪男はその場に倒れ込んでしまった。
 やがて聞こえてきた大きなイビキも気にせず、クムクムは懐から紙切れを取り出した。
「えーと、ジタン、トンヌラ、ウーマロ、モグ、ロビン、はぐりん、ルナ、リディア……こりゃまた、
動物園って感じだねぇ」
「大きなお世話だよ」
「嫌なら他のチームに寝返るんだね。次に、ルールその他諸々を説明する。ちゃんと聞くんだよ」
 やれやれ、といったジタンを尻目に、さらに続ける。

128:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/07 02:57:45 8nNINULb
>>127
「ルールは簡単さ。各チームに用意された飛空挺で、ゴールゲートをくぐればいい。1位とか2位とか
順位付けも無いし、完走さえすれば元いた世界に帰れる。簡単だろ?」
「本当かい? 本当に、元の世界に……」
「なら信じなければ?……完走するためにはこいつを5枚、集めてもらう」
 口を挟むトンヌラに言い返しながら、黒いその手の平が光った。
 見れば、小さな金貨のようなものが輝いている。
「君はご存じだよね? そう、小さなメダルさ。こいつを5枚集めることで、ゴールがどこにあるか
わかるって仕組み。……地面に埋まってるなんてことはないから、安心していいよ」
「宝探しね……なら、オレの出番かな?」
「ただし! 残念なことに、ゲートをくぐれる飛空挺の数は決まっていてね? おそらく、下位の
チームはゴールすることができないはずさ」
「……!」
「次に禁止事項だが……飛空挺を破棄もしくは廃棄すること、レースを棄権すること。これだけ
守ってくれれば、あとは他を潰そうが味方を裏切ろうが好きにして構わない……って」
 
 zzz…… zzz……

 思わず、クムクムの話が止まった。
 ふと見てみると、ジタンとトンヌラ以外のメンバーが皆、寝息を立てて眠っている。
「……飽きちまったみたいだな」
「……」
「所でさ、その大事な飛空挺ってのは、どうやって操縦すりゃいいんだ? それだけ……」
「……」
「!? おい!? ちょっ、おーーーい!」
 しばらく黙った後、クムクムはそっと消え去ってしまった。


129:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/08 01:40:45 IJmsQOdh
>>128
 案内役がいなくなってから、10分後。
 ようやく全員が目覚めた所で、ジタン達はひとまず自己紹介を始めていた。そこに浮かんで?いる
飛空艇も気になるが、まずは仲間である。
「さて、と。じゃあ次、こっちから順番に頼むぜ!」
 発案したのはジタンらしい。得意気に名乗った後、隣のトンヌラの肩を叩いた。
「僕の名前はトンヌラ、旅の魔物使いをしています」
「ロビンと申しまス。トンヌラ様の仲間をさせて頂いておりまス」
「ボッ、ボクもそうで……はぐりんです……悪いはぐれメタルじゃないです」
「リディアよ。みんなよろしくね!」
「モグだクポ!」
「ウ、ウーマロ……モグ親分の子分、してる」
「故国ムーンブルグの王女、ルナと申します。……えっと……よ、よろしくお願い致します」
 ルナの自己紹介が終わると、再びジタンが立ち上がった。
「よっしゃ! これからこのメンバーで冒険の旅に出るわけだが、みんな仲良く……」
「こりゃー!」
「いっ!?」
 ジタンが場を締めようとしたところで、飛空艇の方から大声が響いた。
 歳のいった声である。やがてドタドタと足音がしたかと思うと、入り口から油まみれの男が飛び出してきた。
「なっ、なんだぁ!? 変なじいさんが!」
「仲間を差し置いて自己紹介とは何事じゃ! まったく!」
 胸まで届くひげ面に派手な青の飛行帽をかぶり、ゴーグルの中の目が鋭く光っている。

130:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/08 01:43:23 IJmsQOdh
……なんだか自分しか書き込んでないのですが……
このまま続けてもいいんでしょうか?

131:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/08 02:08:55 SpcNoTsd
小説スレでレスがないからといって不安になってはいけない。

132:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/08 20:50:40 b10bHGrp
>>129
「! シドのおじいちゃん!? おじいちゃんなのね!」
「む? わしをおじいちゃんなどと呼ぶその声は……リディア! お前さんもこのレースに!?」
 シドと呼んだその初老の男を見るやいなや、リディアが声を上げ、そのまま勢いよく抱きついていった。
「みんな紹介するわ、シドのおじちゃんよ! 前に一緒に戦った仲間で、飛空艇を扱わせたら一番なんだから」
 どうやら、リディアの知り合いらしい。
 先程の点呼では呼ばれていないが、ジタン達と同じ艇に乗る気のようである。
「まあ、そういうことじゃ! よろしくな!」
「本当かどうかあやしいクポ~」
「ぬぬっ、疑うのか!? この……この……白いもこもこが!」
「! もっ、もこもこって何クポ!! ボクにはモグっていう名前があるクポ!」
「お、親分いじめる、許さない!」
「……な、なんともにぎやかになってきたね」
 手元のはぐりんを撫でながら、トンヌラは苦笑いを浮かべた。

133:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/08 22:01:28 BeF34AtG
便り(レス)が無いのは無事(このまま続けていいよ)の知らせ

134:辻裏のおとめ
05/08/09 16:08:55 BFRnF6JD
「そこな少年よ、そなたの歩みに迷いが見える。占いは迷いの闇を照らす光…」
完全無視して少年は歩いていった。だめか。

今日び占い稼業も楽じゃない。見台に肘ついてため息ひとつ。
夜風がさむざむと吹き抜けて、辻占の乙女を振り返る者もない。
ああ、神秘の美貌と不可思議の深い声音。なのにエンドール銀座のカリスマは遠い。

さっきの少年がもどってきた。
「なんか言いましたか」
「う、占いよ。占い。ひとつどう」
水晶玉とわたしの顔を見比べて、瞳が揺れる。いい引きだ。
この子にはどんな悩みがあるのだろう。少年は各種コースの値段表をじっと見つめた。
「じゃあ、下から二番目のコースで」
どれも内容は同じだ。オッケー釣れたぜ。

クリスタルの向こうの椅子に、すとんと少年が腰掛ける。
緑に透ける髪はさらさらで、可愛い感じの男の子だった。
「さて、お名前は」
「名前なんかどうでもいいでしょ。どうしても呼びたければ、勇者と呼んでください」
すこしカチンときた。
「では勇者くん、きみの悩みを話してください」
くん付けで呼ばれてむっとした顔。でも、ぼつぼつと話し始めた。

過酷な環境だったらしい。ある日、両親に自分は実の子でないと知らされた。
村のごたごたに巻き込まれて、両親は彼を置いて蒸発した。
幼馴染の女の子は変わり身してしまうし、家は焼かれて居場所もなくなってしまった。
ひとり村を逃げ出したものの、行き先に迷ってるわけか。これだけ材料があれば楽勝だ。

覗き込んだ水晶玉が光っていた。
「七つの光が見えます…。まさか、あなたは勇者さま!」
「さっきからそう言ってますが」


135:ブルジョワジーの密かな愉しみ
05/08/09 16:10:23 BFRnF6JD
きらきらと縦横にめぐる水路に、ゆったりと小舟が行き交うさまをみる。
水の都はスタンシアラ。ある日、国王は憂鬱になった。
「私はなぜ生きているのか」
「私はなぜ私なのか」
こうして一日中玉座に座っていると、根拠のない想念が次々と湧き起こってくる。
奇怪であり、やがて狂おしくなってきた。

そう、今となっては、何もかも色あせて見える。
王は政務を放り出し、遊興に耽るようになった。それが楽しいからではない。
都に放火して酒の肴にしたという、古代の皇帝にも習うところがある。
王は城の水路を酒で満たし、黄金のゴンドラの上で退廃した宴を開いた。
莫大な財貨を投じ、王は笑いと快楽を求めた。そして、なお憂鬱であった。

当代随一というお笑い芸人が、王の前で大仰に見得を切って見せる。
「ここにおられる御方こそは、誰あろう、予言の勇者に違いありませぬ。
 すべての王より尊い天空の血を引き、竜神の祝福を受けた御方。
 地上にはびこる妖怪悪魔を駆逐すべく、御光臨あそばされたのでございます」
そのとき、王はにっこり微笑んだ。

ジョークが面白かったからではない。芸人の後ろにいた、緑の髪の少女が可愛かったからだ。
王家重代の秘宝『天空の兜』を少女に贈って、王は満悦した。
その夜、少女のことを思い出すと、またにんまりと笑えてきた。


136:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/11 01:42:44 M+Kbcwuz
>>132
 発進準備を迎えた中型艇グレイハウンド号では、各作業が着々と行われていた。
 全長約40メートル、3基の上昇用と2基の推進用大型プロペラを備えた、機動力に優れた
機体である。ただ、動力に未知のエネルギーを使用しているため、出力や安定性など不明な点は多い……
『ミド、どうだ?』
「むー……」
 というのは、この艇の機関士長の言葉である。中でも中枢部に何かのエネルギーを秘めた「宝石みたいな
もの」が組み込まれているエンジンに関しては、特に不明な点が多いらしい。
『おい、聞こえてんのか??』
「むむむ~」
『あんだってぇ?』
「わかんない!」
 そう言うと、機関士ミド・プレビアは両手を上げ、その場に寝ころんでしまった。
 通信管からしつこく流れ落ちてくる声を聞いてか知らずか、すっかり不機嫌な顔である。
『てめぇ、わかんないって言いぐさはなんだ!? 仮にもこの船の機関士長だろうがよ!』
「機関士長って、そんなの主催者側に勝手に決められただけだもん! ……同じ名前のクセに、
おじいちゃんとは大違いなんだから……」
「まぁまぁ…… ハイウィンドさん、ひとまずコレのことは忘れましょう」
「チャモロの言うとおり! 悩むな、悩むな。心配するのは年取った証拠って言うよ?」
「~~~!」

137:104 ◆V0Z9gQxKXc
05/08/11 01:44:55 M+Kbcwuz
>>136
 エンジン室から聞こえる少年達の声を聞きながら、艇長シド・ハイウィンドはため息を吐いた。
 機関士長であるミドとアーヴァイン・キニアス、そしてチャモロという3人の少年には、
それぞれの性格は違いこそすれどうも調子を外される気がする。
「でも、退屈はしなくて済みそうじゃない?」
 と、そのやりとりを笑いながら聞いていたアリーナが、微笑みながら言った。
「そうだろうな、退屈なんざするヒマもねぇだろうさ」
「ええ……孤独よりマシよ」
 赤い巻き毛を手でさぐりながら、ふと呟く。
 そんな時であった。
『艇長! 今すぐ上に来てみな!』
「おぅ! どした?」
『隣の飛空艇がさ、なんだか動くみたいなんだ! なんてゆーか、ヘンテコな形の飛空艇……』
 2人の男女の声が、少し興奮した様子で甲板の様子を伝えた。

138:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/12 17:36:18 2jB7rS0Z
過疎あげ

139:書き手  ◆F/WveZadCU
05/08/14 02:12:52 Hn9yes6F
お久しぶりです。
めぐれメタルスレ落ちちゃいましたorz
470KBまで行っていたのに無念。
合宿帰宅報告でもしておけばよかった・・・。
書き込もうとしたら過去ログ行き。二時間前はなんともなかったのに。・゚・(ノД`)・゚・。
復活させるにしても2.0になるのか2.5になるのか、それすらも微妙です。

場の悪いことに明日から帰省・・・。
一週間ほど帰ります。どうするかはそれから考えます。
ごめなさい。

とりあえずここに非難させてください。

140: ◆QWzUF/wj3.
05/08/15 22:30:18 1bFZ5PEn
すごい久しぶりの書き込みで最初躊躇った・・・
ま、短く。
>>52
A・Iさん、すみません。お題スレでは感想くれたのに返事できなかった。
もう何ヶ月前のことになるやら・・・
このスレでも自分のあとに間髪入れず投下してるのに今になってレスをするような
体たらくぶりですよ、はい。
なんだかもう暑くて忙しくて・・・どうでもいいか。
とにかくその軽め(?)なストーリーと文体は健在なのでよかったです。でも時々重厚な話も
書いてますよね。
>>54
実際だれかが測ってみて一分半くらいだったらしいです。
クラウドのつっこみもやっぱり欲しかったか。
やったことないけどインター版のスーパーノヴァは凄いとか

141:あやかし
05/08/16 16:14:31 aZ+k81J5
深い森の緑に包まれて、人の目に隠れた隠れ里。
夜の丘にたつ不思議の塔は、あたかも月光にゆらめく幻のようである。
ここに妖魔の王子デスピサロ様は、黒い鳥の姿を借りて飛来された。

ぼんやりと白んだ春の月に、王子は心に染み渡るばかりに笛を遊ばし、
魔法の入り口の封印をお解きになった。
階上の部屋にひとり住まう妖精の姫は、王子の姿をご覧になり、
「まあ、デス様」
とお迎えなさった。
「今日は魔界王子ではなく、ひとりの男として参りました。
 ただピサロ、とお呼びください」

