05/09/02 19:51:19 3tdhScXj
「……」
そうやって恥ずかしそうにされると僕も何だか恥ずかしいじゃないか。
「さ、濡れないように髪結ぶから」
恥ずかしいのを振り払うように、努めて元気よくそう言ってミーティアの黒髪を丁寧に編んで
結い上げる。と、ほっそりとしたうなじが姿を現した。見慣れているはずなんだけど、でも何
だかいつもよりも格段に色っぽい。今着ているゆかたのせいかな。
「ありがとう、エイト」
振り返るミーティアの横顔も美しい。
「エイト?」
ついうっかり見蕩れてしまった。いかんいかん。
「入ろうか」
451:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 19:52:24 3tdhScXj
隠し湯というだけあって湯舟ははっきり言って小さい。二人で入ろうと思うと抱き合った状態
でないと入れなさそうだった。
「狭くないかしら?先にエイトが入った方がいいかしら」
ミーティアも気付いた。でもそれがいいんだ。そうでなかったら一緒に入るメリットなんてな
いし。
「いいからいいから」
「えっ?あっ、きゃっ」
戸惑うミーティアの身体と一緒にお湯を被り、抱き締めたまま湯舟に浸かった。最初は落ち着
きなく身じろぎばかりしていたけど、漸く落ち着く体勢を見つけたのか僕の頚に腕を廻し胸に
もたれるようにして息を吐く。
「気持ちいいね…」
「ええ、とっても…」
傍から見れば「お風呂で何をしている!」と言われそうな状態だったけど、不思議といやらし
い気持ちにはならなかった。ただ、安らかで、幸せな気持ちだった。
「不思議…とっても穏やかで幸せな気持ちなの…」
僕の胸の中でミーティアが呟く。ああ、ミーティアも同じことを感じているんだ…
「僕も…」
お湯は温かかったけど、剥き出しの肩が冷え始めている。僕はお湯を掬ってミーティアの肩に
掛けてやり、腕を肩に廻して冷えないようにしてやった。
「ありがとう、エイト」
ミーティアが頬に口づけする。そして同じように腕を廻して僕の肩を冷やさないようにしてく
れた。
「ありがとう、ミーティア。温かいよ」
「本当に、いつまでもこうしていたいの…」
「うん…」
せせらぎの音と虫の音ばかりが聞こえ、時間だけが静かに過ぎていく。
452:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 19:53:35 3tdhScXj
「そろそろ戻ろうか?のぼせてしまうし」
「ええ、そうね」
ミーティアはちょっと残念そうだったけど、いつまでも入っている訳にもいかないことは分かっ
ているので、素直に頷いた。
湯舟から上がり、手近にあった柔らかな布でミーティアの身体を包み込み、優しく水気を拭っ
た。眼を瞑り、小さな子供に戻ったかのように僕の手に身を委ねているミーティアがただもう
愛おしくて丁寧に丁寧に拭いてやる。
身体を拭き終わると今度はミーティアが僕の身体を拭いてくれた。僕も何だか子供に戻ってし
まったかのような感じがする。
一生懸命僕の身体を拭いているミーティアを見ていたら目が合った。「なあに?」と言いた気
なその目に笑いかけ、額にちょん、と口づけを落とす。
「どうしたの?」
「ん…ありがとう」
「どういたしまして」
澄まして答えるミーティアが可愛らしくてぷっと吹き出した。
「戻ろう。今日はここに来てよかったね」
「ええ、本当に。また来たいわ」
ミーティアは深く頷く。
「今度来る時はもっと人が増えているかもしれないわね」
その言葉の意味するところが頭に届くまで、ちょっと時間がかかった。
「えっ」
澄ました顔でミーティアが続ける。
「あら、お父様のことよ」
山の宿の夜は深々と更けていくのだった。
(終)
453:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 19:57:08 3tdhScXj
ただバカップルが書きたかった。今はは(ry
保守代わりにでもなれば幸いです。
454:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 20:15:07 yuZEL56b
ん~激しくGJ!
もうちょっと湯舟の中のいちゃいちゃを読みたかったような気もするけど
それを書かないのが花というものなのかな
とにかく㌧
455:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 20:43:06 Rh3OCtwm
タッタ
456:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/02 21:27:33 P9Tgufoe
エイトはチンコ立たなかったのかと(ry
457:453
05/09/02 22:41:22 3tdhScXj
読んでくださいましてありがとうございました。
>454
ほっとくと腐乱バニラ国王化しそうだったw
いちおう公共の場なので「一緒にお風呂に入った」ということで。
>456-457
さー?その辺の事情は個人のご想像にお任せします。
458:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/03 12:55:35 x2YAs219
まとめサイト更新しました。
保管忘れや間違いなどがありましたら連絡ください。
05/09/03 Part3 170 - 452までの13作品を保管 (現在106作品)
◆JSHQKXZ7pE氏
二人の冒険 , 星の夜 , 真夏の午後 , 二人の南の島 , 香りの呪縛 , 百物語
流星の姫君 , 湖畔の幻影 , 夢よりも確かなもの , 温泉に行こう!
◆nw3zSJjQag氏
ああっ女神像さまっ , 彼女と彼の事情
◆nefbuGknog氏
小ネタ6
459:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/03 13:03:39 7WeIleNc
>>458
まとめサイトさん乙です!
お忙しいところをいつもありがとうございます。
>>457
>せせらぎの音と虫の音ばかりが聞こえ、時間だけが静かに過ぎていく。
>「そろそろ戻ろうか?のぼせてしまうし」
この間が妙に艶っぽくて妄想を働かせるのには十分でございました。
GJ!!
460:453
05/09/03 16:17:17 WM0Ju+gG
まとめサイト様
いつもありがとうございます。
毎回感謝しております。
>459
あの空白は妄想してもらうために入れたものなので、じゃんじゃんしちゃってくださいw
461:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/04 23:49:15 n1hbxBFB
あと一歩でエロパロ板行きですねw
ともかくGJ!
462:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/05 00:58:23 uVW0UxDN
>>461で初めてエロパロ板の存在を知ったw
463:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/05 22:14:48 CFniWuvk
>461
感想ありがとうございます。
確かに今回ぎりぎりの線だったかも。
何でそうなったかな…風呂入っている「だけ」なんだけどな…
>462
エロパロ板は大人になってからw
464:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/06 22:36:49 /V6BCriY
前スレで「性描写はどこまでOKか」っていう話があって、結論が出たよね。
このスレの住人に聞きたいんだけどもう一つ規制されるべき残虐行為の描写はどの辺りまで?
例えば、
誰かに殴られたり蹴られたりする(具体的に血が出た描写なし)
↓
モンスターと戦って怪我(具体的に血が出た描写なし)←この辺りまではOKか?
↓
↓
↓
エロじゃないガチ拷問(魔女裁判並)←多分絶対駄目
その境目はどこか?
皆さんの意見を是非参考にしたいです。
よろしくおながいします。
465:個人的には
05/09/07 00:15:48 BxVvPaCZ
「拷問に有ったらしい事実を後で話に聞く」←おk
「拷問の様子を描写する」←((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
466:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/07 20:38:12 g23J4Kdz
拷問がそのSSに必要不可欠なものなら書きたいように書けばいいと思う。
このスレに相応しい程度加減は自分で判断しる。
467:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/07 22:13:44 hNin/9LZ
つURLリンク(fs.pics.enc.or.jp)
468:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/07 23:45:39 iUpwWqVX
>467
読んでみた。とても参考になったよ。thx
だけどちょっと待て。
>乳房の3/4程度までが見えるような服装をしている人物の画像・映像。
ゼシカは!?ゼシカはレベル1なのかっ!?
469:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/08 00:22:21 MxyLcFkF
いや、レベル1じゃなくてレベル5
ごめん
470:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/08 01:37:01 Zk21ZjiR
>469
マジレスすると3/4まで露出してないからレベル0かと。
谷間のところが開いてないし。
471:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 03:04:16 H+o9D5bQ
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
FFばかりやっていると、脳細胞の発達に遅れが見られるということが
最新の脳研究でわかりました。
FFもいいですが、ドラクエもやりましょう。
ドラクエの攻略サイトを集めてみました。
これで、FFもドラクエも両方やりましょう。
URLリンク(rich-life.sakura.ne.jp)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
472:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 22:26:56 X4u+i6RA
>>438氏のリク「サヴェッラの夜」の続き行きます。
【注意】
・しばらく鬱展開が続きます。
・暴力描写が入る場合があります(今回はありませんが)。
473:二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE
05/09/09 22:28:04 X4u+i6RA
1.Dies irae
意識の遠くで誰かが何かを叫んでいる。
いいんだ、もう。何もかも終わったんだから。あの指輪一つでどうにかなると思っていた自分
が愚かだったんだし。
ミーティアは行ってしまう。もう会えなくなるということは分かっているけど顔を合わせるの
も辛い。あの男に、サザンビークの王子であるというだけでミーティアの夫となるあの男にい
いようにされてしまうのだと思うと嫉妬で胸が灼けつきそうだ。
「あ、兄貴!早く起きてくだせえ、逃げるんでがす!」
ヤンガスの声だ。それと同時に激しく揺すぶられる。
「早く、兄貴、逃げ…ぐへっ!」
肩に掛けられていた手が急に無くなり、代わりに「どすん」という鈍い音がして、ヤンガスの
声がしなくなった。何事かとうっすら目を開けた僕の鼻先に何かが突き付けられている。それ
が抜き身の剣であることに気付くまで数秒かかった。
「トロデーン王国近衛隊長、エイトだな」
それは誰何(すいか)ではなく、断定だった。その制服はサザンビークのもの。僕の寝台は兵
たちによってびっしりと取り囲まれていた。
「先程トロデーン王女の部屋から出てきたという密告があった」
見られていたのか!自分の血が一気に冷たくなったように感じた。
「サザンビーク王室に対する不敬罪、姦通罪、並びにサザンビーク王位の転覆を謀った大逆罪
の疑いによって逮捕する。
おとなしく縛に付け!」
僕に切先を向ける男が逮捕状を読み上げるうち、自分が異常なまでに落ち着いていくのを感じ
た。元より自分の犯した罪の重さは充分承知している。罰─それも死罪だ─を受ける覚悟はつ
いている。だが。
「あ、兄貴…」
兵の後ろではヤンガスがおろおろとしている。周りの人までも巻き込んでしまった…
474:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 22:29:31 X4u+i6RA
持っていた武器、防具の全てを取り上げられ、後ろ手に縛られて宿を連れ出された。
周りはがっちり固められ、逃げ出す隙もない。もっとも、そのつもりなんてなかったけど。
「兄貴、あっしも…ぐへっ」
背後でヤンガスが兵に追い払われ、蹴っ飛ばされた音がする。ごめん、これ以上はもう止めて
くれ。ヤンガスお前まで捕まってしまう。
「ゼシカ!ヤンガスを頼む!」
林立する槍の向こうにちらりとゼシカの姿が見えたのでそう叫ぶ。途端に背後から柄で小突か
れた。
「こらっ、黙って歩け!」
「兄貴!」
悲鳴に近い叫び声を上げ、ヤンガスがまた僕に近寄ろうとする。それをゼシカが駆け寄って押
し止める様子がちらっと見えた。
「駄目。お願いだからもう止めて。今は、…だから、ね」
必死で説得するゼシカの声がする。最後の方はよく聞き取れなかったけど。それに納得してく
れたのかヤンガスは漸く追うのを諦めてくれたようだった。
結婚式を見に来た人々は突然のこの出来事に唖然としていた。華やかな雰囲気は消し飛び、代
わってサザンビーク兵と聖堂騎士団の団員が物々しく歩き回っている。その様子に怯えつつも
僕たちを遠巻きに見ていた。そのうち事情が知れ渡ったのか冷たい囁きと嘲りの眼差しが僕に
突き刺さりだす。それでも僕はただ前だけを見詰めていた。罪を恥じるべき相手はこの中には
いないのだから。
そうやって階段のところまで来た時だった。急に辺りがざわめいて人垣が割れる。と、階段の
上から同じような一団が姿を現した。
「トロデーンの売女め!」
「阿婆擦れの雌犬が!」
人波の中から中央の人影に向かって罵声が投げ付けられる。そこにはミーティアがいた。いつ
ものドレスを着て、昂然と頭を上げこちらに向かってくる。辺りを払う威厳に満ち溢れた様子
にいつか罵声も尻すぼみになり、やがてしんと静まり返った。
475:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 22:31:20 X4u+i6RA
「トロデーン王女を護送いたす!」
あちらの先触れがそう告げる。僕たちの方は立ち止まり、その一団に先を譲ろうとした。
ああ、ミーティアは縛られてはいない。よかった、あの細い手首に荒縄は辛いだろうから…で
も、僕のせいであのような辱めを受けるなんて。
その時ミーティアと視線がぶつかった。静かな眼差しだった。鏡の
ようにしんと静まりかえった。
ふと、絶望的なあの夜の中、幾度となくミーティアが僕の目を覗き込んだのを思い出した。愛
撫の手の中にあっても、そうやって見詰められる度に僕は碧の瞳に吸い込まれるかのように動
けなくなってしまい、否応無しに自分の心と向き合わされたことを。
いかに自分がミーティアを必要としていたか、主命という名のもとに自分の心を偽り続けてき
たかということ、それがどんなにミーティアの心を傷つけてきたのかということを、その中で
知った。そしてミーティアもまた、婚約者のいる身、という立場に逃げて自分に向き合ってこ
なかったということも。
今、階段を下ってくるミーティアが僕の心を見通す。そしてまた、僕もミーティアの心を見通
す。僕は、悔いてはいなかった。あなたと通じたことを。そしてその罪故に汚辱の淵に置かれ
たことを。
打ち首だろうが火刑だろうが臆することがあるだろうか。己が何を為したのかは分かっている。
後悔するとしたらあなたまでを巻き込んだことただ一つ。
見詰めあううち、ミーティアの一団は通り過ぎて行った。「そら、歩け」とばかりにまた頭を
小突かれる。言われなくとも歩く、と思った時だった。
「エイト!姫様を助けたかったら死に急ぐんじゃねえぞ!」
振り返ろうとしたが槍の穂先に阻まれた。でも誰の声かは分かる。ククールだ。でもなぜこん
な時に?大体助けることなんて可能なんだろうか?この破滅の日の中で。
※ ※ ※
476:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 22:33:06 X4u+i6RA
私は何も悔いてはいない。
すれ違いざま、私はそう心の中でエイトと語らっていた。
エイトと一緒ならばどこまででも行く。それが例え永遠の業火に焼かれ続ける道であっても。
むしろその方が好ましい。エイトのいない天国よりもエイトと一緒の地獄の方が慕わしい、と。
私たちは見張られていた。サザンビークの女官がエイトが部屋に入ったのも出て行ったのも見
ていたのだ。
夜明けと同時にサザンビーク側の女官たちが私の休む部屋へ入ってきて、寝台を改める。私た
ちの罪の印がそこにまざまざと残されてた。
「トロデーン王女ミーティア様、速やかにお召し替えを」
有無を言わせぬ口調に怯えたのは今までお世話してくれたメイドさんの方だった。
「姫様…」
「悪いのは全て私です。あなた方には何の咎もありません」
ただ申し訳なく思うのは世話をしてくれたメイドさんたち。どうか言い逃れして。私に全ての
罪を押し付けて。そしてお父様…ごめんなさい、育ててくださったご恩を踏みにじった悪い娘
で。
着替えが終わると同時にサザンビークの兵が部屋に入ってきて私に告げた。
「サザンビーク王室に対する不敬罪、姦通罪、並びに大逆罪の疑いにより拘束いたす。速やか
に参られよ!」
大逆!そんな!ではエイトは?
