08/05/26 15:23:16.35 XZgcW1X70
「ねえ、キョン、あたしが作った夜食のパスタどこに行ったか知らない? あぁ、あんたはその場にいなかったんだっけ、
その時にいたのは偽キョンだったわね。まあ、どっちでもいいわ、さっきそれのことを思い出して鶴屋さんの部屋に取りに行ったら、
誰かが全部食べちゃってたのよ、鶴屋さんも知らないって言うし、みくるちゃんと有希にも聞いたけど食べてないって言ってるのよ。
あの時考え事しながらだったから結構な量を作ったのよね、ちょっと一人では食べきれない量のはずなんだけど」
ハルヒは隣にいた古泉の方にも問いただす。
実は俺には心当たりがある、ていうか、食ったのは俺と朝比奈さん(大)なのだが、それでも平らげることはできない量だったのだ。
だから半分以上残していたはずなのだが、それがすべてなくなっていたって事はどういうことなんだ?
誰かが残りを食べたというならこの中にいるはずだ。しかし、全員に訊いて回ったところ誰も食べていないそうだ。
まさか、俺たち以外に誰かいるってんじゃないだろうな。
お前が真の黒幕だろうとどうだっていい、少しくらいなら遊びに付き合ってやるからさ、だからハルヒ、へんな考えを起こすなよ。
特に、俺たち以外に誰かがこの別荘にいる、なんてことをな。
「あ、すまんハルヒ、それなんだが実は俺の偽者のやつが食べてたぞ、て言うか俺も少しばかり食べちまったんだが……」
誰かが犯人として名乗り出ればハルヒが変な考えを起こさないだろうと思ってとっさに手を上げてしまった。
ハルヒが作った料理を無断で食べちまったからな、何か文句ぐらいは言ってくるだろうと思っていたが、意外とハルヒはおとなしく、
「ま、食べちゃったんならいいわ、偽者の方はともかく、あんたはあのパスタのことあたしが作った夜食だって知らなかったんでしょ?
それに、あの後あたし朝まで寝てたから、せっかく作ったパスタが冷めて固まって食べられなくなるところだったしね」
そのせいで俺の中に妙な考えが浮かんでしまったんだ。
ハルヒがあのパスタを食べたのが俺だと思い込めばそれが現実になるのではないか? という考えだ。
そうなれば、ひょっとしたら俺はハルヒの作ったパスタの残りを食べに、またもやあの時間に行くことになるのかもしれない。
──でも、もしそうなったら今度はちゃんと味わって食べようと思う。
なんせ、ハルヒが作った料理は美味いからな。
おわり