FFDQバトルロワイアル3rd PART2at FF
FFDQバトルロワイアル3rd PART2 - 暇つぶし2ch150:信じる理由 6/6
04/12/16 17:59:27 l4f14gUB
ファリスの思考を、雷鳴が遮った。
「なんだ…?」オルテガが呟く。
今度は、崖崩れが起きたかのような爆発音が聞こえた。
「…行こう」「ああ」二人はその方向へと駆けだした。
「お、おいっ!」
ファリスの呼びかけに呼応したわけはないだろうが、パパスが振り向いた。
「妹がいるといったな」
「あ、ああ…」
「このゲームで…命を懸けても、守りきるのだ。いいな」
そういうと、パパスは踵を返して、レオとは反対方向の、森の奥へと消えていった。
ファリスはぼんやりと、パパスの言葉の重さも知らないで、ただなんとなく、
姉じゃなくて兄に思われてるのかなあ…と考えていた。



【レオ 所持品:吹雪の剣 鉄の盾 神羅甲型防具改
 第一行動方針:ケフカ殺害 基本行動方針:ゲームに乗らない】
現在位置:レーベ南の森南東部→奥

【ファリス 所持品:王者のマント 聖なるナイフ 
 第一行動方針:? 第二行動方針:仲間を探す】
現在位置:レーベ南の森南東部
※ファリスがオルテガたちの後を追うかどうかはわかりません

【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
 第一行動方針: 第二行動方針:アルスを探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪
 第一行動方針:レオを止める 第二行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
現在位置:レーベ南の森南東部→音の方向(南部、ピエールたちのいる場所)


151:覚悟1/2
04/12/16 18:58:38 qmIoh3ho
―殺された、自分達のせいで。

―もういない、ラグナもエーコも。


「畜生…!」

(フン、負け犬の遠吠えだな。)

マッシュの頭の中で誰かが応える。
―兄弟子のバルガス。

まだダンカン師匠に弟子入りしたての頃、何度試合をしても奴にはかなわなかった。

(畜生…!なぜだ、なぜ…勝てない?)

打ちのめされ、傷だらけで地面を這いながら何度も俺はそう呟いた。
そしてそんな俺に、何度も奴はこう吐き棄てた。

(ふふ…、才能の差だ。俺は師匠の実の子だからな。赤の他人であるお前とは違う。)

―こんな時にあの頃を思い出すなんて。修行不足なんて言葉じゃあ…済まされないな。

2人の亡骸を前にして跪いたマッシュの目に、とめどなく涙が溢れた。


152:覚悟2/2
04/12/16 19:01:29 qmIoh3ho
「弔って…、やらなくちゃね。」声が、震えていた。
アイラは平静を装ったつもりだった、こみ上げてくる言いようの無い怒りと悲しみをこらえて。

(恐らく2人ともすぐには立ち直れないでしょうね、さっき助けた彼女も頭を抱えて震えているし…
 ここで私がしっかりしなきゃ…、…?)

―それは取り越し苦労だった、涙を払いながらゆっくりと立ち上がる2人。

―彼等は強い。
話を聞いたわけでも、本を読んだわけでもない。
それぞれの世界で、それぞれの困難に立ち向かいそれを打破した者たち。自分と同じその力を彼女は感じ取っていた。
物からではなく人々の記憶からでもなく、今目の前に息づくそれそのものの存在から直に。

「そうだな、人殺しの…せめてもの罪滅ぼしだ。」
スコールは言った。何か吹っ切れたような、清廉な表情で。

「とりあえずアイラは脅えてるそいつに付いててやってくれ、あとは俺達がやる。」

そう言って振り返ったマッシュの目は、ティナを信じたあの時と同じ光が宿っていた。

「ええ、分かったわ。私もくよくよしていられないわね。」
アイラは、励まそうとした二人に逆に励まされた気がした。

(もうこれ以上誰も殺させない、仲間は俺達が守る。)

2人の覚悟が宿った表情を、青白い月灯りがより洗練なものにしていた。

153:覚悟
04/12/16 19:02:40 qmIoh3ho
【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石
 第一行動方針:2人の弔い 第二行動方針:ゲームを止める】
【アイラ 所持品:ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ
 第一行動方針:ティファの介抱 第二行動方針:ゲームを止める】
【ティファ 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×5)、エアナイフ
 第一行動方針:不明】【現在位置(四人共通):東山脈中央部の森・川辺付近】

154:小五ロリ 1/4
04/12/16 19:16:59 39AOIalb
死闘から一寸時を刻んだ後…
セージはビアンカの支給袋を勝手に弄っていた。
本人の許可が無いのは気が引けるが、疲弊している女性を起こすのはもっと気が引ける。
何か武器が無いかと探していると……何かを掴んだ。

「なんだか同じような手順を踏んでる気がするけどねぇ…」

またハズレなのか、という思いが脳裏を駆け巡る。
実際、中の手触りは紙だ。もうその時点で武器ではない。気分は最悪。
一気に手を出すと、その手に握られていたのは…とても見知ったものだった。

「うわ、懐かしいなまた」

出てきたのは、巻物。
開くとやっぱり。小難しいことが書かれている。

「お兄さん、これは?知ってるものなの?」
「ああ、もう懐かしすぎてたまんないね。
 これは悟りの書といって、僕が賢者となる為に手に入れなければならなかった道具なんだ。
 これを"神に選ばれし人間"が理解して、特別な修行をすると"賢者"を名乗れるようになる」

タバサに手渡すと、最後にこう付け加えた。

「早い話、僕の為の魔法教法」

155:小五ロリ 2/4
04/12/16 19:18:32 39AOIalb

タバサはセージの言葉を聞いた後、静かに悟りの書を開いた。
「セージがかつて使っていた魔道書」と言う肩書きに惹かれたのだ。
要するに、深い探究心と好奇心だった。


――なんだろう。
理解はできないけど、何か不思議な感じがする。でも嫌な感じじゃない。
この本が魔力を持ってるのか…内容に秘密があるのか…
それはよくわからないけれど、凄い物だと思う。

「魔力という概念」「魔術師と僧侶の力の根底」「"呪文"の定義」
「"悟り"とは何か」「魔力と全ての生物の関係」「魔道の光と闇」

軽く流して呼んだだけでもこれほどの事がかいてある。
本格的に読み取ってみると、もっと細かい知識が詰め込まれている。

グランバニアの本には書いていない話が、
グランバニアの魔術師が教えてくれない経験が、
グランバニアの…いや、全ての世界の本や魔術師が「知らない」領域が、
その全てが、この巻物に詰め込まれているとすら感じてしまって――

「…~い…バサ……タバサ~、ねぇタバサ。お~い…」
「………え?ええ…え!?あ、はい!!」

周りの音が聞こえないほどに、没頭してしまった。

156:小五ロリ 3/4
04/12/16 19:22:55 39AOIalb


「面白かったかい?」
「うん…何か知らなかった事が多すぎて、私の世界の人も知らないことがあって…」
「魅力を…感じた?」
「うん!凄く!ねぇお兄さん、もし良かったら…これ貸して!お願い~!」
「え?ああ、良いよ。理解できなくても暇つぶしにはなるだろうし、少しでも理解できたら儲けものだしね」
「ありがとう!」

タバサが子どものように…いや、この姿が正しいのだろうが、はしゃいで喜んだ。
そしてすぐに、また巻物を開いた。熱心に読んでいる。並みの子どもは持っていない集中力だ。

それを見た後、セージがベッドに視線を移した。
静かにビアンカが寝ている。汗が引き、静かに眠っていた。
「とりあえず越えたね…峠は」と、安心した様子で視線をタバサに戻すと…

「あらら、寝てるじゃん。まぁ子どもだもんねぇ…はは、仕方ない仕方ない」

セージは軽く楽しそうに笑い、
寝ているタバサの隣にある袋に手を伸ばした。
そして悟りの書を、そっとタバサの袋の中に入れてあげた。

そして思う。

157:小五ロリ 4/4
04/12/16 19:24:06 39AOIalb



あの子は確かに、そして明らかにあの巻物の内容について答えた。
勿論浅くだろうが…内容を読み取れるという何よりの証。

更にあの子は、あの書に魅力を感じた。
この世の理すらも書き連ね、優秀な魔術師も根を上げる程の…あの書の重みも感じなかった様だった。

もうこれは、才能という領域を超えているのかもしれない。
何が「少しでも理解できたら儲け物」だ。
この書を持ったものは、神に選ばれし者を除いては全て「理解できない」のだ。
「少し勉強になったかも」とか、そんな中途半端な感想は絶対に得られない。

「ナルシストだ」と言われようが、自分に非は無い。
本当に賢者は「神に選ばれし者」だ。そしてあの書を理解できるものもまた「神に選ばれし者」だ。
かく言う自身も…この世界で神に選ばれ、そうなるべくして世に生を受けた様なものだ。
だが、あの子は別の世界で生まれた。その世界で「天空の勇者」と呼ばれた人間の子孫として…。
この子は特別だ。そしてもう、その道の軌道に乗っている。

「兄が勇者なら妹は賢者…か?
 だけどこの子…僕の様な魔道に詳しい人間が教授すれば……化けるぞ」

そこまで思考を進め、彼は眠る事にした。

明日はどんな修羅場が待ち受けているのか。
そしてこの子がどう成長していくのか。

そう考えながら。

158:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/16 20:14:40 3eZb/q7d
【セージ 所持品:ハリセン・ファイアビュート
 現在位置:いざないの洞窟近くの祠内部の部屋
 第1行動方針:睡眠 基本行動方針:タバサの家族を探す】
【タバサ 所持品:ストロスの杖・キノコ図鑑・悟りの書 
 現在位置:同上 
 第1行動方針:同上 基本行動方針:同上】

【ビアンカ(疲労回復) 所持品:なし
 現在位置:同上 
 第1行動方針:睡眠中 基本行動方針:不明】

だそうです。

159:殺人嫌悪
04/12/16 23:13:29 N/m/9JYs
「うっ、がぁっ、ゲホゲホッ」
胸の中が熱い。胃の中の物が込み上げる。
思わず中のモノを吐き出す。誰かに見られていては出来ないことだが。
―冗談じゃない。アレは…何だと言うのだ!
自分にあるのは生き残りへの願望だ。
それは正しい。人間である者に平等に与えられた欲望だ。
―だが、アレは何だと言うのだ!
生き残るために手段を選ばないのなら、分かる。
―だが、アレは何だと言うのだ!
見た目は貴族風だったと思う。
否、寧ろ王族のようだった。
それが、何をした?
生き残るために誰かを殺したのではない。
己の本能、欲望、そして…快楽。
そのために人を殺したか。
―アレは何だと言うのだッ!
認めるか。
確実に、このゲームは、人の心を蝕んでいるのだと。
そして、狂気に満ちたあの『怪物』の存在を。
自分の見た映像が心から早く消え去ることを祈った。
知らずの間に己に芽生えた殺人に対する嫌悪感などに、気がつくはずも無く。
「未だ、様子を見る必要があるか」
未だ拭えない吐き気を抑えながら、再び大地に目を向けた。

【アルガス(視覚聴覚向上) 所持品:無し 現在位置:ナジミの塔最上階 
 行動方針:偵察し、使えそうな人物をこのステージの間に捜す
 第二行動方針:多くのアイテムを集めておく
 最終行動方針:どんな手を使ってでも生き残る。但し、本人は気づいていないが殺人に対して嫌悪感アリ】

160:静かなる・・・
04/12/17 01:45:52 Vphp0qAV
鳥の鳴き声が途絶えたのはいつだったか。
けたたましく、響きわたっていた、フクロウの声はどこへ消えたか。
ザックスは上方を仰いだ。
さくり、と草を踏む普段は気にもならないような音がやけに騒々しく聞こえる。
ザックス達3人はマシンガンによる奇襲者から少しでも距離を稼ぐべく、
さらに樹々の間隔がせばまった感のある 森の奥地へと入り込んでいた。
押しつぶされそうに濃い緑の間からもれる月の光は、ほんのわずかしかない。
「……静かですね」
シンシアがささやくように言った。互いの呼吸音さえ鮮明に聞こえる程の静寂の中で、地声は不要だった。
「そうだな…」
しん、と澄みわたる空気に、自分の呟きが吸い込まれていくような。
そんな錯覚をおぼえながらも、ザックスは別のことを考えていた。
「ザックス?」
自分の緊張が伝わったのか、ランドが不安そうに声を揺らした。
「……知ってるか、ランド」
肩に引っかけたザックを、わざと音を立てて担ぎなおす。
「音のない森には何もいないんじゃない。何かがいるんだ」
森に住む生物は、食物連鎖の上位に立つ存在を確認したとき、いっせいに息を潜める。
ここに餌になるものは居ないのだと、主張するかのように。
「それってつまり…」
「…ああ、オレ達の他にも誰かがいるってことだ。それも割と近くにな」
ランドの喉が緊張のためかごくり、となった。
―そしてシンシアの持つ対人レーダーに新たに2つの反応を捕えることになるのは、
間もなく数秒後のことだった。

【ザックス 所持品:スネークソード 毛布 
現在位置:アリアハン北部の森奥地 
第一行動方針:襲撃があった場所から離れる 第二行動方針:主催者に一泡吹かせる】
【シンシア 所持品:万能薬 対人レーダー 煙幕×2 毛布 
現在位置:同上  行動方針:ザックスについて行く】
【ランド 所持品:オートボウガン 魔法の玉 毛布 
現在位置:同上 行動方針:ザックスたちについて行く】

