FFDQバトルロワイアル3rdat FF
FFDQバトルロワイアル3rd - 暇つぶし2ch160:どうですかね
04/11/01 01:19:51 2IK9o1Du
目が覚めると、暗闇だった。
暗闇の中、複数の息遣いだけが聞こえてくる。直ぐ隣には誰かが倒れていて、その隣にも誰かが倒れていて。それが延々と続いていた。
―何だ、この状況は?
状況が全く理解できない中、彼は警戒しながら辺りを見渡した。そこにはやはり暗闇だけがあったが…いくつかの気配を感じる。
恐らくは…他にも数人が起きていて、自分と同じように警戒しているのだ。このおかしな状況を。
―そうだ、着火具…荷物は?
と、彼が荷物を探ろうとすると同時、唐突に明かりが付いた。
ただその明かりはとても小さく、蝋燭の様に儚いものだったが。そして。
「ようこそ、選ばれた選手達よ…!」

――。
彼、フリオニールの荷物を求めていた手は、硬直して動かなくなっていた。
いや、彼だけではなく、この場にいる殆どの者が呆然とし動けなくなっていた。突然姿を現したそれに恐怖を覚えて。
その存在は、絶対的な力と悪を持っていた。それこそ自分の存在など、一瞬で消されてしまうような。
「今日は貴様等に殺し合いをしてもらう。逆らうことは許されない」

それは、確かな絶望。


161:どうですかね2/2
04/11/01 01:21:02 2IK9o1Du
――何で、どういうことだ。
あまりにも唐突な展開と恐怖に『選手』達は息を飲み沈黙する。しかし、
「…ふざけないでッ!」
一人の女性の怒声が、沈黙を破った。フリオニールはゆっくりと声がした方に首を向ける。
血の繋がらない妹である…マリアが弓を構え立っていた。続けた。
「あなたがどんな人なのか知らないけれど、殺し合いをさせられる覚えはないわ!」

ぱぁんっ!

――。
フリオニールは、その出来事を理解することが出来なかった。
マリアの放った矢は間違い無く奴の心臓を貫く筈だったのに――。
何故、マリアが倒れている?何故、マリアの胸に、矢が――。
マリアは、目を見開いた表情で仰向けに倒れた。心臓に、マリアが放った筈の矢を深々と刺して。
一瞬の出来事だった。

「……ッマリアーーーーーーーーーーッ!!!!」
薄闇の中、女性達の悲鳴と、フリオニールの悲痛な叫びが響いた。


【マリア(FF2) 死亡】

162:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/01 14:23:48 gmeoF1sa
>>160-161
マリアってフリオニールの義妹だっけ?
IIとかあんま覚えてないな。レオンハルトの妹ってことは覚えてるけど。
まあでもいいんじゃないのん?


ついでに回復魔法別に禁止しなくてもいいと思うけど。
回復魔法を使おうがつかわまいが死ぬときは死ぬべ。レイズ、アレイズ、ザオリクでさえ。
気絶、戦闘不能くらいの治療でね。

そういやダイ大は、傷の治療と体力の回復を別にしてたね。そんな風にしときゃいいだろ。
「傷は完治したよ…でも、彼にはもう生きるだけの力が残っていない…」とか
「だめだ…ベホマの回復がおいつかない!」とか
「あれくらいの損傷なら、すぐにレイズをかければなんとかなったかもしれない。でもこうなっちゃだめだ…」
とかまあどっかのB級ノベルみたいだけど、どうにもならん状況なんぞいくらでも…。

バカがなんでもかんでも一瞬ですべてを回復させっから変なことになるんでねーの。

> 白魔とか僧侶は…得意分野を禁止されたのを逆に活かすとか、書き手が考えよう。
いやいや、どうがんばってもいかせないYO!(w
僧侶系にはマイナス要因以外のなにものでもないぞ。

>>8でいいと思うけど。ラナルータ以外別に最初から禁止する必要性はなくない?

というかこういう話はむこうのスレですべきなのですか?もしかして…。

163:ゲーム開始 1/2
04/11/02 21:46:51 M7YGG3eY
「ふざけている? 誰もふざけてなどいない」
冷徹な言葉と共に、声の主は闇の中から姿を見せる。
はっきりと光に照らし出されたその姿に、誰もが再び息を飲んだ。
女だった。奇妙だが豪奢なドレスを身にまとった、細身の女。
だが、全身に膨大な魔力を纏い、目には絶望の色を湛え、美しくも邪悪なその姿は―
「魔女……アルティミシア」
乾いた声で、誰かが言った。
けれども、当の魔女はそのつぶやきも意に介さぬ様子で、そっと手を振った。
それを合図にしたかのように、広間中で何かが砕け散る音が響く。
「お、俺の剣が!?」
青い帽子をかぶった剣士が驚愕の叫びを上げた。崩れ落ちた剣の残骸を握り締めながら。
いや、彼の剣だけではない。いかなる技か、広間にいる者が持つ武器全てが、今や白い灰と化していた。
魔女は続けて、尖った爪を虚空にかざす。
その先からほとばしる光が広間を埋め尽くし、ほんの一瞬だが全てを白一色に塗りつぶした。
「お呼びでしょうか、アルティミシア様」
光の後に現れたのは、漆黒の鱗で覆われた巨竜であった。
青い皮膜を広げ優雅に宙を舞う姿は、竜王バハムートを思い起こさせる。
アルティミシアの下僕となったG.F.―ティアマトだ。
「この者達にゲームの説明をしてやれ」
魔女はうやうやしく跪いた巨竜に一言だけ残し、闇に消える。
フリオニールはそれでも魔女に追いすがろうとしたが、その願いは叶わなかった。
近くにいた仲間が止めたため、そしてティアマトが彼の行く手を阻むように舞い降りたためだ。

164:ゲーム開始2/2
04/11/02 21:51:13 M7YGG3eY
邪悪な竜は、唇をかみ締めるフリオニールを嘲笑いながら話を始めた。
「アルティミシア様が言われたが、貴様らにはこれから殺し合いをしてもらう。
 ルールは単純だ。この場にいる全てを蹴落とし、生き残る。それだけだ。
 だが、勝つためには全てが許されているというわけでもない。
 禁止事項を破れば、貴様らのつけている首輪が爆発する」
ティアマトの言葉に全員が首に手を当て、言葉を失う。
いつのまに着けられたのか?
無骨な金属の塊は大した重さも感じさせず、だが、確かに全員の首に巻かれていた。
「もちろん爆発と言っても小さなものだが……貴様らの脆い首を吹き飛ばすには十分だ」
ティアマトは喉を鳴らした。多分、笑ったつもりなのだろう。そして再び言葉を続ける。
「禁止事項は以下の三つ。
 一、会場から逃げ出そうとする。 会場に設定された境界線を越えれば爆発するということだ。
 二、禁止された魔法や技を使用する。これは場合によって追加されることがある。
  なお、最初から禁止されている魔法は「ラナルータ」のみだ。
 三、力づくで首輪を外そうとする。以上だ。
 そうそう、付け加えておくが二十四時間以内に誰も死ななかった場合は
 全員の首輪が爆発するようになっている」
「―つまり、殺しあえば一人だけは生き残れるが
 殺しあわなければ誰一人として助からない、そういうことかい?」
会場の片隅で静かに話を聞いていた銀髪の男が、冷めた瞳でティアマトを見上げる。
巨竜は我が意を得たりとばかりに大きくうなずいた。
「そういうことだ。もっとも、今のまま素手で殺しあえとは言わん。
 これから一名ずつ名前を呼んでいくから、呼ばれたものは後ろの扉から外に出ろ。
 そこで武器や食料などが入った袋を支給してやろう。 
 もっとも、武器といってもどの袋に何が入っているかはわからんし、全てが有用な武器でもない。
 下らない玩具を引いてしまった者は、運が悪かったと諦めるのだな」
そして、ティアマトは最初の名を読み上げた。
―呪われたゲームに放り出される、最初の生贄の名を。

165:スタート
04/11/03 09:38:58 JEZrVmtN
名を呼ばれたのは、アーヴァイン=キニアスだった。
「僕が一番最初ってことは、まさかアイウエオ順なの?」
「ああ、そうだ」
青年の問いに、ティアマトはあっさりと肯定する。
「ふーん。まあいいや、それじゃあ行ってくるよ」
傭兵としての訓練ゆえか、緊迫感がないだけなのか、あるいは空元気を装っているだけなのか、
いずれにしてもアーヴァインは普段どおりの軽い調子で言った。
「待て」
その態度が不満だったのか、巨竜は少し苛立しげに呼び止める。
「説明が一つ抜けていた」、そう言ってティアマトは心臓に矢を受けたマリアを見やり、唇の端を邪悪に歪めた。
「首輪の威力についてだ」

マリアの傍で肩を震わせていたフリオニールの耳に、それは聞こえてきた。
断続的に流れる、耳障りな電子音。その間隔がだんだん短くなる。
戦士としての勘が、危険だと告げる。音を止めろと警告する。
だが彼にはどうしようもない。やがて音が重なり、ピーーーというアラームへ変化した時……

思っていたよりも軽い音がした。シャンパンの栓を抜いたような。
けれども宙に舞ったのはコルクではなく人の首で、地に撒かれたのはワインではなく血であった。
狙いすましたかのように足元に落ちた生首に、アーヴァインの顔が青ざめる。
首を失った死体を見て、フリオニールの顔から全ての表情が消える。
悲鳴さえ上がらず、広間に忍び寄る死のような沈黙が落ちる。
ただ一匹、ティアマトだけが満足そうに参加者たちを見下ろしていた。
そして立ちすくむ青年に向かい、短く言い放った。
「行け」、と。

166:リルムと
04/11/03 13:49:35 zGX9veYg
アーヴァインという青年の名が呼ばれてから、幾数人の名前が呼ばれた。
自分は最後のほうだった、そして呼ばれた。
「リルム=アローニィ」
その巨竜の声は、様様な邪悪な物が混じったかのようだった。
何故自分がここに居るのか、サマサに居たはずの自分が、何故?
そう考えつつも、リルムは前へと進んだ。
そして、巨竜から渡された袋を手に、扉へ入った。

数分後、意識が飛んでいたが、無事に到着した。
もっとも無事にと呼べる状況ではないのだろうが。
周りは海、そして後ろに聳え立つ塔。
そして……首輪、先ほどの出来事が嘘ではない事を示す印。
でもそんな彼女にも、一つ安心できる事があった、それは言葉として現れた。
「おじいちゃん………居なくて良かった」
そう、唯一の肉親であるストラゴスがこのゲームに参加していなかった事だ。
それは、リルムにとっての最大の幸運だった。
そして、彼女は決めた。
生き残る、でも人は殺めない、生きてサマサに帰ると。
「よおし!あのケバケバおばさんを倒しに行くぞ!」
と、意気込みを入れ、袋の中を覗き込んだ。
中身は、彼女にとって幸運の品だった。
かつて英雄が手にしていたとされる、英雄の盾。
絵描きの彼女には嬉しい絵筆。
それと謎の指輪。
とりあえず、盾と絵筆を手に、歩いた。

167:リルムと王子
04/11/03 13:51:55 zGX9veYg

そして、何かにぶつかった。
「あ痛ッ!」
「うわぁ!」
その声は同時に重なった。
リルムは警戒していた、もう他の参加者が自分を狙っているのか?と。
そして…リルムにぶつかった、何か…否、なにかもこもこした物を着込んだ青年はこちらを向いた。
「……びっくりしたぁ、ん?君も……?」
その青年はリルムを見た、リルムも、青年を見た。
その後、青年は即座に顔を怒りの表情へ変え、拳に怒りを込め、地面を殴った。
リルムはその姿を怯えながら見ていた。
「クソッ!こんな子供にまでこんなふざけた事をさせるなんて…許せない!」
それは幾度となく続いた、何度も、何度も。
そして、その音がやみ、青年はもう一度リルムの方を向いた。
「すまなかったね…ビックリさせて、僕には敵意は無い、襲うつもりなんてさらさら無いよ」
その言葉と共に、剣が青年の足元に落ちる。
それを見て怯えていたリルムも警戒を解いた、こんな危険なゲームなのに警戒を解くというのは危険な行為だ。
だがしかし、リルムは解いた、なぜなら青年からは邪悪の気を感じない、むしろ誇り高き血が流れているように見えたからだ。
「イケメン兄ちゃん、あたしリルム。」
イケメン…という言葉に少し焦る青年だが、落ち着きを取り戻し、こういった。
「僕はロラン、どうだい?もし良かったら僕と一緒に行動してくれないか?
 仲間を探したいんだけど…僕一人じゃ無理だろう?
 そして…あの邪悪な魔女を……倒す!」
その答えは、笑顔で返ってきた。
「うん!あたしも協力する、よろしくね、ロラン!」
こうして、小さな魔導師と勇者の血を引く青年のタッグがここに結成した。

【リルム 生存確認 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪
【ロラン(DQ2ローレシア) 生存確認 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート ?
第一行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームから抜ける、アルティミシアを倒す】

168:書き忘れ
04/11/03 13:53:29 zGX9veYg
現在位置:ナジミの塔付近
ゴメンこれ忘れてたよ。

169:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 13:55:51 zGX9veYg
そして歩いた~から追加(コピペミス

リルムが塔を中心に半周するぐらいのときだった。
前方に大きな、何かが現れたのだ。
>>167
何度もスマソ

170:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 15:00:48 9eBosCiA

どうして、こんなことに。
サマルトリア国王子・パウロはアリアハンの民家の中ベッド下に隠れ、声を殺して泣いていた。
彼はあの広間、マリアのすぐ隣にいたのである。
直ぐ隣で女性が死んだだけでもショックなのに、まるで追い討ちをかけるように…マリアの首が吹き飛んだ。
あの残虐なシーンが瞼に焼き付いてしまい、ずっと離れてくれない。
目を見開いた女性の死体。矢。銀髪の戦士の叫び、アラーム音、爆発、血…。
…僕も、あんな風に首を失って、死ぬんだろうか?そう思うと、また涙が出てきた。
きっと、ロランならこう言うだろう。パウロ、メソメソしたって始まらないぞ、と。
それは解ってる。こんなとこにいたってどうにもならない。僕はロラン達を探さなきゃ。でも…

パウロはふと、枕のように抱えていたザックの中身をまだ確認していなかった事に気付いた。
そう、僕は戦う気は無いし、呪文も使える。でも、武器はあったほうがいい。
ザックの中をまさぐり、出てきたものは剣。それを見るなりパウロの表情が凍りついた。…破壊の剣。
最強の破壊力に、邪神の呪いのおまけ付きな剣。こんなものこの状況で装備したら…無差別殺人発生決定。
こんなものを支給するなんて、わざととしか思えない。――最悪だ。酷すぎる。
「…でも、これ引いたのが効果知ってる僕でよかった…」
そう呟きながらとりあえず剣をザックにしまう。この手の剣は見目では呪われていると解らないのだ。
もしこの剣を、戦士などが引いてたら…と思い、ゾッとするパウロであった。

