プロ野球バトルロワイアル統合スレ4at BASE
プロ野球バトルロワイアル統合スレ4 - 暇つぶし2ch200:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/29 22:32:03 w8bZBUBc0


201:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/30 10:56:23 y5Wg1Xka0
2009年初の作品投下乙!
今岡……結局その道を選んだか…
取り残された矢野の目的は、一体どこにあるのか……


202:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/30 14:06:39 gYxmzIrv0


203:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/31 20:45:50 Cz1F4Ybt0
職人さん代理投下さん大変乙です

俺も今日規制解除きたよ
だから職人さんも気をおとさないで


204:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/31 22:10:00 6yn51ANDO
はい

205:代打名無し@実況は野球ch板で
09/03/31 22:55:58 s1NGK+ml0
虎バト来てたー。乙です
今岡・・・ああ

206:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/03 13:58:33 LggBk+E+0
開幕ほしゅ

207:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/03 19:27:52 DPH4kM0XO
糞スレ

208:虎
09/04/04 19:50:29 LhF2UJEnO
代理投下ありがとう
引き続き規制中につき暫定板に投下しました

209:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/04 22:03:16 45qWi9neO


210:虎バト174氏代理投下(1/7)
09/04/04 23:57:38 edaPMu4j0
>>199
173.悪意なき犯行

 パタン、と。
 小さな音が背後で聞こえた。
 その襖を閉める静かな音に、中谷仁(背番号66)は畳に座り込んだままビクリ
と肩を震わせた。
 荷物を両手にかけたまま、背筋に氷の塊を押しつけられたような戦慄を覚える。
(そんな―)
 そんなことがあり得るのか、という思いに囚われ、身体が動かない。
 考え事をしていたとはいえ、全くなんの気配も、前触れも感じなかった。
 死神は足音を立てずにやってくる。そう、あの時のように……
 後頭部に衝撃を感じ、中谷は前のめりに畳に伏した。
 激痛に呻きながら、無理矢理首をねじると、後頭部に滲んだ血が畳に擦りつけ
られる。出血量はさほど多くないが、身体に指令を与える機能が麻痺したのか、
手足が思うように動かない。
 立ち上がることも出来ず、中谷は朦朧とする意識の中で死神の素顔を見た。
 見下ろしてくる男はやはり、藤原通(背番号2)だった。
 同級生の、同じファーム仲間の、人殺しの、藤原通。
 男の手には、中谷の後頭部を殴ったとおぼしき鈍器が握られていた。
 仏間にあった華鋲だ。
「俺を裏切るんか?」
 血の付着した鈍色の華鋲をだらりとぶら下げ、藤原は冷ややかに口を開いた。
「聞いて……」
 聞いてたのか―口を開こうとして、その作業に酷く労力がいることに気付く。
喉から無理矢理絞り出した声は掠れていて、苦渋と苦悶に満ちていた。
 彼は小宮山と中谷の会話を盗み聞きしていたのだ。
 どこまで聞いていたかは定かではないが、少なくとも中谷が藤原の思考について
いけず、黙って立ち去ろうとしていることは理解しているらしい。彼がどこまで
その情報を正しく理解しているかは、これまた定かではないが。

211:虎バト174氏代理投下(2/7)
09/04/04 23:59:11 edaPMu4j0
 見下ろしてくる目は静かな怒りに燃え、また冷めた色を湛えていた。
 これは中谷にとっては意外な反応だった。もし自分の裏切りがばれたのなら、
彼はもっと激高し、泣き叫びながら襲いかかってくるものかと思っていた。
 ―この男の感情の軌道は、海の天候よりも予想し難い。
「お前、俺から小宮山を奪うつもりやろ?」
 その言葉は、やはり中谷にとって意外なものだった。
「小宮山を騙して俺から引き離そうって魂胆やろ? それで、俺がいない場所で
小宮山を殺して……戻ってきて俺も殺すんか? そうはいくか」
 息を巻いて言い切る。
 どう考えればそうなるのか、とんちんかんな推理に理解の及ばぬ中谷の表情は、
それすらも藤原の目には真意を見透かされ驚愕する顔に映ったらしい。
「ほらやっぱり―」
 我が意を得たりと、藤原が笑う。
「全部お見通しや」
 刻まれた笑顔に戦慄する。
 あまりにも邪気のない、冷質の微笑。
(俺は……)
 悪意のない犯行者は、子供のような残酷さで『裏切り者』を糾弾する。
 死神はこんな顔をして笑うのだと―
(俺は、ここで死ぬのか……?)
 中谷仁は己の人生の道を断ち切る大釜を、彼の後ろに見た。