161:魔物の襲来1/4
04/12/17 17:36:26 mRmWV17t
冷えきった夜風が顔を叩きつけ、その拍子にハッと目が覚めた。
どうやらうたた寝していたらしい。辺りを見ると、世界はすっかり闇に包まれている。
なんてこった。屋根の上などという見晴らしのいいところで、堂々と居眠りするなんて。
目を凝らし、闇に目を慣れさせようとすると、あの忌々しい記憶がに再び蘇った。
悲鳴を上げ、混乱して泣き叫ぶ女性。
わけの分からないことを言いながら、その女性を八つ裂きにする若者。
カインは頭をぶんぶんと横に振り、なんとか振り払おうとした。
しかし、あの光景が鮮明に目に焼きつき、脳裏から離れようとしない。
――いつまでもこんなところにいるのは危険だ。どこかに身を隠してゲームの様子を伺おう――
混乱し、しかしどこか冷静な頭がそう告げる。
彼がそれに従い、屋根から移動しようとした、その時だった。あの魔物の声が聞こえたのは。
「見ぃつけた」
カインは凍りついた。あいつが、いや、アレが、まさかこんなにも早く自分の前に再び現れるとは。
今一番見たくなかったアレが…もはや魔物に、いや、それよりも醜い存在であるアレが!
震えあがるカインを正面に見据え、デールは続ける。
「お前はマリア義姉さんを壊した時にいたな?…あの時の続きだ。こいつと戯れろ。」

162:魔物の襲来2/4
04/12/17 17:37:13 mRmWV17t
あの時自分を襲った得体の知れない武器。
それが再び金切り声をあげようとする寸前、カインは咄嗟にジャンプして回避した。
一瞬前まで自分が座り込んでいた屋根が無数の鉛に襲われ、蜂の巣のようになっていくのを尻目に、
着地して最初に視界に入った民家のドアを蹴破り、中に逃げこむ。
テーブルを倒し、その裏側に隠れた瞬間、またも鉛の風が先ほど蹴破ったドアの方から吹き荒れた。
鼓膜が破れそうなほどの轟音がし、家の中にある全ての物が破壊されて行くなか、アレが狂った叫び声を上げた。
「逃げるなああ!僕に壊されて死んでしまええぇぇぇぇえぇえ!!!」
ぞっとするような、悪魔の雄叫び――それを聞きながら、カインはこの劣勢を打開する策を練っていた。
この状況下で、相手の不意をつき、かつ自分にできる確信がある行動…竜騎士には、短時間では一つの策しか思いつかなかった。
相手の周りはさっきから謎の飛び道具を乱射しつづけたせいで、白い硝煙と火薬の匂いに包まれている。
そのせいでこちらの動きはまったく見えない筈だ。だとすればやるなら今しかない。

槍を垂直に上へ向かせ、自らも真上へ飛びあがった。

ランスオブカインは天井を屋根を貫き、一気にレーベの村の上空まで使い手を舞い上がらせた。
今度は逃げるためのジャンプではない。挑むために。あの魔物の息の根を止めるために。
上昇がとまり、村への落下が始まるのを確認した上で槍を真下に向け、狙いを定める。
硝煙で出来た白い塊めがけて、一直線に降下し…

ガシャッという妙な音がした。
槍があの得体の知れない飛び道具を貫き、破壊したのだ。
これさえなければ後は簡単、剣に関しては素人のあいつに負ける筈はない。…はずだった。

163:魔物の襲来3/5
04/12/17 17:39:34 mRmWV17t
辺りにはあの魔物の姿は見えなかった。
恐る恐る、足元に転がった武器を見てみると、カインは目を見開いた。
武器を握っていたのはあいつじゃない。指輪をはめた、細い指…それが柄に巻きついているだけだ。
武器の方も両側の壁から紐で固定され、丁度人が持っている高さに合わせてあった。
なんてこった。相手の動きが見えていないのは俺も同じじゃないか!
気づいた所でもう何もかもが遅い。

背後からの殺気に振り向く間も無く、槍を持った左腕は根元から斬り落とされた。

「っっっぐああああああぁああぁぁああっっ!!!!」
なにが起こったかわからない。
ただ確かなのは、左腕を失った事、自分が痛みに絶叫を上げた事、そして…魔物が背後に立っている事。
「…綺麗な声じゃないか。マリア義姉さんの歌を真似たのかな?」
言いながら、デールは彼の右足に剣を突き刺す。
「ぐッく…か…」
「結構結構。鈍くて太くて、義姉さんとは違う良さだ。もっと聞かせておくれ。」
今度は左足を刺した。

164:魔物の襲来4/5
04/12/17 17:42:22 mRmWV17t
…俺って、駄目な奴だな…
バロンにいたころも常にセシルに上に立たれ、ローザにも告白できずにいた。
―ドウシタ?モット聞カセテオクレヨ――
その劣等感からか、ゴルベーザの誘惑から逃れられなかった。
裏切り者の汚名を着せられる代わりに、セシルを超える力を得た。
―壊レタワケジャナイダロウ?ソノタメニ手加減シテヤッテルンダカラ…
そのくせ、あっさりとセシル達の本に戻ったんだよな…
彼等の敵になりきれず、どっちつかずの中途半端な立場に立ちつづけて。
―…オイ!ナントカ言エ!――
だから再び彼らを裏切ってしまった。そして、またもあっさりと寝返った。
それでも、セシルは俺を許してくれた。
親友として育っていながら常に敵対意識を持ち、二度も裏切った俺を。
―ナントカ言ッタラドウナンダ!エエ!?―
その時、俺ははっきりと悟った…セシルには勝てないと。
こいつは、俺よりも遥かに大きい人間だと。
それに引き換え、ゼロムスを倒した後も山に篭り、あいつの顔を見る事すら出来ない俺…
そして今、殺人者にもなりきれず、途中で倒れてしまう俺…
―…シネ…―



165:魔物の襲来5/5
04/12/17 17:43:34 mRmWV17t









   俺   っ   て   、   駄   目   な   奴   だ   な   …











【デール 所持品:リフレクトリング(マリアの指にはまったまま)、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく)
 現在位置:レーべの村
 第一行動方針:バーバラと会い、殺害する 第二行動方針:皆殺し(ヘンリーが最優先)】

【カイン 死亡】

銃声や悲鳴はレーベ村周囲まで響いてます。

166:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/17 19:58:39 mRmWV17t
>>161-165は無効です。
詳しくは感想スレにて。

167:誰が誰を殺したか 1/7
04/12/17 20:22:26 7Ic1WgoN
【21:06】
 アーヴァインは、ベッドの中で必死に眠りにつこうとしていた。
 元来のナイーブな性格、そして状況が状況ということも手伝い、睡眠状態に入っても三十分程度で目が覚めてしまう。
 それを何度も繰り返した挙句、彼はついにベッドから身を起こした。
 眠れないといっても休むことは休めたし、夕飯も食べたので、疲労感は大分減っている。
 帽子をかぶり、相変わらず血のついたままのコートを羽織って、額を抑えながら扉をくぐった。
 見張りをしていたピサロは、寝室から出てきたアーヴァインを一瞥したが、沈黙を続ける。
 「オジサン、誰~?」
 アーヴァインは微妙に眠たそうな声で、わざとらしく目をこすりながら話し掛けた。
 「……ソロの知人だ」
 ピサロは不機嫌そうに答える。
 人間への感情がそうさせたのか、オジサン呼ばわりが不服だったのか、どちらが原因かはわからない。
 けれどもアーヴァインは気に留める様子もなく、いつものように微笑みながら言った。
 「ふーん。ソロ、知り合い多いんだね~。
  やっぱり人柄って奴かな。すっごい親切だし、色々できるし、きっと女の子にもモテモテなんだろね~」
 「………」
 「あ、そうだ。オジサンさぁ、銃とか持ってない?」
 「ジュウ?」
 ピサロには聞きなれない言葉だった。それで初めてアーヴァインに興味が湧いたらしく、彼の顔を見る。
 「ジュウ、とはなんだ?」
 「知らないの? うーん……説明しづらいけど、鉄製の筒にボウガンみたいな引き金がついてる奴だよ。
  火薬入りの弾を込めて、筒の中で火薬を爆発させて、その勢いで弾を撃ち出すって武器なんだ」
 「鉄製の筒……ビビの袋に入っていた、アレのことか?」
 ピサロの呟きに、アーヴァインは目を輝かせる。
 「持ってるの?!
  僕、もともと剣より銃の方が得意なんだ。持ってるなら譲ってほしいんだけど」
 ピサロは答えない。その顔には、拒否の意思が露骨に表れている。
 「この剣と交換でも、ダメ?」
 「悪いが間に合っている。それに、見ず知らずの人間に武器をくれてやるほどお人よしになった覚えはない」
 「そっか……それもそうだね。ゴメンナサイ、わがまま言っちゃって」

168:誰が誰を殺したか 2/7
04/12/17 20:26:45 7Ic1WgoN
 アーヴァインはあっさりと引き下がり、頭を下げた。それから突然思い出したように言う。
 「そうそう。目が冴えちゃって眠れないから、少し外に行ってきてもいいかな?」
 「勝手にしろ」
 どうしようもなく突き放された返事だったが、それでもアーヴァインは笑顔を崩さない。
 「うん、そうするよ。でも、帰ってきたら五回ノックするから、そうしたら中に入れてね」
 ひらりと身を返すアーヴァインに、ピサロはふと、顔を上げる。
 「待て。朝になる前に、その服をどうにかしておけ。連れの娘が目覚めたときに騒ぎ出す」
 「え、服? 騒ぎ出すって……あ、もしかして血が怖いとか?」
 「そうだ」
 「わかった。ついでだし、着替えも探してくるよ」
 飄々と外に出て行くアーヴァインを、ピサロは相変わらずの冷めた視線で見送った。

【21:43】
 ギルバートは、一人でベッドに寝そべっていた。
 彼もどこぞの誰かと同じように、眠れぬ意識を闇に沈めることに全力を注いでいたのだ。
 けれども、彼もやはりシーツを捲って飛び起きることになる。
 ただしアーヴァインとは違い、ギルバートは窓の外から鳴った音に反応しただけだ。
 こんこん、という、風の揺れでは有り得ないノックのような音に。
 「誰か、いるのか?」
 その言葉に答えるかのように、再びこんこんと音が鳴る。
 ギルバートは身をかたかたと震わせながら、それでも窓に手をかけた。
【22:01】
 待ちくたびれてテーブルに突っ伏していたバーバラは、ノックの音で跳ね起き、慌てて扉を開けた。
 戸口に立つ青年を見て彼女は首を傾げ、すぐに何かを思い出したようにポンと手を打つ。
 そして、彼女は青年を家の中へと招き入れた。
【22:05】
 エリアとレナは同じ部屋の中で、修学旅行中の女学生のごとく、仲良くお喋りをしていた。
 そこへ寝室にいたギルバートが、「外に行ってもいいかな?」と聞いてきた。
 臆病なギルバートが夜に一人で外に出て行くなんて……
 珍しいこともあるものだと思いながらも、レナは「気をつけて」と返事をした。
 ギルバートが去ってから、エリアが「明日、雨が降るかもね」などと呟いたが、二人ともそれ以上は気にしなかった。

169:誰が誰を殺したか 3/7
04/12/17 20:30:15 7Ic1WgoN
【22:12】
 カインは、赤い髪の少女と青年が揃って民家を出るのを確認した。
 二人は一旦別れ、赤い髪の少女が小走りでどこかへと向かう。
 それを見て、カインは冷笑を浮かべた。
【22:14】
 一人の若者が、町の入り口に立っている。彼は羽飾りのついた帽子をかぶりなおし、静かに歩き出した。
【22:16】
 空を見上げるアーヴァインの背後に、一つの影が近づいていく。
 影は彼の耳元で何事かを囁く。アーヴァインは目を見開いて、人影を振り返った。
【22:21】
 宿屋の外で血飛沫が上がったが、誰も気付かない。
 宿屋の中からでは直に見ることができない場所で、静かに行われた出来事だったので。
 そして見張り役のピサロは銃に興味を持ち、色々といじりまわしていたので。
【22:25】
 カインの目が、逃げるバーバラと追うデールの姿を捉えた。
 鬼ごっこが始まったようだ。さて、彼女はどこまで頑張れるか。
【22:27】
 顔の半ばまでをマントで覆い、赤い羽付き帽子を頭にのせた男が
 血溜まりに落ちたカウボーイハットを見つめている。
 その傍には数mほど何かを引き摺ったような跡が、砂に滲んだ赤い線とともに残されている。
【22:34】
 カインは屋根の上に佇み、あの時と同じように下界の様子を眺めている。
 彼の眼下で繰り広げられる光景も、あの時のソレと良く似ている。
 いや、似ているどころか、二人の登場人物のうち片方はあの時の『アレ』だ。
 最も、もう片方の赤い髪の少女は、無抵抗どころか必死の形相で逃げ回っているが……
 そろそろ痺れを切らした『アレ』が、マシンガンを撃ち始めるだろうとカインは読んだ。
 第一、そうしてくれなければ彼としても困ることになる。
【22:36】
 タイプライターにも似た銃声が、レーベの夜空を震わせた。

170:誰が誰を殺したか 4/7
04/12/17 20:31:37 7Ic1WgoN
【22:37】
 宿屋の屋根の上に、赤い羽つき帽子をかぶった人影が立っている。
 彼の眼下では、ソロとビビとピサロが険しい視線を赤い水溜りに向けている。
 ソロが青ざめた表情で、大きな切り傷のついた帽子を拾い上げた。
 彼の中で、山奥の村での記憶と目の前の光景がオーバーラップする。
 帽子からこぼれた、やはり血濡れの茶色の髪に、彼は虚ろに呟いた。
 「なんで……どうして、こんな……」
【22:39】
 エリアとレナは、地面の上に倒れたギルバートの傍にくずおれていた。
 彼の胸は何かで刺し貫かれていて、そのくせ出血は殆ど無く、はたから見れば道端で眠っているだけのようにも見える。
 けれども彼が既に息絶えていることは、間違いようのない事実なのだ。
 二人は泣いた。その涙が、蝋人形より白く変わった頬に落ちて弾けた。
【22:43】
 バーバラは窮地に追い込まれていた。
 足はいい加減に限界に近い。けれども止まれば、すぐに銃弾が彼女の胸を撃ち抜くだろう。
 彼女は涙をいっぱいに溜めながら叫んだ。
 「ひどいよ―約束が違うよぉ!!」
 その言葉が、本当は誰に向けられたものなのか。真意を知るのはバーバラと、二人だけ。