…いいわ、大逆罪で火刑ならそれで構わない。エイトを処刑するのならば私も一緒に火刑台へ。
エイトの妻として誇り高く死にましょう。燃え盛る焔がきっと、私たちの罪を焼き尽くしてく
れる筈。白いさらさらとした灰になるまで燃え尽きれば、きっと…
(続く)
477:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/09 22:42:18 X4u+i6RA
補足
Dies irae【でぃえす・いれ】
ラテン語。怒りの日と訳される。神の怒りが下る日のこと。
モーツァルトのレクイエムでのこの曲はそれと知らず聞き知っている人も多いのでは(バトロワとか)
478:名無しさん@そうだ選挙に行こう
05/09/10 21:24:58 rGG9Y1Wx
>>477
リクエストに応えてくださってありがとうございます。
有り得ない話と分かっているのに、すごく面白いです。ドキドキします!
続きも楽しみにしています。
479:名無しさん@そうだ選挙に行こう
05/09/10 22:40:58 3Tm8nZSm
>478
そう言っていただけると大変嬉しいです。励みになります。
正直、やらかしたかと思っていたんで。
全く別の話になって戸惑った方も多かったのでは、と。
今後もよろしくお願いいたします。
480:名無しさん@そうだ選挙に行こう
05/09/11 21:45:42 yn5oPVCx
題から推測するにもしかして氏にネタ?
だったらそう明記してくれないかな?
481:名無しさん@そうだ選挙に行こう
05/09/11 23:19:41 YvfXB+ug
基本的に結婚EDに至る過程を様々なエピソードで語ってるわけだから死にネタではないだろう
と思う
482:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/11 23:56:37 SkM+h/U1
>480
どういう結末になるのかについてはまだちょっと…
ただ、単純に結婚EDになることはないと思う。
483:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 21:11:06 4lMzA9D0
二人に捧げるRequiem
レクイエム…って鎮魂歌だよなぁ。やっぱ死んじゃうのかなぁ。
まぁでも続きを楽しみにしていますよ。
484:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:14:57 SnOZB1/i
>>473-476続き
注意
暴力描写があります。ご注意ください。
485:二人に捧げるRequiem
05/09/13 22:16:26 SnOZB1/i
2.Rex tremendae
「ボクの花嫁を寝取るとはいい度胸だ」
煉獄島の地底、重罪者を収容する牢にエイトは監禁されていた。ニノ大司教が法皇に就任して
からここは廃止されたため、他に人影はない。
「サザンビークの管轄だったなら即死刑にしてやれたのに、教会の石頭どもめが」
手足は枷で拘束され、自由は完全に奪われている。そのエイトの前に立つはチャゴス王子。目
深にフードを被った男を従え、憎々し気にこちらを見据えている。
「その鎖は力を封じる呪がされているらしいぞ。引き千切ろうったってそうはいかないからな」
そう言いながらエイトに唾を吐き掛けた。手足を縛られていては頬に掛かった唾を拭く術もな
い。
「いい様だ。自分の力を誇ってきた奴が何の抵抗もできないんだからな」
にやにやとしながらチャゴスはさらに近付く。その手には短剣が握られていた。
「ということはボクに指一本触れることもできない訳だ」
のろのろと―エイトの眼にはそう映った―振りかぶったかと思うと右手に向かって突き立てら
れた。
「ぐっ」
余程鋭利な刃だったのか最初エイトは何の痛みも感じなかった。しかし、たら、と血が流れて
「刺された」と意識した途端急に鋭い熱の線として痛みを感じ出す。
悲鳴なんて上げるものか、これくらい、堪えてみせる…
「ぐはっ!」
しかし突き立てられた短剣が捩上げられ、嫌な音を立てて骨が砕ける。全体重をかけているの
か信じられない程の力で刃が突き抜け、石の壁にきりきりと食い込んだ。
「どうだ、思い知ったか。でもこれからだからな。高貴なボクの誇りを傷付けたんだから、死
ぬ方がマシなくらい拷問してやる」
こんなことに負けるものか、とエイトは思った。情けなく悲鳴を上げてチャゴスを喜ばせまい、
と歯を食いしばる。
「殿下、しばしお待ちを」
と、今まで置物のように成り行きを傍観していたフードの男が一歩前に進み出た。そしてエイ
トに向かって手を翳す。すると緑の光が身体を包み込み、傷をたちまちのうちに癒した。
486:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:20:09 SnOZB1/i
「おいっ、何で傷を治すんだ!拷問の意味がないじゃないか!」
チャゴスが男に食ってかかる。それに対し、男はフードの奥でくつくつと笑い声を上げた。
「殿下は真の拷問をご存じないようでございますな。苦痛の後で与えられる安息、これが拷問
への恐怖を呼ぶのでございますよ」
振り向きざま男はエイトの鳩尾を殴りつける。警戒はしていたものの、その速さは予想を越え
ていて、堪え切れずに胃液を吐いた。
「ヒトは痛みに慣れ、そのうちそれに興奮するようになる生き物でございます。絶え間無い責
め苦は拷問として下策なものなのでございますよ」
「お、おう、そうか、おぬしは詳しいな」
「できればこれから行うことについて事細かに語ってやるのが礼儀というものでございましょ
う。先程のように突然のことではただ痛いだけで、何の恐怖も与えません」
「ほう」
「殿下、どうかこの者に説明してやってくださいませ。これから何をするのかを」
「そ、そうだな…
おい、これが何だか分かるか」
フードの男に促されチャゴスは荷物からペンチのようなものを取出した。
「ペンチだろう」
エイトは素っ気なく言った。見え透いている、どうせ葉を抜くか爪を剥ぐかだろう。
「そうとも、ペンチだ。これを火でよくあぶり熱くなったところで、お前の爪を一枚一枚丁寧
に剥いでやる。終わったらベホマで癒してやるから安心しろ」
独創性のないチャゴスの言葉にエイトはうんざりした。爪なんて旅の中で幾度剥がれたことか。
その痛さがどの程度のものであるのかは身をもって知っている。
「そしてまた剥ぐんだろう」
「その通りだ。なかなか物分かりがいいじゃないか」
エイトが全く動じていないことをチャゴスは分かっていない。ここまで愚かな奴だったとは…
いや、少しは思っていたか、とひっそり自嘲気味な笑いを浮かべた。
「これからペンチを火であぶる」
487:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:21:03 SnOZB1/i
そう言いながらチャゴスは手燭にペンチをかざした。しかしその手際の悪さときたら…ペンチ
の先を熱するうちに取っ手まで熱くなって取り落とす。慌てて拾い上げようとしてその熱さに
また落とした先が足の上。熱いわ痛いわでギャーギャーと喚き散らす有様は、どちらが拷問さ
れる側なのか分からない。
「もう止めてくれと泣き喚くのが楽しみだ。せいぜい堪えて見せてくれよ」
漸く準備が調ったのか目一杯エイトを脅しているつもりの口調で言い放ち、目の前にペンチを
かざした。
「まずは左手からだ。どこまで我慢できるかな」
にやにやしながらエイトの左手を掴み、ペンチで爪を摘もうとした瞬間、
「おい、カーゴが来たぜ」
と看守の声が掛かった。
「うるさい、後でまた来るように言え。今いいところなんだから」
振り返りもせずチャゴスが威権高に言い放つ。
「今日のカーゴはこれで終わりだぜ。明日までこのまま飲まず食わずで平気ならそうしてもい
いがよ」
「ボクは王子様だぞ。命令が聞けないのか」
チャゴスの妙に甲高い声が狭い牢内にキンキンと響く。それよりもエイトには気になることが
あった。看守の声は聞き覚えがある。覆面のせいでくぐもってはいるがあの声はもしや…
「ここでは王子様は関係ねえ。王様だろうが誰だろうが看守様に従うんだ」
看守の有無を言わせぬ迫力にたじたじとなったチャゴスは、忌ま忌まし気に舌打ちし、
「覚えてろ」
とこれまた独創性の欠片もない捨て台詞を吐いてフードの男を伴い出て行った。
488:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:22:54 SnOZB1/i
カーゴが充分遠離って行った時、看守が覆面をかなぐり捨て、エイトの元に駆け寄った。
「兄貴!」
ヤンガスだった。
「ヤンガス、どうしてこんなところまで!」
「へへっ、兄貴のいるところなら例え火の中水の中、どこへだってお供するでがす。それが兄
弟仁義っていうやつでがす」
涙目になりつつも鎖を解く。長時間拘束されていたせいか足が萎えていて一瞬よろめく。
「兄貴たちが捕まった後、三人でどうしたらいいか話し合ったんでがす。あっしとしては兄貴
を奪還してさっさと逃げようと思っていたんでげすが…」
そんなエイトを見てヤンガスは肩を落とした。
「ククールの奴が裁判は受けた方がいい、って言ったんでがす。ただ逃げればトロデーンに迷
惑が掛かるし、姫様も処刑されちまうって」
「処刑?!」
エイトの声が裏返る。
「まさか。大体トロデーンの王位継承者をどうにかすることなんてできる筈ないだろう?」
「サザンビーク側が怒り狂っているんでがす。面子を潰されたって。兄貴を私刑にしかねない
勢いなんでがす」
「僕はいいんだ。私刑だって構わないよ。それだけのことをしてしまったんだから。でも何で
ミーティアまで!」
「これはチャゴスの野郎は反対しているんでがす。兄貴を殺して何事もなかったかのように姫
様を迎えるつもりでいるらしいんでがす。でも…」
少しためらった後、ヤンガスは続けた。
「姫様が『エイトが処刑されるのならば私も同罪です。エイトと一緒に死にます』って言い張っ
ているんでげす」
一緒に死ぬ…このような状況なのにエイトの耳にその言葉は甘く響いた。だがその考えを打ち
払う。
「駄目だ、そんなこと!」
「放っておいたら姫様は幾らでも自分に不利なことをしゃべって兄貴を庇おうとしてしまうで
がす。
ここからはククールの意見でがすが…」
ヤンガスは声を潜めた。
489:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:24:00 SnOZB1/i
「何としても先に姫様の処遇が決まるようにした方がいいって言っているんでがす。あっしに
は詳しいことはよく分からねえんでげすが、婚約破棄、幽閉の方向に持っていくようにしたい
し、多分判事も王統断絶の原因にはなりたくないだろうからそうするんじゃねえかと読んでい
るみたいなんでがす」
「僕が唆したのに…」
どこかにミーティアが幽閉される、そう思っただけでエイトは胸苦しい気持ちになった。たい
てい砂漠や湿地等、条件の悪い場所が多い。そんなところに…
「何言ってるんでがす。兄貴が助けに行くんでがすよ」
「えっ」
「兄貴一人ならいくらでも逃げられるでげすよ」
「…駄目だ、そんなこと。これ以上トロデーンに迷惑は掛けられない」
「だから、チャンスは処刑の時だけでがす」
そんなことをしていいのだろうか。こんなことになった責任は全部自分にあるというのに。大
恩ある陛下にまで恩を仇で返すような真似までしている。それなのにいい思いをしては…
「裁判が始まったら処遇が決まるまでもう誰も兄貴に手出しできねえでげす。どうかそれまで
辛抱してくだせえ」
「平気だよ、それくらい…」
「本当はさっきあの野郎をぶん殴ってやりたかったでげすよ。でも」
「いいんだ、気にしないで。大体こんなところに居たらヤンガスも危ないじゃないか。僕は大
丈夫。どうやら毎回ベホマで傷を治すって言っていたし」
自嘲気味に言うエイトの手をヤンガスが取った。
「すまねえでがす…でもあっしもできる限りのことはさせて貰うでげすよ」
「すまない、ヤンガス…」
「へへっ、いいんでげす。兄貴に命を助けられた大恩に較べりゃ大したことはねえでがすよ」
「…ありがとう」
※ ※ ※
490:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:25:47 SnOZB1/i
マイエラ修道院は川の中州に建てられている。特に院長室は修道院からさらに橋を渡らなけれ
ばならず、隔離にはうってつけの場所だった。
オディロ院長が殺されてしまってからは使う者はなく(後を継いだマルチェロは団長室を引き
続き使っていた)、その後修道院自体が混乱していたこともあってこの場所は見捨てられてい
たも同然だった。
ミーティアはここに軟禁されている。一階を世話をしてくれる修道女たちのための控え室に、
二階を彼女の居室とし、見張りの兵が建物の外に立つ。橋は落とされ修道院との行き来は船だ
けとなり、仮に見張りをどうにかしたとしても簡単には逃げられないようにされていた。
(逃げるものですか)
とミーティアは思う。いかなる刑であろうと臆することなく受ける。自分にはそれだけの罪が
あるのだから、と。
今まで付き従ってくれた侍女たちとは引き離された。彼女の身の回りの世話をしてくれるのは
見知らぬ修道女ただ一人。俯きながら黙々と雑用をこなし、ミーティアのねぎらいにも応えな
い。
彼女の態度はもっともなことなのだろう。何しろミーティアは罪人、それも大逆の重罪に問わ
れている。下手に応えれば自分まで罪に問われるかもしれない、というところか。
それでも世話をしてくれていることには変わりはない。その夜も夜着への着替えを手伝ってく
れたその修道女に
「ありがとう。こちらはもう大丈夫です。どうぞお休みください」
と礼を述べた。
その時、急に階下の扉が開き、階段を昇ってくる音がした。
「誰でしょう?何かあったのかしら」
ミーティアが修道女と顔を見合わせた時、その者が姿を現した。
「あなたは!」
チャゴス王子だった。
「ぐふへへ、ミーティア、今夜は妻としての義務を果たしてもらうぞ」
あまりの言葉にミーティアは蒼ざめ、無意識のうちに口を覆い後ずさる。
「婚約はまだ生きているぞ。ボクが破棄すると言わない限りあなたはボクのものだ」
にやにやとしながらさらに近付いてくる。
「嫌です!どうぞお引き取りを!」
ミーティアは拒み、逃げようとしたがそれも空しく壁際に追い詰められてしまった。
491:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:27:38 SnOZB1/i
「大丈夫、大丈夫だよ。言うこと聞いてくれさえすれば優しくするから」
「誰が…誰があなたの言うことなんて聞くものですか!」
けれども両手を壁に貼付けにされ、最早身を守るものは何も無い。舌を噛み切って死んでやろ