【パウロ 現在位置:アリアハン城下町東側の民家二階・ベッドの下 所持品:破壊の剣(未装備)
 第一行動方針:隠れる 第二行動方針:ロランと王女を探す】

171:ジタンの現実 1/3
04/11/03 15:11:20 a1R2Szrk
あの衝撃的なアクシデントから、場の空気がぴんとなったのがわかった。
血…本物の血だ!これは夢でもなければ劇でもない、現実だ!
赤い飛沫はそう叫んでいるようだったけど、あまりに非現実過ぎた。

アーヴァインとかいう軟弱そうな男が出てから少しして、今度はアーロンってヤツが呼ばれた。
アーロン…体もでかけりゃ剣もでかい…あんなのがいるのかよ。
行く前に俺たちの方を見てたな…誰か探してるのか?
次に呼ばれたアイラって人は、凄い綺麗で…どこかの踊り子さんか?ああ、こんな場じゃなければ声かけるのになあ…。
そのあと、アグリアスっていうこれまた綺麗な金髪の女性が呼ばれた。
声をかけるのが躊躇われるような、近寄りがたい感じ。
いやいや、ああいう子が案外男ができると変わったりするんだ…でもちょっと年上すぎかな。

そのときだった。

「アグリアス!」
静かな雪原に急に雪崩がおきたような、そんな唐突のなさ。
「ラムザ!?」
「アグリアス!向こうで落ち合おう」
ラムザとか呼ばれた男は、毅然とした目で彼女を見つめる。
彼女は開いていた手を閉じて頷ずくと、すぐに踵を返して扉に向かった。

目が覚めた。
そうだ、これは試合に出場する選手を見送ってるわけじゃないんだ。
現実に、いまから俺と殺し合いをする相手なんだ!
ダガー!ダガーはいるのか!?それにビビ、エーコ、スタイナーのおっさん……


172:ジタンの現実 2/3
04/11/03 15:13:50 a1R2Szrk
立ち上がって探そうとしたときに、あのティアマトとかいう図体のでかいやつが叫んだ。
「動くな!」
その声にはっとしてティアマトを見ると、その視線は必ずしも俺に向けられているわけじゃないことに気づいた。
みんな、俺と同じ事を考えていた。

ティアマトは憎々しげにラムザを見ると、彼は睨み返してその場に座った。
「チッ…。いっておくが、扉からでる場所は一様じゃない。
 …そして、これから自分のいる場所から動いたり声をあげたりしたものは、容赦なく殺す。肝に銘じておけ」

そういうと愉快そうにティアマトは笑ったが、俺はちっとも愉快じゃない。
周りにしってるヤツがいないか探したけれど、目の届く範囲では見つからない。
みんな、いるのか?どうしてるんだ?みんな―――


結局そのあと、青い顔をしたエーコと怯えきったダガー、そしてサラマンダーを見送った。
エーコとダガーは、二人とも俺の顔を見て安心と不安が入り交じったような複雑な顔をしていた。
それは俺も同じだ。
正直、会えたことは嬉しい。でもそれはつまり、殺し合うってことだ。
仲間をこの手で殺すだって?そんなこと、できっこない!
ただ…わからないのは、サラマンダーだ。
あいつは、俺と目を合わそうともしなかった。
柄じゃないからかもしれない…でも、どうしても、不安がよぎる。
まさか…乗った?この、いかれたゲームに。


173:ジタンの現実 3/3
04/11/03 15:16:18 a1R2Szrk
…ふと、目をあける。
見渡す限りの草原。その先に、城のようなものが見える。
支給品は三つ。一つは英雄の薬…これはいいんだ。
あとの二つ。厚手の鎧と般若の面…なんだこりゃ!?
おっさん専用装備か!?装備してる姿を想像して吹き出したじゃねえか!
渡す相手間違えてるぜ!


あと、荷物の中に参加者名簿とかいうのがあった。
それを見てみると、あの三人の他におっさん、ビビ、フライヤ、ベアトリクス、あと…クジャ。
クジャ…?あの、クジャか…何かの間違いじゃなく。
いや、とにかく今は仲間との合流を考えよう。
いっしょに戦ってきた仲間だ、いきなり殺し合うなんてことはきっとしない。
サラマンダーだって……

あの城に行こう。集まるなら、危険はあっても、目立つところがいい。

【ジタン 生存確認 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面 現在位置:アリアハン城より少し南の平原
 第一行動方針:城に向かう 第二行動方針:仲間との合流】

174:1
04/11/03 15:38:20 j54M202x

ギィ……
重苦しい音とともに、カインは教会の扉を開き、中に入った。
この大陸に堕ち、彼の目に最初に入ったのがここの十字架だ。
彼は、支給武器を確認することも無く、誘われるように扉を開いたのだ。
ゲームに乗るか、あるいは正義を貫くか。それをこの中でゆっくり考えようと思っていた。

中は、閑散としていた。
取り立てて言うほどの特徴も無い。
教会らしく整然と椅子が並んでいる。ただそれだけだ。
ただ、その中に、カインの興味を引くものが、無造作に置かれていた。
「旧約…聖書」
本のタイトルを読み上げる。
そもそも神の概念が無い彼にとっては、この教会自体が異質なものとして捉えられていた。
そして其処にただ置かれた、一冊の分厚い本は、カインを誘惑するような、一層に異質な黒い光を帯びていた。
興味本位で、それを開く。
流れるように文を読み、ふっと溜息をつく。
「神が世界を創造し、人間を創った…?くだらない物語だな」
其処には、彼の興味を引くものはないと思われた。だが。
パラパラとめくり、彼はふと手を止めた。

「カイン…?」
自らの名か。いや、そうではない。
最初の人間、アダムとイブの間の子供の名前らしい。
…だが、気になる。
自分と同じ名を持つ男。
彼は、聖書をゆっくりと読み始めた。


175:2
04/11/03 15:39:16 j54M202x
数分後、彼は聖書を置いた。
これは自分へのメッセージか。
自分に、決断しろと言うメッセージか。
自らの為すべき事を暗示するのか。

このくだらない物語によれば、アダムとイブの子、カインは弟アベルを殺した。
人類最初の殺人者という称号を、彼は得たのか。
「俺と、同じ名前を持つ男よ」
…ならば決断しよう、カインよ。
「俺は、カインだ」

彼がゆっくりと支給武器を取り出した時、その思いは完全なものとなった。
『カインの槍』と名づけられたその槍は、不気味なまでに彼の掌に馴染んでいた。





ちょうどそのころ、一人の老人が、教会の前に立っていた。
「どうしてこんなことになったんじゃか…。姫様まで参加しておるわい」
彼の名はブライ。参加者一覧を、しかめっ面で読んでいた。
「もし勇者殿が味方をしてくれるならば殺されることもあるまい…か」
そう言って、少し微笑む。
「まぁ、姫様も十分強いがの」
どうも、さっきからアリーナ姫の顔がちらついて離れない。
この危険なゲームで、無茶をしなければよいのじゃが。
「おおそうじゃ、戦いの前にはまず神に祈りを…」
どうも頭の古いこの老人は、そう呟き、教会の扉をゆっくりと開けた。

176:3
04/11/03 15:40:12 j54M202x
何者かが扉に手をかけた瞬間、カインは大きく跳び上がった。
天井に飾られたシャンデリアに、器用につかまる。
少しの音も立てなかったのは、さすがと言うべきだろう。

入ってきたのは、老人だった。
老眼の彼には、シャンデリアにぶら下がる人の姿など見えまい。
それ以前に、彼はその方向など見向きもしなかった。
ただ、神に祈りを捧げるべく、奥の十字架へ向かって歩く。
…あまりに、無防備だな。一瞬で片を付けられそうだ。
老人が真下を通る直前、カインは槍を構えて飛び降りた。
…躊躇などする理由は、ついさっき捨て去ったばかりだ。

勝負は、あっけなかった。
カインは、真上から頭をかち割られうつぶせに倒れた老人の背中に、聖書を乗せた。
「神とやらが存在するのなら、その元に行くがよい」
…俺は行けまい。それを裏切った殺人者だからな。

カインは、老人の支給武器の笛を抜き取り、奥の十字架に投げつけた。
乾いた背徳の音が響くのを聞きながら、彼は教会を後にした。


【カイン 所持武器 ランスオブカイン 現在位置 アリアハン教会 
     行動方針 殺人者となり、ゲームに勝つ】

【ブライ 死亡】

ゴーレムの笛は放置。ブライがほかにも武器を持っていた可能性あり。

177:1/2 不可抗力とお人よし
04/11/03 15:57:24 JEZrVmtN
悪魔の作為か、神のいたずらか。
旅の扉を潜った青年を待ち受けていたのは、はるか下方に広がる茂みであった。
「え? え、お、おおおおおおい!?」
一瞬の浮遊感が身体を包む。実際は落っこちていたのだが。
拡大する地面、バランスを取ろうとするも間に合わず、頭から草むらの中へ―

―遠くから聞こえてくる若者の声。「もしもし」―「あのー」―
ああ、と彼は薄れる意識の中でため息をついた。
このまま自分は死ぬのだろうか。気絶した男なんて、殺し合いでは格好の獲物だ。
相手がよほどの馬鹿なお人よしでもない限り、このまま止めを刺される。
はは、なんて間抜けな死に方だろう。一生の笑いものだ。その一生ももうすぐ終わるだろうが。
ああ。せめて、死ぬ前に愛しい妻の料理をもう一度食べたかった。
アイツとパパスさんに会って一言話したかった。
それから、デールのことも気がかりだ。あいつは今一つ気弱で頼りないから。
そういやピエールのやつ元気してるかなあ。最後に会ったの八年前だっけ。
そうそう、コリンズにザリガニ釣り連れて行ってやる約束があったなあ。どうしよう。
そういえばアイツの子供たちの誕生日が近いとか言ってたな。プレゼント買ってないぞ。
あと、よく考えたら俺たちの結婚記念日ももうそろそろだったような……

178:2/2 不可抗力とお人よし
04/11/03 16:03:01 JEZrVmtN
(なんなんだ、この人ーッ!)
ソロは、焦点の合わない瞳で延々呟き続けている青年を見下ろしていた。
彼は元々、困っている人を見過ごせない性格の持ち主である。
世界を見通す竜神からも、魔界を統べた王からも、今時珍しいぐらいのお人よしと評されたほどである。
広間での無残な殺戮を見せ付けられてなお、殺し合いに乗る気が全く起きないどころか
一人でも多くの人を助ける方法を探そうと考える。彼はそういう人間だった。
だから、青年が旅の扉から中空に放り出されたのを見て慌ててやってきたのだ。
だが、そのソロでさえ助けるべきかどうか躊躇する。
それほど青年の姿は異様で、電波じみている。
(なんかやばい。逃げたほうがいいような気もする。だが人として、怪我人は助けるべきだ。
 でも正直関わりあいたくない、でも頭を打った人を見捨てるというのも……)
悩んで悩んで悩みぬいた末、ソロはようやく決断を下した。
「……よし。頭の傷だけ回復してあげて、すぐに逃げよう」
―それでいいのか、天空の勇者よ。

【ソロ(DQ4勇者) 現在位置:レーべ近くの茂み 所持品:不明
 第一行動方針:仲間と合流 第二行動方針:一人でも多くの人が助かる方法を探す】
【ヘンリー 現在位置:レーべ近くの茂み 所持品:不明 状態:混乱(軽度、放置で直る)
 第一行動方針:知り合いに会う】

179:帰りを待つ人のため 1/2
04/11/03 16:56:58 9eBosCiA
森の中、一人の男が怒りに満ちた表情で大きな木を殴りつける。衝撃で葉が舞い落ち、男の鉢巻が揺れた。
「くそっ…!ふざけやがって…」
決して大柄ではないが鍛えられた肉体。そんな身体に靴は不用なのだろうか、素足である。
そして拳法着に赤い鉢巻…典型的なモンクの格好をした彼の名は、ジオといった。
彼はこのゲームとあのふざけた魔女に、かつてない怒りを感じていた。
(あの女性は当然のことを言ったまでだ。何故殺されなくてはならない?殺し合いだと?俺に…俺にあいつを殺せというのか!)
ジオの心に、ある白魔道士の姿が浮かんだ。優しい笑顔。
彼女はジオにとって大切な仲間であり、それ以上の特別な存在でもあった。…秘めた思いだったが。
「あいつまで…巻き込みやがって…」
苦難の表情で再び木に八つ当りをする。と同時に、先程の数倍の量の葉が落ちてきた。
「…ッ! うわッ!!」
…ドガァァァッ!!!
ジオがそれに違和感を感じ、咄嗟に後ろへ飛ぶ。葉と一緒に落ちてきたそれは木の下で発光し――小規模の爆発が起こった。
爆風の衝撃で茂みに吹き飛ばされるジオだが、すぐに体制を立て直す。大丈夫、怪我は無い。
(まさか、ずっと木の上に…!?んなバカな!)
その気配に気がつかなかったのは、頭に血が上っていたせいだけではないだろう。
気配断ちというやつか。…相手は自分と互角、いや、それ以上かもしれない。
(くそっ…次に会ったら、覚えてろ!)
ジオは逃げ出した。ここで死んだら彼女を守るどころではない。懸命な判断だった。

180:帰りを待つ人のため 2/2
04/11/03 16:58:04 9eBosCiA

(逃がしたか…)
ジオが走り去るのを確認し、赤いマントに羽帽子の男―赤魔道士ギルダーが木の上から降りてきた。
もう少し慎重になるのだった。そうすればきっと、確実に仕留められた。舌打ちする。
(…仕留める、か。何だか、動物を狩っているような言い回しだな)
彼は一人、苦笑した。世界を救う光の戦士である自分が…人を殺そうとしている。それも、こんなやり方で、だ。
突然殺し合いをしろ、と言われて戸惑い、一度は脱出できないかと考えたが――彼はそれを無理だ、と判断した。
あんなとてつもない存在から逃れられるとは思えない。アレなら魔王ザンデを数十倍して二乗したほうがマシだ。
ここで戦わなければ死ぬのだろう、それだけだ。
(俺はこんなところで死ぬ訳には…いかないんだ)