【21:15】
 ピサロに言われたとおり、店で服を探して適当なモノに着替えたアーヴァインは
 夜風の涼しさを身に受けながら、地面を蹴って屋根の上へと飛び上がった。
 目的は二つ。周辺の地理を確認し、いざという時の逃走経路を確立するためと……
 先ほどの赤い髪の少女、あるいは彼女の行き先を知っていそうな人物を探すためだ。
 そうして高みに飛び移った彼は、自分と同じように月下に佇むカインの姿を捉えた。
 カインも彼に気付いたか、無言で槍を構える。アーヴァインは剣を抜く―わけもなく、わざと大げさな身振りで両手を上げた。
 そのポーズのまま宙を跳び、カインの近くへ着地する。
 「まだ起きてる人もいるし、こんなところで戦ったら絶対に聞こえるよ。
  寄って来られても困るし、面倒でしょ? ここはちょっと、休戦ってことにしてくれないかな」
 「……」

171:誰が誰を殺したか 5/7
04/12/17 20:36:23 7Ic1WgoN
 カインは一瞬の躊躇を見せたが、勘が目の前の男も自分と同じ人種なのだと告げたか。
 あるいは、先ほどのショックが未だ抜けきれていないがためか。
 ともかく彼は槍先を静かに下げ、「何の用だ?」と聞いた。
 アーヴァインは自分の名を名乗ってから、手短に用件を告げる。
 「赤い髪の女の子を探してるんだ。見かけたなら、どこへ行ったか教えてほしいんだよね~」
 「赤い髪……この家に一人いるが、女の子という年齢ではないな。写真はないのか?」
 アーヴァインは自分の袋から参加者リストを取り出し、ページを開いてカインの足元へ滑らせる。
 「その子だよ。名前はバーバラっていうらしいね」
 「ッ……バーバラ、だと?!」
 カインの声に、驚愕と、ほんのわずかな恐怖が混じる。
 「知ってるの?」
 「アレが呼んでいた名だ」
 「アレ?」
 「見た目は貴族か王族風の男。中身は人を壊すことしか考えない化物だ」
 「コワ、ス? コロスじゃなくて?」
 首を傾げるアーヴァインに、カインは先ほど見たことの一部始終を語った。
 話が進むにつれ、アーヴァインの顔に「聞かなきゃ良かった」という色がありありと浮かんでいく。
 「わーぉ……本当にサイアクだね、ソレ。
  僕も人のこと言えた義理じゃないけどさ……でも、さすがにそこまではやれないし、やらないよ。
  ―で、ソイツがバーバラって名を呼んで、しかも女性と待ち合わせしてるってコトは……」
 「言い方からして、以前からの知り合いというわけではなさそうだった。
  それに奴が歩いてきた方角と、待ち合わせ場所になる施設を考えれば」
 「答えは一つしかない、ね」
 カインはうなずき、大きく舌打ちした。一方、アーヴァインは顎に手を当て考え込む素振りを見せる。
 「ねぇ、モノは相談なんだけどさ」
 その瞳に宿る輝きは、大胆不敵にして冷徹な、プロの狙撃手のものだ。
 「多分、僕とオジサンって同じこと考えてるクチだと思うんだよね。
  だから正直に話すけど、バーバラは僕の武器を盗んで逃げた。
  そして今の話からすると、まだこの村にいる可能性が高いってことになる」
 「……取り戻すのに手を貸せ、と?」
 カインは鋭い眼光をアーヴァインに向けた。アーヴァインも、微動だにせず視線を受け止める。

172:誰が誰を殺したか 6/7
04/12/17 20:44:16 7Ic1WgoN
 「盗られたのは小手とボウガンとナイフ。小手はオジサンに譲るよ。
  僕はボウガンが戻ればそれでいい。
  それともう一つ―どうせ目的が同じなら、いっそのことこれから先も手を組んだ方が早くない?
  二人で力を合わせれば、この状況を利用して一気に人数を減らせるかも……ってね~」
 カインはアーヴァインの言葉を黙って聞いていたが、やがて、にやりと唇の端を吊り上げた。

【22:42】
 「どうだ、そっちは?」
 カインは、背後に降り立ったマントの若者に声をかける。
 「イイ感じ。でも、難しいのはここからだけどね。
  あ~あ、やっぱりきちんとした銃がほしいな~。後で奪ってこようかな~」
 緩いウェーブのかかった茶色の髪。そして、真冬の海を思わせる、深い青の瞳。
 ギルバートの帽子とマントを纏ったアーヴァインは、シニカルに笑う。

 最初にバーバラに会ったのはアーヴァイン。
 彼女にカインから聞いた話を伝え、デールを引き付ける囮となるように説得したのだ。
 窮地になったら助けると言いくるめて―もちろん本当に助けてやるわけも、そうするだけの義理もない。
 ボウガンと小手はその時に返してもらっている。信用させるために、ナイフは彼女にくれてやった。
 そして、ギルバートを外へ誘き出し気絶させたのは、数度だが面識があったカイン。
 彼を宿屋の前で始末したのはアーヴァインだ。
 心臓を貫いた死体を民家の前に運んだ後で、彼は自分の帽子と一束の髪を斬り、
 ギルバートの血痕と組み合わせて自身の死を印象付ける小道具に仕立て上げた。
 もちろん姿を見られてはまずいから、ギルバートのマントとついでに帽子を奪い、簡単に変装をして。

 銃声を聞かせて、余裕と冷静さを奪う。直後に人の死を見せ付けて、平常心と判断力を奪う。
 ここまでは上手くいった。だが、問題はこの先だ。
 それとは知らずに陽動役を果たすデールを―忌々しいが―多少は援護しないといけないし、
 ある程度戦力が分断したら、さらに騒ぎを起こして混乱させなくてはならない。
 そうしてパニックが広がりきったところで、本格的な襲撃に移る―そこまでが、二人の『計画』。
 だが、果たして九人の標的がこの先どう動くか。こればかりは予測がつかない。つけようもない。

173:誰が誰を殺したか 7/7
04/12/17 20:48:06 7Ic1WgoN
【アーヴァイン(HP4/5程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) グレートソード  キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:村にいる人間を襲撃し、殺害する 第二行動方針:ゲームに乗る】
【カイン 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:村にいる人間を襲撃し、殺害する 第二行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【現在位置:レーベの民家(バーバラがいた家)の屋根の上】

【ビビ 所持品:スパス
 第一行動方針:ピサロについていく 第二行動方針:仲間達と合流】
【ピサロ(HP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:不明。宿屋に残るか、銃声の方に行くか… 第二行動方針:ロザリーを捜す】
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
 第一行動方針:不明。宿屋に残るか、銃声の方に行くか…】
【現在位置:レーベの宿屋前】

【エリア 所持品:妖精の笛 占い後の花
 第一行動方針:レナについていく 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:バッツとファリスを探す】
【現在位置:レーベの民家(バーバラがいた家とは別)の前】

【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:バーバラを殺害する 第二行動方針:皆殺し(ヘンリーが最優先)】
【バーバラ 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:とにかくデールから逃げる 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】
【現在位置:レーベの村の外れ】

【ギルバート 死亡】
【残り 98人】

174:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/17 21:18:50 7Ic1WgoN
>>173
追記
【ターニア(睡眠中) 所持品:微笑みのつえ
 第一行動方針:?】
【ヘンリー(負傷、睡眠中) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:傷の治療】
【現在位置:レーベの宿屋・寝室】


175:月光 1/2
04/12/18 16:58:14 0hbZGX1T
「アハハハッハッハハハハハハハッハハ」
村の外れに笑い声が響く。デールはマシンガンを放ちながらバーバラを追い詰めていく。
「驚いただろ?理知的な紳士が実はこんな狂人だったなんて。アハハハハハハ。悪いけど、私はね狂っているつもりはないんだ。
皆が踊りを楽しむように、食事を楽しむように、私には殺しが楽しいのだよ。私はあなたが叫ぶ声を聞きたいのだよ。
ははは、叫べ叫べもっと叫び声を聞かせておくれ。もっともっと絶望に満ちた声をもっと…」
デールはそう言いながら逃げるバーバラの右足を打ち抜く。バーバラは糸の切れたマリオネットのように地面に倒れた。
(…いやだ、私死にたくない、死にたくない、助けてよ、約束でしょ、助けて助けて助けて)
バーバラは知っていた。あの二人が助けに来ることはないことを。
「アハハハ、もう鬼ごっこは終わりみたいだね。」
月光が二人を包む。二人を邪魔するものは誰一人いない。バーバラの所持品が先ほどの銃撃でこぼれ落ち、あたり一面に様々な草がばら撒かれていた。
(…あたし死ぬのかな。死んだらどうなるんだろう。あのとき消えてしまうのとおなじなのかな。…月が綺麗。
いろんな草が月に照らされて輝いてる。特にあの真ん中の草。とても輝いてる。手、届くかな。届くみたい。この草…)
「そろそろお話は終わりだ。」
銃声が響く。
胸を打ち抜かれたバーバラの死体が月に照らされている…

176:月光 2/2
04/12/18 16:59:53 0hbZGX1T
はずだった。

「いない、どこへ消えた!小娘どこへどこへ!」
バーバラが目の前から消えてしまった。デールには今何が起きたのかわからなかった。
「くっ、逃げられたか。次にあったときは必ず壊してやる」

実はバーバラはあの時手にとって草を食べてみた。よく理由はわからなかったが、死を前にして食べるのが正解だと思ったのだ。その草は…消え去り草だった。
(あたし、何で生きてるの?目の前でデールが私を探している。でもあたし、もう動けないや。さっきの銃で左足も打ち抜かれちゃった…)
バーバラの意識は闇に飲まれていった。

【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:次の獲物をさがす 第二行動方針:皆殺し(ヘンリー、バーバラが最優先)】
【バーバラ(透明化、両足負傷、気絶) 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:? 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】
【現在位置:レーベの村の外れ】


177:正義の戦士
04/12/18 21:57:31 4zf3c725
ライアンは深い溜息をついた。
昔、少年ばかりを誘拐した卑屈な魔物と対峙した時と同じような、深い憤りと怒りを感じて。

かつての仲間…トルネコやブライが死んだ事。
三十人もの人間が、この数時間で殺された事。
そして何より、あの邪悪なる魔女がこのゲームを楽しんでいる事。
そのどれもが、彼にとって許されない事であるはず。
…だがそれを許してしまった。
剣を振ることも地を駆ける事も無く、幾多もの命が失われた後で感じるのは。
―己の無力。
認めたくない事ではある。
だが、認める以外に無いのだ。
―歯痒い。あまりにも。

今も誰かが生命を懸けた闘いをしているのかもしれない。
誰かが命の危機に脅かされているのかもしれない。
彼は、今もまだ、そんな誰かを救いたいと思っている。救えると信じている。
だから彼は歩みを止めない。
その掌には、一振りの剣。
その指には、生命を象る指輪。
導かれし戦士は、歩みを止めない。
たとえ僅かな希望しか見えなくとも、それに懸けたいと思うから。
その足跡を、大地と心に刻み続けて。

【ライアン 所持品:レイピア 命のリング
現在位置:レーべ南東の森北部
第一行動方針:仲間を探す 第二行動方針:マーダーを減らす 
最終行動方針:アルティミシアを倒す】

178:裏切り者1/5 
04/12/18 22:11:52 EXlVZbZF
ピサロは、険しい目で足元の血溜まりを凝視していた。
外から突然けたたましい音が聞こえ、宿屋から一歩出るとそこには惨劇の跡のようなものがあった。
傍らではソロが泣き崩れ、ビビが小刻みに震えている。
血溜まりと一緒に残されていたのは、大きく切られた帽子とコート…のみ。
血痕は紅の円を形成した後、数メートルにわたってひきずられたような跡を残している。
恐らく、ジュウなる武器を欲しがっていた若者―アーヴァインというそうだが―を殺した犯人は、
その後死体をどこかへ持ち去ったのだろう。
しかし、そんな事をして何の得がある?
見せしめのつもりなら死体も宿屋の前に放置しておけばいいし、持っていた武器を盗むにも死体ごと持って行く必要はない。
おかしい。
あまりにも不可解過ぎる。アーヴァインを殺した者の行動が。
そこまで考え、彼はある仮説が浮かんだ。
…そもそも、奴は本当に死んだのか?
自らが死したように思わせるために、アーヴァイン自身がこんな事をしたのかもしれない。
宿屋の前まで誰かを誘い出して殺し、自分の衣服を適当に傷つけて死体を目の届かぬ所へ運び去る―
しかし、なんのために?なぜそうまでして姿をくらませた?
…我々の不意を突くため…
考えられる理由はそれしかない。自分が死んだと思わせれば、後に不意打ちをしやすい事この上ない。
しかも襲われた側から見れば死んだ人間が突然襲いかかってくるのだから、動揺するに決まっている。
だが理由はそれでいいと言う事にしても、誰が代わりに死んだのかという疑問は残る。
アーヴァインは本当に死んだのか?死んでいないとするなら、誰が死んだのか?
少し、調べてみなければなるまい。

179:裏切り者2/5 
04/12/18 22:12:53 EXlVZbZF
「ソロ、ビビ」
ピサロが口を開くと、二人はハッと気がついたように彼を見上げた。
…やはり浮き足だっている。目には戸惑いの色が強く写っている。
彼は今しがた考えた自分の憶測を伝えると。
「この状況、どうも不自然だ。少し村の様子を調べたい。」と言う。
「うん、わかった。」
ビビも言うと、キョロキョロと周囲の様子をうかがい、ソロも剣を構えて警戒の態勢をとった。
「待て。」
ピサロが二人を交互に見ながら続ける。
「お前たちは宿屋に残って眠っている二人を守れ。」
ソロが疑問の目でピサロを見つめる。ビビも反射的に「え、なんで?」と問う。
「…戦う事の出来ない者を放って行くわけにはいかないだろう。
それに何人も固まって動くと、かえって目立ちやすく、危険だ。」
冷静な眼で答える。二人は釈然としないような表情だったが、やがて宿屋の入り口に戻った。
「ピサロ」
不意にふりむきながら、ソロ。
「もし…もしだよ?お前が死んでも、こっちがそれを知る事はできない。そうなってしまったら…」
「そうだな…」
黒いローブを身にまとった彼は、刀を抜きながら、
「半刻経っても戻らなかったら、私はすでに亡き者と思え。」
答えた。

