05/01/07 14:24:25 Aul9rbk/
そう沈黙し合う2人であったが不意に背後から何者かに声を掛けられた。
敵か、と2人は素早く警戒の体勢をとったがその姿は敵とは思えぬ姿である。
その敵とは思えぬ姿、縫い包みのような物に乗っている猫は、2人に叫んだ。
「そこのお二人さん、ボーッとしとらへんで加勢してくださいな!」
何故ケット・シーがここにいるかと言うと、先程ケット・シーはすぐさまリュカに加勢しようとするため、城下町に向かっていた。
しかし城に出てすぐに、フレアスターによる凄まじい爆風、つまりジタンが城外に出るよりも前に再びアリアハン城に飛ばされ、そして今偶然キーファ達と鉢合わせしたというわけだ。
今まで互いに人がいることに気づかなかった理由は、全ては爆発の際に生じた硝煙であった。これにより互いに姿が今になるまで確認できなかったのだ。
そんな事も露知らず猫が喋った事に2人は口を開けて驚いたが、すぐに我に返りキーファがその言葉に答えた。
「そうしようと思ったんだけど、武器がないんだ」
「何いうとんですか、ボクだってありませんよ」
もっとも、ケット・シーはデブモーグリに乗っている限り武器が無くとも戦えるのだが。
「あ…そういえばまだ私の支給品見てないわ。もしかしたら貴方に役に立つ物もあるかも」
そう言って、リノアは袋の中へと手を入れた。
入れてすぐに袋の中から、何やら硬い物の手応えがあり、それを引っ張り出した。
しかしその引っ張り出した物を見て、2人は目が点になった。
379:加勢 5/6
05/01/07 14:25:07 Aul9rbk/
「………釘バット?」
その通り、そこにはビッシリと釘が打ち込まれたバットだった。
2人はそれを呆れがちに見ていたが、ケット・シーだけ反応が違っていた。
「おお、あんさん方運いいやなー、それ見た目はごっついですがそこらの剣より強いですよ」
その意外な言葉を聞いて釘バットに希望を持てたのかは分からないが、黙ってキーファに手渡した。
キーファはそれを黙って見詰め、
「……ハハ…まあ背に腹は変えられないよな…」
と苦笑混じりに言いながら釘バットを頂戴し、自分の袋に入れた。
事実、その武器はそこらの剣より確かに強いことを知らずに。
「えっと…他に何かあるかな…?」
再びリノアは袋の中に手を入れようとしたが、その行動は咎められた。
「ちょっと、こんなのんびりしとる場合じゃないんや、残りの支給品はあとで見とって下さい!」
そう言うとケット・シー(デブモーグリ)は強引に2人を掴んだ。
「え…お、おい!」
「きゃっ…ちょっと!」
二人の反対も聞かずに、ケット・シーは2人を掴んだまま駆けていった。
380:加勢 6/6
05/01/07 14:25:58 Aul9rbk/
【キーファ 所持品:攻略本 釘バット(FF7)
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】
【リノア 所持品:不明(2つ以内、何も無い可能性もあり)
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:リュカのもとに行く 基本行動方針:リュカを守る】
【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面
現在位置:アリアハン城門→クジャの場所へ
第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
381:修正
05/01/07 14:55:20 Aul9rbk/
>>376 2行目を
俺は間違えていたのか。やはりアイツは心底悪なのか…?
に修正します。
382:究極魔法 1/4
05/01/07 21:35:27 4vxWDAWR
武器防具屋を出ると、クラウドはレックスが走り去った方へと急いだ。
それにしても、先ほどの爆発の威力は凄まじい。
見渡す限りの建物は黒く焼け焦げ、ひどいものは崩れ落ちて原型すら無くしている。
さっき落ちた雷といい、この大爆発といい、どうもセフィロスの他に、誰か強力なマーダーがいるようだ。
しかもあの2人が斬られた時のセフィロスの動きからして、彼らは手を組んでいる。
だとしたら厄介な事この上ない。結界に守られているとはいえ彼らもいつまで大丈夫かわからない。
そのためにも、早くレックスを探し出して、彼らの所へ連れ戻して…
――!!
