03/09/28 22:29
べんてん殺人事件４ 作： ぷくり
前作 >>57 >>64 >>142
ネギ太が言った。
「僕が池上さんを殺そうとするはずないじゃないですが。池上さんが包丁の上に転んだから僕が取ってあげたんですよ。」
田中がうなずいた。
「そう、たいしたことない傷だとおもうんだが、起きないんで心配だな。」
皆ほっとした様子だが、池上は、依然としてゴミの中にうずくまったまま動かない。
とその時、べんてんの真上の開かずの窓がガラガラと開け放たれた。長年閉め切られており、誰も開いているところを
見ていない。それが今あけられた。中から顔を出したのは、べんてんの隣の入り口から出入りする謎の老婆だ。
顔を出して叫んだ。
「解き放たれよ。藻まいら達に必要なのはこれだ！」言いながら老婆を窓から何かを放り投げた。
その物体は、ゆっくりと弧を描き、神田川からの反射光を受けてきらきらと輝きながら、宙を舞った。
そして、ゴミの中に仰向けに倒れている柔道の腹の上にどさっと落ちた。
いや物体ではない。動いている。よく見るとやせ細ったネギヲだ。
ネギヲは、今まで監禁されていたのか。
その時、柔道の体がぴくりと反応して動いた。
続く。