FFDQバトルロワイアル3rd PART2at FF
FFDQバトルロワイアル3rd PART2 - 暇つぶし2ch250:誤算だらけの現実と、予想外の結末 1/7
04/12/24 22:31:15 Dgmyd3mH
三人を硬直から解き放ったのは、空を焦がした火柱だった。
少しばかり離れた場所で、高く、高く炎が上がる。
「あれは……ピサロの呪文……?」
ソロの呟きに、ヘンリーが振り向く。
涙のせいで真っ赤にはなっていたが、瞳には明らかな理性と意思が戻っていた。
「あの騎士野郎か……って、待てよ。
 少し早過ぎないか? お前ら、あいつと戦ってたんだろ?
 ……それとも、アーヴァインが一人で向こうに行ったってのか?」
「それがね、ヘンリーさん」
ビビが説明する。あの時自分とソロを蹴飛ばした男は、すぐにどこかに行ってしまったということを。
けれども、ソロが使ったイオラが視界を遮ってしまい、結果ヘンリーを見失ってしまったのだということを。
「……ソロ。お前、バカだろ」
「まさかあんなにあっさり退却するとは思わなかったんですってば!」
ソロが抗議するが、ヘンリーは聞いていない。
「ともかく、そういうことなら向こうは騎士野郎とアーヴァインの総攻撃を食らってることになるな」
「そ、それって大変じゃない?」
うろたえるビビの肩を、ソロが叩いた。
「大丈夫、僕が行くよ。ビビ、君はヘンリーさんを頼む」
「え……ボ、ボクが?」
「ちょっと待て。普通逆だろ。俺がビビを頼まれるんじゃないか?」
「ヘンリーさんは怪我人だし、何事も無鉄砲すぎるんですよ。
 ビビの方が慎重で、魔法も使えるし、よっぽど頼りになります。
 いいですか、大人しくビビの言うこと聞いていてくださいね」
納得がいかん、という表情のヘンリーを背に、ソロは歩き出す。
その裾を、ビビが唐突に掴んだ。

251:誤算だらけの現実と、予想外の結末 2/7
04/12/24 22:33:28 Dgmyd3mH
「どうしたの?」
しゃがみこむソロの顔を、ビビはおどおどと見上げる。
「あの……アーヴァインってお兄ちゃん、どうなるの?」
「え?」
「アーヴァインってお兄ちゃん、ギルバートさんを殺した悪い人なんだよね。
 放っておけば、もっとたくさんの人が殺されちゃうんだよね……
 ……でも、本当に、殺さないといけないの?」
―ボク、どんな悪い人でも、誰かが死ぬのを見るのは嫌だよ。
ビビの言葉に、ソロは優しく彼の頭を撫でた。
「人殺しだからって、殺さないといけないなんてこと、あるもんか。
 例え人殺しでも、家族や友達の仇でも、敵対し続けた相手でも……
 あの魔女やエビルプリ―ストのような本当の邪悪以外は、僕は、殺さないよ。
 僕だって……誰かが死んで誰かが悲しむのは、もう嫌なんだ」
ビビはしばらくソロを見つめていたが、やがて小さくうなずいた。
遠くからエリアの声が聞こえる。
ソロは面を上げ、ターニアを背負って大きく手を振っている彼女の元へと走り出した。
 
カインは攻める。鍛えぬいた槍の技と、竜騎士だけが持つ飛翔力を存分に生かし。
ピサロに魔法を使わせる余裕を与えぬために、一瞬たりとて手を抜かず、攻めて攻めて攻め抜いている。
だが―敵もさるものだ。
反り身の刃で弾き、時には踊るように身を翻して、カインの攻撃を完全に捌いていた。
(まずいな)
カインは優れた戦士だ。だからこそ、わかる。目の前の男の技量がどれほどのものなのか。
今はまだ、精神的にゆとりを持つカインが戦いの主導権を握っている……が。
亡き親友に勝るとも劣らぬ剣の冴え。それに加えて、先ほど見せた魔法の威力。
純粋な実力では、間違いなくピサロの方が上を行っている。
(この機を逃して勝てる相手ではない……隙を見つけねば)
槍を構え、カインは宙へ飛ぶ。その視界に、唐突に青い輝きが生まれ出た。
ピサロの身体から湧き出すように。
「これは―?!」
戸惑うピサロに生まれた一瞬の隙を見逃さず、カインは流星となって疾る―

252:誤算だらけの現実と、予想外の結末 3/7
04/12/24 22:35:24 Dgmyd3mH
「許さない……あなただけは許さない!」
怒りに満ちた一閃をバックステップでかわしながら、アーヴァインは軽口を叩く。
「別にいいよ~。許してもらおうなんて思ってないし」
彼は笑いながら、闘牛と相対するマタドールのように、血染めのマントを大げさに振った。
完全な挑発だ。隙を作らせ、かつ動きを見切りやすくするための。
レナもそれに気付いてはいるのだが……だからといって、湧き上がる激情を抑えられるわけがない。
「ふざけないで!」
振り上げられた刃がアーヴァインの肩を捉えた。が、浅い。
「あーあ。着替えたばかりなのにな、このコート。コレ探すの大変だったんだよ?」
アーヴァインは真後ろに飛び退りながら、余裕たっぷりの表情を崩さずに笑う。
だが、決してレナを甘く見ているわけではない。
真実はその逆―動揺を悟られないために、精一杯演技をしているに過ぎない。
(何なのこの人!? さっきまでピーピー泣いてるだけだったのに、強すぎじゃない?)
感情に身を任せながらも、鋭さを失わない太刀筋。並みのSeedをも上回る身体能力と技量。
GFの力に頼らずして、GF装備者と同等以上の戦いを繰り広げる……
相手がソロやピサロなら、まだ納得できたかもしれない。
だが、正直役立たずとばかり思っていた女性が、これほどの強さを秘めていたとは。
(も~誤算続きだよ、さっきから。ま、仕方ないけどさ……)
「―全部が思い通りに行くなら、誰も苦労はしないよね。
 ほら、人生はいつだって問題と解決の連続だって言うしさぁ!」
レナと間合いを取ったアーヴァインは、あらぬ方向へ手をかざす。
同時に、少し離れた場所にいるピサロの身体から、魔力の光が浮き上がった。
「ドロー、ファイガ!」
アーヴァインの手に収縮した輝きが、巨大な焔となってレナに襲い掛かり―

『甘い!』

ピサロとレナ、二人の声が唱和した。
ピサロは無造作に手を振る。レナは剣を投げる。
そして放たれた真空波が炎をかき消し、投じられた聖剣がカインへと走った。

253:誤算だらけの現実と、予想外の結末 4/7
04/12/24 22:38:39 Dgmyd3mH
「くそっ!」
カインは槍で剣を弾き飛ばしたが、体勢を崩してしまう。
不安定な姿勢で着地した彼の目前に、ピサロが迫る。
避け切れない。カインが思った、その時―
「させないよ!」
暗黒の波動を乗せた矢が、天の群雲を弾き。
「―良くやった」
カインがにやりと笑う。
「良くやった、アーヴァイン」
殺人者の名を冠した槍は、ピサロの身体を深々と貫いていた。

レナが目を見開く。アーヴァインが勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
だが―当のカインは、槍を引き抜くと同時に宙へ飛び、大きく舌打ちした。
「まずい……アーヴァイン! 撤退だ!」
それだけを叫び、カインは身を翻す。
「え?」
アーヴァインは首を傾げ、レナと共にピサロを振り返った。
そして、見てしまった。
血のように赤く輝く瞳を。―氷のような怒りに満ちた、魔王の瞳を。

「あ……あ、ああ……」
レナががたがたと震える。アーヴァインは死人のように青ざめた表情でソレを見る。
もはや敵も味方も関係なく、二人は同じ事を思い、同じ事を悟っていた。
目覚めさせてはいけないものを、カインの一撃は目覚めさせてしまったのだ。
今、目の前にいるのは、宿屋で見張りをしていたソロの知人ではない。
あの時、宿屋に来るよう自分とエリアを説得していた男でもない。
人の姿をした絶望。死、そのもの。―『魔王』。
「報いを与えねばな」
竜に睨まれた蛙のように。立ちすくむ二人の耳に、静かな呟きが届く。
「然るべき、相応しき報いを、あの男に。……そして」
真紅の輝きが、アーヴァインの青い瞳を捉える。
「アーヴァイン。貴様にも受けてもらわねばならんな」

254:誤算だらけの現実と、予想外の結末 5/7
04/12/24 22:40:21 Dgmyd3mH
隣で聞くレナでさえ、身動き一つ取れないほどの威圧感と言い知れぬ恐怖を感じた。
まして、真正面から相対するアーヴァインは―
「うわぁああああああああああああああ!!」
絶叫と共に、トリガーを引く。生命力を暗黒の波動に変え、撃つ。
ピサロは避けなかった。矢は狙い違わず身体に突き刺さり、破壊の力を解放する。
それでも顔色どころか表情一つ変えない。
邪悪に、静かに微笑み、彼はゆっくりとアーヴァインへ近づく。
然るべき報いを。血ですら償えぬ罪を贖わせるための、然るべき報いを。
「来るな……来るな来るな来るなぁっ!」
追い詰められたアーヴァインが再び叫ぶ。
その腕がかすみ、弦の音が夜空に木霊する。
レナは見た。瞬きすら終わらぬ一瞬の間に、六本の矢がピサロを捉えたのを。
アーヴァインの全力のショットが、胸と喉と両手と両足を正確に貫いたのを。
けれども、矢は何事もなかったかのように呆気なく地面へと落ち、ピサロは歩みを止めなかった。
赤い光が邪悪に歪む。掲げられた白刃が、月明かりを怜悧に映し出す。
アーヴァインは見た。刀が真っ直ぐ自分に振り下ろされる、その瞬間を。
そして―彼の意識は、そこで途絶えた。

(僕は、死ぬのか? こんなところで。
 学園長にママ先生、キスティに……セフィ……
 みんなに会いたくて、みんなのこと守りたくて、それで、僕は人殺しになったのに。
 こんなところで僕は死ぬのか。……誰も守れずに……僕は、死ぬ、のか)
(寒い。胸が痛い。暗い。
 ここって天国なのかな? ううん、そんなわけないか。
 僕が行くのは地獄だよね。あんなに人を殺したんだからさ。
 ま、後悔なんてしないけど。そんなことしたら、殺した人に失礼だし。
 ……あれ、なんだろう。話し声みたいなものが聞こえる。
 何か言ってるけど、聞き取れないや……殺した人の声かな、きっと)
(胸が痛い。体が冷たい。寒い……風が、吹いてる。寒い)

255:誤算だらけの現実と、予想外の結末 6/7
04/12/24 22:41:18 Dgmyd3mH
―ピサロは冷たい目で、眼前に立つ男を睨みつけた。
「貴様も大したお人よしだな、ソロ。
 ―その男が何をしたかわかっているのか?」
天空の盾で刃を、緑の瞳で真紅の視線を受け止め、ソロは答える。
「ギルバートさんを殺した。もしかしたら、他にも殺してるかもしれない。
 ……でも、ここでアーヴァインを殺してどうなる?
 誰も生き返らない。死人が一人増えて、魔女が喜ぶだけだ」
その台詞に、レナはゆっくりとアーヴァインを見やった。
気を失って倒れたままの、自分より少し年下らしき青年を。
「こいつを生かした所でどうなる。後で死人が増えるだけではないか」
嘲笑する魔王に、勇者は言う。
「僕がさせないよ。誰も殺させないし、これ以上誰も死なせない」
そしてソロは最後に「竜の神様と、天空の勇者の名にかけて」と付け加えた。
「……何故、こんな人間に肩入れする? それほどの価値がある男か?」
ピサロの言葉に、ソロは(決まってるだろ)と言わんばかりの表情を浮かべた。
「どんな悪人だろうと、一緒に食事を取った相手に死なれるのは嫌だ」
「―前々から思っていたが、貴様は正真正銘の阿呆だな。救いがたいお人よしだ」
ピサロが呆れたように呟く。いつの間にか、瞳に宿る赤い光は消えていた。
だから、ソロは笑って答えた。
「ありがとう」と。

256:誤算だらけの現実と、予想外の結末 7/7
04/12/24 22:42:44 Dgmyd3mH
【ビビ 所持品:スパス
【ヘンリー(負傷) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:ピサロ達と合流するまで待機 第二行動方針:仲間を探す(ビビ)/デールを殺す(ヘンリー)】
【エリア 所持品:妖精の笛、占い後の花
【ターニア(右腕を負傷、睡眠中) 所持品:微笑みのつえ
 第一行動方針:レナを待つ 第二行動方針:サックスとギルダーを探す(エリア)/不明(ターニア)】
【現在位置:レーベの西】

【カイン 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:一時撤退 第二行動方針:ゲームに乗る】
【現在位置:レーベ→移動】

【レナ 所持品:エクスカリバー
 第一行動方針:エリアと合流 基本行動方針:エリアを守る】
【ピサロ(HP1/2程度、MP消費) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:ヘンリーたちと合流する 最終行動方針:ロザリーを捜す】
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング グレートソード  キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:ヘンリー達と合流 第二行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す】
【アーヴァイン(HP1/3程度、気絶) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能)
 第一行動方針:不明】
【現在位置:レーベの村、南側出口付近→レーベの西へ移動】

257:苦悩 1/3
04/12/25 03:09:00 mQz/Wbq7

もう、どれだけこうしているだろうか。
早くこんなところ立ち去りたい。
でも、いつまでもここにいたい、いなくちゃいけない、という気もする。

大小二つの小山を見つめ、アイラは溜息をついた。
死ぬべきじゃない人達が、死んでいく。
この山の下に眠る二人も、そう。
その悲しみ。その怒り。
きっと、それを味わう事無く過ごせた日々は幸せだったのだろう、と思う。