ところが姫は、花のかんばせをにわかに曇らせ、困惑したご様子になられた。
「いつもお着けになっている、あの仮面はどうされたのですか。
 黒羽をあしらった黒金の細工、泣きぬれたような宝石の仮面は」

王子は言葉を尽してお慰めなさったが、姫はただ首を振り、むやみに怯えたご様子なので、
なすすべもなく手をつかねて、ただ呆然となさる。
妖精の姫の目にあふれ、こぼれた涙は、落ちてきらめく宝石になった。

そうこうするうちに、緑の甲冑の宿直騎士が戸の前に参り来て、
「もう夜も更けました。姫様にはご就寝の時間でございます」
と告げたので、王子は、
「これはもう、なんともはや」
とその夜はお帰りになられたのも、あわれに優雅なことであった。


142:伝統
05/08/16 16:15:15 aZ+k81J5
新しい太陽がアリアハン国を照らす。少女の十六歳の誕生日の朝であった。
「わたしの可愛い勇者さん、起きなさい」
ベッドを覗き込んだ母親は、娘の頬を指でつついた。柔らかくくぼんだ。
「んー」
「今日はお城に行く日でしょ」
少女は飛び起きた。「いけない、遅刻しちゃう!」

とんとんと階段を降りてきた少女は、真新しい制服を母に披露した。
「どう? どこか変じゃない?」
今日の日のためにあつらえた、伝統の勇者の衣装はミニスカ。
半袖の肩から胸にベルトを渡し、これにかばんと剣を提げる。
くるりと回るとふわり広がる、薄手のマントはブルー、好きな色。
すこし癖っけな黒髪を、額で留める冠は勇者のあかし。

「似合ってる。似合ってる」
おかしそうな母の笑顔に不安になる。棚の上の写真をちらりと見上げた。
どう、パパ?
写真の隣に置いた時計は八時二十分だった。少女はぎょっとした。

テーブルをかっさらって玄関に飛び出した。母の声が後を追う。
「ごはんはー?」
「時間ないから!」
行ってきますの声も慌しく、少女は城への坂道を、食パンをくわえて駆けていった。


143:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/18 07:40:24 vKAkPFyl
何この萌え小説w

144:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/18 23:21:24 hhZIsuWH
ところでラトーム氏は本当にどこへ行ってしまったんだろう。
今年の3月末のよろず相談所への書き込みが最後のような気がする。
誰か消息を聞いていませんか?特に保管人の方々。

145:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/20 08:24:10 mLTlTYzm
 軍人というものは、多かれ少なかれ何を着ていても軍人然とした雰囲気を隠せないもの
だ。以前、近衛隊の上官の私服姿を見かけたことがあるが、あれは何とも言えないものだ
った。サー、制服をどこにお忘れになったのですか?…今はまだ笑っていられるが、ぼく
だってあと十年もすればあの上官とおなじ、軍服しかしっくりこないタイプの人間になる
のかもしれない。ぞっとしない話だ。
 ところがその酒場にいた彼にはそういった様子が微塵も感じられなかった。なるほど騎
士団の洒落た赤の制服を粋に着こなしてはいるのだが、彼の気配はあまりにも貴族的だっ
た。要するに軍服を着ていてさえも軍人に見えないのだ。古風な仕立ての錦の三揃えを着
て、詩篇を引用した訳のわからないジョークで上品に笑う、彼にはそういった世界の方が
よほど似合っているように見えた(だから後になって、彼が没落貴族の出身だと聞いても
ぼくはあまり驚かなかった)。
 彼に会った時、彼の部隊の連中はさぞかし手を焼いていることだろうとぼくは内心苦笑
した。綺麗すぎる男というのは当人の意思に関わらず問題を起こしやすいものだし、何よ
り彼の空気は根本的なところで軍人連中とは馴染まない。例えば上官をネタにしたお決ま
りの下品な小話で仲間と一斉に馬鹿笑いをする、そんな彼を誰が想像できるだろう。言っ
ておくが、軍事組織においてもっとも重要なのは協調性なんだ。
 実際付き合いが長くなってみると、彼は見かけほどなよやかな男ではなかったにせよ、
幼稚なまでの無邪気さと、目に見えないもの手に入らないものを恋慕う屈折したナイーブ
さ、彼のそういった多面性はまさしくある種の貴族性の本質を体現していた。華やかさの
裏の暗い影、情熱と諦念、相反するそれらを共存させて感じやすい心を絶えず揺らす。そ
ういう生き方はぼくのような単純、よく言えば現実的な庶民精神の埒外のものだ。
 しかもこの美人の騎士殿ときたらカードの仕込みまでやらかすらしい。当時、彼のあか
らさまなチーティングのせいで起きた乱闘を眺めながら、ぼくは彼の同僚にますます同情
していた。こんな問題児と上手くやっていくのはさぞかし大変だろう。ぼくなら三日で胃
に穴が開くに違いないと思ったからだ。


146:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/21 01:45:40 Fracpwxs
>>141
おー、平安物語調ですね。ロマンチックだー!
文体を自在に変えられるって憧れます。

147:僕らの勇気
05/08/22 15:15:53 37/iqvHU
むかしローレシアのモョモト王子は、魔法で織られた絹のつばさ、
『風のマント』を身にまとい、塔の頂から飛び立った。

眼下に荒れ狂う海峡は、竜のあぎとの名のごとく、
すべてを飲み込む貪欲な渦、行き交う船も絶えてない。
ドラゴンの角の一方から他へ、モョモト王子は空を飛ぶ、
不撓不屈の勇気を胸に。

モョモト王子は空を飛ぶ。
愛と勇気は友だちさ、でも一人じゃない。
右手にサマルトリアのトンヌラ王子、
左手にムーンブルクの犬姫をつなぎ、
海上を三人でグライディン。

「すばらしく気持ちがいい」
とトンヌラ王子。
「勇者がトべるって本当だな」
「やみつきになりそう」
と犬姫。
「船なんかいらないわ。もっともっと」

あまり二人がはしゃぐので、モョモト王子も男気を出した。
海峡を越えてさらに飛ぶ、目指すルプガナがみるみる近づく。
ところが不思議な魔法のつばさ、『風のマント』も限界だった。
あまり長時間展開していると、太陽熱で溶けてしまう。
「なんかやばいぞ。失速してないか」
「きゃー! きゃー!」

最後の力で二人を森に放り出し、モョモトの翼は空中分解した。
つばさ奪われモョモトは、
落ちて命を失った。いや、危うく死ぬところだった。


148:野生児
05/08/22 15:16:37 37/iqvHU
がうがう、おれガウ。獣ヶ原のいっぴき野生児。
今日も野生してるよ。

おいしい匂いや、すてきな香りを追いかけて、まいにち夏の獣ヶ原を走る。
今日は、特別ふしぎな匂いを探してた。すごいお昼にありつけるかもしれない。
もうずっと近いんだ。期待して藪をくぐったとき、すぐそばで声がした。
「なに?」
「なにかいるみたい」
女の人の声。
がさがさ、わざと藪を揺らして、顔を出してみた。きゃーっと歓声。
「かわいーい!」
浅い芝の上にマットを敷いて、ランチとお姉さんたちが載っていた。

緑の髪のお姉さんがおれを指差す。
「あれ、野生児っていうんでしょう」
金髪のお姉さんが、ランチボックス持って、おれの方に来た。
「野生児って何を食べるのかしら」
おれに手を伸ばす。おれは待ってた。

「おいよせよ。噛みつかれるぜ」
お姉さんはびくっと手を引っ込めた。バンダナのおじさんが口を出した。
「そういう野生児にはな、エサとか、やらないほうがいいんだ」
「どうして?」
二人のお姉さんが見つめる。おじさんは言った。
「そりゃあ…野生児なのに、野性を失っちまうだろ」
お姉さんたちは未練っぽくおれを見たけど、納得して、さわるのはやめたよ。

そう言われたら仕方ない。おれも、退散するしかないけどさ。
おれだって時々は、お姉さんたちに甘えてみたかったんだ。
藪を抜けて無茶苦茶に走りながら、おじさんの言葉、忘れたかった。
ちぇっちぇっ。おしっこ、ひっかけてやればよかった。


149:書き手  ◆F/WveZadCU
05/08/22 23:14:59 GoxX3t4t
あやうく挨拶を忘れるところでした。
復帰しました。有志の方が立ててくれたみたいです。
お邪魔しました。また遊びに来ます。
ラトームさんも戻ってこないかな・・・。

めぐれメタルの冒険 2.5 deep strangeness
スレリンク(ff板)

150:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/22 23:58:17 r2A4yw87
>>147
「むーかーしギリシャーのーイカロスはー」
ですな。なんか嵌っててワロタ

151:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/24 09:21:17 5GN7VB3i
下がりすぎてギリギリの位置だったんで一旦ageますね

152:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/08/24 10:21:38 G9jLrIgd

何がギリギリなの?

まさか最下層=dat落ちって思ってる?


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