04/11/06 01:29:20 FrlYZG/0
アグリアスは次の瞬間ビームウィップを横になぎ払い、その勢いを利用して体を180度反転させた。
線状のビームが大きく弧を描いて、木という木を真っ二つに切断した。
草が焼かれ赤い火が辺りに燃え移る。火花が散ったような音がして、大木が崩れ落ちた。
やったか? 今の攻撃をかわすような相手がいるとは思いたくないが……
アグリアスが気をぬかずにいたのは幸いだった。
敵は瞬間的に跳躍し、ビームの閃光をかわしたのだ。
「!」
頭上から赤い塊が降ってくる。
アグリアスは体を屈め、緊急回避の体勢をつくった。後転し、背中が太い木の幹にぶつかったところで
もう一度鞭で前方を薙いだ。
赤い髪の戦士、サラマンダー・コーラルがアグリアスの十数メートル先にいた。
サラマンダーはアグリアスの第二激もかわしていた。
「まさか気づいていたとはな。俺の気配を殺す術は完璧に近いと思っていたが」
アグリアスは口の端をわずかにつり上げた。
「気配を消せても、枝を折る自分の足音に気づかないようでは、二流だな」
サラマンダーは突進してきた。
黒くくすぶった草の上を跳ねとび、あっという間に距離をつめてくる。右手に鋭い爪が生えているのを
アグリアスは確かにみた。あれはきっと鋼鉄をも切り裂く使いこなされた武器だろう。
ならば、アグリアスもクロスクレイモアを手にとった。
こちらも専門を使わせてもらう。剣の扱いならば負ける気がしない。
少なくとも今ならば。
【アグリアス 現在位置:岬の洞窟入口近辺 所持品:クロスクレイモア、ビームウィップ、もう一つは不明
行動方針:サラマンダーを倒す
サラマンダー 所持品:ジ・アベンジャー(爪) 他は不明
行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)】
251:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 01:47:21 RCmHFqMk
アリアハンの攻防>>247修正
何回もごめん…アイテムで道具屋から漁ったって書いたのに最後表示されてないよ…
【バッツ 現在地:アリアハン城下町中央 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式
第一行動方針:ローグ、リディアと話す 第二行動方針:レナ、ファリス、クルルとの合流】
今回は現地調達ありみたいだからやらせてみたかったんだ…いきなり忘れとる…
252:記憶
04/11/06 02:09:06 N65KRZM0
レーベ北西の草原に、一人の少女がいた。
その蒼い髪の少女は、涙を止める術を知らない。
記憶の中で飛び散った鮮血が、何度も何度も彼女の瞳の中を染め上げる。
少女は、無防備ともいえる状態で、草原の真ん中で突っ伏していた。
蒼い瞳に浮かぶのは、勇気ある一人の女性。
―あまりに無残に、その生涯を終えさせられたその姿を。
―紫の髪を、血の池に横たえた、最初の犠牲者の姿を。
少女はかつて父も母も失った。
ともに安らかな死に顔だった。
お前を一人残していくのはつらい、と呟いて逝った。
それが死ぬことだと、今までそう思ってきた。
だが、その女性は最後の一言も発する事無く、絶命した。
きっとこのゲームでは、多くの人がそうやって死んでいくのだろう。
安らかな死など、認められないこの世界の中で。
止まらない涙を拭き、体を起こす。
こんな風に泣いていても、何も変えられない。
…お兄ちゃんを見つけよう。
本当はレイドックの王子様だったお兄ちゃん。
魔王を倒して、伝説の勇者と呼ばれたお兄ちゃん。
私の、これからもお兄ちゃんと呼んでもいいかという問いに、笑って答えてくれた。
「もちろんだよ、ターニア」と。
…また、会いたい。
お兄ちゃんも、その仲間達も…ランドも。
みんなと、会いたい。
253:記憶
04/11/06 02:10:26 N65KRZM0
少し勇気が出てくると、ターニアは支給品を開いた。
配られたアイテムは二つだった。
一つは、巨大な剣。とても、扱えそうに無い。
もう一つは、小さな種。使い方はわからなかった。
とりあえず二つをまた袋にしまうと、ターニアは周りを見渡した。
隠れる場所のほとんど無い、平原のど真ん中。
東に200m位のところに、森があるのを確認する。
ふと反対側に目をやると、西の方から、誰かが歩いてくるのが見えた。
「あれは…?」
確か、魔王を倒した時のパーティーに来ていた人だ。
お兄ちゃんの仲間のテリーさんだ!
「テリーさん!!」
少女は、ありったけの声でその青年を呼んだ。
その青年は、表情を変えなかった。
…私のことを、覚えていないのかな?
ターニアのある意味楽観的なその想像は、即座に否定された。
青年はおもむろに歩みを走りに変え、剣を前に構えた。
それでターニアは、凍りついた。
青年の剣は、血で濡れていた。
「あっ…」と言う間に、テリーはターニアから50mの所まで迫っていた。
もう、明らかだ。私にも感じる。彼の殺気が。
彼に背中を向け、全力で逃げようとするも、鍛えた戦士と普通の少女の違いは大きい。
真正面に森があった。あそこに逃げ込めば助かるかもしれない…!
そう思ったとき既に、テリーとの距離は30mをきっていた。
20m…いやだ…15m…どうしよう…10m…お兄ちゃん…5m…助けて!
もうダメだ、そう諦めかけた瞬間だった。
254:記憶
04/11/06 02:12:08 N65KRZM0
バーン。自分の後ろで、何か大きな音がした。
振り返ると、テリーの姿は20m以上後方で、宙を飛んでいた。
何かに吹き飛ばされたようで、彼は背中から地面に激突した。
「大丈夫!?」
森の中から、一人の女性が出てきた。
女性…エアリスは杖を正面に構え、大きな声で叫んだ。
「早く、逃げて!」
ターニアは、躊躇いを捨てた。。
杖を構えるその女性の方へ、一目散に駆け出した。
「くッ…」
唐突な攻撃だった。
強かに腰を地面にぶつけ、苦悶の表情を浮かべる。
立ち上がって見ると、少女と、自分に攻撃した『誰か』は既に森の中に消えていた。
「ちッ」
テリーは、苦々しく舌打ちをする。
―しかし…わからない。
あの少女は自分の名を知っていた…?
一瞬考えようとするも、彼はその思考自体はあまり意味がないと考え直す。
―まあ、いい。
彼は、力の証明のための相手を探すべく、南西のレーベへと向かった。
【ターニア 所持品:ゴディアスの剣 理性の種 行動方針:テリーから逃げる/兄(DQ6主人公)を探す】
【エアリス 所持品:ふきとばしの杖 他不明 行動方針:テリーから逃げる/??】
現在位置:レーベ北東の森入り口付近?
【テリー(DQ6) 所持品:クリスタルソード イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド
現在位置:レーベ北東の平原 行動方針:レーベへ向かう/自らの力を試す=ゲームに勝利する】
255:>>249修正
04/11/06 02:25:13 oW15+NOv
生き残るためには殺さねばならない、それが正しいことであると言えるか、しかし―
アグリアスは岬の洞窟を片手づたいにひた歩き、なんとか出口を見つけ外に出た。
洞窟の中では暗闇が恐怖を誘ってしまう。光が欲しかった。明るい日差しのもとで、敵を倒す。
そう、他の参加者はすべて敵だ。
ひとりだけしか生き残れないゲームなのだから、仲間なんて意味がない。
あまりに唐突に始まったこのゲーム、アグリアスは始まりの部屋でラムザに声をかけられた時も、
半信半疑でいた。
うなずいて、扉に走りこんではみたが、そう簡単に信じていいのだろうかと不安になった。
暗闇の洞窟のなかでラムザの顔を思い出したとき、あれは幻影であったように思えた。
あの毅然とした態度の中に確固たる本物の人間としての精神を見い出したのは確かなのに。
そう簡単には信じられないのだ。
あの男の姿は自分を騙す罠の一つであり、気を許して近づいてこの身をゆだねることなぞ、このゲーム
に乗ることと同じ位愚かなことなこと、そう考えるべきだとアグリアスは思う。
……だから結局私は一人でこの世界に投げ込まれた……
彼女は、今洞窟をぬけ、自分は孤独であると思い込んでいた。
現に傍には誰もいなかった。
洞窟を出たところは森の中だった。
入りくねった木の枝や、足をからめとられそうな草の茂みに面倒なものを感じながらも、先へ進むことを
決意する。
~~これ以降は同じです~~
失礼しました
256:闘争心
04/11/06 02:52:57 H7xHCbs4
「ハアアァァァ…!!」
男は剣を振るうと巨木を一刀両断にし、直後に発生した爆発により巨木は粉々となる。
「流石は伝説の剣。この力、真に素晴らしい。
が、流石に扱い辛いな。やはり私では完全に使いこなす事は出来ぬか…。」
デュランは手に持つラミアスの剣をじっと見つめた後、鞘に収める。
「あの魔女に巨竜、おそらくその強さは私よりも数段上か。
フフ ハハハハハ…。奴等とも是非戦ってみたい物だが、今はまだそのステージでは無い様だな。
暫くの間この余興に付き合うのも悪くは無いだろう。
この地に集められし強者達よ、是非とも私を楽しませてくれたまえ!」
ゲームに乗っているのとは少し異なる。
他者を殺す、生き延びる、そのような事は彼には関係無い。
弱き者、戦う気の無い者には興味は無く、ただ強い者と本気で闘い、そして勝つ。
それだけが彼にとっての興味であり、生き甲斐である。
「先ずはこの洞窟へ向かってみるとするか。
フフフ… これから強き者に出会えると思うとゾクゾクしてくるわ。」
森を駆け抜け、デュランは岬の洞窟へと向かう。
自分を楽しませてくれる相手を捜し求めて。
【デュラン 現在地:岬の洞窟北東の砂漠付近 所持品:ラミアスの剣
第一行動方針:強い者と戦う 最終行動方針:ティアマト、アルティミシアと戦う】
257:214
04/11/06 09:05:58 v65cecnL
間違えて雑談スレで修正宣言してしまいましたので一応こちらでも。
女性もいるこのゲームに←女性も子供もいるこのゲームに
重ね重ねすみませんorz
258:最後の血統1/4
04/11/06 11:05:06 fGNQDf2L
(―殺し合いをしろですって?冗談じゃないわ!)
そんな怒りを小さな魔法で木にぶつけている少女。
ムーンブルク国の王女、ムースだった。
殺し合いをしろといわれた、でも自分にはそんなことが出来るわけが無い。
あの中にはロランやパウロだって………。
しかし、ある思考が彼女をこのゲームに乗らせようとしていた。
「お前はムーンブルク最後の血統だ、誇り高きその血統を絶やしてはいかんぞ…。」
父の遺言だった、何故それを思い出したのか、彼女自身も分からない。
(私が死ねば…ムーンブルクの血は途絶える…それはお父様を悲しませてしまうこと。
お父様を…悲しませてはいけない、でもロランやパウロを殺すだなんて―)
そのとき、彼女の思考に何かが流れこんだ、そう、完全にこのゲームに乗らせる言葉が。
「生き残れ!ムースよ!たとえ何があろうと!」
タトエ…ナニガアロウト…イキノコラネバナラナイ…。
ロランやパウロを殺せない?―否、今の自分には平気で殺せる。
誰だって、そう生き残る為なら嘗ての仲間を殺し、自らの手を血に染めることになろうとも。
259:最後の血統2/4
04/11/06 11:11:02 fGNQDf2L
「生き残る…そして私は…嘗て破壊神を破壊した、破壊できないものは無い。」
そして、狂気に満ちた彼女は支給品から一本のロッドを取り出した、その後彼女はあたりを見回した、三つほどの影が見える。
「先ずは三人…」
彼女はその三つの影に向けてロッドを振った。
彼女自身は呪文を唱えたが、ロッドからは彼女自身も知らない、未知の呪文があふれた。
一つは、大きな火球が影に向かい、その影を燃やし尽くした。
一つは、強靭な風が、影を襲った。
一つは、何所からとも無く、一粒の隕石が落ち、小さな爆発を巻き起こした。
もう一つの支給品、望遠鏡のようなもので、その三つの影を確認する。
火球の行った先は海賊のような姿をした男が燃えていた。
強靭な風が通り過ぎた先は吹き飛んだのか、何も見えなかった。
隕石が落ちた先も、一人の忍者のような女性が見える、即死とは行かないが腕が落ちている、片腕を遺失したようだ、そして素早く、忍者の如く逃げていった。
「チッ、確実に仕留められたのは一人ですか…まぁ良いです、逃げたあの女性は後で仕留めましょう。
そして…フフッ、これは使えるわ、大事にとっておきましょう。」
そして、人を求めて歩き出そうとしたときだった。
260:最後の血統3/4
04/11/06 11:11:51 fGNQDf2L
ムースは不意打ちを食らってしまった。
「やい、てめぇ!いきなりバギクロスかますなんて痛いじゃねぇか!」
そうやって、ムキーッっとなりながらムースに殴りかかってきたのは、小さなもこもこしていて、顔はいかにも意地悪そうな顔の奴だった。
しかし、この物体もムースも気がついてはいなかった、今のはバギクロスではなくエアロガだということを。
「もう怒ったぜ!ちょっと懲らしめてやる!」
そんな言葉を聞き、ムースは口元を歪めた。
「フフ、貴方みたいな小さな奴に負けるとでも―」
言葉はそこで遮られた、その物体が先ほどの大きな火球を練りだしたからだ。
急いで避けたが少し火傷を負ってしまった。
「チッ…こんな上等な呪文を使うだなんて…」
「ちくしょお、素早い奴だぜ!」
その声は重なった、対峙する一匹と一人、そこへ…。
「おいおい、そこのもこもこした奴!一人で立ち向かうのは無謀だと思うぜ。
こいつは結構呪文の使い出だ、余計なお世話とは思うが、こういう奴は放って置けねぇ!
