05/06/27 16:02:02 23vA894r
「私達は未だ喧嘩すらした事が無いから、植松さんとハッサン君が羨ましいですよ。
喧嘩だって好きだからこその愛情表現の一つでしょ。私達はそこまでの仲になるまではまだまだ。
いやぁ植松さん、自慢ですか?」 これでもかってくらいの笑顔でこういちは言う。
「い、いや、ははは。こんな話を聞いてもらった上、宿や病院での事を申し訳なく思ってる」
茶碗も片付けずに二人は笑談していた。仕事の話から次第にハッサンとの仲の事へと話はシフトして行った。
どうやらこの間の旅行での騒ぎから、のぶおとハッサンが仲違いになり
自分達の住まいには帰りづらい状態だった様だ。
ただこういち達を見かけたので挨拶に来たのに、酔い覚ましにシャワーまで借り
痴話喧嘩の悩みも聞いてもらってしまった。
「トマトって、盛夏のさなか水を控えめにやると、味も甘味も凝縮されていくんですよ」
「はぁ、トマトですか…アレですか。先生が栽培してたんですね。ああ、クラウドが―」
のぶおはクラウドに続く言葉を噤んだ。アレはいくらなんでも言えない…。
「それと同じく、かな?うん。お二人方もおいしく熟していると思います。大丈夫、仲直り出来ますよ」
トマトと二人の中を例えにこういちは諭した。のぶおは「フッ」と照れ頬を赤くして黙ってしまった。
こういちは仲直りさせる為に、自分からハッサンのケイタイへ家に来るよう連絡を入れた。
こういちとのぶおは、話し疲れて、温泉饅頭と茶で一服していた所に
「うきゅぅ」となんとも間抜けな声が庭から聞こえてきた。