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国民の8割超がいまだ納得していない森友学園問題。籠池泰典前理事長の妻・諄子氏が17日、手記「許せないを許してみる 籠池のおかん『300日』本音獄中記」(双葉社)を刊行する。大阪拘置所の独房から弁護士に送り続けた手紙の一部が基となっている同書の帯には、「悔しいです。憎いです。でも、許します。」―。諄子氏の複雑な心境を象徴しているが、内容の一部に、森友問題の“核心”を突く重大な記述が見つかった。
同書第7章〈昭恵さんからのTEL〉には、森友問題が最初に報道された直後の昨年2月下旬、当時の佐川宣寿財務省理財局長から「10日間ほど身を隠してほしい」と連絡があったことを、諄子氏が担当弁護士から聞いたと書かれている。
つまり、佐川氏から人づてに「身を隠せ」と指令を受けたわけだが、夫妻が“雲隠れ”中の同2月23日にはナント、安倍首相事務所の初村滝一郎秘書から籠池前理事長に直接、電話が入った。
〈至急、名誉校長から昭恵夫人の名を消してほしい。ついてはこちらからすぐにそれについてのファックスを学園に送るので、ホームページから昭恵夫人の名前と写真を外してください〉と、強い口調で言われたと記されている。
■秘書直電前日に菅長官が「官邸説明会」を
昨年2月といえば、17日に安倍首相が国会で「私や妻が関わっていたら、総理も国会議員も辞める」と答弁。この日が端緒となって財務官僚の“忖度”が始まり、公文書改ざんという重大問題につながったのでは、と国会でも問題視されている。安倍首相の秘書が籠池前理事長に電話した日は、それほどデリケートな時期だったということだ。
つまり、安倍首相の答弁を聞いた佐川氏が「ヤバい」と直感し、関係者を通じて籠池前理事長の弁護士に“雲隠れ”を指示。その後、安倍首相の秘書までが昭恵夫人の学園への関与を“削除”しようと試みたとしか読み取れない。同書によると〈初村さんは以前電話で話した時は腰の低いイメージだったのに、上から一方的に指示を出すような、高圧的な物言いだった〉というから、安倍事務所の必死さがうかがえる。
しかも、秘書から電話があった前日の22日には、菅官房長官が官邸に佐川氏らを呼び出し、国有地売却の経緯などについて説明させていた。
このタイミングでなぜ、秘書が籠池前理事長に電話をかけたのか、安倍事務所に問い合わせたが締め切りまでに回答はなかった。森友問題を国会で追及する立憲民主党の川内博史衆院議員はこう言う。
「初村秘書から電話があった前日の『官邸説明会』は、安倍総理自身が調査を指示し、行われたことが明らかになっています。ですから、総理自身が森友問題の早期幕引きのために動いたと疑われても仕方がありません。結果的には、この数日間の出来事が財務省の“忖度”の始まりで、公文書改ざんという民主主義を揺るがす事態に発展したのではないか。今後、国会できちんと解明すべきです」
安倍首相は今度こそ、臨時国会で「丁寧な説明」をするべきだ。
日刊ゲンダイ
2018/10/17 06:00
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