このギルガメッシュ様が加勢してやるぜ!」
と威勢のいい声と共に現れた颯爽に現れた赤マント、しばし呆然としていたわるぼうだが、
ムースに殺意を向けられていることに気がつき、もう一度ムースのほうを向いた。
そして、ギルガメッシュと名乗る奴に向かい、一言呟いた。
「俺はわるぼう、マルタの国の精霊さ。」
そしてムースは、邪悪な笑みを浮かべ、こう言い放った。
「フフ、二人に増えようと同じです、まとめて塵にしてあげましょう!」
その声は、嘗て破壊神を復活させた、ハーゴンに似ていた。
261:最後の血統4/4
04/11/06 11:13:58 fGNQDf2L
【ムース 生存確認 現在地:レーベ北の平原
所持品:ワンダーワンド(ランダムに魔法を発射します) 遠距離用スコープ
第一行動方針:わるぼう、ギルガメッシュを殺す
第二行動方針:仕留め損ねた奴(ユフィ)を殺す
最終行動方針:生き残る】
【わるぼう(負傷) 生存確認 所持品:不明(邪魔だと言って捨ててきた可能性あり
【ギルガメッシュ 生存確認 所持品:不明
現在地:レーベ北の平原
第一行動方針:ムースを懲らしめる(殺すことになるかどうかは微妙。】
【ユフィ(片腕遺失) 生存確認 現在地:レーベ北の平原からいざないの洞窟方面へ逃げる
所持品:不明
第一行動方針:術者から逃げる
最終行動方針:????】
【ビッケ 死亡】(支給品は燃え尽きたor放置
262:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 12:22:26 fGNQDf2L
ぁぁ、申し訳ない。
【ムース(DQ2ムーンブルク王女) 生存確認 現在地:レーベ北の平原
です。
263:実は弱虫…? 1/2
04/11/06 12:58:09 Zg3h8cIb
(なんで、なんで俺様はここにいるんだ…)
唐突に始まったこのゲーム。何故こうなったのかを、ブオーンは考えていた。
(俺様は確か、あのいけすかないルドルフの奴に封印されて…)
封印がとけたらルドルフに復讐しようと決めていた。
(あの金の亡者は、俺様にかかった賞金欲しさに封印しやがったんだ!!)
思い出しただけでもはらわたが煮えくり返ってきた。
(俺様は、健気に、直向に、大人しく、生活していただけなんだぞ!!)
確かに寝返りを打ったり、何かに躓いて思わず、家や人を踏んだことは何度かある。
だが人間だって、何かの拍子に蟻を踏んだり、巣を壊すことだってあるじゃないか。
(封印の経緯についてはまあいい)
ブオーンは、確か自分の封印はとかれたことを思い出した。
封印がとかれた後、早速ルドルフの居所を捜した。
最初に、ルドルフに罠をかけられ、封印した塔に行ってみると、そこには見知らぬ男と子供がいた。
(そして、俺様は倒されたんだよなあ…?)
これについては、ブオーンには何の文句もなかった。
弱い奴が強い奴に倒されるのは自然なことだ。ルドルフのように卑怯な罠を使ったわけでもない。
あいつらは、自分が封印された後、幅を利かせた奴なんだろう、と予測している。
(あいつらも、このゲームに参加してたなぁ…)
参加者一同揃った先ほどの会場に、あの男と子供がいた。
このゲームには、確実に自分より強いものが参加している。
(ルドルフの奴が参加しているわけでもなさそうだし…)
ルドルフがいない以上、ブオーンはわざわざ動いて殺される危険を高めるつもりはなかった。
一度倒され、もう一度殺されるのはゴメンだ、という心境になっている。
(さっきから背中の当たりが痒いけど、かくわけにもいかないか、はぁ)
大きな、ため息が漏れた。
264:実は弱虫…? 2/2
04/11/06 13:00:07 Zg3h8cIb
「ぬお、なんか動いた…?」
運がいいのか悪いのか、ブオーンの背中を小山だと思って待機していたゴゴは、突然の揺れに驚いた。
それはブオーンがため息をついたために起きた揺れなのだが、それを彼は知る由もない。
【ブオーン 現在位置:レーベ南西の山岳地帯に同化中 所持品:不明
第一行動方針:動かずやり過ごす】
【ゴゴ 現在位置:レーベ南西の山岳地帯(ブオーンの背中)
所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
第一行動方針:誰か来たら、その人の物真似をする。】
265:花占い 1/2
04/11/06 13:13:40 Y0tOXZzb
「私は、サックスに…」
すぅっ…と決意したように息を吸い込み、真剣な眼差しでそれ―ある意味、彼女の運命を決定づける物―を見つめ…そして、始める。
震える指先で、それでもしっかりと掴んでいく。ゆっくりと、ひとつずつ無くなっていく。
「会える、会えない、会える、会えない」橙色の花びらが足元に散っていった。
エリア。彼女はどこかずれている。
死んだはずの自分が何故ここに立っているのか、何故こんなゲームに参加させられているのか…
考えた、考えたが、わからないことをいつまでも考えたって始まらない。
それよりも、折角今もう一度こうして彼らと同じ大地に立つことができたのだ。もう一度…会いたい。
「会える、会えな……」
ぴたり。エリアの指はそこで止まった。…花びらはあと一枚。
「……もうっ!こんなのどうせ当たらないんだから」
そうつぶやくと、今度は赤い花を手にする。そしてまた占いはじめる。
「私は、ギルダーに…会える、会えない、会える…」
―サックスもギルダーも、どうしてるかなあ。あのころと変わらないままだといいな。
そういえば、ジョブはナイトと赤魔道士のままなのかしら?二人ともこだわって極めようとしてたから…きっとそうね。
ああ、早く会いたい。
「会えない、会える…やったあ!」
赤い花は、その花びらを全て散らせることができた。もちろんこんな占いは気休めだと彼女自身わかっている。
動かなくては始まらない。占いのほうは…橙のほうはハズレ、赤のほうアタリであることを希望して。
エリアは花びらが一枚残る橙の花と、花びらのなくなった赤い花のふたつを大切そうにワンピースのポケットにしまいこむと歩き出した。
266:花占い 2/2
04/11/06 13:16:51 Y0tOXZzb
(…あれって、まさか!)
緊張しながら森の中を進んでいたエリアは、その後姿を確認するなり目を見開いた。
彼女の視線の数メートル先には赤いマントに羽帽子、そして長い金髪―もしかして…!
安堵感と嬉しさから笑みを浮かべる。こんなに早く見つかるなんて!駆け寄りながら懐かしい名前を呼ぶ。
「ギルダー!」
「…!?うわああああっ!」
あ――
エリアは、引きつった笑顔で硬直した。ギルダーじゃなかった。
確かに服装は似てるけど赤魔道士のものではないし…ギルダーよりも七つか八つは年上と思われる青年だった。
「なっ…だ、誰?ぼ、僕が何か?」
青年は突然の他人との遭遇に、青ざめた顔で震えている。
相手がエリアのような、とても悪人には見えない女性でなければ錯乱して襲い掛かっていたかもしれない。
「ご、ごめんなさい、…あ、あはは」
エリアは、笑うしかなかった。
【エリア:生存確認 現在位置:レーベ東の森最東部 所持品:妖精の笛、占い後の花
第一行動方針:ギルバートと話をする 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【ギルバート:生存確認 現在位置:同上 所持品:毒蛾のナイフ
第一行動方針:エリアと話をする 第二行動方針:セシルとリディアを探す】
267:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 14:12:58 kG4DPW/D
>わるぼう所持品:(邪魔だと言って捨ててきた可能性あり
「なわけねーだろ、勿体無い!」
わるぼうは怪我した体など露ほどにも感じさせない勢いだった。
大型のライフルを片手で軽々と持ち上げると躊躇わずトリガーを引いた。目の前にはギルガメッシュがいた。
「食らえ、ビームライフル連射!」
「うおっ、危ねえええっ」
ギルガメッシュは乱射されたビームに危うく巻き込まれるところだった。
体を左右に振り、ビームの嵐を際どいところで回避した。
「おい、俺まで撃ち殺す気か!」
わるぼうは掲げていたライフルを地面の高さまで降ろした。
「すまないワル。でもお前は動きが速そうだから、かわしてくれと信じていたんだぜ……
俺の読みは正しかったワル。お前ははぐれメタルなみにすばしっこい。でも調子に乗って逃げ足の
速さまではぐれ並に発揮してもらっちゃ困るぞ。もし、そんな真似したら後ろから撃つからな」
「てめえ、セリフが長いんだよ!敵がまだいるのを忘れんな!」
そう、ムースは怒り心頭でいまにもイオナズンを撃ってきそうな様子だった。
衣服がいたるところ裂け、その切れ間から白い肌が露出していた。
「よ、よくも私の法衣を……」
ムースはワンダーワンドを振り上げて呪文を唱えた。
わるぼうが目を見張る。
「あれはイオナズンの構えワル。こっちも呪文で応戦するぞ」
「待て、俺は攻撃魔法を使えねえぞ」
「お前に使ってくれなんて誰も言わないぜ。もともと戦力は俺一人だけだと考えていたからな」
「なんだとう!?俺は物の数に入ってねえってことかあ?なめてんのか!」
「まあ、加勢してくれる言ったときは少しは感謝したけどさ。でもよく考えたらあれは気の迷いだったのかと」
「ふざけんな。俺が頼りになる男だってことを思い知らせてやる」
ギルガメッシュはザックを野原にひっくり返して中身をぶちまけた。
その中から古びた剣を選びとると、ムースに向かって突撃を開始した。
わるぼうは頭をかきながらギルガメッシュの背中に精神を集中させた。
「やれやれ、しょうがない奴だよ。ほらっ、スクルト&バイキルト&ピオリム&フバーハ&マホカンタ×2!」
268:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 14:17:34 kG4DPW/D
【ムース 生存確認 現在地:レーベ北の平原
所持品:ワンダーワンド(ランダムに魔法を発射します) 遠距離用スコープ
第一行動方針:わるぼう、ギルガメッシュを殺す
第二行動方針:仕留め損ねた奴(ユフィ)を殺す
最終行動方針:生き残る】
【わるぼう(負傷) 生存確認 所持品:ビームライフル 残り不明
【ギルガメッシュ 生存確認 所持品:ボロい剣、種子島銃、厚底サンダル
現在地:レーベ北の平原
第一行動方針:ムースを懲らしめる(殺すことになるかどうかは微妙。】
269:誕生!スーパーボンバーマン1/4
04/11/06 17:08:33 ZxF/XcgI
「うおおおおおーーーーー!!」
雄叫びを上げ、自らを奮い立たせるモヒカン男。
正義をこよなく愛する男、ハッサンである。
彼は、心底怒っていた。
主催者アルティミシアに対して。
このゲームに対して。
そして、最初の広間で女性が殺されたとき、何もできなかった自分に対して。
こんなところで死んでたまるものか。絶対に、生きて脱出してやる。
そして、あいつをブン殴る。そう心に決めたハッサンであった。
しかし、気合いと怒りだけで脱出できるはずがない。
首輪をどうにかしないといけないし、アルティミシアに一人で勝てるはずもない。
同士を募り、アイテムを集めなければならない。
「おっと、そういや、オレの支給品は?」
ハッサンが袋を探る。出てきたものは3つ。
神秘の鎧。歩くだけで体力が回復するスグレもの。結構カッコイイ。
奇跡の剣。斬りつけると同時に、体力を回復する業物。結構カッコイイ。
当然装備。これでボーナス40点もいただきだぜ。
もう一つは、エメラルドの付いた指輪。
レイドックのおばさんの指輪に付いていたイミテーションのようなものではない、本物のエメラルドだ。
さらに、魔力もこもっているらしい。装備するか。最近の男には、おしゃれも必要だぜ!
ハッサンはエメラルドの指輪を装備した。
270:誕生!スーパーボンバーマン2/4
04/11/06 17:11:34 ZxF/XcgI
__,,:::========:::,,__
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
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.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
エメラルドの指輪が爆発した!
271:誕生!スーパーボンバーマン3/4
04/11/06 17:14:29 ZxF/XcgI
まさか爆発するとは…
生きているのが不思議なくらいだぜ。
こういう謎のアイテムには、インパス。一応覚えておいてよかったぜ。
「インパス!」
爆発の指輪 重さ4
装備すると、装備者の生命エネルギー(=HP)を半分消費して、強制的に爆発を起こすぞ。
その後、数歩~数十歩ごとに爆発を起こすぞ。
つまり、なんだ、弱いメガンテみたいなもんか。神秘の鎧を装備していてよかったぜ。爆発しまくっても死なずにはすむな。
…て、待て待て待て!こんなの装備してたら、仲間どころか、生き物一匹よってこねぇじゃねぇか。
それに、このまんま装備してたら、常に瀕死状態じゃねぇか。冗談じゃねえ。
いや、この指輪外せばいいのか。俺としたことが、ただの取り越し苦労だったぜ。
さて、これは外して、仲間を捜すとするか。
272:誕生!スーパーボンバーマン4/4
04/11/06 17:18:40 ZxF/XcgI
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爆発の指輪は呪われていて外れない!
【ハッサン(HP残り1/4+α) 現在位置:いざないの洞窟西の山岳地帯 所持品:E奇跡の剣 E神秘の鎧 E爆発の指輪(呪)
行動方針:指輪を外す 最終行動方針:仲間を募り、脱出】
※爆発の指輪、呪いはトルネコ2仕様
273:254
04/11/06 17:44:16 FcWPz1pn
ふきとばしの杖→ふきとばしの杖〔4〕
に脳内修正お願いします
274:意思疎通1/4
04/11/06 18:28:00 fGNQDf2L
(オレは、気がついたらあの場所にいたんだ。
タイジュでヘルードとグレンザとゴルゴと冒険していて、いつも道理疲れたからベッドで寝たらあそこにいたんだ。
そして、アルティミシアっていうすごいおばさんに殺しあえなんて言われちゃってさ。
もう嫌になっちゃうよ、あーあ、皆がいればあんなおばさん一捻りなのにな。
でも、この変な世界で一人の友達と、見たことも無いモンスターを仲間にすることが出来た。
友達のほうはレックス、僕と同じぐらいの大きさで呪文も使える。
で、モンスターの方は緑色の…面白い形をしたモンスター、マーマンが100倍可愛くなった感じ。
そうそう、まだアレをやってなかったっけ、名簿によると…このモンスターはトンベリって言うのか、神聖な儀式だし…うーん)
と、彼が悩んでいる中、レックスがこう言った。
「ねぇ、テリー、君。どうせだからこの袋開けてみない?」
とレックスがテリーとトンベリに尋ねた、君というのはトンベリを指しているようだ。
そして、テリーも座り込み、袋を開けてみた、テリーの支給品はラッパと黒い球体だった。
「これは…吹くのかな?でもこっちの丸いのは使い方わかんねぇ、入れとこう。」
その黒い丸い物体が、このゲームを破壊しかねない存在だということ。
「メテオ」を呼ぶものだということを、を二人と一匹は知ることは無いだろう。
そして説明書を片手にラッパを使いこなそうと頑張っていた。
275:意思疎通2/4
04/11/06 18:29:37 fGNQDf2L
「僕の支給品は包丁と…盾だな、うーん、ちょっと使いにくいなぁ。」
盾のほうはオーガシールドという、なかなかの守備力を誇るものだった。
包丁を取り出した瞬間、トンベリが少し暴れ始めた。
「ど、どうしたんだよ!いきなり暴れて!」
テリーとレックスは慌て始めた、トンベリが暴れ始めたからだ。
(―見たことも無い魔物…話し合えるかどうかは分からない…でもオレは…やってみるしかない!)