ギルダーは目を閉じて、かつての旅の途中出会った少々お転婆なお姫様の姿を思い浮かべる。
…それは、約束だった。
彼女は自分の目を見て…少し寂しそうに、言ったのだ。『必ず、帰ってきて下さいね』 と。
その言葉に、自分ははっきりとこう答えた。『…ええ、必ず』
「必ず…帰るから、サラ」
自分は何があろうとも、帰らなくてはならないのだ。サラの元に。サラを悲しませてはならない。
(生き残るのは、俺だ)
自分の為に、自分の帰りを待つ大切な人の為に、生き残る。そのためには殺すしかないのだ。
例え相手が同じ光の戦士であったとしても、それは変わることはない。

【ジオ(FF1スーパーモンク):生存確認 現在位置:アリアハン北の橋より東の森の出口付近 所持品:不明
 第一行動方針:アリアハン方面に逃げる 第二行動方針:白魔道士を探し、守る】

【ギルダー(FF3赤魔道士):生存確認 現在位置:アリアハン北の橋より東の森の中 所持品:ライトブリンガー・雷の指輪・手榴弾×4
 第一行動方針:獲物を探す 最終行動方針:生き残る】

181:天然僧侶と凶悪僧侶1/2
04/11/03 17:28:14 zGX9veYg
ナジミの塔の最上階にて、一人だけ空気の違う人物がいた。
「どこに飛ばされるかと思ったら…なんだ懐かしいアリアハンじゃないですか」
そう、何の緊迫感も無い声でおっとりの述べていく。
かつて、勇者と共に冒険したとは思えないほどの緊迫感の無さである。
しかし彼女こそが、正真正銘、あの勇者と冒険した僧侶フルートなのだ
「えっと、何をするんでしたっけ。……そうでした、武器を確かめるんでした。」
そういって、彼女は袋の中から武器を取り出した、中から出てきたのは、剣とマフラーの二つだった。
「綺麗な剣ですね…軽いし、やっぱりこの剣は扱いやすいですね
 そしてこのマフラー、とっても暖かいです、少し寒かったから丁度良いですねぇ」
相変わらずおっとりとした口調で喋っている
剣の方は、不思議な妖力を持つ草薙の剣だった、彼女も一度手にしている。
マフラーのほうはとても暖かく、体に丁度良かった。
しかし彼女にとっては、只の防寒具としか思っていないこのマフラーが、伝説の防具をも上回る防御力を誇ることを、彼女は知らない。

「さて、元通りのアリアハンですし、ご飯でも食べますか。」
と、ザックの中からいそいそと食事を取り始めた。
塔の地面に綺麗に並べられたパン、フルートはそれを黙々と食べていた。
パンを綺麗に食べ終るその少し前、背後から迫る剣があった。
「あのときの恨み!おぅりゃあ!」
その威勢の良い声と共に現れたのは、盗賊カンダタ。
一度フルート達勇者に、懲らしめられている。
そして、改心したはずだが今になって復讐心が湧いてきたのだろう。
しかし、フルートは以前食事を続けている、何の警戒も無い…かに見えた。

182:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 17:31:24 S9//jxls
>>173修正

二段二行目
誤 それを見てみると、あの三人の他におっさん、ビビ、フライヤ、ベアトリクス、あと…クジャ。
正 それを見てみると、あの三人の他にビビ、フライヤ、ベアトリクス、あと…クジャ。


人数8人にするのにジタン含めるの忘れてました。スタイナーはいないって確認したのになあ。推敲したんだが…。
ほんとに申し訳ない。指摘してくれた人ありがとう。

183:天然僧侶と凶悪僧侶2/2
04/11/03 17:33:43 zGX9veYg
剣は刺さった、だが深くない、そして…フルートのほうを見ると…?
「…てめェ……人が気持ち良く飯を食ってるときに邪魔すんじゃねぇよ!オラァ!」
と、いきなり強烈な罵声がカンダタを襲った。そう、フルートは強烈な二重人格なのである。
普段は天然とも言えるボケキャラだが一度キレると取り返しがつかなくなる、かつて勇者も手を焼いていた。
「う、うぉぉぉぉっ?!」
易々と剣を跳ね返されるカンダタ、そのまま反撃へ映ろうとするが…。
フルートは早かった、何せ元武闘家、素早さはかなりある。
そしてカンダタの腹に草薙の剣が斬りかかる、とんでもない速さで何回も斬り付けている
傍から見れば、これは完全に楽しんでいる、虐殺だ。
しかし、フルートの表情は怒り一色だった、理由は簡単。「食事の邪魔をされたから」
カンダタは、その猛攻を受けひとたまりも無く後ろによろめき頭から落ちていった。
頭から着地したカンダタは、砕けた頭から血を流しながら、薄れ行く意識の中で、彼はこう、呟いた。
「やっぱりやめときゃよかった」と。

戦闘の後、彼女は元の人格に戻った。
「あら?私は一体…ひゃあ、剣に血がついてるじゃないですか!」
それを自分がやったとも知らず、フルートは慌てふためいている。
しかし、一定時間の後、落ち着きを取り戻し、パンの最後のひとかけらを食べた。
その後、塔から真下を見下ろしてみた。
「おや?あそこに人が…会って見ますか」
そうしてフルートは、塔から飛び降りた。

【フルート(DQ3僧侶、元武闘家) 生存確認 所持品:草薙の剣 スノーマフラー
現在位置:ナジミの塔最上階西側
行動方針:塔の下の人と会ってみる】

【カンダタ 死亡】
カンダタの剣がナジミの塔天井に放置されています
また、カンダタ死亡地点(ナジミの塔付近の東)にカンダタのアイテムが1~2個放置されています。

#修正#リルムたちの現在位置、ナジミの塔付近西側
方角を書いてませんでした、申し訳ないです。

184:182
04/11/03 17:35:00 S9//jxls
作品わってしまった…リロードしてなかったよ…

重ね重ね申し訳無い…orz >>181
回線きって首吊りってお詫びを…(鬱氏


185:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 17:38:11 zGX9veYg
>>184
いえいえ、こんな作品割り込んだぐらいで回線切らんでください。
全然気にしてません。

186:修正
04/11/03 17:41:20 zGX9veYg
自分が首を吊らねば。_no
×そうしてフルートは、塔から飛び降りた。
○そしてフルートは、塔から走って降りていった。
です、重ね重ね申し訳ないです。

187:賢者と…
04/11/03 20:56:52 x+14jlpy
「殺し合い……殺し合いって…ねぇ?」

レーベの村の真ん中で、誰にいうとも無く呟いていた青年がいた。
彼の名はセージ。皮肉にも殺し合いの場として選ばれたこの地で「賢者」と呼ばれている青年だ。
蒼く、そして女性のように伸びた髪が風で揺らぐ。

彼は眼を閉じて静かに考えていた。
悟りを開いて時が過ぎ、闇から世界を救って時が過ぎ……そしてこのような殺し合い。
また自分は人を殺して時が過ぎていくのを感じるのだろうか。

それは嫌だった。
世界を救った人間としてのプライドが許さなかった。

「さぁて、行こうか」
目を開けてそう言うと、彼は歩き出した。
街の外へと向かうつもりである。歩きなれた道は彼の足を進ませる。

だが出口に近づいたその時、草叢から金色の何かが見えているのに気付いた。

188:賢者と…
04/11/03 21:11:01 x+14jlpy
「金色の何か」、それは髪だった。
後ろの髪を短く切りそろえている子どものようだ。

「頭隠して尻隠さず…いや、逆か」
そう言って苦笑すると、草叢へと近づいてこう言った。
「出てきなよ。取って喰ったりしないよ?僕はグルメだからね」
言ったが、隠れている子どもは出てこようとしなかった。
それを確認すると、更に言葉を続ける事にした。
「そりゃあまぁ…警戒するよねぇ。でもなんか僕だけ警戒を解くってのもフェアじゃないなぁ」
そして最後に一言。
「出てきなよ、ね?」

最後の言葉から、ほんの数秒。
草叢の中から金髪の少女が出てきた。
隠れていた場所が場所だっただけに、服や顔が少し汚れている。

そして、泣いていた。
声を押し殺しているのか、静かに震えている。

「………」
その姿を静かにセージは見つめる。
そして目線を合わせるように腰を下ろした。

189:賢者と…
04/11/03 21:53:15 x+14jlpy
すると少女は泣くのを…少しずつだが止めていった。
それをじっと何も言わずに待つセージの前で、震えながらこう言った。
「あなたも…ひっく…あんなに人を……ぅっ、殺すの?」

少女が見た光景。
大人たちに埋もれて何も見えなかった少女が、苦労してやっと見た光景はあの惨劇だった。
爆発音、飛んでいく首。小さな少女にはそれが大きな苦しみになった。
"殺されたくも殺したくもない"という強い願いが、少女をあの行動に駆り立てたのだった。

「大丈夫」
セージは静かに微笑んで、そう言った。
「大丈夫。君にもそんなことはさせないし、僕もそんな事しない。
 ……もし信用してくれるなら、一緒にいかない?」

そう言うと、少女はこちらに駆けてきた。
そして顔をセージの胸に埋めて、泣き始めた。

旗から見るとアンバランスな、2人の静かな戦いが始まろうとしていた。



190:賢者と…
04/11/03 22:08:00 x+14jlpy
「そうか、お兄ちゃんとはぐれちゃったのか」
「うん…あたしはずっとお兄ちゃんも一緒にいようと思ってたのに…」
話をしながら二人はレーベから少し離れた街道を歩いていた。

何気の無い話から、セージが判った事。
まず少女の名前。「タバサ」と言うらしい。
そしてタバサが「レックス」という双子の兄とはぐれたという事。
名簿上で名前が遠く離れていたのが仇となったらしい。
更にこの少女が非常に強い魔力を宿していることと、強い意志を持ち合わせている事。
この2つは…特に魔力は、一般の魔道師よりも強大だろうという事だった。

それらを知った上で、彼はこれからの道を決めた。
まずはレックスを探す。そしてかつての仲間と対面したなら、行動を共にするよう説得する。
以上の2点を、自分達の行動方針にした。

「とりあえず、僕の知っている限りの場所を探してみようか。森や砂漠以外の場所でね」
「わかった。セージお兄さんと一緒なら、きっと見つけられるよね?」
「"きっと"?違う違う」
「ぇ?」
「"絶対"だよ」

【セージ(DQ3賢者、元不明) 生存確認 所持品:不明
現在位置:レーベの村東 行動方針:レックスを探す】

【タバサ(DQ5王女) 生存確認 所持品:不明
現在位置:レーベの村東 行動方針:セージに着いて行く】

191:1/2 ロマンティックな夢を求めて
04/11/03 22:41:21 JEZrVmtN
ロマンティックじゃねえな、とサイファーは思った。
このゲーム、この状況、不満に思うのは当たり前だが
サイファーの抱えている不満は、普通の人が思うそれと少々ベクトルが違う。
殺しあうことに抵抗感があるわけではない。
敵の命を奪えないようではSeedはおろか、ガーデンにすらいられない。
問題は、自分が百人の中の一人に過ぎないということだ。
これがもし、「千人と戦って勝ち抜け」という内容だったら喜んで従っていただろう。
自分一人だけが受け立つ者だからだ。
千人の挑戦者を切り捨ててなお、会場に立ちつづけるチャンピオン。そこには英雄のロマンがある。
だが、今はどうだ。
チャンピオンでもない、魔女の騎士でもない。司令官でもない。
特別でもなんでもない、百個以上ある駒の中の一つ。
それが今の自分だ。まったくもって夢のない話じゃないか。

サイファーはふてくされたように、ごろりと地面に寝転ぶ。
「魔女の騎士、ロマンティックな夢……憧れてたんだがな」
現実は優しくない。まったくもって優しくない。
こう言ったのは誰だったか。別にどうでもいいことだが。
彼は半ば投げやりな気分で、重なり合う木の葉の間から空を見上げた。
本ですら知らない異郷の地でも、空の色だけはバラムと変わらない。
それがサイファーにわずかな安らぎを与える。
だが次の瞬間、そんな気分は呆気なく打ち砕かれた。
「きゃああーーーっ!」
絹を裂くような悲鳴が、森中にこだましたからだ。

192:2/2 ロマンティックな夢を求めて
04/11/03 22:44:17 JEZrVmtN
反射的に身を起こしたサイファーの前に、一人の少女が飛び出した。
美しい少女だった。天使のような顔立ち、汚れを知らぬ瞳、エルフを思わせる尖った耳…まるで物語から飛び出したような。
「待て! 逃がすか!」
そして彼女のすぐ後ろから、一人の男が姿を見せた。
少女はこの男に襲われて、必死で逃げてきたのだろう。
手足は擦り傷だらけで、息は上がり、髪もドレスも乱れている。
「あ、あ……」
少女は、前に立つサイファーと背後の男を交互に見つめ、身を硬くした。
おそらく死を覚悟したことだろう。ここは殺し合いの会場なのだから。
だが、サイファーにはなぜか少女を殺めようという気にはならなかった。
「追われてるのか?」
サイファーの問いに、少女も男も呆然としていた。質問の意味がわからなかったのかもしれない。
「おい、こいつに追われてるのか?」
もう一度聞いた。少女はようやく正気づいて、かすかにうなずく。
サイファーは小さく笑って、少女を庇うように踊り出た。
突っ立っていた男が怒号を発する。「貴様、邪魔をする気か!?」
今だ震えの止まらぬ少女がか細い声を出す。「なぜ…?」
その答えは、正直なところサイファー自身にもわかっていない。だが、あえていうならば―
「若き騎士が悪党に追われる少女を助ける、ロ~~~マンティックな話じゃねえか」

【サイファー 現在位置:アリアハン南の森 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:少女(ロザリー)を助ける 第二行動方針:不明】
【ロザリー 現在位置:アリアハン南の森 所持品:不明
 第一行動方針:ピサロに会う 第二行動方針:とにかく逃げる】
【リヴァイアサンに(略) 現在位置:アリアハン南の森 所持品:アイスブランド、不明
 第一行動方針:ゲームに乗る】

193:すぐそこにある狂気
04/11/03 23:45:58 GUvVMhgc
降り立ったのはレーべの村の民家の中。
窓から外を見ると、辺りには人の気配が無かった。猫の子一匹居ない。今のところは。
ティファはぞっとした。
本当に、もう逃げられないのだ。これは現実なのだ。
クラウドたちはどうしたのだろうか。その姿は見当たらない。
おそらくは別々に違う場所に飛ばされたのだろう。探せばどこかにいるはず。
それでもティファは複雑な気分にならずにはいられなかった。
やっぱり、みんなで殺し合うのか、もう逃げられないのか。と。
いや。ともかく、しばらくは様子を見よう。
そこから糸口が掴めるかも知れない。
腹を決めてベットの上に座り込むと、ティファは支給された袋の中を探ってみた。
入っていたのは先の説明でティアマトの言っていた物が一通り。
それから、袋の底のほうからから一枚の紙と共に重い鉄の塊が出てきた。
一瞬それが何なのかティファは理解する事にに躊躇した。
それは、どこをどう見ても、拳銃だったのだ。
一緒になっている紙は説明書のようだったが、専門用語だらけの為わけが解らない。
理解できたのは、COLT GOVERNMENT M1911A1、
というのがこの銃の名前らしいという事ぐらいか。
それから、いかにも殺傷力がありそうな一振りのナイフも一緒に付属していた。
いずれにせよ、冗談じゃない。
ティファは銃とナイフを袋の底に押し込んだ。