あと数百メートルで一部半壊した城へと到達しようとした地点で、クラウドは背後に気配を感じた。
閉ざされた氷のように冷たく、研ぎ澄まされた剣のように鋭く、魔晄に浸された魔物のように邪悪なあの気配を。
立ち止まり、ゆっくりと振り向く。
思った通り、そこにはあいつが立っていた。
ご自慢の正宗よりも短い刀を手に持ち、不適な笑みでこちらを見ている。
「セフィロス」
クラウドが呟くと、彼は村雨を構え、歯を見せてにやりと笑った。
383:究極魔法 2/4
05/01/07 21:36:36 4vxWDAWR
「会えて嬉しいぞ、クラウド。」
かつての英雄は、そう言って一歩彼に近づく。
「俺は全然嬉しくないがな。セフィロス」
クラウドもアルテマウェポンを構え、答えるように一歩前へ出る。
セフィロスのほかに、誰か潜んでいるようには感じられない。彼一人で現れたのは、余裕の表れだろうか。
暫くの間、そのまま2人は睨み合った。
互いに鋭い眼光で直視しあい、今にも千切れそうなほどに緊張の糸が張り詰めて行く。
冷たい夜風に煽られて木の葉が地面に落ちるのを合図に、2人は同時に斬りかかった。
ガギィィン、と甲高い金属音が響く。
「くっ…」
技量こそセフィロスが勝っているとはいえ、大剣アルテマウェポンの剣圧には流石に圧されてしまう。
彼が仰け反ったのを見計らい、クラウドが次の一撃を見舞おうとすると、セフィロスは横に大きく跳んで交わす。
チョコボに似た髪形の彼がそれに追いすがり、
再び大剣を振るうと、今度は村雨の切っ先をその刃に合わせて威力を殺した。
「な…?」
「図に乗るな」
訝るクラウドに冷たく言い放つと、セフィロスは彼の腹に満身の力を込めた蹴りを見舞った。
クラウドは数歩後ろに勢いよく飛ばされたが、空中で一回転して体制を整え、2本の足で着地する。
アルテマウェポンを片手で一回転させると、再びセフィロスめがけて突進した。
384:究極魔法 3/4
05/01/07 21:37:57 4vxWDAWR
セフィロスに走り寄る最中、クラウドのアルテマウェポンが金色の輝きを発する。
セフィロスにもそれが何を意味するか判っていた。恐らく、とうの昔にリミットブレイクしていたのだろう。
「超究!武神覇斬!!」
クラウドの怒号とともに、幾つもの斬撃がセフィロスを襲う。
剣風で周囲の木は残らず切り落とされ、民家は八つ裂きに切り刻まれていく。
だが―
「それがお前の切り札か?クラウド。」
当のセフィロスは余裕を湛えた、厭な笑みを浮かべながら、次々と襲い来る斬撃を軽々とかわしている。
最後の一撃を刀で受け止め、当惑したような表情のクラウドにむかって言い放った。
「この私に、何度も同じ技が通じるとでも?」
事実、セフィロスはかつてこの超究武神覇斬でクラウドに一度葬られている。
「言った筈だ。図に乗るなと!」
村雨にてアルテマウェポンを持った手を斬りつけて弾き、クラウドの胴体めがけて容赦無く斬りつけた。
濃密なワインのように紅い血が辺りに飛散し、悲痛な叫びを上げながらクラウドが地面に崩れ落ちる。
セフィロスは冷たい眼で彼を見下ろしている。
と、彼の喘ぐような苦しそうな息が、やがてせせら笑うような、気味の悪いものに変わってきた。
見ると、片手を肩にかけたザックの中に突っ込んでいる。
「…何を隠している?」セフィロスが警戒しながら聞くと、彼は「これさ」と答え、ザックの中の手をおもむろに引き出した。
瞬間、セフィロスは目を見開いた。
クラウドの手の中で妖しい光を放っている丸い玉は…間違いない。かつて自分も血眼になって探していたあれだ。
「お前、それを何故…」
「みんな、ごめんな。」
クラウドが最期の言葉を言い終えると同時に、黒マテリアが一層強い輝きを発した。
385:究極魔法 4/4
05/01/07 21:39:57 4vxWDAWR
かつてセフィロスが呼んだものよりも遥かに小さい隕石が、
しかしそれでもかなりの大きさの隕石が降ってきた。
クラウドが最後の力を使い、メテオを発動させたのだ。
慌てて跳び、場を逃れようとするが早いか、炎に包まれた巨大な岩塊がすぐ近くに落下した。
天を焦がす火柱が上がり、辺りの物全てが粉々に吹き飛ばされて行く。
爆風が辺りを叩き、隕石の破片や瓦礫が無数の投げナイフとなってセフィロスを襲う。
彼らが居た地点から半径数十メートルが完全に破壊され、灰燼と帰した。
「少し、驚かされたな。」
瓦礫の山の中から、セフィロスが姿を現した。