この数時間のうちで、誰もが、何か辛い体験をしたと思う。
この、隣で無防備に寝ている少女も、きっと、そう。
でも、彼女の心の声に耳を傾け、自分の心と向き合わせたとき、気づいた。
彼女の瞳にはちゃんと残っていた。
―誰かを正しく愛する心が。
彼女に信用されているということより、彼女にそれが残っていることのほうが、嬉しかった。

思わず、上半身を後ろに倒し、上を見上げた。
綺麗な星空に、満月。
血が染めていないのはあそこだけなのかもしれないと、そんなことを考えた。

あの日、自分が新たな人生を歩み始めた夜。
仲間達と、川辺で同じように寝転がって月を見上げていた。
あの時もそう。綺麗な星空、満月。
気持ちいい空気の中で、見上げていた。
今は、どこか違う。
同じように見上げているのに。
どこか、違う。

258:苦悩 2/3
04/12/25 03:10:09 mQz/Wbq7
「眠れないのか?」
急に後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにはマッシュが立っていた。
「マッシュ?スコールはどうしたの?」
二人を弔った後、男性と女性で寝る場所を変えようと提案したのはアイラだ。
この少女の不安を取り除く方法の一つだと思ったから。
「アイツは寝たよ。まだ若いから、しっかり寝ておかないと、な」
マッシュはちょっと寂しい笑いを見せると、アイラの隣にドッカと座り込む。

そう、マッシュも、スコールもそうだった。
目の前で、何も出来ないまま、大事な人の一人を失った。
―私も、そう。
―理不尽な罪悪感に苛まれる。

「ティナは、幸せだったのか…?」
マッシュは唐突に口にした。
「え?」
「いや。俺達には…わからないよな」
また、寂しげな笑いを見せる。

笑顔は子供っぽくて、怒った顔は熊みたいで…
きっと、そんな風だったのね?
でも、私が見ている彼は、泣き顔や悲しそうな顔、そして寂しげな笑顔だけ―

「そういえばアイラの話、全然聞いてないよな…?」
マッシュは不意にそんなことを聞いてきた。
「え…?」
「聞きたいんだ。アイラはどういう道を歩んで来たのか…」
マッシュは、アイラの目をじっと見ていた。
―彼の目に月が映りこんで、キラキラと輝きを放っていた。

259:苦悩 3/3
04/12/25 03:11:09 mQz/Wbq7
「いいわ。話すとちょっと長いけど…眠れない夜にはちょうどいいわね」



マッシュが静かに立ち去った後、スコールは静かに目を開けた。
やがて、マッシュとアイラの話し声が聞こえてきた。

皆、それぞれに苦悩している。
マッシュはそれを、アイラと話をすることで紛らわそうとしているのだろう。
そしてアイラも、それに応じることで紛らわそうとしているのか。
…自分はどうか。
寝たふりをして、マッシュがいなくなるのを待っていた。
一人になりたかったのだろうか。自分でも気づかぬうちに。
―リノアがいたら。
やはり彼女を、心のどこかで求めている。
マッシュとアイラの会話に背を向け、もう一度目を閉じた。
眠れる気がしなくても、そうしていたかった。

【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石
 第一行動方針:アイラの話を聞く 第二行動方針:ゲームを止める】
【アイラ 所持品:ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ
 第一行動方針:マッシュに話をする 第二行動方針:ゲームを止める】
【ティファ(睡眠) 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×5)、エアナイフ
 第一行動方針:不明】

【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
 第一行動方針:出来れば寝ておきたい 第二行動方針:ゲームを止める】 

【現在位置:東山脈中央部の森・川辺付近】

260:かつての思い出と今の現実1/3
04/12/25 04:44:44 r6fd4M5T
イクサスは山を下り、レーベの村へ向かっていた。
森の中は暗く、対象の植物を見つけづらいのと、毒薬の調合には、ある程度の設備が必要だからだ。
草をすりつぶしたり、加熱したり、乾燥させたり、溶解液を作るにあたって、支給品の着火器具や水では足りない。
それに、作れたとしても、液体状や粉末状の毒薬を直接持ち歩くわけにはいかないのだ。
できれば、入れ物も複数欲しい。

視界が開けてきた。レーベの村が向こうに見える。
「火事…」
おそらく戦闘が行われているのだろう。一段落するまでここで待つことにしよう。
と、袋が放置されているのを見つけた。食料も支給品もそのままだ。
紫の小ビンに、拡声器、あと、何かの説明書。それには、いくつかのモンスターの種族名が書いてあり、
【注:期限あり】とも書かれている。しかし、その説明にあたるアイテムは無い。それだけを持ち去ったのだろうか。

ふと、異臭を感じた。さきほどまで感じなかった臭い。
イクサスは思わず飛び退く。イクサスがいたところに、容赦無い一撃がたたき込まれた。
「くそっ、モンスターまでいるのか!」
腐った死体。体力と力が非常に高い上、痛覚がないため、倒れる直前まで攻撃を仕掛けてくるモンスターだ。
動きはのろいので、加速装置を使えば逃げ切れる相手だ。
だが、その腐った死体には首輪が付いており、その顔は…
「…スミス?」

261:かつての思い出と今の現実2/3
04/12/25 04:46:38 r6fd4M5T
イクサスの動きが止まる。そこ目がけて、スミスは腕を振り上げ、爪を立てて、振り下ろしてきた。
しかし、動きはゆっくりで単調なものだ。戦闘見学経験しかないイクサスでもかわすことができた。
「スミス、俺だ、分からないか!?イクサスだよ!」
スミスには何の反応も無い。まるで、人形のように無表情。
イクサスは先ほどマチュアの名前が呼ばれていたことを思い出した。
スミスにとって、マチュアの死は衝撃的なことだったに違いない。
「そうか、お前も…」
スミスは相変わらず無表情のまま、魔物の本能に乗っ取って襲いかかってくる。
魔物の姿はしていたけれども、強くて、気さくで、名物バカップルの片割れだった、かつてのスミスの面影はもうどこにもない。
イクサスは、加速装置をセットし、そこから凄まじいスピードで駆け出した。
スミスは追いかけることはしなかった。ただ、人間が一人去っていくのをうつろな瞳で眺めるのみだった。

262:かつての思い出と今の現実3/3
04/12/25 04:48:30 r6fd4M5T
このゲームで、大切なものを次々と失っていく気がする。
たった半日前に出会ったばかりの、リチャード、マリベル、ラグナ、エーコ、スコール、マッシュ、
みんな、ずっと昔からの仲間だったように思える。
キーファ、マチュア、スミス、ドルバ、彼らはみんな仲間だ。
でも、この半日の間に5人は死に、2人は裏切り、2人は自分の知らない姿になってしまっていた。
キャラバンで世界中を旅していたころに、リチャードと二人で話し合っていたときに、
ピクニックセットを囲んで談笑しながら3人の帰りを待っていたあのときに、できることなら戻りたい。
思えば、先ほど自分に襲いかかってきたスミスに話しかけたのも、思い出を取り戻したいと思ったからなのかもしれない。
でも、村で赤々と燃えあがる火柱や、血や、死体をみると、思い出はすべて幻想では無かったのか、
今までの生活すら偽物だったのではないかとさえ思えてしまう。

…幻想にふけるのはやめよう。今はあの4人を殺し、生き延びることだけを考えよう。それが、きっと死んだみんなへの報いとなる。
どうせ、ここには敵か悪人しか残っていないんだ。どんな方法で生き延びても、たとえ人を殺したとしても、みんなは許してくれるよな?

【イクサス(人間不信) 所持品:加速装置、ピクニックランチセット、ドラゴンオーブ、シルバートレイ、ねこの手ラケット、拡声器、紫の小ビン
 第一行動方針:器具調達&植物採集&毒薬作り 第二行動方針:ギルダー・アーヴァイン・スコール・マッシュを殺す/一人で生き残る
 ※戦闘はなるべく避けます  現在位置:レーベの村近く】
【スミス(腐った死体) 所持品:無し 現在位置:レーベ北東 行動方針:魔物の本能に従う(無心状態、理性無し)】

263:邂逅 1/3
04/12/26 02:11:07 8We04HHM
底知れない恐怖。
長らく感じていなかった死の恐怖。
それは自分を操っていたゼムス、そいつが憎しみが生み出した「もの」と対峙したときに感じた恐怖と似ていた。

いやな汗が背中を走る。
夜風に草が揺れてざわめいている。

ゼロムスという物体と戦っているとき俺は幾度も裏切りの衝動にかられた。
目の前にある恐怖から逃げ出したくなった。
俺が裏切ったのは本当に操られていただけだったのか。
途端に俺は自分が信じれなくなった。
だから俺は試練の山に篭った―俺自身の弱さを克服するために。

(…俺は変わっていなかったな。セシル。ローザ。過去を捨てて修羅の道を歩むと決めたのに、俺はこんなことで生き延びられるのか?)


…ふと、裏切ってしまった友に、そしてもういない友に、問いかけていlる自分が嫌になる。
ただ先ほどの『化け物』との圧倒的な戦力の差を見せ付けられるとといろいろと考えずにいられなかった。
カインはあの『化け物』は多分人外の者だろうと推測できた。
そしてこのゲームにあのような実力の者がいるという事実に驚いた。

(つまり、魔女アルティミシアはあれほどの者でさえも手中に入れられるということか…。所詮は俺は駒の一つでしかないわけだ。……どうも、こんな思索にふけっている場合じゃないみたいだな)

264:邂逅 2/3
04/12/26 02:11:57 8We04HHM
カインは前方から近づいてきた一つの気配に気づく。
そしてその気配が自分と同じような竜の気をまとっていることに気づき身構える。

「お主も気がついておるようじゃな。主もわしと同じように竜騎士であるか?」
気配の相手も身構えているようだった。

「…少し考え事をしていたとはいえ、俺に今まで気配を感じさせなかったとは相当の使い手みたいだな。そうだ、俺の名はカイン。竜騎士だ。」
「…!!お主はあのランスオブカインに名を残した伝説の竜騎士か!?わしの名前はフライヤじゃ。わしには戦意は全くないんじゃが、お主はどうなんじゃ?」

カインは竜騎士同士、力を試したかった。
そして彼女に対しては闇夜に紛れて相手を討つというまねはできないと思った。
だから、包み隠さずこう言った。
「悪いが俺は人を既に殺している。先ほども人を殺そうとしていた。どうも、お前の世界では俺が有名のようだが、こんな殺人者で悪かったな。とにかくお前とは一戦交えてみたい。同じ竜騎士として、そしてこのゲームの勝利者になるために!!」

フライヤは悲しそうな声で続ける。
「この状況をゲームといってしまうんじゃな。わしは戦う気はなかったんじゃが、どうもお主を止めなくてはならないようじゃ。剣しか持ってないのじゃが、仕方ないみたいじゃな。お主にもう一度正しい竜の気を纏わせてやらねば。同じ竜騎士として、そして一人の者として!!」

そういうと二人は同時に地面を強く蹴った。

265:邂逅 3/3
04/12/26 02:15:46 8We04HHM
【フライヤ 所持品:アイスソード えふえふ(FF5)
 第一行動方針:カインと戦って止める】

【カイン 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:フライヤと戦う
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】

【現在位置:レーべ南】

266:物真似の極意 1/4
04/12/27 19:49:28 3i1K8mcL
「私はパラメキアという場所の皇帝だった。
フッ、それももう昔のことだがな。
私は生まれつき強大な魔力を持っていた。
そして私はその力で皇帝になったのだ。」
皇帝は少しずつ話をし始めた。

ゴゴが続ける。
「わしは水没したウォルスの塔にいたのじゃ。
ちッ、ちッ ちッ、それもやつらに免許皆伝するまえのことじゃ。
わしは性格上人の真似しかできなかったのじゃ。
そしてわしはその力で溺れ死にかけたのじゃ。」

「ははは、お前は本当に物真似師というものみたいだな。
私はその強大な力で世界征服を目論んだんだ。
しかし、私の野望は四人の若者によって挫かれたのだ。」

「ははは、君は本当に凄い魔力もってそうじゃ。
わしはその性格の力を強めるためにウォルスの塔のクリスタルのかけらを手に入れることを目論んだんじゃ。
しかし、わしの野望は四人の若者によって挫かれたのじゃ。」

267:物真似の極意 2/4
04/12/27 19:50:13 3i1K8mcL
「なんか鏡に向かって話しているみたいだな。
私はその後地獄で悪魔に魂を売ったのだ。
そして、より究極の力を得て蘇った。
しかし、そのときにはもう破壊への欲望しかなかったんだ。
いやこう言うと語弊があるかもしれんな。
私は地獄に落ちる前に既に悪魔に魂を売ったも同然だった。」

「なんか皇帝とは程遠い一般人に向かってはなしているみたいじゃな。
わしはその後まいったんじゃ。
そして、やつらに物真似師のジョブ与えてさらばした。
しかし、そのときにはもう生への欲求しかなかったんじゃ。
いやこう言うと語弊があるかもしれんな。
わしは負ける前に既に物真似を放棄していたも同然じゃった。」

「一般人か…そうだな、あの力をもっと違うことに生かしていたらよかったかもな。
魔女アルティミシア…やつもまた魔力に溺れたものであろう。
此処に居るのもあの頃の自分を止める代わりに奴を止めろということなのか…?」

「鏡か…そうじゃな、この力をもっと違うことに生かしていたらよかったのかも。
………わしみたいな力に溺れた奴いないな。
むしろわしが溺れかけた。
此処に居るのも君みたいな人の物真似をして奴を止める手助けをすることなのかもね。」

268:物真似の極意 3/4
04/12/27 19:52:56 3i1K8mcL
「クッ、これが魔女の魔力か。
私も竜巻でいくつもの街を破壊したが、このように離れた場所からも力を行使できるとは!
果たして私の魔力はどこまで通用するのだろうか。
とにかく、奴に私を生き返らせた理由を直接聞こうとしよう!」

「わたーしの名前 ゴゴ!
もーのまねー 名人よー もーのまねーの ごくいは……
まねするーこと だから わたしーは きみーが やること まねーするよー
奴を止める には 奴を止めるで 聞くにはには聞くでこーうどうー!
わたしーが まねー すれば かならず かてるよー」