うかと思った時、チャゴスの背後から声が掛かった。「恐れながらチャゴス王子様。よろしければお召し物のお世話をいたしますが」
修道女がしずしずと近寄ってくるのをミーティアは絶望の眼差しで見遣った。
「お、おお。そうであったな。おぬし、気が利くじゃないか。
見れば美女なのに修道女とは勿体無い。どうだ、俗世に戻ってサザンビークに来ないか。寵妃
として望むままの生活を送らせて遣わすぞ」
「ほほ、王子様もお口が上手でいらっしゃいます。…では上衣を」
「うむ」
もう味方は誰もいない。ならば、と覚悟を決めたその時だった。
「……」
修道女が何事かを囁いたかと思うとチャゴスが突然崩折れたのである。驚いてよく見ると早く
も高鼾で眠り込んでいた。
「はあーっ、気色悪かった!」
初めてはっきりと聞いた彼女の声。いや、初めてではない。
「あなた…もしかして」
「そうよ、ゼシカ・アルバートよ。姫様、もしかして全然気付いていなかったの?」
ミーティアは唖然として彼女を見た。確かに茶色の瞳は彼女のものだ。しかし…
「よく、ここに…」
「全く、私もそう思うわ。だけどククールの指輪が役に立ったのよ」
「指輪?」
「ゴルドが崩壊した後、どこでもイ…じゃなかった、マルチェロから貰った騎士団長の指輪よ。
エイトと姫様が捕まった後、三人で善後策を考えたの。ヤンガスを看守に仕立ててエイトのと
ころに、私にシスターの格好をさせて姫様付きにして、危険があったらそれとなく守ろうって。
それで使えるかどうか分からないけど、そういう命令書を作って指輪で判を押してみたらあっ
さり通った訳よ。この服もあいつがどこかから調達してきたの」
492:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:28:14 SnOZB1/i
そう言ってゼシカはくるりと一回転した。
「まあ、いきなり『すぐに着るんだ』ってこれ出されて、シスターの服でしょ?どっかのシス
ターさんをたらし込んで身ぐるみ剥いで来たんじゃないかと思ったわよ。あいつの常日頃の行
いから考えて」
ゼシカの言葉にミーティアはつい吹き出した。
「そうそう、そうやって笑いを忘れないで。姫様が悲しい顔をしていたらエイトも辛いでしょ?」
その言葉にミーティアははっとした。
「エイトは?エイトは無事なの?まさか、もう…」
「エイトは無事よ」
先を言う勇気のないミーティアを引き継いでゼシカが答えた。拷問を受けている(酷くなる前
にヤンガスが何とか止めているらしいが)ことは伏せ、はっきりと言い切る。
「ただ、姫様を巻き込んだことだけ悔やんでいる」
「そんな!」
始まりはエイトからだったとは言え「もう一度」と願ったのは自分だったのではないか。それ
と知らずとは言え心の奥底で結ばれる願っていたというのに。
「もし姫様が自ら死を選んだりしたらエイトも生きていけないと思うわ。だからどうか、自棄
を起こさないで欲しいの」
「だってこのままでは…」
「大丈夫、ヤンガスが付いている。裁判にかかって正式に処遇が決まるまで滅多なことはさせ
ないって息巻いているわ。姫様も知っているでしょ?判決が下れば何人も手出しできないって
いう慣例を。
それに」
とゼシカは声を潜めた。
「エイトの力を持ってしたらどんな場所からだって脱出できると思わない?」
ミーティアはその言葉に顔を上げた。ゼシカと目が合うと彼女も「その通りだ」とばかりに力
強く頷く。
「エイトを信じてあげて。姫様はエイトの希望なのよ」
(続く)
493:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/13 22:42:04 EClJyicF
続きが
キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
494:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/14 01:30:07 bQOca+9Y
拷問キタ━(゚∀゚)( ゚∀)( ゚)( )(゚ )(∀゚ )(゚∀゚)━━!!!!!
うわー、ドキドキした。スゲェー!!
エイトカッコイイ!!
495:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/14 22:14:18 8p6Gy5kp
やっちまった!>>491の修道女ゼシカの台詞で改行忘れてた。_| ̄|○
…頑張ります。
496:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/14 22:49:09 UFmE06WA
>495
ドンマイ!
続きを楽しみにしているよ!
497:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/15 00:06:51 sgKOkgji
ワクワクテカテカ(AAry
498:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/15 00:56:56 lekeK42M
AA探してきたよー!
+ +
+ + + +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ドキドキワクワクテッカテカ
(0゜∪ ∪ + +
と__)__) +
499:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/15 21:29:36 rTLXvJuI
うお、テカテカになって待たれてるw
今回いつもより登場人物が多いのと下調べがいるのとで余計時間掛かってます。
お待たせして申し訳ない。
スリルとサスペンスに満ちた話になるように頑張ります。
500:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/15 21:40:26 rTLXvJuI
ついでに500Get!
今DQ小説スレ見てきたらDQ8小説12月発売だってね。
…主姫がラブラブっぷりを発揮していますように(-人-)…
501:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/15 21:51:56 ReSuPM0N
>>500
著者は誰だ?
小説スレへ逝ってくる
502:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/16 16:22:21 82IZOKND
fusianasan-hosyu
503:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/16 21:11:41 Ha3PpFvd
>>500
公式見てきた。小説スレのあれ、釣りだと思う。
504:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/16 22:08:03 Ngt6daKd
>503
スマン…うっかり釣られちまったよ。
でも小説時間掛かってるねえ。
それともこんなもんなのかな。
リアルタイムで買わない(古本で買ってた)からよく分からないんだけど、
昔はもっと早かったように感じるんだが。
505:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:25:19 AXMCFNzk
>>473-476、>>485-492続き行きます。
506:二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE
05/09/17 16:27:55 AXMCFNzk
3.Recordare
ミーティアに対する審問はそのままマイエラ修道院で行われることになった。トロデーン王女
という身分を考慮すると妥当な線だろう。なにしろトロデーンは北の大陸に、サザンビークは
西の大陸に大きな勢力を持つ。審理に多大な影響を与えるだろうということは容易に予想され
たからである。
審問を受け持つ教会側はそれを好まなかった。マルチェロによって引き起こされた混乱により
教会の権威は著しく失墜してしまっている。この審問を契機に王権に対する神の─ひいては教
会の─権威の優越性を誇示しようと考えていたのである。
「神は神の法によって人を裁く。俗権は口出しするな」
と言ったところだろうか。
審理がマイエラという両国の権の及ばぬ地で、かつ、全てを神の判断に委ねるという立場を教
会が取ったことにより、両国は横槍を入れ難くなったことは間違いない。
「それでは審問を開始する。被告は前へ」
裁判官もトロデーン、サザンビーク両国とは無縁の教会関係者から選ばれている。
「はい」
静かに、けれどもはっきりと答え、ミーティアは前に進み出る。そして跪いて裁判官の差し出
す手を頂いた。
「トロデーン王女、ミーティア・オブ・トロデーンであるな」
「はい」
判事は神の代理人である。抽象的な意味だけでなく、実際彼はどこだかの大司教だった。裁判
というものは元々教会の管轄であり、裁判官を始め弁護人まで全て教会関係者である。
「ここは神聖なる場所であり、そなたは真実の言葉のみを申すと誓うか」
「はい、誓います」
と型通り答えたところでミーティアはふと、小さな衝動に駆られ口を開いた。
「私は罪深い人間です。その罪を包み隠そうとは思いません。いかなる刑も受ける覚悟でござ
います」
ミーティアの言葉に判事は鷹揚に頷き、被告席を指し示した。
「そちらに座るように」
「はい」
507:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:29:18 AXMCFNzk
そう言って席に着こうとした時、はたと動きを止めた。弁護人の中に見覚えのある人影がある。
いつもと違う雰囲気だったのですぐにそれとは分からなかったが。
(……)
その人もそうだ、と言わんばかりに小さく頷いた。ククールだった。いつもの赤い騎士団の服
ではなく、黒い僧服に身を包んでいる。
ミーティアは口を開きかけた。が、ククールがそれを押し止める。
「冒頭陳述が始まります」
実はエイトも同じマイエラ修道院にいた。もっとも、ミーティアのような待遇は受けていなかっ
たが。審問があるから、と煉獄島から―ヤンガスとはそこで別れた―修道院の地下牢へと移さ
れたのである。
確かに審問にはうってつけの場所だった。罪人を拘束する牢、尋問室、さらに強情な罪人のた
めの拷問室まで揃っている。
(でもあのアイアンメイデンを使うことはないだろう)
とエイトは思った。拷問とは死を望ませるために苦痛を与え、審問官の望む答えを言わせるた
めの手段であり、拷問死はその苦痛から逃れる最も簡単な手段であったから。
エイトとてそれくらいのことは知っていた。王を守る近衛兵、時には手を汚さねばならない。
それは単に王の盾となって守ることを指すのだけではなく、秘密裏に王の敵を捕らえ、場合に
よっては拷問して自白を、それもこちらが望む答えを引き出すように仕向けるということも含
んでいた。
今、エイトの目の前にいる審問官は決して手を出すことはない。剃刀のような鋭い眼光で睨み
付けてくるものの、何かしてくることはない、と分かっていた。実際に拷問するのは自分たち
近衛兵のような俗吏だ、と。審問官は優し気な顔をして待っておればよい。罪人が自ら落ちて
くるのを。
508:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:31:21 AXMCFNzk
「仕方ありませんな」
今日何度目かの質問に対し、エイトがミーティアと共謀して大逆を謀ったことを否定したとき、
その審問官は言った。悲し気な表情を作って続ける。
「このままでは奥の部屋でまた不快な思いをしてもらわなければなりませんなあ」
そう言ってちらりと格子越しに奥の拷問部屋を見遣る。
「強情はよくありませんぞ。真実を話せば助かる見込みもあるというのに」
同情を装って溜息を吐く。
「僕が一方的にミーティア様を犯しました。彼女には何の咎もありません」
「嘘を言うな!」
一瞬審問官は我を忘れて怒鳴りつけた。そうか、そちらが地か。そう感じ取った途端、エイト
は気が楽になった。猫が鼠をいたぶるようにされるよりは単純な奴の方が御しやすい。
「前々から共謀しておったのだろう?ん?身籠った自分たちの子をサザンビークの玉座に就け
ようと?」
取ってつけたように猫撫で声を出したが、正体は知れている。
「違います。そのようなことは断じてありません」
「神の御前で嘘はいけませんなあ」
穏やかそうな言葉とは裏腹に「何もかも分かっておるのだぞ」とでも言うかのような鋭い目つ
きをする。
「嘘ではありません。あの夜、突発的にお付きの人々の制止を振り切ってミーティア様の部屋
に侵入いたしました。抵抗されましたが、強姦したのです。どこにも共謀の事実はありません」
望む答えを引き出そうとする審問官とミーティアを守ろうと決意を固めたエイトの視線が激し
く火花を散らす。
「…どうしても奥の部屋に戻りたいようですな」
大袈裟な身ぶりで審問官は両手を広げた。
「では、みなさん」
と部屋の壁に沿って立っているサザンビーク兵に向かって言いかけた時、
「お待ちを」
突然背後から進み出る者があった。
509:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:32:07 AXMCFNzk
「ずっと審問の様子を拝見しておりましたが、どうもこの者は物足りなく思っているようでご
ざいます。つきましては私めに奥での尋問をお任せくださいますよう」
チャゴス王子に従っていたフードの男だった。こうして見るとかなり身長がある。
「ほう、真実を語らせることができると?」
「御意」
男が一礼すると審問官は鷹揚に頷いた。
「よい。ではおぬしに一任する」
「はっ」
男がフードの奥でにやりとしたような気がした。もしや、の疑念と共にククールの言葉がエイ
トの耳朶に甦る。
「アイツの拷問は、キツイぜ?」
確かにその通りだった。
※ ※ ※
510:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:33:02 AXMCFNzk
審問が始まったが、サザンビーク側の陳述は混乱していた。ある時は全ての罪をエイトに帰し
てミーティアを無罪にしようという方向へ持って行こうとし、またある時は共謀して王位転覆
を狙った大逆で両者を死罪にしようとする。
(どうも解せない)
とククールは心の中で腕組みした。エイトの看守を外されたおかげで身体が空いたヤンガスが
仕入れてきた情報(出所はパルミドの情報屋だろう)によると、チャゴス王子はミーティアを
無罪にしてさっさと結婚したいらしい。そのつもりでサザンビーク城に部屋を用意しようと躍
起になっているということだった。
(誰が姫様の死を願っているのか?)