そして、テリーは集中し、トンベリのほうを向いた。
それは…魔物使いのみが出来る、モンスターとの会話だった。
テリーがゆっくりと目を閉じた後…テリーはこう呟いた。
「それはぼくのほうちょうです、かえしてください!」って言ってるぜ。」
そうテリーがレックスに言った、トンベリとの意思疎通に成功したのだ
レックスはそのテリーの姿を、見て魔物と離す、父の姿と重ねていた。
「テリー…君は、一体?」
その言葉に、テリーは自信を持って答えた。
「オレはタイジュの国のM・M(モンスターマスター)テリーさ!」
モンスターマスター、その言葉にレックスはやはり父と繋がるものを感じていた。
そしてテリーは、ちょっと決まった…と思いつつ、テリーは用件を思い出した。
「おっと、その包丁、こいつの物みたいだから返してやれば?」
レックスはうなずき、トンベリに包丁を返した。
トンベリは、お気に入りの包丁が戻ってきて、とても嬉しそうである。
すると、一本の剣をレックスに差し出した。
「ほうちょうをかえしてくれた、お礼です」ってさ。」
その剣は、レックス自身よく知っている天空の剣だった。
それを受け取ってレックスはニコリと微笑んだ。
彼自身、前にも握っている、やはり…手になじむ。
276:意思疎通3/4
04/11/06 18:30:57 fGNQDf2L
ちょうどニコリと微笑んだときである、一人の男が向かってきたのだ。
手には大きな剣、そして盾、もしかしたらゲームに乗ってるかもしれない。
レックスとトンベリはテリーを守るように、テリーはラッパを片手に構えた。
すると、その男は剣から手を離し、テリー達に話し掛けていた。
「すまない…君たち、僕より少し小さな白魔道師…名簿に載ってると思うけどローザって人を見なかったかい?」
その男は、すこし悲しそうな顔でそういった。
しかし、子供たちは顔を横に振っていた。
その合図を見、男はさらに表情を暗くした。
「そうか…なら、もし見たなら言ってくれ、セシルという人が探していたと、あの城の近くにいると。」
そういって、その男はもの悲しそうに去っていった。
テリーにしてみれば仲間になるのを断った敵のように…去っていった。
その後、テリーとレックスはやるべきことに頭を切り替え、こう言った。
「そうだ…僕もわたぼうを探さなきゃ!」
「僕も…お父さんや妹を見つけないと!」
二人の意思は繋がった、そしてその後テリーは思い出したかのようにトンベリの方を向いた。
「そうだ、魔物を捕まえたからには、やっておかないとね、神聖な儀式だから。
お前の名前は――」
そう、テリーがトンベリに名前を付けているときだった。
レックスはふと、上を向いた、そこには…考えられないが人影があった。
よく見てみると…人のような、そうではないような、そんな感じだった。
277:意思疎通4/4
04/11/06 18:33:24 fGNQDf2L
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 黒マテリア(メテオ)
【レックス 所持品:天空の剣 オーガシールド
【トンベリ 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
現在位置:アリアハン北の橋の上
第一行動方針:わたぼうとレックスの仲間を探す
最終行動方針:ゲームから脱出する】
テリーがトンベリに名前を付けました、テリーはトンベリと意思疎通が可能です。
【セシル 所持品:光の剣 ミスリルシールド
現在位置:アリアハン北の橋の上からアリアハン城へ
行動方針:ローザを探す】
【フライヤ 所持品:?????
現在位置:テリー達の上空
行動方針:?????】
278:責任1/3
04/11/06 20:19:43 2xUTUuvV
森を駆ける二人の少女。
エアリスとターニアだ。
エアリスは後ろを振り返り、剣士が追いかけて来ない事を確認する。
「もう、大丈夫みたい」
そうターニアに告げると、ゆっくりと足を止めた。
ターニアもそれに習い、足を止める。
「怪我はない?」
エアリスが聞くと、少女は少しだけ頷いた。
呼吸は、少し荒い。
少し赤く染まった頬に、涙が流れた跡。
未だ潤んだままのその瞳で、ターニアは礼を言った。
「ありがとう…」
「いいのいいの。ホラ、こんなゲームだし、助け合わなきゃ…」
エアリスの声が、止まる。
ターニアとは違い幾らか戦闘経験のある彼女は、人間の気配を察知した。
「誰かこっちに来るみたい…」
ふきとばしの杖を握ると、神経を集中させる。
(二人くらい…殺気は無し)
エアリスは少しホッとしたが、まだ油断はできない。
人を見つけると急変する可能性だって、ある。
ターニアと共に、茂みの中に身を隠した。
ターニアを茂みの奥のほうへやると、エアリスは葉の隙間から外の様子を見た。
やって来るのは予想通り二人。
軽い身のこなしの金髪の美女と、剣を手にした金髪で体格のいい青年。
なにやら明るく話をしている。どちらも、人を殺せるようには見えない。
…と、そう考えていると、美女のほうがゆったりした口調で言った。
「其処においでの方、私達に戦う意思はありません。出てきていただけませんか?」
279:責任2/3
04/11/06 20:22:09 2xUTUuvV
見つかった!とエアリスが思ったその瞬間、ターニアは既に立ち上がっていた。
(この声には、聞き覚えがある。あの人なら、テリーさんのようにはならないはず!)
「ミレーユさん!」
ターニアは叫び、エアリスの横を一気に走り抜けるとその美女に抱きついた。
「ターニアちゃん!?無事だった!?」
ミレーユは、ターニアの予想通り、ターニアを抱きとめた。
「知り合いなのね?」
エアリスもまた、ゆっくりと立ち上がった。
四人が戦う意思が無いことを示しあうと、座り込んで自己紹介をした。
ターニアがテリーに襲われたことを話している間、ミレーユはとても険しい顔をし、
エアリスと金髪の青年…ティーダも表情を曇らせていた。
「やっぱり、そうなのね…」
ミレーユが、ふっ、と呟く。
「参加者リストのテリーは…」
彼女はリストを開き、テリーの写真を指差す。
「…赤い目をしているの。それは、デュランの手下になっていた時のテリーの目…」
「えっ?」
「多分彼は、デュランの手下だった時のテリーとしてこのゲームに参加しているの。
だから彼には正義がない。そしてきっと、ターニアちゃんのことも…私のことも、わからないはず。
なぜならその彼にとって私達は、未来に出会うはずだった人達だから…」
ミレーユが物憂げに溜息をつき、エアリスとティーダは顔を見合わせる。
280:責任3/3
04/11/06 20:23:15 2xUTUuvV
「…ティーダ君?」
ミレーユに不意に呼ばれ、ティーダは慌てる。
「な、何スか?」
「…その二人を守ってあげて。私は…行かなきゃ」
そう言い残し、ミレーユは立ち上がると、履いていた靴のおかげか信じられないスピードで何処かへ走り去った。
「ミレーユさん!!」
背中から聞こえるターニアの悲痛な声を聞くまいと、ミレーユはなおもスピードを上げる。
(テリーをあんな風にしたのは、私のせい。だから私が止めなくちゃいけない。)
あの時…ヘルクラウドでのテリーとの再会は、不意だった。
でもその時は仲間達がいて、だからテリーを止められた。
…でも私は、私を許せなかった。
彼の行動の全ては…私の責任なの。
だから、止めなくちゃ、いけない。
―私の命に換えても。
金色の髪を振り乱し、ミレーユはテリーの向かうであろうレーベへと、走る。
悲しくも美しい姿は、木々の向こうへと消えていった。
【ターニア 所持品:ゴディアスの剣 理性の種 行動方針:休憩?/兄(DQ6主人公)に会う】
【エアリス 所持品:ふきとばしの杖 青銅の盾 行動方針:休憩?/クラウドたちと合流】
【ティーダ 所持品:鋼の剣 麦わら帽子 微笑みの杖 行動方針:休憩?/仲間と合流】
現在位置:レーベ北東の森の中
【ミレーユ 所持品:月の扇 エルメスの靴 行動方針:テリーと会い、自分の命に換えてもテリーを更正させる】
現在位置:レーベ北東の森からレーベに移動中
281:血の臭い
04/11/06 22:13:40 Y0tOXZzb
(うう…何で僕が、こんなゲームに…?)
森の中を青ざめた表情で震えながら歩く兵士が一人。ピピンは、この殺人ゲームにびくびくと怯えていた。
自分は戦士とはいってもあくまでも兵士である。単独での実戦経験はないに等しかった。
訓練のときは常に他の兵士と一緒。戦いの旅はリュカ様達とご一緒。
そんな自分が、戦い慣れしていると思われる戦士達と普通に戦って勝てるはずもなく。
おまけに支給品はとてつもなく大きな剣と使ったことのない弓で、どちらも上手く扱うことができなかった。
「はぁ…」
溜息のひとつも出る。選ばれし選手達って…どんな基準なのさ。何で僕が?
それにあんな可愛い女性を、あんな見せしめみたいに殺すなんて!ゆるせな…い――?
「! なっ!」
ピピンは目を見開いた。ふいに、視界の端に映ったその存在に気が付いたのだ。
少し先の茂みに女性が倒れている、そして…これはまさか、血の臭い?
「だ、大丈夫ですか!?」
だっ、と駆け寄り…目の前で思わず立ち止まる。
女性の怖いくらいに真っ白な顔は、間違いなく死体のそれだった。既に絶命していたのだ。
(そんな―…酷い、こんな)
ピピンは、怒りと恐怖に震えながらもゆっくりと女性に近づく。
最初の部屋で見たのと同じ真っ赤な血が、周囲の緑を赤く染めていた。
そっと、死体を抱き上げる。…とても美しい顔立ちの女性だった。埋葬してあげなくては…
(……あれ?)
うつむいているピピンはふと気が付いた。…なんだ、これ?
キラキラと光る何かが地面に…氷だ。氷が辺りに散らばっている。
気が付かなかったが、良く見ると女性の足元にも氷が着いている。まさか、冷気系の呪文で――
282:血の臭い 2/3
04/11/06 22:15:26 Y0tOXZzb
「――ブリザガ!」
突如、男の声と共に魔力の波動が降ってきた。
すぐ後にピピンは、氷が砕けるような音を聞いた。足元が凍っている!
(上!?何で、何で…まさか、死体を囮にして…!?)
足が動かない、両手は使えるが武器を持っていない。不慣れな武器はザックの中だ。
(…くそっ、動けない!)
ピピンは見た。頭上の木の枝が大きく揺れて…一瞬後、自分の背後に着地した赤いマントの少年を。
(ちくしょう――リュカ様――レックス様――!)
それが、最後だった。
ギルダーは、兵士が絶命したのを確認すると、もはや動くことのないその身体からライトブリンガーを引き抜く。
兵士の死体は前に倒れ、先程殺めたばかりの女性の死体に重なった。心臓の辺りから広がっていく血がまた緑を赤く染める。
ギルダーは目を細めてそれを見つめる。ふと、いつの間にか出てきていた嫌な汗に気づき袖で拭った。
(くそ、気分のいいものではないな)
ただ実感が湧いてくる。刺した…罪のない人間をこの手で殺めた、と。
「……大丈夫だ…約束は守る」
空を見上げ、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
気分が悪いなんて今更だ…。それを覚悟の上で、帰ると決めたんじゃないか。
もう殺すことでしか戻れないのだ。
ギルダーはピピンのザックを開けた。剣と弓。剣のほうは自分にはとても使えなさそうである。
弓もあまり得意ではないが、まあ邪魔にはならないだろう。
そう思いミスリルボウだけを抜き取ると、ザックは先程と同じように茂みの中に投げ捨てた。
(…もう、移動するか。ここは血の臭いが酷い)
283:血の臭い 3/3
04/11/06 22:16:22 Y0tOXZzb
【ギルダー 現在位置:アリアハン北の橋より東の森→移動 所持品:ライトブリンガー・雷の指輪・手榴弾×4・ミスリルボウ
第一行動方針:獲物を探して移動 最終行動方針:生き残りサラの元へ帰る】
【ガーネット 死亡】
【ピピン 死亡】
【死体位置:アリアハン北の橋より東の森中央付近】
※ガーネットの支給品はラミアの竪琴とイエローメガホン、ピピンの支給品はバスタードソードとミスリルボウ。
ラミアの竪琴・イエローメガホン・バスタードソードは二人の死体の近くの茂みに放置されています。
284:ピクニック 1/4
04/11/06 22:41:53 j5QfPQUH
陽光が木の葉の間をすりぬける。
暖かい風が、肩をやさしく撫でながら通り過ぎていく。
そんな静かな森の中で輪を描くように座った自分と、四人の男女。
その中心に、かなり大き目のピクニック用バスケットが置かれている。
皆、好き勝手に籠の中のサンドイッチをつまみ、コーヒーを飲み、うさぎリンゴを齧り……
(なんなんだ、この雰囲気は?
俺たちは殺し合いの会場にいるんだぞ?
いくらなんでも、これはおかしいんじゃないか?)