…狂ってる。何なのよ、これ。

殺し合いですって?冗談じゃないわ。仲間同士とも殺し合うなんて!
…いや、落ち着け…落ち着け。今はクラウドと合流することが一番だ。出来ればバレットたちとも。
ティファはしばらく考え込んでいたが、覚悟を決めるとゆっくりとドアを開け、
警戒しながら民家の外へと足を踏み出した。


【ティファ 現在位置:レーベの村の民家 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×5)、エアナイフ
行動方針:クラウド、バレット達との合流】

194:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 23:46:35 kj7ykIuh
木の葉の浮いた水たまりが風に煽られて揺れた。
遠くから、森の住人である動物の鳴き声が響いてきて、ピサロの耳を打った。
それに混じって、何者かの足音が近づいてくる。
非常に発達した聴覚で、遠く離れた場所にいる獣の声と参加者であろう者の忍び寄る音を聞き分けていた。

彼は重傷を負い、大木に寄りそって息をひそめていた。
彼らしくもない、大して警戒もせずうかつに開いたザックの中で爆弾が破裂したのだ。
全身が傷つき血にまみれ、美しいはずの銀髪も醜く焼け焦げていた。
魔族の貴公子たる己がそのような様になりはてて良いはずがなく、誰も見ていないこの森のなかで
懸命に平常であることを装っていた。
時おり苦痛の表情をうかべて、悲しい呻き声をあげながら。
自分の振る舞いに痛々しさを感じながら。
ピサロはうつむいたまま足を伸ばし、その先にある水面を蹴った。


立ち止まる足音。
―人だ
ビビはたった今ここに来て、それを見た。
しゃがんで動かなくなった人が木にもたれかかっているところだ。
「生きてるの……?」
うなだれてまったく動かない人の体を見るのは、辛いものだった。
もし、死んでしまっているのなら、弔ってあげないといけない。
ジタンやフライヤたちに、そう教わったのだ。
勇気をもって歩み寄る、そう決めた。


ビビはその焼け焦げてもまだ美しさの損なわれていない不思議な男に近づいた。
近づくにつれて妙な気分にとらわれるようになった。
力にひきつけられるような、呼ばれているような、そんな感覚。
いったいどんな人なんだろう。ビビはもうどうしても知りたくなっていた。

195:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 23:48:05 kj7ykIuh
そして、足をとめ、顔を覗きこもうとした、
そのとき、
「わっ」
突然男の手がのびて、ビビの顔を両手ではさんだ。
ぐっと引き寄せられて、顔と顔がぶつかりそうになるくらい接近した。
「は、はなして」
きっと、この人はゲームにのっているんだ、このままだと殺されちゃう。
ビビは手をふりほどこうと、両足をじたばたさせて暴れた。
手や足が男の体にばしばしぶつかるが、まるでびくともしない。ぐいぐい両手で押さえつけられ、
顔がつぶれてしまいそうだ。力じゃ勝てそうにない。
もうこうなったら魔法だ。
ビビはがむしゃらになって炎の魔法の名を呼ぼうとした。
「ファイッ……」
すると、ビビの顔を掴んでいる手から力がぬけた。

「……」
ビビが飛び退き二人は向かいあった。両者とも動かない。
ピサロは、星のようなビビの瞳を何度もまばたきしながらのぞきこんだ。
ビビは、両手を前にだし、荒い息をつきながらピサロの目を見据えている。
ちょっとでも動いたら、魔法を使うよ、と。
両者の間に緊張が走る。ゆっくりと時間が流れる。
ビビが口を開く。
「ボクは戦いたくないよ。なのに、なんでこんなことしなくちゃいけないんだろう……」
悲しいビビの告白だ。

しばらく時間が過ぎた。
木漏れ日がさしこんで、二人の場を照らす。
思い出したかのようにピサロが言葉を口にする。
「人間ではないのか……」
その言葉には自嘲気味の笑いが含まれていた。

196:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/03 23:50:48 kj7ykIuh
「えっ」
「人間ならば迷いもせず殺していたものを……」
ピサロは血を吐いてうなだれた。草の上に赤い粘液がぼたぼたとこぼれ落ちた。

辺りは小さなざわめきやささやきに包まれていた。小鳥のさえずりが聞こえて、森の清らかな空気がながれ
喉かといっていいほどだった。
それと逆にビビはピサロの様子に心を乱され、激しい鼓動が体じゅうを駆け巡っていた。
―たすけてあげなきゃいけないんじゃ
ピサロはビビの心を読みとったかのように呟く。
「くく……、幼子に身を案じられる……。これでも魔王か……」
ビビはもう何も考えずに駆け寄っていた。ピサロの手をとり声をかける。
「だ、だいじょうぶ?」
ピサロはうつむいたままだ。
「ごめん、ボク回復魔法がつかえないんだ……。ダガーかエーコがいればよかったんだけど。
 ……でも、なんとかしなくちゃね。ポーションさがしてくるよ!」
「いや、必要ない……」
ピサロはわずかに首をふった
「でもこんなひどいケガじゃ」
「回復魔法は使える」
「えっ」
ビビはきょとんとしてピサロを見つめた。
「ただ、先程から魔力を高めているんだが、どうも上手くいかん。この大陸で魔力の行使を妨害する動きが
 あるようだ…」
ビビは話をじっと聞いていた。
「魔法がつかいにくい場所ってこと?」
ピサロはうなずいた。
「ああ、回復するまで時間がかかりそうだ……お前は、一緒に行きたければ、ここでしばらく待っていろ」

【ピサロ 現在位置:レーベ東の森中央付近 支給品:スプラッシャー、魔石バハムート(召喚可)
 爆弾(爆発後消滅)
 行動方針:ある程度回復するまで待機
 ビビ   支給品:?  行動方針:ピサロと共にいる

197:出会い系1/2
04/11/04 01:04:25 m5H7AQ5U
「誰か聞こえる!?聞こえるのなら返事をして!」
…返事はまだ来ない。


―数分前―
湖に映る自分の姿を見て、ため息をつくバーバラ。
ここは夢の世界なのか、現実の世界なのか、それとも全く別の世界なのか?
気が付いたら薄暗い大広間にいて、危険なゲームの選手となっている自分。
判っているのはこの悪夢から抜け出せない事だけである。

「どうしよう…、殺し合いだなんて…」
もちろん殺す気もなければ殺される気もない。
自分が現実で一度死んだ身だとしても、殺されるのなんて御免。
「みんなどうしてるのかな…。こんなところで再会するかもしれないなんて。」
イザやハッサンらの仲間達や知人も何人かもこの場にいる。
彼らに会えれば心強いし、すぐに探しに行きたい所だが、下手に動けば何者かに狙われる可能性も高い。

とりあえず状況把握の為に袋の中身を確認しようと、中を覗き込んでみるが
「うわぁ、何これ?」
袋を覗くと数種類の草がぎっしりと詰まっていて、ちょっと臭う。
薬草や毒消し草のように知ってるものもあれば、見た事がないのも沢山と。

198:出会い系2/2
04/11/04 01:07:58 m5H7AQ5U
袋の中には各草の写真と効果の記述されている説明書も入っていた。
「なにか役に立ちそうなのはないかしら…」
一通り目を通すと、アホみたいな名前の草が1つあった。
"ひそひ草"
その名前を見た瞬間妙な脱力感に襲われるが、説明文を読むと驚きに目を見開いた。

「つがいのひそひ草を持つ人と会話が出来る。って、嘘!?」
もし本当なら、この草を持っている人がいて、話が出来るかもしれない。
相手が殺人に乗った者や危険人物である可能性もある。
誰も呼びかけに応じる者がいないかもしれない。
「でも、他に出来る事も少ないし、試してみる価値はあるよね。」

「おーい、誰か聞こえる!?聞こえるのなら返事をして!」
ひそひ草に向かって語り続け、返事を待つ…。

【バーバラ 現在位置:いざないの洞窟入口の湖近く
 所持品:ひそひ草、その他様々な種類の草がたくさん入っている(説明書あり)
 第一行動方針:ひそひ草の返答を待つ】

199:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/04 01:12:25 dl/lS1AW
「どーせならもうちょっと気分のいいところからスタートしたかったよね」
ぶすっとした顔で独り言を言うリュック。
薄暗い洞窟の壁によりかかり、彼女はこれからのことを考えていた。

殺し合いをするべく集められたメンバー―あの部屋の中には彼女の見知った顔もあった。
ユウナん、パイン、そして
「ティーダにアーロン……か」
再会することは恐らくないと思っていたが、こんな形で再会できても嬉しくない。
もっとも、彼らのことだから、よっぽどのことでもない限りこんなふざけたゲームには
乗らないだろう。それが唯一の救い。

「うっし、とにかく皆と合流しなきゃ!」
両頬をパン!と叩いて気合いを入れると、ふと思い出したように彼女は袋の中身を覗き込む。
ナイフ、スカート、それから―何これ?傘?
とにかく、ナイフがあるのはありがたい。リュックはひとまずナイフを取り出すと
適当に見当をつけた方向へと歩き出した。
「アタシは伝説のガードなんだから、こんなゲームもチョチョイってやって
 どーにかしてやるんだから!」
あんなむっかつくオバハンの思い通りになんか、なってやらないからねーだ!

【リュック 現在位置:いざないの洞窟B1F 
 所持品:バリアントナイフ、マジカルスカート、アンブレラ
 第一行動方針:仲間達との合流(仲間の中でもユウナを最優先して探します)】

200:199
04/11/04 01:17:22 dl/lS1AW
補足です。

【リュック(ドレス:シーフ) 現在位置:いざないの洞窟B1F 
 所持品:バリアントナイフ、マジカルスカート、アンブレラ
 第一行動方針:仲間達との合流(仲間の中でもユウナを最優先して探します)】

201:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/04 11:04:27 OSKjlniJ
ルイーダの酒場のカウンターで、ローグは悩みつづけていた。
元の世界での仲間と合流するべきか、多少危険でも一人で行動するべきか。
支給品がどう見てもハズレ―妙なフォーク一個だということを入れなくても、仲間は多いほうがいい。
だが、問題は仲間たちの性格だった。
すごろく場はまだしも、神竜相手に「エッチな本」まで要求した勇者。(まあ、本当によこす神竜も神竜だが)
二重人格で、どちらの性格でも手に余るフルート。
何考えているのかわからないがとにかく自信家で、正義感も強いがプライドも同じくらい高いセージ。
一番まともなのが、一番まともに見えない職業「盗賊」の自分なのだから笑うしかない。

「協力させても俺の足を引っ張る……だろうな、あいつらなら」
彼はゲームに乗るのではなく、それ以外の方法で終わらせる―つまり、首輪を外す方法を探すつもりだった。
しかし仲間たちの性格では、協力させたところでミスや事故を引き起こす可能性が高い。
呪文の使えないローグとしては、解呪・解錠系の呪文を心得ている協力者がほしいのだが……
問題は仲間たち以外に、平和主義者でそういった呪文に精通していて、かつしっかりした性格の人物がいるかどうかだ。
「最悪の場合、誰を頼るか……やっぱセージの野郎か?」
勇者は呪文を使えるが、さほど詳しいわけでもない。
フルートは論外だ。キレたら仲間でも殺される。
勇者の父親・オルテガを頼りにすることも考えたが、すぐに諦めた。
いくらなんでも面識が少なすぎる。
ゾーマの城と、神竜に三個目の願いを叶えてもらった後で勇者の家に泊まった時、
その二回だけしか顔を合わせていないし、ましてや直接話したことなど一度もないのだ。
それに呪文が使えることは知っているが、だからといって呪文の知識を持っているとは限らない。
となると、残るはセージだけだ。あまり気が進まないが。
「ちくしょう、一人ぐらい普通の性格で呪文に詳しくて頭が良くて腕が立つ心優しい人間はいねーのか!」
そんな完璧超人がそうそういるわけないと思いつつも、ローグは叫ばずにいられなかった

【ローグ(男盗賊) 現在地:ルイーダの酒場一階 所持品:銀のフォーク@FF9
 第一行動方針:協力者かセージを探す 第二行動方針:首輪を外す方法を探す】

202:精霊と勇者と
04/11/04 14:22:25 G/yBC3N4
ロトの勇者、アレフは洞窟の中、今正直に迷っていた。
なぜなら彼の目前に――
「お願い!力を貸してくれないかな??」
そう、もこもこした物体が自分に話し掛けてきたのだ。
可愛い外見で、とてもこのふざけたゲームに乗っているとは思えない。
しかし、人間ではない、もしかすると襲われるかもしれない。
そうやって、支給武器の小手を装備しながら、対峙していた。
素手という不利な条件の中彼は一時も物体から意識を離さなかった
「言え、用件を言え。」
と重く答える。
そして、その奇妙な物体は泣きそうなで答えた。
「テリーっていう、僕ぐらいの小さな青い帽子を被った子を探してるんだ、彼がいないと、タイジュは――」
突如、そこでその物体は言葉を切る。
そして、迷いを振り払うかのごとく首を横に振った。
「ううん、なんでもないよ。とにかく力を貸してほしいんだ!お願い!僕のこれならあげるから!」
と、その物体は頭を下げ始めた、ペコペコと。
それと同時に、アレフの目の前に剣と鎧が落ちてきた。
(敵意は無い、ならば――)
と彼は、腕をぶらりと下げ、警戒を解いた。
「事情はわかった、そのテリー君というのを探してあげよう、僕も探さなければならない人がいる…」
そう、彼もこのゲームに巻き込まれた、ある人物を探しているのだ。
それは、ラタドーム城の姫、ローラだった。
「この剣は使わせてもらうよ、でもこれはどうも僕の腕には填まらない、君が使うといいよ。」
と言って、一つの腕輪を投げ出した。
それを拾い、その物体は笑顔で答えた。
「ありがとう、アレフ!僕はわたぼう、よろしくね!」
そして、握手を交わしたのである。
アレフは知らなかった、このわたぼうと名乗るものがタイジュという国の精霊で、魔王を遥かに上回る力をもつことを。