夜の静寂ににゴゴの歌声が響き渡った。

269:物真似の極意 3/4(修正)
04/12/27 19:54:11 3i1K8mcL
その時地面が大きく揺れた。

「クッ、これが魔女の魔力か。
私も竜巻でいくつもの街を破壊したが、このように離れた場所からも力を行使できるとは!
果たして私の魔力はどこまで通用するのだろうか。
とにかく、奴に私を生き返らせた理由を直接聞こうとしよう!」

「わたーしの名前 ゴゴ!
もーのまねー 名人よー もーのまねーの ごくいは……
まねするーこと だから わたしーは きみーが やること まねーするよー
奴を止める には 奴を止めるで 聞くにはには聞くでこーうどうー!
わたしーが まねー すれば かならず かてるよー」

夜の静寂ににゴゴの歌声が響き渡った。

270:物真似の極意 4/4
04/12/27 19:55:11 3i1K8mcL
「………。」
(俺様でも夜は寒い…。
早く上の人たちどいてくれないかな、はあ。)

さっきの地震がブオーンの身震いだったのは秘密だ。

【マティウス
 現在位置:レーベ南西の山脈地帯(ブオーンの背中)
 所持品:ブラッドソード
 第一行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非交戦的だが都合の悪い相g手は殺す】
【ゴゴ
 現在位置:レーベ南西の山岳地帯(ブオーンの背中) 
 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
 第一行動方針:マティウスの物真似をする】
【ブオーン 現在位置:レーベ南西の山岳地帯に同化中 所持品:不明
第一行動方針:動かずやり過ごす】


271:事態の好転1/3
04/12/27 22:47:51 0b3d6liO
「おいおい…ここでも戦闘か。うんざりするな。」
独り愚痴りながら目の前で行われている戦闘を物陰から眺める。
戦っているのは3人。骸骨の魔物に、白コートの青年と剣と盾を構えた子供だ。
傍から見ると、骸骨のほうが優勢だ。力で強引に二人を圧倒している。
先ほど戦闘したばかりだし、ずっと走ってここまで来たのでなんとかやり過ごしたい。
俺はそう思い、民家のドアに手をかけた、筈だった。
俺がノブに手をかける瞬間、ドアがいきなり開き、中から金髪の女性と緑色の服を着た少年が跳ぶように出てきた。

ドアを開けたら、すぐ目の前にチョコボのような髪型の男が立っていた。
男は私達を認めるや、肩にかけてあった巨大な剣を構え、バックステップで後ろに下がって私達を睨みつける。
―戦い慣れしてる。
彼の動きを見て、私はすぐにそう思ったわ。
私達を見た時の反応速度。その後のステップの速さ。付け入る隙を全く見せない、油断の無い構え。
どれをとっても並みの戦士とは違う冴えだ。
私ももっていた杖を構えて、パウロと共に数歩後ずさる。
接近戦に持ちこまれたら勝ち目はないけど、魔法主体の戦いにできれば勝機は―
「俺は戦いには興味は無い。」
「…え?」
地面に剣を置きながら言う彼に、呆気に取られて声を上げる。
「俺はこんな狂ったゲームに乗るつもりは無いし、あんたらと戦うつもりもない、そういうことだ。」

272:事態の好転2/3
04/12/27 22:49:17 0b3d6liO
―戦い慣れしてるな。
少年のほうはともかくとして、女性の動きを見て彼はすぐにそう思った。
向こうから襲ってくると言う気配もないし、さっきの奴と違って正常なようだ。
できるなら戦闘は避けたい。
敵意が無いことを告げると少し呆気に取られたようだったが、やがて「あー…名前は?」と切り出した。
「…クラウド。クラウド・ストライフ。自称元ソルジャーだ。」
クラウドが名乗ると、「自称元ソルジャー」という響きにまたも呆気に取られたようだが、やがて
「私はセリス。セリス・シェールよ。」
と名乗り、「それより」と続ける。
「ね、貴方は実戦の経験もあるようだし、一緒にあの怪物を」
「俺はそれをしたくないから建物の中に隠れようとした。」
セリスの頼みを聞かないうちに、クラウドはぴしゃりと返した。
「彼らが負けたら、今度は貴方が襲われるかもしれないのに?」
彼女はなおも粘る。
「いい?見ればわかるけど、あの二人は怪物に押されてるわ。
 でも私達3人が加勢すれば、戦況は5対1。無勢に多勢なら、きっと勝てる!だから協力して!」
かつて崩れ去った世界に絶望したギャンブラーに再び希望を持たせたように、辛抱強く続ける。
「それと、ゲームに乗らないつもりなら仲間にならない?
 あの2人も恐らくそうだろうし、私達が協力すれば仲間に引き込めるだろうし。」
どう?決して悪い話じゃないと思うけど?とセリスは締めくくった。
(仲間、か…)
確かに、彼女の言う通りだ。
自分と同じように非好戦的な仲間はいればいるほど心強い。
それになにより、今戦闘を繰り広げている骸骨は明らかにマーダーだ。狂った光を湛えた目がそれを語っている。
下手に野放しにしたらクラウドの仲間にも危害を加えるかもしれない。
「負けるね。あんたには。」
ならば、答えは一つ。
「いいぜ。俺も手を貸そう。」

273:事態の好転3/4
04/12/27 22:50:33 0b3d6liO
畜生め。
剣で化け物の魔法を振り払いながら、サイファーは独りごちる。
ガキが加勢に入ったのは助かったと言えば助かったが、戦局はあまり変わっていない。
もちろん、ガキが弱いわけではない。自分で「勇者だ」と名乗るだけあって筋も通っている。
ロザリーの方ももう一人の方のガキと一緒に居たトンベリ(なんでトンベリ?)が守っているから心配は要らなくなった。
だがそういう細かい事抜きに、目の前の化け物が強すぎるのだ。さっきにもまして攻撃の威力が上がっている。
「ぬるいわ、小僧どもめが!」
化け物が怒鳴り、派手な剣の一閃で2人はまとめて吹っ飛ばされた。
サイファーは民家の壁に半ばめり込むように衝突し、レックスはそのすぐ近くの地面に投げ出される。
サイファーが顔を上げると、誇らしげに化け物が立っていた。
「こんどこそチェックメイトだな。小僧…」
全身を走る痛みのせいで動けない、ガキの方を見るが、気絶しているらしくぴくりとも動かない。
ロザリーの「サイファーさん!」という叫びが聞こえるが、どこか遠くから響いているように聞こえる。
余裕ぶった化け物が得意げに手を上に掲げるのもやけにスローに見える。
畜生、ここで終わりなのかよ。畜生…
らしくもなく諦めたような言葉が頭をよぎる中、化け物は魔法の詠唱を完成させつつあった。
「…死「ファイガ!!」

274:事態の好転4/5
04/12/27 22:54:06 0b3d6liO
骸骨が何かを言おうとするが早いか、突然巨大な焔が化け物を貫き、包んだ。
サイファーは目を見開き、全身を撫でる炎に悶えるハインを凝視した。
次の瞬間、3人の人影が飛び出してきて、その内一人が剣を手に化け物へと向かって行く。
あとの2人はサイファー達の元に走りより、それぞれ回復魔法を唱えた。
魔法の効果は薄く、頼りない物だったが、レックスは再び起き上がり、サイファーも立てる状態まで回復した。
レックスが剣を構えなおし、再び化け物に向かって行くのを横目に、
コートの汚れを払いながらは目の前の金髪の女に話しかける。
「今までのうのうと見てやがって。来るならもう少し早く来いよ。」
高飛車に言い放った。
実際はかなり危ない所を助けられたのだが、それは敢えて口にしないのが彼である。
「お前ら!その化け物に止めを刺すのは俺だぜ!それを忘れるな!」
威勢のいい咆哮があたりに轟き、青年の目に再び戦意が宿った。

275:事態の好転5/5
04/12/27 22:55:04 0b3d6liO
【ハイン(HP5/6程度) 現在位置:アリアハン城下町 所持品:破壊の鏡、氷の刃、ルビーの指輪 
 第一行動方針:目の前の参加者を殺す 第二行動方針:殺戮】

【サイファー(HP2/3程度) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:ハインを倒す 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【レックス(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:ハインを倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン
 第一行動方針:ハインを倒す
 基本行動方針:仲間を見つけ、守る
 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:ハインを倒す 
 第二行動方針:ロランを探す】
【セリス 所持品:樫の杖 シャナクの巻物
 第一行動方針:ハインを倒す 
 第二行動方針:ロックを探す】

【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:隠れる 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 黒マテリア(メテオ)
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:ロザリーを守る 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

現在位置:アリアハン城下町

276:宝玉の意思、届かぬ遺志 1/3
04/12/28 13:12:30 ff/69g+i
火の勢いが弱まってきたことに気付いたオレは、ゆっくりと村の方へ歩いていった。
それで、もうすぐ村の中に入るぞ、って辺りで、突然何かにつまずいたんだ。
転んだ拍子に荷物はぶちまけるわ、膝はすりむくわ……オレは苛立ちながら、周囲を見回した。
でも、不思議なことに、躓けるようなものは見当たらなかった。
その代わり、少し離れたところに妙な草がたくさんと、ページが開かれたままの小さな冊子が落ちていて。
オレは冊子を手にとって読んでみた。
「……消え去り草?」
聞いたことのない草だった。効果は……名前のとおり、姿を消し去って透明になる。
つまり、オレがつまずいたのは透明になった奴の身体だってことだ。
ちくしょう。そいつは姿を隠してオレの命を狙ってるんだ。オレを転ばせて、笑ってるんだ。
「出てこいよ、このヤロウ!」
オレはラケットを掴み、様子を伺いながら数歩歩いた。
そうしたら丁度オレがつまずいたところで、何かを踏んだんだ。
柔らかくて、硬くて、やけにベットリした―何かを。
「……?」
オレは、それに触れてみた。ソースのかかった生肉のような、妙な触感が指先に伝わった。
けれどそれはまだ生暖かくて、わずかに震えてて、そのくせ動く気配を見せない。
それにこの、何度嗅いでも嗅ぎなれない、鉄さびのような臭いは……間違いなく、血だ。
透明になったものの、怪我をして動けないのだろうか? あるいは気絶しているのか。
「……フン。まぁ、どうでもいいさ。
 どのみちオレにはカンケーないね、勝手に死ねばいいんだ」
オレは踵を返して、ばらまかれた荷物を袋に入れなおそうとした。
その時だ。
突然、竜の紋章の入ったオーブが―ラグナさんの持っていたオーブが、ころころ転がり始めたんだ。
オレの方に…・・いや、透明の奴に向かって。
そして、奴の足元らしきところまで転がった時、オーブが強烈な光を放った。
「うわっ!?」
オレは反射的に目を覆おうとして……途中で止めた。
―気のせい、だったのかもしれない。オレの願望が生んだ、幻だったのかもしれない。
でも、オレは見た。眩い光の向こうに、見覚えのある姿が、ぼんやりと浮かんでいるのを。

277:宝玉の意思、届かぬ遺志 2/3
04/12/28 13:14:44 ff/69g+i
「リチャード……ラグナさん!?」
光の中に立つ二人は、少し哀しそうな表情でオレを見つめていた。
それで、オレが何か言おうとした時、頭の中に二人の声が響いたんだ。
今度は気のせいなんかじゃない。確かに、オレは二人の声を聞いた。

『―イクサス、お前は医術士だろう? 人を救うのが仕事のはずだ』
『この子を、みんなを助けてやってくれよ。俺たちも、この珠っコロも、それを望んでる―』

……オレは言い返そうとした。ふざけるな、って。
あのギルダーとかいう赤帽子の奴でわかっただろ、他人なんか助ける義理なんてないんだ、って。
けれど、その前に光は消えて。一瞬の、泡沫の夢のように、リチャードとラグナさんの姿も消えて。
後には夜の闇と、足をずたずたに撃ちぬかれた赤髪の女と、静かに瞬くオーブだけが残された。
「……くそっ!」
正直なところ、助けたくない。
本音を言えば、見殺しにするか今のうちに止めを刺すのが一番だと思ってる。
けれど、今の声が本当に二人の意思だというのなら……無視は、したくない。
「今回だけだ……今回だけは助けてやるよ。ちょうど薬草類もあるみたいだしな」
オレは地面に落ちた草を拾い集め、冊子で使えそうなものを確かめながら、手当てを始めた。
「ひそひ草に毒消し草、満月草……ここらへんは意味無いな。
 あ、でもコレとコレは使えそうだし、もらっておくか。
 で、薬草に……雑草? それにいやし草? 弟切草?」
……良くわからないものが多いが、回復効果があるらしい草を中心に、適当にすりつぶしてみる。
それを半分は傷口に直接塗って、半分は水に混ぜて無理やり飲ませた。
最後に、キャラバンの頃から常備していた包帯を足に巻いてやって、治療完了だ。
これで少なくとも失血死することはないだろう。運が良ければ、歩ける程度には回復するかもしれない。
「さてと、行くか」
オレはオーブを拾い上げ、さっき選んだ草―飛竜草とラリホー草を、袋にしまって歩き出した。

278:宝玉の意思、届かぬ遺志 3/3
04/12/28 13:16:56 ff/69g+i
見た目に似合わず、猛毒を持つらしい飛竜草。
これは毒薬の原料に使えるかもしれない。
それに、投げつけることで相手を眠りに陥れるというラリホー草。
エーコのラケットと組み合わせれば、相当に有用な武器になる。

―医術士は人を助けるのが仕事……確かにその通りだ。
けれど、オレは、あいつらだけは許せないし、許さない。
リチャードやラグナさんがなんと言おうと……これだけは譲れない……
あいつらは……あいつらだけは、絶対にオレの手で……!


