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あんなものはゴジラじゃない!
花田紀凱 | 『WiLL』編集長、元『週刊文春』編集長
2014年8月4日 19時43分
こんなものはゴジラじゃない。似て非なるものだ。いや、そもそも似てないのだ。ただ、ただデカイだけ。
1954年の『ゴジラ』以来の熱烈ゴジラファンとしてはこんな『GODZILLA』は許せない。
前作、1998年のアメリカ版『GODZILLA』、あの巨大トカゲみたいなゴジラもひどかった。
今回のはいいと評判だったから早速、見に行った。どこがいいんだ!
しかもチケット売場に行ったら、3D吹き替え版。よほどやめようと思ったが、時間がもったいないので見ることにした。
吹き替え版と知った時点で、もう2割くらい減点気分。
こんな『GODZILLA』を、朝日新聞であるイラストレーターが〈怪獣映画らしい怪獣映画で非常に楽しめた〉と評していたが、
怪獣映画を見たことあるのか。『GODZILLA』のどこがいけないのか。5つある。
1、ゴジラの姿形。これはただデカイばかりで。ゴジラの肉質感や、皮膚感が全く出ていない。つまり細部に気配りが足りない。
日本のゴジラをそっくり真似すりゃいいのだ。前作もそうだが、なぜそうしないかがわからない。
2、 敵役ムートーという怪獣に全く魅力がない。妙に手ばかり長く、下半身はまるで人間みたい。
かつての日本版ゴジラシリーズには魅力的な敵が次々に登場した。モスラ、ラドン、キングギドラ……。
なかでもぼくがいちばん好きなのは第2作『ゴジラの逆襲』に登場したアンギラスだ。キャッチフレーズは「暴龍」。
1億5千年前に生息していたアンキロサウルスという恐竜が水爆実験で蘇ったもので、脳が体中に分散しているという設定で、動きが敏捷。
ゴジラと大阪城の天守閣でがっしと組み合うシーンは怪獣映画名場面の一、二を争う。
その後、不遇だったが、2004年の『ゴジラファイナルウォーズ』には久しぶりに登場していて嬉しかった。
3、群衆シーンがお粗末。怪獣映画の見所のひとつは、建物の破壊と群衆が逃げまどうシーンだ。
破壊はま、合格点として(いろいろ注文もあるが)、群衆シーン、何も印象に残らない。
(※続く)