主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3at FF
主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3 - 暇つぶし2ch739:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/16 22:31:09 t2dme2xN
ぬるぽ(^^)

740:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/17 10:34:24 /lBOiG5U
そういえば、ここのところ「主姫スレ」と「ククゼシスレ」がお隣さんだ。
両方を行き来している身としてはうれしい。

741:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/17 10:37:04 sA8CnrRt
>>739 ガッ!!

742:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/17 20:21:16 7grLABj9
読んでいただきありがとうございます。

頑張ります。……が、少しのんびりペースになるかも。
すみませんがよろしくお願いいたします。

743:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 07:29:07 7X3T79eF
ほす

744:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 17:15:00 CkXuGo24
ほしゆ

745:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:34:09 sskKwqgx
>>731-734
続き

746:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/10/19 19:35:49 sskKwqgx
2.
ミーティア姫もまた、困っていました。確かにエイトの言う通り、ひらひらした絹のドレスで
はどう考えても街の子供には見えません。近隣の村から運ばれてくる野菜や穀物の荷馬車に同
じ年くらいの女の子が乗っているのを見掛けたことがありましたが、その子はブラウスと膝丈
ぐらいのスカートを着ていました。姫の持っているドレスは皆、裾の丈がくるぶしまでありま
す。庶民でも十四、五にもなると長いスカートを身に着けるようになりますが、自分がその年
齢に見えるとはとても思えませんでした。
では新しくスカートを作ろうかとも考えましたが、木綿や麻の布が手に入りません。いえ、寝
台周りの敷布や枕カバーは麻でしたが、あまりに真っ白過ぎてちょっと不自然でしたし、何よ
り無くなっていたらリネン係のメイドさんに怪しまれてしまいます。
どうしようかと一生懸命考えながら城内を歩くうち、ふと赤い格子縞の布が目に入りました。
何か片付け物の途中だったのでしょう、取りあえず見苦しくないように布を掛けておいたよう
です。
(これでスカートを作ったらかわいいのではないかしら?)
ミーティア姫はそう考えました。近寄って摘んでみると縁はもうかがってあります。筒状に縫
い合わせ、胴にリボンを巻いてサッシュにしたらすぐにスカートになりそうでした。
「まあ姫様」
突然背後から声が掛かり、姫は飛び上がらんばかりに驚きました。
「お見苦しいところをお目におかけして大変申し訳ございません。すぐに片付けますので」
掃除係のメイドさんです。ミーティア姫はお願いしてみることにしました。
「お仕事お疲れさまです。…あの、この布はあなたのもの?」
「はい、左様でございますが」

747:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:37:58 sskKwqgx
「とってもかわいいわ。この布、もらえないかしら?お部屋の棚に掛けたいの」
「まあ、こんな粗末な布、姫様のお部屋には相応しくございませんですよ。ビロードや繻子の
美しい布をたくさんお持ちでしょうに」
メイドさんは笑いながらそう言って取り合ってくれません。
「ううん、この布がいいの。だって大きなチェックがとってもかわいいんですもの。ね、お願
い」
「ですが…」
「掛ける布が無くなって困るのだったら、ミーティアのお部屋のカバーを使って」
姫も必死です。
「いえ、そんな勿体無い」
メイドさんはびっくりして手を振りました。
「布なんていくらでもございますよ。姫様がどうしても、と仰るのでしたらまだ使っていない
ものがございますので、そちらを差し上げます」
「まあ本当?!うれしいわ、どうもありがとう」
姫の小躍りせんばかりの喜び様にメイドさんは不思議そうな顔をしましたが、
「ではただ今持って参ります」
と言って布を持ってきてくれました。
ミーティア姫はお礼を言い、布を抱えて小走りに部屋に戻ります。途中で廊下を掃除している
エイトを見付けました。
「エイト、エイト」
物陰から手招きするとエイトがやってきます。
「あのね、この布でスカートを作るわ。かわいいでしょ?」
エイトは胸にしっかりと抱えられた布を見ました。これなら何とか街の女の子に見えそうです。
「うん、そうだね」
エイトに認めてもらえて姫はとても嬉しくなりました。が、次の心配が浮かんで来ます。
「後はブラウスよね…どうしたらいいのかしら…」
「あのさ」
困っているミーティア姫にエイトは耳打ちしました。
「上は何とかするよ。だからちゃんとスカート作って」

748:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:40:30 sskKwqgx
「ほんと!?ありがとう、エイト」
そう言って爪先でくるりと回ります。あまり嬉しくてくるくる回っていると
「ミーティア、人が来たらへんに思われちゃうよ」
と困ったように言われてしまいました。
「あっ、ごめんなさい。秘密のお出かけなんですものね、気付かれないようにしないと」
そう言いながらも姫のにこにこは収まりません。
「だからさ、そんなににこにこしていたらへんだよ。普通にしていてよ」
エイトはますます困ったように言います。
「ええ、分かっていてよ。ちゃんと普通にしているわ。じゃ、エイト、また後でね」
分かったようなことを言いましたが、楽し気に手を振り、部屋に戻るその足はスキップしてい
ます。歌を口ずさみながら遠離るその姿を見送って、エイトは小さく溜息を吐いたのでした。

部屋に戻ると早速ミーティア姫はお針箱を取り出しました。貴婦人の嗜みとして小さい頃から
刺繍の手ほどきを受けています。自分で刺繍して縁をかがり、トロデ王に贈ったこともありま
した。
なので脇を縫い合わせ、胴に襞を取ってリボンを縫い付けることなど簡単です。あっという間
にスカートが出来上がりました。赤いブーツに合いそうです。膝よりやや長めの丈で、着てみ
ると足が空気に触れてちょっとひやっとしました。
でもこんなスカートを着るのは初めてです。何だかとっても嬉しくなって、鏡の前でポーズを
取ったりダンスをしたりしてしまいました。
新しい服を作り、それが自分に似合っている様子を見て心躍るのは女性ならば誰しものこと。
お昼になって仕方なく普段着のドレスに着替えした後も、にこにこは収まりませんでした。
「姫や、今日は随分ご機嫌じゃの。何かいいことでもあったのかの?」
とお昼の時にトロデ王に聞かれてしまう始末。

749:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:42:02 sskKwqgx
「いいえ、何もなくってよ。あっ、お父様とお昼ご一緒できるの久しぶりでうれしいの」
確かにその通りだったのですが、それにしてもはしゃぎ過ぎていてトロデ王は心配になりまし
た。
「あまりはしゃぐとまた具合悪くなるのではないかの。今日は外に出ない方がよいのではない
か」
トロデ王の心配ももっともでした。ミーティア姫は昼間はしゃぎ過ぎて夜熱を出したことが何
回かあったのです。ただそれは子供に特有のもので、心配する程のものではなかったのですが。
けれども亡き王妃の忘れ形見である愛娘の発熱がもし死病の前触れだったら、と王は恐れてし
まうのでした。
「大丈夫よ、お父様。だってミーティア、エイトと一緒に遊ぶようになってから熱出したこと
ないんですもの」
「そうじゃったの。随分丈夫になって、ワシゃ嬉しいぞ。エイトのおかげじゃの」
どうやら王の意識はそちらの方へ行ってくれたようです。ミーティア姫はほっとしました。
(気を付けなくっちゃ)
と姫は思いました。それでもどこかうきうきした気分が出ていたのでしょう。その日はずっと
「ご機嫌ですね」
とことあるごとに言われ続けてしまったのでした。

着るものがどうにかなりそうだったので、エイトはほっとしていました。もしかしたら自分の
服を貸さないといけないのではないかと心配していたのです。貸すのはいいのですが、女の子
のミーティア姫にズボンを履かせるのは気が引けました。どこの子供でも女の子はスカート、
男の子はズボンで、逆は見たことがありませんでしたから。
それにあの長い髪をどこに隠すのか、帽子の中に押し込むしかなさそうです。その上完全に男
の子の格好をさせたとしても、姫はどうしても女の子にしか見えなさそうでしたから。

750:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:44:00 sskKwqgx
一日の仕事が漸く終わり、エイトは寝床の中で自分の行李を開きました。中には自分の着替え
が入っています。この前貰った新しいチュニックが奥にしまってありました。
頻繁に服が貰える訳ではないので、小さくなったり繕えない程生地がへたってしまうまで着な
ければなりません。今着ている服はまだまだ充分着ることができそうだったので新しい服は取っ
ておいたのですが、これが役にたちそうでした。色も生成りで、これなら女の子が着ていても
おかしく思われないでしょう。
(後は頭かな)
時々親と一緒に荷馬車に乗ってきて荷運びの手伝いをしている女の子の服装をエイトは思い出
そうとしました。確か髪は二つに分けて三つ編みにしていたようです。肌寒い日は肩掛けをし
ていました。秋も半ばを過ぎ、朝夕は冷え込みます。
(何かそういうものがあった方いいかも)
「おい、エイト」
あれこれ考えていたら隣の寝床から眠た気な声がかかりました。
「明日も早いんだ。さっさと寝ろ」
「は、はい」
こっそり点していた灯が邪魔だったようです。急いで灯を消し、荷物をしまいました。

次の日の夕食後、またミーティア姫が厨房にやってきました。
「こっち」
と口だけ動かして隅の方へ呼び寄せます。
「あのさ、このチュニック貸すよ。上に着て」
ミーティア姫はエイトの手の中にある服を見ました。

751:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 19:45:45 sskKwqgx
「ありがとう、エイト」
姫もまた、ほっとしていました。自分の持ち物の中で合いそうな服は無く、かといって自分で
作るにはあまりに複雑で、どうしたらいいのか途方に暮れていたのです。
「じゃあ、その日はそれ着てきて…あっ!」
エイトは何か思い当たったようです。
「どうしたの?」
「その格好じゃ城の中歩けないよ…」
「あっ、そうね、そうよね…」
「どうしよう」
「どうしましょう」
「うーん」
「うーん」

二人で考え込むうち、先に口を開いたのはミーティア姫でした。
「あのね、馬小屋とかで着替えたら駄目?」
「えっ、でも汚れちゃうよ」
「平気よ、ちょっとぐらい」
「あっ、だったら」
漸くエイトがいいことを思い付いたようです。
「穀物貯蔵庫にしよう。あそこ、きれいにしているし、通用口も近いよ」
「貯蔵庫?」
「あ、分かんないか。じゃ、ここに来て。それまでにお弁当作っておくから。一緒に行こう」
「うん!」
本当に嬉しそうでした。その顔を見てエイトは
(ああ、一緒に行くって言ってよかった)
と思ったのでした。
                     (続く)

752:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/19 22:02:09 Chg//7ik
わくわく

753:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/20 00:50:45 qEdOQl1m
エイトの作ったお弁当が激しく食べたい。

754:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/20 22:50:40 rUQo+9yq
変なところで空白入ってる…!
もう何がなんだか_| ̄|〇

エイトに美味しいお弁当を作らせるので勘弁してください。

755:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/21 01:48:16 Qpc/Ei+r
子ども時代主姫可愛いな。
◆JSHQKXZ7pEさんに触発されて、
漏れも何か書きたくなってきた…。

756:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/21 20:44:14 FTrETvbF
>755
カモーン

757:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/21 22:44:03 CkiiDk3J
そんじゃ、◆JSHQKXZ7pEさんの連載が終わられた後にでも
投下しますね ノシ

758:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 15:28:25 GVuVVWFh
>>731-734、>>746-751
続き

759:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/10/22 15:31:06 GVuVVWFh
3.
さて、いよいよその日がやってきました。
エイトは二人分のお弁当を作るために早起きしました。冷めても美味しいもの、姫が普段食べ
慣れているものに近い内容にしようと色々考えています。
まず大蒜と玉葱を細かく刻み、オリーブ油で香りが立つまで炒めてベーコンの切れ端を加えま
す。さらに賽の目に切った茄子やパプリカ、トマトを炒め、水気が無くなったら茹でたペンネ
を入れて摺り下ろしたチーズで和えました。型に入れてとき卵と牛乳を流し入れ、石釜に入れ
じっくり焼きます。
続いてエイトは昨日分けてもらったパイ生地を取り出しました。伸ばして四角く切り分け、林
檎を乗せて砂糖と肉桂を振り掛けてこれも石釜に入れます。
漸く二つとも焼き上がり、ほかほかと美味しそうな湯気を立てているオムレツとパイを見てい
ると、パン種をこしらえているおばさんが肩越しに覗き込んできました。
「上手くできたねえ」
「はい!」
おばさんに褒められエイトは嬉しくなりました。
「あんたはチーズを使う料理だと本当に上手に作るねえ。そういう場所で育ったのかもしれな
いねえ」
「…」
おばさんは何の気無しに言ったのですが、エイトは笑顔のまま固まってしまいました。
そうだったのかな…全然覚えていないけど、そういう場所だったのかな…故郷が分かったら帰
されちゃうのかな…嫌だな、だって全然覚えてないんだもの…でも父さんや母さんがいるかも…
どんな人なのかな、会いたいな…
「ああ、すまなかったねえ、考えさせちまって。じゃあお祭り楽しんでおいで」
「…はい」
おばさんはぽんと肩を叩いて行ってしまいました。エイトは小さく溜息を吐いた後、「しゃん
としよう」と顔を上げます。と、戸口からミーティア姫の頭がちょっぴり覘いて中を窺ってい
るのが見えました。
「今行くよ。外出てて」
と小声で言うと、「分かった」とこっくりと頭が動き、引っ込みました。
エイトは急いでオムレツを切り分け、器に入れました。パイも同じ大きさの器に入れて二つを
重ね、布巾で包んで牛乳の入った瓶と袋に入れます。そして着替えの入った袋も一緒に抱えて
姫の後を追ったのでした。あまり待たせては悪いと思ったので。

760:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 15:32:14 GVuVVWFh

通用口ではトラペッタから運ばれてきた荷物の受け渡しが行われていました。野菜や果物、お
酒や乾物が下ろされ、代わりに空になった木箱や樽が荷馬車に積み込まれています。衛兵が荷
物を改め、返却する樽や箱が空であることを確認すると御者に賃金を渡しました。お祭りとい
うこともあって代金を弾んでもらえたのでしょう、御者はほくほく顔で荷馬車を出発させまし
た。
先程衛兵が荷物を確認したので通用口では何の検査もせず通過します。ガタゴトと音を立てて
荷馬車が城から充分離れた時、荷台の掛け布がごそごそと動きました。と、布の隙間から四つ
の目が覘きます。茶味を帯びた黒い目と美しい碧色の目でした。
「うまく行ったね」
「本当ね」
ひそひそ声で話しているのはエイトとミーティア姫です。
「よかった、これでトラペッタに行けるよ」
エイトはほっとしていました。変装には自信ありましたが、もしかしたら通用口の衛兵に見破
られるのではないかと心配していたのです。
「ガラガラ言っていて楽しいわ」
ミーティア姫はもう、珍しいことばかりで何を見ても楽しく感じられてしまうようです。
「大丈夫?痛くならない?」
ふかふかのクッションとビロードが敷き詰められた王様の馬車にしか乗ったことのない姫です。
こんな板に車が付いただけの荷馬車の乗り心地がいい訳ありません。
「平気よ」
と姫は答え、二人は微笑み合いました。
「見つかっちゃまずいから、静かにしていよう」
「ええ」



761:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 15:34:04 GVuVVWFh
二人で黙って荷馬車に揺られていくうち、エイトの意識は少しずつ遠くなってきました。無理
もありません、今朝は夜明け前からお弁当作りをしていたのですから。
吊り橋を渡って森に入りました。道は平坦になってごとごとと規則正しい車輪の音が眠気を誘
います。一生懸命道を覚えていようと目を開き続けていましたが、頭上でさし交わされる木々
の枝が作る緑の回廊がふと、どこかの洞窟に見えました。くねくねと続くその洞窟には不思議
な壁画が描かれております。ぼんやりとしか見えませんでしたが、見たこともない服装の人々
が描かれているようです。けれどもなぜかしら懐かしく感じられる絵でした。
突然洞窟は終わり、明るい陽射しに照らされてエイトは顔を顰めました。視界が開け、目の前
に小さな草地がありました。今までまるで生き物の気配もなかったのに、そこだけ花が咲いて
います。その奥には─
「エイト、エイト」
はっと気が付くとミーティア姫が顔を覗き込んでいました。
「大丈夫?もうすぐトラペッタに着くわよ」
いつの間にか眠り込んでいたようです。
「あれ?寝ちゃってたんだ。じゃあ、あれ、夢だったのかな…」
「どんな夢だったの?」
「うーんと…」
姫に聞かれ、順を追って話そうとしました。が、その瞬間映像はするすると心から滑り落ちて
どこかへ消えてしまったのでした。
「…覚えてないや」
エイトは残念に思いました。とても大切なことだったように思えます。と同時にとても寂しい
気持ちになりました。どこかにぽっかりと穴が開いていてそこから冷たい風が吹き込んでいる
ような。
「何だったのかな。覚えていられたらよかったのに」
「もしかしたらまた見ることがあるかもしれないわ。そしたら覚えていて、ミーティアにも教
えてね」
「…うん」
ミーティア姫の言葉が嬉しく、エイトは深く頷いたのでした。

762:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 15:35:16 GVuVVWFh
「あ、着いたわ」
荷馬車が止まりました。トラペッタの街を取り囲む環状壁は厚く、門も頑丈に出来ているため
開閉には時間が掛かります。御者が開門を呼びかけている隙に、二人は荷台から飛び下りまし
た。
変装は完璧でした。姫が一生懸命作った赤い格子縞のスカートに生成りのチュニック、肩には
赤いストール─これはエイトが誰かからのお下がりで夜寒い時に上に掛けるように貰ったもの
でした─を掛け、髪は二つに分けて三つ編みにしています。どこからどう見てもお姫様ではな
く、庶民の女の子でした。
門が開き、門番が型通り通行人を改めます。呼び止められたら、と緊張しましたが、
「子供だけか?気を付けて行けよ」
と手を振られ、ほっとしながら二人は門をくぐりました。
どこかで狩りの角笛が吹き鳴らされています。お祭りは今、始まろうとしていました。
                     (続く)


763:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 15:40:39 GVuVVWFh
エイトの作るニンニク風味の野菜たっぷりオムレツとりんごのパイはどちらも映画の中で
使われていて、美味しそうだったので。

だらだら書いていてすみません。できるだけ速やかに書き上げます。

764:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/22 23:51:05 oCZ8yile
今423KBだ…もしかしたらこのスレも完走前に容量オーバーになるかも。
気をつけていた方いいかもね。


765:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 00:34:13 hRG7TzwU
>>759
エイトのお弁当美味そー!!
続き楽しみにしてますので、焦らずゆっくり進めてくださいね。
>>764
気をつけるってどうしたら?
書き込み少なめにするとか…。
もしかしたら、レスの数じゃなくて行数とかなのかな?

766:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 01:00:13 oUdf1I4x
>765
512kbで落ちるわけだから、500kb行ったら次スレ立てて誘導するべ。

767:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 01:54:13 hRG7TzwU
>766
そうだったのか…。教えてくれてありがと。
時々荒れることもあったけど、自分はこのスレが大好きです。
ずっと続いていってくれたら嬉しいな。


768:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 10:54:55 EJx0Ru7z
三つ編みミーティア想像したらかわいいなぁ(*´ー`)

769:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 23:06:25 B81fyyA8
容量ってどこを見ると分かるの?

770:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 23:12:38 3oIPNgKn
>>769
専ブラによっては常に表示できたりするし
専ブラを使ってないなら下のほうに 424 KB [ 2ちゃんねるが使っている 完全帯域保証 レンタルサーバー ] と容量が出てる

771:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/23 23:43:37 B81fyyA8
>>770
あっ、本当だ。どうもありがとう。

772:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 01:30:10 pyqZ34Ne
このスレ、埋めちゃったほうがいいのかなあ…。

773:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 18:42:15 yn9Y4oND
ダレモイナイ…(‥ )

774:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:05:52 3SBur8Si
>>731-734、>>746-751、>>759-762
続き

775:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/10/25 20:08:04 3SBur8Si
4.
門をくぐると街には楽しい空気が流れていました。あちらでは手回しオルガンの音楽に合わせ
て人形が踊り、こちらでは売り子が素晴しい滑舌で口上を述べ立てています。向こうで人々が
どよめき、続いて拍手喝采が起こりました。
「エイト!」
ミーティア姫が振り返り、興奮気味に叫びます。
「すごいわ!楽しそう!」
「広場の方へ行ってみようよ」
「ええ!」
二人は手を繋いで駆け出しました。
広場では既に色々な見せ物が始まっていました。大道芸人が素晴しい技を披露しているかと思
えば、楽隊が楽しい曲を奏でています。魔物使いが飼いならした魔物に寸劇をやらせている横
で奇術師が帽子から鳩を飛ばしていました。
広場の真ん中に目を移すと、大きな樽がでんと据え付けられています。あれが今日の祭りのメ
インイベント、今年できたての新酒の樽なのでした。
「出来が良かったらしいからねえ。楽しみだよ」
「珍しいことに香ばしい香りがするんだそうだ」
行き過ぎる大人たちがそんな会話をしています。
「あっ、あれ」
どれもこれも初めて見るものばかりで、胸が一杯になって何も言えずにいたミーティア姫が漸
く口を開きました。指差す先には屋台があって、子供が群がっています。
「あれよ、前に見たの」
歓声を上げて屋台から離れる子供の手には綿菓子が握られています。エイトはポケットを探り
ました。綿菓子くらいなら買えそうです。
「買ってくるよ。そこの噴水のところで待ってて」
返事も待たずに屋台へと駆け出していってしまいました。付いていこうとしたのですが、人波
に押されて進めそうにありません。仕方なくエイトの言う通り噴水の横にちょこんと腰掛けま
した。

776:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:09:29 3SBur8Si
随分並んでいるようです。エイトは時々ミーティア姫の方を振り返っては手を振ります。姫も
手を振り返すうち、新たな人波が二人の間を遮りました。エイトが見えなくなってちょっとしょ
んぼりしていると、
「お嬢ちゃん、かわいいね。一人なの?」
と突然頭上から声が降ってきました。振仰ぐとひょろりとした顔色のあまり良く無い十七、八
歳ぐらいの男がこちらをにこにこと見下ろしています。
「お友達を待っているの」
姫は何の疑いもなく答えました。
「お父さんやお母さんはいないの?」
その問いにこっくりと頷きます。さすがに「お父様」と言ってはまずい、ということまでは分
かっていたのですが…エイトは丁度自分のところに順番が回ってきて、くるくると回る小さな
器から綿が吹き出て綿菓子ができていく様に見入ってしまい、姫の様子に気付きません。
「お友達待っている間にお兄ちゃんと遊ばないかい?珍しいものを見せてあげるよ。ほら」
そう言って差し出した手の上には小さな青白い火の玉が浮かんでいます。
「…いいの。だってここで待ってるってお約束したんですもの」
ミーティア姫も最初は物珍し気に見ておりました。けれども優し気な言葉の中に何か引っ掛か
る、嫌な感じを受けてぷい、と横を向きます。が、
「いいからおいで。とっても楽しい、いいことしよう、ね」
と手を引っ張り、どこかへ連れ去ろうとします。
「いやっ!…エイト!エイト!助けて!」
姫も今や必死で助けを求めます。エイトも代金を支払ってこちらを振り返り、漸く事態に気付
きました。姫の元へ急ごうとしますがたくさんの人が邪魔になってなかなか進めません。その
間にも男は姫を引っ張って物陰へ連れ込もうとします。
「おい、ちょっと」
とその時、声と共に男の肩に手が置かれました。
「嫌がっているじゃないか、離してやれよ」
赤茶色の髪をした十四、五歳くらいの少年でした。
「こっ、こいつはオレの妹だ。どうしようとお前に関係ない」
男はしらばっくれます。年下だと侮ったのでしょう、横柄な態度になりました。
「話はずっと聞こえていたんだ。妹なはずあるもんか。嘘を吐くな」
「オレを嘘つき呼ばわりする気か?!」
「そうだろう?違うのか?」

777:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:11:08 3SBur8Si
腕に自信があるのでしょう、少年は挑発します。ミーティアと同じ歳くらいの連れの女の子が
それをはらはらと見ておりました。姫は怖くて動けずにいると
「下がっておいで」
と優しい声で呼び掛けられました。白髪の老人です。ですが動作はきびきびとしていました。
「ワシの弟子が何ぞいたしましたかな」
語調は穏やかでしたが、有無を言わせぬ迫力があります。姫を攫おうとしていた男は項垂れま
した。
「この者はまだ修行の身。無礼がありましたら師たる者の責任。この者に代わってお詫び申し
上げる」
老人がそう言うと赤茶の髪の少年は身構えを解きました。
「いえ、お気遣いなく。何も起こらなかったのですから…ではこれで」
と一礼すると
「さあ、行こうか。心配かけてごめんな」
「うん、お兄ちゃん」
と連れを促して立ち去っていきました。そこへ人波を掻き分け漸くエイトが辿り着きました。
「ごめん、ごめんね。怖い思いさせて」
「ううん、いいの。何もなかったんですもの」
最後まで守り通すと決心していた筈だったのに、もう早速姫を危険な目に遭わせてしまって、
エイトは申し訳なさで一杯でした。「いいの」と言われても自分の気が済みません。
「怪我はなかったかな」
振り返ると老人がにこにこしてこちらを見ていました。その背後で男が膨れっ面をしています。
「はい。どうもありがとうございました」
二人がお辞儀すると老人はますます笑みを深くしました。
「うむ。祭りで浮かれておる者も多い。気を付けて行きなされよ」
と言って身を翻し、男を従え人波の中へ消えて行ったのでした。
「あっ、さっきのお兄さんにお礼言えなかったわ」
そのことに思い当たりミーティア姫は慌てて辺りを見回しました。
「また会えるよ。まだお祭り始まったばかりだし」
「そうよね。あっ、そのお菓子、どうもありがとう」
「あ、うん。はい、どうぞ」



778:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:12:51 3SBur8Si
出し物はどれも面白く、見ていて飽きることがありません。堅苦しいお城の生活から離れて、
ミーティア姫はとても解き放たれた気持ちでした。それはエイトも同じこと。大人ばかりの中
で働き詰めの毎日から離れ、今日は一日自由です。
「そろそろお昼にしようよ」
太陽もお昼を指し示しているようです。
「ええ!」
二人は混雑する広場を離れ、階段を上って教会の横に行きました。木箱が数個あって、座って
お弁当を広げるにはちょうどいい具合でした。
「これ全部エイトが作ったの?すごいわ、おいしそう!」
実際食べてみるとオムレツはとても美味しく出来上がっていました。
「トーポ、はい、お昼ごはんだよ」
エイトはポケットの中からトーポを出し、オムレツを一切れ、前に置いてやりました。
「ネズミさんってこんな風にごはんを食べるのね。かわいいわ」
前足で器用にオムレツを掴み、食べている様子を姫は珍しげに見ております。と、トーポは急
にぽろりとオムレツを落としました。「くちゃん、くちゃん」とくしゃみが止まりません。
「あっ、ごめんね。胡椒が固まりになってたみたい。ごめんね、これ飲んで」
急いでエイトは牛乳を瓶の蓋に注いで置いてやりました。トーポはそれをごくごくと飲んで、
どうやら事無きを得たようです。
「危なかった…」
「大丈夫、トーポ?」
姫の問い掛けに「チュ」と短く返事のようなものをしてトーポは再びオムレツを食べ始めまし
た。今度は牛乳と交互に、ですが。
オムレツもパイも食べ終わり、とても幸せな気持ちで二人座っていると、またトーポの様子が
おかしくなりました。ふんふんと鼻を動かして何か匂いを嗅いだ後、とことこと走り出したの
です。
「あっ、こら、駄目だよトーポ!そっち行っちゃ駄目だってば!」
エイトの制止も聞かず、トーポは走っていきました。慌てて立ち上がり、追いかけようとした
その時です。大きな影がトーポを掬い上げました。
「おう、このネズミは坊主のかい?」
逆光になっていてよく見えませんでしたが、こちらに向かって来るのは体格のいい年配の男の
ようです。

779:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:15:12 3SBur8Si
「はい、そうです。どうもありがとうございました」
そう言ってエイトは受け取ろうとしました。が、トーポはこちらに見向きもせず、男に向かっ
て前足を上げ、餌をねだる時のような仕草をします。
「あっ、こらっ、駄目だよトーポ。そんなことしちゃ」
「はっはっは、何だ、オレの袋に何が入っているのか分かっとるのか。どれ、一つ出してやる
か」
そう男は言って肩か下げていた袋からチーズを一欠片取り出してトーポの前に置いてやりまし
た。
「…すみません。おじさんのチーズだったのに」
むしゃむしゃとチーズを頬張るトーポをちらりと見て、エイトは男に頭を下げました。男は屈
託なく笑います。
「気にすることはねえ。まだまだたくさんあるからよ。
ところで坊主、どうだ、毎日楽しくやっとるか?」
突然の問いにちょっとびっくりしましたが、エイトは元気よく答えました。
「はい!」
「そうかい、そうかい。そいつはよかった。そのネズミ、大事にしてやれよ」
男はにっこりと笑いかけ「そらよ」とトーポをこちらに渡して手を振って行ってしまいました。
「エイトの知っている人?」
木箱の上からずっと様子を見ていた姫がこちらへやって来て聞きました。
「ううん、全然知らない人」
首を捻りながらエイトは答えます。
「誰だったんだろう。でもよかったね、トーポ。チーズもらって。おいしい?」
「チュ」
トーポはエイトの手の中でまだチーズを頬張っていました。



780:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:16:31 3SBur8Si
下の広場ではこれからワインの栓が抜かれようとしていました。トラペッタの代官が重々しく
祝辞を述べ、グラスを樽口に当てます。栓を抜くと勢いよく濃い赤色をしたワインが注ぎ込ま
れました。
「今年の収穫に感謝を!」
代官の言葉を皮切りに次々とワインが注がれていきます。楽隊が踊りの曲を演奏し始めました。
乾杯を済ませた人々がそれに合わせて踊り出します。
「楽しそう!踊りたいわ。エイト、踊れる?」
広場へ下りる階段からその様子を見ていた二人でしたが、踊りが始まるとミーティア姫がむず
むずと足を動かし始めました。お城で奏でられる優雅なメヌエットやガボットと違い、テンポ
が速く快活で楽しい曲です。
「うーん…」
エイトはちょっと首を傾げました。聞いたことのない曲です。変わった拍子の曲でしたが、最
初思ったよりは単純で、周りの人々を見ながらなら何とかなりそうでした。
「行こう。踊ってみよう!」
「ええ!」
二人は階段を駆け下り、踊りの輪の中に飛び込みます。踊っていた大人たちも小さな踊り手を
快く受け入れてくれたのでした。
                     (続く)

781:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:48:19 7oZjBR5e
落ちそうなので揚げ

782:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 20:48:56 6a/ep+UZ
だからこの板は下から落ちていくわけじゃないと何度言ったら……。

783:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 21:33:34 a2xbA/BE
続きキタヨ
赤毛の兄ちゃんはわからんけどチーズくれたおっちゃんは滝の洞窟のてっぺんにいる竜神族のおっちゃんだよな

784:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 21:49:57 lHHEfCMz
赤毛の兄ちゃん…
赤毛…ゼシカ…ゼシカの兄ちゃん…
サーベルトでFA

785:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 21:59:46 a2xbA/BE
お前頭いいな

786:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 22:27:00 3SBur8Si
>784
正解!250G獲得w
主姫スレだし主役以外はみな敢えて名無しにしていたんですがよく分かりましたね。

787:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/25 22:47:17 lHHEfCMz
えへへ…

788:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/26 12:42:18 96nNX6r3
>ひょろりとした顔色のあまり良く無い十七、八 歳ぐらいの男
もしや$?!

789:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/26 20:16:00 wQ4m74Ov
その男のことを一瞬でも「別世界からワープしてきた6主」だと思った自分は吊ってきます・・・

790:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/26 20:20:36 Ekym71Mw
>>789
そっちの方が面白いww

791:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/26 20:25:14 t4HQVKVS
ひょろりとした兄ちゃん…
ひょろり…ククール…ククールの兄ちゃん…
マル…
マル…

792:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 02:42:55 BY6DD5Yw
マルチェロとミーティアの髪と目の色が似てる件についてw
マルチェロの母親はミーティアと似てたんだろうか

793:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 20:16:44 tLXZpVcy
>>731-734、>>746-751、>>759-762、>>775-780
続き

794:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/10/27 20:18:37 tLXZpVcy
5.
「そろそろ帰らないと」
広場は明るい午後の光に満ち溢れていましたが、城壁が作る影は長くなりつつありました。
「ええ。でもこの劇が終わるまで」
ミーティア姫は手回しオルガンとそれに合わせて踊るからくり人形の劇がすっかり気に入って
動こうとしません。
「…」
しょうがないなあ、といった顔でエイトは溜息を吐きました。でもまだ日は高いし、門を出て
道を真直ぐ行けばトロデーンです。迷うことはありません。
「これ終わったら帰るからね」
「ええ、分かったわ」
姫は上の空でしたが、エイトはその返事を貰ってほっとしました。そして自分も人形劇に目を
遣ります。本当はエイトも観たかったのですから。

広場はますます賑わいを見せていました。大人たちは手に手にワインのグラスやビールのジョッ
キを握り、笑い声や歌声に酔いが混じります。
「もう少しいたかったわ」
「うん。でも最近日が暮れるの早くなったし」
喧噪を避けながら門の方へ歩く二人はそんな会話を交わしていました。
「うーぃ、ヒック、お、おう、ビールもう一杯だ」
「駄目ですよ、そんなに飲んじゃ。ほら、お嬢さんが困っているじゃないですか」
ビールの樽の横で飲むの飲まないのの押し問答がされています。
「金ならあるんだぞー、いいからもう一杯くれ」
「あんな当たらない占いに金出す物好きがいたんですねぇ」
「何か言ったか?」
「いーえ、何でもありません。…はいはい、注ぎますよ。全く、お嬢さんが気の毒ったらありゃ
しない」
「…近寄らないようにしよう」
「ええ」
酔っぱらいを見ないようにして二人は門の前に立ちました。
「おや、随分早く帰るんだねぇ」
門番も一杯機嫌です。

795:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 20:20:07 tLXZpVcy
「うん。僕たちちょっと遠くから来たから」
言葉を選びつつも周りの雰囲気に影響されてにこにこ顔でエイトは答えました。
「そうかそうか。気を付けて帰れよ」
二人は門をくぐり、心楽しく家路へと就いたのでした。

そのつもりでした。トラペッタには門が二つあり、トロデーンへ帰るには西門から出なければ
なりません。が、南門から出てしまったことに二人はまだ気付いていなかったのでした。

さっき観た劇のことや楽しかった踊りのこと、お弁当のことなどをおしゃべりしながら二人は
道を歩いて行きます。木々の梢は色付き始め、穏やかな秋の午後でした。
途中、分岐がありました。
「あのね、滝の方ではなかったの」
と姫が言うのでエイトは道を左に折れました。道は森の中へと入っていきます。森を抜ければ
吊り橋があって、トロデーン城が見えてくる筈。そう思うと薄暗い森もちっとも怖くありませ
ん。それにまだ午後の明るい陽射しが木々の隙間から射し込んでいます。太陽の光ある限り、
こちらから何もしなければ魔物に襲われることもないのでした。
「あのお兄さんに会えなかったわ」
ふと思い出してミーティア姫は残念そうに言いました。
「うん、そうだったね。僕もお礼言いたかったな」
そのまましばらく二人とも無言で歩いていましたが、姫がぽつりと呟きました。
「ああいうお兄様がいたらな、ってずっと思っていたの」
エイトはちら、と隣を見ました。返答に困って黙っていましたが、姫はそれに構わず続けまし
た。
「いいな、あの女の子。だってあんなお兄様がいるのですもの。ミーティアにもお兄様がいら
したらよかったのに」
エイトは厨房で聞いた話を思い出しました。トロデ王には子供はミーティア姫しかおりません。
けれどもかつては今は亡き王妃との間には姫の上に王子がいて、姫の生まれる数年前に流行病
で亡くされていたそうなのです。それが堪えたのか王妃は身体を悪くなさって、ミーティア姫
を産んですぐ、お亡くなりになってしまったのでした。

796:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 20:21:31 tLXZpVcy
「あのさ」
ずっと無言だったエイトが口を開きました。何か、と姫がエイトを見遣ると少し躊躇ってから
続けました。
「…僕じゃだめ?」
「えっ?」
思いがけない言葉にミーティア姫は目を見開きました。
「一生懸命頑張って、いいお兄様になるよ。だから…」
まじまじと見詰められ、エイトは気恥ずかしくなって最後は口籠ってしまいました。ちょっと
考えれば、いくら友達とは言え使用人を兄妹だと思う筈がありません。ですから次の姫の言葉
にエイトはびっくりしたのです。
「ほんと?!うれしいわ。じゃあこれからエイトはお友達でお兄様なのね」
「う、うん」
姫の嬉しそうな様子に驚きつつも胸の奥に暖かなものが広がるのを感じました。それはとても
穏やかで、幸せなものでした。兄妹というものが何なのか分からないまでも、それはとてもい
いことだ、と思えるような。

森の中の道も終わりそうです。木立の向こうに明るい空の色が見えてきました。道も緩く下っ
て、もうすぐ吊り橋の筈です。
けれども、
「あれっ?!」
どうしたことでしょう。深い渓谷があって、橋が掛かっていることは同じなのですが、吊り橋
ではなく立派な石造りの橋です。その上門があって衛兵が立っているではありませんか。
「あ、あの…」
エイトは恐る恐る衛兵に話し掛けました。ミーティア姫は用心して俯いています。
「おう、何だ。リーザスの方へ行くのか」
「ここ、どこですか」
と尋ねると兵士は爆笑しました。
「何だ、坊主、迷子にでもなったのか?」
「いえ、あの、僕たちトラペッタからトロデーンの方へ帰ろうと思ったんですけど…」
不安が湧き上がります。
「おやおや」
兵士は漸く笑いを引っ込めました。

797:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 20:23:40 tLXZpVcy
「そいつは出る門を間違えたんだな。トラペッタはな、門が二つあるんだよ。西門から出れば
トロデーンに、南門から出ればリーザスという村へ行くのに便利にできているんだ」
話を聞いているうちにエイトは心臓が喉から飛び出してきそうな感覚に襲われました。道を間
違えた?トラペッタまで戻らなきゃならない?でももう随分歩いているし、戻って改めてトロ
デーンに向かったとしても途中で日が暮れてしまう…
「近道はないんですか?」
エイトは必死でした。何としても日暮れ前にお城へ帰りたかったのです。
「近道ねえ…そうだなあ、道は無いんだが、途中分かれ道があっただろ?あそこを滝の見える
方へ曲がるんだ。そしたら適当なところで丘を登ってそのまま真直ぐ進めばトロデーンへ行く
道にぶつかる筈だよ」
「…分かりました。そこ、行ってみます。どうもありがとうございました」
暗くなる前に帰らなければなりません。夜は魔物が跋扈する時。そんな時間、ミーティア姫に
出歩かせる訳にはいきません。どんな魔物も一撃で仕留めることができる勇者ならいざ知らず、
エイトは十にも満たない非力な子供でした。
「ごめんね、僕のせいで」
「ううん、大丈夫。行きましょ、エイト」
「うん」
姫は元気よく言いました。本当はちょっと疲れてきていたのですが、それを口にしたらエイト
はきっと気にして背負おうとするでしょう。背負ってくれるのは嬉しいのですが、そんなこと
をしたらエイトもへとへとになってしまいます。ならば気を使わせない様に、と子供心にエイ
トを気遣ったのでした。
                     (続く)

798:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/27 20:29:21 tLXZpVcy
>789
書いていてそれは思ってたw
あのスレに影響受け過ぎだよ、自分。

トラペッタの街では旅の序盤で会える(故人を含む)人々とすれ違うよう書いています。

799:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/28 09:20:59 Ql9EpFlq
6主「ムッ!? ここで俺のうわさが!」
8主「すいません、すぐつれて帰ります!」

800:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/28 20:21:05 V/dF9DJ+
800!

指摘があってから気にしていたんだけど意外に500kb行かないもんだね。
でも気を付けるのに越したことはないな。
そういえば前回はss投下中に容量オーバーになったし。

801:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/28 21:15:23 VsxFfJun
マルチェロとミーティアは父親違いの異父兄妹。
ミーティアは亡くなった母=マルチェロの母に生き写しだ。
ククールは人間の姿になったミーティアの中に、マルチェロの面影を見る。
(馬鹿だな、オレ…)

戦いが終わり平和が訪れて数年後、マルチェロとククールの間柄は好転しつつある。
そんなある日、トロデーンを訪れたマルチェロはミーティアを見て愕然とした。
「母さん…!?」



そんなストーリーが浮かんで消えた。

802:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/29 01:02:40 a81u848P
消さずになんとか膨らませてくれ

803:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/29 01:42:02 5dw5JMOv
マル絡みだと、すげー濃い話になりそうだなww
展開が気になる。

804:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/29 09:48:59 Fiqyk22f
○の話はやめろカス

805:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/29 12:03:12 H9kQfzxl
何日かぶりに来たら◆JSHQKXZ7pEさんの続きが…!

遅ればせながらいつもGJでございます!
毎回「おっ、これは」と思わせるキャラが登場するので楽しみに読んでます。
わざとそれらのキャラの名前を伏せて話を進めるところも心憎い演出ですね。
エイトがみーたんのお兄ちゃんになるよ、というくだりが可愛らしい!
エイトのその台詞に対して「あー、みーたんなら絶対言いそうだ」という受け答えもツボでした。
少し長い感想になってしまいましたが、可愛いお話の続きをお待ちしております!





806:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 14:48:10 30W/v74w
保守

807:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:22:52 T82p/vJi
>>731-734、>>746-751、>>759-762、>>775-780、>>794-797

続き

808:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/10/30 15:24:43 T82p/vJi
6.
森の中を歩く二人の周りに夕闇がひたひたと迫ってきました。
リーザス村への関所の兵士に教えられた通り近道しようと道を逸れ丘を登っていったのですが、
それが間違いの元だったのです。先を急ぐあまりエイトはよく知らない上に道のない場所を進
もうとしました。けれども本当に急いで帰りたかったのなら一度トラペッタに戻って改めてト
ロデーンに向かうべきだったのです。案の定、二人は道を見失ってしまいました。
「ここ、どこなのかしら」
「…」
エイトは必死でした。不安そうなミーティア姫の言葉にも、答える余裕はありません。木々の
隙間から何か見えないか、と目を凝らしてみてもただしんとした闇ばかり。振り仰げは梢から
覘く空はもう薄紫色をしていました。茜色はもう、どこにもありません。
「くしゅん」
さわっと冷たい風が首筋を撫で、思わず姫はくしゃみをしてしまいました。人の手の入らぬ林
床の落ち葉からはひんやりとした湿気が立ち上り、最早昼間の楽し気に踊る木漏れ日はどこに
もありません。
「大丈夫?」
漸くエイトはミーティア姫の様子に気付きました。先を急ぐあまりつい先に進んでいたようで
す。慌てて姫の元へ行くと頬には血の気が無く、袖口から覘く手首はすっかり粟肌立っており
ました。
「ごめんね、先に行ったりして」
「ううん」
そう答えながらも震えが止まりません。エイトは姫の肩掛けを外し、頭からすっぽりと被せて
やりました。
「エイト?」
「この方が暖かいから…あのさ、渓谷に沿って行けば必ず吊り橋に行き着けると思うんだ」
姫はこくりと頷きました。今はエイトだけが頼りです。
「今日は晴れているし、星明かりがあるから多分大丈夫だと思う」
そう言いながらもエイトは不安でした。今夜は晦(つごもり)、闇夜です。満月の明るさがあ
れば行く先を照らしてくれたのでしょうが…
「あのね、神父様から聖水もらっていたの。これ、身体に振りかけておいたらいいんじゃない
かしら」

809:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:25:58 T82p/vJi
「うん、そうだね」
それに気付いていなかった自分の迂闊さを腹立たしく思いつつもエイトはそう答えました。こ
れで弱い魔物なら逃げて行ってくれる筈です。
「あとね、手燭もあるの」
「ごめん、灯りはつけられないんだ」
「どうして?」
「ちょっと知恵のある奴だと火のあるところにヒトがいる、って知っているんだ。だから外で
火を点す時はヘンルーダとか魔物の嫌う香草を入れるんだけど…今持ってないし」
「そうなの…」
「なるべく音を立てないようにして。大声出すと魔物が寄ってくるから」
実際うなじの辺りに突き刺さるような視線を感じます。弱い魔物なのか聖水の力で近寄って来
ないのが幸いですが。
「分かったわ。静かにしているわ」
ひそひそと話すと再び歩き始めました。目が慣れているせいか闇は苦になりません。でも木の
洞や潅木の茂みが作る影が何者かに見えて、恐ろしくて叫んでしまいそうです。梢を吹き渡る
風の音に怯え、枯れ枝を踏んでは驚いて、夜の森はそれはもう、子供にとって恐ろしいところ
でした。
突然の闖入者に、足元から山鳥がばさばさと飛び立つのに驚いて身を捩った時です。
「うわっ!」
エイトの足が何かぬるりとしたものを踏み付けました。その感触に足を持ち上げた途端、緑色
のぶよぶよした生き物が体当たりしてきます。咄嗟に腕で顔を庇うと、それで気が済んだのか
その魔物はどこかへ行ってしまいました。
「な、何?今の」
「バブルスライム踏んずけちゃったのかも」
エイトは腕を摩りながら答えました。ぶつかったところが気のせいかじんじんと痺れています。
「気を付けて行かないと」
「ええ」



810:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:27:21 T82p/vJi
エイトの腕の痺れは治まりません。それどころかどんどん痛くなって、気持ちまで悪くなって
きました。
「エイト…」
時々立ち止まって腕を摩るエイトにミーティア姫が不安そうに声をかけます。
「大丈夫。もうすぐトロデーンだし」
怖がらせないように、とエイトは空元気を奮い起こしてにっこりとします。
「ほら、森が終わるよ!」
指差す先には木々が切れ、星空が覘いています。
「行こう!」
「ええ!」
具合悪いのも忘れて駆け出したのですが…
バキッ!
「うわああぁっ!」
「エイト!」
ザザザッ!ドスッ!
ちょっと先を行くエイトの身体が突然沈みました。そこは小さな崖になっていました。草が生
い茂っていて分からなかったのです。姫は気を付けて覗き込みました。エイトが蹲っているよ
うでしたが、暗くてよく見えません。
「エイト?」
姫の問い掛けにも返事はありません。どこか降りられそうな場所は、と闇を透かし見たのです
がずっと崖になっています。仕方なく何かの蔓に縋って崖を降りようとしました。
が、そんなことしたことがない姫です。あっという間に蔓から滑り落ちてしましました。
「いたっ」
落ちた拍子に膝をぶつけえしまいました。ちょっと覗いてみると擦り剥けて血が滲んでいます。
そんなことよりエイトです。急いで駆け寄りました。
「ミー…ティア…だ…いじょう…ぶ?」
そう言うエイトの膝がぱっくり割れて、破れたズボンの隙間から血が出ているのを姫は見てし
まいました。
「エイト」
「ミーティア、一人で逃げて…血が流れたから、魔物が寄ってくる…」
落ちた時に岩で膝を切ってしまったのです。聖水の加護より生々しい血の臭いの方が強く、も
うすぐその臭いを嗅ぎ付けた魔物がやってくるでしょう。

811:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:29:01 T82p/vJi
「だ、駄目よそんなこと。だってエイトが食べられちゃうわ」
ミーティア姫は急いで腰に下げていた袋を取りました。確か薬草が入っていた筈です。以前、
神父から貰って使う機会がなく、ずっと取っておいたものでしたが…
「ない?!」
いつの間にか袋の底がほつれていたのです。どこでそうなったのか、確かに入れておいた薬草
も毒消し草もみんな落としてしまったのでした。
でも傷の手当てはしなければなりません。中にはまだ、ハンカチが残っていました。
「エイト…」
「それ、貸して」
ハンカチを受け取り、エイトは傷口をしっかり縛りました。これで何とか動けるでしょう。
「行こう」
エイトはふらつきながらも何とか立ち上がりました。足は痛いし気持ちは悪いのですが、何と
しても姫をトロデーンまで連れ帰らなければなりません。それに先程「お兄様になる」と言っ
たばかりではありませんか。兄ならこういう時ちゃんとしなければならない筈です。
「でも…」
「帰らないと」
「だって…」
夜目にもエイトの唇は紫色をしているのが分かりました。今にも倒れそうです。なのに歩き出
そうとしています。お城へ帰る道も未だ分からないというのに。
そのことに思い当たったミーティア姫はへなへなと座り込んでしまいました。道は分からない、
エイトは怪我してしまった、今まで気付かずにいましたが、足はもう棒のよう。お腹も空いて、
寒くなってきました。
「ミーティア…歩こうよ…」
「ふえっ、ぐすっ、エイト、もう、ぐすっ、あっ、あるけない、ぐすっ」
エイトが戻ってきて手を引こうとしましたが、一度座ってしまうともう立ち上がれません。
「泣かないで、ね。ほら、もうすぐトロデーンが見えるはずだから」
慰めの言葉も耳に届かないようです。いえ、聞こえてはいるのですが、今までの疲れや恐怖や
らでもう堰を切ったかのように涙が止まりません。
「だって、ぐすっ、だってもう、帰れないもん。ぐすっ、エイト、怪我しちゃっ、たし。ぐすっ、
魔物に食べられ、ぐすっ、ちゃう」
「だから行こうってば。歩かなきゃ帰れないんだよ」

812:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:31:19 T82p/vJi
背負ってやりたくてもそれだけの力は残っていませんでした。ここは何とか姫自身の足で歩い
てもらわなければなりません。
「ううっ、ぐすっ、もう、歩けないっ。ぐすっ」
それが甘えであることは分かっていました。エイトが姫よりもっと酷い状態であることも。で
も我慢しようと思えば思う程涙が込み上げてきます。
「だってもう、道分からないもの。ぐすっ、もう、真夜中かもっ。ぐすっ、きっと、食べられ
ちゃって、ぐすっ、誰も捜してくれないの、ぐすっ」
「ミーティア…」
本当はエイトも泣きたい気持ちでした。でも泣いてどうなるというのでしょう。今はただ、一
歩でも前に進まなければ、という気持ちで一杯でした。
「泣いちゃ駄目だってば!魔物が来ちゃうよ!」
「いやっ!ぐすっ、ふえっ、ふええええええん!おと、うさまぁ!たすけて、ふえっ、たすけ
て、おとうさまぁーっ!」
魔物に襲われる恐怖にミーティア姫はとうとう激しく泣き出してしまいました。宥めようもな
く、もう一緒に泣いてしまおうかとエイトがへたりかけたその時です。泣き声に驚いたのかポ
ケットの中からトーポが転がり出ました。
「あっ、トーポ」
と思ったら一目散に闇の中へと走り出すではありませんか。
「どこ行くの?!そっち行っちゃ駄目だよ!」
エイトの制止も聞きません。ちょこちょこと走ってはこちらを振り返り、また走り出します。
「どうしちゃったのかしら?」
突然のトーポの行動とエイトの言葉にびっくりして姫の涙が引っ込みました。
「追い掛けなきゃ!魔物に食べられちゃう」
こうしてはいられません。姫も立ち上がり二人で追い掛けます。
薮を掻き分けた先にトーポがちょこんと座っていました。が、二人が追い付くとまたどこかへ
走って行きます。ネズミの走る速さはたかが知れていますが、見通しの悪い場所を走るので中々
追い付けません。

813:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:33:05 T82p/vJi
「トーポ、待ってよ。僕、もう、走れ、な…」
呼び止めようとしたエイトの言葉は引っ込みました。森は終わり、吊り橋の前に立っていたの
です。星空を背にトロデーン城が建っていました。
「エイト!」
「うん!」
二人は顔を見合わせ頷きました。妙に誇らしげなトーポを拾い上げ、今までの疲れも何のその、
城に向かって走り出したのでした。
                     (続く)


814:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 15:35:27 T82p/vJi
>>805
本当にありがとうございます。とても励みになります!

後一話で終わりです。よろしくお付き合いください。

815:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 21:30:05 ybobxs+V
続きキター!!
もうもうもう、呼んでいると情景が目に浮かんで引き込まれます!
ガンガレエイトお兄ちゃんw
あと一話で終わっちゃうんですか、何だか寂しい…
最終話もワクテカしながら待ってます!



816:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 21:31:45 ybobxs+V
すみません、お恥ずかしい事に誤字がOTL
呼んでいると→読んでいると
でした。

817:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/30 22:52:06 P0TObWYO
小さいのに頑張ってるエイトも可愛いしミーティアの泣き方も可愛い。
ドラクエらしい小道具も盛り込んであって、
本当にこういう感じだったかもと思わせるのがすごいです。

818:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/31 21:49:59 x6fGXNpK
感想どうもありがとうございます!
最終話、今週中にはうpできるよう頑張ります。

819:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/01 22:59:27 z+w+EH6h
最終回楽しみですね
期待してますよ

820:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:46:59 t8ljbfVu
>>731-734、>>746-751、>>759-762、>>775-780、>>794-797、>>808-813

最終話ドゾー

821:秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE
05/11/02 19:48:42 t8ljbfVu
7.
「おう、エイト。遅かったな」
へとへとになって城門に辿り着くと、衛兵がエイトに向かって陽気な声を掛けてきました。
「姫様が行方不明になっちまってよ、井戸の中まで浚って大騒ぎだったんだぜ。お前はいいよ
な、お祭りに行って、その上女連れで…あっ!」
エイトの背後に立つ女の子が誰なのか漸く分かったようです。
「姫様?!姫様でいらっしゃいますな?すっ、すぐこちらへ」
と兵士に言われたのですが、ミーティア姫はぺたんと座り込んでしまいました。城へ上る道で
最後の体力を使い果たしてしまったのです。それに何とか家に帰り着いたという安堵感で緊張
の糸が切れてしまったのでした。
「お、とう、さま…」
姫の目から涙が一筋、流れました。そうなると悲しい訳でも、怖い訳でもないのにぽろぽろと
次から次へ涙が零れてきます。それを慰めようとエイトは手を伸ばしました。が、そのままぱっ
たりと倒れてしまったのです。
「エイト!」
「うわっ、どっ、どうしよう。…誰か!姫様がいらっしゃったぞ!王様の元へお連れ申せ!」
兵士の狼狽え騒ぐ声を聞きながらエイトの意識は遠くなっていったのでした。

ミーティア姫と気を失ったエイトは駆け付けた兵士の手によってトロデ王の部屋に運ばれまし
た。
「お父様!」
「姫!」
抱きかかえられていた兵士の手から滑り降り、姫はトロデ王にしがみつきます。
「ごめんなさい、ごめんなさい、お父様。心配をおかけして。ミーティアがわがままを言った
せいでエイトが、エイトが…」
「うむ、よしよし泣くでないぞ」
王は姫の頭を撫で、
「誰ぞ」
と控えていた侍従に呼びかけました。
「神父殿をこちらへ。…おぬしはご苦労だった。その者は長椅子の上へ」
二人を抱きかかえて連れてきた兵士を労います。兵士が下がると入れ違いに王宮付きの神父が
やってきました。

822:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:49:57 t8ljbfVu
「あっ、神父様。あの、あのね、エイトがね…」
ミーティア姫は一生懸命どうしてエイトがそうなったのか話そうとしました。でも気が急いて
上手く言葉が出ません。
「大丈夫でございます。この者は…ふむ、どこかで毒を受けたのでしょう。手当ても無しに動
き回って毒が身体に回ってしまったようですな」
「エイト、エイトは死んじゃうの?!」
「どうか姫様、お鎮まりを。ただ気絶しておるだけでございます。ならばまず毒を抜いて…
ほい!」
神父は続け様に呪文を二つ唱えます。柔らかな光がエイトの身体を包み込んだかと思うと、た
ちまち蒼ざめたエイトの頬に血の気が戻ってきたのでした。
「エイト、よかった!…神父様、どうもありがとうございました」
「なんの、なんの。神に仕えるものの心得でございます」
「うむ、ご苦労であった」
「ははっ」
王の言葉を機に神父は一礼すると部屋を出ていきました。

「…」
エイトが目を開けると霞がかかったような視界のはじに誰かの顔が見えました。涙を一杯に溜
めてこちらを見ているのは…
「エイト!」
ミーティア姫です。
「よかった…エイト、急に倒れたから、死んじゃうんじゃないかって心配していたの」
「あ…」
城門に辿り着いたその後の記憶があやふやなのはそのせいだったようです。それにしてもここ
はどこなのでしょう。
「ここ、お父様のお部屋よ」
だんだん目が慣れてきました。豪華な調度が並んでいるのが見えます。と、姫の頭が引っ込み、
代わってトロデ王が顔を出しました。
「気分はどうじゃ」
「はっ、はい、あのっ、も、申し訳ありませんでした」
慌ててエイトは身を起こし、深くお辞儀しました。まだちょっとふらついていて、勢い余って
頭をぶつけてしまいましたが。

823:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:51:25 t8ljbfVu
「うむ。では二人とも」
突然王の口調が一変します。
「そこに直れ」
こんなに厳しい様子のトロデ王を見るのはミーティア姫にとって初めてでした。以前に夜、寝
台から抜け出してエイトと城の中を歩き回った時以上です。エイトに至っては
「ああもうこれでここから追い出されるのか」
と覚悟がついてしまったのか、跪いて項垂れました。
「全く、心配をかけよってからに。トロデーンでも今日は祝いの正餐があることは知っておっ
たじゃろう。ワシゃ随分前から姫と一緒に卓を囲むものと楽しみにしておったのじゃぞ。なの
に朝から姿が見えない、日が暮れても帰ってこない。もしや井戸に落ちたか、矢狭から身を乗
り出して海に落ちたかともう胸が潰れんばかりじゃった」
「ごめんなさい…」
「それにエイトもじゃ。姫の願いとは言え、勝手に城の外に連れ出して危険な目に遭わせると
は。誘拐罪に問われても文句は言えんのじゃぞ」
「お父様!だってそれはミーティアがわがまま言ったから…」
「それに姫の様子ときたら…」
薮の中を走ったせいか、エイトもミーティア姫も頬や手首を枝に掻かれてみみず腫れになって
いました。その上姫の膝には崖から転げ落ちた時の擦り傷があります。
「王族に怪我を負わせた者は問答無用で死刑じゃ」
「いやっ!だってこれはミーティアが勝手に転んだのですもの。エイトは悪くないもの」
姫の抗議も聞かぬ風でトロデ王は重々しく言いました。
「来るのじゃ」
「…はい」
エイトはしおしおと王の前に進み出ました。
「覚悟はよいな」
「…はい」
「お父様!」
ああ、王様自らお手討ちになるのかな、とエイトが思ったその時です。いきなり腰を持ち上げ
られ、思いきり尻を打たれました。

824:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:52:53 t8ljbfVu
「あいたっ!」
「このバカタレが!大人に心配掛けよってからに!姫に大過なかったからよかったようなもの
の、何かあったらどうするつもりだったのじゃ!」
「も、申し訳、あいたっ、ありません…」
「じゃが」
トロデ王はそう言ってエイトを床に下ろしました。
「今回は姫のわがままが原因じゃったし、大事には至らなかった。よって死刑になるべきとこ
ろ、お尻ぺんぺんの刑にいたす」
「あ、ありがとうございました…」
「…よかったわ…」
「よくはないぞ。姫、おぬしもこっちへ来るのじゃ。城の者に心配させ、大迷惑を掛けたのじゃ
ぞ」
「ごめんなさい…」
「エイトの怪我もじゃ。姫のわがままがどれ程の者を困らせたのかよーく考えてみるがよい」
と王は言うなりミーティア姫も横抱きにしてお尻を打ちます。
「いたっ!ごめんなさい、お父様。もう、わがまま言いません!」
「心配した、のじゃぞ…」
トロデ王の呟きは姫にも聞こえ、申し訳なくてぽろぽろと涙を零してしまったのでした。
「さて、二人とも、罰として今晩の食事は無しじゃ」
王はちょっと赤くなった手に息を吹き掛けながら言い渡します。二人ともそれを聞いてがっく
り肩を落としました。仕方ない、とは分かっていてももうお腹ぺこぺこです。
「と言いたいところじゃが、それでは身体に悪い。厨房にパンとミルクを用意させた。今夜は
それを食べたらすぐ寝るのじゃ。明日の朝一番で城の者皆に謝るのじゃぞ」
「はい」
「はい、お父様」
二人はその言葉に深く頷いて部屋を出たのでした。

825:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:55:30 t8ljbfVu
厨房に行くと、隅のテーブルに二人分の夕食が置かれていました。が、どうしたことか、予想
していたような簡素なものではありません。こんがり焼けたパンの上にはチーズが蕩け、ミル
クは蜂蜜入りでほかほかと湯気を立てています。おまけに無花果のシロップ漬けまで付いてい
ました。
「お父様…」
「料理長さん…」
二人は感謝してその夕食を食べたのでした。

次の日、トロデ王に言われた通り二人は城の人たちの前で謝りました。姫は教育係からたっぷ
り小言を頂戴し、エイトは厨房のおばさんに怒られ、料理長からは拳骨を頂戴してしまいました。
その後、仕事に行こうとするエイトの袖をミーティア姫が掴みました。
「エイト…」
「どうしたの?」
姫はしょんぼりしています。
「ごめんなさい、ミーティアのせいで」
「ううん、いいよ」
「でも」
「一緒にトラペッタに行けて楽しかったし、平気だよ、これくらい」
エイトの言葉に姫はこっくり頷きました。
「ありがとう、エイト。ううん、エイトお兄様」
にっこり笑ってそう言うと姫はエイトの頬にちょんと接吻して行ってしまいました。
「…」
姫が行ってしまった後、エイトは頬に手を当てました。けれども今は頬を赤らめていません。
姫に「お兄様」と呼ばれて思い出したのです。森の中でちゃんと守ってやれなかったことを。
「ごめんなさい」と言われましたが、謝らなければならないのは自分の方だ、とエイトは思い
ました。でも同時に姫を守るには力も、経験も圧倒的に不足しているこということも今回思い
知らされたのです。最後の最後にミーティア姫が「お父様」と泣いたことは、自分が頼みにす
るには足りない存在であると言われたも同然でした。それにトラペッタでも攫われそうになっ
た姫を助けてくれたのはどこかの少年だったではありませんか。
「…頑張ろう」
強くなって、ちゃんと姫を守れるようになろう。エイトはそう心に誓ったのでした。
                      (終)

826:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/02 19:58:32 t8ljbfVu
長い話にお付き合いくださりありがとうございました。

トロデ王の罰が有りがちなものになってしまって申し訳ありません。

827:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/03 00:14:50 /FZ70mNe
6主 「『お兄様』だと?!そのポジション俺と代われ」
8主 「すみません、すぐ片付けますので」

828:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/03 13:53:04 srszMA1N
>>826
いやかわいいお話ですた
おりゃ普段FFスレにしかいないんですがね
今日は休みなんであちこち回ってたらこんなのに当たってw
和みますたよ
リアル姪にでも聞かせてやりてーとマジ思いますた


829:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/03 20:56:46 BMMcpDUc
長い連載お疲れ様でした。
子ども時代の主姫は定番ですがやっぱり可愛いですね。
トラペッタでは、将来冒険の中で出会うキャラたちとの束の間の
邂逅が楽しかったです。
道に迷うシーンでは、感情移入してしまってドキドキしましたw
二人が無事にお城にたどり着けてほっとしたり。
連載中は続きが楽しみで仕方ありませんでした。
楽しくてほのぼのなお話、ありがとうございました。
次回作も楽しみにしております。



830:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/03 21:06:03 Y0ocfI7A
長編お疲れさまでした。
エイトが姫の中でお兄様的存在になった過程が丁寧に描かれていて
二人とも可愛かったです。
次回作も楽しみにしています。

831:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/03 22:05:35 rr60QMUM
読んでくださりありがとうございます。
皆さんの感想は本当に励みになりました。
どうもありがとうございました。

832:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 00:04:51 qxdZQ97T
みーちゃんはね
ミーティアってゆーんだほんとはね
だけどちっちゃいから自分のことみーちゃんって言うんだよ
かわいいね みーちゃん☆

833:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 00:42:39 8enSc1CZ
みーちゃんw

834:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 02:07:06 rCumwci2
以前書き込んだものですが、SSを投下してみたいんだけど、
新スレになってからの方が無難かな?

835:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 02:20:08 bdWwzpV+
現在466KB。残り34KB。容量確認してみて平気そうなら。
スレ立てとか保管作業のこともあるし、20KB越えるようであれば新スレのほうがいいかも。

836:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 09:45:26 X43oNeWJ
512kbまでだよー

837:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 09:49:38 b8BFBfm1
気になっていたので指摘があってからずっと確認していたんだが、
>>775-780「秘密のお出かけ」の4.でだいたい10KB分だった。
行数制限ぎりぎりまで使っているようなので参考になるんじゃないかと思うよ。

838: ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 12:51:11 V3zAdHD/
>>835-836
レスありがとうございます。今計ったら、9KBくらいでした。いけるかも。
ということで投下させていただきます。
初投稿なので至らない点等あるかと思いますが、よろしくお願いします。

839: ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 12:59:14 V3zAdHD/
あ、すみません。>>837さんもでした。

840:古い剣の思い出(1) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:15:25 V3zAdHD/
扉が静かに開いた瞬間、ミーティアは声を立てないようぎゅっと目を閉じた。
流れ込んできた微かな風にカーテンの裾がふわりと舞い上がり、その陰に身を潜めていた彼女の頬を撫で、
床にぺたりと座り込んでいた膝から下が露わになる。
はっと息をのむ気配がし、足音が近づく。
駄目。見つかってしまった。とくんと鼓動が打ち、胸の中の硬い感触が殊更に意識された。
その無機質な塊は、ミーティアの二つの柔らかな膨らみの間に埋まるように抱かれていた。
ぎゅっと抱きしめても容易には温まろうとはしない肌寒い感触。遠い過去の記憶が蘇り、ミーティアは身を震わせた。

「姫様。」
呼びかけるのはよく知っている声。ようやく子どもから少年の域に達したばかりの、少し低い声。
床に垂れていたカーテンの裾が持ち上げられた。
「かくれんぼは終わりですよ。」
ミーティアはますます身を固くして、彼の視線から逃げるように背を向ける。
「こちらへおいでください…姫。」
「いや。」
ミーティアは短く言って首を振った。否応のない拒否に一瞬戸惑った気配がしたが、少年は努めて冷静な口調で根気よく呼びかける。
「姫様、どうしたんですか?かくれんぼは見つかったら終わりでしょう?」
だって遊んでいるわけではないもの。エイトの言葉に内心反発しながらミーティアは胸の中のものをいっそう強く抱きしめた。

841:古い剣の思い出(2) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:19:14 V3zAdHD/
「エイト、あっちへ行ってください。ミーティアに構わないで。」
「そういうわけには参りません。」
激しい拒絶にあってもきわめて冷静に言葉を返すその態度に腹立たしさを覚える。なあにその気持ち悪い言葉づかい。
思い切り詰りたくなる。王女である自分に対して敬語が使われるのはきわめて普通のことであるはずなのに、エイトに限ってそれが許せない。
「それを返してください。」
「いやです。」
「それは、俺の剣ですよね?」
「知ってます。」
「では…返していただけませんか?」
「いやです。」
何をいわれようと返すつもりはなかった。ミーティアは剣をますます強く胸に抱きしめた。そうすればミーティアの身体に触れない限り剣を取り返すことはできない。そしてエイトは絶対にそんな

ことをしないだろうということも分かっていた。案の定エイトは伸ばした手を所在なさげに下ろししばらくミーティアを見つめているだけだった。

…姫。どうして?

エイトは何も言わず、ただ困惑の眼差しでミーティアを見つめていた。あくまでも静かなその様子にかえってミーティアはいたたまれなくなる。
でもこれを返すわけにはいかないの…いつものわがままと同じじゃないのよ、エイト。
「そんな顔しても駄目です。返さないわ、絶対に。だって…だってこの剣を渡せば…エイトはミーティアから離れていってしまうのでしょう?」
「俺はどこにも行ったりしません。」
「嘘つき。」
ミーティアは短くも鋭く言い切った。
「兵士になんかならないで。ミーティアは反対です。エイトには無理よ。」
「なぜそんなことがわかるのですか。」
「だって…ミーティアはエイトのことをよく知ってますもの。エイトはとても優しい人なの。誰よりもミーティアは知っているの。だっていつも見てるんですもの。
お馬さんのお世話をしたり、花壇からこぼれた種を拾っている時のエイトってとても楽しそうなのよ。いつだったか強い風が吹いたとき、巣から落ちた鳥の雛を
そっと戻してあげたりしたこともあったわよね?全部見てたのよ。そんなエイトが…この剣で誰かを傷つけることなどできるはずありません。」

842:古い剣の思い出(3) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:33:11 V3zAdHD/
「……。」
「…ねえ?どうして?どうして…兵士になりたいなんていうの?兵士が、国を守るための大切なお
仕事だということは十分に承知していますわ。だけど…そのために怪我をしたり…誰かを傷つけた
り。死んでしまったりすることさえあるのよ。エイトはミーティアのたったひとりの大切なお友達
なのに…!そんなのいやです!」
「姫様!」
思いがけなく強い声で名を呼ばれ、ミーティアははっとして顔をあげた。
「それを返してください。」
「エイト…。」
「あなたのお立場でそんなことを仰ってはいけません。それに俺はもう…あなたの友達ではありま
せんから。」
「エイト…。」
ミーティアは震えながらエイトの言葉を頭の中で繰り返した。
友達ではない、ってエイトは言った?私とエイトはもう…お友達ではないの?
「あなたは…この国の王女なのです。そのような私情を挟んだお言葉を口にされることはお控えに
なるべきです。」
「私情ですって?ミーティアが大好きなお友達のことを思って何が悪いのですか?」
ミーティアが再びお友達、と口にしたとき、エイトの表情が微妙に変わった。
ミーティアはその変化には気づかなかった。ただひたすら、胸の中でエイトがこの必死な願いを聞
き届けてくれることだけを祈っていた。

お願い、エイト。
この願いさえ聞いてくれたら、これからはわがままを言ってあなたを困らせたりはしないから。
お友達でいてくれなくても構わないわ。寂しいけれど我慢するわ。だからお願い。
昔、怖いご本を読んだの。国と国との大きな戦いでたくさんの人が亡くなっていたわ。ミーティア
様は王家の姫君なのだからこの本を読んできちんと理解しておかれますように。
厚くて重いご本だったけれど、先生にそう言われたからミーティアは頑張って読んだのよ。

843:古い剣の思い出(4) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:43:49 V3zAdHD/
トロデーンの歴史について綴られたその本は、平和な今の世に至るまでの、周辺諸国との争いが絶
えなかった歴史が詳細に綴られていた。そこに書かれていたことを半分も理解できないまま、幼い
ミーティアは言われるがままに無心に頁をめくっていた。
乱世の歴史について記された頁に差し掛かった時、彼女は急に身震いし、本を机の上から払い落とした。
開いたまま床に落ちたその頁には戦場の様子が克明に描かれた挿絵が載っていた。
暗く重い色調で描かれたその絵は、幼い瞳には残酷すぎて正視することさえできないものだった。
目を閉じ首を振り今見たことを忘れようとしても、瞼の裏にその映像はくっきりと張り付いたままだった。
幼いミーティアは床に落ちた本を怯えた目で見つめ、やがてしくしく泣き始めた。
今でもはっきりと思い出せる。傷だらけになり、身体中至るところから血を流しながら剣を交える兵士達。
傷つきあるいは息絶えて横たわる人や馬。地面に流れる夥しい流血。
ミーティアの脳裏に、あの絵を見たときの恐怖が蘇った。目の前のエイトが、血まみれになりながら剣を振るっていた兵士の姿と重なった。

エイトに傷ついて欲しくない。道端に転がる冷たい骸になどなって欲しくない。
いつまでも暖かくて優しい目をした少年のまま、私の側にいて欲しい。
だが、そんなミーティアの願いをエイトは冷たく拒絶した。黙って首を振り、促すように手をさし伸ばす。
「さあ、姫様。剣を返してください。」
その手は、記憶にあるものよりずっとがっしりして大きかった。昔比べっこした時はミーティアの
指の方が長かったはずなのに。そんなことをぼんやり思い出す。小さいときはどこに遊びに行くの
にも手を繋いでいたのに、今は触れ合うことさえなくなった指。エイトはこの指に剣を握るのかしら。
そして本当に…この人はもう、わたしのお友達ではないのかしら。