黒いコートは焼け爛れ、頭からは細い血の筋が垂れているが、メテオの直撃から逃れたのは流石と言うべきか。
体に刺さった細かい破片を抜き取り、火傷に湿らせた布をあてがってとりあえずの手当てを施す。
幸い大した怪我はしていないようだし、所持品にも目立った傷はない。
「まあ、お前にしては頑張った方じゃないか。」
彼はクラウドがいた辺りを一瞥し、歩き去った。
【セフィロス(HP1/2程度) 所持品:村正
第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【クラウド 死亡】
・メテオの攻撃範囲は割と狭いですが、爆発その物はかなり目立ちます。
・クラウドの所持品が瓦礫の中に埋もれている可能性があります。
386:修正
05/01/07 22:31:59 4vxWDAWR
>>382
クラウドが呟くと、彼は村雨を構え、歯を見せてにやりと笑った。
>>383
再び大剣を振るうと、今度は村雨の切っ先をその刃に合わせて威力を殺した。
>>384
村雨にてアルテマウェポンを持った手を斬りつけて弾き、クラウドの胴体めがけて容赦無く斬りつけた。
の部分の「村雨」を「村正」に脳内変換お願いします…
387:分裂の代償 1/4
05/01/08 03:11:09 kczY5N50
アリアハンの鳴動が図書館に届く少し前のことである。
「おいおい、こんな物もあるんだってよ…」
ジタンが本の一頁を指差し、キーファとリノアに見せた。
「分裂の壷…この壷は、入れられた対象の物質的性質をそのままコピーし複製を作り出す…」
「つまりどういうことだよ」
キーファが頭をボサボサ掻いて言った。
「つまり、アイテムをコピーするって事?一つのアイテムを二つに…」
リノアが口を挟んだ。
「多分そうだろうな」
「じゃぁ、キューソネコカミとか言う武器をそれで二つにすれば、いや、無限に増やせるじゃないか!」
「無理だな。一個の壷では限度があるし、入れたものは割らないと取り出せないらしいぜ」
一瞬で気落ちするキーファを尻目に、リノアは別の質問をした。
「分裂の壷なのに、分裂するんじゃなくてコピーするの?」
「あぁ…ここには、オリジナルとコピーの見分けがつかない為に分裂と呼んでも構わないから…と書いてある」
それを聞くと、リノアはもう一つ気になる事を聞いてみた。
「ねぇ、それって…人間もコピーできる?」
「さぁ…書いてないしなぁ…」
ジタンは少し腕組みをして考え、こう結論付けた。
「無理だと思うな。物質的性質をコピーするって書いてあるだけだから、このアツ~いハートまではコピーできないと思うな」
自分の心臓を指差し、ニヤリと笑った。
「もしコピーできても、きっとそれは…ハートが未完成だと思うぜ?」
「まさか、自分を分裂させようとか思う人はいないだろうけどな」
キーファの一言に、頷く3人だった。勿論、本当に自分を分裂させた人がいるなどと知らずに。
そして、直後に彼らを襲った爆音と振動によって、彼らはそれをすっかりと忘れることになった。
388:分裂の代償 2/4
05/01/08 03:12:18 kczY5N50
―それは突然の出来事だった。
クリムトは死亡者通知を一通り話した後、二人のアリーナと向かい合うように座った。
膝を抱え泣く二人のアリーナを見て、少し気を許した瞬間だった。
片方の―クリムトから見て右側だったと事以外もう一人と何の違いも無かった―アリーナが、いきなり顔を上げた。
そして、一瞬の間に彼女は立ち上がり、彼女の指は目の前に座っていたクリムトの両目を抉っていた。
「ぐ…がっ!」
「ちょ、ちょっと何すんの!」
クリムトの呻きともう一人のアリーナの声が重なった。
「何…何って、決まってるじゃない。生き残るために殺すの」
アリーナの声で、アリーナらしからぬ台詞を彼女は吐いた。
アリーナは(便宜上こちらを以降アリーナ2と呼ぶことにする)クリムトの目から指を勢いよく引き抜く。
ぼたぼたと滴り落ちる血とその中に落ちた眼球、倒れ顔を手で押さえて呻くクリムトを一瞥しアリーナ2はアリーナに対し話を続ける。
「あなたも一緒に闘わない?あたし達が力をあわせれば絶対にこのゲームに勝ち残れるよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
自分の分身であるはずの彼女の凶行に、まだ思考がついていかない。
「決断はお早めにね」
ケラケラと、アリーナ2は笑って見せた。
389:分裂の代償 3/4
