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学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、大阪地検特捜部が、当時の財務省理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官(60)から任意で事情聴取していたことが分かった。決裁文書から売却経緯が削除されるなどしており、虚偽公文書作成などの容疑で告発状が出されていた。佐川氏は改ざんへの関与を認めているとみられる。
ただ、改ざん後の文書の趣旨が大きく変わっていないことなどから、特捜部は立件を見送る方針で今後、上級庁と協議する。
同省は3月、理財局の主導で昨年2月下旬~4月に決裁文書14件が改ざんされていたと発表。改ざん前の文書には学園と「価格等について協議した」などと記載されていた。学園が計画する小学校の名誉校長だった安倍晋三首相の妻昭恵氏や複数の政治家の名前も記されていたが、売却交渉の経緯などとともに削除されるなどした。
国有地売却が国会で問題になった昨年2月以降、佐川氏は学園との交渉記録は「廃棄した」と答弁し、学園との価格交渉や政治家の関与についても繰り返し否定していた。こうした答弁に合わせるため、改ざんが行われたとみられる。
虚偽公文書作成罪は、権限のある者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件となるため、売却経緯などが削除されたことで文書の趣旨が変わったかどうかが焦点になる。ただ、契約の方法や金額などの根幹部分が残されていることから、特捜部は文書の本質は変わっていないと判断。立件は困難との見方を強めているとみられる。
佐川氏は国会の証人喚問(3月27日)で、改ざんは「首相官邸に報告せず、理財局だけでやった」と答弁し、首相や昭恵氏らの影響は「あったとは全く考えていない」と否定している。
一連の問題を巡っては、学園との交渉記録を廃棄したとする公用文書毀棄(きき)や証拠隠滅のほか、国有地を不当に値引きしたとする背任容疑などでの告発が相次いでいる。特捜部はこれまで理財局や近畿財務局の職員らの聴取をほぼ終えており、こうした告発容疑でも立件は難しいと判断している模様だ。【宮嶋梓帆、高嶋将之】
毎日新聞
2018年4月23日 19時16分
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