08/05/26 14:48:33.82 XZgcW1X70
俺は観念したように深呼吸し、ハルヒと鶴屋さんを一瞥すると、
「まあ、見つかっちまったんじゃしょうがない。今この時間には俺がもう一人いるってことになっている」
俺がそう言った瞬間、全員の表情が変わった。ハルヒは何言ってるの? って感じで眉をひそめ、
朝比奈さんは驚愕の表情、鶴屋さんはへぇーって感じで興味深そうに目を見開いた。
「どういうことよ? あんたが二人いるって」
予想通り、ハルヒが乗ってきた。
「二人いるってのはつまり、どちらかが偽者でどちらかが本物ってことだ」
考えながら話すのは少々辛かったが、ようやく俺のほうも頭が回転してきたらしく乗ってきた、
「さて、ここにいる俺と下にいる俺とではどっちが本物で、どっちが偽者でしょう?」
ちょっと調子に乗って芝居がかったセリフを言い放つ、さてハルヒはどうでる?
などと考えてる間もなくハルヒはつかつかと俺の前に歩み来て、
「い、痛てててっ!」
いきなり左の頬をつねり上げられた。なにしやがるっ!
「ふうん、どうやらその顔は作り物じゃなくて本物のようね、それに声や仕草もいつものキョンと同じだし」
ハルヒは顎に手をやり、頭のてっぺんからつま先までまじまじと俺の姿を眺めながら言う。
俺はつねられてヒリヒリするほほを撫でながらハルヒを睨み返す、なんだか品定めされてる気分になって少々不愉快になった。
「おっと、それじゃあここにいるキョンくんが本物で下の部屋で居眠りしてるキョンくんは偽者ってことなのかいっ」
なぜかにやにやしながら鶴屋さんは言う。ほんと、楽しそうですね。
「うーん、どっちかてーとあたしはこのキョンくんの方があやしい気がするにょろ、でもどっからみてもキョンくんなんだけどねっ」
「まさか、ひょっとしてどっちも偽者ってんじゃないでしょうね」と、ハルヒ。
おいおい、さらに事態をややこしくするような事を言うなよ。どちらかといえばどっちも本物だ。
「さてね、偽者か本物か、そんなこと正直に言ったらせっかくのサプライズパーティが台無しになっちまうだろ、
それよりハルヒ、さっきみたいな強引に偽者か本物かを調べるような行為は自重してくれ。
探偵を気取るんなら推理で本物かどうか当てるもんだ」
まったく、俺が二人いる状況をなんとかハルヒに納得させることが出来ても、
ハルヒがもう一人の俺に今のような行動を取ったら事態がややこしくなっちまうからな、なんとか釘を刺しておかないと。