【イクサス(人間不信) 所持品:加速装置、ピクニックランチセット、ドラゴンオーブ、シルバートレイ、ねこの手ラケット、
 拡声器、紫の小ビン、飛竜草、ラリホー草
 第一行動方針:器具調達&植物採集&毒薬作り 第二行動方針:ギルダー・アーヴァイン・スコール・マッシュを殺す/一人で生き残る
 現在位置:レーベの村の外れ→中へ】

【バーバラ(両足負傷、気絶) 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:? 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出
 現在位置:レーベの村の外れ】

279:仲間と孤独 1/5
04/12/28 19:34:51 sDGd8oKQ
「また、新しい奴らがきたな」
バッツが落ち着いた様子で呟く。
これ以上戦況が不利になるようであれば、助太刀も仕方なかったというだけに、この状況の変化は大きい。
今の俺たちの心境としては、正直なるべくよけいなことには関わりたくない。
「なあローグ、さっきの話、本当なのか?」
バッツがふと話しかけてきた。さっきの話とは、なんのことだろう。
「あの、頭のおかしいやつの話だよ」
「ああ、あれか」 思い出したくないものを思い出すのは、気分が悪い。
「そうだな、嘘だったらどんなにいいだろうよ」
苦笑いしているのが、自分にもわかった。
「そいつはどこにいて、どこにむかったんだ?」
「アリアハンの北西にいたことはわかったけれど、どこに向かったかまではみてねえな」
「そうか…それじゃあ、はやくここをでたほうがいいんじゃないか。
 そんな血に飢えたヤツが次にくるとしたら、ここかレーベの村ってところだろ」
俺は、少し不思議に思った。
それはその通りで、目当ての人も周辺にいない以上、
どこか別のところにいったほうがいいかもしれないというのは、俺も考えていたことだ。
しかし、あいつらはどうするんだ?今、あの骸骨野郎と戦っているやつらは?
それを聞くと、バッツは「状況は確実に好転してるし、大丈夫だと思うぜ」と笑っていた。
腑に落ちない。


280:仲間と孤独 1/5
04/12/28 19:36:43 sDGd8oKQ
俺とバッツは、半日行動を共にしただけだ。
だが、このゲームで半日行動を共にするのは、日常を半月共にするより大きい。
俺は、バッツのことをある程度わかったつもりでいる。バッツもそうだろう。
俺の知る限り、あいつはこの状況なら、すぐにでも飛び出してもおかしくない。
それが、ずっとここで様子見。一度あの金髪の男が絶体絶命のピンチになっても、動かない。
あげくにここを離れようってのは、どうも俺の考えていたバッツとは少し違う。
俺は、あとちょっとで飛び出るところだったが、バッツはそんな素振りもなかった。

やはりこれは、まだ尾をひいてるんだろうか。「仲間の死」というのが。
(そういや、いってたなあ)

――俺さ、あいつらに会って、初めて、仲間ってのができたんだよ。

(仲間…か。俺も、あいつらが初めての仲間だった。結局最後まで、性格は‘一匹狼’だったけど)
何故アルスが俺のことを選んだのか、俺にはわからなかった。まさか勇者に指名されるとは、思いもよらなかった。
(最初の頃は、三人のことをまったく信用してなかったっけな)
今、俺が丸くなったのも、あいつらのおかげなんだろう。
もしかすると、バッツも似たような感じだったのかもしれない。自分のような鋭さはなかったかもしれないが。

(初めて得た仲間と、誰にも会えないで、知らないうちに死んで、か…)
俺は、あいつに従来から正義感があることはわかるが、今は人情に、いまいちかけるように思った。
俺も、アルスやセージ、フルートが死んでいったら、元に戻っていくのだろうか。
簡単に死ぬようなやつらだとは思わないけれど。
…ただ、気にかかるといえば…フルート、かもしれない。


281:仲間と孤独 3/5
04/12/28 19:38:01 sDGd8oKQ
ある日、フルートが魔物の奇襲に例によって怒り狂い、魔物を撃退した。
それが終わると、フルートはけろっとして「あれー?なにかあったんですかー?」と、いつも通り。

「まいるねえ、ほんとに…」セージが頭をかきながらいった。
「ほんとにな。しっかし、あれじゃいつ俺たちに攻撃してきてもおかしくないよなあ…」
「うーん?もしそうなっても、別に怖くないけどね」
その答えが、俺は少し意外だった。少し考えて、
「あ、おまえは魔法使えるし、遠距離攻撃には弱そうだもんな」
というと、「そういうことじゃなくってね」とセージははにかんでいった。

「たしかにぶちギレた彼女は強いよ。理性のかけらもない。
 あの強さは、だからこそのものなんだろうけど、それだけに危険っていうか…」
俺は、少し苛立って言った。
「何がいいたいんだよ」
「人間ってのはね、常に力を全開になんてできないんだよ。人間に限らずだろうけどね。
 フルートは、理性だとかそういうのをなくして…もうひとつの人格を表して、
 自分のもっている力を完全に解放し、戦っているようなものなんだよ」
「えーと、つまり、だからなんなんだ?」
セージは横目で俺をみると、「まだわかんないのかい?おばかさんだねぇ」と毒づき続けた。
「長期戦になったら、自滅するってことだね。彼女の体がもたないんだ。
 だから、もしあのフルートが見境なく僕らのことを襲いにかかったら、逃げればいい。
 放っておけば、むこうが勝手に負けるから」

セージは「だから」と続けた。
「フルートはね、仲間が必要なんだよ。自分を見てくれる仲間が。ローグ、ちゃんとお守りするんだよ」
「ああ、わかっ…って、なんで俺が!」
「そりゃー、僕やアルスの手には負えないからねえ。ローグなら、似たもの同士扱いやすいでしょ」
「俺のどこがあいつに似てるんっつーんだ!!」
「ほら、すぐ怒る」
「うっ…くう、てめえ…」
「あはは。…でもね、強ち冗談でもないんだよ………」


282:仲間と孤独 4/5
04/12/28 19:39:13 sDGd8oKQ
……「ローグ?」
バッツの声が聞こえる。「ああ」と返事をして、再び目の前の戦いに目をやる。
…明らかに、戦況は変わっている。彼らは、あの骸骨野郎を殺すのだろうか。
このまま、新たな参入者が出ない限り、もう勢いは変わらない。あの狂ったやつがこない限りは。
さっき鷹の目をした限りは、誰もいなかったが―鷹の目そのものは、アルスの家でもやっていた。
城の中に人がいることもわかったが、自分たちの探している人物はいなかった。
事情を説明をするのも面倒くさかったので、バッツには特に何も言わなかった―
まったく見逃していないとは限らない。なにせ、あんな変なものを見てしまったから。

「…ここをでるとして、次はどこにいくつもりなんだ」
「それが問題だなあ。でもやっぱり、レーベの村かな」
「あの男がいるかもしれないぞ?」
「でも、レナやファリスがいるかもしれない」
「…そうだな」

俺たちは、気づかれないように南出口へと向かった。
あいつらには、気づかれなかった。たしかに。



283:仲間と孤独 5/5
04/12/28 19:41:22 sDGd8oKQ
「…ま、生きてりゃいろいろあるよね」
「いうことはそれだけか!?」
二人が出口に向かうと、そこには一人の女がいた。
その女は、縦に真一文字の深い傷が体に刻み込まれ、そこからだらだら深紅の血が流れている。
なぜたっていられるのかと疑うほど、その傷は見るだけでも痛々しく、よくみると左腕が変な方向に曲がっている。
それでもなお、女はふらふらと歩み続け、眼光鋭く二人のことを睨み付けると、呻るような声をあげ、剣を構える。
「話せばわか…らないよねぇ、やっぱり」
セージのように呟いて、ローグはぽりぽりと頭をかいた。



【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 第三行動方針:レナ、ファリスとの合流】
【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9
 第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 最終行動方針:首輪を外す方法を探す】

【パイン(重傷)(ジョブ:ダークナイト)所持品:うさぎのしっぽ 静寂の玉
アイスブランド ドレスフィア(ダークナイト)
状態:凶暴化(何かの衝撃で正気を取り戻す可能性あり)
行動方針:全員殺害。正気を取り戻した場合は不明】

現在位置:アリアハン城下町南の入り口付近


284:長い夜 1/4
04/12/29 02:44:21 J3ijBErd
気づけば、闇の中で佇んでいた。
何もない、虚空の中で。
誰も、いない。
声がするだけ。自分を責める声が、するだけ。

―あなたはエアリスさんを殺したの…
蒼い髪の女の子の冷たい声が。
―次に会ったら…仇をとる。
暗い響きを帯びた、金髪の青年の声が。
―なんだ…まだ死んでいなかったの?
火傷を作った、顔も見ていない少年の声が。
―誰も殺せてないんだねぇ。役に立たないなぁ。
コートを着た男の声が。
―人殺しの仲間なんだな!
失意の少年の声が。

微塵にも優しさのこもっていない、それらの声。
自分の心の中で作り出した声。

私は殺人者だから?
エアリスを殺したから?
…誰からも許される事無く。
…誰からも愛される事無く。

―ティファ、なんて事をしたんだ!
あぁ、クラウド、ごめんなさい…
―謝って済むと思っているのか!?
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…

怒る事で忘れてくれるなら、そして忘れさせてくれるなら、心の限り怒って―。

285:長い夜 2/4
04/12/29 02:45:24 J3ijBErd
消えない…いつまでも。
血。この手に、銃に、心にこびり付いた、エアリスの、血。
顔の火傷は治っても、治すことのできない傷。
この心と、エアリスの胸に刻まれた傷。

―ティファ、私は許してあげるわ。
…エアリス?
―そのかわり、どんな力でも治せない傷を背負うの。
嫌ダ。忘レサセテ…。オネガイ、オネガイ…。
―忘れさせたりなんかしない。
―私はいつまでも消えないであなたの心の中にいるから。
―血に濡れたまま、ずっと、あなたの傍にいるから。
―あなたの影となって。
…私ヲ、呪ウノ?
―私があなたを呪うんじゃない。あなたがあなや自身を呪うの。
―消えることの無い自身への恨みを、あなたは一生背負い続けるの。

エアリスの胸に、穴が開く。
確実に、自分が撃ち抜いた場所に。
一瞬後に、彼女の身体は粉々に砕けた。
恐ろしいくらいに、綺麗に。
真っ赤に。粉末のように。

―自分のした事から目を逸らさないで―
エアリスの声は、痛い。自分に突き刺さるようで。



286:長い夜 3/4
04/12/29 02:46:10 J3ijBErd
「…どうしたの?大丈夫?」
私の身体をゆする人がいる。
眼を開ければ、黒髪の女性がいる。
「アイラ…」
「凄い魘されていたんだぜ…?」
その横に、マッシュ。
二人が、私の顔を覗き込んでいる―

「…大丈夫」
…何が、大丈夫?
「ちょっと…夢を見ただけ」
身体の震えが止まらない。
「寒くない?大丈夫?」
アイラの優しい声も、今はちょっと耳障りで。
「大丈夫だから、放っておいて…」

打ち明けたくは、ない。こんなもの。
誰に共有されることもない、私の、罪。
嫌だ。忘れてしまいたい。
でも、忘れることはできない。

「…そう。話がしたくなったら、いつでも聞いてあげるから。
えっと、今、私の話をしてるんだけど、聞く?」
アイラは、優しい。
だからこそ、話したくない。
捨てられるのは嫌だから―

今、捨てられた子猫の気分が、わかる気がした。
辛さに耐え、震える身体を抱えて―

287:長い夜 4/4
04/12/29 02:47:00 J3ijBErd


小さく頷いて、アイラの話に耳を傾ける。

まだ、この長い夜は、明けない。


【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石
 第一行動方針:アイラの話を聞く 第二行動方針:ゲームを止める】
【アイラ 所持品:ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ
 第一行動方針:話をする 第二行動方針:ゲームを止める】
【ティファ 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×5)、エアナイフ
 第一行動方針:アイラの話を聞く】

【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
 第一行動方針:出来れば寝ておきたい 第二行動方針:ゲームを止める】 

【現在位置:東山脈中央部の森・川辺付近】



288:長い夜 
04/12/29 11:02:06 bE3AH2wF
あなや自身→あなた自身 に修正お願いします…
何やってんだ漏れ…

289:今日のところは1/2
04/12/30 21:42:25 koRv1D1E

デールは、ヘンリーの下から撤退した後、近くの山間部の方向へと走っていた。
疲労がたまるので、別に馬鹿正直に山間部に行こうとは思わない。
しかしその近くまでは行く予定だ。灯りも無い場所は潜伏が容易だからだ。
だが……

「もうすぐ尽きるのか?」

愛用していたマシンガンの残り弾数に気がついたのだ。
見るともう1/3ほどしかない。これではしばらく長期戦など無理だ。
アラームピアスがあるが、やはり心強かったこのマシンガンに不安があるのは頂けない。

「この武器も、少しはしゃぎ過ぎたかな……」

銃弾を補給したいが、レーベの村に戻るのも危険だ。
というか、この世界には銃弾というものが無いのかもしれない。
デールも説明書を読んで理解しただけだ。ラインハットと同じような技術力で、こんなものがあるとは考えにくい。

「まぁいい。今の僕に出来ないことは何も無い。この刃物だけでも十分壊せる」

それに、同じような弾を持っている人間もいるだろう。
ならば奪ってしまえば良いだけだ。

「まずは思案だ。明日の朝に使える良い策を考えなければ…」

そう呟いた後、デールは止まった。
これ以上の疲弊は危険すぎる。それに狙い通り、山間部には近い。

闇の中に、ただ、ただ、紛れることにした。
その顔に…冷たい笑みを浮かべて。

290:今日のところは2/2
04/12/30 21:44:33 koRv1D1E

【デール 所持品:マシンガン(残り弾数1/3)、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:闇に紛れて夜を過ごす 第二行動方針:皆殺し(バーバラ[非透明]とヘンリー(一対一の状況で)が最優先)】
【現在位置:レーベの西の山間部付近】