【アレフ 生存確認 現在地:いざないの洞窟最深部 所持品:メタルキングの剣 刃の鎧 クリスタルの小手
 わたぼう 生存確認 現在地:同上 所持品:星降る腕輪
 第一行動方針:テリーとローラを探す】

203:喪失
04/11/04 20:11:45 EBKaqxrS
それは、はたから見れば正常な状態に見えただろうか。
あの惨劇を前に狂気に身を包む事も無く、涙を流す事も無く、それは確かにその個室にいた。

「…俺、は、…何、何で、こんな」
たどたどしく、無機質な声で言葉を繋げていく。彼は自分の状態を疑問に"思おうとした"。
(上手く、いかない…)
「駄目だ、こんな、…アルティミシア」
今度は、憎むべき相手の名前を声に出す。
そうすればきっと憎くてたまらなくなるだろうと考えての事であった。
でもそれも、(上手くいかない)
「――ッ…」
彼は自分の状態に、恐怖を感じ"ようとした"。唇を噛んで目を開き、息を飲んだ。
確かにほんの一瞬だけ、恐怖を感じた時の表情を形作ったが…
それはあくまでも『演技』の部類に入るようなもので、すぐにまたその顔から表情が抜け落ち無表情に戻る。
「………」
彼はしばらく、無表情のまま頭を抱えていた。
しかし数分後、ゆっくりと腰を上げ、ゆっくりとザックから支給品である大きな盾を取り出し手にした。
もう、先程までの行為は時間の無駄だったと思うことにした。いや、考える事にした。
そうでもしないと(自分が、消えて、しまいそうだ)
…ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。自分がこれからどうするべきか…わからない。

フリオニール。彼は首を失ったマリアを見たその瞬間から、感情の一切が麻痺し何も感じなくなってしまっていた。
空虚に満たされた心の奥底、その隅のほうに沈んだ理性では、泣きたい、叫びたい、狂いたいと確かに欲していた。
狂って殺人鬼と化してしまえれば。マリアの仇を取る事が出来れば。…どんなに楽だろうか?
しかしそれは、今の彼にはとても無理な事であった。

【フリオニール(感情喪失):生存確認 現在位置:レーベの村民家一階→レーベの村 所持品:天空の盾
 第一行動方針:ただ歩く】
※天空の盾は現在では、持ち主に近づくまでの間なら一応扱えます。

204:一緒 1/2
04/11/04 22:16:24 OSKjlniJ
「お茶、いれましょうか?」「ああ」
お城の中にあった台所。そこで私はお湯を沸かす。
彼―たった今出会ったばかりの旅の方は、大きなテーブルに突っ伏しながら、ぼんやりと窓の外を見ている。
疲れているのだろうか。それとも、こういうだらけたポーズが好きなのだろうか。
どちらの理由でも構わないけれど。

「……あーあ、あいつやハッサンやバーバラは大丈夫かな」
「お友達ですか?」
カップに注いだ紅茶を運びながら私は聞いた。
「友達というか、仲間だな」
「きっと優しい人たちなのでしょうね」
「ああ、機会があったら君にも紹介するよ」
「ありがとうございます」と微笑みながら、私は紅茶を差し出す。
「これでうまいケーキがあればいいんだけどな」
彼はそう言って、砂糖も入れずにそのままぐいっと飲み干した。
私はダメだ。ミルクを入れて冷まさないと飲めそうにない。

205:一緒 2/2
04/11/04 22:19:39 OSKjlniJ
ようやく飲める熱さになったようだ。私はゆっくりと、緋色の液体を口に運ぶ。。
「おいしいですね」
自分で入れた紅茶を自分で誉めたのはやはり変だったのだろうか。彼の返事は無い。
「ごめんなさい、付き合わせてしまって」
やっぱり返事は戻ってこない。仕方ないけれど。
「本当は一人でいくつもりでした。
 でも、怖かった。たまらなく怖くて決意がつかなかったとき、あなたが現れて」
どこから吹いた風なのか。彼の髪が静かに揺れた。
「嬉しかったです。私のことを気遣ってくれて。一緒に行こうと誘ってくれて。
 私、とても嬉しかったんです。だからこんなことをしてしまいました」
彼は答えない。答えられない。
「覚めない悪夢の世界にいるより、永遠の眠りにつきたかった。
 絶望の中誰かに殺されて死ぬぐらいなら、少しでも安らいだ気分の中で逝きたかった」
ただ、命の抜けた体だけが、椅子にもたれかかっている。
もうすぐ私も彼のようになるのだろう。
「ごめんなさい、旅の人。身勝手な願いに付き合わせてしまって。
 ごめんなさい、勇者様。あなたのことを置いて逝ってしまって」
やがて体が痺れ始め、視界が白く濁りだしてきた。
バランスを保っていられずに、懐に入れたままの小瓶を落として割ってしまう。
中身は無い。全部、二人分の紅茶に入れてしまった……
「―さようなら」
それが私の最期の言葉になった。

【アモス死亡】【ローラ死亡】
*ローラの支給品は毒薬で使用済み、アモスの支給品は不明。
*現在位置は【アリアハン城の台所】

206:レディには親切に 1/2
04/11/05 01:21:58 55BEymfp
教会の中央で血に塗れて事切れている老人を目にして、エドガーは思わず唇を噛み締めた。
「―何てことだ」
低くうめく。

誰かが、乗ったのだ。
悪夢のゲームに。殺戮という名の誘惑に。

一体誰が。
仲間達の誰かか、それとも見知らぬ誰かか。
もし自分がもう少し早くここに足を踏み入れていたら、冷たくなっていたのは
自分だったかも知れない。
心臓が絞め付けられるようなプレッシャーを感じて、エドガーは後ろ手でしっかりと
今入ってきたばかりの教会の扉を閉めた。

『……い……』

「うわっ!?」
聞こえてきたかすかな声に、エドガーは文字通り飛び上がった。
慌てて教会の中を見回すが、人影らしき物はない。
まさかと老人に駆け寄るが、その体はすでに温もりを失っている。
心霊現象―というところまで彼の考えが飛躍したところで

『……えてる?……』

再びかすかな―女の声。

207:レディには親切に 2/2
04/11/05 01:25:21 55BEymfp
エドガーはふと思いついて、老人の支給袋の中を探った。中から現れたのは―草。
『おーい』
そして、その草からははっきりと先ほどの女の声が聞こえてきた。
(これは……こんな草が通信装置の役割を果たすのか!?)
祖国の機械技師達が知ったら目が点になるに違いない、是非とも持って帰ろう、と固く
心に誓うエドガー。
持って帰ろう。
もし、帰れるならば。

「……もしもし、レディ?私の声が聞こえるなら、麗しき貴女のお名前を教えていただきたい」
対女性用のトーンで語りかけたエドガー。しばしの沈黙の後、彼の持つひそひ草から
僅かに戸惑った、だがはっきりとした「……バーバラよ」という返事があった。

【エドガー 現在位置:アリアハン教会  所持品:ひそひ草(ブライの支給品から取りました)
 (エドガー自身の支給品はまだ不明です) 行動方針:バーバラとのコンタクト?】


208:占いネコ 1/2
04/11/05 01:45:58 sOLK3WHX
暗くてジメジメした洞窟を、リュカは一人でサクサク進んでいた。
もちろん警戒は怠っていない。洞窟探索など慣れたものだ。
ただいつもと違うのは、命を預けられる仲間がいないことと、洞窟の陰に潜むのが魔物ではなく、
このゲームの参加者だ、ということぐらいだろうか。
(あっ、でも参加者に魔物もいた気がする・・・)
頭の隅でそんなことを考えながら、足は止めない。
動けばゲームに乗っている連中に見つかる危険もあるが、地理を把握しなければ逃げるときが困る。
それに、早く家族や仲間達、親友に再会したい気持ちが強かった。

角を曲がると、袋小路だった。
頭の中に描いた洞窟の略地図に×をつけ、そのままそこを去ろうと踵を返す。
と、その時、リュカはなんとも奇妙なものを見た気がして、もう一度振り返った。
震える王冠が浮かんでいる?
正確には、岩陰に隠れたのに、頭の上の王冠だけ隠し切れなかったというところか。
「あの、その王冠は脱いだほうがいいよ。光って目立つし」
とりあえずそう言ってみると、往還はビクッと揺れて、すごすごと岩陰の中に消えていった。
王冠さえなくなれば、そこに誰かがいるとはわからないのだが・・・。
「ねぇ、俺の他に、ここには誰か来なかったかい?」
とにかく、誰かいるなら聞いてみるべきだろう。
怯えて隠れているなら、ゲームに乗っている訳ではなさそうだし。
「あんさん人捜しか?こんなけったいなゲームの中で、なんでそんな危険冒す気になるん?」
「うん。まぁ、大切な人たちだからね」
「ボクはここに来てから、誰も会わんかったけど・・・ちょっと待ってぇな」
そういわれて少し待つと、何と岩陰から王冠をかぶったネコが出てきた。
「・・・君、魔物?」
「失礼やなー。ボクは占いマシーンのケット・シーや。
 兄さんいい人っぽいから占ってやろ思たんに、やめましょか?」
「あ、ゴメン。僕はリュカって言うんだ。捜しているのは家族とか仲間とか、親友なんだけど」
「ふうん、リュカさんか。ほな、占ってみましょか」

209:占いネコ 2/2
04/11/05 01:46:53 sOLK3WHX
ケット・シーがそういうと、今度は袋小路のずっと奥、最初ケット・シーが隠れていた岩より
ずっと大きい岩陰から、よくわからないピンクのデカブツが動き出した。
リュカにはこいつこそ魔物ではないかと思われたが、ケット・シーが素早くそいつの頭上に納まり、
次いでケット・シーがそいつの全身を揺り動かしだすと、攻撃するのもままならず、
ただじっと事態を静観するのに努めた。
「出ましたでーって、あっ、アカン。これ間違いや。前に使うた分残っとった」
「出たって、占い、なんて出たのさ?」
 ピンクの物体、デブモーグリ人形から出てきた紙を、リュカはケット・シーから掠め取る。

『求めれば必ず会えます。しかし、大切なものを失います』

紙にはそうとだけ、書かれていた。
「あー、ボクの占いって外れるんで有名やから、気にせんほうがいいですよ?」
ケット・シーの気休めを聞き流すリュカの手は、占いの結果を握りしめて震えていた。
「ありがとう。とりあえず急げってことだけはわかったよ」
 リュカにとって、最も大切なものとは家族だ。求めて、会えて、それで失っては元も子もない。
早く探し出して守らなければ・・・。
リュカはそのままそこを後にしようとする。それをケット・シーが遮った。
「ちょい待ちい。占い屋ケットシーとしてはこんな占い不本意なんです。
 きっちり見届けんと気持ちがおさまらん。一緒に連れてってもらいますよ」
リュカは立ち止まり、まくしたてるケット・シーをまじまじと見つめる。
ケット・シーはなんだか気恥ずかしくなった。
「本当は、一人でここに隠れとるんも怖いから、連れてってほしいだけです」
気恥ずかしさのあまり、思わず本音が出るほどだった。
リュカはにっこり笑い、それを肯定の返事に変えた。

【リュカ(DQ5主人公) 現在位置:岬の洞窟 所持品:不明
 第一行動方針:家族を探す 第二行動方針:仲間とヘンリーを捜す】
【ケット・シー 現在位置:岬の洞窟 所持品:不明
 第一行動方針:リュカに従う 第二行動方針:生き延びる方向で臨機応変】

210:独自の美の感覚1/3
04/11/05 04:45:33 VirIW4gc
アリアハン王城謁見の間。
鎖国しているとはいっても、自国民、他国民に威厳を見せつけるために様々な装飾品や絵画が飾られている。
窓から見える美しき町並みと広大な平野は、ここが殺し合いの舞台であると忘れさせてくれるくらいの、のびのびとした風景である。
そして、その向こうには、太陽の光を受けてきらきらと輝く湖、荘厳さを感じさせる古き塔。
さらに向こうに広がる、岬を覆い尽くす森林地帯の鮮やかな緑色との相乗効果もあいまって、絶妙な美しさを醸し出している。

そして、その風景を見ている者がいる。
その男は豪華なマントを身にまとい、頭には羽の付いた帽子をかぶり、右手の指には赤い石の付いた大きな指輪をはめている。
後ろにはレオタードを着た、緑色の髪をした女。旅の扉に飛び込んでこの世界に到達するやいなや、
このわけの分からない人物に出会い、対応に困っているらしい。
「素晴らしい… 邪悪な闇に包まれた景観もいいが、朝の光にやわらかくくるみ込まれた景観もよい。そうは思わぬか?」
男は女性に背を向けたまま、尋ねる。
女は、何も答えない。答えられない。何しろ、意味が分からないのだから。
男が豪華な鏡を取り出す。破壊の鏡。あまりにも映ったものの出来がいいため、
映し出された本物がこの世に存在できなくなると伝えられる、人魚族の秘宝である。
「美しき鏡に映るものは、やはり美しいものが相応しい。そうだろう?」
鏡の中に映し出された装飾品の数々。その合間に張られた蜘蛛の巣が、鏡の中で消える。そして、現実でも。
鏡は、謁見の間にあるものすべてを映した。玉座を映し、王家の紋章を映し、女を映し、そして男を映す。
鏡に映った男の顔は、人間のものではなかった。いや、厳密に言えば人間だが、生きている人間に
このような顔を持つ者はいない。鏡に映された男の顔は、骨となっていた。

211:独自の美の感覚2/3
04/11/05 04:48:43 VirIW4gc
「モンスター!」
女が驚いたように声をあげる。
それに構わず、男が今度は剣を取り出す。氷でできた、青き剣。
「どうだ、この青く、透き通った剣。まるで水晶のようだ…美しいだろう?」
男が振り向く。男の顔がみるみるうちに溶け、鏡に映っていたのと同じ、骸骨となる。
「だが、これだけではもの足りないな。このような剣とは、使われてこそ真の美しさを発揮するものなのだよ。
 透き通るような青には、真紅の色をした血がよく似合うと思わぬか。美しき乙女の血ならば、なおさらな…」
男…魔道師ハインがマントをひるがえし、剣…氷の刃を女…リディアに向ける。

リディアは逃げだそうと、階段へ通じる扉へ駆け出す。
「逃がしはしない…」
ハインはブリザラを唱え、扉を凍りつかせる。
「それとも」
ゾッとするような笑みを浮かべながら、ハインが近づいてくる。
「氷漬けの女神像として、この城の一部となるのを選ぶか?」

