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2017年12月16日 日刊ゲンダイ
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「特捜部は本気でバッジを狙っているのではないか」―。自民党内で危機感が高まっている。東京地検特捜部が、安倍政権の周辺で活発に動いているからだ。
今月5日、“アベ友”が関わっているとされるスパコンベンチャーの社長ら2人を補助金をだまし取った容疑で逮捕。8日には、安倍政権が強力に後押しするリニア中央新幹線関連工事をめぐり、不正入札があったとして偽計業務妨害容疑で大手ゼネコン「大林組」の本社を家宅捜索。同じくリニア関連工事を受注している鹿島建設や清水建設、大成建設の担当幹部らにも任意で事情聴取を行っている。
「スパコンよりも、リニアの方が格段にヤバイと話題になっています。特別国会が閉じたタイミングに合わせて特捜部が大林組にガサ入れしたことで、政治家が関与した事件に発展するとみられているのです。党内は、『特捜部が狙っている議員は誰なのか』と大騒ぎで、運輸族や通産省出身者などリニア利権にからむ国会議員の具体的な名前が取り沙汰されています」(自民党関係者)
それだけスネに傷持つ議員が多いということだろう。もともとゼネコンは自民党議員との縁が深い。そのうえ、リニアは総工費9兆円という巨大プロジェクト。その利権は計り知れない。
自民、公明両党の有志議員は昨年11月、「リニア議連」を発足させた。リニア事業には国の財政投融資も活用される。
また、不正入札を行ったとされる大林組の大林剛郎会長と安倍首相は、何度も食事をともにしてきた昵懇の関係でもある。
事件の背後に自民党の影はチラつくが、大林組の入札問題が政界を巻き込む疑獄にまで発展するのか。すっかり牙を抜かれた感のある特捜部は、今度こそ政権中枢に切り込めるか。
元検事の落合洋司弁護士はこう言う。
「不正入札の疑いが持たれている名古屋市内の非常口の新設工事は、あくまで“入り口”でしょう。ゼネコン案件は間口が広いし、偽計業務妨害も、そこから広がっていく可能性が大きい。93年のゼネコン汚職は、金丸信元自民党副総裁の脱税事件から波及した。02年の鈴木宗男氏の事件も、本人は冤罪を主張していますが、“入り口”は入札をめぐる偽計業務妨害罪でした。今回、スーパーゼネコンの大林組にガサが入ったという事実は非常に大きいと思います。国税庁との連携ですでに何かネタを掴んでいる可能性は十分ある。特捜部は伝統的にバッジや高級官僚を狙うものです。ここ数年、国会議員を立件できていないし、“そろそろ大きな案件を”という機運は高まっている。年明けに動きがあるかもしれません。現在、名前が挙がっている議員ではなく、まったくノーマークだった人物が実は対象になっていることもあり得ます」
自民党には、枕を高くして寝られない議員がウジャウジャいそうだ。