180:裏切り者3/5 
04/12/18 22:14:25 EXlVZbZF
二人が扉を閉めるとほぼ同時に、ピサロは妙な”影”を眼の端で捉えた。
建物の屋根から屋根へ、足音もたてずに飛び移って行く影―
「メラ」
最低級の呪文を用いて”影”を牽制し、動きを止めさせると、それはどうやら人のようだった。
ピサロも刀を構え、一直線にそれを見据える。一瞬、刀身が月光に反射し、影の顔を照らし出した。
こちらを鋭い眼で睨む、兜を被った屈強な男―
男も持っていた槍の切っ先をピサロに向け、暫くの間二人とも微動だにしない。

月光に輝く槍と刀。

睨み合う二対の眼。

遠くで未だに響く悲鳴と銃声。

両者の緊張の糸が千切れんばかりに張り詰め、殺気が限界まで高まったその時、村の外れの方から奇声が聞こえた。
「いない!いないぞ!小娘、いったい何処へ!何処へ!」
槍を構えた男はその声を聞くと、なにやら混乱したような表情を浮かべたが、チッと舌打ちし、声が聞こえた方へと飛び去ってしまう。
あとには刀を手にしたピサロのみが残された。

アーヴァインが殺されたとするなら、犯人はあの男で間違いないだろう。
そう考えながら、なおも村を探索して回る。
数分後、どこからともなくすすり泣くような声が聞こえた。

181:裏切り者4/5
04/12/18 22:15:38 EXlVZbZF
声の正体は、二人の少女だった。
ピサロが近づくと、二人ともヒッと小さく悲鳴を上げ、逃げるように後ずさる。
構わず、大股に二人がすがりついていた死体の所まで歩き、その周辺を詳しく調べる。
一見眠っているようにも見える。しかし目に生気はないし、体はすでに冷たい。
そしてなにより、この死体のそばにも引きずったような血跡が認められた。
まるで、どこかから運んできて、そのままここに放置したような―
「小娘」
ピサロが少女の方を振り向くと、二人は恐怖に目を見開き、体を寄せ合って震えた。
彼は握られたままの抜き身の刀を見やり、「安心しろ」と鞘に収める。
「ここで何があった。正直に教えろ。」
刀を収めた鞘を壁に立てかけ、静かに訊いた。
すると片割れが泣きながら
「ギルバート…ウッ、そこに…そこに倒れてる人が、ヒック、突然外に出たの…
そ、そ、そしたら、あの大きな音が…あ、あなたにも、聞こえた、で、しょう?あの音…
それで慌てて、外に、出たら、ギルバートが、彼が…」
と答えて、また泣き出す。
どうもおかしい。どんな危険が潜んでいるかも知れない外に、立った一人で?
まさか…
「そのギルバートという男は、誰かに呼ばれているような素振りを見せなかったか?」
「え?い、言われてみれば、確かにそんな感じも…」
だとしたら話は早い。
アーヴァインはやはり死んでおらず、代わりに殺されたのは―こいつだ。
ピサロはアーヴァインの事を話して適当に説得すると刀を拾い、宿屋へと急いだ。

182:裏切り者5/5
04/12/18 22:16:50 EXlVZbZF
ピサロさんが帰ってきたのは、あれから20分ぐらい後のことだった。
ソロお兄さんと一緒に心配しながら待ってたら、人を二人抱えて戻ってきた。
ちょっとビックリしたけど、どうしたの?って聞くと、ピサロさんはこう言った。
「アーヴァインは裏切り者だ。誰かと手を組んで私達を皆殺しにする気だぞ」



【ビビ 所持品:スパス
 第一行動方針:ピサロについていく 第二行動方針:仲間達と合流】
【ピサロ(HP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:宿屋に立て篭もる 第二行動方針:ロザリーを捜す】
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
 第一行動方針:同上】
【レナ 所持品:不明
 第一行動方針:宿屋にいる。とにかく泣く。 第二行動方針:バッツとファリスを探す】
【現在位置:レーベの民家(バーバラがいた家とは別)の前】

現在位置:レーベの宿屋前

【カイン 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手
 第一行動方針:デールとバーバラの様子を確認する 第二行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】

現在位置:レーベ村を跳びながらデールのところへ移動中

183:ベアトリクス
04/12/19 00:49:51 YvtSFiBq
激しい戦いは続いていた、月の下で、何度も何度も触れあう剣、しかし、誰の目にも明らかなことがあった。
(アルテマソードとロングソードだとやっぱり差があるか。。)
そう、レオンハルトは押されている、レオンハルトは舌打ちした。
このままでは不味い、そう思った瞬間だった。
「女性に手を上げるとは何て男だ!」
赤いマントの男が居る、乱入したギルガメッシュによって、レオンハルトは倒された
死ぬ前にレオンハルトが思った事はーー止められなくてすまないベアトリクス、、そして、
満足そうなギルガメッシュ、しかし、ギルガメッシュにもちゃんとミスが有ったのだ。
ベアトリクスに殺されるギルガメッシュ、その目には涙が溜まっていた。
しかし、皮肉にもベアトリクスは元に戻っていた。
「ごめんなさい、ありがとう。ト」
レオンハルトが命懸けで元に戻してくれた、しかし皮肉にも、そのレオンハルトはもういない、
ベアトリクスは辛い思た、しかし、同時に、生き残ろうと思った、ーー人を殺さないでも生き残ろう。

【ベアトリクス 所持品:君主の聖衣、アルテマソード
 行動方法:ジタンを探す。戦いは裂ける。】

【死亡:レオンハルト、、ギルガメッシュ】
【残り96人】

184:直す
04/12/19 01:16:05 YvtSFiBq
激しい戦いは続いていた、月の下で、何度も何度も触れあう剣、しかし、誰の目にも明らかなことがあった。
(アルテマソードとロングソードだとやっぱり差があるか。)
そう、レオンハルトは押されている、レオンハルトは舌打ちした。
このままでは不味い、そう思った瞬間だった。
「女性に手を上げるとは何て男だ!」
赤いマントの男が居る、ギルガメッシュ、すごい早さでレオンハルトに近付いた、ベアトリクスよりも早く。
そして、レオンハルトが構えるよりも早かったのだ。
心臓を貫かれ、地に伏せるレオンハルトは、
(フリオニール、会えなくてすまない。)死んだ

「これが、バトルロワイアルだぜ」
満足そうなギルガメッシュ。しかし、ベアトリクスは方を振るわせている、
私を元に戻してくれた、レオンハルト、それを殺したギルガメッシュ
答えはひとつだった。

「ごめんなさい…ありがとうレオンハルト」
レオンハルトが命懸けで元に戻してくれた、しかし皮肉にも、そのレオンハルトはもういない、でも敵は売った!
ベアトリクスは辛い思いをした、しかし、同時に、生き残ろうと思った、ーー人を殺さないでも生き残ろう。

【ベアトリクス 所持品:君主の聖衣、アルテマソード
 行動方法:ジタンを探す。戦いは裂ける。】

【死亡:レオンハルト、、ギルガメッシュ】
【残り96人】

185:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 02:15:23 aqIPFzbU
>>183は無効です

186:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 02:21:52 aqIPFzbU
>>184も無効です

187:ささやかな1/3
04/12/19 04:59:53 +tw/+Xak
もう夜になって数時間経っただろうか。
辺りは暗くなり、空には月が出ているものの、さすがに、はっきりと周辺を見回すことはできない。
目薬草はものを見る際の集中力を高める効力なのであり、人間の限界を超えた視力を手に入れられるような効果ではない。
昼間さえ見えにくかった城下町はさらに見えずらく、森は木々が邪魔でまったく見えない。
偵察の意味は薄まっている。
「そろそろ動くべきか」
床に置かれてあった剣を取り、これからの経路を考える。

(あの狂った『魔物』は北へ行ったようだが、公爵様似の銀髪男たちは王城方面へ、さらに禍々しさを漂わせる女もその周辺、か。
ここは離れ小島、この塔に軍事的な意味があるとすれば、1階のどこかに小型の船があるはずだ)

一応戦闘準備はしていたものの、アルガスは誰とも遭わず、一階まで降りてきた。
この塔にはもう誰もいないのかと思ったとき、どこかからささやくような、そんな小さな声が聞こえる。


―この子も不憫じゃて…まだ幼いというのに、こんな理不尽な出来事に巻き込まれた上、妹まで亡くしてしまうとは…
   ほれ、目の周りが真っ赤じゃろ。泣き疲れて眠っておるわ…
―僕も妹を亡くしていますから、この子の気持ちもよく分かりますよ
   それに、もう一人の妹までもがこのゲームとやらに参加させられているんです。
   絶対にこんなゲームは絶対に止める。大切な人を失いたくもないし、命を奪いたくもない…!!
―イザよ、少し静かにしろ、そして落ち着け。

(地下に少なくとも4人、少なくともゲームには乗らない、か…)

188:ささやかな2/3
04/12/19 05:01:19 +tw/+Xak
―…上に誰かいるな。ニンゲンの匂いがする…
―…様子を見てきます。

どうもこちらに気付いたらしい。地下の二人がこちらに向かってきているのが分かる。
ゲームに乗る気がない上、脱出を企んでいる、接触しておいて損は無いだろう。
アルガスは剣をしまい、相手に先に声をかける。
「まずは武器をしまってくれ。俺はヤル気なんかねぇぜ。ゲームを止めるんだろ?詳しく話を聞かせてくれ」
「…まずはこっちへ」
イザがアルガスを宿屋に連れ込んだ。

ドルバは部屋の隅に位置し、ギードは机の上に陣取り、ルカは眠っているが、ときおり人の名前をささやいている。
「ガキにカメにドラゴン、か。妙な組み合わせだな。で、まずはどうやって脱出するんだ?メドは立ってるのか?」
「実は…まだ全然なんじゃ。首輪は魔法で制御されているのではないか、とは予測は付くんじゃが…確証が持てん」
「首輪を使って色々試してみればいいじゃねぇか。死体はその辺にごろごろあるだろ?」
「実は…刃物も無いんだ。それに、首輪の構造自体もまだよく分かっていないんでね…」
「つまり、まだ何も進んでねぇってことだな。話にならねぇ、時間の無駄だったか。
 結局は自分では何も出来ない烏合の衆ってか」
「なんじゃと!?お主、少し言い過ぎじゃぞ!」
「ギードさん、抑えて下さい、ルカ君が起きてしまいますよ」
相変わらず、ルカは眠っている。ときおり、「イル…」とささやくのが何とも痛々しい。

189:ささやかな3/3
04/12/19 05:02:37 +tw/+Xak
イザがアルガスに向き直って言う。
「確かに僕たちはまだ何も成果を出してはいない、けれど、一人一人のささやかな抵抗の波が、やがて大きな波につながると信じています。
 一人一人が動かないと、何も変わらない」
「まるでラムザみたいなヤツだな。甘チャン同士、ウマが合うと思うぜ?…まあ、一応期待はしておくか」
アルガスが参加者名簿を開く。
「銀髪は全員ヤバイと思っておけ、あとこの赤魔道師と貴族、それからこの女も危険だ。
 一応情報はやったからな、まぁ殺されないようにせいぜい頑張ってくれ。それから、脱出方法が見つかったら、俺にも知らせてくれよ」


再び一階に戻り、塔を出たアルガス。塔内部に船が無いため、外壁に立てかけられていないかと探し回っていたのだ。
一周まわる内に見つけた、りゅうおうの死体と、カンダタの死体。もとの臭いに加え、時間が経っていることもあり、悪臭が立ちこめている。
そしてカンダタの周りには、オールと小さなカヌーが散らばっている。
「お、あったあった。船はたったこれだけか?まあいい」
アルガスは湖の向こう、セシル達の遺体の放置場所へと船を漕いでいった。
船はさざ波に揺れながら、ゆっくりと進んでいった。

【ルカ(睡眠中) 所持品 霜降り肉、ほしふりのオーブ】
【ギード 所持品 不明】
【イザ 所持品:きんきらの剣、エクスカリパー、マサムネブレード】
【ドルバ 所持品:不明】
 現在位置:ナジミの塔宿屋 第一行動方針:協力してくれそうな人を探す  最終行動方針:同志を集め、ゲームを脱出する

【アルガス(視覚聴覚向上) 現在位置:ナジミの塔東 所持品:カヌー(小型折りたたみ式、元カンダタの支給品)、兵士の剣(カンダタの支給品)
 第一行動方針:多くのアイテムを集めておく。 最終行動方針:どんな手を使ってでも生き残る。もちろん、脱出に便乗もアリ】

190:Fire 1/4 
04/12/19 15:39:23 Qrp5YcVz
『アーヴァインは裏切り者だ。誰かと手を組んで私達を皆殺しにする気だぞ』
『どういうこと、ピサロさん?!』
『殺されたのはこの小娘達の仲間だ。宿屋の前に呼び出して殺し、その血痕を利用して自身の死を偽装したのだ』
『そんな……アーヴァイン、僕やヘンリーさんとも気軽に話して……ゲームに乗ってるようには見えなかったのに』
『お前がお人よしだからだ、と言いたいところだが……相当な食わせ者だな、あの男は。
 奴が行動を起こさなければ、私ですら欺かれ続けたかもしれぬ』

(あーあ、もうバレちゃったのか。自信あったんだけどなぁ)
三人の会話を聞きながら、アーヴァインは声を出さずに笑う。
灯台元暗しというが、彼の居場所はまさにその言葉通り。
実のところ、ピサロ達と二十メートルも離れていない。彼がいるのは宿屋の真裏だ。
(予想以上に頭いいね、ピサロさん。
 腕も立つみたいだし、こりゃ~僕も本気でかからないとね)
息を潜めて三人の会話を聞き取りながら、彼はこれから取るべき行動を模索する。
(みんなは宿屋に篭城ってワケか。
 ギルバートさんと一緒にいた女の子たちもいるけど、泣いてて戦力にはなりそうもないね。
 七人中、まともに戦えるのはソロとビビって子、それからピサロさんの三人だけか……
 オーケー、ここまでわかれば十分だ)
彼は物音を立てぬよう距離を取り、十二分に離れたところで建物の屋根へと飛び上がった。

