05/09/28 21:57:06 BzBmykAF
6.Hostias
エイトの身柄はサザンビークへ移送された。王太子の婚約者を奪い、王統を乱そうとした大逆
者として自らの手で断罪したいとサザンビーク側が強硬に主張した為である。トロデーンとの
婚姻は破談になり、婚約者を寝取られたチャゴス王子の面目をせめて保とうという臣下たちに
よる配慮だった。
それでもこの処置に反対する向きがなかった訳ではない。明らかにされたエイトの出生を考え
た時、現政権に対する不満分子がその身柄を奪って王に刃向かうのではないか、と危惧する声
もあったのである。それを押し切ったのはチャゴス王子の(珍しく)強い意向が働いたからだ、
と言われていた。
そのチャゴス王子は今までと違ってやけに強硬な態度を示して苛烈な刑の執行を望むかと思え
ば、別の時はそんなことには興味を示さず、以前と同じく城を抜け出しカジノに行こうとする。
余りの豹変ぶりにお付きの人も首を傾げずにはいられなかった。
首を傾げると言えばミーティア姫への態度もだった。事件が発覚してすぐは
「あれは強姦されたんだ、姫は関係ない」
と結婚の意思を示していたという。しかしいつの間にか
「あの男と共謀してサザンビークの王位を狙っていたに違いない」
と言い始め、ミーティア姫も処刑せよと喚き散らす。しかし裁判が始まって反逆罪の論拠が崩
され姦通罪単独での処刑も有り得ない、という論調になって来ると一転して無関心となった。
それどころか城を抜け出してどこかに行こうとして父王に一喝される始末。