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◇民進党からの入党希望者に、「政策協定書」署名を義務づけ
希望の党の小池百合子代表は「寛容な保守」「ダイバーシティー(多様性)社会」を掲げている。その一方、民進党からの入党希望者には、外国人への地方参政権の付与に反対する「政策協定書」への署名を義務づけた。「寛容」「多様性」という看板と矛盾しないのだろうか。【福永方人、中村かさね】
「外国人の地方参政権に反対です。国境の(沖縄県)与那国島になんらかの意図を持った人たちが押し掛けてきたらどうなるのか」。小池氏は2016年7月、都知事選の第一声で打ち上げた。
小池氏は自民党時代から、永住外国人の参政権問題への反対論者として知られた。民主党政権時代、当時の小沢一郎幹事長らが参政権法案の提出を検討すると表明すると、10年1月の衆院予算委員会で「民主党はどこの国の政党なのか」と批判を浴びせた。
世界に目を転じれば、国政の選挙・被選挙権を認める国はブラジルなどわずかだが、地方自治体への参政権を認めない国はほとんどない。日本でも最高裁は1995年、在日韓国人が有権者名簿への登録を求めた訴訟で、公務員の選定・罷免を「国民固有の権利」と定めた憲法に基づき、「権利は外国人には及ばない」と却下。一方、永住外国人の地方参政権は「法律をもって付与するのは憲法上禁止されているものではない」と政治の判断を促した。
神戸大大学院の木村幹(かん)教授(朝鮮半島地域研究)は「国内的にはリベラルな政策は取れても、対外的には強硬姿勢を取るのが日本の保守派の特徴だ」と指摘。「人口減少の中、外国人を社会に受け入れることが経済的にも必要で、長期的な視点がない証拠だ」と語る。三浦まり上智大教授(政治学)も「小池さん自身の信条を踏み絵にしてふるいにかける手法に驚いた。『寛容な保守』というが排外主義のにおいがする」と疑問視する。
そもそもダイバーシティーとは性別や国籍、障害の有無などにかかわらず力を発揮できる状態をいう。小池氏が率いる地域政党・都民ファーストの会の公約では外国人が抜け落ちている。
小池氏も元々は、この問題で強硬だったわけではない。旧自由党に所属した99年8月の衆院政治倫理・公選法特別委では「関西地域には多くの永住外国人が住み、なりわいを営み、納税している。提案に敬意を表したい」と語っていた。
当時の外国人参政権法案が対象としたのは永住外国人と在日韓国・朝鮮人が大半を占める特別永住者で、昨年末現在、全国で約107万人に上る。外国籍の子どもの支援に取り組んできた愛知県のNPO法人「トルシーダ」の伊東浄江(きよえ)代表は「地方参政権は、地域で自分たちがより良く生きていくために意見を届ける手段の一つ。いつまでたっても『よそ者扱い』なのは違和感がある」と疑問を示した。