08/05/29 13:22:22 SZ5QSCwF
僕が小学生だった頃の話だ。その時はジャンクフードの全盛期で、マクドナルドというチェーン店が全国の至る所にあった。
当時、僕は母から貰える週に一度のお小遣いである100円を握りしめ、メニューの一つである100円マックのチーズバーガーを食べに行くのが何よりの楽しみだった。
僕のチーズバーガー好きは今考えても異常だった。雨の日でも風の日でも足を運んだ。台風の日にさえ行ったが店が閉まっていて半べそかきながら帰ったのをよく覚えている。卒業文集の将来の夢に、100万円でチーズバーガーを1万個買うとも書いてあった。
そして、その時は来た。その日も今日のように風が強く、少し曇っていたと思う。僕は母から貰った100円を握りしめ、汗だくになってマックへ駈けていき、いつもの様に満面の笑顔でチーズバーガーを頼んだ。
・・・店員の顔が澱んだ。しかし僕にはどこかニヤついた様な・・・悪魔的な笑みを浮かべたようにも見えた。
「坊や、もう100円じゃチーズバーガーは買えないのよ」
その後はよく覚えていない。どうやら店内で泣きじゃくり、帰ろうとしないため母が迎えに来たという。
その後、価格の高騰化や労働法違反が次々に明らかになったりと株価は大暴落、他の食品産業に吸収されていった。
窓から流れるネオンの光が、ふとマックのロゴの滑らかなMに見えた。いつかきっとマックは帰ってくるだろう。100円のチーズバーガーというメニューをひっさげて。