04/11/20 22:43:40 KDc7ODJS
「操りの輪…!?」
ロックは呆然とそれを見つめる。―操りの輪。
そのサークレットは、かつてティナを追い詰めていたものに違いなかった。
そして今、それをにつけている女性がゾッとするような笑みを浮かべ―こちらに向かってくる!
「ま、待て!アンタは…うわっ!」
おそらくは操りの輪の影響下にある女性。説得しようと静止の声をかけるロックだが、もちろんそう簡単にいくはずもなく。
全力で振り下ろされる剣を受けることしかできない。剣が重なる音が何度も響く。
(まずい、何とかして輪を壊すか、この人を気絶させるか…
つってもこの剣で輪を攻撃すれば、頭が砕けるだろ…どうする…?)
剣を受けながら思案するロックは、そのまま女性から一瞬だけ視線を外し、はっとした。
いつの間にか、女性の背後にフリオニールがまわりこんでいた。その手にはしっかりと銅の剣が握られている。
―そうだ、フリオニールは操りの輪のことなんか知らない、当然の行動だ。でも、殺すのは―!
「フリオニール、やめろ!!この人は―」
「ロックさん!?どうし…」
叫ぶロック、それを聞いてぴたりと動きを止めるフリオニール。
同時に、ソロが勢いよくドアを開き、ビアンカが開いた部屋へ二人をすりぬけて入っていった。
「…ビ、ビアンカさん!?」
ベッドに座っていたヘンリーは、突然の侵入者の姿を見て驚きの声を上げた。
そんな彼にビアンカは変わらぬ笑みで迫り―剣を振り上げる。
今の彼女にとっては家族以外のすべてのものが殺害対象であり、ヘンリーも例外ではないのだ。
そして、ヘンリーが目を見開くよりも早く、ファイアビュートが―
―キィン!
間一髪というタイミングで弾かれた。ビアンカは驚いたように振り返り、静かに剣を構えるソロに向き直る。