―どうして誰もアーヴァインに気付かなかったのか?
それは彼が持つ支給品のせいだ。
G.F.ディアボロス。その能力の一つ『エンカウントなし』。
バニシュや消え去り草と違い姿を隠すことはできないが、それらで消せない『気配』を完全に絶つことができる。
血に餓えた野獣や魔物ですら、目の前を歩く獲物の存在に気がつかなくなる―ある意味で最強のアビリティ。
もっとも、気配より視界に頼ることが多い人間相手では、そこまで強力な効果は期待できないが。
だが今は光源の少ない夜。加えて、これ見よがしに宙を飛ぶカインの姿。
夜目が利けば利くほど、気配を察知する能力に長けていれば長けるほど。
派手に動くカインに気を取られ、近くにいるアーヴァインの存在に気付けない―

191:Fire 2/4
04/12/19 15:43:24 Qrp5YcVz
(キスティスも言ってたっけ、そういえば。
 囮や陽動みたいな使い古された手は、効果があるが故に使い古されるんだ、って……本当だよね。
 さて、と……みんな宿屋に入った。作戦F、開始と行きますか)
逃亡、戦闘、篭城。今の状況において、標的が取れる行動はこの三つしかない。
本来の計画は、戦闘組と篭城組の二手に分かれさせ、
片方をパニックに陥らせてから潰すというものだったが……
(カインさんはどっかの竜騎士団長。
 僕もガーデンで基礎的な戦術は一通り学んでる。
 要するに僕達もプロだってこと、全員篭城って可能性ぐらい考えてるもんねー) 
アーヴァインは屋根の上に這いつくばる。そしてマントの端を掴み、剣で切り裂き始めた。
(『例のアレ』とバーバラの方は、カインさんに任せてオーケー。
 この作戦、思いっきり人目につくけど仕方ないよね。ここは一人でもいいから減らしたいし)
そう計算しながら、アーヴァインは切れ端を矢の先に巻き、支給品のランプに入っていた油を染み込ませる。
ランプはマリベルから奪った分と合わせて二つある。片方の燃料が切れたところで困りはしない。
そうして何本かに細工を加えた後、アーヴァインはまず何も加工していない矢をボウガンに番えた。
人差し指を口にくわえ、空にかざして風を確認する。
北西の風、三メートル以下。目標への距離は、直線で六十から八十前後。問題なし。
意識をターゲットに集中させる。アーヴァインの身体から漆黒の波動が生まれ、矢に注がれていく。
(ピサロさん。何だかんだ言ってたけど、あんたもソロと同じで相当お人よしだと思うよ。
 悪いけど、あの時教えてくれたコト、利用させてもらうよ!)


「何で気付けなかったんだ……くそっ、リュカだったら……」
自分の枕を殴りつけるヘンリーを横目に、ビビがうつむく。
「アーヴァインってお兄ちゃん、本当に……僕達を、殺すつもりなのかな」
「……」
「信じたいよ。僕、お兄ちゃんのことも、みんなのことも信じたい」
ビビは窓辺から空を見上げた。何も知らずに輝く月を、見上げた。
「俺も信じたいさ。だが、もう疑いようがない。
 あのコートの血も……あいつの血とばかり思っていたが、誰かを殺した返り血だったんだろう」
疲れたような呟きを、ビビは静かに聞いている。

192:Fire 3/4
04/12/19 15:46:25 Qrp5YcVz
「食事の時も楽しそうに喋ってはいたが、どこか落ち着かない様子だった。
 それも奴がゲームに乗っていたからだとすれば、納得がいく」
ヘンリーはそう言いながら、自分とビビの間にあるベッドで眠っているターニアを見やった。
眠ったままというのも危険だが、血液恐怖症の彼女をこの状況で叩き起こすわけにもいかない。
ヘンリーは視線をビビに戻し、言葉を続ける。
「アーヴァインの奴は間違いなくマーダーだ。だが……多分、それなりの理由があるんだろう。
 俺には、奴が完全な悪人とは思えない。それ以上に、好きで人を殺してる奴がいるだなんて考えたくもない」
ビビはしばらく外を見ていたが、やがてヘンリーを振り返り、淋しそうな声で聞いた。
「ねぇ、ヘンリーさん。本当に悪い人なんていないよね……?」
「ああ―」
ヘンリーが、それに答えようと口を開いたその時―
ビビの横にあった窓が弾け、何かが宙を切り裂いて、ターニアの右腕に突き刺さった。
「……っいやぁああああああっ!!」
激痛が、魔法の眠りからターニアの意識を強制的に浮上させる。
矢に纏わりついた漆黒のオーラが、傷口を広げ痛覚を倍増させる。
そして流れ出した血が駄目押しとなり、彼女は完全なパニックに陥ってしまう。
「ターニアちゃん、落ち着いて!」
ビビの言葉も通じない。異変に気付いて寝室に飛び込んだソロが、逃げようとするターニアとぶつかる。
「ヘンリーさん! こ、これは!?」
狼狽したソロが叫ぶ。ターニアは彼をも跳ね除けて、入り口の方に行ってしまった。
ピサロの声がする。何とか捕まえたらしいが、彼も手を焼いているようだ。
「わからねぇ、窓からいきなり矢が……ッ、危ねえ!!」
呆然とするビビを、ベッドから跳ね起きたヘンリーが床に押し倒した。
黄色いとんがり帽子の横を掠めて、一条の炎がターニアのベッドに命中する。
そして立て続けに窓ガラスが割れ、ヘンリーのベッドに、テーブルに―
テーブルの上のランプに、そして床にこぼれた油の上に―火矢が突き刺さり、炎を広げていく。
偶然ではない。明らかに宿屋の間取りを把握して、狙っている。
そんな芸当ができるのは、ただ一人―
「ふざけるな……前言撤回だあの野郎ッ!」
怪我の痛みすら忘れて、ヘンリーは外に向かって叫んだ。

193:Fire 4/4
04/12/19 15:47:59 Qrp5YcVz
(ヘンリーさん……前言撤回って、ナニ言ってたの?)
アーヴァインは首を傾げながらも、最後の火矢を番える。
(良くわからないけど、まぁいいや。とりあえずこれで、青髪の女の子は混乱状態。
 パニックって伝染するし、僕を追ったり攻撃したりする余裕はないよね。
 火矢も、中だけじゃなく外にも撃ち込んでる。このままじゃ大火事決定だよ。
 ……さあ、みんな、どうする?)
ガルバディアガーデン一のスナイパー。Seedでも魔女でもなく、アルティミシアと戦った唯一の男。
アーヴァインはトリガーを引く。その経歴に相応しい実力を、冷酷に、存分に発揮して。

【ビビ 所持品:スパス
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
【ヘンリー(負傷) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:状況を打開する】
【現在位置:レーベの宿屋・寝室(火災発生中)】

【ピサロ(HP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:ターニアを取り押える 第二行動方針:ロザリーを捜す】
【エリア 所持品:妖精の笛 占い後の花
 第一行動方針:不明 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:バッツとファリスを探す】
【ターニア(パニック。右腕を負傷) 所持品:微笑みのつえ
 第一行動方針:とにかくどこかへ逃げる】
【現在位置:レーベの宿屋・入り口近くの部屋】

【アーヴァイン(HP4/5程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) グレートソード  キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:宿屋にいる人間を狙撃 第二行動方針:ゲームに乗る
 現在位置:レーベの村・民家の屋根の上】

194:レナとエリア 1/5
04/12/19 18:40:29 kkyHGwzC
ヘンリーとビビが話すその横で、赤く目を腫らしたレナが、エリアに泣きながら語っていた。
その言葉は不明瞭でまとまっておらず、聞き取りづらかったので、少しわかりやすくまとめる。


「ねえ、エリア…私、何もできなかったわ。本当に、駄目よね…。いったいどうして気づかなかったのかしら。
 あんな臆病な人が、この状況で一人で外を歩き回るなんて、ありえないのに。
 本当に、どうして気づかなかったのかしら。
 この村に、私たち以外誰もいないなんて、ありえないのに。ゲームに乗った人がいたって、おかしくなかいのに。

 ねえ、私、何もできなかったのよ。
 そう、いつだってそうだった。私は、人の命を救えたことなんてないの。
 たくさんの人が、何かのために、私の目の前で死んでいったわ。
 一度でも、それを止めることはできなかった。

 …そういえば、普段野宿するときなんかも、たいていは姉さんとバッツが見張りをしてくれた。
 危ないときは、いつも二人が私を助けてくれた。言ったかしら?私とバッツの出会いを。
 それなのに、どうして私は何もできないの?
 あのとき、私はギルバートを止めるべきだった。
 ううん、それどころか、あたりを常に警戒してしかるべきだった。
 そもそもここにきたのだって、誰かに会う為じゃない。危険を承知できたのに…。
 それなのに、ああ、私、本当にバカだった。忘れてたのね、完全に。

 ねえ、エリア。私、あなたと楽しくおしゃべりできて、本当に嬉しかった。
 なんだか、クルルと話してるみたいで。
 でも、クルルはもういないのよね。
 私、わかってなかった。全然。逃げてた。死を受け止めてなんていなかったの!
 ああして、目の前で、冷たくなった彼を見るまで…わかっていなかった…
 ううん、わかろうとしていなかったの。



195:レナとエリア 1/5
04/12/19 18:41:49 kkyHGwzC
ヘンリーとビビが話すその横で、赤く目を腫らしたレナが、エリアに泣きながら語っていた。
その言葉は不明瞭でまとまっておらず、聞き取りづらかったので、少しわかりやすくまとめる。


「ねえ、エリア…私、何もできなかったわ。本当に、駄目よね…。いったいどうして気づかなかったのかしら。
 あんな臆病な人が、この状況で一人で外を歩き回るなんて、ありえないのに。
 本当に、どうして気づかなかったのかしら。
 この村に、私たち以外誰もいないなんて、ありえないのに。ゲームに乗った人がいたって、おかしくなかいのに。

 ねえ、私、何もできなかったのよ。
 そう、いつだってそうだった。私は、人の命を救えたことなんてないの。
 たくさんの人が、何かのために、私の目の前で死んでいったわ。
 一度でも、それを止めることはできなかった。

 …そういえば、普段野宿するときなんかも、たいていは姉さんとバッツが見張りをしてくれた。
 危ないときは、いつも二人が私を助けてくれた。言ったかしら?私とバッツの出会いを。
 それなのに、どうして私は何もできないの?
 あのとき、私はギルバートを止めるべきだった。
 ううん、それどころか、あたりを常に警戒してしかるべきだった。
 そもそもここにきたのだって、誰かに会う為じゃない。危険を承知できたのに…。
 それなのに、ああ、私、本当にバカだった。忘れてたのね、完全に。

 ねえ、エリア。私、あなたと楽しくおしゃべりできて、本当に嬉しかった。
 なんだか、クルルと話してるみたいで。
 でも、クルルはもういないのよね。
 私、わかってなかった。全然。逃げてた。死を受け止めてなんていなかったの!
 ああして、目の前で、冷たくなった彼を見るまで…わかっていなかった…
 ううん、わかろうとしていなかったの。



196:レナとエリア 2/5
04/12/19 18:44:09 kkyHGwzC
 ねえ、エリア…私が今泣いているのは、何も彼の死が辛いからじゃないのよ。
 もちろん、ギルバートの死は悲しいわ。
 でも、それよりもっと、もっともっと…私は怖いの。
 だってそうでしょ?死ぬかもしれないのよ。ギルバートみたいに…クルルみたいに…
 そして、今周りに姉さんはいないの…バッツもいないの!
 前にも一度、こんなことがあったわ。そのときは、飛竜が助けてくれたっけ…。
 …言わなかったかな、飛竜のこと。私、助けられてばっかりよ。

 ねえ、今、誰が私を助けてくれるの?
 あの人?あの森で、あなたたちを殺そうとした?そんなはずないじゃない。
 私はあの人の言葉に従って、この宿屋にきたわ。
 けれども、本当のところ、私はあの人のことを信用なんてしてない。
 当たり前じゃない。殺そうとしてたのよ、あなたたちを…。
 それでどうして、あっさりということをきいたかわかる?
 誰でもよかったのよ…ただ私に、手をさしのべてくれるなら、その言葉に従おうと思ったの。
 でもね、これはやっぱり駄目。全然安心できない。

 …エリア、私ね、強いんだよ。剣だって。
 そりゃバッツや姉さんには負けるけど…城の近衛兵なんかより強かったんだから。
 バッツに教えてもらってからは、本当に強くなったのよ。
 それに、魔法ならバッツにも勝つ自信があるし。
 それでも、私、何もできなかった。

 ねえ、エリア…これじゃいけないのよね?ううん、いけないの。
 私、決めたわ。
 姉さんと、バッツを探すつもりだった…。
 でも、それは多分、無理なのね。今の私じゃ、絶対に会えないと思った。
 だから、やめる。探さない。
 それが、きっと二人にあえる一番の方法なのよ。
 大丈夫、バッツも姉さんも、私なんかと違って、本当に強いから…」


197:レナとエリア 3/5
04/12/19 18:46:20 kkyHGwzC
エリア頷いて答えた。その答えも、涙混じりで、やはり不明瞭であったが。


「レナさん、まず、あまり自分を責めないで下さい。
 あなたがいなければ、私もギルバートさんも、あの森の中で死んでいました。
 それに、私とギルバートさんこそ、あなたに甘えていたんです。

 …ただ、あの人は、ほんとうに私たちのことを殺すつもりだったのか…
 いえ、そりゃあ、あのままいけば、間違いなく殺されていたでしょう。
 でも、私は思うんです。
 レナさんが来る前に、あの人は私たちを殺せたはずだと。
 しかし、そうしなかった。何故かはわかりませんが…何か、迷っていたのかもしれません。
 とにかく、私がそのとき感じたのは、今のような恐怖ではなく、むしろ生への欲求でした。
 本当に、あんなことは初めてでした。
 使命だとか、そういうのとは無関係に、がむしゃらな生への欲望…。
 いったいどうしてなのか、私にもわからないのです。

 …レナさん、私は一つ、隠し事をしています。いっても信じてもらえないだろうと…
 いいえ、本当に怖いのは、信じて貰ったときのことかもしれませんね。
 久しぶりなんです、私と同じくらい…といっても、四つも年上ですけど…
 それでも私にとっては、同じくらいといえるんです……
 …すみません、話がずれてますね。言います。
 私は、一度死んでるんです。あ、やっぱり驚きますよね。
 冗談でも、嘘でもないです。
 光の戦士をかばって、矢に射抜かれ、存在を消されました。
 なんか、逆ですよね、普通。でも私は、それを当然のことだと思っています。
 それが、私の使命だったからです。


198:レナとエリア 4/5
04/12/19 18:48:34 kkyHGwzC
 レナさん、私がここにきて、一番不安だったのは何だと思いますか?
 それは、どうしてここにいるのかが、わからなかったことです。
 おかしいですよね。私は生前…なんだかこの言葉もおかしいな…
 ええ、私にははっきりとした使命がありました。
 水の巫女としての、使命がありました。

 ですが、ここはいったい何なのでしょう?
 私は何故ここにいるのですか?

