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中学校三年生のときだった。森本は業者が実施する有料のテストを受けて県内の成績上位者に入った。
森本や竹中が通う西和中学校から受験した生徒のなかでは一番成績がよかった。
「ぼくも受けたらよかったな」
竹中は森本から成績結果を聞くと、そういった。テストを受けていれば自分が一番になっていた、とでも言いたげな物言いである。
森本は内心むっとすると同時になにか割り切れない気持ちもした。
親友の竹中とは二人でいっしょにがんばっているとおもっていたからである。
「あれっ、いっしょにがんばったらええやんかとおもっていたからね。
平蔵だって勉強はよくできたし、ぼくに競争心をもつのはちがうだろうと。そういうのは勘弁してくれ、と。
そういうことで、ぼくのほうから平蔵と少し距離を置くようになったんです」
おもいあたるきっかけがひとつあった。知能指数(IQ)テストである。
ふつう結果は本人にしかわからないはずなのだが、小学校六年生のときの森本の結果は一部の保護者の知るところとなった。
先生が、学年で一番IQが高かったのが森本であることを保護者会でついもらしてしまったのだ。
森本はそのことを母親から聞いて知ったのだが、竹中が露骨な競争心を示すようになったのはこの一件以降である。
森本にはそれ以外の理由がおもい浮かばなかった。