05/01/08 03:13:18 kczY5N50
「さっきまであたしと同じようにしていたのに…!」
思わず本音が出た。自分と同じ様に動いてくれる分身だと思っていたのに、という本音が。
「あのねぇ。相手の隙を作ってそこを狙うって、基本中の基本じゃない」
狂ってる、とアリーナは思った。
これは自分の分身。それでも、まるで自分とは違う人物のよう。信じられなかった。
―ジタン曰く、ハートが未完成。
そして、分裂の壷が生物には向いていない事をこのとき初めて悟った。
「あたしはゲームになんか乗らないわよ!」
「わからないの?あたしとあなたが力をあわせればこのゲームに勝て…」
「冗談じゃないわよ!」
思わず声が裏返った。怒りで、自分への怒りで、今、一杯だ。
「あなたはあたしの分身だけど、あたしじゃない!今ここであたしと勝負して!」
「嫌よ。あたしは勝ちたい。勝ち残りたいの」
アリーナ2は当然とでも言うように胸を張って言う。
アリーナの声で、彼女らしくない冷静な声。
癪に障る言い回し。
「あなたに正義は無いの…!?」
「…あたしの正義は、勝利を得ること」
アリーナ2はまた高らかに笑って見せると、アリーナに背中を向けた。
「あなたに勝つ気が無いなら、あたし一人で他の奴ら片付けてくる。甘い考えに付き合っている暇は無いの」
言うなり、アリーナ2は走り出した。
クリムトに止めを刺す事無く、アリーナらしからぬ高笑いを響かせて。
運が良ければ最後に闘うことになるかもね、という捨て台詞すら吐いて。
390:分裂の代償 4/4
05/01/08 03:15:15 kczY5N50
「…何と言うことだ…ッ」
クリムトが、ようやく上半身を起こした。
「あっ…大丈夫!?」
アリーナが駆け寄る。
「う、む…眼をやられた…これでは動き回ることは出来まい…」
クリムトは二、三言呟き回復の呪文を自らにかける。
何度か繰り返すうちに血は止まったが、眼が見えるようになる訳ではない。
表情を―といっても眼が無いのだからそれはかなり制限されたものだったが―歪めたクリムトを見て、アリーナは決意した。
自分の罪は自分が償わなくてはいけないと。
しかし今は、この人の身を守らなくてはならないと。
闇の奥に消えた自身の分身を思い、深く溜息をついた。
【アリーナ 所持品:なし 第一行動方針:クリムトの安全確保 第二行動方針:アリーナ2を止める(殺す)】
【クリムト(両目重傷、失明) 所持品:力の杖、プロテクトリング 第一行動方針:不明 最終行動方針:ゲーム脱出】
【現在位置(共通):レーべ南東の山岳地帯近くの、南の森】
【アリーナ2(分身) 所持品:なし 第一行動方針:出会う人の隙を突いて殺す 最終行動方針:勝利する】
【現在位置:レーベ南東の山岳地帯近くの、南の森から移動中】
391:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/01/08 09:53:55 I43ZBgek
>>382-385は無効です。
392:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/01/08 12:32:37 a8xiF2A8
>>382-385は有効です。
393:修正@シノビーズ
05/01/08 14:51:18 G++f59hw
2/4
上のセリフ群はそのままで、以下を全改定。
不自然に堆く盛られた土。申し訳程度に添えられた一輪の花。
これが何を意味するのかは考えるまでもないだろう。
問題は、これが誰のために作られたものなのか。
その一点だ。
思案の末、二人は掘り返すことにした。
淡い希望と、押し潰されそうな不安を胸に。
最初に現れたのは腕だった。汚れてはいるが白くて華奢な―腕。
時が凍りつき、心臓を握られたような圧迫感が急速に押し寄せる。
もうやめたかった。―やめるわけにはいかなかった。
程なくして再会は果たされることとなる。
双方が望まぬ―残酷な形で。
3/4
支給品の~ → 支給品の水で顔と髪を洗い、こびりついた血は拭った。
埋葬を終えると → 再度の埋葬を終えると
394:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/01/08 17:07:41 NavrhJuF
修正>>390
アリーナ2の行動方針を修正です。
【アリーナ2(分身) 所持品:なし
第一行動方針:出会う人の隙を突いて殺す、ただしアリーナは殺さない
