18/12/12 15:04:34.57 CAP_USER9.net
自民党の二階俊博幹事長(79)が率いる二階派(志帥会、44人)が、来年の参院選を舞台に勢力拡大を進めている。自民党が公認する新人・元職計15人のうち、4人が二階派の特別会員だ。さらに民進党に所属していた元参院議員1人も「二階派の強力な後押し」(自民選対関係者)で公認された。選挙結果次第では、党内で二階派議員が大きく増える可能性がある。
自民党内に懸念
「(選挙は)こういうテクニックで勝つというものはない。誠心誠意やって自民党として今日までやってきたことに、国民の皆さんに評価をいただく真摯(しんし)な努力をしっかりやりたい」
二階氏は11月18日、仙台市で、コツコツとした努力が参院選で勝利するカギだと、記者団に熱っぽく説いた。
自民党は着々と公認候補の選考を進めており、12日時点で72人の公認を決定あるいは内定している。
このなかで目立つのは、二階派の特別会員の4人だ。引退する柳本卓治氏(74)のおいで元大阪市議の顕氏(44)=大阪選挙区▽元兵庫県議の加田裕之氏(48)=兵庫選挙区▽元民主党衆院議員、熊田篤嗣氏(47)=比例代表▽全国土地改良区政治連盟顧問の宮崎雅夫氏(55)=同-だ。
さらに特別会員ではないが、かつて民進党に所属していた元職、尾立源幸氏(55)も二階派の後押しが一助となって比例代表の公認が出たという。自民党と激しく政権の座を争った民主党やその流れをくむ民進党から2人を受け入れた形だが、こうした強引ともとれる手法には自民党内外で懸念も出ている。
特に尾立氏は、安倍晋三首相(64)の経済政策「アベノミクス」を批判する著書も出版しており、不安視されている。
もっとも二階氏自身、かつて自民党を離れ、新生党や新進党、自由党、保守党、保守新党を経て、自民党へ戻った経験を持つ。二階派の閣僚経験者は「二階氏は来るもの拒まずの懐の大きさがある」と出身にこだわらない様子を語りつつ「『二階派は寄せ集め』との批判も多いが、個別に仕事ぶりや人物をしっかり見ている」とうがった指摘に反論する。
最近は、10月の内閣改造で二階派から入閣した片山さつき地方創生担当相(59)や桜田義孝五輪相(68)が国会で糾弾される機会が増え、派内はどことなく元気がなかった。来年の参院選で派の勢力を伸ばし、派の存在感をV字回復したいところだ。
■組織力に期待
ただし、次の参院選は自民党全体にとって厳しい戦いになるとの見方は多い。もともと今回の改選組は自民党が大勝を収めた平成25年の参院選を勝ち抜いた議員で数が多く、自民党の「議席減」が目立ちやすい構図だ。来年10月には消費税率の10%引き上げも控えており、与党にとっては戦いづらい選挙といえる。
自民党に逆風が吹けば、それだけ比例代表での当選に必要な得票ラインも上がる。例えば、自民党は25年参院選の比例代表で18議席を獲得し、最下位当選の得票は7万7千票だった。ところが大敗した19年の比例代表は14議席にとどまり、最下位当選には20万1千票も必要だった。来年の参院選でも、自民党内では「当選に15万票程度が必要」との見立てがある。
二階派の候補は「党幹事長」という看板だけでなく、さまざまな業界団体に太いパイプを持つ二階氏に期待しているのかもしれない。厳しい選挙になればなるほど、こうした組織力が力を発揮するからだ。
ただし、二階氏も自派の議員だけを気にかけていては、党内から厳しい批判にさらされるのは明らか。二階派の候補は、二階氏の名前に頼りすぎることなく自身で支持を広げる努力が不可欠だ。特に、野党からくら替えした尾立、熊田両氏は、支援者に納得のいく変節の理由を自身の口で語ることが求められるだろう。
(政治部 大島悠亮)
産経新聞
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