291:狂人に、殺害者に 1/4
04/12/31 00:08:27 PRovipWd
「おいおい…まずいんじゃないか?」
冷や汗を流しながらバッツが呟く。
「この女、正気じゃないぞ…」
剣を構えた女と睨み合う格好で、ローグ。
淡く輝く、凍てついた刃を持つ剣を構えながら、暗黒の女剣士はゆっくりと歩み寄ってくる。
彼女の身体の傷からは紅い血が絶えず流れだし、息をするたびに吐血している。
そんな状態でもなお鋭さと狂気を失わないその眼光に、2人は蛇に睨まれた蛙の如く一歩も動けないでいた。
「…どうする、バッツ?」
ローグが眼だけを自分に向け、小声で言う。
「どうするっつったって…」
話し合いはどう考えても無理だし、逃げようにもこの女はエクスデスよりしつこく追ってきそうだ。…なら。
「やるっきゃないぜ、ローグ。」
背負ったザックに手をかけ、ライオンハートの柄を見せてローグを見やると、彼も懐に隠してあるフォークを握り締めた。
次の瞬間、2人の首を狂気の刃が襲った。

292:狂人に、殺害者に 2/4
04/12/31 00:09:53 PRovipWd
バッツが後方に下がり、ローグがその場にしゃがみこんで一撃を逃れると、アイスブランドが追うように次の一撃を見舞ってきた。
半ば狂ったように、半ば機械のように冷徹にパインは剣を振り回すが、
身体を一文字に裂いた傷はかなり深いようで、その動きは鈍く、重い。
しかし、2人の攻撃には異常なほど素早く反応する。
バッツのガンブレードの一閃を軽々と受け止めると、そのままの体勢から彼のわき腹を蹴り、顔面を殴って叩き伏せた。
その隙をつき、ローグが銀に輝くフォークを女剣士の右肩に突き刺した。
ダークナイトは苦痛にひきつるような表情を浮かべたがそれも束の間、
狂気を湛えた顔に再び戻るとフォークを握るローグの手を掴み、そのまま力任せに彼を投げ飛ばす。
狂気の成せる技か、スフィアの力か、その腕力は女の、いや人間の、それも手負いの物とは思えなかった。
大地に叩き付けられ、石に頭をぶつけて気絶したローグに、彼女は剣を手に迫り―
その足を蒼い光を発する刃が深深と貫く。
パインはけたたましい悲鳴を上げ、即座に振り向くと、そこにはライオンハートを彼女の脚に突き刺しているバッツの姿。
女剣士が怒りに満ちた眼でアイスブランドを振りかぶる中、
(確か…敵を斬りつけたり突き刺したりしている時に…)
彼は奇妙な形の柄を持った剣と一緒についていた説明書の内容を思い出していた。
(柄についた引き金を…)
氷の剣が振り下ろされる。
(引く!!)
凍てつく刃がバッツを捉えんとするその瞬間、轟音とともにパインの左足が大髄から粉々に砕けた。

293:狂人に、殺害者に 3/4
04/12/31 00:11:08 PRovipWd
金切り声とも悲鳴ともつかない叫びが耳を突き刺し、粉塵となった血が肉片がバッツの顔に身体に飛び散る。
狂気の剣士はその場に崩れ落ち、バッツは気絶しているローグへ走り寄った。
「おい…おい!ローグ!」
顔を叩き、身体を揺すると、思いの外たやすく彼は意識を取り戻した。
「…ひどい顔だな…」
「薬草を…」
「よせよ。この位の傷で勿体無い。」
ローグが起きあがると、視界に片足を失い、苦しそうに息をする女が入る。
「お前が?」
「ああ、そうだ。にしても…」
バッツは言いながら、右手に握られたままのガンブレードをまじまじと凝視した。
「凄い威力だな。一撃であんな致命傷になるとは思わなかった。」
一発で脚をバラバラに?そりゃ凄い、と呟きながら、ローグは彼女から所持品を奪い取り、
「行こうぜ。急がないと」と言って歩き出す。
バッツも重い体を引きずり彼に続こうとすると、不意に瀕死の女剣士と目が合った。
その目に狂気は無い。あるのは、困惑の光のみ。
彼はとっさに体を屈め、その眼を凝視した。
戦っていた最中のように狂った眼ではない、その眼を。
暫くして、「私…は…何故…こ、こ…に?」と弱りきった声を出す。
何故ここに、だと?訝るバッツに、彼女は「た…助け…」と言いかけた。が、
「バッツ!」という、ローグの叫びに遮られる。見ると、彼はもう数十メートルは先を歩いていた。
「いつまでそいつにかまってる!早く来い!」
多少の怒りが込められたその声に、バッツは鞭をうたれた馬のように歩き出す。
もしかしたら、俺は大変な事をしたかもしれないという思いと、血に染まった体を引きずって。

294:狂人に、殺害者に 4/5
04/12/31 00:13:37 PRovipWd
何がどうなっているのかわからない。
ただ確かなのは、自分が今死に行こうとしている事だけ。
全身を走る苦痛と沈み行く意識の中、パインは何故こうなったのか、懸命に記憶を辿った。
…確か、死人からダークナイトのドレスフィアを手に入れて、一か八かでそれにドレスチェンジしてみて…
その後の記憶は、ない。
寒い風が顔を叩き、傷口を容赦無く吹きつける中、近くを誰かが通る足音が聞こえた。
やがて目の前に現れる、ニ本の足。彼女はそれに手を伸ばし、助けを求めようとした。
次の瞬間、彼女の意識は完全に途絶えた。

「…城下町か…」
倒れていた女剣士の首に突き刺した刀を引き抜きながら、セフィロスは眼前のやや広い町を見据えた。
「町のように大きく隠れやすい所には人が多く集まる…いい狩り場を見つけたね。…それにしても」
セフィロスの後から歩いてきた男は、大げさにパインの亡骸を見下ろしながら続ける。
「この女の君に助けを求めようとする姿!まるで地を這うウジのように無様だったねぇ。ここまで醜い末路は…」
男―クジャの酔うような喋り口調を軽く聞き流しながら、セフィロスは城下町へと無言で歩を進める。
獲物を求めて。

295:狂人に、殺害者に 5/5
04/12/31 00:14:46 PRovipWd

【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 第三行動方針:レナ、ファリスとの合流】
【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9 うさぎのしっぽ 静寂の玉 アイスブランド
 第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 最終行動方針:首輪を外す方法を探す】

現在位置:アリアハン→レーベへ移動中

【セフィロス 所持品:村正
       第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに
       最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【クジャ 支給品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、
       第一行動方針:城下町の参加者を殺害
       最終行動方針:最後まで生き残る】

現在位置:アリアハン城下町、南の入り口

【パイン 死亡】

296:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/31 09:47:25 Bu+id1I5
123

297:運命にせよ、偶然にせよ 1/3
05/01/01 19:33:23 bKCiYh3d
傷を負った身であったが、彼は平野へと逃げ道を求めた。
理由は二つ。
祈りの指輪を使いながらベホマを唱え続けたことで、辛うじて走れる程度にまで回復することができたため。
そして先ほど―ある人物が、じっとこちらを見つめているのに気が付いたためだ。

(はぐりん……?)

月光の下、銀色にきらめく液体金属のような姿。
何をするでもなく、ただ哀れむような視線をこちらに向けて。
草むらに半ば隠れるように、はぐりんはいた。
けれども、ピエールと視線が合った次の瞬間には―はぐりんの姿は、遠くへと消え去ってしまっていた。

顔見知りで、争いを好まない平和主義者のはぐりんだったから助かったのだ。
あれが他の人物であったなら。ましてや、殺し合いに乗った人物であったらどうなっていたことか。
(ある程度、戦場からは距離を取ったとはいえ……
 はぐりんのように戦闘音を聞きつけた者が通りかかるかもしれない。これ以上、この森にいるのは危険だ)
彼がそう考えたのも、当然の帰結であった。

そうして彼は平野に……その向こうにそびえる山脈に逃げ道を求めた。
少なくとも見晴らしがいい平野なら、逆説的に不意打ちされる危険は減る。
無理に戦おうとせず、かつ周囲の警戒を怠らなければ、山脈まで辿りつくことは決して不可能ではない。
また、日が落ちてから山に分け入ろうとする人間も居まい。
北に行けば村があるのだから、余程のことがない限り、大抵の者はそこで休息を取るだろう。
あるいは爆音と雷に引き寄せられて、森にやってくるか―そのどちらかであるはずだ。
そう計算した彼は、ヒビの入った祈りの指輪を握りしめて、静かに歩き出した。

結果的に言えば、彼の賭けは成功した。
誰に会うことも、見られることもなく、彼は無事その山の麓まで辿り付くことができたのだから。
彼は、茂み(というより、ごく浅い森)の向こうに広がっていた獣道に入り込み、人気のなさそうな場所で足を止める。
そして生えていた大木の幹にもたれ掛かり、身体を預けて―ふと、ソレに気が付いた。

298:運命にせよ、偶然にせよ 2/3
05/01/01 19:40:21 bKCiYh3d
「……袋?」
少し離れた場所に、口が開いたままの袋が二つ。盛られた土の傍に、供えられるかのように遺されている。
(墓……のようだな。誰かがここで死んだのか……)
そう思いながら、彼は疲れた身体を引き摺り、袋を手に取った。
片方には目ぼしいものはなかった。片方は―妙なものが二つ、残されていた。
(水と、指輪?)
共通支給されている飲料水に似ているが、良く見ると『アモール』と書かれた小さなラベルが貼られてある瓶。
それと、妙にくすんだ紫色の指輪。単なる古い指輪にも見えるが、奇妙な魔力を感じる。
さらに袋を探っていると、折り畳まれた紙切れが三つ出てきた。
どうやら支給品の説明書のようだ。彼は周囲に人の気配がないことを確かめて、ランプを灯した。

最初の紙には『ドラゴンシールド』と記されていた。だが、それらしきものはいくら探しても見当たらない。
多分、墓を作った人間が、もう片方の袋の中身と共に持っていってしまったのだろう。
何せアレは相当に強力な盾だ。彼自身もかつて愛用していたから、良く知っている。
悔しいが、この状況で見過ごすマヌケもいない……ということか。

二枚目は、小瓶に入った液体の説明書だった。
『アモールの水』。どう見てもただの水だが、なんと薬草以上に体力を回復する効果があるという。
どうしてこれほど有用なものを置いていったのか、首を傾げたが……
恐らくラベルに気付かず、ただの飲料水と思い込んでしまったのだろう。
彼は早速蓋を開け、中身を飲みながら、三枚目を手に取った。

前の二枚と違い、こちらは誰かが読んだ形跡がある。
乱雑に折られたそれを広げ、中の文章にざっと目を通す。
「……なるほど。持っていかなかったわけだ」
全てを読み終わった後、彼は指輪を見つめ、一人ごちた。
『死者の指輪』―その名の通り、身に付けた者を生ける死者に変える、悪夢のような指輪。
まともな神経の持ち主ならば、こんなもの捨て置くに決まっている。
しかし考えようによっては、これほど厄介な代物もない。
(気は進まないが……万が一誰かに拾われて、アンデッド化されても困るな)
自分の指に嵌めるためではなく、他の参加者に使わせないために。彼は指輪を袋に入れた。

299:運命にせよ、偶然にせよ 3/3
05/01/01 19:44:48 bKCiYh3d
それから彼は木陰に戻り、ぼんやりと空を見上げた。
ここで眠るつもりはない。ある程度体力が戻ったら、もっと人目につかない所へ移動するつもりだ。
ただ……何をするでもなく茫洋と月を眺めていると、何故か殺めた人々の姿が脳裏に浮かぶ。
自分が辿ったかもしれない、別の結末の光景と共に。

もし、最初に出会った少女に、祝福の杖やいかづちの杖が支給されていなければ。
もし、紫髪の女が、暗殺者の男と別れていなければ。
もし、日没の放送で『セシル』という名が呼ばれなければ。
もし、あの美しい金髪の女性が現れなければ。
もし、暗殺者の男が祈りの指輪を持っていなかったならば。
いずれが欠けても、ここに自分はいなかっただろう。
そして今もまた―『幸運にも』、誰かがアモールの水を見過ごしたおかげで、体力を回復することができた。

これは運命の加護なのか?
未来に待ち受ける不幸の代償として与えられた、泡沫の奇跡なのか?
それとも、幾つもの偶然が、恐ろしいほどの確率で、たまたま積み重なっただけなのか?
正解は彼にもわからない。ただ、確実に言えることが一つある。
どのような理由にせよ―生きている限り、命ある限り、彼は誰かを殺し続けるだろう。
リュカが生き延びる。それだけが彼にとって重要な事実であり、絶対の真実なのだから。

【ピエール(HP1/3程度)
 所持品:鋼鉄の剣、ロングバレルR、青龍偃月刀、魔封じの杖、ダガー、祈りの指輪(半壊)、死者の指輪
 第一行動方針:身を隠し、休息する 基本行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】
【現在位置:レーベ南西の山脈地帯最南部】

300:299修正
05/01/01 19:51:47 bKCiYh3d
×:いずれが欠けても、ここに自分はいなかっただろう。

○:そのどれか一つでも該当していれば、ここに自分はいなかっただろう。
  逆に言えば、全ての要素が『幸運にも』重なったからこそ、こうして自分は生きている。

以上の文章に脳内修正お願いします…

301:一難去って… 1/4
05/01/04 04:20:15 KjyipMWX
のけぞる怪物に、さらに斬撃を叩きこんで追い討ちを加える。
怪物のタフさには正直恐れ入る物があるが、やはり多人数でかかれば勝てない相手ではない。
「人間どもが……調子に乗りおって!」
骸骨のような怪物、ハインが斬りかかってくる3人を強引に剣の一閃で弾きとばし―
「ファイラ!」「べギラマ!」
―その後方から二つの紅い閃光が迫り、ハインの体を再び火で包んだ。
接近戦用の武器を持っていないセリスとパウロが後方から魔法と呪文で援護しているのだった。
「そろそろ終わりだ!化け物!」
体を包む炎に骸骨の視界が塞がった一瞬を狙い、レックスが右脚を斬りつける。
ルビスの剣は怪物の脚を切断し、ハインは太い悲鳴をあげた。
半ば崩れた姿勢から、レックスめがけて怒りに染まった氷の刃の一撃を見舞うが、クラウドが受け止める。
「よしお前ら!そのまま動くなよ!」
サイファーは威勢良く吼えると右手に持った剣を片手で回転させ、やがて淡いグリーンの円が完成し…
「雑魚ちらし!」
剣から魔力で創られた円が飛び出し、骸骨の左腕を根元から斬り落とした。
ハインがこの世の物とは思えぬ唸り声をあげるのも構わず、
白いコートを羽織った彼はそのまま骸骨へ走りより、今度は自らが激しく回転しながら跳びあがる。
全身を貫く苦痛のなか、ハインは怒りと憎しみの入り混じった眼で目の前を舞う白い影を凝視した。
…おのれ、人間どもめ……おのれ、小僧め…
「おのれエエエエェェェェッ!!」
断末魔ともとれる怒号を、サイファーの鬼斬りが切り裂いた。