「これ、結構うまいな。もう一つもらうぜ」
金髪を短く刈り込んだ、いかにも格闘家風の男がカツサンドを口一杯にほおばる。
「よくそんなに食べれるわね。私、もうお腹一杯だわ」
頭巾をかぶった少女が、そう言ってコーヒーをすすった。
(……こんなのんきにピクニックやってる場合じゃないだろ。
既に人が一人死んで、首を吹き飛ばされているんだぞ?
俺たちがこうやってる間にも、誰かがどこかで殺されているかもしれない。
それなのになんで、誰もおかしいと思わないんだ。不謹慎以前に緊張感がなさすぎるだろ)
「いやいやもっと食ってくれよ。
どうせ俺一人じゃこの量は食いきれないし、腐らせるのももったいないからな」
長髪の男―ラグナが、唐揚げをつまみながら言う。彼がこのピクニックセットの提供者だった。
(ラグナ……一体、この男は何を考えているんだ?
なぜこんな時に、見知らぬ人間と食事を楽しんでいられる?
誰もが敵になる可能性がある。いや、実際に自分以外の全員が敵なんだぞ?)
285:ピクニック 1/2
04/11/06 22:45:24 j5QfPQUH
「なーんか、さっきから一人で辛気臭い顔してるね。せっかくカッコイイ顔なのに。
楽しめるときに楽しんでおかないと損するわよ」
角の生えた少女が、いたずらっぽく笑いながら自分を見た。
「……この状況ではこれが普通の反応だ。
あんたたちが享楽的かつ楽観的すぎるだけだ」
(そう、俺が普通だ。俺は普通なんだ。
なのになんだ、この雰囲気は。まるで俺一人が間違ってるみたいじゃないか)
「スコールなぁ、そうピリピリすんなよ。
よく言うだろ。急ぐと計算間違えるとか腹が空いたら勉強できないとか」
ラグナの言葉に、(言わないよ)(言わないわね)と、女性二人が小さな声で茶々を入れた。
それが聞こえたのか、ラグナは小さく咳払いしてから話を続ける。
「なんつえばいいのかな……こういう時だからこそ急がないほうがいいっつーか」
「心にゆとりを持てと、あんたはそう言いたいのか?」
「そうそう、そゆことだな」
(ゆとりとかいうレベルか?
単に現実逃避して、無防備に食事してるだけじゃないのか?
考えてもみろ、もしも乗り気の奴に襲われたら、全員一巻の終わりなんだぞ……)
俺のそんな考えを察知したのだろうか。ラグナは急に真顔になって、俺を見つめた。
「思うんだけどな。雰囲気に飲まれて、流されるのは簡単だ。
でもな。流されちゃいけない流れってのがあるんじゃないか?」
286:↑2/4の間違いです。これが3/4
04/11/06 22:51:33 j5QfPQUH
「俺は正直、殺し合いなんかしたかない。
そりゃあ命が惜しくないつったら嘘になるけどな。
でもなあ、お前やリノアちゃんを殺してまで生きるなんて真っ平ゴメンだし
大事な息子を生かすために、ゼルやアーヴァイン達を殺して自分も死ぬって気にゃ、もっとなれないぜ」
「……バカなこと言わないでくれ」
「そうだ、バカなことだって思うだろ?
でも、そういうのをバカなことだって思わない奴もいる。
どんなバカなことでも、焦ったり場の空気に呑まれたりすると、当たり前だって考えちまうんだ」
ラグナは一旦そこで言葉を切り、コーヒーを一気に煽った。そしてまた話を続ける。
「いつまでも現実逃避してろとは言わないさ。
でもな。どんな最悪の時でも、こうやってゆっくりすることは必要だと思うぜ。
最良の選択ってやつをするためにはな」
(そうなのか? ……そうかもしれない。ラグナの言うとおりかもしれない。
でも……)
「あんた……いや、あんたたち、本当にそこまで考えてピクニックをやってたのか?」
「いや、単にメシ食おうと思って広げただけだ。
そしたら、この可愛らしいおじょーちゃんがいるのに気付いてな」
「エーコ、ジタンを探してたら偶然この人と会ったのよ。
せっかくの誘いを断るのも失礼だから、一緒に食べてたの」
角の生えた少女が答える。それから、頭巾の少女が
「まさか子供相手にピクニックセット広げてる人がゲームに乗ってるわけないでしょ。
ちょうどお腹が空いてたし、手招きされたから相伴に預かっただけよ」
と言って、最後に金髪の男が
「いやー、やっと山脈を抜けたと思ったら、なんだかうまそうな匂いがしててさ。
ちょっと聞いてみたら、食っていいっていわれたんでな」と答えた。
(やっぱりな、そんなことだと思った……。納得しかけた俺が馬鹿だった)
287:ピクニック 4/4
04/11/06 22:53:05 j5QfPQUH
【ラグナ 所持品:ピクニックランチセット 不明
行動方針:メシ食いながら、これからどうするか考える】
【マリベル 所持品:不明 行動方針:不明。ゲームに乗るつもりはない】
【マッシュ 所持品:不明 行動方針:不明。ゲームに乗るつもりはない】
【エーコ 所持品:不明 行動方針:ジタンを探す】
【スコール 所持品:不明 行動方針:不明】
現在位置:アリアハン東山脈地帯・中央部西にある森
288:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 22:59:20 Mmr3f1tv
広大な草原を進み行くテリーはふと足をとめる。
彼の目に人とおぼしき姿が映った。
背格好は自分よりもずいぶん横に大きい。
鎖帷子を着込んでいる、兜は頭をかるく覆う程度の軽微なもの。
旅の戦士といった風情だ。
村にたどり着く前に、また力を試す相手に出会えたことを彼は幸運に思った。
肥満体形で戦士風の男はテリーを見つけるなり、駆け寄ってきた。
相手を疑うことを知らないような純粋な目をして、自分がどんなに愚かな行動をとっているでかもわからずに、
近寄ってくる。
それでは戦場では生き残れない。
テリーはつまらなそうにつぶやいた。
こいつは力を試すほどの相手じゃない
「あ、あなたもこのようなゲームに参加されて、いや、させられて、今まで辛かったでしょう」
その男―トルネコは親しそうにテリーへ語りかけ、鼻の下を指でこすった。
「僕もずいぶん悩んだし、泣きました。だってたった一人だけしか生き残れないなんて酷すぎる。
……怖いですよ。いったいどこから誰が襲ってくるかわからない。それでも一対一ならまだ自身は
ありますが、徒党を組んだ集団に狙われでもしたら、そのときは……」
トルネコの目は潤んでいた。テリーに哀願するように続ける。
「理性的なあなたなら大丈夫だと思ったんです。
お願いです。はっきり言って一人じゃ心細いんです。一緒に行動しませんか」
もううるさいとしか思わなかったテリーは、クリスタルソードの刃の先をトルネコの胸に押し当て、
力をこめて前に突き出した。
トルネコは一瞬怒ったような真っ赤な顔になり、それから顔色はみるみる青ざめて、自分の胸に手を
当てた。
その手はいっぱいに溢れた血で汚れていた。
そして、テリーを見つめ、トルネコは何ごとかつぶやいて、後ろに倒れた。
風が流れる。空気が周りから逃げていくように。
テリーは倒れたトルネコに冷ややかな視線を送った。
289:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 23:00:21 Mmr3f1tv
「天国にしろ地獄にしろ、一人だけでいくんだな」
テリーはトルネコが完全に動かなくなると、彼の残したザックの中身を確認した。
極めて上質なアイテムだと一目でわかるものがあった。
この死んだ男にはわからなかったらしいが。
テリーは当然それをもらい受けた。
【テリー(DQ6) 所持品:クリスタルソード イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド、天使の翼、リフレクトリング
現在位置:レーベ北東の平原(レーベ近く) 行動方針:レーベへ向かう/自らの力を試す=ゲームに勝利する】
【トルネコ 死亡】
※天使の翼は自由に空を飛べるアイテム
290:277
04/11/06 23:45:59 fGNQDf2L
>>277修正
その剣は、レックス自身よく知っている天空の剣のようなものだった。
それを受け取ってレックスはニコリと微笑んだ。
彼自身、前にも握っている、ような感覚よく手になじむ。
【レックス 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
いい加減ラミアス=天空を覚えねば_no
291:姫分身の術
04/11/07 02:15:02 v3JKiaOd
アリーナは支給品の壺を前にして迷っていた。
この壺、入れたものが分裂するっていうけど本当かな。
見た目はなんの変哲もない、花を生けるのにでも使うであろう普通の壺だ。
いや、大きさが普通ではないが。壺というより瓶といった方がいいのか。
しかし、それ以外はいたって普通だ。模様とか、あと色ぐあい。
説明書にはちゃんと効果があるから試せ、なんて書いてある。
分裂ねえ。
じゃあ試そっか。
何か手近なものは……と、石ころに、どこかから飛んできた葉っぱ……?
ここ何にもないね。
アリーナはザックを逆さにしてゆさゆさと振ってみる。
他に何も入ってないのはさっき確めた、当然何も出てこない。
はあ……
アリーナは自分の帽子でも壺に入れようかと思い立って……やめた。
このとんがり帽子は別に高価なものでもないし、今増やしたところで、何か自分にとって有利になる
ものでもなんでもないからだ。
何だかろくでもないものもらっちゃった……どうせなら、鉄の爪とか、グリンガムの鞭とか、
私の心を煮え滾らせるような熱い代物を寄越せっての。
……
しばらくアリーナは草原で膝をかかえて座り込んでいた。
そして唐突に思いついた。
これって何でも増やせるよね。きっと。
だったら、自分を増やすのはどうだろう。
私が二人になれば、当然戦力は二倍。
ううん、相乗効果で二倍どころか、三倍、いや、四倍ぐらいいくかもしれないけど。
まあ、それはそれとして、とにかく今より有利な状況になるのは確かだよ。
292:姫分身の術
04/11/07 02:16:31 v3JKiaOd
……
しばらくアリーナは草原で膝をかかえて座り込んでいた。
そして唐突に思いついた。
これって何でも増やせるよね。きっと。
だったら、自分を増やすのはどうだろう。
私が二人になれば、当然戦力は二倍。
ううん、相乗効果で二倍どころか、三倍、いや、四倍ぐらいいくかもしれないけど。
まあ、それはそれとして、とにかく今より有利な状況になるのは確かだよ。
よーし、おもいきってやってみよう。
アリーナは壺の中に潜りこんな。中は狭くて暗くて、かび臭い臭いがした。
とてもじゃないが、長く居たいと思えるようなところではなかった。
「早く増えないかな」
アリーナがつぶやくと、もう一人の自分が現れた。
中はどうやったら人間二人も入っていられるんだというたこつぼ状態になり、ぎゅう詰めの、つまり
とにかく大変だ。
「ちょっと、出られないじゃない!」
「あんた早く出なさいっ…ぎゃー、足どかして」
「アゴが当たってる!痛いってば!」
「もうどうなって……ちょっ、これ、本当に出られないよ!」
二人のアリーナは壺の中ではまってしまい、出られなくなってしまった。
【アリーナ(二人に分裂) 現在位置:レーベ南東の山岳地帯近くの平原 所持品:分裂の壺
行動方針;壺から出る】
293:それぞれの選択 1/2
04/11/07 05:56:48 U0ZNH/9X
「ザックスさん、どうして私を信じてくれたんですか?」
ルイーダの酒場二階のカウンター。男女が二人、語り合う。
ただし、明かりはない。酒もない。代わりに並ぶのは、水とレーダーと丸い球体が幾つか。
何かと聞いたら知らないと答えるので、試しに投げたら煙幕と分かった。
「うーん…、実のところは、誰も信じていないんだ」
「え?」
「誰も信じられないのなら、誰を信じようと一緒だろ?だから、たまたまさ」
シンシアはザックスの返す言葉に寂しそうな顔をした。
「御免な…、嘘つくの苦手なんだ、正直に言わせてもらった。こんな時だしな」
「…そうですよね、もう殺し合いは始まってますからね…」
この『ゲーム』が宣言されたとき、ザックスは死を覚悟した。
全く面識の無い自分を仲間にする人間はまずいないだろう。
無視されるか、さもなくば殺されるかのどちらかになる。ならば、流されてみようと考えた。一旦そう決めてしまうと、あとは楽だった。
294:それぞれの選択 2/2
04/11/07 05:59:03 U0ZNH/9X
「信じてもらえてなくても、ザックスさんと一緒にいられてよかった。心が休まりますよ。
なんでそんなに落ち着いているんですか?」
あんたがやかましいだけじゃないのか、と目の前の少女をほほえましく思いながら。
「まあ…、どうせ俺は死んでいたし…いっぺん死んだと思えば、なーんも怖いものはねえしな」
シンシアはそれを聞いて、丸い目をますます大きく見開いた。いい笑顔だ。
「私も実は一度死んでいたんですよ。
魔族が攻めてきてソロを守って…、そうそう!魔族の王すら欺いて死んだんですよ」
「そうか…、ならあんたも、こんなん余裕だな」
「もちろん!あー、なんか、元気になってきたなあ」
明るくて実に気のいい、隣ではしゃぐ男と、遺言代わりに語り尽くそう。
ザックスとシンシアの談合は、まだまだ続く。
【ザックス 所持品:スネークソード 対人レーダー
現在位置:ルイーダの酒場二階 行動方針:シンシアと語り合う】
【シンシア 所持品:万能薬 煙幕×3
現在位置:同上 行動方針:ザックスと語り合う】
※対人レーダーは半径15メートル以内の首輪に反応して感知します。
295:すっぽかしコンビ1/3
04/11/07 11:26:13 0N6g8wnw
白いローブを纏い、悩みつつも歩く女性。光の戦士と呼ばれ、後に究極の白魔法について研究していた白魔道士、アルカートである。
男らしい名前であるのは、小さな時に捨てられた自分を拾ってくれた、今は亡き師に名づけられた名前だからだ。
自分の本名を知ったとしても、自分を捨てた親の名前なんか名乗りたくなかったからでもあるし、大切な師のくれた名前だからだ。
後に彼女は光の戦士として旅立つことになった。
「あの研究は…後少しで完成していたのに…」
等と、ぶつぶつ言っていたが、それよりも気になることがあった。
このゲームの中に、嘗ての仲間だったジオと、倒したはずのガーランドがいたこと。
自分ひとりでガーランドに立ち向かえば殺されるかも知れない、いや確実に殺される。そう考え、まずジオに会う事にした。
「さて…私の支給品はなんでしょう?…な、なんですか!これは!き、縫い包みじゃないですか!
