08/05/26 15:12:44.27 XZgcW1X70
「キョーンっ! 団長命令よっ、今すぐ出てきなさいっ!!」
和やかな雰囲気を打ち壊す様にハルヒの声が響きわたった。
まったく、なんてでかい声なんだ。そんな大声をだすな、ちゃんと聞こえてるよ。
俺はガチャリと扉を開けて廊下に出た。
勝ち誇ったような表情でこっちを向いたハルヒは俺を見てニヤリと口元をゆがませる。
「何者だお前」
目を見開いて俺をみているこの時間の“俺”がつぶやくように呻いた。
そうだった、普段聞き慣れているようで聞き慣れない声なんだったな。やっぱ違和感がする。
俺は「ようっ」て感じに右手を上げて挨拶をした。もちろんハルヒに手の平が見えるようにだ。
ハルヒはそれを確認すると勝ち誇った感じでもう一人の“俺”の方に向き、
「何しらばっくれてるの、こっちが本物のキョンでしょ、どう? 観念した、偽キョンさん」
よう、本物はどうやら俺の方だ、まあ、後のことはまかせろ、うまくやるからさ。
だからお前もなんとかうまくやれよ、ちょいっと苦労するが、終わっちまえばいつものことだと思うはずさ。
「と、言うわけでハルヒ、サプライズパーティはこれで終了だ、みんながあっちで待ってる、いくぞ」
「ちょっと何勝手に仕切ってるのよ、それよりあたしの見事な推理、ちゃんと聞いてた?」
ほんとのところ朝比奈さん(大)と会話していて聞いちゃいなかったんだが、ハルヒの推理の内容はすでに既知していたので、
「ちゃんと聞いてたさ」っと、返事をしておく。そう、お前の推理が正解ってことにして、このまま大団円に向かうところさ。
ハルヒはもう一人の俺について、
「見た目はほんとにそっくりね、その手の印がなきゃ、どっちがどっちか解らなくなるところだったわ」
等と言っていたが、どっちも本物の俺なんだから当たり前だろ、と、本当のことを言えるはずもなく、
俺は適当に返事をしておくことにする。
「俺はどこにでもいるようなごく普通の人間だからな、そっくりに化けることくらい、
ちょいと練習すれば誰にでも出来るんじゃないのか? まあ、古泉達がどっかから見つけてきたんだろ。素質のあるヤツをさ」