 私が今泣いているのは…そう、その意味じゃレナさんと同じです。
 ギルバートさんの死が悲しいからばかりじゃなくて、そのことが急に現実のものとして、私に問いかけてきたのです。
 この問題は、私にいい知れない恐怖を与えます。今、この瞬間も。
 人はみな、何かのために行き、何かのために死んでいくと…そう思いこんでいました。
 事実、私のまわりにいたのは、そのような人たちばかりだったんです。

 それで、この状況は何なのでしょう?
 ギルバートさんは、何故生き?何故死んだのでしょう?
 それを考えたとき、私は怖くなりました。涙が溢れて、止まらなくなりました。

 …でも、少しわかった気がします。
 烏滸がましいかもしれないけれど、ギルバートさんは…私たちと出会うために、ここまできてくれたのではないでしょうか?
 レナさんは、とても強い意志を得ました。
 …すみません。私、こんな風にしか考えられないんです。
 そのように育てられ、生きてきたんです。
 でも、もしそうだとしたら…私は、今、なんのたまに、ここにいるんだろう…」


199:レナとエリア 5/5
04/12/19 18:53:13 kkyHGwzC
そのとき、ターニアの叫び声が、辺りに響いた。
レナはそれを一瞥して、続けた。
 

「エリア…あなたは、水のクリスタルの巫女、よね。私は、クリスタルに選ばれた戦士…。
 もし、私が何かのためにここにいるのなら…
 エリア、あなたは私に勇気をくれた。
 私は戦う。エリア、あなたを死なせない…」


続いて、カルナック城を彷彿とさせるように、あたりを火の手が囲んだ。
レナは立ち上がった…その手に、聖剣エクスカリバーをもって。 
 
 

【エリア 所持品:妖精の笛、占い後の花
 第一行動方針:現状打破 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ ジョブ、アビリティは次の人が適当に。
 所持品:エクスカリバー、他は不明
 第一行動方針:現状打破 基本行動方針:エリアを守る】
【現在位置:宿屋】


4/5修正
最終行 たま→ため
こういうとこミスると悲しい

200:急襲者
04/12/19 21:14:23 SmMNE5/a
「あれ?確かこっちでお城だと思ったんですけど…」
天然のフルートと磁針の使い方を良くわかっていないサックスのガイドは城に向かうどころか洞窟を出てしまったのだ。
城は遠く離れた場所にドッスリと建っている。
「おいおい、どぉすんだよお。城はあっちだぜ?」
ゼルが二人に問いかける、すると。
「あっ、そういえば洞窟からお城に行くには盗賊の鍵が要るんでした。
 だからお城には入れなかったわけですし、結果的にOKだと思いますよー」
ヘラヘラと笑いながら言うフルートに、もう呆れて物も言えなくなったゼルである。
「それで、どうすんのサ?」
「そうですねー、泳ぐことも出来ませんしねぇ。この近くにレーベって村が有りますから、そこを目指すとしましょーかー?」
やはり此処は出身者に任せるべきであろう――相当不安だが。
そうして、再び不安なガイドの元、五人は歩き始めた。

「くっ…厄介な暗闇だぜ…」
ほんのりと見えるようになってきたが、やはりこの闇は辛い。
かすかに見える中、袋の中を捜してみる。幸運なことに目薬らしき物がある。
それを掴み、蓋のような場所を探し、開けて中の液体を目にかける。
視界を覆っていた暗闇が晴れるように消える、もう一度袋を覗き込むと一振りのナイフのような物がある。
投げて使えば…不意打ちには使えるかもしれない、サラマンダーの口が嫌味に曲がる。

201:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 21:15:37 SmMNE5/a
「あーもう邪魔くさいなーぁっ!ファイラ!」
道を邪魔せんとばかりに生える木に、リルムが火柱をぶつける。
ボゥォッ!っと勢いよく燃え上がる。その木が倒れ、近くにいたゼルが慌てて避ける。
「うわぁっ!アブねぇなぁっ!」
「そっちがボケッとしてたんでしょ~?」
「んだとコラァッ!」
今にも喧嘩が起こらんばかりの勢いで繰り広げられる口論。
そんな二人を見て、やれやれといった顔をするロランとサックス。
ふと、ロランがフルートにある事を聞く。
「そうだフルートさん、前に武闘の経験とか…ある?」
フルートがその言葉を聞き、すこし考え込んだような表情になる。
「そうですねぇ…前は武闘家をやってましたけど…あまり上達しませんでした、本も好きでしたし、僧侶になろうって考えたんです」
あまり覚えていない、その言葉に疑問を覚えるロラン。
あの時、竜王と闘ったあのフルートの動きはかなり熟練されたものだった。
武闘家時代に訓練したなら分かる、だが本人は覚えていないと言う。
なにか引っかかる…そういえばあの時は別人のように変わっていたような………?
「でも私、小さいときから記憶が飛ぶんです。さっきはお城に居たのに気がついたらお城から離れた草原に居ました…見たいな感じです。
 そう…あの時だって」
「あの時?」
ロランとサックスが声を揃えてフルートに聞く、フルートはええと咳払いをしながら答える。
「魔王ゾーマの決戦の時ですよ、私魔王に驚愕して気絶しちゃったらしくって…アルスが光の玉を使った後は覚えてないんです」
へぇ、と相槌を返すサックス。気絶していた、と本人は言うが実際は違う。
フルート本人が、魔王の台詞にぶちギレ、そしてその後は…という話である。

202:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 21:16:51 SmMNE5/a
「でも凄いね、フルートはやっぱり強いよ」
何時の間にか背後にいたリルムが言う、後ろではゼルがぜーぜーと息を切らしている。
そして、今度は唐突にサックスが口を開いた。
「そうだ、ロランさんはやっぱり何かしら凄い事してるでしょう?」
「え?何故だい?」
唐突にそんなことを聞くサックスに疑問を覚えるロラン。
「うーん、それは僕の第六感…って奴かなぁ?よく当たるんですよ、人が何をして来たかって言うのが」
「確かに、僕は…言っても分からないだろうけど、嘗て破壊神を破壊した今の………いやなんでもない、とにかく当てられてビックリしたよ」
何かにつっかえたのが気になったが、予感が的中したサックスはニコリと笑った。
「僕もですね…実は――」
そこから先は一本のナイフに遮られた。胸に刺さる一本のナイフ…サックスの胸から血がぼたぼたと流れ出る。
「い…………いつの……まに?」
「喋らないで下さい!いま回復呪文を…」
回復呪文を唱えつづけるフルート、だがそれに追い打ちをかけるように今度は黒い衝撃が二人を襲った。
体に走る重い衝撃、自分はともかくサックスが…なぜこんなことに?見えないところからの急襲、卑怯者、許さない許さないゆるさないユルサナイ…。
彼女の思考が怒り一色に染まった、そして…………。
「っらぁぁあああっ!何所のどいつだぁっ!」
顔が豹変する、そしてナイフの飛んできた方向を目掛け、駆けた。
「待て!フルート!貴方がいなくなったら…!!」
しかし、もうロランの視界にはフルートはいない、ロランがフルートを急いで追おうとする。
「ゼル!リルム!サックスを頼む!僕は急いでフルートさんを連れ戻してくる!」
「おい!ロラン!」
「もし……………」
ロランが振り向きながらゼルに言う。
「もし僕がこのまま戻らなかったら…二人は頼むよ」
そう言い残して、彼もまた闇夜の森に溶け込んでいった。

203:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 21:19:37 SmMNE5/a
ゼルは血塗れのサックスを見る、いまはドローしてある回復魔法はおろか、ポーションの一個すらない。
「ちくしょう!俺には何もできないって言うのかよ!」
ゼルが地面を叩く、ふと気づけば隣で魔法が聞こえる。
上級回復魔法、ケアルガ。大きな光が段々サックスを包んでいく。
だが出血は止まらない、意識も戻らない。どくどくと胸から血が流れ、目を閉じたままげほげほと血の混じった咳をするサックス。
「だめだ…あたしの魔力じゃサックスの傷を塞ぐ事すら出来ないよ…」
それでもリルムは回復魔法を止めなかった。
すこし…人の気配がする、ゼルは咄嗟にリルムを守るように構えた…だが。
「だ、大丈夫ですか!」
思いもしなかった声と共に現れた少し奇抜な格好をした女性と酒場にいそうな男性がこちらに駆け寄ってくる。
目線は…サックス。

204:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/19 21:53:16 SmMNE5/a
【フルート(MP減少、プッツン) 所持品:スノーマフラー 裁きの杖 魔法の法衣
【リルム(MP減少) 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪 ブロンズナイフ 
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート
【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト
【サックス(瀕死) 所持品:水鏡の盾 草薙の剣 チョコボの怒り
 現在位置:岬の洞窟から北西の森(デュラン達とは離れた場所
 第一行動方針:ナイフを投げた奴の元へ(フルート)
           フルートを追う(ロラン)
           フルートを待つ、微力ながら治療(リルム、ゼル)
           死にかけ、フルートを待つ?(サックス)
 第二行動方針:なるべく仲間を集める
 最終行動方針:ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】
 #ロランがフルートを連れ戻すのに時間がかかればサックスは死亡します。

【サラマンダー 現在位置:岬の洞窟から北西の森、フルート達から少し北
 所持品:ジ・アベンジャー(爪) ナイフ
 基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)
 備考:目薬は使用済み】

【ユウナ(ジョブ:魔銃士) 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子
【プサン 所持品:
 現在位置:岬の洞窟から北西の森(デュラン達とは離れた場所
 第一行動方針:サックスの治療(?)
 第二行動方針:ドラゴンオーブを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ、困ってる人や心正しい人は率先して助ける
 最終行動方針:ゲーム脱出】

205:修正
04/12/19 21:58:02 SmMNE5/a
【サラマンダー 現在位置:岬の洞窟から北西の森、フルート達から少し北
 所持品:ジ・アベンジャー(爪)
 基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)
 備考:目薬は使用済み】

「ちくしょう!俺には何もできないって言うのかよ!」
ゼルが地面を叩いている中、リルムがサックスのナイフに手をかける
「ちょっと痛いけど…我慢してね…」
ズブリと音を立てナイフを引き抜く、サックスが口から血を大量に吐く。
すかさず魔法を唱える、上級回復魔法、ケアルガ。大きな光が段々サックスを包んでいく。
だが出血は止まらない、意識も戻らない。どくどくと胸から血が流れ、目を閉じたままげほげほと血の混じった咳をするサックス。

こっから先は同じです。

206:月光(修正) 1/2
04/12/19 22:11:26 yUKwh8VQ
>>175-176
「ひどいよ―約束が違うよぉ!!」
バーバラは走りながら叫んだ。
その声は虚しく街の外れの闇に消えていった。
「最高だ! あなたは僕が壊すのにふさわしい。僕に悲鳴を聞かせてください。その雪のように白い肌からワインのような赤い血を出してほしいんですよ。あなたの叫ぶ声を聞かせてください。もっともっと絶望に満ちた声をもっと…」
一発の銃声が響き渡る。
デールの放った銃弾がバーバラの右足を貫通した。
「………っ!!!!」
バーバラは声にならない悲鳴をあげ、まるで糸の切れたマリオネットのように地面に倒れた。
(…助けて、あたし死にたくない。助けてくれるんじゃなかったの?いやだ、死にたくない!!)
バーバラはアーヴァインと名乗った男に騙されたということは感じ取っていた。
そして自分は助からないことも。
「そろそろ鬼ごっこは終わりみたいですね」
月光が二人を包む。
二人を邪魔するものは誰一人いない。
バーバラの所持品が先ほどの銃撃でこぼれ落ち、あたり一面に様々な草がばら撒かれていた。
(…あたし、もうここでおしまいなのかな。死んだらどうなるのかな。…月が綺麗。…まだ死にたくないよぉ…)
「…まだ逃げる気でいるのですか。ではこうしたらどうでしょう?」
デールはバーバラの左足も撃ちぬいた。
月光が恐怖と絶望と激しい痛みに歪めたバーバラの顔をうつし出していた。
それを見てデールは光悦とした表情を浮かべる。
バーバラは逃げ出そうと地面を這いずった。
「それではそろそろチェックメイトにしましょう。最高の悲鳴を聞かせてください、至高の踊りを見せてください、さぁ!!!」

207:月光(修正) 2/2
04/12/19 22:13:23 yUKwh8VQ
銃声はすぐには鳴り響かなかった。
デールがバーバラを壊そうとした瞬間目の前から姿を消してしまったのだ。
なぜなら、ばら撒かれた草の中に消え去り草があり、こぼれ落ちた際に噴出した粉がバーバラの這いずった地面にちらばっていたからだった。
「いない、どこへ消えた!小娘どこへどこへ!」
デールは錯乱してあたり一面にマシンガンを撃ち放つ。
幸いにもバーバラには当たらなかった。
「…はあ、はぁ。くっ…この近くにいるのはわかっているのですが…僕は貴方から流れ出る鮮血が見たいのです。恐怖に歪めた顔を見たいのです。そして踊る姿が見たいのですよ」
デールは地面に落ちた説明書を手に取った。
「…なるほどそういうことでしたか。どうやらその効果は歩き回らないと消えないみたいですね。もし貴方が先ほどの銃撃で死んでいないのならば今回は見逃しましょう。次会った時には貴方の壊れる姿を見せてもらいます。」
バーバラの意識は安堵と両足の激しい痛みから夜の闇へと消えていった。
月光はデールの歪んだ笑みを照らし、そしてデールの行き先を照らしていた。