212:独自の美の感覚3/3
04/11/05 04:57:16 VirIW4gc
「冗談じゃないわ。こんなところで死にたくなんかない!」
相手はどう見てもアンデッド。アンデッドには炎が効果的。
「ファイラ!」
相手は完全に炎に包まれたかに見えた。しかし、何かに弾かれたかのように炎が四散する。
「余に魔法は通用しない。余には相手をいたぶるのを楽しむような趣味もない。
 おとなしくしていれば、すぐに終わる」
「ブリザラ!」
炎がダメなら氷で攻める。謁見の間の気温は下がり、ハインの周りは凍りつく。
しかしハインがマントを返すと、またも魔法は四散した。
「あきらめの悪い娘だ。美しいものではないな…おや?」
ハインの周り、特に足下が凍りついたことで、身動きが取りづらくなったらしい。
チャンス。リディアはファイアで扉の氷を溶かし、一目散に階下へ逃げた。
「ふん、逃がしたか。それにしても…」
またも悦に入るハイン。
「氷で覆われた部屋もよいものよな…」

【ハイン 現在位置:アリアハン王城謁見の間 所持品:破壊の鏡、氷の刃、ルビーの指輪
 次行動方針:氷の刃で人を殺す 現在、謁見の間で色々眺めています。】
【リディア 現在位置:アリアハン王城1F 所持品:? 第一行動方針:ハインから逃げる 第二行動方針:仲間を捜す】

213:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/05 08:09:24 vlTkKvXy
俺は……物真似師、物真似することで生きて来た。
前いた世界だってそうだ、俺は世界を守るという物真似をやってのけた。
俺の支給武器は、一振りのナイフと奇妙な靴。
靴のほうはとても不思議だ、何十にも魔法が掛けられたかのように力が湧いてくる。
「俺は物真似師ゴゴ、今までずっと物真似をして生きて来た。」
そう自分自身で呟いた。
その奇妙な服装の裏側に隠された表情を知るものはいないが。
(誰か来るまで待とう、そして、俺に会った奴の物真似をしよう。)
この選択が、吉と出るか凶と出るかは本人すら知らない。

【ゴゴ 現在位置:レーベ南西の山岳地帯 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
第一行動方針:誰か来たら、その人の物真似をする。】

214:ナイト危機一髪!
04/11/05 15:47:07 8GCHA8U/
「光の戦士の僕が殺し合いだって!?冗談じゃない!」
フルートが塔の上から確認した人影は、ぶつぶつ言いながら
ナジミの塔の入り口に立っていた。
自分はナイトだ。強きを挫き、弱きを助けるのが使命だ。その自分が
女性もいるこんなゲームに乗ることなんて出来ない。
「皆を探して、このゲームに乗らずに済む方法を考えなくちゃ」
手始めにギルダーかエリアでも探そうか。ややうつむき加減になおもぶつぶつ
言いながら歩いている彼の視界に、塔から駆け出てくるフルートの姿は
入っていなかった。



215:ナイト危機一髪!
04/11/05 15:57:19 8GCHA8U/
どしん!
「きゃっ!」
「わっ!」
二人はぶつかってものの見事にひっくり返った。
「ご…ごめんなさい~」
誰かに襲われたのかと一瞬焦りまくる彼の耳に、なんとものんびりした
声が聞こえてきた。
つられて彼も緊張感に欠ける返事を返す。
「いや…僕も不注意だったし」
見たところ、敵意などかけらもなさそうな女の子だ。
「君も…このゲームに乗ってるようには見えないね」
安心した彼の表情がふっと緩む。


216:ナイト危機一髪!3/4
04/11/05 16:11:16 8GCHA8U/
「良かったら、一緒に行かないか?ゲームを脱出する方法を考えようと
思うんだ」
彼はフルートに右手を差し出した。フルートがその手をとる。
「は~い。で、まず何をしましょう?」
あまりの緊迫感のなさに幾分彼はずっこけそうになったが、
「とりあえず、お互いの仲間を探さないか?協力できる奴が
多いに越したことはないし」
「そうですね~。まずはアリアハンの城下町にでも行きましょうか。私、
フルートです。よろしく」
「僕はサックス」
ぶつかった瞬間にフルートがキレなかったのを感謝すべきであること、
自分がとんでもない爆弾を抱え込んでしまったことを知る由も無い
サックスだった。



217:ナイト危機一髪!4/4
04/11/05 16:24:06 8GCHA8U/
【サックス(FF3ナイト) 生存確認 所持品:水鏡の盾 チョコボの怒り 
現在位置:ナジミの塔入口付近 第一行動方針:自分とフルートの仲間を探す
第二行動方針:ゲームを脱出する方法を考える】
【フルート: 所持品:草薙の剣 スノーマフラー 現在位置:ナジミの塔
入口付近 行動方針:サックスと共に行動する】
1と2に番号を振ってませんでした…スマソorz




218:エンジニアの集中力
04/11/05 17:55:45 jZrGtjym
デッシュは大陸に辿り着いてからずっと、その支給品に夢中になっていた。
自分の世界では見たことの無い形状の武器と、水晶のような玉。
見たことも聞いた事も無いそれの仕組みを完全に理解したいと思うのは、自分がエンジニアであるが故か。
既に最低限の使い方は付属の説明書でわかってはいるのだが…
ちなみに説明書の方は主催者のご丁寧な配慮か、上のほうに黒インクで"安易版"と書かれていたが…デッシュには余計なお世話であった。
武器のほうは拳銃、名前はウインチェスターという名の…いわゆる遠距離戦専用武器らしい。
水晶のような玉のほうはマテリアといい、凝縮した魔力を宿しているという。
そして、マテリアは専用の武器にはめないと扱うことが出来ない、と。
(といっても俺は元々、基礎魔法も使えないからなあ…術者に魔力が無くても使えるのか?)
(…こっちは、ここに…攻撃の元となる弾をセットしていくのか。それでこの引き金を引くとここのグリップが動いて…なるほど)
(何でマテリアは単独では扱えないんだ?媒体が必要ってことは武器を通じてしか魔力を通せないってことか…)

随分長い間それらとにらめっこをしていたデッシュだが、考えに一区切りがついたのか息をつき、顔を上げた。
それと同時、現実に引き戻される。…こんなことしてる場合じゃないって。
「やばいな…すごい無防備だ…はは」
空笑い。このゲーム、戦闘力の無い自分はいつ死んでもおかしくないってのに…何でこんなに落ち着いてるんだか。
「まあ、俺は俺なりのやり方で精一杯やってくってことで」
誰に言うでもなく呟き、参加者の証であるその首輪に触れてみる。金属の冷たさが指先に伝わってきた。
(首輪の仕組みにも個人的に興味があるしな。やってみる価値はあるだろ)

【デッシュ:生存確認 現在位置:アリアハン城下町、アルスの自宅二階西側の部屋
 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる)
 第一行動方針:首輪の研究を試みる】

219:修正
04/11/05 18:05:53 jZrGtjym
×現在位置:アリアハン城下町、アルスの自宅二階西側の部屋
○現在位置:アリアハン城下町、DQ3勇者の自宅二階西側の部屋

スイマセン、まだ名前決まってないんでしたね。

220:ガメゴン
04/11/05 18:19:44 IsHyvVyN
「ほらガメゴン、霜降り肉だぞ」
「……」
「ほら食べなって」
アリアハンに降り立ったルカはこれからのことを考えた。
自分はマスター、しかし手持ちのモンスターはいない。でも支給品に霜降り肉が入っていた。
ルカの出した答えは簡単だ。いないなら捕まえよう。
そして近くにいたガメゴンとおぼしき亀に肉を食べさせようとしているのだが
「いい加減にせんか!わしはガメゴンではない。賢者ギードじゃ!」
「そーかお前の名前はギードっていうのか。じゃあ行くぞ」
当然のごとく歩きだすルカをギードが呼び止める
「どこへ行く気なんじゃ?」
歩きだしたルカが振りかえって言う。そんなこともわからないのかと言った目をして
「決まっているだろ。イルを捜しに行くんだよ
 あと、マスターの言うことはちゃんと聞かないとダメじゃないかギード」
唖然としているギードをおいてどんどん歩いていくルカ。
軽くため息をついたあとにやれやれと言った様子で追い掛けていくギードだった
【ルカ:生存確認 所持品 霜降り肉 ほしふりのオーブ行動方針:イルを捜す】
【ギード:生存確認 所持品 ? 行動方針:ルカについていく】

221:ある忠臣の思考 1/2
04/11/05 18:37:35 sOLK3WHX
イルは逃げた。
訳もわからぬままこのゲームは始まり、とにかく兄を捜そうと決めた。
しかし「イル」と「ルカ」では、出発の時間に差が出る。
彼女が「兄を捜す」という行動方針を捨てなければならない事態は、
多分まだルカが出発する以前に起きてしまったのだった。

その時、全くの偶然に、イルは他の参加者がフィールドに降り立つ場面に出くわした。
そしてその参加者は魔物だった。
モンスターマスターとしての素質と経験を十分に持つイルは、相手が魔物だからといって怯みはしない。
むしろ全く知らない大人でなかった分安堵したくらいだ。
心を開けば魔物とも分かり合えるというのは、彼女にとってごく常識的なことである。
だがそれが、油断だった。
その魔物は、野生モンスターではないのだから。

イルの姿を認めるなり、ピエールは袋の中にある鋼鉄の剣を取り出し、それを振るった。
間一髪、イルはそれを避けたが、目の前で行われていることが信じられない。
彼女の中で、魔物は直接人間を襲うものではないのだ。
それでも、ピエールが第二撃の攻撃態勢に入ったことで、イルは理解することを放棄して、
とにかく生命維持を優先することを選んだ。
イルは逃げ出した。
逃げて、逃げて、体力のある限り駆ける。
しかし、スライムナイトは諦めることなくイルを追い続け、ついに回り込まれた。
「…お兄ちゃん…」
イルは兄を呼び、そしてそれが最後に口にした言葉となった。

222:ある忠臣の思考 2/2
04/11/05 18:39:35 sOLK3WHX
所持品の回収を終えた後、ピエールは己が仕留めた少女の死体を、物悲しげに見下ろした。
もしかしたら、彼の主君の最愛の娘の姿とダブらせていたのかもしれない。
しかし、ピエールは、そうせねばならなかったのだと自分を納得させる。
このゲームに勝ち残れるのは一人。
生き残るのは、リュカ様であってほしい。
その為には、リュカ様の敵になる可能性を持つものを、一人として生かしておく訳にはいかないのだ。
そこまで決意して、ピエールはこの世界に降り立った。
そしてすぐ目の前に少女がいた。自分はためらいなく彼女を葬った。その行為は間違っていない。
生き残るのは一人。
レックス様でもなく、タバサ様でもなく、ビアンカ様でもなく。リュカ様であってほしい。
もしタバサ様に会っても、私は彼女らを殺す。
もしタバサ様達とリュカ様だけが生き残った場合、リュカ様に己の家族を手にかけるようなことは
させたくない。
あの方はお優しいから。
だから私が全て殺し、そして最後に自害しよう。
そうすれば、リュカ様は生き残れるのだから…。

【ピエール 現在位置:レーベ南部の森
 所持品:鋼鉄の剣 ロングバレルR 青龍偃月刀 祝福の杖 いかずちの杖 魔封じの杖
 第一行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】

【イル 死亡】
※イルの所持品はピエールが全て所持。

223:”竜王”1/3
04/11/05 18:48:28 vlTkKvXy
(ちくしょう…何所まで追ってくる気だ…。)
金髪の鶏冠頭の青年、ゼルは洞窟を逃げていた。
(あんな強そう奴と戦ってられるかってんだ!)
なぜ追われているのか、それは数分前にさかのぼる。

「ぅー、痛ってぇなぁ…まだ頭がズキズキするぜ。」
と、ゼルは洞窟の近くに放り出されていた。
とはいい、出るタイミングが分からなかったので、派手に頭から突っ込んでしまった。
そして、彼は考え込んだ、このゲームの主催の魔女について。
(―俺らが倒したはずの次元の魔女がいる、そして俺たちに殺し合えと言っている。
 冗談じゃネェ!絶対に止めてやるぜ!)
と、彼は心の中で決めた、もう一度倒すと。
「さて…俺の支給品は…?おっ、いいじゃねぇか!」
そう彼の袋の中に入っていたのは、服と帽子だった。
素手で戦う彼にとっては、剣だとかそういう武器ではなかったのは助かった。
そして、彼は服と帽子を着た、その直後だった。
「げ、な、なんだよアレ……」
そう、彼の目の前には人のような、でも人ではないような者が経っていた。
そして、そのものはゼルのほうを向き。
「ほう…先ずは一人…私の為に、死んで頂こうか。」
そう、それは”竜王”と呼ばれる、ある世界の魔王だった。
ゼルは見た、その邪悪に満ちた顔を。
そして、彼の戦闘の経験と知識が彼にこう言った。”逃げろ”と。
ゼルは走った、後ろにあった洞窟へ、一目散へ。

224:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/05 18:50:04 vlTkKvXy
竜王は、以前ゼルを追ってきている、戦えば殺される、竜王の放つ気配が物語っていた。
そして、リュカ達のいる部屋を超速で素通りし、竜王もそれについていった。
「ん?今何か通ったかな?」
リュカは、ケット・シーに尋ねた。
本気になれば飛空挺をも上回る脚力を持つゼルを、見ることが出来ただけでもものすごい動体視力だ。
しかし、ケット・シーはこう返した。
「え?何かとおりました?ワイには見えんかったし、何も通ってまへんですよ。」
「そう、かなぁ?」
と、リュカは首をかしげていた。

(ちくしょう!あの階段を上るしかねぇ!)
ゼルは、追い詰められたと思った、出る先は、きっと孤島なのだろうと。
しかし、登らなくてもあの怪物と戦わなくてはならない、一人では確実に死んでしまうだろう。
そうやって、ほぼヤケになり階段を上った。
―見えたのは塔のような入り口と、二人の人だった。
人が見えたことを確認すると、ゼルはこう言った。
「おい!逃げろ!とんでもない奴が襲ってくるぞ!」
と、ゼルは、怒鳴り散らすような声で言った。
すると、入り口にいた戦士が一人言った。
「逃げろって、何があったん――」
戦士の言葉はそこで切られた、恐怖から来るものに切られた。
傍にいた僧侶も、畏怖の表情を浮かべ、小さく叫んだ。
ゼルも後ろを振り向いた、そして、恐怖の衝撃が彼を襲った。
しかし三人が立ちすくんでいる中、現れた青年と少女。
少女は僧侶と同じ畏怖の表情を浮かべていたが。
青年は………鋭い眼光で怪物を見ていた、そして呟いた。
「竜王…………」と。
しかし、彼らも怯えるばかりではない、目も前に立ちはだかる魔王を倒そうと決意し、戦う構えを取った。