それと…白い玉と…ナイフ…ですか」
恥ずかしいと思いつつも、無いよりはマシと思い、その縫い包みを着て、片手にナイフを持ち、白い玉は縫い包みのポケットに入れておくことにした。
白い玉は黒い玉の対であり、全てを浄化する、説明書にはそう書いてあった。
「とりあえず、ジオさんを探して、その次にこの白い玉を研究…きゃっ!」
「ふごっ?!」
彼女は何かにつまずき、こけた。
296:すっぽかしコンビ2/3
04/11/07 11:30:33 0N6g8wnw
「いたたた…!!あれ…あなたは?」
起き上がった彼女の目線の先にあったのは緑のフードの青年だった。
「いたたた…いやこんなところで昼寝なんてするもんじゃないな、うん。
…ああ、そうだった、すみませんこんな所で寝てて」
蹴られたわき腹を抑えつつも、その腰に刀を差した青年はアルカートに向かって一礼した。
「い、いえ、此方も不注意でしたから…ところで貴方は?」
とアルカートは青年に問う。
「ああ、僕?僕は………うん、フィンだよ。何の変哲も無い奴さ」
よく自分で言えるな、と、内心思いアルカートはその青年から放たれる力のオーラから、実力者であることは分かった。
そして、無礼覚悟でこう聞いた。
「あ、あの、フィンさん?もし宜しければ私といっしょに行動していただけないでしょうか?
なにせ力はありませんし…フィンさんの方が力は強いと思いますし…」
その後、しばらく続く沈黙………そして、フィンはこう言った。
「………ん?要するに護衛かい?
…んーまぁキーファ達も探さないといけないし、僕はいいよ」
なんとも軽く、気の抜けた返事である。
フィンは返答にワンテンポ遅れるのだ、それゆえマリベルがいつもフィンと話す時はイライラしていたのだ。
「ぁ、有難うございます!私、アルカートって言います」
「………うん、改めて宜しくね」
そして、フィンはある石を取り出した。
「これ、僕にはどうもよく分からないんだけど…使い方、分かる?」
そうやって、その石をアルカートに差し出す。
「うーん、何か強烈な力の込められた石ですねぇ…ちょっと貸してください」
そうやってアルカートは魔石をまじまじと見始めた。
そんなやり取りをしている彼女達に、危険が迫っていた。
30メートルほど離れた場所に、ギルダーがいたからだ。
297:すっぽかしコンビ3/3
04/11/07 11:31:28 0N6g8wnw
【アルカート 所持品:ナッツンスーツ グラディウス 白マテリア(ホーリー(白魔道士が唱えられるホーリーとは桁違いです)
現在位置:アリアハン北の橋からすこし西の平原
第二行動方針:強烈な力の込められた石を研究する
第二行動方針:ジオを探す
第三行動方針:白い球体について研究する】
【フィン 所持品:陸奥守 魔石ミドガルズオルム(召還不可)
現在位置:同上
第一行動方針:アルカートの石の研究の結果を待つ。
第二行動方針:アルカートを守りつつ、仲間を探す】
【ギルダー 所持品:ライトブリンガー・雷の指輪・手榴弾×4・ミスリルボウ
現在位置:アリアハン北の橋からすこし西の平原
第一行動方針:アルカートとフィンを殺す 最終行動方針:生き残りサラの元へ帰る】
298:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/07 11:32:25 0N6g8wnw
【アルカート(FF1白魔道士) 生存確認 所持品:ナッツンスーツ グラディウス 白マテリア(ホーリー(白魔道士が唱えられるホーリーとは桁違いです)
現在位置:アリアハン北の橋からすこし西の平原
第二行動方針:強烈な力の込められた石を研究する
第二行動方針:ジオを探す
第三行動方針:白い球体について研究する】
【フィン(DQ7主人公) 生存確認 所持品:陸奥守 魔石ミドガルズオルム(召還不可)
現在位置:同上
第一行動方針:アルカートの石の研究の結果を待つ。
第二行動方針:アルカートを守りつつ、仲間を探す】
ゲッ、申し訳ない、誰なのかをいれてませんでした、すみません。
299:氷と炎 1/3
04/11/07 11:49:42 MsRizqV1
甘く見すぎていたかもしれない。男は内心舌打ちした。
わけのわからぬ理由で女を守ろうとした青年―男からすればまだまだガキだ―は、
しかし年齢に見合わぬ太刀筋の鋭さを持って、正確に自分を捉えてくる。
―彼とて元は、魔王エクスデス直属の配下だ。
あの忌々しい幻獣に不意打ちをくらったせいで、目的を果たせぬまま死んだが
そうでなければ人間の若造四人など、今ごろは暗い水底に葬っていただろう。
ましてや今の相手はクリスタルの力も持たぬガキと、震えることしかできぬ娘一人。
どう考えても、二人とも秒で仕留められなければおかしい相手である。
だが、青年はまだまだ余裕の表情を崩さず、娘を庇うように立っていた。
(何か、クリスタル以外の力を使っているのか?)
様子をうかがう男に、銀の軌跡が閃き迫る。
男はそれを氷の剣ではじき、返す刃で袈裟懸けに切りつける。
だが敵もさるもの、円を描きながら一歩下がる、その挙動だけで一撃を見事にかわした。
そしてあの奇妙な構えを取ったと思った瞬間、ありえぬ速度で剣が舞う。
(やはりおかしい、速すぎる)
横に飛んで斬撃を避けた男は、今一度敵を睨みつけた。
人間にはありえぬはずのスピードで剣を操る青年。その肩が小刻みに上下している。
まるで、早回しの映像のように。
(―そうか)
その時、男はようやく理解した。
魔法だ。時空魔法ヘイスト、時の流れから己を切り離すことで倍速の動きを可能とする。
「くっくっく……はーっはっはっは!」
男は笑った。
タネが明かされればなんてことはない。この青年は、やはりひよっ子のガキだったのだ。
300:氷と炎 2/3
04/11/07 11:52:31 MsRizqV1
「何がおかしい」
誰もが思わずすくみ上がるような鋭い視線を余裕の表情で受け流し、男は言う。
「疲れてきたか? 息が上がっているぞ」
そう。二倍の速度で行動するということは、疲労も二倍の速度で溜まっていく。
「さっさと決着をつけるつもりだったのだろうが、アテが外れたな!」
青年は倍速の剣を持ってしても、自分と互角の勝負しかできぬのだ。
ならば、勝つのは自分だ。
あと30秒も攻めてやれば、疲れで太刀筋が鈍ってこよう。
その隙をついて、心臓を串刺しにしてやる。そして女の首を跳ね飛ばしてやる。
脳裏に血塗られた光景を思い浮かべ、男は邪悪に笑った。
だが、それでも青年は平然としていた。
「ふん……なら、次で終わりにしてやるぜ」
男は虚勢だと考えた。恐怖と絶望を押し隠すための演技だと。
「やってみろ、やれるものならなあ!」
男は自分から仕掛けた。地を蹴って、一気に間合いを詰める。
相手は手を突き出した。剣も何も持たぬ手を。そして、唇の端を歪めた。笑ったのだ。
「やってやるよ、お望みどおりに」
青い光が刀身からほとばしる。青年の剣ではない。男の持つ氷の剣から。
光は青年の手へ吸い込まれ、そして
「ブリザラ!」
青年が吼えた。同時に、猛烈な冷気が男を襲う。
「ぐぉっ!?」
予想外の一撃に、男は受身すらとれず、正面から喰らった。
だが、それだけでは終わらなかった。
氷の後を追って、赤とオレンジの渦が男に迫る。
炎だ。男がそう思った時には、二つの光条はぶつかり、重なり合い、爆発していた。
301:氷と炎 3/3
04/11/07 11:54:42 MsRizqV1
氷は溶けて炎を消し去り、残された熱が水を気化させて、辺りを白く染める。
男はその中心に立っていた。
剣を握った片腕を凍りつかせ、残る身体を高温の蒸気にさらされて、なお生きていた。
「―おのれ、人間の分際で」
怨嗟の唸りが白霧の中に轟いた。屈辱に震える肩が、男の怒りを表していた。
次第に薄れ行く煙の向こうに、青年と娘の姿はなかった。
「殺す……かならず殺す。
我が主の名にかけて、後悔する暇も与えずに切り刻んでやる。
生きたまま腸をぶちまけ、目をえぐり、四肢を引き裂いてやる―」
男はゆっくりと歩き出した。
瞳に復讐と憎悪の炎を宿らせて。全身に、氷よりもなお冷たい殺意をまとって。
【サイファー 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能) 第一行動方針:ロザリーを助ける 第二行動方針:不明】
【ロザリー 所持品:不明 第一行動方針:サイファーについていく(?) 第二行動方針:ピサロに会う】
現在位置:アリアハン南の森→北方面へ
【リヴァ(略) 所持品:アイスブランド、不明 第一行動方針:ゲームに乗る】
現在位置:アリアハン南の森→東方面へ
302:301 ちょっと修正
04/11/07 12:16:55 MsRizqV1
【リヴァ(略) 所持品:アイスブランド、不明 状態:HP1/2
第一行動方針:サイファーとロザリーを仕留める 第二行動方針:ゲームに乗る】
現在位置:アリアハン南の森→東方面へ
303:298
04/11/07 12:30:40 0N6g8wnw
しまった、アリアハン北の橋からすこし西の平原ならギルダーはテリー達と遭遇してるはずじゃないか。
と言う事で、アルカート&フィンはアリアハン北の橋からすこし東の平原
ギルダーはその近くに脳内変換おながいします。
304:最後の抵抗
04/11/07 16:54:30 w9Zv0Voo
「ほっほっほ…」
いつものように笑ってみる。
邪悪な表情と禍々しい雰囲気に包まれたゲマは、森の中に佇む。
魔女。それは即ち自分であり、その信念は揺ぎ無かったはずだが。
このゲームの開催者の魔女は、遥か自分の上を行き、
決して追いつけはしないだろうと思わせた。
―魔族に君臨する王の側近として名を馳せたこの私が、この小汚いゲームなどに参加ですか?
あの日殺したはずの薄汚い男と、その息子に殺されたはずの私がまた殺し合えと言うのですか?
馬鹿馬鹿しい。
これでも、嘗ては魔族において高位であった身。
二度もゴミ同然の人間に殺されることはないでしょう
その程度の自尊心は、持ち合わせているのですよ。
邪悪なその姿は、自らの放った炎に包まれた。
「アルティミシアと言いましたね?貴方の思い通りにはなりませんよ」
森の中に、甲高い笑い声が響いた。
それは、プライドを剥ぎ取られた邪悪な魔女の、最後の抵抗だった。
【ゲマ 死亡】
現在位置:レーベ南の森北東部
所持品は一緒に燃えました。
火は、約一時間燃え続けます。
305:戦いの火蓋
04/11/07 19:24:22 x01Kb2yo
ゴォッ!
竜王の吐く火炎がその場に居る人間たちを襲う!
「危ないッ!」
間一髪、サックスが一同の前に立ちはだかり、水鏡の盾で
炎を弾き散らした。
「フバーハ!」
フルートの呪文が光の衣を生み、ロランがガイアの剣で竜王に斬りかかる。
リルムも盾をかざして身を守り、ゼルは一瞬の躊躇の後、徒手空拳ながらも
立ち向かっていく。竜王の咆哮が、岬の洞窟の壁を、ナジミの塔を
揺るがした。
306:戦いの火蓋
04/11/07 19:35:45 x01Kb2yo
【サックス 所持品:水鏡の盾 チョコボの怒り【フルート 所持品:草薙
の剣 スノーマフラー【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート【ゼル
所持品:レッドキャップ ミラージュベスト 現在位置:ナジミの塔入口
行動方針:竜王と戦う】
【竜王 所持品:裁きの杖 魔法の法衣 現在位置:ナジミの塔入口
行動方針:目の前の人間を殺す】
うっかり入れ忘れました。すいませんorz
307:蘇った命 1/3
04/11/07 19:39:54 gWFtuEJP
恐ろしいほどの殺意を込めた目で、ただその男を睨み続けるミンウ。
だがその男のほうはそれを臆することもなく、ミンウを冷めた目で見返していた。
「…白魔道士ミンウよ…勘違いをするな。私はこのゲーム、無差別に人間を殺すつもりはない」
「嘘を吐くな…!現に貴様は今その男を殺しただろう、皇帝!」
そう。男―皇帝マティウスの足元には、背中に巨剣を突き刺した男=バレットが倒れていた。
誰がやったかなど、一目瞭然である。しかし、肝心のマティウスは表情を崩すことなく淡々と述べていく。
「これは自衛の結果だ、いきなり殴りかかられて黙っている訳にもいかぬのでな」
ミンウはわからない、といったふうに首を振った。
「…わからない、貴様の目的は何なのだ!」
「目的…か。そうだな、敢えて言うならば…」
マティウスは口元に手を当て、少々考えるような仕草をしてみせてから、言った。
「…知りたいな。何故また、私が蘇ったのか…
悪である筈の私が何度も蘇ることができるのはやはり、力こそ全て、それだけが正しいことであるからか?」
「ふざけるな、貴様と反乱軍の私どちらが正しいか…今ここで私が貴様を葬る!」
ミンウは支給品である槍、ビーナスゴスペルを構えた。
…槍なんて数回しか握ったことがない、これで倒せる訳がない、しかし。
「まさか、私に勝つつもりなのか?その愚かさを理解した上での行動だろうな?」
「黙れえええッ!」
ミンウは構わずに飛び込んでいった。
308:蘇った命 2/3
04/11/07 19:41:29 gWFtuEJP
ビーナスゴスペルが風を切る音が何度も響く。
ミンウの攻撃は、ビーナスゴスペルに埋め込まれたスピードマテリアの影響で通常よりも数倍は早い。
しかしミンウは魔道士だ、元々武器攻撃は得意でない。マティウスは涼しい顔で攻撃を避け続けている。
――狙い通りだ。
(皇帝にとっては直ぐにでも私を殺せる状況…完全に油断している。まさか詠唱には気付かないだろう)
そう、ミンウは飛び込んでいった時から数十秒間、攻撃の手を緩めることなく究極呪文の詠唱を続けていた。
通常、詠唱というのは動きを止めた状態で集中し行うものだ。攻撃や防御をすればそこで集中が途切れ、魔法は中断される。
しかしミンウは確かに究極魔法の詠唱を続けていた。白魔法を極めた彼だからこそ成せた技かそれとも、皇帝への憎しみ故か。
――完成した。あの時、封印を解いた時と同じように、全ての魔力を使ってでも――
ミンウは瞬時に間合いを取り、ビーナスゴスペルを投げ捨て…魔力を一気に放出する――!