302:一難去って… 2/4
05/01/04 04:21:39 KjyipMWX
「…案外、簡単だったな…」
上半身と下半身が完全に別れた亡骸を見下ろしながら、クラウドが呟く。
「まあ、これだけ大人数でかかればね。」
魔法を使い過ぎたせいか、少し荒い息をしながら、セリス。
見ると、パウロも同じように疲れた様子でその場に座り込んでいる。
「レックス!大丈夫か?」
建物の影からテリーが飛びだし、そのあとからロザリー、それにトンベリ(トンヌラ)も出てきた。
レックスに走り寄ろうとすると、途中で足がもつれて転び、ロザリーが助け起こす。
彼はへへっと笑いながら立ちあがるが、その拍子にザックからゴロッと何かが転がりでた。
物音にクラウドがふりかえり、ゴロゴロと自分の方に転がってくる球体を目にした瞬間、彼は目を見開き、急いでそれを拾い上げる。
玉を手に取り、まじまじと凝視する。
握り拳より少し大きい、黒色の輝きを発する水晶―間違い無い。アレだ。
「ごめんごめん、それ返してくれる?」
「…これは俺が持っておく。」
玉を自分のザックにいれてしまうクラウドに「え、なんで?」とテリーが問うと、彼は子供の肩に手を乗せ、答えた。
「これはな、”黒マテリア”って言って、とても危険な代物なんだ。」
テリーはそれでも納得がいかないのか、不服そうな顔をしている。
サイファーはそんな彼らを横目に見ながら、
「で、お前らはこれからどうするんだ?」目の前にいたセリスに訊く。
彼女が「ああ、そのことなんだけど―」と、本題を切り出そうとしたその瞬間、すぐ近くに巨大な雷が落ちた。

303:一難去って… 3/4
05/01/04 04:22:32 KjyipMWX
穿たれる地面、舞い上がる粉塵。
油断していた彼らめがけてサンダガが放たれたのだ。
「誰だ!?どこから?」
「クソっなにも見えねえ!」
突然の攻撃、しかも土埃が煙幕のように漂って何も見えないせいで状況が掴めない。
そんな中サイファーは、土埃の中を黒い影が駆けぬけるのを見た。
影は自分めがけて一直線に迫り、その手には剣らしきものが握られている。

見えた時には既に遅過ぎた。
影は身構える間も無く肉薄し、彼の肩から腰にかけて、真一文字に斬撃を浴びせる。
すぐ近くにいたセリスも容赦無い一撃を受け、大地に倒れ伏した。

「…他愛の無い」
薄れ行く土埃の中、セフィロスは倒れた2人を見下ろしながら呟いた。
コートを着ているほうは何かに守られているらしくまだ死んではいないが、放っておけば力尽きるだろう。
セフィロスは刀についた血糊を拭き取りながら、一旦その場から走り去った。
一度に狩るには多すぎる。焦ることなく、少しずつ混乱させながら仕留めれば良い。

304:一難去って… 4/4
05/01/04 04:24:28 KjyipMWX
【セフィロス 所持品:村正
 第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、
 第一行動方針:城下町の参加者を殺害 最終行動方針:最後まで生き残る】


【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン
 第一行動方針:不明 基本行動方針:仲間を見つけ、守る
 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【レックス(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:不明 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 黒マテリア(メテオ)行動方針:不明
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】

【ハイン 死亡】【セリス 死亡】
・サンダガの音はかなり大きいです。アリアハン内や周辺にも聞こえています。

305:一難去って… 4/4 (修正)
05/01/04 06:06:13 KjyipMWX
【セフィロス 所持品:村正
 第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、
 第一行動方針:城下町の参加者を殺害 最終行動方針:最後まで生き残る】


【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ)
 第一行動方針:不明 基本行動方針:仲間を見つけ、守る
 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【レックス(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:不明 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:不明
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】

【ハイン 死亡】【セリス 死亡】

306:紅き鏡の向こう側 1/5
05/01/04 13:50:09 8Mx12YBL
「はっ……はっ……はっ……」
時折ぶり返してくる肩の鈍痛を堪えつつ、彼女はいつしか山道を駆けていた。
若干の回復傾向はあるものの、未だ視点の定まらない視界。
著しい体力の低下と出血に伴う嘔吐感。
それらを懸命に誤魔化しながら、鍛えられた強靭な精神の力でふらつく足取りを制御する。
―あまりにも迂闊ッ。
神に仕える高潔な魂こそ失っているが、同等の聖剣技を扱う男。
万全であったとしても勝利を収めるのは難しい、卓越した技量を誇る強大な敵。
そんな相手に対し、負傷した状態で反撃の機会などそうそう訪れるものではない。
ここまで疲弊させられる前に覚悟を決めるべきだったのだ。
執拗に背後から忍び寄る冷たい殺意の持ち主―ウィーグラフはすぐそこまで迫っていた。

「頃合だな」
男は満足げにつぶやくと、番えた矢を発射した。
放たれた一撃は狙い通りの軌跡を描き、対象の頭部を―僅かに逸れて―岩壁に突き刺さる。
それだけで逃げきれないと悟ったのだろう。
獲物はザックから長大な剣を取りだし、こちらに向き直った。
月光に照らされた表情は、平時の端麗な容姿とあまりにもかけ離れている。
―最愛の妹ミルウーダは、このようにしてラムザに殺されたのだろうか。
そう考えると、追っている相手がアルマ・べオルブでないのがつくづく残念なものに思えた。
「仕方あるまい、か。今はこの女で妥協するとしよう」
手にした弓矢をザックに放りこみ、替りにプレデターエッジを引っ張り出すと、
男はゆっくりと歩み始めた。
「さて、神へのお祈りとやらはもう済ませたか? 弱き人間よッ!」

307:紅き鏡の向こう側 2/5
05/01/04 13:52:14 8Mx12YBL
緩慢ではあるが、間断なく襲いかかる刃。
剣を合わせる毎に残り僅かな体力がじわじわと削られていく。
「ククク……とうに限界を迎えているのだろう?」
絶対的優位に立つ者の余裕だろうか、ウィーグラフは嘲笑の笑みを浮かべた。
凌いでいるのではなく―凌がされている。
誇りを踏み躙り、魂を汚し、全てを砕かんがためだけに。
命があろうとなかろうと―諦めてしまった時点で私は終わるのだ。
だからこそ、この絶望的な状況でも屈するわけにはいかない。

歌が、響いた。
内容は理解できないが、場違いな程に明るい歌が。

308:紅き鏡の向こう側 3/5
05/01/04 13:53:12 8Mx12YBL
高台を見上げた私は、そこに二人の人間を認める。
極彩色の衣装に身を包んだ者と―
(あれはッ、あの剣はッ!)
もう一人の仮面を着けた人間が手にしている剣。
傷つけた者の生命を吸い取り、所有者の活力へと変換する紅き剣。
かつて、私と対極に位置する騎士が我欲を満たすためだけに振るわれたもの。
歪んだ視界の中であっても、それだけは奇妙なほど明確に映っていた。
まるで、何かを私に伝えるかのように。
(そうか。……そういうことなのかもしれないな)
人を信じることができず、ただ私欲のために剣を振るう。
生き残ることが全てだと考える今の私と何が違う? ―違いはしない。
唾棄すべき対象だった黒騎士は、未来の己の姿。
それを認識することで、この世界に来てから晴れることのなかったわだかまりが消えていくような気がした。
「あの二人が邪魔となる存在かどうかは分からぬが……
 遊んでいる時間がなくなってしまったことは確かだ。
 そろそろ殺してやるとしよう。
 なに、心配することはない。ラムザには貴様の首でも切り取って渡しておくさ。
 奴の表情が再会の喜びで変わる様を楽しむためにな」
「仰ぐべき主君を戴き、その元で正しく力を振るってこその騎士。
 仕えるべき主も持たず、この狂った世界で死ぬ訳にはいかないッ!」
守るべきものもなく道を見失った相手に遅れをとることなどあってはならないのだ。
クロスクレイモアを正眼に構え、精神を集中させていく。
残った体力では二撃目を繰り出す余裕はない。この一撃で全てを決してみせねばならなかった。
今の私に主はいない。
ならばせめて、私の知る正しき者を生かすためにこの技を捧げるとしよう。
アグリアス・オークスという存在―その全身全霊を懸けて。
「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き!」

―後は任せるぞ、ラムザ。この忌むべき世界を打破してみせろッ!

309:紅き鏡の向こう側 4/5
05/01/04 13:55:31 8Mx12YBL
聖剣技が放たれたのは同時だった。
両者の持つ剣から雷がほとばしり、暗き空を照らすように中空で激しくぶつかり合う。
だが、決して互角ではない。
雷が激突する度に、一方の力は着実に衰えていく。
劣勢に立たされているのは―アグリアス。

「あの女騎士、面白いことを言っていたな。
 『仕えるべき主も持たず、この狂った世界で死ぬ訳にはいかない』と。
 しかし、先ほどの攻撃は言葉と裏腹に刺し違えてでも倒すという覚悟が感じられた。
 ……実に興味深い」
二人の戦いを見下ろしながら、マティウスが口を開く。
「異界の皇帝よ。しばしその剣を貸しては貰えぬだろうか?
 この短剣よりもそちらの方が具合が良さそうだ」
ザックから取り出したソードブレイカーを見せながら、傍らのゴゴが言う。
「……あやつを助けるつもりか?」
「言っただろう。私はお前の物真似をするとな。
 それによってお前が答えに近づけるならば、やらねばなるまい」
マティウスは何も言わない。
ただ、ブラッドソードを手渡しただけだ。
ゴゴは飛ぶように駆けていく。
ヘイストの力を秘めた魔法の靴―ミラクルシューズの力を借りて。

310:紅き鏡の向こう側 5/7
05/01/04 13:56:21 8Mx12YBL
雷が降り注いだ爆心地の中央で、アグリアスはそっと口元をゆるめる。
ウィーグラフの技に押し負けはしたが、不思議と悔いはなかった。
やれるだけのことはやった。そんな達成感があったのかもしれない。
「貴様は今から死ぬのだぞ。なぜッ、そんな目をして私を見ることができるッ!」
「哀れだな、ウィーグラフ。そんなこともわからないとは」
クロスクレイモアを杖代わりにして、ようやく立っていられる満身創痍の人間。
そんな者が、どうしてこの状況で恐怖を感じることもなく平然としていられるのか。
それだけではない。目の前の相手は、憎悪すらしていないように見えた。
昔の彼ならば―あるいは理解できたのかもしれない。
理想を掲げ、祖国を救うために結成した骸騎士団の団長であった時代。
信じるもの、愛する者を失う前の―彼にならば。
「減らず口をッ! そんなに死に急ぎたければ止めを刺してくれよう!」
ウィーグラフはプレデターエッジを握り直し、アグリアスの下へ猛進していく。

ゴゴがブオーンの背を下り、二人の元へ辿り着いたのは正にその時だった。
ブラッドソードを正眼に構え、精神を集中させてゆく。
ものまね師の真骨頂は、見様見真似によって全てを再現することにある。
それは選ばれしホーリーナイトの聖剣技ですら例外足り得ない。
「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き!」
血で塗られたような刀身が鮮やかに輝き、幾筋もの雷光がウィーグラフに襲いかかった。

311:紅き鏡の向こう側 6/7
05/01/04 13:57:23 8Mx12YBL
―それから先はよく覚えていない。
―確かなのは、捨て台詞を吐いてウィーグラフが去ったこと。
―そして、誰かが私の傍にいること。

―あたた……かい……な…………
やわらかな二つの光に包まれながら、アグリアスの意識は闇へと落ちていった。



「そんなことも可能なのか。物真似師とは器用なものだな」
マティウスは感心していた。
先程の剣技もそうだが、今もまた、自分の真似をしてケアルをかけている隣の男に。
「物真似は万能だが、完璧という訳ではない。
 わかるだろう? 同じケアルであっても、その効力はお前のそれより劣っていることが」
ゴゴの言う通りだった。
マティウスの手から漏れる癒しの光は、ゴゴのそれよりもかなり大きい。
「個人の持つ資質、魔力のように見えないものまでは真似ることができないのさ。
 もっとも、最終的にはそれも克服したいんだがね」
「フハハハハッ、やはり面白い男だな。
 そんな途方もないことを思いつくのは貴様みたいな者だけだろうよ」
マティウスは高らかに笑う。
生きている間には得られなかった、友という対等なものを得られたような気がして。
「まだ名乗っていなかったな。私の名はマティウスだ」
「もう名乗ってしまっていたな。私の名はゴゴ。
 今はマティウスという男の物真似をしているところだ」
やや遅れて。
愉快に笑う二人の声が山脈に木霊した。

312:紅き鏡の向こう側 7/7
05/01/04 13:58:10 8Mx12YBL
「…………」
(やっとどいてくれたのは嬉しいが……。
 こんな所で目立つような戦いなんかするなよ、ほんとに)