最終行動方針:勝利する】
395:Disaster 1/3
05/01/08 23:38:02 hKPV5wb4
「レックス!レーックス!!」
リュカは必死に息子の名前を叫んだ。
炎が支配する地を駆け、息子の姿を探す。
だが、城門も建物も崩れていく中で見付かるはずもなく。
目を焼くような激しい炎の中で、声が届くはずもなく。
轟音と炎が支配するのみ。
絶望と恐怖が支配するのみ。
「どこだ!どこだ!レックス!!」
『求めれば必ず会えます。しかし、大切なものを失います』
という言葉を思い出す。
大切なものを失うのであれば、この状況だろうと嫌な思いが駆け巡る。
その思いを抱いたまままた一歩炎の中に踏み出そうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「リュカさーん!」
ケット・シーだった。
リュカが会ったことがない人と一緒に走ってくる。
そして何かを話した後、ケット・シーだけこちらにやってきた。
「リュカさん!こんなんやと危なすぎます…離れましょ!」
「でも…僕の息子が!!」
「どちらにせよこの状況で探すんは自殺もんです!!冷静になってアレの犯人を「でも!!」
ケット・シーが最後まで言い終わる前に、リュカの声が遮った。
「でも……やっと…やっと会えたんだ!ここに来る前に!やっと……っ!!」
リュカの声には、涙が混じっているように思えた。
396:Disaster 2/3
05/01/08 23:38:47 hKPV5wb4
ケット・シーと男が何か口論している。
キーファ達が見ている映像からはそれくらいの情報しかわからなかった。
リュカを見るなり「ちょっと待っといてください!」と行って駆けてしまった。
そして今は口論。混乱させる状況を見事に揃えた敵には反吐が出る。
キーファが心底そう思っていると、リノアが話しかけてきた。
「ねぇ、中の物を確認したんだけど…」
「ああ…何が入ってた?」
「えっと…」
中に入っていたのは、茶色い木の杖に蒼い宝石を埋め込んだシンプルな物に盾。
説明書を見ると「賢者の杖」「ロトの盾」と書かれてある。
杖の方は高い攻撃力と癒しの効果を持ち、盾の方は持ち主を選び力を発揮する、と書かれてある。
「そういえば…持ち主を選ぶ装備があるって攻略本に書いてた様な……」
「じゃあこれがそうかな…通りで何か頼りなさそう……」
「真の持ち主がいれば良いわけだな。それも血が濃い奴」
「血……?」
キーファの話はこうだった。
持ち主を選ぶ剣は意思を持っているかの如くその力を変える。
どうやら持ち主の血脈に反応しているらしい。
かつて勇者の末裔が伝説の剣を持ってはいたが…それを越える剣が存在したという事例まであるらしい。
その装備を自在に操るには、その血脈が流れるもののみ。
あえて特別な事例を言うなら…その装備自体が力を貸してやろうとした時だけだ。
「信じられない話だけど…もしそうだとしたらこれは……」
「当たりかもしれないな。しかもかなりの値打ちものだ。あとこっちの杖も多分」
2人の会話はそこで終わった。ケット・シーが急いで走ってきたからだ。
名残惜しそうに、悔しそうに、息子がいる筈の場所を眺めながら走ってくるリュカと共に…
397:Disaster 3/3
05/01/08 23:40:35 hKPV5wb4
【キーファ 所持品:攻略本 釘バット(FF7)
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】
【リノア 所持品:賢者の杖 ロトの盾
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
現在位置:アリアハン城門→城外へ
第一行動方針:キーファ達と行動を共にする 基本行動方針:リュカを守る】
【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸
第一行動方針:ケット・シーと行動する 第二行動方針:レックスを探す
基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
※レックスは未だに生死不明です
398:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/01/09 18:09:01 OKC1tzJ8
PART3が立ちました。
スレリンク(ff板)