「――アルテ「フレアー!!」
アルテマの呪文は、完成することはなかった。
ミンウの身体は皇帝の炎呪文を真正面から受け前のめりに倒れた。真っ白なローブは焼け焦げて黒くくすんでいる。
(………何故だ…?何故?倒せるはずだった、のに…)
朦朧とする意識の中、また皇帝の炎呪文を唱える声が聞こえてきた。今度は至近距離で。
(…駄目だ、立てない。ああ、私は、また…)
その思考を最後に、ミンウの身体は一切の機能を停止した。
「貴様の単純な思考が、私に読まれないとでも思ったのか?」
マティウスはミンウの死体を見下ろし、苦笑いを浮かべた。
マティウスは、詠唱を続けているミンウに気が付いていた。皮肉なことに。
ミンウは、マティウスの詠唱には気がつかなかった。それだけの違いだった。
「折角蘇った命、貴様のようには散らせたくないものだな。…白魔道士ミンウよ」
マティウスはそれだけ言い残し、バレットの死体から、かつて自分を死に至らしめた剣を引き抜くと去っていった。
309:蘇った命 3/3
04/11/07 19:42:44 gWFtuEJP
【マティウス:生存確認 現在位置:レーベ南西の山脈地帯最南部→移動 所持品:ブラッドソード
第一行動方針:落ち着ける場所を探し移動→見つけ次第そこで待機(非好戦的だが不都合のある相手は殺す)
最終行動方針:何故自分が蘇ったのかを知る】
【バレット 死亡】
【ミンウ 死亡】
【死体位置:レーベ南西の山脈地帯最南部】
※バレットの支給品<不明>とミンウの支給品<ビーナスゴスペル+マテリア(スピード)>がすぐ傍に放置されています。
310:最強同士の同盟
04/11/07 20:07:33 K+1cQl3N
砂浜で激しい旋風が巻き起こっていた。
力と力のぶつかり合い、巨大な竜巻が塔のようにそびえたつ。
アーロンのくり出す風の奥義にセフィロスが応え、トルネドの魔法を覇気とともに放った結果である。
アーロンはレーベ北西の海岸に出現したが、運の悪いことにそれはセフィロス出現場所と同位置だったのだ。
初め、両者は向かいあったまま動かなかった。
お互いの出方を探るため、というより戦う意思表示を先にする方を譲りあったとでもいった方が正しい。
完全にどちらもやる気だった。
理由は両者で異なる。
こいつは間違いなくゲームに乗る、アーロンの理由はセフィロスの瞳の色を見てそう判断したため。
逃げられるとは思えなかったのだ。
一方のセフィロスは最初からゲームに乗っていたため。
単純明快、生き残るために参加者を倒す、それだけだ。
数多の砂粒を吸い上げた風の塔が形を崩して、辺りに砂の雨を降らしたとき、セフィロスは勝機が見えた
と判断した。
すなわち、この視界が奪われた状況で、自分は相手の位置が完全にわかっていると。
敵の殺気を読んだのだ。
目を閉じ精神を高めたセフィロスの頭の中には、二十歩ほど先に赤い靄のような塊が映っていた。
赤い靄こそ敵の放つ殺気をイメージしたもので、それがアーロンである。
姿がはっきり映っているわけではない。
ただ自分がわかりやすい形であればいいのだ、その位置に敵が居ることが把握できればいいのだから。
セフィロスは両手を胸の高さまで持っていく。その手には村正が握られている。
ばっ、と砂地を蹴って、疾走した。目を閉じたままで。
砂粒が全身を叩いたがセフィロスの進路を妨げる障害にはならない。
敵を目前としたところで、跳躍し、勢いをつけて斜めから刀を振り下ろした。
そこには姿勢を低く待ち構えていたアーロンがいた。
311:最強同士の同盟
04/11/07 20:08:39 K+1cQl3N
金属と金属のぶつかる激しい衝突音。
アーロンはセフィロスの刀を剣で受け止めた。
体重をかけたセフィロスの斬撃を受け流して反撃に出るアーロン。
セフィロスは体勢を崩し、膝をついていた。
「殺気を読めば不意討ちなど!」
なるほど、とセフィロスは思った。
この男も同じことをやっていたか。さて、おもしろくなりそうだ。
セフィロスは歓喜に震え、少し本気を出す気になった。
アーロンが剣を振り下ろす一瞬の間の思考だ。
次の一瞬、何かが深々とめり込む異様な音がした。
「どうした?」
セフィロスは思わず声をかけた。
剣を握ったままのアーロンが彫像のようになって動かない。
数秒間をおいて、ゆっくりとアーロンが崩れ落ちる。
セフィロスは倒れてくる体からさっと身をかわす。
砂浜に巨体が横たわった。
アーロンの背には針が突き刺さっていた。
針には毒が塗られており、それがアーロンに死をもたらした。
セフィロスが視線を移すと風のおさまった砂浜に何とも面妖な衣装をした男が立っていた。
悪趣味といってもいい。
この男がやったのか……セフィロスは不機嫌になった。
「どういうつもりだ。まさか私を助けたなどと言うつもりか」
クジャは心底おもしろそうに笑った。
「まさか。君はどう見てもその男より強いよ。いや、それどころじゃない、僕と同じくらいの力を持っている。
どう転んでも負けるなんて思えなかったね」
「なら何故余計な手出しをした」
セフィロスの問にクジャは髪をかき上げて答える。
「挨拶さ。君と行動を共にするものとして。これから二人で次々と血祭りをあげようじゃないか
312:最強同士の同盟
04/11/07 20:13:29 K+1cQl3N
「共にだと……」
セフィロスは立ち上がってクジャを見つめた。
この男……強い。体じゅうから尋常でない力を発している。
セフィロスは自分がこの男と戦いたがっていることに気づいた。
全力を出すにふさわしい相手を見つけた。その喜びがこみあがってくる。
クジャは両腕をひろげて空を見上げた。
「君は本当に強いね……。たぶん、普通の人間じゃないんだろうね。生まれ持った才覚かな、凡人が
どんなにがんばっても手に入れることができない……
僕の隣を並んで歩いていても不自然じゃない者、それは君、初めてだよ」
クジャは自分の言葉に酔っていた。
彼の己の肉体を誇示するような服装も、その性格から来るものだろう。
セフィロスはクジャの性格は拒絶したかった。まるで道化師、到底好きにはなれない。
だが、その内在する力には間違いなく惹かれるものがある。
セフィロスはクジャの申し出に応じる気になった。
「貴様は正直理解し難いところが多い、が、いいだろう。手を組んでやる。
ただし条件付きだ。最後、私と貴様の二人だけになったところで、本気で闘い合いたい。
誰にも邪魔をされずに、どちらかが死ぬまでな」
クジャは笑って、いいよとうなずいた。
「まあ、わざわざ条件づけしなくても結局そうなるんだけどね」
【セフィロス 現在位置:アリアハン南の海岸 支給品:村正
行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘
クジャ 支給品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、
行動方針:最後まで生き残る】
【アーロン 死亡】
アーロンの支給品は鋼鉄の剣。砂浜に放置されています。
313:305
04/11/07 20:24:40 x01Kb2yo
すいませんフバーハ掛けたの忘れてました
【サックス 所持品:水鏡の盾 チョコボの怒り
【フルート 所持品:草薙の剣 スノーマフラー
【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート
【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト
現在位置:ナジミの塔入口
行動方針:竜王と戦う(全員にフバーハが掛かっています】
重ね重ねすいませんでした
314:最強同士の同盟
04/11/07 20:26:49 K+1cQl3N
すみません、訂正です。
>>310五行目の
>アーロンはレーベ北西の海岸に出現したが、
は、
「アーロンはアリアハン南の海岸に出現したが~」
の間違いです。
それとセフィロスの支給品にマテリアを忘れてました
↓
【支給品:村正、ふういんのマテリア】
正しくはこうです、失礼しました。
315:罪悪感 1/2
04/11/07 22:16:42 6ERd0T+/
「ごめんなさい… ごめんなさい……」
さっきから私の口から出る言葉は"ごめんなさい"だけ…。
椅子に座っていた男女を床に寝かせ、手に持つ短剣を使って首を切断する。
首輪に刺激を与えない様に、慎重に。慎重に…。
宿り主が死んだ今でも、首に装着された金属の輪は怪しく光輝いている。
あまり気分の良い行為じゃない。というより悪い。
殺人を犯しているのと同じではないだろうか?
だが、自分は何の迷いも無く首を切断している。そんな自分が恐ろしくも感じる。
でも、私にはこうするしか方法が無いの。
戦闘の経験なんて無いし、この殺し合いの中で最後まで生き残る自信なんて無い。
もし戦闘が出来たとしても、私には彼―スミスを殺す事なんて出来ない。
もちろん他の人を殺す勇気なんて物も無い。
316:罪悪感 2/2
04/11/07 22:18:46 6ERd0T+/
だから私はこのゲームから脱出する方法を考えるわ。
生きてここから帰るんだ。スミスと一緒に。
この首輪を外す方法さえ見つかれば、何とかなる可能性はあるもの。
だから、首輪を調べるためにも、自分以外の首輪が必要――
死体から首輪を取り外し終え、手に持ってみる。
宿り主から切り離された今でも、金属の輪は怪しく光輝いている。
暫くの間首輪をじっと見つめた後、2つの首輪をバンダナで包みこみ、
死体の傍に置いてあったアイテムと一緒に自分の袋に仕舞い込んだ。
「本当にごめんなさい…」
頭を下げながら2つの生首に向かって謝罪し、マチュアは台所から外へ駆け出した。
【マチュア 現在位置:アリアハン城の台所
所持品:グラディウス、おしゃれなバンダナ、首輪×2、スナイパーCR、聖水
第一行動方針:首輪を調べる 第二行動方針:スミスに会う】
※首輪はアモスとローラの物、スナイパーCRと聖水はアモスの支給品を回収した物です。
317:僅かな望みにかけて1/3
04/11/07 23:07:11 0N6g8wnw
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ユフィがこの地に降り立ち、数分後に発した声はそれだった。
クラウド達を探すため、先ず支給品を確認していたときだった。
コメット、小さな隕石が彼女の細い右腕に直撃し、右肩から抉るように右腕を奪い取り、さらに爆発し、彼女を吹き飛ばしたのだ。
それでも生きていたれたのは、彼女の支給品が装備者の危機を守る女性専用のプリンセスリングと魔法のダメージを和らげるフォースアーマーだったからだろう。
しかし、彼女自身のダメージは本当に酷い、右肩があった場所からは絶えず血が流れ、足もふらついている。
そして、焼け焦げた自分の右腕に一瞥し、そのふらふらとした足取りで血を吐きながら、魔法が飛んできた方向から逃げていた。
だが、彼女の体力はもう限界に近かった
「ああ…あたし…もう…駄目かも…目の前が…かす…んで…きた…ご…めん…く……らうど…」
そういって、彼女は倒れてしまった、薄れ行く意識の中、一人の男と一人の女性の姿を確認した。
ああ、あたしは彼らに殺されるんだな、と思い、静かに目を閉じた。
「おい…大丈夫かよ!おい!おい!」
そうやって、ユフィに声をかけているのは忍者装束の青年、エッジだった。
彼の後ろには修道服を着た女性、マリアがいた。
エッジはユフィに意識が無いことを確かめると、彼は支給品の袋からハイポーションを取り出した
それをユフィに飲ませるが、ほとんど意味が無い。
「ちくしょう…ローザがいれば…ちくしょう…」
エッジは、地面を叩きつけた、現実は非情だということを改めて思い知ったからだ。
318:僅かな望みにかけて2/2
04/11/07 23:08:26 0N6g8wnw
そんな中、マリアは剣と球体とにらめっこをしていた。
解説書によれば、この球体を剣に嵌めれば、回復魔法を唱えることが出来るらしい。
しかし、剣が意地悪な作りで、どこに嵌めればよいのか分からない。
そんな中、マリアの袋の中の杖が何かに反応し、震え始めたのだ。
「波動の杖が…おなじ波動が巻き起こっているってのか?」
エッジはそういった、同じ波動、つまり白魔同士が杖の向く先にいるということ。
しかし杖の向いた先は高い山、越えられそうにない。
ならば…これを頼りに回り道をすればいい。
そうして、エッジがユフィを担ぎ上げたときだった。
「エッジさん!待ってください!」
マリアがエッジを呼び止める、エッジは何故だという顔をしたが、それはすぐに解けた。
そう、マリアがケアルを唱え始めたのだ。やさしい光はユフィを包み、そして…傷を治した…が。
「傷は治ったみたいです…でも説明書は簡単なものみたいですし、私程度の魔力じゃ血を止めるのが精一杯です、一刻も早く本職の魔術師を探さないと…」
そういい、二人は向き合いうなずき、波動の杖の向く先、アルカート達がいるところへ走り始めた。
【ユフィ(瀕死 現在位置:レーベ東南の平原
所持品:プリンセスリング フォースアーマー
行動方針:死を待つ】
【エッジ 生存確認 現在位置:レーベ東南の平原
所持品:風魔手裏剣(30) ドリル
第一行動方針:ユフィを助ける為に波動の杖の向く先(アルカート達ところ)へ走る。
第二行動方針:仲間を探す】
【マリア(DQ5 生存確認 現在位置:レーベ東南の平原
所持品:波動の杖 アポカリプス+マテリア(かいふく)
第一行動方針:ユフィを助ける
第二行動方針:夫を探す】
319:偉大なる父親達 1/2
04/11/08 00:52:16 GCPsRliN
深い森の中を行く男が一人。
「やれやれ…。まだまだ隠居とはいかないようだな…」
神龍の力によって、黄泉の国からこの世へと舞い戻ったオルテガだ。
その後はアリアハンで平和な生活に身を置きながらも、日々の鍛錬は怠っていなかった。
彼の脳裏に浮かんでいたのは、息子アルスのことであった。
この腐ったゲームを破壊するためには、アルスとの合流が最優先と判断したのだ。
息子の実力であれば、ゲームに乗った相手に襲われてもそう簡単にやられはしないだろう。
それまでは自分も何としても生き残らねばならない。
もちろん、オルテガ自身も、かつて地上最強の漢と謳われた勇者である。その力は今でも衰えてはいない。
それに―。彼には「切り札」ともいえるアイテムがあった。
「まさか、再びこれを使わなければならない時が来るとはな…」
前方に気配を感じたのはその時だった。右手に持った斧を構えなおす。
「―私はこのゲームに乗る気はない。だが、君が乗るというのであれば…ここで倒さねばならぬ」
よく通った声でオルテガは語りかけた。それに答えるかの様に、物陰から人影が姿を現す。
年はオルテガと大差ないだろうか。ワイルドな身なりであるが、それでいて気品と風格を漂わせた男、パパスである。
「…私も乗る気はない。お互い考えることは同じであるようだな」
パパスはオルテガに近づき、右手をさしだすと続けた。
「私の名はパパス。このゲームから抜け出すためには、私一人ではできることにも限界がある。
貴公、なかなかの実力者と見た。力を貸してくれぬか?」
「……パパス殿と言ったか。私はオルテガだ。私の力でよければ一向に構わんッッ!」
パパスの手を取るとオルテガは力強く答える。
そして、ここに正義に燃える親父タッグが誕生した。
320:偉大なる父親達 2/2
04/11/08 00:54:00 GCPsRliN
【オルテガ 生存確認 現在位置:レーベ南の森
所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
第一行動方針:アルスを探す
最終行動方針:ゲームの破壊】
【パパス 生存確認 現在位置:レーベ南の森
所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪
第一行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの破壊】
321:1/7 水の結びつき
04/11/08 01:14:49 N9VNbXW8
頼りない。
エリアのギルバートに対する第一印象であった。
ギルバートは話をするにつれ落ち着いてはきたものの、
生来の気弱さなのかどうにも挙動不審のようなところがある。
これなら自分の方がよっぽど頼りがいがあるとエリアは思った。
しかし、先からどうもその視線がある一定の方向に集中して向けられていることも、エリアは感じた。
「…なるほど、それでセシルさんとリディアさんを探しているんですね」
「うん、そうなんだよ。君はサックスとギルダーを探してるんだね」
「はい、そうです」
ギルバートの視線がまた動いた。
「あの…」
「え、なに?」
はっとしたようにギルバートは答えた。
「向こうに何かあるんですか?」
「え、いや、まあ、その…」
ギルバートはしどろもどろに要領を得なかったが、やがてエリアの方に向き直った。
「向こうに誰かいる気がしてね」
「向こうに…ですか?」
「気のせいかもしれないけど…これでも吟遊詩人でね、なんだか音の気配っていうかな、そういうのを感じるんだよ…」
エリアは改めてその方向に視線を移すと、たしかにそのような気がしなくもない。
だがそれは、言われれば無が有にも見えるような類の錯覚にも思えた。
「行ってみますか?」
「…いや、ゲームにのったひとかもしれない」
「ああ、なるほど」
ギルバートがなかなかそのことを口にしなかった理由に合点がつく。
「でも、もしかしたら私たちの探してる人かもしれませんよ?」
エリアがそういうと、ギルバートは「うーん」と唸って頭を抱え込んだ。
322:2/5 水の結びつき
04/11/08 01:17:07 N9VNbXW8
(優柔不断…)
サックスやギルバートならさっと決断しただろう。アルカートなら、少し悩んだかもしれない。
「もし本当に人がいるのなら、行動しなくては始まらないと思いますよ」
「…うん、そうだね。よし、いこうか」
やれやれ、とエリアはこの年上の青年に対する自分の言動に苦笑した。
(年齢も性別も、これじゃどっちがどっちだかわからないな)
やっぱりこなければよかった、とギルバートは心底思った。
その先にいたのは、負のオーラをびんびんと放っている見るからに強そうな男。
二人にしてみればまさにゲームにのってますといった感じ。
救いなのは今どうやら負傷しているらしいということ。
近くにいる黒魔導師はなんなのか気になったが、あまりよさそうな感じではない。
(…戻りましょうか)
エリアが小声でギルバートに語りかけると、無言で頷き音を立てないように少しずつ足を動かした…しかし。
「逃げるな」
低い声。
その瞬間二人はぴんと背筋をのばし、お互い顔を合わせギルバートは思わず尻餅をつくと、
ぱきっと小気味よく木の枝の折れる音がした。
「そこに誰かいるのはわかっている」
「だ、誰かいるの?今なにか音したよね?」
黒魔導師の方も気づき、音の発生源へと目を向ける。
「人間…いかに負傷しているといえど、貴様らを葬るなど造作もないことだ」
男のその声にギルバートは震え上がった。
(ど、どうしようどうしようどうしようどうしよう、アンナ、僕はどうすればどうすれば…)
それはエリアも同じこと、自分はもちろんこの同伴する男の戦闘力は様子を見れば一目瞭然であり、
先の男との戦闘力の差などは見る間でもなく、いや、比較することそのものがまったくの非礼であるとすら思える。
323:3/5 水の結びつき
04/11/08 01:18:14 N9VNbXW8
「待って下さい、私たちに敵意はありません」
「そんなことはわかっている」
姿を見せ、エリアは落ち着いた声で話しかけたけれど取り付く島もない。
黒魔導師は今の状況を理解し辛いようで、せわしなく男とこちらのほうを見比べている。
しかしそのようなことはおかまいなしに男―ピサロは瞬時に火球をつくると、二人のほうに向かって放った。
「きゃあっ!」
いきなりのことにエリアは声をあらげて間一髪それをよける。
ギルバートはといえば、あ、あ、と声を出しその場から動けない。
しかしそれに一番驚いたのは他ならぬ黒魔導師―ビビであった。
「ちょ、ちょっと!?」
「ふん、はずしたか、ではもう一度…」
「や、やめてよ!」
エリアは逃げようとしたけれど、足が動かなかった。
それは恐怖のせいかもしれない。しかし、エリアは今不思議な昂揚感を感じていたのだ。
ビビの抵抗で次の火球がくるのは遅かったが、
そのような時間など動けない二人にしてみればどうでもよいことで、
いずれくる死の瞬間への僅かな猶予期間でしかない。エリアは思った。
(ああ、ここで私はまた死ぬのか…でもどうだろう、この感覚。どこかで感じた、この感覚…
水の巫女、私はそのつとめを果たすために生まれて、その業務を果たすとき最高の生の鼓動を感じた。
ああ、それだ、その感覚…生きてる、私は今…生きているんだ!)
その瞬間、エリアに生まれたのは生への願望であった。
――生きたい!
強く願った。
迫りくる火のたまを目の前に、エリアは生きたいと願った。
――私には、きっとやらなきゃならないことがある…生きたい!
324:4/5 水の結びつき
04/11/08 01:20:46 N9VNbXW8
シュン!
そのとき、強烈な冷気が火炎に襲いかかり、その勢いを沈下した。
「え?」
そう思ったとき、エリアとギルバートはその場から消えていた。
「もう一匹、紛れ込んでいたか。この状況下とはいえ気配にきづけぬとは、なかなか手練れのものらしい」
「ねえ!」
「ふん…体調さえ万全であればな」
「ねえったら!」
必死で話しかけるビビに、ピサロはようやく目を向けた。
「騒がしいな、なんだ」
「どうして!?」
「どうして、とは?」
「どうして攻撃したの!?」
「……」
(…むしろ、なぜ殺せなかったのかの方が不思議だ)
本当に、なぜ殺せなかったのか?それは自分の内的な要因か、それとも外的な要因か。
「…おまえにはわかるま…ゲボッ!」
「!?」
「ふ…まだ戦闘にははやかったようだ」
「…い、今は、安静にしなよ」
「別に、ここにいる必要はないんだぞ」
「……」
「勝手にするんだな」
325:5/5 水の結びつき
04/11/08 01:22:43 N9VNbXW8
「大丈夫?」
二人を助け、ここまで連れてきたのは美しい桃色の髪をした女性だった。
「私はレナ。危なかったわね、もう少しで死ぬところだったわよ」
「あ、あ、ありが、とう…ぼ、僕はギルバート…」
呂律の回らない下で答える。
「そうなの、でもギルバート、あなたちょっと震え過ぎよ…男なんだしもっとしっかりしなきゃ」
笑いながらも呆れ顔でレナはギルバートに話した。
「えっと、あの…」
「なに?あなたの名前は?」
「わ、私は…私はエリア、エリア=ベネットです!あ、あなたは…あなたはいったい!?」
「え?な…何?」
「私には感じます…あなたから、あなたから…」
「水のクリスタルの鼓動を!!」
【エリア:生存確認 現在位置:レーベ北東の森 所持品:妖精の笛、占い後の花
第一行動方針:レナと話をする 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【ギルバート:生存確認 現在位置:同上 所持品:毒蛾のナイフ
第一行動方針:とりあえず落ち着け 第二行動方針:セシルとリディアを探す】
【レナ:生存確認 現在位置:同上 所持品:不明
第一行動方針:エリアと話をする 第二行動方針:バッツ、ファリス、クルルを探す】
【ピサロ 現在位置:レーベ東の森中央付近 支給品:スプラッシャー、魔石バハムート(召喚可)
爆弾(爆発後消滅)
行動方針:ある程度回復するまで待機
ビビ 支給品:? 行動方針:ピサロと共にいる
326:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/08 01:23:55 N9VNbXW8
念のため補足
レナたちはターニアたちと場所はちょっと違うくらい
327:ストレンジャー 1/2
04/11/08 02:31:35 dD/P/tst
ザックスとシンシアはルイーダの酒場を出て、アリアハンの城下街を歩いていた。
「しかし、このアリアハンって街は殺風景でいかんな~。
ミッドガルみたいなごちゃごちゃした所に慣れすぎたのかもしれんけど」
「そうですか?私は山奥暮らしでしたから結構新鮮ですよ、ザックスさん」
この二人はこのゲームの開始以来こうしてアリアハンの街をさまよっている。
殺し合いが始まっているという現実感はいまいちこの二人にはなかったが、
それは幸運にも『やる気』になっている参加者に遭遇した事がなかったからかもしれない。
ふとシンシアがザックスから預かったレーダーに目をやると、すぐに異変に気付いた。
「い、いけない!」
「どうしたんだ?」
「しばらく目を離していたら誰かが凄いスピードで近付いて来ている反応があるんです!
‥‥あ、も、もう、すぐ後ろに‥‥。」
後ろを振り返ると、そこにはオートボウガンを構えた男―ランドが立っていた。
終わった、シンシアはそう思った。
不思議と怖くはなかった。
ザックスが横にいるお陰かもしれない。
だが、その男、ランドの口から発っせられた言葉はシンシアにすれば意外なものだった。
328:ストレンジャー 2/2
04/11/08 02:33:15 dD/P/tst
「く、来るな!来ないでくれぇ!!!」
―は?
柄にもなく、覚悟を決めていたのに‥‥。
シンシアは全身から緊張が抜けていくのを感じた。
「なんなんだよ、あんた。そんな物騒なもん持って。とっととしまってこっち来いよ」
「い、嫌だ!どうせ油断したところを殺すつもりだろう‥‥?早くどっかに行ってくれよ!」
「しょうがないやつだな~。
俺らはゲームに乗るつもりはないぜ。ほら、両手を上げるから」
この人は本当は凄い器なのかもしれない、そう思いつつシンシアもザックスに続いて
両手をあげた。
「…そうか、さっきまでここで戦闘があったのか。それをあんたは物陰から目撃したと?」
「あ、ああ。それで少し気を取り乱していたみたいだ、すまないな…」
それ以上言葉にならなかった。
ようやく落ち着いてきたランドを尻目にザックスは何やら考えだした。
「このまま殺されるのも何かしゃくだな~。なんとか、主催者の奴らに一泡吹かせてやりてえな」
本当にこの人は‥‥。
シンシアはザックスの目に闘志が宿り始めている気がした。
【ザックス 所持品:スネークソード
現在位置:アリアハン城下街 行動方針:主催者に一泡吹かせる】
【シンシア 所持品:万能薬 対人レーダー 煙幕×3
現在位置:同上 行動方針:ザックスについて行く】
【ランド 所持品:オートボウガン ミスリルスパナ 魔法の玉
現在位置:同上 行動方針:とりあえずザックスたちについて行く】
329:謎の支給品 1/2
04/11/08 11:31:37 3yoXVl2/
キーファは鍵の開いた牢屋の中で、袋の中身を確かめていた。
出てきたのは一冊の分厚い、それこそ人ぐらい簡単に殴り殺せそうな厚さの本だ。
革張りの表紙には、『公式基礎知識完全攻略アルティマニア解体ガイドブック』とやけに長い題名がつけられている。
「なんだこりゃ?」
首をかしげながらも、キーファは本をぱらぱらとめくってみた。
そこに記されていたのは、参加者の写真・性格・仲間・能力・所持魔法特技のリストとその解説etc……
おまけに支給品の解説や(さすがに誰が何を持っているのかは書かれていないが)、あまつさえキャラごとの対策法まで乗っている。
ちょっと気になったキーファは、自分のページをめくってみた。
・キーファ=グラン 強さ:D
仲間:フィン、マリベル 性格:好奇心が強く冒険好き、割と勢いだけで行動することも。
所持特技:火炎斬り・受けながし・気合いため・ゾンビ斬り・しんくう斬り
対策法:魔法剣による近接戦が得意なので、ちょっと遠くから攻撃しよう!
ただし物理攻撃は受け流されるかもしれないので、魔法で攻撃するのがおすすめだ!