クビラウス王も違うと思われる。むしろ無罪にしてトロデーンの玉座が転がり込んでくるの
を狙っている可能性が高い。
(こうなると王が黙っていてくれることがありがたいな)
王は事件が発覚してからというもの沈黙を保ち続けていた。喧々と騒ぎ立てているのは周囲の
者ばかりである。
何となればクラビウスの手元にある指輪がエイトの命運を握っているから。あの指輪がエイト
を生にも死にも追いやる劇薬となるだろうことはククールにも容易に予想された。
エイトの出生を示すアルゴンリング。あの指輪を出され「サザンビークの王位を要求した」と
言われればまず間違いなく大逆罪となる。クラビウス王の兄の子であるエイトは、王位継承順
のみで言えばチャゴス王子より、いや、クラビウス王よりも正統性が高い。故にそれが明らか
になれば現政権にとっては直ちに抹殺すべき者になるであろう。
(しかしそれだけならばエイトだけでいい筈だ。なぜ姫様まで?)
ククールの疑問はいつもそこに辿り着く。チャゴス王子はミーティア姫の処刑を望んでいない。
恐らくはクラビウス王もであろう。では一体誰が?
511:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:34:27 AXMCFNzk
サザンビーク側の弁護人はいつも同じであった。元々サザンビーク王室付きだという神父は、当然自分の仕える王家の都
合を最優先にする筈である。
(待て、時々面子が変わっていないか?)
前回の審問で先方の論調が急にミーティア処刑の方に傾いた。その時のサザンビーク側に誰が
いたか。目深にフードを被って時折ちりちりするような殺意─敵意と言うにはあまりに鋭すぎ
た─をこちらに向けてくる男がいなかったか。
審問は論戦の場である。剣ではなく言葉で原告被告が戦っており、当然敵意が向けられること
もある。最初ククールは論戦の白熱するあまりの行き過ぎた敵意かと思っていた。しかしそれ
にしては鋭すぎ、それ以上に粘っこいものが絡み付く。
その感覚には覚えがあった。かつて自分に対する憎しみを隠そうとしなかった男。
(まさか…アイツか?)
異母兄、マルチェロ。聖堂騎士団団長にしてマイエラ修道院院長、そしてかつての法皇(教会
は躍起になって彼の存在をなかったことにしようとしているらしいが)。もしそうならば全て
に説明がつく。自分に向けられる殺意も、顔を隠すフードも。
(今までの遣り口を考えればそうに違いない)
現在、三人で話し合って決めたエイトとミーティアの身の安全を確保しようという策は分断さ
れてしまっている。ミーティアの方はまだ手出しされていないようだが、エイトは「審問に不
便」と煉獄島を出されてマイエラの地下牢に移された。この時に看守─変装したヤンガス─と
は離されてしまった。
ならば、とマイエラの看守に小金を掴ませてエイトに面会しようとしたのだがそれも叶わなかっ
た。マイエラはククールにとって自分の庭のようなものであり、看守の性格も熟知している。
ドニで飲む酒代にいつも事欠いていて、小金を渡せば面会程度なら融通の利く奴だったのに。
その上すぐにサザンビーク兵が地下牢の見張りに立つようになってしまい、エイトの消息を探
ることは事実上不可能になってしまった。いや、鉄の処女の抜け穴を使えば忍び込むことぐら
いはできるのだが、ミーティア姫の弁護団の一員である以上、不用意な行動は慎むべきことで
あった。
512:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:35:58 AXMCFNzk
(くそっ!)
心の中で兄の幻影に拳を向ける。もし予想が当たっているとしたらエイトの身が危ない。彼の
拷問は肉体的にもきついがそれ以上に精神的な打撃を与えてくる。どんなに強い人間であって
も思うままの答えを引き出すことができる程の。
エイトが精神的に脆弱だとは思わない。むしろ強靱だとククールは思っていた。だが身体を損
なわずとも精神を殺すことは可能である。そしてそれは強い精神であればある程危ない。望む
答えが得られるまで拷問は続くのだから。
(狙いは何だ!)
エイトの死か?オレへの意趣返しか?ならばなぜミーティア姫にまで手を出そうとする?ククー
ルの疑念は募る。
(このままではエイトが危ない)
ついにあの指輪を使わざるを得ない時が来てしまったのだろうか。エイトを死へと追いやる力
を持つあの指輪を。
※ ※ ※
513:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:37:08 AXMCFNzk
「何の用です?」
マイエラ修道院院長室に軟禁されているミーティアと、その身辺を修道女と身分を偽って見張
るゼシカの前にフードの男が現れたのは深夜のことだった。
「おやおや、ずいぶん威勢のいいシスターだな」
口の端に笑みを貼り付かせて男は二人に近付く。
「時間も遅うございます。どうぞ速やかにお引き取りを」
目の前のこの男は徒者ではない、とゼシカは緊張した。そしてさり気なくミーティアを庇うよ
うに前へ進み出る。
「…ほう、どうも見たことがあると思ったら。道理でおとなしやかな口調が上滑りな訳だ」
誰?とゼシカは疑問を感じたが、そのまま修道女のふりを続けた。
「ということはやつがここでも一枚噛んでいるということか?ふむ…」
一人ごちる男にゼシカは呪文を投げかける心積もりをしながらさらに問う。
「こちらにおわすはトロデーンの王女様でいらっしゃいます。無礼は許しません」
「…まあいい。せいぜい私の手の内で踊っているがよかろう。さて」
虚空に向かって呟いていた男が急に向き直る。ゼシカがはっと瞠目した瞬間、男は手刀で空を
切り裂いた。
「きゃあっ!」
裂けた空間がゼシカを襲う。そして戻ろうとする力が溢れぶつかり合い、ゼシカの周りで爆発
して身体を跳ね飛ばした。
「あ、あなた、マルチェ…」
「差し当たってお前に用は無い」
床に叩き付けられ呻きながらも起き上がろうとするゼシカに言い捨て、呪文を投げかける。と、
ゼシカは深い眠りに落ち込んでしまった。
514:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:38:35 AXMCFNzk
「さて、王女殿下」
あまりのことに声も出ず呆然と立ち尽くすしかなかったミーティアの前に男が立ちはだかる。
「お初にお目にかかり申す。もっともあなたのお仲間にはずいぶん邪魔をされたが」
フードをかなぐり捨て、男─マルチェロが恭し気に一礼した。
「あなたに目通りを許した覚えはございません」
震えながらもきっぱりとミーティアは答えた。
「ゼ、あの者に何ということをするのです。罪もない者をあのように傷つけるなんて。恥を知
りなさい!」
「ほほう、囚われても気位だけは王女のままと見える」
にやにやしながら近付いてくるマルチェロを避けようとミーティアは階下への階段へにじり寄る。
「人は皆、生まれながらに罪人でございます。ならば今の行為も何の咎めもございません。
ですが世の中には…」
ミーティアは身を翻し一気に階段を駆け下ろうとした。が、長い髪を搦め取られ、羽交い締め
にされてしまう。
「血によって至高の地位が約束されている者もいるという不条理があるのです。そう、あなた
様のように!」
抵抗しようにもものすごい力で締め上げられ、ミーティアは息をするのもやっとだった。
「そんな輩はこの手で一人残らず滅ぼしてやる。まずはトロデーンとサザンビークからだ。
裁判中の今は身体の一部たりとも欠けてはならんらしいが…」
声に笑いが混じる。
「次世代を断つことは可能だ」
次世代?とミーティアが疑問に思った瞬間、下腹部に激しい衝撃が走る。
「あ、な、た、…何、を…」
「念には念を入れるものだ。あなた方を処刑するとしても次の世代が生まれてしまっては台無
しだからな」
ミーティアの意識の彼方からマルチェロの嘲笑が不吉にこだまし続けていた。
(続く)
515:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:49:37 AXMCFNzk
注
マルチェロの台詞で「生まれながらの~」というものがあります。
キリスト教の原罪思想でも同じことを言いますが、本質的に別のものであることをご承知ください。
彼の中ではゼシカやミーティアに、ひいては王家に対する暴力行為を正当化する台詞ですが、
もちろんキリスト教ではそのようなことは認めていません。
いつも長々とすみません。
自分でもこんなに長くなるとは思ってもみなかった…
516:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 16:52:12 NcXDSRuJ
力作ですねー。凄く面白いです!
続きが楽しみ。がんばってくださいね。
517:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 17:21:58 6TzPh7UZ
姫の子宮が! 姫の子宮が!
518:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 21:13:23 AXMCFNzk
あっ、主姫萌えシーン今回全然ないし。
話の構成上次回もなさそうな悪寒。
…………_| ̄|〇
できるだけ早くそういうシーンに行き着けるよう努力します。
>516
なんだか風呂敷広げまくりになってしまいました。
いつもと毛色の違う話なもので力入っているかも。
>517
次回までお待ちください。
519:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 21:21:00 B2w6mWPE
念のため聞いておくが、
必然性があって痛めつけてるんだよね?
520:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 21:24:27 yBzOmHGq
いやー、面白いですね!こんなにワクワクしたのは久しぶりですよ。
お疲れ様です。続きを楽しみにしています。
でもこれを書くのは本当に大変そう。あまりご無理をなさいませぬよう…。
521:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 21:25:43 AXMCFNzk
>519
はい
522:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/17 21:44:21 AXMCFNzk
>520
もたもたしていたら!ありがとうございます。何より励みになります。
いろいろ本を読んで調べ物に励んでおりますが、そんなに難しいの読んでないしw
何より痛かったのは「あるきかた」買わざるを得なかった時だったり。
523:sage
05/09/17 22:36:29 lJUVRIMz
_ +
. + ,'´ .__ _ヽ. _ _ love +
i /メ))ヘゞ´, -、ヽ
(ソゞ(.^ヮ^ノ.川─ー!| +
+ K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl
U〉-l=ト!m)|ト-チiつ love
. love ./エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi!
|-/|-| んレ';_!_リゝ
524:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/18 11:56:55 ZFYV9PiK
最後には↑みたいにならないと納得しないよ?
525:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/18 14:14:38 v650qM8y
あのさー盛り上がってるとこスマンけど…。
確かに面白いんだけど…。
俺主姫大好きなんだがマルチェロも好きなんで
この展開は辛いな。
二人を結びつけるために他キャラを極悪化させるのは
避けて欲しいような気もするんだ。
原作設定での悪ならともかく、マルチェロってどっちかというと、
グレーっぽい位置づけなキャラなんだろ?
