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苦しんでいたリーグ首位打者の1発が、巨人の連敗を3で止めた。
2-2の9回、先頭の坂本勇人内野手(20)が守護神山口から左翼席へサヨナラ10号ソロを放った。
15打席ぶりの安打が、チームの危機を救った。球団創立75周年の記念事業の一環として1936年の米国遠征時のユニホームを着用しての2戦目。
歴史の重みを感じながらの1勝となった。
少しうつむいて一塁ベースを回った。9回裏の先頭坂本は、横浜山口のインハイ直球を高々と打ち上げていた。「レフトフライかなぁ」と半信半疑だった。
スピードを緩め、チラッとレフトを見た。
目を見開いた。落ちてこない。真上から落ちるように、打球は左翼席を直撃した。
「よっしゃぁぁ!」と叫び右手を上げた。バンザイで、ジャンプしてホームイン。打った本人が驚く2本目のサヨナラ本塁打。
復刻ユニホームを整えてお立ち台へ直行。「調子が悪かったんで、どうやって塁に出ようかなと考えてました。甘い球を打ちにいこうとして…」。
大型スクリーンにVTRが流れる。東京ドームを歓声のうねりが包む。ヒーローの声はほとんど聞こえなかった。
今年初めて訪れたプチ・スランプ。窮地を救ったのは卓越した技術だった。今月に入り、ティー打撃の冒頭である練習を取り入れていた。
篠塚打撃コーチが正面から投げるボールの球体、底辺1点に対し、マスコットバットをピンポイントでかすめるように出す。
1点で当たると打球には強烈なスピンがかかり、真上に上がって自分でキャッチできる。
「遊びですよ、遊び。どう(バットを)切ったら、どういうスピンがかかるのか、遊びながら確認してるんです」と無邪気に説明した。
実は同様の練習を、バットコントロールに定評のある西武中島も取り入れている。大好きな同じ右打ちの先輩。「中島さんもやってますか」と喜んだ。
動いているボールを意思のままに操る才能と、才能を生かすための創意工夫。こんな場面で自分自身とチームを救った。
「こすって(スタンドまで)いかないかと思いましたが。芯に当たって体の回転で打てて。スピンがかかっていた」と振り返るように、自力で闇を抜けてみせた。