深夜になってもまだまだブオーンは耐えている。

【マティウス 所持品:ブラッドソード
 第一行動方針:アルティミシアを止める 第二行動方針:アグリアスの観察
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非交戦的だが都合の悪い相手は殺す】
【ゴゴ 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
 第一行動方針:マティウスの物真似をする】
【現在位置:レーベ南西の山岳地帯】

【アグリアス(極度の疲労による気絶+重傷) 所持品:クロスクレイモア、ビームウィップ、もう一つは不明
 第一行動方針:生き延びる(意味合いが異なっているかもしれません)】
【現在位置:レーベ南西の山岳地帯】

【ウィーグラフ  所持品:暗闇の弓矢、プレデターエッジ
 第一行動方針:ラムザとその仲間を殺す(ラムザが最優先) 第二行動方針:生き延びる、手段は選ばない】
【現在位置:レーべ南西の山岳地帯→どこかへ移動?】

【ブオーン 所持品:不明
 第一行動方針:動かずやり過ごす】
【現在位置:レーベ南西の山岳地帯に同化中】

313:策無し
05/01/04 15:57:19 0/wv/LD/
「ではどうすればいいのでしょう…」
ミネアは、目の前の男に問いかけた。
その男は、体中に傷を作り、そこに座っている。
「…呪いを解くには神父に頼むしかないぜ」
男、ハッサンは、そう呟いた。

彼を見つけたのは、ちょうど放送の途中だった。
というのも、彼の「うぉぉぉ!アモッさん!」という雄叫びと再度の爆発音が、その付近を捜していたミネアの耳に入ったからで。
その場所を見極めて、このように座っているハッサンを見つけたのだ。
そしてハッサンに一部始終を聞いたわけだ。

「身体へ振動を加えると爆発を促すらしいぜ」
ハッサンは静かに言って、指輪を恨めしげに睨んだ。
どうやら、アモッさん、と叫んだ拍子に再び爆発を引き起こしたらしかった。
「だがそのおかげで、これからの仲間が見つかってよかったぜ」
ガハハと笑うハッサンに、とりあえず笑顔で応じるミネア。
…笑い事じゃない。危険すぎる。
トルネコやブライが死んだことを考えても、このゲームに乗った人がいるのは確実だ。
そうすると、爆発を引き起こす事は危険を呼び寄せるということになる。
とりあえず絶対安静に、と彼に言い聞かせ、ミネアは考えをめぐらす。

呪いは神父でしか解けないという私たちの常識は通用しないかもしれない。
可能性は、ある。
私よりも運の無いこの人を、どうにかして助けなくては。

しかし、これといった作戦も思いつかぬまま、ぼりぼりと頭をかく男と自分の掌を交互に見つめるミネアだった。

【ハッサン(HP残り1/8+α) 所持品:E奇跡の剣 E神秘の鎧 E爆発の指輪(呪)
 行動方針:指輪を外す 最終行動方針:仲間を募り、脱出】
【ミネア 所持品:いばらの冠 嘆きの盾 悪魔の尻尾 行動方針:ハッサンの指輪を外す
【現在位置:いざないの洞窟西の山岳地帯】

314:えふえふ 1/6
05/01/04 17:37:44 vClY+UIT
城下街で悲劇が起こる中、ジタン、リノア、キーファの三人組は未だ本を読み漁っていた。

「あ~~!みつからねー」
読んでいた本を投げ飛ばし、キーファは横になった。
すでに横になっているジタンは俺の攻略本を読んでいた。

『邪法の心得』、『呪いにおける精神分析』、…etc.
呪いのことは書いてあっても解除手段についてはどれもぼかしたような表現しかない。
しかも、呪いの効果は使用者によってまちまちのようで、魔女の呪いなんてたまったものじゃない。

「ーっ、なんだこれ!?こんなものまであるのかよ!」
攻略本を読んでいるジタンがいきなり声を上げた。

「何が書いてあったんだ?」
キーファはジタンの持っている攻略本を覗き込む。
すると、アイテム紹介の欄にこう書かれていた。


えふえふ【左手装備】
形状不明の謎のアイテム。
一説によると、戦っている間に時間がおかしくなると出てくる異次元の装備。
その防御力は直接攻撃無効化という優れもの。

注)自分で装備を外してしまうと、二度と装備できない役立たずになるぞ!!気をつけろ!

315:えふえふ 2/6
05/01/04 17:39:21 vClY+UIT
おいおい、攻撃無効化かよ!!
こんなものを装備した奴が襲ってきたらまず勝ち目はないじゃねーか!!
キーファはこの内容が誤植であることを切に願った。

「…まてよ。これが間違いかどうかは別として、こんなかけはなれた効果を持つアイテムが存在するなら、首輪の解除に役立つアイテムが存在するんじゃないかな?」

「それじゃあ、その攻略本についているアイテムの効果を二人で全部読んでくれない?こっちの方もなんかわかりかけてきた気がするわ。」
リノアはようやく解決への糸口が見えてきたような気がした。

316:えふえふ 3/6
05/01/04 17:40:23 vClY+UIT
――同時刻
レーべの村の南で、二つの影が空中で交錯する。

(フッ…ジャンプ力は俺の方が勝っているみたいだな。)

飛び上がった男は自らの槍を女の喉下へ突き立てる。
勝負は一瞬で終わる……はずだった。

ギィーーーン
鈍い音が響く。二つの影が地面へと落ちていく。
男は女を凝視する。

(無傷か…仕留めたと思ったんだが)
再度男は飛び上がる。そして標的を定め降下する。

(無傷とは…やられたと思ったんじゃが)
「竜剣!!」
女はアイスソードを振る、竜騎士カインにめがけて。

(くっ…多少くらったようだな…しかし、これで止めだ!)

今度は外さないように槍を女の頭上へと精確に突き下ろす。


フライヤは自分が不利なことを知っていた。
竜騎士としての力量は戦う前からわかっていた。
剣対槍ではかなりの差ができるし、空中戦では歯が立たない。
そして今の竜剣をもってしても次の瞬間の死を避けることはできないようだった。

(…フラットレイ様、わしは…)

317:えふえふ 4/6
05/01/04 17:41:18 vClY+UIT
ギィーーーン

カインの槍がフライヤを捕らえた。
そして、最後の反撃を避けるために後方へと飛んだ。

「フッ…俺の勝ちのようだな。」
もう応える筈のない女に語りかける。
カインはその場を去ろうとした…が、その時のことだった。

「なぜ、わしにとどめをささないんじゃ!?」

(…!?)
驚いて振り返る。そこには無傷のフライヤが立っていた。

(…手ごたえはあった―なのに、なぜ倒れない!)
カインは目の前の出来事が信じられなかった。
しばらく考え、こう言った。

「同じ竜騎士を殺すのは忍びない。俺はこのゲームで親友を失った。
親友の仇を討つために人を殺してきたが、そろそろ俺はこの呪縛から解放されたいんだ。
すまないが、カインという愚かな人物がいたことを胸に留めて置いてくれ。」

そう言って自らの名をもつ槍を自分の胸にと突き立てた。
「さらばだ」
カインは目を閉じる。

318:えふえふ 5/6
05/01/04 17:42:09 vClY+UIT
「お主が死ぬことはない!!」
フライヤはそう言ってカインの槍を奪う。
「お主はまだ生きねばならぬ。殺した人への罪滅ぼしにも!」
「………。」
「とにかく、わしの仲間を探そう。もし、お主を恨んでいる者が居ればわしが説得する。」
「………すまない。」




(フッ……とんだ三文芝居だ。所詮こいつもセシルと同じだな。
とにかく、奴がなぜ俺の攻撃をかわしたのかを知らなくては。
先ほどの人外のものに出会っても、こいつを盾にすればいい。
裏切るのはそれからだ。裏切るのは俺の得意分野だからな)

フライヤの左手には腕輪状のえふえふが光を放っていた。

319:えふえふ 6/6
05/01/04 17:43:59 vClY+UIT
【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面 第一行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 第二行動方針:ゲーム脱出】

【リノア 所持品:不明 第一行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 第二行動方針:仲間と合流しゲーム脱出】

【キーファ 所持品:攻略本 第一行動方針:首輪解除の手段を探す 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】

現在位置:アリアハン城裏の図書館 (3人とも図書館で本読んでいます)

【フライヤ 所持品:アイスソード えふえふ(FF5)
 第一行動方針:カインと仲間を探す】

【カイン 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:フライヤについていき、攻撃の効かない原因を探る
 最終行動方針:フライヤを裏切り、殺人者となり、ゲームに勝つ】

【現在位置:レーべ南】

320:えふえふ
05/01/04 17:50:51 vClY+UIT
【カイン(HP 5/6程度) 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:フライヤについていき、攻撃の効かない原因を探る
 最終行動方針:フライヤを裏切り、殺人者となり、ゲームに勝つ】

修正です

321:灯りは二人を照らし 1/7
05/01/05 02:05:49 QOKw6guJ
夢を見ていた。昔の夢だった。
旅をしていた頃。僕がまだ魔法使いから賢者になりたてだった頃。

僕は皆と火を囲んで談笑していた。
昔のことを話して、笑って、大変だったんだねと答えてみたり。
皆が腹を割って楽しく過ごした時間。
その時に、みんなの過去も聞いた。僕の過去も曝け出した。

アルスは父親が死んで、でも熱心にその後を追った。
ローグは両親とも既に死んでしまっていて。でもがむしゃらに生きていた。
フルートは昔武闘家だったらしい。でも今は癒し手として頑張っている……一応。

そして僕。
僕は昔両親を無くして、遠く離れた街で暮らしていた。
敵討ちとでも言うように魔道にのめりこみ、アリアハンへと渡った。
その頃から既に賢者への道を理想と掲げていた。
そして今は…言うまでもないのだけれど、理想へとたどり着いた。

更なる理想は、僕やアルス、ローグの様な人を一人でも多く無くす事。
魔王を倒すことで、僕等はそれを成しえた。

火を囲んで笑う僕等。
他愛も無い話。昔の話。これからの話。
僕の心には氷で出来た鋭い棘があったはずなのに。
それを溶かしてくれた皆、それを折ってくれた皆。

――絶対に、これは壊させやしないと誓おう。

322:灯りは二人を照らし 2/7
05/01/05 02:06:45 QOKw6guJ


そこまでが、セージの夢だった。
目が覚めた。少し寝ぼけてはいるが、多少の寒さで完全な覚醒を手伝ってくれた。

まだ夜中だ。
でもあのまま眠ってしまっていたら、見張りが出来ない。
眠ってしまった事が既に不覚だが、マシだとは思った。

「……昔の夢なんて、あまり見ないクチだけどねぇ」

夢に出てきた仲間達は大丈夫だろうか、とふと不安になる。
大丈夫かもしれないが、もしもの事があったら…。
再会できるかわからない。地味に広いこの大地で、どうなるのだろうか。

そこまで考えて、ふと前を見た。今もやはりタバサは寝ているのだろうか…?
ふと前を見ると……見ると……。

いなかった。

え?嘘でしょ流石に。
もしや自分が寝ている間に拉致された?または殺されてどこかに棄てられた?
気分が暗いのが相まって不安を掻き立てる。

不安を隠しきれない顔で今度はベッドを見た。
もしやビアンカさんまで手に掛けられているのではと思ったからだ。
ベッドに近づいた。そして覗き込むと、

タバサがいた。

じゃあビアンカさんは……。

323:灯りは二人を照らし 3/7
05/01/05 02:08:39 QOKw6guJ



「寒いだろうから私が移動させたの。ごめんね驚かせて」
「…ああ、お気遣い有難う。確かに少し冷えるよ」

さっきの不安は既になくなっていた。
どうやらタバサをベッドへと移動させたのはビアンカだった。
彼女はセージよりも前に起きていて、そしてタバサを自分の寝ていたベッドに…という事だったのだ。

「容態は大丈夫なの?随分汗だくだったからねぇ」
「ええ、大丈夫。これでも旅をしてたから体力は自信があるのよ」
「なら良いんだけど…。ああ、そうだ。今の状況を説明したいんだけど…いいかな?」
「私からもお願い。正直ちょっと困惑してるの。記憶もないし…」
「わかった。できるだけ簡潔に纏める様努力するよ」

そしてセージは今までの出来事をビアンカに話した。
タバサと自分が出会ったときのこと。それからした行動の事。ビアンカと自分が繰り広げた死闘のこと。
そして…ピピンとサンチョが死んだこと。

「彼らに関しては、タバサから話は聞いてたからね。どうやら惜しい人だったらしい」
「うん、2人ともとても素敵な人だった…」
「……だろうね。僕も話を聞くだけでそう思えた」
「そんな事が起きてるのに…私はもっと犠牲者を出そうとしてたのね」

母親失格かもね、とビアンカは笑って言った。
声が少し涙混じりだ。かけがえの無いものを失ったのだ、当然だろう。


それを見て、セージは静かに語りだした。

324:灯りは二人を照らし 4/7
05/01/05 02:09:24 QOKw6guJ



「タバサはピピンさんが死んだと知って、悲しんでいた…。
 サンチョさんも死んでいたけれど、何故か僕の前で呟いた名前はピピンさんだけだった。
 2人の死は平等に悲しいはずなのに……なのに目の前で悲しんだ理由を1人で片付けようとしていたんだ。
 更にあの子は泣きもしなかった。涙一つ出さずに僕に前向きに話しかけてきた。
 ……やっぱりね、僕を心配させないようにさせないように、気を使ってるんだと思う。
 あの子は強い。とても強い。
 でも、今死んでいく人すら護れない僕が…彼女がもし強さを挫いてしまった時に…護れるのか判らない。
 僕は結局他人だから…上手く立ち上がらせる事は出来ないかもしれない。でも…」