「全部、お見通しや」
 仲間のふりをして自分達に取り入り、小宮山を騙して殺そうとした卑劣な男を、
藤原通は見下ろした。
 藤原が指摘した途端、凍り付いた中谷の顔がこちらの推理の正しさを物語っている。
(ほらやっぱり)
 藤原は思った。改めて思わずにはいられなかった。
 この世界はこんなにも危険に充ち満ちている。
 この世界はこんなにも悪意に充ち満ちている。
 怖い。恐い。なんてこわい世界なんだろう。

212:虎バト174氏代理投下(3/7)
09/04/05 00:00:02 edaPMu4j0
(守ってやらないと……)
 弱くて幼い小宮山を、守ってやることが出来るのは藤原だけだ。
「小宮山をお前なんかに殺させへん。お前があいつを裏切っても、俺はあいつを
裏切らない」
 しゃがみ込み、畳に転がる同級生だった男に顔を近づける。動けないのか、中谷
は僅かに身じろいだだけだった。脂汗の滲んだ顔で、藤原を睨みつける。
(あいつには人を殺せるだけの強さがないから、俺が守ってやらないと)
「あいつには俺がおらんとあかんねん」
 中谷が何かを言い返そうと口を動かし、結局、観念したように押し黙った。
(やっぱり―俺が信用できるのは小宮山だけだ)
 だから彼だけは、何があっても守らなければいけないのだ。
 中谷の裏切りは衝撃だった。
 彼が小宮山の様子を見に行った後、やはり一人でいることに物足りなさを覚えた
藤原は、自分も小宮山の看病に向かおうと部屋を出た。
 小宮山の部屋に入ろうとした矢先、談笑とは言い難い固い声音で話し合う二人の
声が聞こえた。
 気になり耳をそばだてると、中谷が巧みに小宮山を言いくるめ、藤原から引き離
して外へ連れ出そうと算段しているところだったのだ。
 中谷は同級生だ。そして同じ二軍仲間で、鳴かず飛ばずの中お互い励まし合って
きた。初めてこの家で出会ったときも、彼ならばと喜んだのだ。
(それなのに……俺はこいつを信じたのに)
 そこから先の会話は、あまりのショックによく覚えていない。どこか言い争う
ような声も聞こえたが、最終的に二人は和解し、中谷は部屋を出た。
 その姿を身を潜めて見送った藤原は、これからどうするべきか、最善の策を考えた。
 このままでは小宮山が騙されてしまう。連れ去られてしまう。
 信じていた相手に裏切られても、藤原は冷静だった。否、冷静でなければならない
と思っていた。
 小宮山を守ると決めた以上、泣き虫な少年と同じように動揺していては駄目だ。