それがまるっきりの悪役として扱われるのはちょっと辛い…。
気持ち分かるとは言え、二人が罪を犯したことは事実なんだし…。
それを踏まえて安易な展開にはして欲しくないなあ、とも思ったり。
とは言え、続き楽しみにしております。
チラ裏っぽい独り言スマソ。
526:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/18 14:53:46 NvJLyvPB
マルチェロはどっちかというと黒幕って立場よりも
二人を助ける為に動いて欲しかったりして。
あっ!もしズバリだったらスマソ。
527:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/19 19:49:20 uY1c7Orv
主ゼシスレ落ちた…
AC発売祭で圧縮ペースが非常に速くなっている模様。
と言ってもいい話の種がある訳じゃないんだが。
突然落ちたりしないように気をつけて行きましょう。
528:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/19 19:52:00 Hd5bu9wX
圧縮でクリアリが落ちたが、主ゼシも落ちたのか・・・
529:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/19 20:04:10 oqxVgXUS
ここも用心しとこう…。
530:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 21:54:09 5Vy2WaT+
馬姫様萌え。
531:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 22:01:57 dKJCKkP4
>525
ご意見ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
ただ一言だけ言わせていただきますと、あの後あっさり改心して白マルチェロになる展開の方が安直に思えるのですが。
これ以上はスレ違いなんでこれくらいで。
>526
何かそれもいいなあ。
つーか外野で展開予想してる方が面白いんじゃないかって気がしてきたよw
532:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 22:20:17 GpqL+PJU
>531
マルチェロがED後、白になろうが黒になろうが、
それはあくまでもプレイヤーの自由な想像に任せられてるんであって。
一介のSS書きにすぎないあんたに「安直」だなんていいきる権利無いだろw
いっつも一言多いねあんたw
533:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 22:48:16 Te31pch1
別に言い切ってないじゃん
それにマルチェロなんて世界支配したかっただけの俗物だし
534:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:24:31 ovJpm5TK
自分のスレでもないのに、自分の作品へのレスにいちいちコメントつける作者は嫌われるってこと。
535:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:45:14 GpqL+PJU
感想にコメントつけるのは一向に構わんが、
他キャラを貶めるようなことは言って欲しくないね。
その必要も無いのに。
だから一言多いって言ってんの。
536:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:47:58 Te31pch1
だから別に貶めてないだろうが
どこ読んでんだ?
537:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:51:09 RckbBJTw
まあマルチェロは好きな人結構多いらしいから
538:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:55:03 GpqL+PJU
>536
お前こそよく読んでみろ。
SS中で思いっきり貶められてるだろうがw
539:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:59:39 Te31pch1
ゲーム中で悪だった奴をSSで悪として扱ってなにが悪いの?
つーかチャゴスのほうが酷い扱いなのにマルチェロに関してだけ噛み付くなんてただのマルチェロ厨かよ
マルチェロが悪く言われるのは耐えられないって?
540:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/20 23:59:51 ovJpm5TK
\\ \\
\\/ /○ \\/ /○
GIGADEIII― \| |. ―IIIIIIIIIIIIII― \| | ――IINNNNN!!!!!!
ο | |\. ο...| |\
. 人人人人人人人人人 //\.\. //\.\,
< トロデーン仮面参上!> | | | | | | | |
< 喧嘩両成敗だ!! > | ヽ//.. |ヽ//
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨ /\\;○, ./\\;○,
// | | // | |
_ | .|ο | | | .|ο | |
. ,'´ __ _ヽ. \\/ / ○。 \\/ / ○
. i.#/メ))ヘゝ \/ / ○゚ / \/ / ○゚ /
. (ソゞ(,▼0▼ ○。 | || 。/ / 。○, ○。 | ||。/ / 。
. 〔につフつ \ . | ||/ 。 / / \ . | ||/ 。/ /
. …ヤッテテ . 〉-l=ト! ○ 从 ○ 从从从 从 GpqL+PJU ○ 从 ○ / / 从
. ハズカシク ナイ? くエ_iイi_〉 从 从乂从从从从从 从从∧_∧从 从 从乂从从从从
人 |-/|-| ○ 从 ∧∧从从と⌒⌒つ."∀")つ从从 从从 ∧__∧Te31pch1
(;-_-) .  ̄  ̄ 从从 ("∀"と つ从从从从从○从と つ~∀~)つ从从
从从从从从从 从乂从从从从从从 从从从从 从乂从从
541:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/21 00:10:08 NIDUNsHR
喧嘩するなよw
いつもの◆JSHQKXZ7pEさんの作風とは一風変わったこの有り得なさ、
この世界観の無視加減、もうなんつーか、最高だと思うよ。
主姫スレなのに、チャゴスに拷問され、マルチェロに拷問され、
こいつぁ相当の問題作だぜ(*´Д`)!って感じっすわ。
続きを楽しみにしています。
542:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/21 00:15:58 0IbEHGS2
>541
喪前それ褒めてんのかww
543:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/21 00:17:29 0IbEHGS2
ここ見てる人の中でもマルチェロ好きは多いかもね。
マルチェロを黒とするか白とするか灰色とするかはそれぞれの感性の問題なので
ここで議論してもしょうがない。
>538が怒っているのは、作者が白とする=安直だと余計なコメントつけたりするからだと思うが。
そんなの人それぞれなんだから、さらっと流せよ。
544:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/21 01:04:53 9f+UUAKB
まぁまぁ皆の衆、茶でも飲んで一息つけ
旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦旦
旦 旦 旦 旦旦 旦 旦旦 旦 旦旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦. ∧_∧ 旦 旦旦 旦 旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦 (´・ω・`) 旦 旦 旦 旦 旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦. (o旦o ) 旦 旦 旦 旦 旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦. `u―u' 旦 旦 旦旦 旦 旦旦
545:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/21 17:37:53 Iq8XFoQf
ではお言葉に甘えて 旦~⊂(゚∀゚ )
SSの続きの投下待ってます(*´д`*)
546:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 18:54:17 7aK8dbvc
外野うるさいなーw
SSの続きが投下されにくくなっちゃうじゃないか。
楽しみに待ってるのに。
>>544
旦⊂一杯もらいます。
茶でも飲みつつまたーりしようよ。
547:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 19:30:38 jjXwbZsV
外野も何も、投下する人が自ら投下しにくい雰囲気を作っていれば世話ないわけで
548:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 19:55:16 /uxwE/mc
+ +
+ + + +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ドキドキワクワクテッカテカ
(0゜∪ ∪ + +
と__)__) +
549:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:20:03 72PUA+lZ
>>473-476、>>485-492、>>506-514続き行きます。
550:二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE
05/09/22 22:23:02 72PUA+lZ
4.Confutatis
「大丈夫か!」
翌朝、院長室の二人が何者かによって襲われたという知らせにククールがすっ飛んできた。
「ええ、私は平気。グランドクロスの後、眠らされただけだったから。でも姫様が…」
「腹を殴られたって?」
ククールの問いにゼシカは深刻な顔で頷いた。
「酷い痣になっているわ」
ククールも渋い顔になり、寝台で眠っているミーティアの方を見遣る。
「まさかとは思うんだが、その…」
微妙な問題に思い当たり、ククールが口籠った。
「流産したんじゃないかってこと?」
ゼシカがはっきりと言い切る。
「それはないわ。もしお腹に赤ちゃんがいたら大変なことになっていたと思うけど、ただ気絶
しただけよ」
「そうか…」
ほっとしてククールの肩から力が抜けた。
「でもショックだったんでしょうね。誰かに殴られたことなんてなかったでしょうし。姫様の
方が先に意識を取り戻して私を起こしてくれたんだけど、その後熱出しちゃって。休むのが一
番だと思ったから薬湯を飲ませてから呪文かけてぐっすり眠ってもらってるの」
「今までの疲れも溜っていたんだろうな。気を張っていただろうし」
「そうよね…」
図らずもゼシカの口から小さな溜息が漏れた。
「ゼシカも疲れているんじゃないのか?」
「んー…私は大丈夫。これくらい、旅に較べたらどうってことないわ」
「まあ、でも無理すんなよ」
「ありがとう」
551:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:24:48 72PUA+lZ
「で、疲れているところ悪いんだが…」
急にククールの口調が改まった。つられてゼシカも真面目な顔になる。
「やっぱりアイツか?」
「ええ、そうよ。名乗った訳じゃないけど、でも分かる。あの技を使うのはククール、あんた
とマルチェロしかいないもの。姫様も顔を見ていて、私の覚えている特徴と一致したわ。『背
が高く、黒髪で、額が広い』って」
「額が広い、ね…」
深刻な事態だったが、ゼシカとミーティアのあまりにはっきりした物言いにククールは込み上
げる笑いを隠せなかった。
「確かに生え際が危うかったよな、アイツ。新米修道士が陰口叩くときは『デコ』だったっけ」
言葉の中に懐かしむ色合いが混じる。
「でも何で今更こんなことをするの?ゴルドで全てを失って、新しい道を行った筈じゃなかっ
たの?」
「うーん…」
「姫様に言ったんですってよ、『王族なんて根絶やしにしてやる。まずはトロデーンとサザン
ビークからだ』って」
「変わってねえな…」
いらいらと歩き回るゼシカの背に呟いた。
「そうよ、まるっきり変わってないわ。ゴルドでぶった、あの大演説と全く同じ。あんなこと
があったのにどうして変われないの!?」
「それは違うな」
ククールの言葉にゼシカがきっと振り返る。
「どこが違うのよ」
「何かきっかけがあったから変わるんじゃなくて、本人が変わろうと望むから変われるんだ」
ククールの意見にゼシカは黙り込んだ。
「思い出してもみろよ。エイトたちと出会って旅をしたことは単なるきっかけに過ぎないだろ。
色々考えるようになって初めて、新しい方向へ進んだんじゃねえのか?」
「…たまにはまともなこと言うのね」
「まあな。色男にも脳みその欠片ぐらいはあるってことだ」
その物言いにゼシカは吹き出した。
552:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:26:10 72PUA+lZ
「まったく。その辺りは変わんないわよね」
「この辺りは習い性だからな」
にやりとしたが、急に真面目な顔になる。
「オレに対する憎悪もアイツの個性の一部だったんだ。あの時オレに助けられたことで自分の
あり方を否定されたような気持ちになったんだろうな。それが変わるきっかけになればよかっ
たんだが…」
「きっかけになるんじゃないの?普通は」
「馬鹿言え。人が変わろうとするのってとてつもなく力を使うもんだ。今まで通りやっていく
のが一番消耗しなくていいんだよ」
「そんなものなのかしら」
「そんなもんさ。ま、変わるきっかけを貰って変わろうとしたのかもしれないが、変われなかっ
た。変わり切る前にまた権力の匂いのする場所に近付いてしまって、自分の生まれに対する劣
等感を刺激されたんだろうな。それで戻ってしまった、と」
「よく分かるわね」
「まあな。生憎アイツとは兄弟だし」
ふん、と自嘲気味にククールは笑った。
「あの時何度でも止めてやる、って言ったし、変な野望は阻止してやるさ。エイトたちのため
にも」
そう言って眠るミーティアの顔を眺め遣った。呪文のおかげもあって安らかに眠っているもの
の、憔悴の色が濃い。
「で、エイトは?マルチェロが絡んでいるとしたら危ないんじゃ…」
「おまえ、随分心配するんだなあ」
笑いを含むククールの言葉をすっぱり切り落とす。
「馬鹿言わないで。エイトは大切な仲間よ。それとも何?嫌いな訳?」
「…ああ、そうだな」
仲間、そうだった。女とは遊ぶもの、男とはカモにするもの、と思ってきたククールにとって
エイトやヤンガスは全く異質な存在だった。
「好き嫌いの二択なら確かにエイトは好きだ。でもそんな生温い言葉で片付けたくねえ。背中
を預けられるってやつかな。ヤンガスもそう、ゼシカもそうだ」
「そうよね、私もそうだわ。恋愛云々じゃないのよね。明らかに質が違うもの」
「へえ?」
興味あり気にククールの眉が動き、先を促す。
553:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:28:21 72PUA+lZ
「お手軽な言葉で片付けて欲しくないって気持ち、よく分かる。村に戻ってお母様に旅の話を
していると『そんなに好きなら結婚すればいいじゃないの』って言われるの。でも、エイトは
大好きだけどそういうんじゃないのよね、不思議なんだけど」
「ふーん」
「だけど姫様は違う。エイトの近くに、もっともっと近くにいたい、離れたくないと思ってい
る。エイト以外は誰であっても置き換えできないくらい強く想っているの。もしあのことがな
くてそのままサザンビークに嫁いだとしても絶対上手く行かなかったと思うわ」
「そうかもな…でもあの時オレが唆したりしなければこんなことにはならなかっただろうと思
うと責任感じるぜ」
ククールの顔が曇る。
「責任を感じて暗くなる前にやってもらうことは一杯あるわ」
それを吹き払うかのようにゼシカはてきぱきと続けた。
「ここの警備をしっかりやってもらって、変な人は入れないようにしてもらわないと。後、旧
修道院の通路も塞がなくっちゃ」
「大丈夫だ。ちゃんと手を打ってきた。入り口は閉じておいたから、指輪無しでは入れない。
警備も騎士団の連中を焚き付けておいたし。後これ、服の下に着込んでおいてくれ」
そう言ってククールはドラゴンローブを取り出した。
「それ着ておけば呪文受けてもかなり楽になるだろ。あからさまに盾持っていたら怪しまれる
しな」
「助かるわ。ありがとう」
554:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:29:07 72PUA+lZ
「オレはこれからサザンビークまで行ってくる」
「えっ、何しに?」
「トロデ王からの密命があるんだ。それをクラビウス王に伝えに行く。ついでに指輪も貰って
くる」
「指輪?アルゴンリングのこと?でもあれを出したらエイトは…」
「ああ、大逆に問われることはまず間違いない。でも拷問だけは止めさせることができる。王
族待遇になるからな」
「でも…」
「あいつを薄暗い拷問室でひっそり死なせたくねえ。このままじゃ手詰まりなんだ。生きてこ
そ開ける道もあるっつーもんさ」
「…そうよね」
ククールの言葉にゼシカは頷いた。
「頼んだわよ。こっちは任せて。もう二度と遅れは取らないわ」
「おう。じゃ、行ってくる」
ゼシカとククールがぽん、と手を合わせる。
不敵な笑みを浮かべ身を翻すククールとそれを見送るゼシカは気付かなかった。寝台の中のミー
ティアの頬に涙が一筋、伝ったことを。
※ ※ ※
555:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:30:11 72PUA+lZ
サザンビーク城。西の大陸に大きな勢力を持つ大国のその要。巨大な城の奥まった一室にクラ
ビウス王は客を迎えていた。拝謁玉座の間ではない。トロデーンの使者とは言え密使の体裁を
取っていたため王の私客としてひっそりと招じ入れたのである。
クラビウスは困惑していた。トロデーンの密使─ククールはエイトのアルゴンリングを渡すよ
う、要請している。だがそれを公にすることは…
「駄目だ、あの指輪を出すことはできん」
首を横に振り、目の前の男に拒絶の意を示す。
「指輪はもう存在しない。王位継承者が何人もおっては国の礎が揺らぐからな」
きっぱりと言い切ったつもりだったが、ククールはそれが嘘だと見破った。エイトの持ち物で
あると同時に兄エルトリオの遺品である指輪を簡単に破壊できるような性格ではない、と。
「それは残念です」
一見引き下がったように思える言葉で受け、独り言のように続けた。
「と言うことはエイトはこのまま拷問死することになるんでしょうねえ」
案の定クラビウスはその言葉に飛びつく。
「拷問死だと!?そんな馬鹿な」
「エイトは庶民扱いですし、正式な手続きを踏まずとも闇に葬ることは可能なのです」
ここぞとばかりに押す。クラビウスの『サザンビーク王家の血の誇り』を刺激するように。
「庶民には正式な裁判など不要、という訳ですね。既にトロデーン近衛隊長の地位を失ってい
ますし」
「何と…」
クラビウスは絶句した。先にククールが予想していた通り、沈黙を保っていたのは兄の遺児た
るエイトの身を守らんがためだった。エイトの出生が明らかとなれば、王としてエイトの抹殺
を命じなければならぬ。現政権を守り、息子に王位を伝えるために。だが、兄の子を殺すこと
は躊躇われた。
「…少し考えさせてくれ」
そう言ってクラビウスは立ち上がり、窓際へと寄った。手の内には件の指輪がある。兄の紋章
が刻まれたアルゴンリング。だがその持ち主、贈り主共にもうこの世にはいない。ただエイト
の存在だけがかつて兄とその妻が在ったことの証だった。それを闇から闇へ葬ってもいいもの
だろうか。
556:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:34:28 72PUA+lZ
あの事件によってサザンビークの面目が潰されたことは確かではあった。何より二人の捕縛を
命じたのは自分自身であったから。だがしかし、拷問という不当な手段で兄の子の命を奪うこ
とは許し難かった。
「我が子に王位を継がせたい…」
クラビウスは絞り出すような声で呟いた。
「だが、兄上の子を庶民として扱うことは我が王家を侮辱することに他ならん」
ククールの方に向き直る。
「サザンビークの名に於いてエイトに正式な裁判を。以後、刑の執行まで不当に危害を加える
者はサザンビーク王家に対する反逆者として処遇する」
そう宣言して机上の羊皮紙にその言葉を書き入れ、署名して指輪と共にククールに差し出した。
「これを裁判官に」
「はっ」
ククールは一礼して受け取った。
「本当は…」
独り言を装って呟く。
「兄上の血を絶やしたくない…」
ククールはしかとその言葉を心に刻んだ。だが、口から出た言葉は王の立場を思ん諮って全く
別のものだった。
「エイトは、強い人間ですよ」
「うむ」
兄上の子なのだから、とひっそり心の中でクラビウスは続けた。
「今一つ、お伝えせねばならぬことがございます」
「何だ」
「はい。トロデーン国王にあらせられては……………ということでございます」
ごく低い声で辺りを憚るように伝える。
「何と」
意外な申し出にクビラウスは驚きを隠せない。
「それ故、あまり王女に執着しない方が政治的にも得策かと」
ここからは政治の問題だ、と意識を切り替えながらククールが畳み掛ける。
「それを考慮なさった上で、今後の裁判を進めますよう、ご忠告申し上げます」
557:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:35:27 72PUA+lZ
「成る程な」
落ち着きを取り戻したクラビウスはその真意に気付いた。
「トロデ殿も策士だな…よい、その点については選択肢の一つに入れておく、と伝えてくれ」
「かしこまりました」
一礼するククールから目を逸らしつつ、クラビウスは言った。
「私はサザンビークの面目を保つことを優先する。トロデーンの玉座を危うくしようとまでは
思っていない。だが裁判記録を読むとそのように仕組んでいる輩がいる気がしてならん」
最近チャゴスの様子もどうもおかしいし…と心の中で呟いた。以前は愚かな行動をすることが
あってもそれは底の浅いすぐに見破られる程度のものだった。あんなに禍々しい気配をしては
いなかった筈なのに。
「両者に公正な裁判を」
「はっ」
再び礼を取るククールに手を振って会談終了の意を告げる。それに答えるようにククールは部
屋を出ていった。
「…兄上そっくりだな、愛する女性の為なら命を賭けるなぞ…」
部屋の中の重い空気の中にクラビウスの呟きは消えていった。
※ ※ ※
558:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:36:45 72PUA+lZ
ある日、エイトは急に牢から出された。また尋問か、と思ったのだが様子が違う。
「どうぞ、こちらに」
どうぞ、なんて言葉など、ここに来て初めて聞いたような気がする。おかしいと思いつつも兵
士の後をついて行くと二階の騎士団団長室に案内された。
「結審までこちらにおいでください。ただし、自由に出歩くことはなさいませんよう」
やけに丁寧な言い方の兵士に促され、部屋の中に足を踏み入れる。と、そこに見覚えのある顔
があった。
「ククール!」
「よう、エイト。遅くなってすまなかった」
背後で扉が閉まる。鍵がかかるのを待ってククールが口を開いた。
「どうもアイツが関わっているらしいことに気付いてな」
「ああ」
ククールの異母兄、マルチェロ。ではやはりあの男がそうだったのかとエイトは改めて納得し
た。
「姫様の審問もサザンビークの思惑と違う方向に流れそうになったし、チャゴス王子もどうも
操られているくせーし」
確かにそうだった。煉獄島での彼の様子が今までと全く違っていたことを思い出した。王家の
威光を嵩に着ているだけの小心者だった筈なのに、別人と言っていい程邪悪な雰囲気を醸し出
していたことを。
「それで…それとこれとどう関係があるんだ?」
マルチェロの動向も気になったが、まずは待遇の激変ぶりが何なのかを解決しようとククール
に尋ねる。
「ああ、サザンビークから指輪が提出された。今後おまえはサザンビーク王家の血を引く者と
して扱われる」
「へ?」
状況がよく飲み込めなくてエイトは間抜けな声を出してしまった。
「だから、おまえの父方の血から王族待遇されることになって、拷問はされなくなったんだ。
正式に処遇が決まるまで身柄は教会の庇護の下に置かれる」
「そういうこと、か…」
説明を聞くうち、エイトは了解していった。自分の置かれた状況と、ククールが敢えて語らな
かったことを。
559:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:37:32 72PUA+lZ
「それで、ミーティアは…」
恐る恐る問いかけるとククールの表情が改まる。
「今、姫様の裁判の争点は三つに絞られている。大逆の意思の有無、侮辱の意思の有無、姦通
の意思の有無だ。このうち大逆の意思がなかったことさえ立証できれば死刑はあり得ない。こ
れはトロデーンから証人喚問すれば立証できる筈だ」
「あれは皆、僕がやったことなのに。そんなことをミーティアは考えていなかった」
「そうさ。何度も共謀して、というならあんなにはっきり敷布に証拠が残ったりしないからな」
にやりとしながら発せられたククールの言葉の意味するところにエイトは頬が赤らむのを感じ
た。それを隠そうと急いで続ける。
「で、でもそれで大丈夫なのか?それ以外の二つだけでも死刑になるんじゃ…」
「ああ、それはない」
とククールはあっさり言い切った。
「裁判には判例っつーもんがあるんだ。それにサザンビーク王もその辺りは望んでいない。ま
あ、任せとけ。ヤンガスから聞いたかもしれんが、死刑回避、婚約破棄の方向へ持って行くよ
うにする」
「…頼む」
ククールの言葉は都合が良すぎるように思えたが、今はそれだけが頼りだった。
「お前は今のうちに体力を回復させておけよ。やることはたくさんあるんだからな」
(続く)
560:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/22 22:50:41 /uxwE/mc
拷問コナ━━(;´Д`)━━イ!!!
561:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/23 01:22:25 YmBh1tg4
乙です。
チャゴス操られていたのか。道理でチャゴスにしちゃやるねぇ(*´Д`)とおもたよ。
おっそろしいクラビウスを期待してたけど、毒気がないオヤジでちょっと拍子抜けしたかな。
続きを楽しみにしています。
562:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/23 04:21:36 uKKWbHdL
本当に超大作になりそうですね。乙です。
これからの展開がどうなるのかと、激しく続きを楽しみに待っております。
563:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/23 23:12:13 lA9cYp7i
き、き、き、キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
続きがワクワクテカテカ(AA略
564:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/24 22:34:24 zcZaPRb3
>>473-476、>>485-492、>>506-514、>>550-559続きいきます
565:二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE
05/09/24 22:36:35 zcZaPRb3
5.Lacrimosa
青白い月の光に満ち溢れる部屋の中、私は一人立っていた。
先日結審して判決を待つばかり。ヤンガスさんやゼシカさん、ククールさんのおかげで私の死
刑は無くなった。でもエイトは…
自分の肩に触れてみる。あの夜幾度となく抱き寄せられた私の肩。行き着く先にはエイトの広
く力強い胸があった。
「エイト…」
あなたを呼ぶことももうすぐ虚しくなるのね。
確かに最初はエイトが奪ったのかもしれない。けれどもその後は互いに求め合った以上、同罪
になってしかるべきなのに。
大逆の意思がなかったことが証人喚問によって立証した後、古今の判例を虱潰しに調べて姦通
罪のみでは死刑は有り得ない、あるのは問答無用で離縁だけ、という証拠を提出してククール
さんは無罪をもぎ取ってくれた。外交的配慮からこの先死ぬまでの幽閉は決まっているけれど
も。でもエイトは…
恐る恐る指先で唇をなぞってみる。あの夜何度も交わした口づけは浸りたい程甘く、焼き尽く
されそうに熱く、死よりも深い絶望の味がした。今なら分かる、あの甘さは恋の叶う喜び、あ
の熱はエイトの中に燃える生命の炎、そしてあの絶望は二度と叶わぬ逢瀬故だったのだ、と。
「火が熱いのは、光り輝くため…」
今にして思えば、エイトがあんなにも熱を発していたのは命懸けだったからなのだろう。エイ
トの腕の中にあって私の身体もまたその熱が伝染したかのように熱を発し出したことを思い出
した。そのまま二人で燃え尽きてしまわないことが不思議なくらいに。
「火が燃え盛るのは、焼き尽くすため…」
虚空に消えていく私の言葉のようにあのまま燃え尽きて二人で灰になってしまえばよかった。
そして一つに混ざり合い、私でもエイトでもない物になってしまいたかった。
唇をなぞっていた指を離すと、一層寒々しかった。肩に腕を廻しそのまま強く自分を抱き締め
る。あの時のエイトを思い出して。
566:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/24 22:37:51 zcZaPRb3
ククールさんがエイトの弁護にも関わっていてくれるため、事情は少しだけ伝わっている。私
と違ってエイトには何の後ろ盾もなかった。審問もサザンビークの主導の下で行われている。
それ故に苛烈な刑を執行する方向になりつつあるという。エイトの持っていた指輪も無駄に
―いいえ、むしろ悪い方向に働いた。現王家に対する叛意ありと見なされ、大逆が確定したと
いう。
せめてもの救いはサザンビーク王の好意により刑一等減じられて火刑から斬罪になるだろうと
いうことだけだった。魂の飛び去るその瞬間まで苦痛に焼かれる火刑に比べれば、苦しみは一
瞬のこと。けれども…!
さらに強く自分を抱き締める。もっと強く、もっともっと強く。立っていられなくなって膝を
付き、冷たい床に蹲りながらも抱き続けた。エイトに死に遅れて、私はどうすればいい?同じ
罪を一緒に犯したのにどうして私だけ助命されるの?一緒に死ぬことすら許されないの?