溜息を付き、一呼吸置いて、そして、

「母親であるあなたなら、できる。僕と違って確実にできるんだ。
 だから、無理を言ってすまないけど…こんな事であなたに挫けて欲しくは無い」

こう、言った。

ビアンカは黙っていた。
黙って涙を拭いて、セージを見た。

そして、答える。

325:灯りは二人を照らし 5/7
05/01/05 02:10:09 QOKw6guJ



「ありがとう。そうね、あなたの言う通りだと思う。
 あの子の母親は私だし…ここで暗い顔見せちゃ怒られちゃいそうだしね。
 …頑張るわ。うん、絶対頑張る」

そして、ビアンカはセージと同じように溜息を付いた。
そして一呼吸置く。

「でもね…あなたの言ってることが1つ間違ってる気がする」
「どういう事?」

セージはつい反射的に答えてしまった。
気付いたセージが苦笑して「ごめんごめん、続けて」と言った。

「あなたはさっき『護れるのか判らない」『立ち上がらせる事はできないかもしれない』って言った。
 でもね、今のタバサの寝顔を見てると……わかるの。とても安らかに眠ってる。
 こんなふざけた戦場なのに…この子は不安の一つもなく眠ってる。
 それはあなたのおかげ。だから、あなたも…きっと大丈夫。
 タバサをこれだけ護ってくれたんだから、きっと他の人たちも護ることが出来る。
 タバサがもし落ち込んだ時も、きっとあなたも手を指し伸ばせることが出来る。そう思う」

――だから、あなたも暗い顔を見せないでね。
と…最後にビアンカはそう言って締めた。

326:灯りは二人を照らし 6/7
05/01/05 02:11:43 QOKw6guJ



「結局、お互い自信を失う機会なんてのは存在しないわけだ」
「そういう事。落ち込みたくても落ち込めないのよ、私達は」

そう言って2人は、静かに笑った。
静かに、でも子どもの様に笑顔を浮かべる。

「本当に強い人揃いだね、そっちは」
「あなたも相当強そうよ」
「魔道には自信あるよ?強いよ?」
「私はお料理には自身があるわよ?調味料の暗記にも強いわ」
「そりゃありがたい。携帯食料くらいでげんなりしてた」
「まだ食べてないんだけど、そんなにマズイの?ちょっと気になるかも」
「やめといたほうが良いよ~?一時のテンションに身を任せると良いことが無い」

灯りを囲って、2人は談笑していた。
笑って止めるセージを無視して、携帯食料を食べたビアンカが微妙な顔をする。

「私ね…実は子ども達の10年間の成長を見てないの」
「なんで?」
「私は夫と一緒に…魔物の罠にかかって石像にされちゃったの」
「あ~、それで10年経っちゃったんだ」
「ええ。夫の方は2年早く解放されたんだけどね」
「………通りで若いと思った。明らかに10歳の子どもがいる人じゃない」
「あなたと同年代かちょっと年上ってところかな?」
「そうだね、実は勢い余って惚れてるから…今」
「それ本当?」
「すみません、冗談を言ってしまいました」
「私じゃなかったら怒ってるかもね~」
「あはは、ごめんごめん。でも冗談だとわかってくれたら結構」

327:灯りは二人を照らし 7/7
05/01/05 02:13:16 QOKw6guJ




灯りを囲んで談笑をする僕らの姿は、
以前の仲間達との談笑を思い出させてくれた。

この優しい心の火を、僕はもう消さない。
命という燃える炎を、僕はもう消させやしない。


【セージ 所持品:ハリセン・ファイアビュート
 現在位置:いざないの洞窟近くの祠内部の部屋
 第1行動方針:談笑ついでに見張り 基本行動方針:タバサの家族を探す】
【タバサ 所持品:ストロスの杖・キノコ図鑑・悟りの書 
 現在位置:同上 
 第1行動方針:睡眠 基本行動方針:同上】

【ビアンカ 所持品:なし
 現在位置:同上 
 第1行動方針:談笑 基本行動方針:不明】

328:名前が無い@ただの名無しのようだ
05/01/05 02:15:22 QOKw6guJ
失礼

>>323
どうやらタバサをベッドへと移動させたのはビアンカだった。
の「どうやら」を消して読んでください…orz


329:死に至る病 1/5
05/01/05 15:33:43 78N9u+qW
『早く起きよう。起きようよ』
(起きたくない。もう、何もしたくない)
『ダメだよ。戦わないでどうするの? 誰も代わりにならないよ。僕がやらないと』
(無理だよ。僕一人じゃ勝てっこない。魔女にも、あのヒトにも)
『彼女に生きて会いたいだろ? なら、戦って生き残るか、首輪を外すとかしないとさ』
(外せるわけないだろ。僕は機械に詳しくもないし、監視カメラや盗聴器が仕込まれてるかもしれない。
 それにもう、戦いたくないよ。ずっとこうして寝ていたい)
『寝てたって、殺されるだけだよ』
(先のことなんか、考えたくない)
『彼女はどうするの? 誰が魔女のコト伝えるっていうの?
 誰がみんなを守るの? 誰が僕の代わりにゲームに乗るっていうの?』
(……)
『人に任せてどうなるものでもないだろ? だから起きよう。起きて、戦おうよ』
(イヤだ。僕が戦ったって、生き残れるわけないよ。
 僕の力じゃ、あのヒトには勝てない。勝てたとしても、あのヒトより強い奴がいるかもしれない)
『……』
(生き残れるなら……彼女に絶対会えるなら、僕はいくらでも殺せるさ。例えスコール達でも。
 でも、わかったんだよ。無理なものは無理だ。努力だけじゃ、どうにもならない壁があるんだ)
『……可能性は0じゃない。諦めたら終わりだけど、諦めない限り0にはならない』
(100でもない。50どころか1ですらない。限りなく0に近い。それって、不可能と同じだよね)
『でも、死にたくないだろ? 会いたいだろ? 帰りたいだろ!
 大切な人と、一秒でも長く一緒にいるために……そのためには戦わないと!』
(そうやって、ずっと戦ってきたよ。もう子供じゃない、黙って離れ離れにされるのは嫌だから。
 でも、それでどうなった? 僕はここにいる。彼女と離れ離れにされて。
 頑張ったってどうにもならないんだ。僕の力じゃ、どうにも……)
『諦めてどうするの! 二度と会えなくなるだけだよ!』
(もういいよ。これ以上考えたって辛くなるだけだ。頑張ったって無理なんだ。
 ……いっそ、ラクになるのも一つの手かな。そうしたら、こんな思いしなくて済むよね。
 こんな苦しい……辛い思いなんか……そりゃ、自分で死ぬ勇気もないけどさ)
『……』
(どうなったっていいよ……僕はもう、何も考えたくない……)

330:死に至る病 2/5
05/01/05 15:36:32 78N9u+qW
レーベから北西に進んだ海岸の近くで、三人は静かに焚き火を囲んでいた。
正確に言うなら八人なのだが、残りの五人は眠っている。
ターニア……彼女は未だに深い眠りに落ちたままだ。
もっとも、怪我はレナが治療したから、目が覚めても暴れだすことはないだろうが。
レナは……精神的に参りかけていた上、戦闘で溜まった疲労もあったのだろう。
白魔法で全員の手当てを終えた後、ころっと寝てしまった。
ピサロは、自分の傷を治していたと思ったら、勝手に眠っていた。
ソロが「しばらくは僕が見張りをするよ」と宣言していたせいかもしれない。
ビビは、ソロと一緒に見張りをするといって起きていたのだが、いつの間にか寝息を立てていた。
何せ、ベッドに入って二時間もしないうちにあの騒動で叩き起こされたのだ。
きっと、本当は眠くて眠くて仕方がなかったのだろう。

そして……

「本当にどうしたんだよ。コイツは」
ヘンリーが、地面に横たわらせたままのアーヴァインを見やった。
彼は、あれから意識を失ったままだ。蒼白な顔を歪め、浅い呼吸を繰り返している。
「まったく……これじゃ殴ってやることも、問いただすこともできやしねえ」
ヘンリーは苛立ちを紛らわすように、揺らめく炎に向かい小枝を投げた。
こんな状況で焚き火をするというのも目立つが、どうせこの大所帯だ。
何もしなくても十二分に人目を引くし、
いっそこちらから明りを灯して人数差を教えてやった方が、相手も戦意を喪失するかもしれない。
―それとは別に、寒いのが嫌だとか、真っ暗闇だとうっかり眠ってしまいそうだという理由もあったが。
「そういえば」
ふと、ソロが顔を上げた。
「ヘンリーさんもエリアさんも、眠って構わないんですよ?
 僕が見張ってますし、何かあったらちゃんと起こしますから」
その言葉に、エリアは首を横に振り、ヘンリーはわざとらしく舌打ちをする。

331:死に至る病 3/5
05/01/05 15:40:51 78N9u+qW
「いえ……私は平気です。それに、少し目が冴えてしまって」
「傷が痛くて眠れないんだよ。第一、眠気自体もどっかの誰かのおかげで吹き飛んだしな」
そう言って、ヘンリーはまたアーヴァインを見た。
しかし彼の場合、口で言うほどアーヴァインを恨んでいるわけではないようだ。
だいたい、本当に嫌いな相手なら、話題に出そうとすらしないだろう。
彼がデールの事を一切喋ろうとしないように。
……エリアが、アーヴァインのことについて何も触れないように。
それで、ソロは二人に気付かれないよう、小さくため息をついた。
―そのはずだったが、
「……ソロ?」
突然名を呼ばれ、反射的にビクっとしてしまう。
けれども―声の主は、ヘンリーでもエリアでもなかった。
険しい表情で一点を見つめる二人、その視線の先にあるものに、ソロはようやく気付く。
いつの間に意識を取り戻したのか。アーヴァインは瞼を薄く開けて、炎を―
その先にいるソロを、じっと見つめていた。
ソロが声をかけるより早く、彼は疲れたような声で呟く。
「僕は……生きてるの?」
「ああ、そうだ。ソロとエリアとそこで寝てるレナに、よーく感謝しとけよ。
 ソロが言い出さなければ……それで二人が納得しなかったら、お前は生きてなかっただろうからな」
ヘンリーの言葉も、アーヴァインの耳には届いてはいないようだった。
彼はただぼんやりと炎を見つめ、そして、また目を閉じてしまう。
「おい待て、寝るな! 起きろ! こっちには聞きたいことがあるんだよ!」
ヘンリーは苛立ったようにアーヴァインの襟首を掴み、肩を揺さ振った。
「……ナニ?」
眠いというより、億劫そうに彼は目を開けた。その声にも瞳にも、奇妙なほど生気が感じられない。
―まるで、レーベにいたフリオニールのように。
ヘンリーも彼のことを思い出したのか、どこか後ろめたそうな口調で聞く。
「お前は……どうして、あんなことをしたんだ?」
アーヴァインはしばらくぼんやりとしていたが、やがて身を起こし、乾いた笑みを浮かべた。
フリオニールと違い、そこにははっきりとした意思の色があった。―ひどく沈んだ、闇のような意思が。

332:死に至る病 4/5
05/01/05 15:44:02 78N9u+qW
「あんなこと? あんなことってどんなこと? 金髪の女の子を、不意打ちして殺したこと?
 あーんな重たい剣で戦おうとしたオジサンを、ティナと一緒に殺したこと?
 邪魔になったティナを、ボウガンで撃ち殺してやったこと?」
くすくすと笑いながら、世間話でもするかのように。凍りつく三人を前にして、彼は言葉を続ける。
「あ、マリベルとかいう頭巾の女の子のことかな? 止めはさせなかったけど、放送で名前が呼ばれてたしね。
 それとも、自殺しようとしてた女の子を騙して、スコール達を殺させに行かせたこと?」
「……お前……」
「あ、そっか。そこの人のオトモダチを殺したことか。
 お人よしだよね、あの人も。いくらカインが顔見知りだからって、ホイホイ着いていくなんてさ~。
 まー、おかげで僕も楽できたけどね~」
「いい加減にしろよテメエ!」
湧き上がる怒りに任せて、ヘンリーは彼の胸倉を掴んだ。
しかしアーヴァインは顔色一つ変えず、暗く沈んだ瞳で彼を見る。
「ムカツイた? なら殺せば? 構わないよ、それでも」
「……何?」
「別にどうだっていいよ。聞きたいなら答えるし、聞きたくないなら僕も喋らない。
 殺したいなら殺せばいいし、生かしておきたいならそうすれば? 僕はどうだって構わないからさ」
ヘンリーは思わず手を離した。エリアも、ソロも、何も言えずに立ちすくんでいる。
それでもアーヴァインは逃げようとしない。武器を奪い取ろうともしない。
何をするでもなく、大人しく座ったまま、自嘲とも冷笑とも取れる笑いを浮かべている。
「アーヴァイン……」
ソロはようやく気が付いた。彼の心に宿ったものの正体に。
フリオニールのような虚無ではない。デールのような狂気でもない。
彼が抱えてしまったのは、多分―『絶望』という名の、病。

「どうしたの? 殺さないの?
 ……ああ、僕がどうして殺し合いに乗ったか知りたいんだっけか。長い話になるけど、いい?」
「あ、ああ……」
ソロがうなずいたのを確かめて、アーヴァインは他人事のように話し出す。
果てしない闇を湛えた瞳で、揺らめく炎を見つめながら。
自分が凶行に走った理由を―彼と、仲間達と、魔女に纏わる全てを。

333:死に至る病 5/5
05/01/05 15:46:09 78N9u+qW
【ビビ(睡眠中) 所持品:スパス
 基本行動方針:仲間を探す】
【ターニア(睡眠中) 所持品:微笑みのつえ
 第一行動方針:不明】
【レナ(睡眠中) 所持品:エクスカリバー
 基本行動方針:エリアを守る】
【ピサロ(HP3/4程度、MP消費、睡眠中) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 基本行動方針:ロザリーを捜す】

【ヘンリー(負傷、6割方回復) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
【エリア 所持品:妖精の笛、占い後の花
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング グレートソード キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:アーヴァインの話を聞く/周囲の見張り
 第二行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す(ソロ)
           デールを殺す(ヘンリー)
           サックスとギルダーを探す(エリア)】
【アーヴァイン(HP1/3程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能)
 第一行動方針:殺し合いに乗った理由を話す 第二行動方針:『どうでもいい』。成り行きに任せる】

【現在位置(全員共通):レーベ北西の茂み、海岸付近】


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch