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漫画誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中の作品『美味しんぼ』で東京電力福島第一原発を視察した
主人公らが体調不良を訴える場面が「風評被害を助長する」と物議を醸している。ちなみに作中では、放射性物質が
原因とは断定していない。被ばくの健康影響は未解明な面が多い。“安全”と決めつける姿勢は国などの
“安心神話”とも重なる。 (出田阿生)
埼玉県で避難生活を送る井戸川克隆前双葉町長は、原作者の雁屋哲さんから昨年取材を受けたという。「ここ2年ほど、
朝起きると鼻血と鼻水が出て、1時間ほど収まらない。これが被ばくの影響なのか、ストレスのせいなのかは
分からない。確かなことは、自分が相当被ばくしていることだ」と話す。「原発事故によって放射能汚染され、
帰還できない区域が存在する。さまざまな影響が出ているのだから『福島は絶対に安全』と断定することこそ、
根拠がない。国や県の安全キャンペーンは、被害の隠ぺいを図っているともいえる」
事故当時、福島県富岡町に在住し、東京都内に避難しているNPO法人『とみおか子ども未来ネットワーク』
理事長を務める市村高志さんは、『美味しんぼ』の問題について「漫画なので多少は脚色することもあるだろう。
なぜ、これほどの騒動になるのか、やや違和感を覚える」と語る。「風評被害なのか、実害なのか、それさえも
分からない。そんな状況で、それでも『美味しんぼ』の作者が作品で表現したいと考えたのであれば、ある意味では
勇気ある行動だと思う。さまざまなとらえ方があっていいのではないか」
2014年5月3日 東京新聞朝刊 こちら特報部:[ニュースの追跡]より
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