08/05/26 15:10:11.34 XZgcW1X70
それで、なんでこんなことをしようとしたのか? そういうことは古泉たち機関の方々の役目じゃなかったのかと訊いたら、
「あなた達と行動を共にしている過去のわたしは、もう高校三年生、
夏休みが終わったら進学、就職、卒業等の準備とかで色々と忙しくなるじゃない、今しか時間に余裕がなかったの。
だからもう一度あのバレンタイン間際の時みたいに二人だけで行動するような楽しい思い出が欲しかったのよ」
そりゃ朝比奈さんと秘密を共有して二人だけで行動するってのは、どちらかと言われれば楽しいって方向になるだろう。
でもあの騒動は俺にとっちゃ終始ハラハラの連続で、目の前で誘拐された朝比奈さんを追ってカーチェイスしたり、
つじつまあわせに翻弄したり、長門に謝ったり、とあんまりいい思い出じゃないんですが、
まあ最後にチョコをもらえたのが救いでした。よく考えたらそれで充分過ぎるほどいい思い出なのかもしれないが。
つまり、とても大変で、その時にはとんでもなく迷惑だった事柄でも、その方が深く記憶に残り、いずれ良い思い出になる、
ってことなのか? うーん、そんなことをいわれても俺にはまだピンとこないがな。
記憶と思い出の違いなんてさっぱりわからん。どっちも同じに思えてしまう、良い記憶が思い出で悪い記憶が後悔か?
そうこうしている内に、廊下からハルヒの話し声が聞こえてきた。
「さてと、そろそろ呼び出しかな、それじゃ、行ってきますね、朝比奈さん」
笑顔で手を振り見送っている朝比奈さん(大)。
俺もつられて手を振り返した、右手だ。
その手の平にバツ印が書かれているのを忘れていた俺は、それを朝比奈さん(大)に見られてクスリと笑われた。