05/06/15 20:22:24 qeRF8Ayz
密着していた冷蔵庫の扉が独特の音を立てて開かれる。
それは張り付いた人間の口が無理矢理開かれるのを連想させたが、
まあどうでもいい事だった。
「あれ、牛乳が無いぞ?」
いつもの定位置に、それがない。訝ったが、無いものはしょうがない。
買い足しておかなきゃな。そう思い、扉を閉めかけ、ふとあるものに気付いて手を止める。
冷蔵庫の奥の奥のほうに、それは眠っていた。
キュウリの漬物の後ろにあるマーガリン。さらにその奥。手を伸ばしてそれを引っ張りだす。
「……練乳……」
あるいはスキムミルクとも言う。それを眺めながら、しばし黙考する。
「……うん、大丈夫だよな」
案外、糖分が植物の栄養になるかもしれない。
そんな風に考えつつ、クラウドは冷蔵庫を閉じた。