【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:次の獲物をさがす 第二行動方針:皆殺し(ヘンリー、バーバラ[非透明]が最優先)】
【バーバラ(透明化、両足負傷、気絶) 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:? 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】
【現在位置:レーベの村の外れ】

208:翡影~Hiei~ 1/3
04/12/19 22:34:23 d48jz2TR
「焔か…ふふ、焔だ」

デールは呟きながら、レーベへとまた走っていた。
大規模な火事が起きてしまったあの地で、混乱に乗じて人を壊すのも容易い。
だが、もしどこの馬の骨ともわからない人間が刃を研いでいたら…。
他の人間が僕の壊すはずだった人間を壊してしまったら…。
そう思うと、戻らないわけには行かなかった。
バーバラは逃がしたが、今はもう良い。逃げたとしても恐らく疲弊しているだろう。
美味しいものは後に取っておくのもたまには良いかもしれない。


幸い、バーバラを追って出た場所は見渡しも良い。
更にそんなには走っていなかった。
故に、すぐにレーベの村へと到着できた。

何処だ、僕に壊されたいのは何処だ。
何処なんだ、僕に壊されるべき人間は何処なんだ。
焔が感情を湧かせる。人の叫びが耳には心地良い。

暫く走っていたデール。
そして、彼は見てしまった。あの怒鳴る翡翠色の髪の青年を。
もっとも心待ちにしていたメインディッシュが、すぐそこではないが見える。

「見つけた…。準備をしないといけないな」

ニヤリと笑みを浮かべると、マシンガンへと視線を落とした。

209:翡影~Hiei~ 2/3
04/12/19 22:37:31 d48jz2TR


「非常に拙い事になったね…」
「ああ、こりゃヤバすぎる。くっそあの野郎!」

すぐにヘンリーが燃えている部屋から飛び出した。そしてソロもビビも続く。
今外に出るのは危険だが、焼け死ぬよりマシだ。
外でもやはり混乱が生じていた。狙撃が煽る恐怖感が辺りを包んでいる。

「まだ病み上がりですらないってのに…ツイてねーな俺も」

舌打ちついでにヘンリーがそう呟き、ふと視線を移した。
そして、彼は見てしまった。あの立っている翡翠色の髪の青年を。
弟として共に歩んできた相棒が、すぐそこではないが見える。

だが、ヘンリーはすぐに視線を戻してしまった。
単純に「気のせいだ」と思っただからだ。思っただけで、見落としてしまった。
そこにはちゃんとデールがいたのだ。すぐに体を隠してしまったが。

「ピサロ!」
「なんだ」
「一旦二手に分かれよう!俺は西に行く。そこからレーベを脱出しよう」
「そうか…では我々は南に大回りしてからそちらに行く。…くたばるなよ」

ピサロにだけそう伝えると、ヘンリーは走り出した。
至極当然のように、ソロとビビの腕を引っ張って。

「ちょっと!あなたはまだ怪我が…」
「そ、そうだよ。それに危ないよ」
「お前らを死なせたら…仲間に怒られるだろ!?生きるためだ…行くぞ!」

滲む汗も構わず、ヘンリー達は走った。

210:翡影~Hiei~ 3/4(増えたスマソ)
04/12/19 22:46:13 d48jz2TR


逃げたか…。
デールは静かにしたうちをすると、あの焔を呪った。
ヘンリー達の会話は当然聞こえていない。
残った5人組を狙撃しようとは思ったが、明らかにやり手そうな奴が1人いる。
そして今自分が壊したいのはヘンリーのみ。

何かの策を練ってバラバラにしておこうか。
会うならヘンリー一人で、1対1の状況で会いたい。

デールも思考を中断させ、西に走った。
そして…見知った者から壊す対象として見るために、実感するために

「待っていろ兄さん…いや、ヘンリー!!」

名を、叫んだ。


アーヴァインにも勿論見えていた。
そしてヘンリーの動きを確認すると、一旦狙撃の手を休めて、溜息をつく。
一旦は泳がすつもりなのか――それは本人にしかわからない。

「やっぱり2手3手にわかれるつもりか…」

だが確かな事は、アーヴァインが敢えてピサロ達が動くのを待っている事だった。
ピサロが全員に何かを話している。そしてそれに同意したらしい、動いた!

「さぁて、カインに報告しないとねー」

211:翡影~Hiei~ 4/4
04/12/19 22:50:44 d48jz2TR

西へと走るヘンリー達。
そして南から迂回しようと走るピサロたち。

それを潰そうとカインに状況を伝えようとするアーヴァイン。

この者達が、デールの存在に気付いていないことは…
幸なのだろうか…不幸なのだろうか……。

焔が、静かに見守っていた。

【ビビ 所持品:スパス
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
【ヘンリー(負傷) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:レーベ西へと走る】
【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:まずはヘンリーを殺す 第二行動方針:皆殺し(ヘンリー、バーバラ[非透明]が最優先)】
【現在位置:レーベの西へと疾走中】

【ピサロ(HP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:ターニアを取り押える・ヘンリーの事情・案を説明 第二行動方針:ロザリーを捜す】
【エリア 所持品:妖精の笛 占い後の花
 第一行動方針:不明 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:バッツとファリスを探す】
【ターニア(パニック。右腕を負傷) 所持品:微笑みのつえ
 第一行動方針:とにかくどこかへ逃げる】
【現在位置:南から迂回して西へと疾走中】

【アーヴァイン(HP4/5程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) グレートソード  キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:カインに状況報告、各個撃破を提案 第二行動方針:ゲームに乗る
 現在位置:レーベの村・民家の屋根の上を疾走中】

212:翡影~Hiei~ 修正
04/12/19 23:42:44 d48jz2TR

【ヘンリー(負傷) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:レーベ西へと走る】
【ビビ 第一行動方針:同上 所持品:スパス
【ソロ(MP消費) 第一行動方針:同上 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:まずはヘンリーを殺す 第二行動方針:皆殺し(ヘンリー、バーバラ[非透明]が最優先)】
【現在位置:レーベの西へと疾走中】

【ピサロ(HP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:南から迂回し、西へ走る 基本行動方針:ロザリーを捜す】
【エリア 第一行動方針:同上 所持品:妖精の笛 占い後の花  基本行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ 所持品:不明  第一行動方針:同上 基本行動方針:バッツとファリスを探す】
【ターニア(パニック。右腕を負傷) 第一行動方針:同上(?) 所持品:微笑みのつえ】
【現在位置:南から迂回して西へと疾走中】

【アーヴァイン(HP4/5程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) グレートソード  キラーボウ 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:カインに状況報告、各個撃破を提案 第二行動方針:ゲームに乗る
 現在位置:レーベの村・民家の屋根の上を疾走中】

にorz

213:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/12/20 00:17:00 SmMNE5/a
【プサン 所持品: 不明
 現在位置:岬の洞窟から北西の森(デュラン達とは離れた場所
 第一行動方針:サックスの治療(?)
 第二行動方針:ドラゴンオーブを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ、困ってる人や心正しい人は率先して助ける
 最終行動方針:ゲーム脱出】

何やってんだろう俺…

214:RED MOON
04/12/20 20:13:12 RvT+NdeT
リディアは、呆然とその惨劇を見つめていた。
その瞳に映るのは、幾多もの死体。大地を染める血。
そして、見知った者の成れの果て。
その全てが、眩しいほどの月に照らされ、彼女の瞳に映りこむ。
見たくないと思った。でも、目を逸らせない。
月光がそれを許さないから。それをいつまでも照らし続けているから。

最も見知った男が横たわるその横で、彼女は腰が抜けたように座り込む。
「嘘でしょ?」
これが、現実。わかっているのに。
「目を覚ましてよ…」
二度と目を開けることは無い。わかっているのに。
「ほら、月がすっごい綺麗でしょ?」
意識も何も、空っぽになったんだ。わかっているのに…
「ね、行こうよ…まだ終わってないから…」
彼らはもう、動かない。わかっているのに!

―涙は枯れることはないんだと、思った。
また、止め処ない涙が彼女の頬を濡らしていたから。

放送のときに理解したはずなのに。
どうして、目の当たりにすると、また悲しくなるのだろう。
彼らを死に至らしめたのが槍で貫かれた傷ではないことも、今はどうでもいいこと。
幾多もの横たわる死体の真ん中で、彼女は、泣いた。
大声で。無防備に。悲しみを隠す事無く。
薄情な月はまだ、惨劇を照らすのを止めない。
涙を流す少女の瞳にそれが映り続けるのを望むかのように。

【リディア 現在位置:アリアハン南の平原 所持品:いかずちの杖、星のペンダント
 第一行動方針:泣く 第二行動方針:カインを止める(?)】

215:兄と、弟と 1/6
04/12/20 22:56:25 k0tImI/E
―おじうえ、見て見て!
―うわぁ!? すごいなコリンズ、呪文が使えるようになったのか。誰に教わったんだい?
―ちちうえだよ。一緒にレンシュウしたんだ。
―いいなぁ。僕も兄さんやコリンズみたいに呪文が使えたらなぁ。
―オレが教えてあげるよ。トックンすれば、おじうえだってきっと使えるようになるよ。
―ありがとう、コリンズ。……お前は良い子だね。
―へへっ……おじうえとははうえだけだよ、そう言ってくれるのはさ。
―兄さ……父上は? 言ってくれないの?
―だめ。いっつも『お前は誰に似たんだよ』ってため息ついてばかり。
―はははは、兄さんらしいや。……コリンズはね、子供の頃の父上にそっくりだよ。本当に。

―悪いな、コリンズがまた邪魔したみたいで。全く、遊び相手は他を探せって言ってるのによ。
―邪魔じゃないよ、あの子はとても良い子だ。僕でよければいつでも相手になるよ。
―おいおい、執務があるだろう。それにイイ子どころか、昔の俺に輪をかけた悪ガキだと思うんだが。
―あはは。そうだね、子供の頃の兄さんを思い出すよ。悪戯好きなのも、優しいところも。
―誰が優しいだ、誰が。第一、そういうことを真顔で言うな。聞くこっちが恥ずかしい。
―いくつになっても素直じゃないね……でもね、僕は思うんだ。
―あ? 何が?
―あの子は、僕なんかよりずっと優れた王になれるよ。
―そいつはどうだかな。俺が言うのもなんだが、王向きの性格とは思えないぜ。
―いや、僕よりも向いてるよ。なんと言っても、兄さんとマリア義姉さんの子供なんだから。

216:兄と、弟と 2/6
04/12/20 22:58:50 k0tImI/E
(ちっくしょう……昼間の銀髪も、アーヴァインの野郎も、次に会ったら絶対一発ぶん殴る!)
そんなことを考えながら、ひたすら西へとヘンリーは走った。
時折、ビビを抱えたソロが、自分についてきているかどうかを確認しながら。村の外れへと走っていた。
だが―
「うぉっ!?」「わぁっ!!」
突然のことだ。いきなりヘンリーの周囲で小さな爆発が起きた。
煙と砂が巻き上がり、後ろにいた二人の姿が覆い隠されてしまう。
さらに、紫がかった霧までがあたりに立ち込めた。
自然現象であるはずがない。爆破の呪文と幻惑の呪文だ。
(くそっ!! あの野郎か? それとも他に襲撃者がいるのか!)
身構えるヘンリーの手を、何者かが掴む。
反射的に振り解こうとしたヘンリーは、しかし煙の向こうに立つ若者の姿に、動きを止めた。
「兄さん!」
「デール!?」
いるはずのない弟の姿が。いや、先ほど見かけたような気もするが―自分の弟が。
目の前にいて、自分の手を引いて走ろうとしている。
「早く! 早く逃げないと殺されるよ!」
「お、おい、待て! 俺の連れがまだ……」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、兄さん!」
デールは走る。ソロとビビを案じるヘンリーを、半ば無理やり引き摺るように。
「ヘンリーさん!」
二人の声を、遠くにして。ヘンリーはデールに導かれて走る。
そうしてどれほど走ったか、村の外れに来たところで、二人はようやく立ち止まった。
「良かった。兄さんが無事でよかった……」
涙目をこする弟に、ヘンリーは呼吸を整えてから質問する。
「デール……お前、なぜ、ここに?」
「探してたんだよ、兄さん。ずっとずっと探して歩いてたんだ。
 そうしたら、炎が見えて……宿屋の前に兄さんがいて……兄さん、僕に気付いてなかったろ。
 手を振ったのに、走っていってしまって、必死で追いかけてきたんだよ」
言われて記憶を辿る。そうだ、間違いなくあの時デールの姿が在った。
状況が状況だったし、気のせいということで片付けてしまったが……

217:兄と、弟と 3/6
04/12/20 23:00:47 k0tImI/E
「そうか……すまん」
ヘンリーが頭を下げると、デールは「いいんだよ」と首を振った。
「兄さんが無事だった。僕はそれだけで十分なんだ」
デールはそう言って、穏やかに微笑む。それからふと、何かを思い出したように袋の中に手を入れた。
「そうだ。兄さんにプレゼントがあったんだ」
「―プレゼント?」

「ああ、受け取ってよ。銃弾を」

ヘンリーの記憶にあるソレと同じ、気弱で、優しげな微笑を浮かべたまま。
デールは、何の躊躇いもなく、袋から出したマシンガンのトリガーを引いた。
立ち込める硝煙。激しい銃声。レーベの事件の始まりを知らせたあの音を、ヘンリーは聞いた。
「兄さん、いや……ヘンリー。僕のために、壊れろ」
その呟きを、確かに聞いた。