「ってちょっと待て! なんでオレが強さDなんだよ、納得いかねえ!」
思わずむかっとした彼は、強さSがどれほどのものなのかと探してみた。
そして出てきたのは三人。クジャ、セフィロス、ピサロ……なぜか全員銀髪だが、それはまあおいておいて。
キーファは、データを見てしまったことを後悔せずにはいられなかった。
その能力はいずれも読めば読むほど鬱になりそうな、人間離れしたものばかりだったからだ。
「あのケバいオバさん、何考えてこんな連中呼んだんだよ。勝負にも何もならないじゃねーか」
だが、そんな彼らのページにもしっかり対策法が書いてあることに気付く。
対策法:普通に戦うなら誰かが自爆でもしないと無理。
でも、支給品のキューソネコカミと複数回攻撃技の9999凶悪コンボなら倒せるかもね!
ただ、キューソネコカミは瀕死じゃないと無意味なので
攻撃する前にグラビガを数回自分に使っておくといいぞ!
「……キューソネコカミぃ? 瀕死じゃないと無意味って、なんなんだそりゃ?」
330:謎の支給品 2/2
04/11/08 11:33:17 3yoXVl2/
「なんなんだ、こりゃ?」
同時刻、レーベの村の宿屋にて、どこぞの誰かと同じように袋をあさっていた青年がいた。
彼の名前はロック。自称トレジャーハンターである。
彼が袋から取り出したのは、何のへんてつもない球だった。
無造作に張られていた紙のタグには、「キューソネコカミ」と記されている。
そして、支給品はそれ一個だけ。
「……これでどうやって戦えと……?」
ロックはわけのわからない支給品を握り締め、呆然と呟いた。
その球の持つ恐るべき力を知らぬがゆえに。
【キーファ 所持品:攻略本 現在位置:アリアハン城内・地下の牢屋
行動方針:仲間を探す、自衛以外に戦う気はない】
【ロック 所持品:キューソネコカミ 現在位置:レーベの村の宿屋
行動方針:武器と仲間を探す】
331:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/08 11:56:47 O9y6jhPU
「それにしても、まさかあんたまでここに居るとはね…」
「それは、こっちの科白だ」
そういって男は空を仰ぐ。
それにつられ、隣の女も空を仰ぐ。
少しの時間空を見て、女は口を開いた。
「あんたは、このゲームに乗らないのか?お前のような-
「あたりまえだ」
女の言葉をさえぎった男の言葉に、女は目を丸くする
「わしが憎むのはノアとノアがいた世界。この世界に滅ぼすものはない。まあわしを襲うやつのことは言うまでもないが」
「おやおや、魔王とも呼ばれた男が…もうそんな考えはすっかりなくしたと思っていたが」
「ふっ…そうだったのかもしれん」
「?」
「この世界に降り立ってすぐにお前とあったそのときはノアの恨みを思って殺そうと思ったが…
お前の目を見たらそんな自分が馬鹿らしくなってな。さっきも言ったが、わしが滅ぼすのはノアとノアのいた世界。お前たちではないんだ」
静かに語る口調と言葉に、女は今までの男と違う感情を持った
(あのザンデがこんな事を思っていたとはね…)
「ウネよ、この世界を脱出する方法を考えないか?わしはこの世界で朽ちたくないしおまえやドーガも殺したくはない」
「…なんとなく、言うと思っていた。あたしもそう思っていたところだ。魔王だろうがなんだろうが、同じ仲間じゃないか」
二人は共にうなずいて立ち上がる
「まずは風…ドーガだな」
「ああ…」
ノアの弟子たちは立ち上がる。この恐ろしきゲームを止めるために。
【ザンデ 所持品:不明 現在位置:アリアハン北の森
第一行動方針:ドーガを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】
【ウネ 所持品:不明 現在位置:同上
第一行動方針:同上 最終行動方針:同上】
332:331
04/11/08 12:00:09 O9y6jhPU
タイトル入れてね('A`)
「二人は」で脳内補足おながいしますorz
333:影 1/3
04/11/08 20:02:44 7q1Cqk0G
ファリスは、深い森を一人、歩いていた。
鬱蒼と茂る森は、いつかのあの森を思い出す。
最後には、焼け野原と化したあの森を。
大切な仲間を失った、森を。
森が燃える回想を頭から振り払おうとした彼女に、赤く燃え上がる何かが見えた。
…一瞬、エクスデスと相対し炎に包まれたガラフが脳裏に過ぎる。
慌ててそれに近づき、支給品のマントで火を消す。
火の中から現れたのは、原形を留めぬ、炭化された物体。
「酷い…っ」
ちょっと見ただけなら、焼けた木と何も変わらなかっただろう。
だが、人間の肉の焼ける独特の強烈な匂いが周囲を包み込んでいた。
思わず、胃の中の物がこみ上げる。
「っ…!」
何とか堪えるも、彼女の心は、体以上にそれに反応する。
自殺か、他殺かは知らないけれども、また誰かが死んだ。
匂いのせいかもしれないが、目の奥が熱い。
(こんな…ふざけてる)
ファリスは、立ち竦む。
「無防備だな」
何の前触れもなく、ファリスの背後から声がした。
「っ、誰だっ!?」
振り返り、もう一つの支給武器…聖なるナイフを咄嗟に構えた。
そこに立っていたのは、短刀を手に持った、全身黒尽くめの男。
いや、黒尽くめだから見た目では男かどうかはわからないのだが。
334:影 2/3
04/11/08 20:03:59 7q1Cqk0G
「忠告をしただけだ。名乗る必要もない」
男は、ほとんど感情を感じない声でそう告げた。
「忠告だと?」
(…この男、腕はいいだろう。殺気を感じないから、今はまだゲームに乗っていることはないはず。
だが、いざと言う時…何の躊躇いもなく人を殺せる人間だろうな)
「そうだ。ここは戦場だ。油断が命取りとなる。
俺がゲームに乗っていたのなら、お前の命はさっき尽きた」
(確かにそうだ…)
「この忌まわしい匂いが嗅ぎ付けられる可能性も、さっきの炎が見られていた可能性も、ある」
「確かにそうだな…」
「その辺にゲームに乗った奴が近づいているかも知れんということだ。実際、俺は気づいてやって来た」
男は冷静にそう言った。
「そうだな、ありがとう。それで、あんた結構強そうだし、一緒に行動してもらえないか?」
ファリスが右手を差し伸べたが、男はそれを握らなかった。
「悪いが、団体行動は好きじゃない。一人で行く」
そう言うと、男はふっと独り言のように言った。
「もしリルムという娘を見つけたら…」
「えっ?」
「…いや、なんでもない」
男は、何かを飲み込むように最後の言葉を残し、木々の間を跳躍してどこかへ消えた。
「リルム…か」
男の最後の言葉が気になった。
だが、それよりも、ここは危険だ。
バッツ、レナ、クルル…何処にいるんだ?
ファリスは、かつての仲間を探すべく、その場を立ち去った。
335:影 3/3
04/11/08 20:07:20 5isgb9P7
黒尽くめの男は、走りながら考えていた。
なぜわざわざ人助けのような真似をしたのか。
…理由は明白だった。
あの女がゲームに乗っていない事と直感的にわかったとき、男は思っのだ。
―殺される理由のない人が殺されるのは見たくない。
かつて殺し屋として生きていた彼はもう、死んだ。
今、一度死んだ筈の身がここに有るのは、殺戮のためではない。
―そうだろう、ビリー?
男は、シャドウは、影のように木々を縫い、走っていた。
【ファリス 所持品:王者のマント@DQ5 聖なるナイフ 行動方針:仲間を探しに行く】
【シャドウ 所持品:ダガー 祈りの指輪 行動方針:マーダーを減らす、出来ればリルムに会いたい】
現在位置:レーベ南の森北東部から移動中(別々に)
336:1/2
04/11/08 20:28:59 KC4Ut1Eo
(…自分と同い年ぐらいの男の人…こっちに来る?)
呑気にあくびをしていたフィンだが、ふと数十メートル先の人影に気がついた。
(…あの人の剣、赤い!まさか血の色…!?)
「…アルカート、誰か来る!」
「えっ?」
丁度ギルダーに背を向ける状態になっていたアルカートは、フィンの言葉でようやくその存在に気付き振り向いた。
そして目を見開く。…あの赤魔道士、魔力を高めて…!いけない、完全にこちらに仕掛ける気になってる!
「フィンさん、あの人…!」
アルカートが魔石をローブのポケットに入れながら叫ぶ。
フィンもそこでようやく明らかな殺気を感じ、一瞬で立ち上がり陸奥守を抜いたがしかし、遅かった。
「ブライン!」
「ッ!?うわッ」「きゃあっ!」
ブライン。二人の視界が暗闇に飲まれた。ギルダーはライトブリンガーを握り、一気にフィンとの間合いを詰める。
フィンは気配と殺気で相手の位置を察し、その一撃を何とか受け止めるがしかし、受け止めることしか出来ない。
間髪いれずに再び振るわれた剣を、今度はギリギリのところで受ける。…危ない、今にも弾かれそうだ。
(この状況、反撃は無理だ…どうしよう?何とか追い払う方法を――)
剣の重なる音が何度も響く。そんなフィンの後ろでアルカートは目を閉じて集中していた。
(大丈夫…落ち着いて。回復すれば対処できない相手じゃない…こっちには気がついてない…!)
アルカートは、エスナの魔法を詠唱していのだ。大丈夫、落ち着いて、落ち着いて。
しかし、この状況で落ち着くというのも難しいものだ。アルカートの魔力は必要以上に増幅し…完成する直前だろうか、
ギルダーがその魔力に気がついた。
ギルダーは舌打ちし、フィンの横をすり抜けアルカートに向かっていった。
(しまった、アルカート!)
フィンが気がついた時にはすでに遅い。既にギルダーはアルカートとの間合いを詰めていた。
ライトブリンガーがアルカートに向かって勢いよく振り下ろされる――
337:2/2
04/11/08 20:30:33 KC4Ut1Eo
ガッ!
その刃は、鈍い音と共に直前で何かに阻まれた。
「何をしておる、ギルダー!道を踏み外したか!」
(なっ…ドーガ!?)
間一髪。ドーガがギルダーの前に立ちふさがりライトブリンガーを素手で受け止めたのだ。
紫色の血、人間の物ではないそれがぽたぽたと落ちる。
(…! 俺がドーガに勝てる訳が無い…!くそっ!)
ギルダーは一瞬の判断で、マントの下から手榴弾を取り出し器用に片手でピンを抜く。
それにドーガが目を見開いた時には――既にお互いの至近距離で爆発が起こり、同時にギルダーが魔法を完成させていた。
「サイレス!」
「!くっ…!」
ドーガが呻く。魔法を封じられた…迂闊だった、爆風で前が見えない…!どこだ!?
視界の悪い中でもギルダーの気配が遠ざかるのが解る。…逃がすわけにはいかない…!
しかし丁度視界が開け始めたころか。数十メートルほど離れた辺りから大きな水音が聞こえ
完全に視界が開けた時には既にギルダーの姿は無くなっていた。
【アルカート 所持品:ナッツンスーツ グラディウス 白マテリア(ホーリー) 現在位置:アリアハン北の橋からすこし東の平原
第一行動方針:?(強烈な力の込められた石を研究する)
第二行動方針:ジオを探す
第三行動方針:白い球体について研究する】
【フィン 所持品:陸奥守 魔石ミドガルズオルム(召還不可) 現在位置:同上
第一行動方針:?(アルカートの石の研究の結果を待つ)
第二行動方針:アルカートを守りつつ、仲間を探す】
【ドーガ{負傷} 現在位置:同上 所持品:不明 第一行動方針:?】
【ギルダー{負傷} 現在位置:大陸中央の川→? 所持品:ライトブリンガー・雷の指輪・手榴弾×3・ミスリルボウ
第一行動方針:逃げる→傷の治療 最終行動方針:生き残りサラの元へ帰る】
338:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/08 21:19:08 jmH3OEuM
>>322の修正
> サックスやギルバートならさっと決断しただろう。アルカートなら、少し悩んだかもしれない
を
サックスやギルダーならさっと決断しただろう。
に。申し訳ありません。まったく気づきませんでした。指摘してくれた人ありがとうございます。
339:Amnesia? 1/2
04/11/08 21:45:21 3yoXVl2/
(なんで僕、結局この人と一緒にいるんだろう)
ソロはため息をついた。その傍らでは、ヘンリーが袋に頭ごと突っ込んで中身を探っている。
「おっかしーな。俺の袋、肝心の武器が入ってないぜ? 食料やなんやらは入ってたのに」
多分、さっき落ちた時に投げ出されてしまったのだろう。
ソロは仕方なく、自分の袋に入っていた剣を差し出した。
「これでよければ貸してあげますけど」
「え? でも、君が困るんじゃ」
「もう一振りありましたから、大丈夫ですよ」
ソロは微笑みながら言う。けれども、心の中では別のことを考えていた。
(なぜ、僕はこんな見ず知らずの人に親切にしているのだろう。
だいいち、治療だけしたらさっさとレーベに行くつもりだったのに。
なんでこうして、一緒に茂みの中を歩いているのだろう?)
―この男が正気を取り戻すのが予想外に早かったせいだ、とソロは思おうとした。
でも、本当は単に放っておけなかっただけだ。死なれたら目覚めが悪いとかいう以前に、心配になったのだ。
やっぱり、自分は根っからのお人よしなのかもしれない。仲間たちが口を揃えて言うとおり。
「悪りぃな。迷惑ばかりかけちまって」
そんなソロの気持ちを知ってか知らずか、ヘンリーは頭を下げる。
「いえいえ、危ない―じゃなかった、困っている人は助けるように親からも良く言われてたので」
「そうか……きっと、優しくて良いご両親なんだろうな」
自分の両親や継母のことを思い出したのだろうか、心底羨ましそうにヘンリーは言った。
「で、ヘンリーさんでしたっけ。これからどうするんですか?」
「うーん、そうだなぁ。皆で茶でも飲むか。確か、マリアさんやリュカやピエールもいたし」
……この状況でお茶だなんて、楽観的すぎるにもほどがある。ソロは唖然とした。
「あのですね。あなたに戦う気がないのはわかりましたけど。
ここは一応、殺し合いの会場ですよ? 向こうが殺る気満々だったらどうするんです!」