213:虎バト174氏代理投下(4/7)
09/04/05 00:00:59 edaPMu4j0
「俺は、お前を許さん」
 冷然と言い放ち、藤原は先ほどまで愚痴こぼし、笑顔を向けていた相手の首に黒い
ベルトをかけた。
 中谷の唇が恐怖に震える。青ざめた顔は、いっそ悲壮なほどに迫り来る死の手に
怯えていた。
(自業自得だ)
 信頼を寄せる人間を裏切るなんて酷い真似が出来る人間を、藤原は許さない。
 だが、きっと小宮山は、彼が自分達を裏切って騙そうとしたことを知ったら悲しむ
だろう。
「アイツは素直で優しいヤツやから、久保田の裏切りを知ったときもすごくショック
を受けてた。それなのに、お前まで裏切るなんて……」
 悔しくて涙がにじんだ。自分が彼を信じたばっかりに、小宮山まで危険に晒すことに
なった。
 甘かったのだ。この裏切りの園では、同じ立場の人間すら、生きるために仲間を殺す。
 中谷の裏切りにより、藤原の『信用の範囲』は、確実に狭まろうとしていた。
「う……がぁ……っ」
 藤原の糾弾を受けながら、中谷がもがき苦しむ。
「真実を知っているのは、俺だけでいい」
 小宮山には知らせたくなかった。このことで、彼が傷付く必要はない。傷付くのは
自分だけでいい。
 ゆっくりと力を込めて同級生の首を絞めながら、藤原は後輩を守ろうとする己の
悲劇的な勇敢さに浸っていた。
 ―それは自己満足という名の、酷く過った自己犠牲精神の顕在であることに、
藤原通自身が気付くことはない。
 悲鳴も上げられずに、中谷は己の首を絞めるベルトを掻きむしった。みるみるうち
に変色する顔色は、赤くなり、青くなり、やがてどす黒くなっていく。
 彼が向かおうとしているのは確実な死だ。
 藤原は満足した。
 これでいい。
 裏切り者は死ねばいい。
 自分達を傷つけようとする者は死ねばいいのだ。

214:虎バト174氏代理投下(5/7)
09/04/05 00:01:54 edaPMu4j0
「何で裏切ろうとすんねん……」
 そう呟いた時、藤原は涙を流していた。
 林も久保田も、みんな騙そうとして近づいてくる。
 藤原の記憶の中で、歪曲された過去が走馬燈のように蘇る。
 彼が敵意を持った人間全てが、裏切り者の仮面を被り笑いかけていた。
 みんな俺を騙そうとする。
 みんな俺を殺そうとする。
 人間とは何て愚かで醜い生き物なのだろう。
 箱に入れて大事に取っていたものがいつの間にか全て腐っていて、アレもコレも、
汚いものを全て放りだしたら、後に何も残らなかったみたいな絶望。
(いや、たった一つだけ―)
 残った、小さな小さな希望。
「……小宮山……」
 やがて抵抗がなくなり、完全に事切れた中谷の身体を畳に落とす。
 そこに残ったのは、畳に擦りつけられた小さな血痕と、鈍器と、荷物と、死体。
 ぐるりと部屋を見回す藤原の視線が、ある場所で止まった。
 最初に中谷が転がり出てきた押し入れ。
 僅かに口を開いた襖から覗く暗闇を、藤原通はじっと見つめた。

 
「くしゅん!」
 風邪だろうか。体調は依然として良くはなかったが、こんな事態に本格的に風邪
の様相を呈するのだけは避けたかった。小宮山慎二はくしゃみをかみ殺し、一度鼻
をぐずった。
 中谷は無事逃げ出せただろうか。
 信頼している人間に対してはとことん無防備な藤原だ。逃げ出すこと自体はさほど
難しくはないだろう。
 事実を知り、衝撃を受ける藤原を宥めるのは小宮山の役目だ。それ自体は憂鬱でも
恐ろしくもあったが、選んだのは己自身だ。中谷の誘いを断った時―いや、もっと
以前、藤原から逃げ出すことを選ばなかった時に、小宮山の覚悟は決まっていたのだ。