「ほう、ロトの血脈を引く者もいるのか、ならば丁度いい、まとめて薙いでくれるわ!」
竜王のその声は塔と塔に繋がる洞窟に響いた。

225:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/05 18:50:57 vlTkKvXy
【サックス 所持品:水鏡の盾 チョコボの怒り
【フルート: 所持品:草薙の剣 スノーマフラー
【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート
【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト
現在位置:ナジミの塔入り口
行動方針:目の前に現れた竜王と戦う】

【竜王 所持品:不明
現在位置:ナジミの塔入り口
行動方針:目の前の人間を殺す】

226:交換交渉 1/4
04/11/05 21:16:20 ehssG7dw
様子を見ようと、そっと顔をのぞかせる。途端に、強烈な炎が木々を焦がしながら飛んでくる。
(冗談じゃない。こんなところで殺されてたまるものか)と、クルルは思った。
木立の影に身を潜め、必死で反撃の機会をうかがう。
その視線の彼方に立つのは一人の女だ。自分より少し年上の、緑髪を後ろで結んだ女性。
彼女の手には矢をつがえたボウガンが握られていた。
さきほどの炎魔法といい、ゲームに乗っている、という意思表示以外の何物でもない。
(どうする?)
―もしかしたら、先に仕掛ければ勝てるかもしれない。
狩人を極めた彼女にはわかるが、相手は弓に関しては間違いなくド素人だ。
構えはともかく、狙いのつけ方がなっちゃいない。
魔法は脅威だが、こちらにはミスリルの小手がある。ファイア程度なら、一度は耐えられるはずだ。
初撃をかわし、ニ撃目がくる前に間合いに入れれば勝てる。
けれどももし、相手が弓以外に武器を持っていたら。あるいはもっと強力な魔法を使ってきたら。
その可能性がクルルを躊躇させていた。
彼女だって命は惜しいし、バッツやレナやファリスにももう一度会いたい。
飛竜やモーグリ達、バル城の人々も、自分の帰りを待ちわびているはずだ。
彼らのことを思うと迂闊な行動は取れない。
だが、このままでは埒が明かないことも確かだ。
いちかばちかの可能性に賭けようと、彼女が木陰から一気に飛び出した時……

勝敗は、予想外の形で訪れた。
突然、木の枝が大きくしなり、茶色の影が飛び出したのだ。
真上から落ちた。走り出そうとした少女に重なるかのように。
思わず立ちすくんだ緑髪の女―ティナの耳に、肉が断ち切られ骨が砕ける鈍い音が響く。
「よっ、と」
影が立ち上がった。木の葉を片手で払い落としながら。
ついさっき見たばかりの顔だった。長いコートに奇妙な帽子を被った、茶色の髪の優男。
「あ、あなた…………」

227:交換交渉 2/4
04/11/05 21:19:24 ehssG7dw
アーヴァイン。
広間で一番最初に名を呼ばれた、あの青年が目の前に立っている。
その手には長大な剣が握られ、ブーツの下には刃を食い込ませた少女の死体が倒れている。
なぜ彼がここにいる? もしかして、最初からずっとタイミングを伺っていたのか?
気配すら感じさせずに、彼女を―あるいは、私を殺すために。
そんなティナの思考を余所に、アーヴァインは微笑みながら突き刺さったままの剣を抜いた。
「そんな怖い顔しないでよ~。別に、君を殺そうなんて思ってないからさ」
「……あなたは思ってなくても、私は思ってるわ」
あまりに説得力のないセリフに、ティナは迷わずボウガンを向ける。だが青年は涼しい顔で
「君、そういう武器扱い慣れてないでしょ。狙いが甘いよ」と答えた。
「僕なら、もっと上手く扱う自信があるよ。これでも一応スナイパーだからね」
「そう、それで? 私から武器を奪うの? その子だけじゃなくて、私も殺すつもり?」
警戒し続ける少女に、青年は肩をすくめて苦笑いした。
「やめてよ。僕、そこまで悪党じゃないってば。
 それに今のは不意打ちだから上手くいったんだ。
 スコールやサイファーじゃないし、剣を振り回すなんて性に合わない。
 それに木の上にいたのも身を隠して考え事してただけで、待ち伏せるつもりはなかった」
何を言いたいのか測りかねて、ティナは首を傾げる。アーヴァインはさらに言葉を続けた。
「僕ね、射撃なら自信有るんだよね~。こう、BANGBANGってさ。けど剣はあんまり扱いなれてない。
 一方、君はボウガンを持ってるけど射撃は苦手。
 でも戦いには慣れてるようだし、おそらく剣とか槍とか一般的な武器なら扱えるはずだ。違うかい?」
言い当てられて、思わずうなずいてしまうティナ。その後で、慌ててアーヴァインを見返す。
「つまり、武器を交換しろということなの? それとも仲間になれということ?」
「あー、仲間かあ。考えなかったけどそれもいいね。うん、その方が都合いいかな」
「お願いだから、回りくどい言い方をしないで。用件があるなら短く言って」
険しい目つきで睨みつけられ、アーヴァインは苦笑しながら言う。
「―実はね、殺す相手を交換してほしいんだよね」

228:交換交渉 3/4
04/11/05 21:25:51 ehssG7dw
ティナは自分の耳を疑った。殺す相手を交換してほしい? この青年はふざけているのか?
だが、アーヴァインは真剣な眼差しでティナを見つめている。
「僕の知り合いがね、何人かこのゲームに参加しているんだ。
 腕とか力とかそういうのを抜きにしても、僕には殺せない。これでも情ってものがある。
 幼なじみ三人にその恋人に、幼なじみの父親だ。止めを刺そうとしてもためらっちゃうよ。
 ―君にも、そんな奴が一人か二人ぐらいいるだろう?」
いる。確かにいる。
ロック、エドガー、マッシュ、シャドウ、セリス、リルム、ゴゴ……そして、レオ将軍。
ゲームに乗ることを決めた今でも、彼らと戦いたくないという気持ちが残っている。
「君にとって知り合いでも、僕に取っちゃ他人だ。逆もしかり。
 僕は君の殺しにくい人を殺す。君は僕が殺しにくい人を殺す。
 一人で全員殺すよりはよっぽど確実だし、多少は気も楽になるんじゃないかな」

なるほど、とティナは思った。この男に乗ってやってもいいかもしれない、と。
「わかったわ。……でも、一つだけ聞かせて。
 なんでそこまでするの? そうまでして生き残りたいの?」
「生き残りたいね。どんな手を使ってでも」
ティナの問いに、青年は即答した。
「僕は帰らないといけない。
 魔女が―アルティミシアが生きていたことを、ガーデンの仲間達に伝えないといけない……」
言いかけて、ふとアーヴァインの表情が自嘲に歪んだ。
「……なんて、言い訳だね。
 本当は、元の世界に会いたい人がいるんだ。ずっと好きだった女の子が。
 裏切り者とそしられても構わない。人殺しと蔑まれてもいい。
 ただ、彼女ともう一度、生きて会いたいんだ。それが一番の理由だよ」

229:交換交渉 4/4
04/11/05 21:32:34 ehssG7dw
「私も、会いたい人達がいる」
ティナはぽつりとつぶやいた。
「ようやく見つけた、愛する家族がいる。
 子供たちがモブリズで待っている」
あの日、再び剣を取った日に、交わした約束がある。
「だから私も死ぬわけにはいかない。必ず帰ると誓ったから」
ティナは真っ向からアーヴァインを見据え、ボウガンを向けたまま片手を差し出した。
「手を組んでもいいけど、邪魔になれば殺すわ。それでいい?」
「ああ、いいよ。僕もそういうつもりなんだしさ」
青年は血と土に汚れた手を拭いてから、少女の手を握り返した。

【アーヴァイン 所持品:キラーボウ 竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) エアナイフ(回収)
 現在位置:ほこら近くの山岳地帯
 行動方針:ゲームに乗る(ティナの仲間を殺す)】
【ティナ 所持品:グレートソード ちょこソナー&ちょこザイナ ミスリルの小手(回収)
 現在位置:ほこら近くの山岳地帯
 行動方針:ゲームに乗る(アーヴァインの仲間を殺す)】
【クルル 死亡】

230:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/05 22:27:14 Npc2AOmo

草原にたたずむ青い影。
足元には、もはや動かぬ男の姿。
放射状に広がる、あまりに鮮やかな血潮。
青年の握る血に濡れた剣から、紅い雫が零れ落ち、足元の男の顔を染め直す。

青いフードの中から覗く、狼のように鋭い眼光。
"真実の"物語を歩んでいたなら、やがては正義の剣士となり得た影が其処にあった。

彼はゆっくりと、記憶を思い返す。
姉を守れなかった自分を恨み、それ故に力を欲した。
力を手に入れるため、魔族とも手を組んだ。

…そして、それ以降の記憶は、彼には無い。

姉と再会し真の友を得るのは、彼にとって未来だったはずだ。
…だが、彼が正義となる未来は、あの邪悪なる魔女に名前を告げられた瞬間、途絶えた。
気づけばこの大地に立っている。
殺し合うことを命じられて。

デュランならこう言うだろう。
『躊躇う事は無い。このゲームこそ、力を試すに相応しい』
今の彼の心は、それと意見を異にする事は無かった。


【テリー(DQ6) 所持品:クリスタルソード イヤリング 鉄の杖(回収) ヘアバンド(回収)
現在位置:レーベ北の平原
行動方針:自らの力を試す=ゲームに勝利する】

【キノック老師 死亡】


231:220
04/11/05 22:33:41 IsHyvVyN
すっかり忘れていました。すみません
【ルカ ギード:いざないの洞窟前の泉】

232:背負うもの 1/5
04/11/05 22:53:51 AmP/6OSB
「見つけたぞ、ケフカ」

レーべからすぐ南にある森の一画で重々しいその声が響いた。
支給品の袋をあさっていたケフカは声がした方へゆっくりと振り返る。

「これはなつかしい、レオ将軍ですか。イヤなときにイヤな旧友と出会うものだな」
「お前が友であったことなど、かつて一度もない」

ケフカの言葉に対し、茂みの奥から堂々たる足取りであらわれたレオ・クリストフは断固として言った。
道化師を真似て見せているのか派手な化粧を施している顔で、レオを舐めるように見つめる。
その眼差しは、笑っているようにも、嘲っているようにも見えた。
レオは、喉の奥で低く獰猛に唸った。

「…ケフカ、お前はこのゲームに乗るつもりなのか?自分ひとりが生き残る気か?」

疑問というよりも確信に彩られたレオの質問にケフカは答えなかったが、
代わりにその顔に浮かべた狂気めいた満面の笑みの表情が質問の答えを雄弁に語っていた。

「君とは長い付き合いだ。ここはなにも言わず引いてくれれば、僕としては余計な手間が省けて嬉しいんだがね」
「私はこのふざけたゲームに乗るつもりはない。だが―」

レオは一度言葉を切り、支給品である吹雪の剣を鞘から引き抜くと、切っ先をケフカに向けた。

233:背負うもの 2/5
04/11/05 22:56:13 AmP/6OSB
「貴様のような不逞の輩、これまで野放しにしておいたのが我が愚策か。ここでその腐った息の根、止めてくれよう」
「―だから君は、この僕に殺されたんだよその生真面目な性格を利用されてね」

ケフカは懐から取り出した支給品と思しき物体を手で弄びながら、言葉をも弄ぶかのようだった。

「それとも、まだ怒っているのかな?僕のことを。武人というのは、随分と根に持つものなんだね」
「黙れ。なにひとつ真理を知らん、痴者が」

からかうようなケフカの態度を、レオは一喝する。
そして吹雪の剣を引っ提げ、ケフカにゆっくりと歩みよった。

「ゲームに乗るというのなら、貴様の相手はこの私がしてやろう。下らぬ魔術、思う存分に披露するがいい」
「どうやらもう一度この僕に殺されたいらしい。困ったものだ」

ケフカは人差し指で宙に弧を描いた。
その指先に巨大な火球が生み出される。―ファイガだ。
その腕を振り下ろすと、火球が弾丸もかくやと言わんばかりにとレオへと向かっていく。
常人には視認出来ないほどの速度で飛んできたそれを、レオは踊るようにしてかわす。
不安定な姿勢になったレオの耳にケフカの声が飛び込んだ。

234:背負うもの 3/5
04/11/05 22:57:34 AmP/6OSB
「これはどうかな?」

レオがケフカの姿をとらえた時にはすでにもう一つのファイガの火球が生み出されていた。
通常、これほどの短時間で連続して魔法を紡ぐことなどいかなる優れた魔道士でも不可能なのだが、
ケフカに支給されたアイテム…ソウルオブサマサがこれほどの魔法詠唱を可能にしている。
再度飛来してきた火球をかわす体勢にはレオははいっていない。このままでは直撃は必至だ。

「子供だましだな」

しかしレオは鼻で笑い、火球に向かって逆に一歩踏み込んで行った。
その勢いを利用し、横なぎの斬撃を火球に叩き込み、ファイガを一刀両断する。
ケフカは楽しげに甲高い声で笑った。

「魔法を剣で斬るなんてね。君のほうこそ相変わらず、身もフタもない男だね」
「下らん、と言ったはずだ」

そして三度目の魔法詠唱の時間を与えぬとばかりに、レオは地を蹴る。
振り上げた剣は、ケフカの血を吸うべく鈍く輝く。

「貴様が殺した罪無き人々の分の血、その身体から吐き出して逝け!」

235:背負うもの 4/5
04/11/05 22:58:52 AmP/6OSB
ケフカは一見無防備のごとく棒立ちだったが、懐から取り出したものをすでに目の前に迫ったレオに向けた。
刹那―
レオに向かって幾筋もの雷が発生する。レオは反射的に剣を持つ逆の手に装備した鉄の盾で防御するが
やはり防ぎきれず、電撃を受ける。
内部に蓄えた魔晄エネルギーを瞬時に擬似魔法へと変換する魔晄銃による攻撃だとレオは気づいただろうか。
大きく姿勢を崩すレオにケフカは勝利を確信し、笑みを浮かべる。
ケフカはレオに肉薄して今度は回避できぬよう至近距離で魔法を放つつもりだった。
しかしレオは今にも倒れそうな姿勢から、斬撃を繰り出した。
見事なバランス感覚は、不安定な姿勢から美しき弧を描き出す。その行き着く先は、ケフカの肩口だ。
血が飛沫き、今度は逆に後退するケフカにさらにもう一撃を加える。鼻頭から左頬にかけて一文字に裂ける。

「おのれ、―おのれレオ・クリストフ!」

切り裂かれた顔を抑えながら、ケフカは凄まじい怒号を上げる。
レオの方はようやく体勢を直し、すぐさま飛びかかれるように全身の筋肉を撓めた。

「覚えていろレオ将軍。この仕打ち、必ず後悔させてやろうぞ」

236:背負うもの 5/5
04/11/05 23:02:15 AmP/6OSB
憎々しげに呪詛の言葉を吐くケフカの姿が段々と見えなくなっていく。姿を消す魔法、バニシュ。
ケフカの姿が完全に見えなくなり、気配が消える。
しばらく周りを探っていたレオはケフカが自分から逃走したことに気づいた。

「…逃がしたか、おのれっ!」

レオは舌打ちをして、手にした剣も収めぬままケフカが逃げたと思われる方角へ駆け出す。
―奴だけは、この手で殺さねばならない。それがもう一度、生を受けた私のけじめだ!