「おや?」
デールは見た。晴れゆく煙の向こうで。
月明かりに照らされて、地面に穿たれた銃痕よりも大きく左に跳んだ位置で。
呆然とした表情で自分を見つめる兄の姿を。壊れているべき者の姿を、確かに見た。
「デール」
兄は呟く。どこか虚ろな目を、弟に向けて。
「どうしたんだよ、お前……あの呪文も、お前なのか?」
「ああ、あれは僕だよ。コリンズと一緒に練習して、なんとか覚えたんだ。
 いつか二人で貴方を驚かせようと思ってね。
 時間が中々取れなくて、大したものはまだ使えないけど……でも、役には立ったね」
「役に立ったって……どうして、こんなことを?」
弟は答える。普段と何ら変わらない瞳を、壊すべき者に向けて。
「壊したいからさ、ヘンリー。貴方を、誰にも邪魔されずに、壊したい」
「……デール?」
ヘンリーは縋るような視線をデールに向ける。聞き間違いであってほしいと言わんばかりに。
デールは嘲けるように、小さく笑う。

218:兄と、弟と 4/6
04/12/20 23:04:26 k0tImI/E
「そう、壊したい。悲鳴を聞きたい。血を見たい。きっと綺麗だろうね。僕の兄さんなんだからさ」
「デール……」
「ねぇ、いいだろう? 一度ぐらい、僕の頼みを聞いてくれたってさ」
「……何があったんだよ、お前に」
「別に何も。僕がしたいからこうしてるんだ」
「……狂って、しまったのか……?」
いっそ、感情も顕に否定してくれれば、まだ救いはあったのかもしれない。
けれどもデールはどうしようもないぐらいに冷静だった。静かにヘンリーを見つめたまま、彼は言った。
「そうかもしれないね。僕は狂っているのかもしれない。
 でも、どうでもいいことじゃないか、そんなことは」
ヘンリーが叫ぶ。耐え切れなくなったように、懇願するように。
「デール、止めろ。止めてくれ!」
けれどもデールは言葉を続ける。
「僕は壊したい。この衝動を抑える気もない。
 だから、僕は壊すんだ。それだけの話だよ、ヘンリー」
―デール!
ヘンリーは叫んだつもりだった。声が出なかった。喉の奥で詰まってしまった。
「いい表情だね……それを見たかった」
反対に、デールは晴れやかに笑いながら言った。
「もっと見せてよ。ねえさんみたいに、素敵な表情を」
その言葉に、ヘンリーの思考が一瞬フリーズする。
―ねえさん、みたいに?
「綺麗だったよ? 赤い口紅をつけて、今の貴方のように僕を見上げた」
―今の、俺のように?
「そうそう、歌も聞かせてもらったんだ。美しいソプラノの賛美歌だよ」
―ソプラノの、賛美歌?
「それからね……最後まで、貴方の名前を呼んでいた」
―俺の、名前を、呼んでいた?

「……あ……」
―まさか。有り得ない。嘘だ。冗談だ。不可能だ。そんなことあるはずがない。
止めろ。止めてくれ。言うな。頼むから言うな。言わないでくれ! 頼むから!!

219:兄と、弟と 5/6
04/12/20 23:06:06 k0tImI/E
「貴方も壊してあげるよ。マリア義姉さんみたいに」

今度こそ。ヘンリーの思考も、身体も、完全に停止した。
ゆっくりとデールの持つマシンガンの銃口が向けられる。
けれども翡翠の瞳は虚ろなままだ。マネキンのように固まったまま、運命の時を待つだけだ。
逃げる気力も、そうするだけの意思も。今のヘンリーには残っていない。
「安心してよ。貴方の子供は、僕が守って育てる。
 あの子は壊さない……何故だかわからないけど、あの子だけは壊したくないんだ」
デールは笑った。今までとは明らかに違う、淋しげな笑顔で。
もしかしたら、それは彼に残された最後の正気であり、良心だったのかもしれない。
けれども―デールは、トリガーに指をかけ―

「止めろ!」
引き金を引くより早く、投げられた盾が、彼の手を弾いた。
振り向いたデールの視界に、緑髪の少年と、小さな子供の姿が映る。
ソロとビビは一瞬目を見開き、睨みつけるデールと棒立ちになったままのヘンリーを交互に見つめた。
「え……ヘンリー、さん? 二人……?」
邪魔が入った。デールは大きく舌打ちし、身を翻す。
この状況で二人を追い払うのは不可能だ。ここは一先ず退くしかない。
「あ……ま、待て!」
ソロとビビが後を追うが、それはマシンガンの弾幕によって阻まれた。
「ヘンリー! いいか、次に会うまで何があろうと生き延びろ!」
硝煙と夜の帳の向こうで、ヘンリーに良く似た声が響く。
「誰にも殺されるなよ……貴方を壊すのは僕なのだからな!」

ソロとビビは、呆然とその言葉を聞いていた。何がどうなっているのか、混乱する二人の耳に虚ろな声が届く。
「なぁ、ビビ。お前、俺に聞いたよな……本当に悪いやつなんかいないよね、ってさ」
「ヘンリーさん……?」
棒立ちになったまま。弟の去った方を見ながら。ヘンリーは機械的に呟く。
「俺もいないと思ってたんだ。好きで人を殺す奴なんかいないと……思っていたんだ……
 でも、違った……はは、あいつがマリアを殺したってさ。
 俺の弟が、俺の最愛の妻を殺したんだってさ。壊したいから殺した、ってさ」

220:兄と、弟と 6/6
04/12/20 23:07:24 k0tImI/E
「悪い奴だな、俺は。弟を殺したいなんて考える兄貴は、悪い奴に決まってる。
 でもな……でもなぁ! あいつは、デールは、あんな奴じゃなかったんだよ!」
翡翠色の瞳が揺れる。涙が、ヘンリーの目からとめどなく零れ落ちる。
「俺の弟はあんな奴じゃなかった! あんな狂った男じゃなかった!
 ガキの頃から俺の後追っかけてよ! いつも人の事ばっか心配しててよぉ!
 どうしようもなくトロくて! ソロ、お前みたいにお人よしで!
 俺なんかよりずっと……優しくて……イイ奴で……」
ソロもビビも、何も言えなかった。なんと言葉をかければいいのかわからなかった。
ただ、黙って聞くしかできなかった。
「俺の知ってるデールは、あんな奴じゃない。デールは、もう、俺の知ってるあいつじゃないんだ。
 マリアを殺して、俺も殺して、みんな殺すつもりで……あの、デールが……
 それで、俺は、あいつを殺すんだ……殺してでも止めるんだ……
 俺はあいつの兄貴で、親分で、だから俺が、殺してでも止めないといけない……俺が殺すんだ、弟を」
「ヘンリーさん……」
「なぁ……ソロ、ビビ、教えてくれ。誰でもいいから教えてくれよ。
 どうして、こんなことになっちまったんだ……
 なんでこんなことになっちまったんだよ……教えてくれよ、頼むから。
 誰か、俺に教えてくれよ!! なんでこうなっちまったのかをよぉ!!」
慟哭は風に乗り、夜空へと散る。
答えられぬ問いと、硝煙の匂いと、長い沈黙だけが。いつまでもいつまでも残されていた。

【ビビ 所持品:スパス
【ソロ(MP消費) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
【ヘンリー(負傷) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可)
 第一行動方針:ピサロ達と合流するまで待機 第二行動方針:仲間を探す(ソロ、ビビ)/デールを殺す(ヘンリー)】
【現在位置:レーベの西】

【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)、ひそひ草、アポカリプス+マテリア(かいふく) リフレクトリング
 第一行動方針:一旦退く 第二行動方針:皆殺し(バーバラ[非透明]とヘンリー(一対一の状況で)が最優先)】
【現在位置:レーベの西→移動】

221:修羅場近影
04/12/21 00:23:02 vXPoy0KY
「やっぱり見誤ったね。だから僕はやめようと言ったんだ」
「ふん、だがまぁ…人に会わずには済んでるだろう?」

アルスとシドは山間部を静かに歩いていた。
なるべく気配を勘付かれないように、静かに静かに。

数時間前。
放送を聞いた二人はショックを隠しきれない様子だった。
特にシドは…エアリスの死が悲しみを際立たせていた。
だがその悲しみを振り切ったのか、すぐに移動をしようとあっさりと提案した。
……だがその時に、2人の意見は真っ二つに分かれていた。

「まずは平野に下りてアリアハンまで歩こう。歩きやすい道では迎撃もしやすい」
「いや、山間部で静かに歩いてるほうが良い。
 普通の人間はこんな場所は避けるからな。だから村近くに行くぞ、村」

そして結局、じゃんけんで勝った方の提案で進むことになって。
そしてその数時間前から今まで、レーベに向けて山間部を歩いているわけで。

「目的はなんだったか覚えてるか?」
「レーベ近くまで今日中に歩いて野宿、だろ?僕を舐めないでくれないか、不愉快だ」
「そう怒るな、確認をしたんだよ確認を」

そして実は、2人のノルマは今達成されようとしている。
村が修羅場と化していることを知らずに、
山間部とは言えどその近くに行く事に、
何の抵抗も無く進んだ2人故のノルマ達成だった。

この後、2人は何かを見るのだろうか。

222:修羅場近影
04/12/21 00:24:10 vXPoy0KY


【アルス 現在位置:レーベ近くの山間部
 所持品:ドラゴンテイル ドラゴンシールド 番傘 ダーツの矢(いくつか)
 第一行動方針:レーベ近くまで進む 最終行動方針:仲間と共にゲームを抜ける】
【シド 現在位置:同上 所持品:ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) ロープ
 第一行動方針:同上 第二行動方針:PKを減らす 最終行動方針:ゲームの破壊】

223:解放 1/4
04/12/21 17:30:08 9I1vMjSi
ミネアは爆発のするところへ歩いていった。
しかし、歩いていくうちに気になっていたことがあった。
爆発するたびに、爆発の威力が下がっているようなのだ。
このことによりミネアは、もしかしたら戦いではない、と思い、少し安心した表情を浮かべた。
「でも戦いではないとしたら…?なんなの…?」
ミネアの疑問は、深まるばかりだった。
そしていよいよ爆発の際に生じる煙がミネアの視界を阻むような距離のところで、爆発は止んでしまった。
「爆発が…止んだ…?」
あたりは、煙が舞っていた。
前はよく見えないし、これ以上無用心に近づくと爆発に巻き込まれる恐れもあるので、ミネアはいったん足を止め、煙が晴れるのを待った。
そして煙が晴れた先に見えたのは…変わった形のした鎧を装備している大男がうずくまっていた。
どうやらこの大男が爆発の中心地となっていたようで、その大男はひどく体力を失っていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
ミネアはすぐさま大男に近づき、回復呪文をかけた。光がその大男、ハッサンを包んでいく。
「す、すまねぇ…助かるぜ…」
神秘の鎧の効果と相乗し、比較的体力は回復した。といっても、満足に歩ける状態ではないが。
ハッサンはうずくまった状態でミネアに話しかけた。
「…これをみてくれ…」
ハッサンは右手をミネアに見せた。ミネアはすぐさま、一際目立つエメラルドの指輪に気が付いた。
「まさか、この指輪…?」
「そうみたいだ…こいつのせいで、何歩か歩くたびに爆発しやがる…しかも外せねぇ」
その言葉で、ミネアは呪いのアイテムだと判断した。・・・自分のアイテムよりも見分けにくく、残酷な効果をもたらすとんでもないものだと。
「…そんな…」
「…へへ…これじゃあオレはどっちみち死んじまいそうだな。でも、オレは、あんたに会えて感謝してる。
…こんなオレを助けようとしてくれたんだからな。ありがとうな。それに、オレの仲間たちは強い。あの魔女を絶対倒してくれる。…オレなんかいなくてもな。
さあ・・・もう行きな。こんなとこにいたら、ゲームに乗った奴が来るかもしれないぜ。それと・・・よかったら、俺のこの剣を持ってってくれ。」
そう言って、ハッサンは奇跡の剣を差し出した。しかし、ミネアはそれを受け取らなかった。そして、ミネアはゆっくりと立ち上がった。

224:解放 2/4
04/12/21 17:31:31 9I1vMjSi
「…ここで待ってて。助けを呼んでくる。」
「お、おい…」
「目の前で消えかけている命を見捨てる、そんなことはできないわ。それに、大切な仲間もいるんでしょう!」
ミネアはそう言って、走っていった。方角は南、つまりもともとミネアがいた方向である。
なぜ南を選んだのかは、ミネア自身もわからなかった。しかし、この南という選択が、幸運を呼ぶのであった。
険しい山道を超えていく途中、放送を聞いた。
「ブライさん・・・・・トルネコさん・・・・・」
ミネアの足が止まった。深く悲しみ、涙を流した。
しばらくして気が付くと、あたりは完全に夜になっていた。ミネアは、また走り出した。
今、やれることをやる。ブライさんもトルネコさんも、いつまでも泣いてることを望んではいないだろう。
そう思い、ミネアは走った。
しばらく走ると、祠を見つけた。
ミネアはその祠へ入った。祠の中には、地下へと続く階段があった。そこを降りると、扉があった。しかし、鍵がかかっている。
だが、明かりが灯されているようであった。つまり、人がいるということである。
その扉の向こうにいる人が、ゲームに乗った人でないことを祈りながら、ミネアは扉を少し強めにノックした。
「誰かいますか!?」

225:解放 3/4
04/12/21 17:33:45 9I1vMjSi
セージ、タバサ、ビアンカは眠っていた。しかしセージは、どこからか音がするのに気づき、目を覚ました。
音のする先は、扉だった。
「・・・また、危険な来客かねぇ・・・」
セージはタバサを起こし、警戒するようにいった。そして、扉を開けた。するとそこには女性がいた。
「戦う気はありません、お願いです、私の仲間を助けてください!」
突然のその言葉に、セージとタバサは少し唖然とした。しかしその女性、ミネアに事情を聞き、納得した。
「よし、そこに案内して。タバサ、お母さんを頼むよ。」
タバサは頷いた。そして、ミネアとセージはハッサンがいたところへ走った。
険しい山道を再び超えると、ハッサンはまだうずくまった体勢でいた。けれど神秘の鎧の効果で、だいぶ体力は戻っているようだ。
「どこにその呪いのアイテムを装備したんだい?」
「この指輪だ・・・」
ハッサンは右手を差し出した。
「これだね。よし・・・」
セージは意識を集中し、呪文を詠唱した。ミネアとハッサンはそれを見守った。
「・・・・・・シャナク」
すると、爆発の指輪は、音もなく崩れ去っていった。
こうして、ハッサンはようやく爆発から解放されたのであった。


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