04/12/23 04:38:47 mZO6jKgb
あれから…僕のクラウドが完全に僕のモノでなくなってしまってから数年が過ぎた。
あの出来事がきっかけで会社を辞めた。
スクエニのみんなにあわせる顔がないことも確かだが、クラウドとの思い出が沢山詰まったあの会社に居続けるのは、
正直僕には辛すぎる。これからは本当に自分がやりたいこと、できることを見つけて新たなスタートを切るつもりだ。
…そう、これでよかったんだ…未練はない…つもりだ…。
オフィス街を少し離れたところにあるオープンカフェ。
アイスコーヒーを飲みながら、表通りのアスファルトを焼きつけている陽射しを植松はぼんやりと見ていた。
向かい側の席に座っている伊藤賢治─イトケンがふと言った。
「まあ、焦らなくてもいいんじゃないですか?植松さん」
「…ん?」
「一つのことを吹っ切ってから、次に進むほうが正解なのかもしれません。それぞれやりかたがありますよね。
だから、つまり…」
イトケンの隣の席に座っている光田が話を続ける。
「今出来ることをすればいいんです。ゆっくりでいいじゃないですか。我々は植松さんを影ながら応援しますよ」
「…そうだな…ありがとう…イトケン、光田君。…でも…やっぱり僕は…」
僕は、この街のどこかで、同じ陽射しを浴びているはずのクラウドのことを思った。