【レオ 所持品:吹雪の剣 鉄の盾 神羅甲型防具改
 現在位置:レーべ南の森
 第一行動方針:ケフカを見つけ出し殺害 第二行動方針:ゲームに乗らない】
【ケフカ(負傷) 所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 ブリッツボール
 現在位置:レーべ南の森
 第一行動方針:レオから逃走 第二行動方針ゲームに乗る】

237:トンベリのにっき 1/2
04/11/05 23:14:08 ehssG7dw
こんにちは。トンベリです。
気が付いたら宝箱の外にいて、お友達二人がいなくなっていました。ちょっぴりさみしいです。
なにをすればいいのかわからないのでうろうろしていると、
はでなお姉さんに、大切なほうちょうとカンテラを壊されました。すごく悲しいです。
それから、お姉さんと『てあまと』さんにコロシアイなるものをしろと言われました。
コロシアイってなんでしょう。食べられるものですか? ステキなものですか?
わからないので質問しようとしたら、『てあまと』さんが睨んできました。
こわかったので、質問するのをやめました。
宝箱の外は冷たい人がいっぱいです。早く帰りたいです。

しばらくぼんやりしていると、名前を呼ばれたので、扉から外に出て旅のナントカに入りました。
旅のナントカは青い光があふれていました。
中に入ると、みにょーんとしてびみょーんとしてとるるるるーとして、
いつのまにかアリアハンとかいう世界についていました。
大きな橋と、大きな水溜りが見えます。
旅のナントカはすごいです。アリアハンは広いです。

238:トンベリのにっき 2/2
04/11/05 23:19:56 ehssG7dw
橋の方に行ってみると、人間の子供が二人いました。
片方は頭が金色で青いマントを着ています、片方は頭が銀色で、青い帽子をかぶっています。
でも顔は似ていません。どちらかというと、銀髪の方が性格が悪そうです。
「おい、お前。そこのお前、野良モンスターか?」
銀髪が言いました。ぼくはトンベリです。『のらもんすた』なんて名前じゃないです。
やっぱり、性格が悪いと思ったのは間違いではないようです。
「悪い魔物じゃないよね。大人しいし」
金髪が言いました。大人しいわけじゃないです。ほうちょうがないからどうにもできないです。
「なあ、マスターとかいないならさ、オレらと一緒にこないか?」
「一人でいると危ないよ。僕達と一緒にいようよ」
どうも、この子供たちは一緒に行く相手を探しているみたいです。
特に断る理由もないので、とりあえず了承しました。
「やったあ! これで君も友達だね。僕はレックス、よろしくね!」
「オレはテリーだ。よーく覚えてくれよ。マスターなんだからな」
金髪が『れくす』で、銀髪が『てり』というようです。
ともかく、友達が二人増えて、三人になりました。三人はさみしくないので嬉しいです。

【テリー(DQM) 所持品:不明 行動方針:わたぼうを探す】
【レックス 所持品:不明 行動方針:テリーについていきながら家族を探す】
【トンベリ 所持品:不明 行動方針:テリーとレックスについていく】
【現在位置:三人共通でアリアハン北の橋の上】

239:220
04/11/05 23:57:36 IsHyvVyN
なんか何度も間違ってばかりで申し訳ないです
【ルカ ギード:なじみの塔宿屋】

240:1/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:44:27 SdeZc2WM
アリアハンのある民家の中で、ぼさぼさ髪の青年が独り佇んでいた。
彼、バッツは浮かない顔で手に持った一本の短剣を見ている。
「やれやれ…」
ため息をついたけれど、それを気にかけてくれるものは誰もいない。
短剣の名はチキンナイフ。持ち主の臆病さに呼応して強くなるというなんともひねくれた武器である。
極度に臆病になればその強さは計り知れないものの、その威力に強気になれば弱くなる。
そのうえ普通に斬りつけようとすると体が反射的に逃げ出してしまうという、あらゆる意味で伝説の武器といえる。
また、もうひとつの支給品は妙なトリガーのついた剣だ。
説明書にはGun Bladeと書いてあり、どうも剣と銃のあわさったようなものらしいが、
試し切りをした感じでは使いこなすにはまだ修練が必要のようだった。
二つとも実戦で使うには頼りない。
バッツはナイトにジョブチェンジしながらも、アビリティとして黒魔法の他にかくとうをつけた。
これならば、最悪素手でもかなり戦えるという寸法だ。
回復に関しては先の道具屋らしき場所で、やくそうやどくけしそうを一通り手に入れた。
ひとまずは万全といったところか。
落ち着いたところで名簿を取り出す。もう何度も見た。
そこには馴染みのある名前がいくつか並んでいた。
「クルルとレナがいることは知ってたけどなあ」


241:2/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:45:29 SdeZc2WM
クルルはバッツよりもはやく呼ばれ、レナは偶然というのか、初めの場所ですぐ側にいた。
それが幸運なのか不運なのかはバッツにはわからなかったけれど、
あの場で気心知れたものと話せたのは少なくとも特異なことではあった。
まわりが張り詰めた空気の中黙っているのに対し、二人はある程度は心が和らいでいた。
二人はひとつ、約束をした。
「なにがあっても、生き残って、また会おう」
クルルの名前が呼ばれたときは、「クルルもいっしょに」と付け加えた。
あのとき、それだけ平静でいられた。
「そっか、ファリスもいるのか。みんな揃ったな…」
ファリスが呼ばれたときレナはどんな顔をしたのか、自分やクルルが呼ばれたとき、ファリスは何を思ったのか。

みんな今どこにいるのだろうかと思い窓の外を見ても、そこは相変わらず同じ景色があるばかりだ。
天上を見る。
自分の声を聞きながら、不思議に思った。
「独りって、こんな感じだったっけかな」
そう呟くと、バッツはそれきり口を開かなかった。


242:名前が無い@ただの名無しのようだ
04/11/06 00:47:31 SdeZc2WM
静寂が続いて暫く、バッツはある気配に気づいた。
明らかに違う空気が流れ込んできている…それは戦士の勘だ。
身構える。流れを感じる。今、上流に凄まじい空気の振動が起こる!
バッツは瞬間大きく飛び退き、もといた場所には轟音とともに煙幕とかけらがたちのぼっていた。
先までみていた天上からは青空が広がり、煙の中に人が見える。
「誰だ!?」
バッツは叫んだけれど、それには答えず凄まじいスピードで相手は迫ってくる。
何とか攻撃を受け流して態勢を整え、ガンブレード―ライオンハートを手に取ると、相手は空高くに浮かび上がった。
(…竜騎士だ!)
竜騎士についてもかなり練達しているバッツは、相手の動きをまさしく正真正銘のプロのものとわかった。
(まずいな、相手は本職の槍、こっちは不慣れな武器だけだ…このままじゃ分が悪い。
 でも、約束をしたんだ…レナたちに会うまで絶対に…死ぬわけにはいかない!)
バッツはライオンハートを構えなおし、相手のジャンプを間一髪で避けた。
風圧だけでも、それが非常に大きい破壊力を有していることがわかる。

(この相手に勝つには、不意だ…不意をつくしかない!)


243:4/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:49:22 SdeZc2WM
バッツとカインの激しい斬り合いの最中、アルスの家では―

なーんか、さっきからすごい爆音がするんだけど…。
ここでどんぱちはじめたやつがいるんじゃないだろうな…。外、見てみるか。
…はい、戦争中。
っておいおい!巻き込まれたらたまったもんじゃねえぞ。
でも首輪調べてるときにやらなくてよかったよ、
もしそのときなら集中力の凄い俺のことだからきっときづかな…ってこんなこと言ってる場合じゃないな。
荷物をまとめてさっさとずらかるとするか。
さよなら誰かの家、でもベッドの下にエロ本があったのはどうかと思うぜ―
さあて、見つからないように見つからないように…って、ん!?
前に誰か居るぞ!?誰だいったい…。
金髪で長身の男…今町からでようとしてるということは、このどんぱちに参加する気はないってことだよな。
ってことは、話したらもしかすると仲間になったりするかな。
俺弱いし、心の優しいつよーい味方がいてくれると助かるんだがなあ…
首輪の謎を解く自信だってあるしさ。
…しかし、どうも気のせいかもしれないが、あいつさっきから草に話しかけながら歩いてないか!?
もしかして危ないヤツだったりして…。話しかけない方がいいか…どうしよ…。


244:5/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:52:35 SdeZc2WM
デッシュとエドガーの他に、この戦いを見る男がもうひとりいた。
「チッ、人が平和主義者を捜してる手前からこれかよ…」
そうそうそんな人が見つかるはずもないのだが。
気配を殺して、ローグは二人の争いを見守る。
「どうやらあの茶色い髪のほうが不利みたいだな。最初のほうなんか動揺してたし、仕掛けたのはあの金髪か」
剣は槍の攻撃を捌くのに精一杯でいまいち反撃にでられず、見ている限りこのままではじき勝負がつく。
「助太刀にでるべきか、我関せずを保つべきか」

剣と槍の重なる音がする。
二人とも相当の熟練者だ。
もし使い慣れた剣を使えるのであれば、ほぼ互角の戦いとなったであろう。
だが、今はその状況ではない。

キン、キン、キン―キィン!!

ついに剣が空を舞った。
(あーあ、こりゃだめだ。もう死ぬな)
(……)

「……クソっ!なんで俺はこう運がねえんだ!」
そう叫び、ローグが飛び出そうとしたまさにそのときだった。

245:6/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:54:40 SdeZc2WM
ぼんっと音を立てると、刹那―火炎、ファイラがカインを包み込む。
「なっ!?」
カインは戦闘が始まって以来初めて声を挙げ、予期せぬ攻撃に驚愕の表情をする間もなく体に膨大な熱が入り込むのを感じる。
「ぐっ、ぐああああああああ!!!!!!」
絶叫。勝利を確信していたカインは、防御の警戒をまったく解いてしまっていたのだ。
そのために、ナイトの決して高くはない魔力のファイラに思いがけないダメージをうけてしまっている。
態勢を整える暇もなく、素手のままバッツはカインに殴りかかった。
その一撃はナイトの体術といったレベルではなく、モンクの専門がもつ技にほかならなかった。
(こいつ、魔法が使えたのか…!そしてこの体術…一端の戦士じゃない!)
カインはなんとか間合いをとり、槍を再び構えた…が。
「うぐっ…!」
「えっ?」
何もしていないのにカインは前にのめりこみ、その先にはみたこともない男がいる。
「だ、誰だ!」
「俺はローグ。助太刀に入ろうと思ったんだけど…なんか必要なかったみたいだな。
 まさか魔法が使えるなんてねえ。隠し玉かい?うまいな、俺までしてやられたよ」
バッツは戸惑いの色を隠せない。
「ま、それより今はこいつをどうするかだな」
「あっ」
カインはうつ伏せになったまま動かない。
「死んだのか?」
「いや、気絶してるだけさ。でもほっとくわけにもいかな…うわあっっ!!」


246:7/8 アリアハンの攻防
04/11/06 00:57:23 SdeZc2WM
氷の矢がローグを掠めた。反射的によけなかったら直撃していたところだ。
彼が盗賊で、抜群の反射神経をもっていたことが幸いであった。
「な…なんだ!?」
ローグはそう叫ぶと、氷の飛んできた先をみる。

そこには緑髪の少女がいて、こっちを睨んでいる。
「あなたたち!カインになにをしたの!?」
(こいつカインっていうんだ…)
名前を聞いたのに答えてくれなかったので、バッツは実のところ少し気になっていた。
「ってそうじゃない!おまえはこのカイン?とかいうやつの知り合いか!?」
バッツがそう叫ぶと、リディアが答えるまもなく呻くような声が下からきこえた。

「リ…ディア」
「なっ、まだ意識があったのか!」
「カイン!大丈夫!?」
「…お、れに……構うな!!」
カインは瞬時におきあがり、負傷をものともせず猛烈なスピードでその場を飛び立った。
バッツとローグはあっと声をあげたけれど、振り返ったころにはもう姿は見えなかった。
まずは近くに隠れ、そのまま移動したのかもしれない。


247:8/8 アリアハンの攻防
04/11/06 01:01:55 SdeZc2WM
「え?ちょ、ちょっと!」
助けようとしたのに、カインは自分を見ると急にいなくなってしまった。
わけがわからない、という表情をするリディアにバッツは肩をすくめて言った。
「リディア?だっけか、なんだかよくわからないけれど…多分彼、ゲームにのってるよ?」
リディアは寸時躊躇った。
「知り合いみたいだし信じられないかもしれないけどさ…
 殺し合いをする気がないなら、とりあえず話し合わねえ?」
暫くの間、その場に沈黙が流れた。


【バッツ 現在地:アリアハン城下町中央 所持品:チキンナイフ、ライオンハート
 第一行動方針:ローグ、リディアと話す 第二行動方針:レナ、ファリス、クルルとの合流】
【ローグ(男盗賊) 現在地:アリアハン城下町中央 所持品:銀のフォーク@FF9
 第一行動方針:バッツ、リディアと話す 第二行動方針:首輪を外す方法を探す】
【リディア 現在位置:アリアハン城下町中央 所持品:?
 第一行動方針:目の前の事態の整理 第二行動方針:仲間を捜す】
【カイン(負傷) 所持武器 ランスオブカイン 現在位置 アリアハン城下町から脱出 
 第一行動方針:逃げて、傷の回復を待つ 第二行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】

【エドガー 現在位置:アリアハン城下町出口  所持品:ひそひ草(エドガー自身の支給品はまだ不明です) 
 第一行動方針行動方針:逃げる 第二行動方針:バーバラとのコンタクト】
【デッシュ 現在位置:アリアハン城下町出口 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる)
 第一行動方針:逃げながらもエドガーに話しかけるか決断 第二行動方針:首輪の研究を試みる】

注意 エドガーとデッシュは、デッシュの決断はどうあれ少なくともリディアが登場する前にはアリアハンを出ています。


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