忍び漏れる私の鳴咽は夜の静寂の中に消えて行くばかりだった。
※ ※ ※
もうすぐ全てが終わる。
自分の犯した愚かな行動の責を負って僕は死罪になる。いいんだ、それで。命一つで購えるも
のならばいくらでも投げ出そう。その覚悟はついている。
僕の後先を考えなかった行動によってミーティアの自由は永久に失われてしまった。トロデー
ン王女の称号は残されたものの、王位継承権を失い、どこかに造っているという塔に死ぬまで
幽閉されるらしい。トロデーンとサザンビークの体面を汚したということで。
体面を汚したのは僕の方だ!こんな運命に堕すためにあの旅をしたんじゃなかったのに。人の
姿に戻ってこの世の幸せを掴んで貰うための旅ではなかったのか。それを一時の快楽に負け、
嫉妬に狂って取り返しのつかない事態を招いてしまった。僕にもう少しだけでいい、想像力が
ありさえすれば、愛する人を屈辱と苦難の中に引きずり込むことはなかっただろうに。
「ミー…ティ…ア…」
567:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/24 22:39:26 zcZaPRb3
ヤンガスやククール、ゼシカまでも僕を助けようとしてくれている。有り難いとは思う。でも、
もう、止めて欲しい。生きたい、という浅ましい願いを抱いてしまうから。
大体、大恩ある陛下にまでご迷惑を掛けて、おめおめと生きていられようか。ご自分のただ一
人の子を自らの手で断罪させ、国の存続を危うくしてしまったというのに。身元の分からない
僕を城に置いてくれて近衛兵にまでしてくださった恩を、仇で返すような真似をしてどうして
顔を上げて生きていかれよう。僕にも恥を知る程度の心はある。
「ミーティ…ア…」
目を閉じればミーティアの姿が浮かぶ。それはあの夜の彼女ではなく、もっと子供の頃の姿ば
かりだった。
(これは、なあに?)
僕の掌に乗せられた物を不思議そうな顔で覗き込んでいる。
(セミの抜け殻だよ)
(まあ、初めて見たわ。じゃあこの中に今あそこで鳴いているセミさんが入っていたのね)
(うん、きっとどこかで鳴いているよ)
あれはきっと九つの時。蝉が大発生した年で、あちこちに落ちていた抜け殻を二人で集めたん
だった。
(十七年も土の中にいたのね…)
そう言って二人、不思議な気持ちになった。
(じゃあ次は、うーんと、十七たす九だから…僕たちが二十八歳になった時だね)
(何だかとっても先のことね。でも次の時も一緒に殻を集めましょうね)
(うん)
あれから十年も経たないうちに死ぬことになるなんて、思ってもみなかった。あんな些細な約
束、とうに忘れていることだろう。そしてこの先も思い出さずにいてくれることを願う。
ミーティア、僕はあんなことをしたことを悔いている。大逆の汚名を着せられることは構わな
い。むしろこの身に全てを負ってしまいたい。
僕が悔いているのは真白く無垢だったあなたを汚してしまったことだ。愛だ恋だと飾ってみた
けど、その内実は抱き締めて一つになり、自分の刻印を残したかっただけだったのかもしれな
い。ただ自分の想いばかりに性急で、あなたを思い遣ることができなかった。
568:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/24 22:42:43 zcZaPRb3
「ミーティア!」
覚悟はついている。でもあなたを想う度それは揺らいで命が惜しくなる。旅の途中、何度も強
敵に当たった。けれども一度だって怖いと思ったことはない。なのに今、僕の脳裏には懐かし
いトロデーン、ただ幸せだった頃のあなたの笑顔が浮かんでは心を掻き乱してくる。世界はこ
んなにも美しい、もっと生きていたい、と。
死ぬのが怖いんじゃない。だけどこんな時になってもなお、僕はあなたを恋い慕わずにはいら
れない。生きていたいと心の底から思わずにはいられないんだ!
※ ※ ※
ミーティアが終の住家となる場所へと出立して数日後、エイトにも判決が下った。
結論は既に決まっていたおり、審理は形だけ、体裁を整える為のものだった。仮にも王族の血
を引く者を無裁判で処刑することはできなかったからである。
判決が下り、審問場を出るエイトの前に立つ警備兵の斧が鈍く光る。その刃がエイトに向かっ
てかざされていた。
通常警備兵が刃を人に向けることはない。それは判決を受けた者が死罪であることを示す時だ
けだった。エイトがサザンビークの王位を狙い、現王家を侮辱した者として死罪である、と。
(続く)
569:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/25 00:39:54 O/PQWlHm
まだ希望を捨てていないわけですが…。
このSSは 「主人公とミーティアを応援するSS」 であると…。
とにかく乙です。続きを楽しみにしています。
570:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/25 00:41:06 vAl64QzQ
死ぬわけないよね主人公だもん。
571:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/25 23:04:27 liLrs6WT
感想どうもありがとうございました。
後二、三回で終わる予定です。
572:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/25 23:23:52 AAKhne0v
お疲れ様です!!
これからどう纏めるのかが楽しみです。
573:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/25 23:31:06 LawghxMP
>>571
頑張ってください!楽しみにしています。
関係ないけどとうとう最下層…
574:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 00:25:03 n1u5LB8B
続きが、続きが、
キニナル━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
>>573
変な厨に見つからないから、逆に都合がいいかと。
575:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 05:06:53 Na54iJNU
テスト
URLリンク(marmotfarm.com)
576:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 08:28:40 jeMNsaF8
p
577:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 09:04:43 5UGLuEeE
気持ち悪いスレ
578:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 15:01:40 vPCk5plt
厨はお前だ
579:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/26 23:15:51 87qzvmhe
最下層でいるのもなかなか難しいのう。
ageずにはいられない奴もいるみたいだしw
下の方でうろうろしている分には目立たないけど最下層は逆に目立つってことかもね。
580:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/27 00:18:55 cGj6ZwwF
落ちたりしないんだろうか…心配だ。ageたいよ~!
581:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/27 16:02:21 Li0FrF7f
>>580
>>576がageてるじゃん。
582:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/27 16:35:10 SrCL5eQf
圧縮でときどき適当な位置に浮上するから、sage続けても最下層にはいられないよ。sage進行で正解。
583:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/27 22:52:27 Y5gu3PTh
また圧縮かかったくせー。
…ま、このスレはほぼ毎日書き込みあるし大丈夫だと思うけどね。ageる必要も全くなし。
早くAC祭が終わってくれるのを待とう(後う○こ祭もw)。
584:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 19:48:01 bhLJd3Vr
さきほど初めて泉に到着。
かわええ(*´Д`)
しかも宿に泊まったらもう…(;´Д`)ハァハァ
ピザ王子氏ね
585:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 21:54:49 BzBmykAF
>>473-476、>>485-492、>>506-514、>>550-559、>>565-568
続き
586:二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE
05/09/28 21:57:06 BzBmykAF
6.Hostias
エイトの身柄はサザンビークへ移送された。王太子の婚約者を奪い、王統を乱そうとした大逆
者として自らの手で断罪したいとサザンビーク側が強硬に主張した為である。トロデーンとの
婚姻は破談になり、婚約者を寝取られたチャゴス王子の面目をせめて保とうという臣下たちに
よる配慮だった。
それでもこの処置に反対する向きがなかった訳ではない。明らかにされたエイトの出生を考え
た時、現政権に対する不満分子がその身柄を奪って王に刃向かうのではないか、と危惧する声
もあったのである。それを押し切ったのはチャゴス王子の(珍しく)強い意向が働いたからだ、
と言われていた。
そのチャゴス王子は今までと違ってやけに強硬な態度を示して苛烈な刑の執行を望むかと思え
ば、別の時はそんなことには興味を示さず、以前と同じく城を抜け出しカジノに行こうとする。
余りの豹変ぶりにお付きの人も首を傾げずにはいられなかった。
首を傾げると言えばミーティア姫への態度もだった。事件が発覚してすぐは
「あれは強姦されたんだ、姫は関係ない」
と結婚の意思を示していたという。しかしいつの間にか
「あの男と共謀してサザンビークの王位を狙っていたに違いない」
と言い始め、ミーティア姫も処刑せよと喚き散らす。しかし裁判が始まって反逆罪の論拠が崩
され姦通罪単独での処刑も有り得ない、という論調になって来ると一転して無関心となった。
それどころか城を抜け出してどこかに行こうとして父王に一喝される始末。
587:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 21:58:24 BzBmykAF
それでもエイトがサザンビークに移送されてくるとまた行状が改まった。一時期のように邪悪
な気配をして意見を強硬に主張する。その傾向は近くにフードの男がいると強まった。周囲に
してみれば、海綿のようにふにゃふにゃと定見なく遊び呆ける王子が、どのような方向にせよ
意思を強く示すようになったことはありがたかった。その上どこかに遊びに行ってしまうどこ
ろか、何と城内で勉強に勤しんでいるのである。これは大変喜ばしい事態だった。例え暴君で
あっても自らの行動に何の責任も持たずふらふらしてばかりの王よりは格段にましだからであ
る。それに暴虐な行動に出るのはあの事件に関わる事象だけであり、それ以外には及ばなかっ
た。それ故、
「あの事件は腹立たしいが、王子が変わるきっかけになったことは不幸中の幸いだ」
と周囲は噂し合ったのであった。
※ ※ ※
当のエイトはサザンビーク城の奥深くに閉じ込められていた。重罪人とは言え王家直系の血を
引く者、疎かには扱えない。本人に逃げる意思が有ろうと無かろうと別の反逆者に利用される
ことのないよう、厳重に監視されていた。
その夜、エイトの元に一人の来訪者があった。
「久しいな、エイト」
クラビウス王だった。
「はい、陛下にはお変わりなく」
とエイトが常に従って答えた。しかし話の接ぎ穂を失って互いに無言のまましばらく居心地の
悪い思いをしていると、微かな躊躇いの後、エイトが口を開いた。
「このような事件を引き起こし、貴王室、ひいては貴国の尊厳を脅かしたこと、深くお詫び申
し上げます。一命を以てしても償えぬことにも関わらず、ご慈悲を賜りましたこと、感謝の念
に堪えません」
静かな口調だった。しかしエイトの言葉を聞くうちにクラビウスは苛立ちを感じ始めた。その
様子をエイトは怪訝そうに見ていたが、続けた。
「大逆の罪は重く、火によってしか浄められぬところを斬罪に減弱くださったこと、お礼申し
上げます」
588:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 21:59:57 BzBmykAF
「礼を言われる筋合いはない!」
クラビウスは思わず大きな声を出していた。死を目前にしているのに落ち着いた物腰、拷問を
受けたにも関わらずそれを微塵も感じさせない強靱な精神、庶民として育った筈なのにどこか
気品のある様子、どれも自分の息子には未だ備わっていないものばかり。この青年が、ひいて
はその親である兄が妬ましかった。にも関わらずこの青年の命はもうすぐ消えていく、そのこ
とを悔やむ気持ちもまた真実であった。
「お前は恨まんのか。国を守らんが為にお前を犠牲にする私を」
何をやらせても常に優れていた兄。エイトはその兄にそっくりな目でこちらを真直ぐ見返した。
「国を守ることは国主の務めでございましょう。僕は罪を犯したのですから、罰を受けるのは
当然のことです」
「当然ではない!兄が王位を継いでおればお前が正統な王位継承者となっておった筈だ。この
サザンビークの玉座に座り、トロデーンの姫を娶ったのはチャゴスではなくお前だったのに、
なぜだ!」
激昂するクラビウスに対し、エイトは静かに答えた。
「僕はトロデーンの人間です。誰が何と言おうとも」
と。そしてちょっと躊躇った後、続けた。
「あの方を汚辱の中に堕しておきながら僕一人だけのうのうとしていられる程、恥知らずには
なりたくないのです」
クラビウスはすっかり失念していた。ククールからトロデ王の意向、ミーティア姫とその子孫
の王位継承権を剥奪するという方針を聞いてこの縁組に執着することを止めたからである。ト
ロデーンの玉座がサザンビークの手に入らないのであればこの縁談は何の意味も為さない、と。
「…あの姫故、か」
「はい」
エイトの目の中に強い光が揺らめく。クラビウスはふと、既視感を覚えた。それは二十年前、
城を出て行く兄の目に宿されたものであった。
「よろしい」
しばらく互いに無言であったが、クラビウスは常の様子に戻って言った。
「慣例に従い、死に行くお前の願いを一つ、聞こう。あれば言うてみよ」
「はい。ではお言葉に甘えまして」
とエイトは居住いを正した。
589:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:01:38 BzBmykAF
「先に申しました通り、僕はトロデーンの人間です。確かに生まれは違いますし、父祖の国は
貴国ですが。ですが物心着いてからずっとトロデーンが故郷でございました。死ぬ時はせめて、
トロデーンの方を向いて死にたいのです」
余程考え抜いたものだったのだろうか、エイトは澱みなく願いを述べた。
「…願いは聞き届けられた。刑は明後日、執行される。サザンビークではなくトロデーンの流
儀に従い、斧による斬首である。既に最も優れた斧使いを呼んだ」
「御配慮に深く御礼申し上げます」
エイトは深々と礼をする。クラビウスはその時覘いたうなじを物悲しい気持ちで見遣ったので
あった。
※ ※ ※
590:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:02:41 BzBmykAF
サザンビーク城は朝から物々しい雰囲気に包まれていた。城下町にも衛兵が立ち並び、街の人々
を威圧する。門も閉鎖され、城壁の外に出ることは不可能だった。さらに修復した北の関所も
厳重に閉鎖し、ベルガラック方面には兵を置いて人の通行を遮断していた。城の魔術師たちも
総出で移動呪文避けの結界を張り巡らす。王位継承権を持つ者の処刑を速やかに滞りなく遂行
するための処置だった。国内外の反乱分子に身柄を奪われないようにするために。
城壁の外に急ごしらえながら処刑台が設置され、流れ出る血を受け止めるための藁が敷き詰め
られる。小柄ながら大きな斧を持った男が慣例に従い覆面をして姿を現した。最後の祈りを捧
げるための神父を従えるかのようにして処刑台に昇り、受刑者を待
つ。
刑場はサザンビーク兵によって部外者を一歩たりとも近付けまいとびっしりと囲まれていた。
その中をさらに衛兵によって囲まれ、後ろ手に縛られたエイトが処刑台へと歩を進める。
クラビウスもチャゴスもこの場にはいない。刑の遂行を見届けるためなのかフードの男─マル
チェロが薄笑いをフードに隠しつつ見ているだけだった。
神父がエイトに最後の祈りを捧げた後、慣例によって処刑人がエイトに近付きごく低い声で処
刑することについて赦しを請うた。エイトもまた、例に習い「赦す」と答える。
「しっかりやってくれ。大して太い首じゃないから楽だとは思うが」
とエイトが言って台に頭を乗せようとした。
が、その瞬間、上空を大きな影が過る。何事かと皆の目が処刑台から離れ、空に向けられた。
「竜だ!」
「竜が出たぞ!」
衛兵たちはうろたえ騒ぐ。それを後目に処刑人が素早くエイトを縛る縄を切った。
「兄貴!」
ヤンガスだった。
「どうしてここへ!」
「あっしだけではねえでげす!」
上空を旋回していた竜が処刑台の近くに降りた。振り回される尾や吐き出される炎を避けよう
と兵は逃げ惑う。
「弓箭隊、前へ!」
それでもなお、その場を取り仕切る隊長には任務遂行の意思があったらしい。弓矢で竜を追い
払おうとした。が、鼻息から巻き起こる炎が飛び交う矢を焼き尽くす。
591:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:03:45 BzBmykAF
「あなたは…」
戒めを解かれたエイトが竜に近寄ろうとした。竜はそんなエイトに一瞥をくれると首を振って
くわえていた剣をこちらに投げて寄越す。
「グルーノさんでがすよ。さあ兄貴、剣を取るでがす!」
エイトは思わず受け取ってしまった手の内の剣を見た。旅の中、数々の武器を手にしてきたが、
これ程大きな力を感じるものはなかった。その力が自分に向かって語りかけている。
「どうしたんでがす?早く取るでげすよ!」
「…駄目だ」
剣は語り掛ける。我が主人よ、我が力を捧げよう、と。その言葉に従いさえすれば自分は比類
ない力を手にすることができると分かる。だがしかし!
