08/05/26 15:16:23.39 XZgcW1X70
「うーん、そっか、だったら有希やみくるちゃん、あたしのそっくりさんも古泉くんに探してきてもらおうかしら」
二ヒヒ、っといやらしい笑い顔をして顔面の筋肉を弛緩させるハルヒ。
「あたしが二人に増えたりしたらみんなどんな顔するんだろ?」
おいおい、お前が急に二人に増えてたら朝比奈さんなら間違いなく卒倒するはずだし、
あの長門ですら何かしらのリアクションを起こしそうだ。
ていうか、俺が二人いて自分が驚かされたから、他の誰かも同じ手口で驚かせたいって発想だろ、それは。
はっきり言ってそんなのは小学生並みの単純な思考じゃないのかね、ハルヒくん。
それにお前は唯一無二の存在だろ。天上天下唯我独尊、それがSOS団団長、涼宮ハルヒだろ。
なぁんてことを考えていたが、俺は口に出して言わなかった。今は余計なことを言わない方が良いと判断したからだ。
今は適当にハルヒに合わせておき、好きなように妄想させておけば朝比奈さんが行動しやすいんじゃないかと考えたのさ。
そして朝比奈さんの待ち構えている部屋に入り、俺はこの時間でしなければならない最期の仕上げをする。
部屋に入る直前に、古泉並のエセスマイルをもう一人の“俺”に見せなければならないのだ。
自分ではどんな表情なのか鏡がないので確認できないが、まぁそれなりに悪びれた感じは出てるんじゃないかと思う。
それが証拠にそのスマイルを見たもう一人の“俺”がハッと何かに気付いたように表情を変化させたからだ。
さて、こっから超特急でやらなければならないことのオンパレードだ、と、言っても俺が出来ることは殆どないんだけどな、
頼みましたよ朝比奈さん。て、俺は祈るだけかよ。
「あれ……」
ハルヒが力なく崩れ落ちるように倒れ始めた。俺は何とかそれを受け止める。
朝比奈さんがうまくハルヒの背後を取って眠らせるのに成功したのだ。小さくVサインをしている。
「後は時間移動です、おねがいします」
「はい、では目を閉じてください、行きますよ」
朝比奈さんのセリフとドアの向こうからハルヒの名前を叫ぶ声が殆ど同時だった。