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朝日新聞 7月8日 夕刊 熱血マンガ学
32年休載知らず 風刺も人情も こちら葛飾区亀有公園前派出所
76年から「週間少年ジャンプ」で連載。作者名は当初、山上たつひこをもじった
「山止たつひこ」だった。映画やアニメにもなった。
東京下町の派出所に勤務する不良警官「始末書の両さん」こと両津勘吉が日々、大騒動を
巻き起こすギャグマンガ。通称「こち亀」は、76年の連載開始から一度も休載がない。
ギャグマンガが伝統的に持つ特性でもあるが、こち亀は風刺の側面を持っている。
警察官である両さんが銃を乱射したりするギャグ表現は、反社会的な言動を繰り返す少年警察官の
「がきデカ」(山上たつひこ)と同様、権力の姿がデフォルメされている。
一方で、下町おける人と人との温かいつながり随所に描かれ、読者をホロリとさせる。
両さんが子供だった昭和30年代を描いたストーリーは、ノスタルジーを誘って人気が高い。
風刺の人情話は伝統的な大衆物語に必要な要素だが、それだけではない。車、銃、おもちゃ、
ゲームなど、作者の秋本自身のマニアックな凝り性が作品をさらに面白くしている。
それまでのギャグマンガと違い、車ひとつでも車種の違いまで描き分け、登場人物に解説させる。
一種の情報マンガだ。
4年に1度しか起きてこない「日暮熟睡男」、過剰に武装した「ボルボ西郷」など、32年間で魅力的な
サブキャラクターが増えつづけた。登場するメカはIT化が進み、画風も変化した。だが、風刺、
人情、マニア制の三位一体が続く限り、こち亀はこれからも人気作品であり続けるだろう。
(京都国際マンガミュージアム 研究員 伊藤遊)