「罰は受けなければ」
「何言っているんでがす!誰も兄貴の死ぬことなんて望んじゃいねえでげすよ!大体何でこの
剣がここにあるのか考えてみたんでげすか!?」
エイトは思い出した。竜神王の試練で得たこの剣を錬金してみようと釜に入れものの、出来上
がる前に暗黒神を倒してそれきりになってしまったことを。
「どうして…?釜はもう、城の宝物庫に収めた筈…」
「トロ…ゲフンゲフン、持ち主が完成させてあっしに託したんでがす。エイト以外の何者にも
この剣の主人にはなれん、て」
結果的に裏切ってしまった主君、トロデ王。憎まれて顔も見たくないと思われていも仕方ない
と思っていた。なのに自分がこの剣の主だと言ってくださるのか。
「さあ、剣を取るでげす!みんなの志を無駄にしねぇでくだせえ!」
処刑台の異変にも気付いたのか矢がこちらにも飛んでき始めた。その内の一本がヤンガスの頭
に真直ぐに向かっているのに気付いた瞬間、エイトの身体は勝手に反応し、踏み出して抜刀す
るや否や一息に切り飛ばす。
592:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:04:56 BzBmykAF
「すまなかった。もう迷わない、僕は剣を抜く!」
二の矢も切って落としながらエイトは叫ぶ。
「ヘヘっ、それでこそあっしの兄貴でがす。後ろは任せてくだせえ、逃げるでげすよ!」
処刑台の周囲はそれこそ立錐の余地なく兵が立っている。竜の出現に浮足立っているものの、
罪人が逃げようとしているのに気付くとそれを阻むべく押し寄せてきた。人波の向こうで竜が
―グルーノが「乗れ」と吠えている。そこまで十メートル足らずの距離。呪文は使えない、結
界があるから。この剣で道を切り開くしかないのだ。
エイトは剣を持ち替える。そこへ兵が槍を繰り出す。穂先を打ち払い、柄で槍身を殴って取り
落とさせる。その横でたじろぐ兵の胴に剣の峯を叩き込む。
「馬姫様の為にも犬死にしちゃいけねえでげす」
そうだ、生きねばならぬとしたらそれはミーティアの為。ただそれだけの為に血路を開く、と
エイトは決意を新たにする。
群がるサザンビーク兵の剣や槍を断ち切り―鋼さえも両断して刃毀れ一つなかった―場合によっ
ては人に刃を向ける。手加減しないと胴すら一瞬で断ちかねなかったが、何とか当座の戦闘能
力を失わせる程度の傷を与えて退かせる。背後のヤンガスも乱刃をかい潜り斧で武器を跳ね飛
ばしながらじりじりと竜へと近付く。二人の強さに兵士たちが退き気味になった時、
「そこまでだ!」
フードの男、マルチェロが立ち塞がった。
「お前らの相手をしてやる。さあ、かかってこい!」
邪魔なフードをかなぐり捨て、抜刀して間合いを詰める。エイトも緊張して身構える。迎え撃
とうとしたその時、
「うっ」
マルチェロの背後から光の刃が現れその首筋に当てがわれた。
593:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:05:59 BzBmykAF
「勘違いするな。あんたの相手はこのオレだ」
仮面で顔を隠しているもののその声はククールのものだった。
「雑魚は皆片付けたぜ。エイト、ここはオレに任せて逃げろ!」
そう、見渡せばいつの間にか兵たちはみな眠り込んだり混乱して同士討ちになっている。竜の
近くではローブで顔を隠した女がエイトたちに向かって得意気に手を振っていた。
「そうはさせるか!貴様なぞこの私には役者不足だ。逃げるだけが得意のうつけ者が」
「さあ、それはどうかな」
ククールはマルチェロの威嚇を鼻であしらい、「行け」とばかりに顎をしゃくる。
「貸し一つな!」
「…ありがとう、必ず借りは返す!」
もう敵はいない。エイトたちはグルーノ目指して一気に走る。その背後に打ち交わす刃の音が
重なった。
「最後にもう一回。ラリホーマ!」
顔を隠すように安らぎのローブを着たゼシカが起き上がり始めた兵たちに向かって呪文を投げ
掛ける。
「さっ、行くわよ、エイト」
再び深い眠りに落ち込む兵士たちには目もくれず、ゼシカは二人の手を取って身をかがめるグ
ルーノの背中によじ登る。その途端両翼が羽ばたいてあっという間に空高く舞い上がっていた。
「ククールは!」
「大丈夫、結界はもう壊れているわ。あいつならルーラで逃げられる」
「そうじゃないくて!」
「決着を付けたかったのよ。他の誰でもなく、自分の手でね」
「そんな」
「大丈夫でがす。ククールはやる時はやる男でがすよ。任せてやるでげす」
下界、もはや豆粒程の大きさになった二人が剣を撃ち合っている。と、片方が相手の剣を跳ね
飛ばした。その刹那誇らしげに日に輝くは銀色の髪。
「ほら、大丈夫だったでしょ」
※ ※ ※
エイトの処刑は失敗し、他愛もなく身柄を奪われたことにサザンビークは激怒し、追っ手を放っ
た。他国の声高な抗議もものともせず強引な捜査を各地で繰り広げる。しかしながらエイトと
その仲間の行方は杳として知れなかった。
(続く)
594:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:39:41 tPkfGmSm
>エイトは思い出した。竜神王の試練で得たこの剣を錬金してみようと釜に入れものの、出来上
>がる前に暗黒神を倒してそれきりになってしまったことを。
烈しくワロタw
色んな意味で意外な展開でした。ラストバトルにも超期待!
595:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/28 22:46:49 L1pWX+jr
ここまでやっちゃったら竜神族の里に引きこもるしかないんじゃ
596:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 05:45:59 i6Ljy0t7
>光の刃
>仮面
ライトシャムシールとファントムマスクかな。
内容はもちろんのこと、こういった装備を喚起させるような表現は武器マニアにはたまらんかったです。
597:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 10:22:33 BE7beI7c
トロデーンとサザンビークが全面戦争になり、サザンビークが敗北。エイトとミータンが
結婚して、トローデン=サザンビーク連合王国の成立。クラビウスとチャゴスは追放又は
死刑。
でどうでしょう。
598:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 11:03:17 CtNAi0bB
分かっちゃいたけど○の扱いが酷すぎるな…
嫌いなキャラなら出すなと言いたいよ
599:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 11:04:51 ykEwXTww
分かっちゃいたけど○厨ウザすぎるな…
嫌なら見るなと言いたい
600:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 11:24:25 dmjUgg0A
毎回楽しみに読んでる者なんですけどね。
このスレでは主人公とミーティアが見たいのであって、今回ちょっとククゼシ風味が強過ぎるなと・・・。
書いてくださってるのに申し訳ないけど、メインの二人が見れないと待ち遠しすぎるのよ。
601:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 11:49:03 4qZM5NuU
敵役は邪悪に徹するのも良い扱いの一つだと思うがなぁ。
<チラシの裏>
好きな敵役のトップ2がラオウとルカ=ブライトなんですが。
兄ちゃん結構良い線いってたけども一つ何かが足りんのだよな。
やっぱ指輪なんぞ投げずに弟の独白鼻で笑うくらいでないと。
</チラシの裏>
602:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 14:44:01 bPjdpRAv
>601
うむ、禿しく同意。
変に悔悛キャラにされるより徹底的にやってくれる方がいい扱いに感じる。
それでもってマンガなら見開き一ページまるまる使って死に台詞抜かしてくれるとかw
そういう意味ではかなり贔屓されてると思うぞ>マルチェロ
なんつーかどんでん返し多いから、結末どうなるのか気になる。
603:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 16:52:47 sIsZ/Ja3
こんな所にまでルカ様ファンが!
指輪は蛍みたいなもんだと思っている
マルチェロにはマルチェロなりの思惑があってゲームで主人公の敵になったんだし
それがゲーム後に続いてもおかしくない引きだった
正直JSH氏のレスのクセには前々から思うところがあったのだが
作風に関しては以前のバカップルオンリーより今回の方が世界が生きてて好きだ
二人をちょっと引いた広い視界で書いてて、
多分意識的に高めのハードルに挑戦してる感じ
まあ頑張れ。
604:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/29 23:41:01 4o2vCP74
感想どうもありがとうございました。
誤字、脱字が多く、大変申し訳ありません。
>596
当たりです。
605:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 14:55:17 LNJcwKFl
8主スレ落ちちゃった…
606:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 15:06:55 J3jJDMd/
落ちたね・・・。_| ̄|○
607:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 15:31:39 E5v9vBT3
4月 ユリマスレ落下
4月 キラスレ落下
4月 ヤンガススレ落下
5月 ゲルダスレ落下
5月 ゼシカスレ落下(8月に復活)
5月 ユッケスレ落下
6月 ミーティアスレ落下
9月 ククールスレ落下(即復活)
そして・・・
. _ シンサク ニハ カテナイカ…
. ,'´ .__ _ヽ
i /メ))ヘゝ /´ ̄、>
(ソゞ(;-_-ノ (,,=;= 、 i ショウガナイヨ
. K゙ヽY/ス i(´ヮ`;i_ノ キョネン ハ
U〉-l=ト!J と[.!∀__!,ゞ キミノセイデ オチタスレ モ アッタンダ…
/エ_iイi_〉 l_Å_∪
|-/|-| .じ.し'
 ̄  ̄
9月末日 8主スレ 落下
608:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 19:57:58 8kS0D12l
そ、そんな~っ(ノД`)ワーン!!
609:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 20:01:13 8kS0D12l
ヤン主スレも落ちてるーっ・゚・(つД`)・゚・
610:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/09/30 23:48:09 G9jSCwAn
まあまあ。このスレはこのスレで、皆でまったり守ろうぜ。
他のスレは他のスレ、このスレはこのスレだ。
それでも落ちてしまったなら、それだけの需要がなくなってしまった、それだけの事だ。
このスレの住人達がここを本当に必要としているなら…分かるだろ?
今まで通り楽しくやっていこうや。
611:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/10/01 01:20:35 cfofRzKj
ちなみに8主スレは9/28(水)の16時くらいの書き込みが最後だったよ。
今日の15時にはなかったってことは、丸二日ほっとくと確実に落ちるな。
気をつけよう。