844:古い剣の思い出(5) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:52:32 V3zAdHD/
「……エイト。」
「なんでしょう?」
「ミーティアのことを…わがままだと思いますか?」
縋るような瞳を受け、エイトはしばらく思考を纏めるかのように黙った。
「いいえ。そうは思いません。」
「では…軽率で浅はかだと?」
「いいえ。」
「どうかわかってください。エイトだけなの。ミーティアがこんなに心配しているのは…」
それ以上言わせまいとするかのようにエイトはミーティアの言葉を遮った。
「…俺はこの国に仕える兵士の一人に過ぎません。姫様に特別に思いをかけていただく資格など。」
「そんな言い方しないで!あなたはまだ兵士になったわけではないのよ。」
「何を仰ろうと…すでに王のご命令はいただきましたので。」
「お父様が……。」
お父様がエイトにそう命じられたのなら、ミーティアがいくら言葉を尽くして説得しても無駄なのね?
「そうなの………。」
腕から力が抜け、締め付けるように抱いていた剣が胸から離れ床に落ち、ごとんと重い音を立てた。
「……どうして……今のままではいけないのですか?ミーティアは昔みたいに……エイトとおしゃ
べりしたり、歌を歌ったり、お花を摘んだりしたいのに。」
「姫様。俺達だって、いつまでも子どものままではいられません。」
不意打ちのようにそう告げられた瞬間、瞳から涙がほろりと落ちた。エイトがうっ、とたじろぐの
を視界の端で意識しながら、ミーティアは尚も言い募る。
「どうしても…ダメ、なの…?」
涙がぽろぽろ伝い流れる頬を見守りながら、エイトは黙って立ち尽くしている。
やはりどうあってもその決意は翻らないのだ。そう理解した瞬間、激情が身体を貫いた。

845:古い剣の思い出(ラスト) ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 13:56:55 V3zAdHD/
いいわ。もういい。あなたがそうやってあくまでも言い張るなら。
「エイトなんてきらいきらいきらい!だいっきらい!」
「姫。」
ミーティアの叫びに一瞬凍り付いたエイトは、すぐに我に返り床に転がっていた剣を拾い上げた。
「姫様…聞いてください。」
「知らないわ。もう知らない。エイトなんか知らない。あっちへ行って!」
エイトは顔を覆って泣き伏すミーティアを青ざめた顔で見つめていたが、やがて手に持つ剣に視線
を移し、静かに言った。
「友達じゃなくなっても…姫。あなたのお側にいることはできます。」


隣室にいた侍女が泣き声を聞き咎め、慌てて室内に飛び込んだ際に目にしたのは、床に座り込んで
泣きじゃくる姫と、その側に青い顔をして立ち尽くす少年の姿だった。エイトと呼ばれているその
少年は胸に剣を抱えたまま、ぼんやりと嗚咽する姫の姿を見下ろしていた。驚いて事情を尋ねる侍
女の言葉にも力なく項垂れたっきりで、何も答えようとはしなかった。
少年と姫が幼なじみの間柄で普段仲良く遊んでいたことを知っていた侍女は、何とか事情を説明さ
せようと試みたが、侍女に宥められても、その後に室内に飛び込んできた近衛兵に脅しすかされて
も、少年は一切を語ろうとはしなかった。
しかたなく侍女は姫を抱え床から引き剥がすようにして立たせ、さんざん泣いた挙句力なく嗚咽し
ている姫の腕をとって部屋の扉を開けた。

扉の開く音にエイトははっと顔を上げた。
「姫様!」
エイトは扉に向って駆け寄った。
「姫…!ミーティア様!!俺、きっと強くなります。誰にも負けません。だから…!」
ミーティアは侍女の腕の中から振り返って少年を見た。涙に濡れた赤い瞳と視線が合った。
だがそれはほんの一瞬のことで、言い募る少年の目の前でばたんと扉は閉められた。

846: ◆ERAKbm5vLM
05/11/05 14:01:21 V3zAdHD/
終わりです。
主姫13~14歳くらいの子ども時代の終わり、みたいなイメージで書きました。
姫が子どもっぽ過ぎますね…。
改行とかたくさんお見苦しい点があったかと思います。失礼しました。


847:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 17:24:21 HyhwpjEf
絵掲板なくなってるぽ

848:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 18:31:54 zsxOuisZ
クポ

849:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 18:37:38 7+korGdR
>>840
初投稿乙彼!
今までのものとはちょっと変わった感じで良かったよ。
みーたんがちょっと幼い感じがしたけど…。
良ければまた何か書いて投稿してくれ。

850:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 20:21:27 OyoyWTUa
>>840
導入部分がサスペンスタッチで引き寄せられました。
「切なさへの序章」って感じの年頃の二人がイイ!
初投稿乙でした。また読ませて下さい。


851:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/05 22:39:42 b8BFBfm1
>840
おお、何ともせつない感じがいいですね。
お互いの想いがすれ違っている辺りが特に。
また新しいssお待ちしております。

852:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 00:05:50 tjsXtfF/
何にも言わないエイトが男の子っぽくて良いね。
気持ちを思うと、なんか切なかったよ…。

853:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 00:21:26 gdGfZG9k
あれ?
エイトはミーティアの口添えで近衛兵になったんでねーの?
なして反対してるの?

854:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 00:24:06 tjsXtfF/
>>853
近衛兵にいきなりなったんではなくて、
小間使い→一般兵士→近衛兵ってルートを辿った設定になってるんでないの?

855:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 00:55:44 aExuIQE5
>小間使い→一般兵士→近衛兵

普通に考えてそうだと思うよ。というか

小間使い→(ミーティアの口添え)→いきなり近衛兵

ではつまんない。そんなの嫌だw


856:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 21:02:43 gdGfZG9k
それならさ、一般兵から近衛兵になる過程を描いてほしい
最初反対してたミーティアがいかにして心変わりしたのかをさ
つーわけで続ききぼんぬ

857:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 22:21:14 8CWtX+Md
近衛兵なら前線に出なくてすむとか言ってみる

858:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/06 22:37:28 ZA4GhSF4
でも刺客が来たら身を以って楯だぞ

859: ◆ERAKbm5vLM
05/11/07 00:21:54 5O/j+Y9U
>>849-852
感想どうもありがとうございました。
初投稿でむちゃくちゃ緊張していたのですが、ほっとしました。
また何か書けたら、投下させていただきます。
>>853
やっぱりそこに突っ込まれますよね。
書いていて、実は自分でもあれ?とか思ったのですが、
>>854-855さんの仰るとおりの設定です。
>>856
続ききぼんぬ…む、難しいですね。
一般兵士から近衛兵になったのは正直みーたんのワガママ
からじゃないかなーとしか思ってなかったので。
でも心変わりの過程を書いてみるのも面白そうですね。
書けたらまた投下いたします。

読んでくださって、ありがとうございました。



860:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 00:33:03 XmHkJNGo
>>859
乙でした!またよろしくお願いします。

>>858
>でも刺客が来たら身を以って楯だぞ
それはきっとエイトには本望なんだよな…
…とか思ったらめっちゃ萌えた(*´Д`)


861:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 01:03:18 rmmAWTEr
>859
次の作品を期待してお待ちしております。
って、プレッシャーかな。

気付けばもうすぐ発売から一周年…。
記念にSS投下しようかと思ったけど、容量がヤバイので
次スレに移行してからにします。



862:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 20:39:56 YpzaiN5A
前提何もなしで「エイトを近衛兵に」って言ったんじゃなくて
それなりに才覚があるから「近衛兵に」って話が上がっていたけれど
「身元不確かだから」という理由で叶わなかったのをミーティアが一言口添えして、
って事だと思っていた。

863:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 22:09:49 prYkApuw
>861
あんまり長い話だと難しいね。2~3レスくらいの話なら行けると思うけど。
早一周年か…確かに記念で何か書きたいなあ。

ゲーム中ククールが「近衛兵だったのか、エリートなんだな」みたいなことを言ってたよ。
ある程度腕が立たないといくら家柄が良くてもなれんかも。王を守る最後の壁なんだし。
でも同時に王を暗殺することもたやすいポジションでもあるから、身元がしっかりしている必要もあり。
その辺りみーたんは「ずっと一緒にいたから」とかで説得したんじゃ?
そして近衛兵になれば少なくとも今までよりは近くにいられる、と。


864:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 22:31:49 /EWxU+nJ
姫専用近衛兵か。

みーたんが泉で「私がお願いしたのよ。」と職権乱用を
アサーリ告白した時、あー俺ってやっぱり姫の犬?orz
ってなったのを覚えている…。


865:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 22:36:55 A2P63J+t
きさま! ものすごい勢いでしっぽをフリフリしているではないか!!

866:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 22:55:40 XmHkJNGo
忠犬ハチ公か。素晴らしくオチたな。

867:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/07 23:02:04 tsX7Itbd
>>864
「俺の実力じゃなかったのー!?(ガビーン)」て印象だったな、俺は。

868:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/08 02:26:30 CCxcTsLQ
>>836
スレ容量そのものは512KBまでだが、500KBを越えた時点で書き込み不可になる。
というわけであと17KB。

869:テンプレ案
05/11/08 23:38:46 5CSvCG+B
過去スレ
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ 】
スレリンク(ff板)l50
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part2】
スレリンク(ff板)l50
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3】
スレリンク(ff板)l50
まとめサイト↓
URLリンク(www.geocities.jp)
お約束↓

┏━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃  ∧ノ~  21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・  \
┃ ミ|   ... '_). / 
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━
   | (ノ 姫.|つ     | オウマサンデモカワイイ
 |~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧    ∧ ∧
  | ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|      (゚\ 8 )   (゚   )
  |  |            |  =====⊂  ∞ヽ==⊂    ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ||─(   ノ~─(   ノ~─||
                     || ┏━━━━┓ ||


870:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/09 14:14:32 Qzc1T7uj
>>869
テンプレ賛成。スレタイは、↓
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part4】
ということでしょうか?



871:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/09 23:10:28 wsZWtwkw
新スレいつ立てる?
490KB超えてから?

872:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/10 01:02:08 zYogO3At
次スレ立てるならさっさとしてくれ
容量気にしてかSSが投下されん
単に書いてる途中かもしれんが

873:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/10 03:58:44 4rGoYjMz
次スレ立てました。
 
次スレ
主人公×ミーティアを応援してみるスレ part4
スレリンク(ff板)l50
です。

874:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/11 00:17:07 CIdXz8G3
次スレも無事立ったことだし、こちらではまったり雑談でもしながら埋めますか。
まとめサイトの中の人がログ拾いやすいように急に埋めたりしないようにしながら。

875:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/11 21:25:33 7FEgyIHj
インタ版欲しいなぁ。エイトの新技めっちゃカッコイイ。惚れる。

876:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/14 00:41:24 PDQh4var0
まだ保守した方がいい?

877:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/14 21:35:01 x8wT6U+iO
最近まとめサイトの中の人をお見掛けしていないんだけどお元気なんだろうか
お忙しいのかな

878:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/15 00:26:11 eAbISAmo0
お久しぶりです。中の人です
877まで保管しましたので時間ができたらSSと一緒にアップしますね。

879:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/15 16:48:48 qt7ANjv+0
>中の人
お疲れさまです。いつもありがとうございます。

いやそれにしても1000レス行く前に容量一杯になるとは…
次のスレもたくさんssが読めるといいなあ。

880:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/16 11:49:28 1SsC8l1V0
今だからこそ、ここでこっそり叫んでみる。
「二人に捧げるRequiem」のエイトの
>「ぐっ…」
>「ぐはっ」
に激しく萌えてしまった(*´Д`)

881:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/16 14:49:43 Jz1YT9hs0
age

882:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/16 21:52:01 gbhSmyJDO
こちらはちゃっちゃと埋めちゃいますか

姫ー!馬姿でも美しいよ姫ー!

883:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 14:57:23 TCjXqTjk0
主ゼシスレってどこ行った?
検索しても見つからん

884:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 15:08:10 JYBNcLdZ0
2回dat落ちして、最後に立ったスレも先月落ちた。
職人さんが現れないとカプスレは辛いな……。

885:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 15:10:47 TCjXqTjk0
(つД`)

886:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 16:40:17 d2GYbN7R0
腹黒8主「こんにちは、埋めついでに遊びに来ました」
他主達「「「「「「「すいません!すぐ連れて帰ります!!」」」」」」」

887:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 17:54:21 /0+TkyJJ0
落ちたのならその都度立てたらいいじゃないか。
…と思う今日この頃。

888:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 22:01:56 kH/59iohO
888!

889:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/17 23:46:33 /8O/mpgM0
主姫好きさんは主ゼシも許容範囲なの?
その逆は絶対になさそうだけど。

890:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/18 23:57:47 sj6zqqww0
900まで行けるかな。
>889
はっきり言って主ゼシは別にどうでもいい。ここは主姫スレ。

891:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/19 23:38:44 UuuZWrSL0

      私たち 純真無垢のドラクエ幼馴染みカプオクテット
      ゆりかごからお墓まで いつまでもラブラブし続けますわ!
   +   ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   .   _      .     ,; =:ー、、  love               love
  .  ,'´ .__ _ヽ  _ _.  +   〃,;:三三)           +
    i /メ))ヘゝ´, -、ヽ , ' ,.⌒;ヽ卅゙卅!  )ヽ.〃二 、.⊆⊇.   ∠,  ̄ 丶、 ;.'ニニヽ +
+  .(ソゞ(.^ヮ^ノ.川―゚ー!| !  ノノ"ヾ)ヮ^ノ  )ノ;>O<,'.==、.ヽ  / ,,、=y、,i ハ( )从ハ
  .  K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl ゞ ,リ゚.ー^どミ)  彡ン(,.゚.ヮ〈ノハヾ、i.l  ヾ/ ;´(フノ! (’n.’;リノ、
    U〉-l=ト!m)|ト-チiつ(y)ブ(つ-cE! +  "K丶-"从ー^.iフi.  "(つ∀,!つと)'i:l"《つ))
 love /エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi! (y)ソ_i_」,〉ヾ、;,ゝ. 〈仁∪=0=iJ⊂)゙ノリ   /__Å_ゝ  / |;|_ ヾ''
     |-/|-| んレ';_!_リゝ ’".(_ノノ=/|=l     Lヽ_ゞ. i.__ゞ.    し'.!_ノ   ~じじ~´   +
      ̄  ̄      +     ̄  ̄      し'`J  じヽ.)  love




892:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/21 23:30:20 Vhe02eQI0
     いつも仲良しエイト&ミーティア
   +   ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        _     +    
.   +   ,'´ .__ _ヽ.  _ _ love     +
      i /メ))ヘゞ´, -、ヽ  
     (ソゞ(.^ヮ^ノ.川─ー!|   +
+      K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl 
      U〉-l=ト!m)|ト-チiつ love
.  love  ./エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi!  
       |-/|-| んレ';_!_リゝ


893:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/23 00:08:43 Ys3SlDec0
よし、このスレも終わりなのでここでこっそり色々意見の出ていたあのssについて
書いた時の設定を答えてみる

「秘密のお出かけ」特別出演の皆さん
・ゼシカ
・サーベルト
・ドルマゲス
・マスターライラス
・滝の上のチーズおじさん(=竜神族のおじさん)
・ルイネロ(話の中のお嬢ちゃんはユリマ)

でした

894:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/23 07:23:36 5lCVKGNJ0
回答、発見!!!!

895:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/24 13:16:33 mksFJqST0
>893
「ひょろりとした顔色の良くない人」と「白髪の老人」が誰だか分からなかった
んだけど、やっとすっきりした!

896:893
05/11/26 19:36:42 TnqhnP5HO
あの話の中では敢えて曖昧な書き方にしていたので誰が誰だか分かり難い部分があったかも。
それにエイトが彼らを知るのはずっと先のことなのでss中では名を明記しないつもりだったし。
なので今回はここでこっそり書いてみますた。

897:894
05/11/27 07:55:30 wiOzGWNi0
>>893
part4の方に「あのSSの回答ここにあります」ってリンクを張ってもいいですか?

898: ◆jqQPnO3wRs
05/11/27 14:45:45 EFqRbU/O0
落ちる?

899:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/27 15:29:37 IOhPYW140
浮上

900:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/27 16:23:59 LaZRaECW0
危ないなオイ

901:893
05/11/27 23:35:22 GteyIBT30
>>894
書き込まないだけで結構みなさん覗いてそうな気もするんですが。
でも個人的にはかまわないですよ。

902:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/30 16:52:53 jLf8nbbH0
小説がどうなるかで非常に心配している人がいるようだけど…
主姫で動かないんじゃないのかな。
そりゃ主ゼシって線もあるかもしれないけどさ、そうすると結婚式ぶっ壊した後の
姫の相手は?って話になる。
その時にじゃあクク姫、ってなるかっていうとそうはならないと思う。
主姫派は一杯いる。主ゼシ派も一杯いる。ククゼシも人気ある(数字は除外)。
でもクク姫って需要あんの?
さらっとトラベラーズで探してみたけど、見当たらなかったよ。
ここでもそういうスレが立ったことはなかったと思うし。
ただ単に余るの嫌だからくっつけました~臭しかしない。

もしかして鉄板なのはヤンゲルだけなのか?!w

903:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/30 17:18:32 oP8V5mlq0
というより、主姫でなければ、そもそも「呪いを解く」というDQ8のストーリーがまったく成り立たない。
DQ8で主人公に姫以外とのカプを成立させるなら、
最初からストーリー構造をぶっ壊して再構築するか、ドロドロの大人向け恋愛譚、もしくは少女漫画的多感小説になってしまう。
だからどんな先生が書くかに依存するんだけど、そもそも赤字のスクエニ出版部が出すかどうか。

904:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/30 21:32:38 QMH474++0
埋め

905:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/11/30 22:10:37 GRyTzX8OO
主ククに決まってんじゃん☆
姫なんかチャゴスで充分。
大馬鹿なことしちゃったんだから頭下げて引き取ってもらったら?
好きとか言ってる人ってキモオタだけっしょ?
きんもー☆


906:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 00:16:54 bGRGikHq0
ねこだいすきw

907:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 08:44:54 ijCIiy670
とりあえず小説化するとき問題なのは
8主の過去をどう片付けるかだ。
もし過去も絡めたストーリーを展開したら、
ラストは8主がドラゴンに変身してデブと戦うっていうのが自然なんだろうけど、
このネタは久美で既に通過してしまったからな

908:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 13:01:41 y3U3htOD0
うーん、トーポ竜化、って手もあるけど、それだとおじいいちゃんの方が目立ってしまうか。

8主の出生を書かないとあらゆる意味で消化不能になってしまうと思う。
呪いがかからない理由とか、デブ戦前のレティス=ラーミアの台詞とか。
トラペッタでの「人でも魔物でもない~」も本当は主人公を指したものだし。
(トロデ王は自分のことだと思っていたけど)
本来本編に組み込むべきものがクリア後のおまけ扱いになってしまったのがちょっとなあ。
話が散漫になるのを避けたかったのかもしれないけど。

909:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 13:08:41 ijCIiy670
あっ、今浮かんだ。
8主が変身してクックルがその背中に乗ってタンバリンを叩けばいいんだ

(゚∀。)あれ?

910:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 14:58:11 y3U3htOD0
待て。
そうするとジゴスパークはエイトの背中にぶっ刺して呼ぶことになるんだな?

…8主ドラゴラム案、却下!

911:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 20:15:07 w1zymMJh0
馬姿ミーティアの小説を読んでみたい。

912:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 21:49:41 ZcQv8idA0
8主ドラゴラム案(・∀・)イイ!
もういっそ空飛ぶ乗り物が主人公自身でいい。


913:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/01 22:59:02 Hx38kDoe0
ラストバトルで主人公竜化は5でやっちゃったからねえ

914:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 02:14:12 okx3AIwy0
一瞬「いっそBOF2のような鬱エンディング」とか考えたけどやっぱりそれはイヤだな

915:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 13:38:18 69lw2QHH0
>>914
BOF2は2種類あるけどな。
一つは主人公が竜化して、封印の扉を守るバッドED
もう一つは主人公の親父が封印の扉を守るバッドだかグッドだかよくわからんED

一番納得いかんエンディングはBOF4だろう
最も殺したいやつが生き残ってるんだからなw

916:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 13:40:13 69lw2QHH0
間違った。
BOF3だな。一番納得いかんのは。

917:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 13:42:29 69lw2QHH0
やっぱBOF4だった。逝ってくるわ

918:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 16:40:30 yDcY++/30
なんかそれだともう完全に別物だな…
鬱展開は思い付きやすいけど書き手の力量で薄っぺらくなりやすいし。
「主人公はお姫様と結婚して幸せに暮らしました」でいいんだけどなー。
人生べたべたな展開が一番だよ。

919:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/02 23:53:50 i1g1JlzQ0
そうだな。
8は今までのDQの既出ネタ(?)を取り入れた感じだから、結構ベタベタな話なんだよな。
だから公式物では変に改変しない方がいいと個人的に思う。

小説出るんだか出ないんだか分からんが、
まあ、とどのつまりはベタベタな展開でも主姫にさえなればいいんだけどなw

920:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/03 07:05:24 zJzfJEOW0
そうそう。

どうでもいいから主姫キボンヌ!
ていうか、主姫じゃない公式小説なんてイラネw

…ってのが本音だ。


921:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/03 13:46:24 ikO20Sm/0
保守

922:もしあの男が6主だったら
05/12/05 16:25:11 oLqVMKnH0
??「あれー?変な場所に迷いこんじゃったよ。ここどこだろ。そういうのは7主の専売特許なのに。
   でもまあいいか、何だかお祭りみたいなことやってるし。お祭りと言えばあの時のターニアたんかわいかったなー、さすがはオレの妹」
ミー「いろんな人が一杯いるわ。なんて楽しいのかしら」
6主「(キュピーン!)おっ、妹センサー発動!どこだどこだ、妹はどこだ?」
ミー「エイトはまだかしら…あんな込んでいるのだったらお願いしなければよかったわ」
6主「妹発見!ターゲットロックオン!…お嬢ちゃん、かわいいね。一人なの?」
ミー「ううん、お友達と一緒なの」
6主「(あの綿飴のところにいるガキか)お兄ちゃんと一緒に来たらいいことしてあげるよ」
ミー「…いいの。待っているってお約束したもの」
6主「いいからいいから」
ミー「いやっ!…エイト、エイト!」
6主「(エイトだと?どこかで聞いた名だな)すぐ終わるからねー」
??「その子を離せ!」
ミー「エイト!」
6主「げっ、お前は8主!…ってことはこの子はみーちゃん?!」
8主「誰だよ!お前なんか知らないよ!」
6主「お、おい、冗談だって。な、ほら、こっ、これライフコッドのお土産やるから。だからそんな紫色に…」
8主「みーちゃんに触れるなーっ!」
ガラガラビッシャーン!
6主「グギャス!………って何でいきなりギガデイン出るんだ………」

923:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/05 18:23:46 rHS8+KPr0
オナニーするなら誰も見てないところでね^^;

924:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/05 18:27:39 9/UF/5kN0
>>922
ワラタw所詮6主だww
さてあと2kb。

925:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/05 22:55:43 lBdWGSTDO
意外に500kb行かないもんだね。まあss投下するとあっという間なんだろうけど。

926:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/07 00:02:27 xQgUXhtk0
いまさら気付いてしまったんだが・・・
ミーティアって名前は流星って意味だよな?
馬のひたいの白い模様も流星っていうんだよな・・・
もう名前からして馬ネタだったのか。

927:sage
05/12/07 00:03:26 xQgUXhtk0
sage

928:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/07 00:05:59 FYEITn2y0
ミーティア=メテオ

929:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/08 16:47:15 g+RkjqDU0
馬の額の模様は形や大きさ、数で色々な呼び方があるらしい。
あまり詳しくないのでよく分からんが。

ところでようやくこのスレも500KB行ったな。

930:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/09 21:40:33 zSss3TZK0
馬姫様でも美人だモンなぁ。

主人公とミーティアは絶対ED後結婚すると思うよ。
だって、あのラブラブっぷりだもんさ。

クリアーしてない人、是非見てたもれ。

931:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/12/09 21:45:34 nMcDqNSS0
そうなるんです!!
隠しルートではオレはもう見ました!!
ほんとのエンディングを


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