215:虎バト174氏代理投下(6/7)
09/04/05 00:02:35 edaPMu4j0
 中谷と別れを告げてから、まださほど時間は経っていない。まだ藤原は気付いて
いないのか、家の中は随分と静まり返っていた。
 布団から抜け出し、小宮山は藤原の姿を捜した。
 別室の襖を開けると、思いの外冷たい風が吹き込んできた。驚いて顔を上げると、
なぜか窓が全開になっていた。藤原はいない。
 六畳間の和室には部屋の中央あたりに愛想のない机と座布団が二枚置かれている。
なぜかその光景に一瞬だけ違和感を覚えたが、正体が掴めぬまま目に馴染んでしまう。
 それよりも、小宮山は藤原の無防備な行動を咎めた。
「藤原さん、何で窓空けてるんですか! 危ないでしょう」
 東に面したその部屋は、確かに窓を開けると朝日が差し込んで心地よい。
 だが、見晴らしの良いそちら側の窓を開けると人目につくし、侵入されやすいと
いうリスクがあるため、締め切っていたのだ。
「ああゴメン、埃っぽいから、空気入れ替えてた」
 トタトタと廊下を走ってきた藤原が、慌てたように襖の前に立つ小宮山の横を通り
過ぎて部屋に入る。
 窓を閉めて戻ってきた藤原が、小宮山の前で後ろ手に襖を閉めた。
「…………」
「どうした?」
「いえ、何も」
 その時、やはりわずかに感じた違和感に、小宮山は気付くことが出来なかった。
 小宮山は鼻をぐすり、藤原に促されて元の部屋に戻った。かいがいしく世話を焼いて
くる藤原に今のところ変わったところはなく、まだ中谷の脱走には気が付いていない
らしい。
「中谷、少し出てくるってさ。危なくなる前にすぐ帰ってこいとは言ってるけど」
「あ、そうですか……」
 彼が狂乱するまでまだ若干の猶予があることにほっとする。
(でも、どちらにしろ時間の問題だ)
 その時の小宮山は、今後どうやって穏便に、中谷が逃げ出した件について藤原を
納得させるかという点で頭がいっぱいだった。

216:虎バト174氏代理投下(7/7)
09/04/05 00:03:25 fL68B7+y0
 だから、小宮山は気付かなかった。
 朝日の差し込む部屋の中、移動した座布団の下に潜む僅かな赤黒い染みや、
朝の風が掻き消し忘れた微かな血の匂いや、ほんの数センチ、開いていたはずの
物置の襖が一分の隙もなく閉ざされていたことに―小宮山慎二は気付くことが
出来なかった。

 人知れず眠る死者の魂が、閉ざされた六畳間に静かに彷徨っていた。

【残り26人】

217:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/05 22:24:11 WmfDyN3W0
職人さんも代理の方も乙です!
中谷~!!
藤原はまたやってしまったか…

218:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/05 23:59:18 J9yqzdVL0
 

219:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/06 23:45:48 Q85s9c6g0
うわ、続き来てる!めちゃめちゃ嬉しい。職人さん代理さんありがとう!

藤原も今岡も精神的に壊れたマーダーだったけど、
今岡がここでリタイアか…最後は救われた、と言えるんだろうか




220:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/07 00:14:28 RWkhAt5h0


221:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/07 00:29:10 M4uE1ZEX0
職人さん乙です
藤原怖すぎるよ・・・


222:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/07 15:01:28 MZ7VsgfE0
ちょっとお尋ねしたいんですが、
竜バト2004の保管庫は消えてしまったんでしょうか?
とりあえずスレの過去ログ追って読んでたんだけど
途中抜けてて読めない章がいくつかあって…気になってしょうがない…

223:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/07 22:21:01 w128+fRP0
>>222
どの章か分かればドラバト2004の掲示板にうpするよ
ただ保管庫はどうなったのか分からない…
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

224:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/07 23:44:55 PHanGpCl0
URLリンク(www.youtube.com)

225:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/08 20:59:53 qj9CYWnh0
>>223
222です。リンク先の掲示板で読めました!
ありがとうございます。
保管庫についても㌧です。やっぱり消えちゃったのかな…

226:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/08 22:26:32 Yl25thqZO


227:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/10 02:51:56 AJs1xcGb0
虎バトの職人さん乙です

他のバトの職人さん達も
心よりお待ち申しあげております


228:代打名無し@実況は野球ch板で
09/04/10 09:18:50 Aj6/Wuc60



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