07/12/07 03:45:57 +VbRkGQA0
◆ 7回表
/ \ □千葉ロッテ 1-0 西武■
/S○○ \ 投手:小林宏
◇ B○○○◇打者:カブレラ
\O●●
アレックス・カブレラは、不安と期待が入り交じる中でこの日の最終戦を迎えた。
故郷・ベネズエラでもその名を聞いたことがある伝説のホームランバッター・王貞治。
彼が持つシーズン55本のシーズン記録を破るチャンスをカブレラは得た。
しかし、ここは日本だ。これまで何度も逃げられた。日本人は最後の最後で俺と勝負するのだろうか。
『1番ファースト・カブレラ』。マリンスタジアムにこだまする歓声。厳格な指揮官・伊原春樹の思いに胸が震える。
マリーンズの先発はこの年移籍してきた高木晃次。
一飛・右飛・左前ヒットでカブレラを抑えたが5回で力尽き、小林宏之にマウンドを譲る。
小林宏はこの年、先発失格の烙印を押されたものの、中継ぎとして初めてオールスターに選ばれた。
この年2年目にしてフレッシュオールスターで3本塁打を放ちMVPをもぎ取った里崎智也とのバッテリー。
自信みなぎる小林宏は交代して以降7打者から4三振を奪う力投。そして迎えるカブレラ。
ここでマリーンズベンチから投手コーチの小野和幸が飛び出す。
球場全体がどよめき、ライトから罵声が飛ぶ。
小野がマウンドから去ってポジションについても里崎は立ったままだ。スタンドに落胆が広がる。
打席を経てアジャストしてきた日のカブレラは怖い。
だが、小林宏の目は活きていた。そして里崎のホクロも西日を受けて輝く。
そして--里崎が座る。満員のマリンスタジアムを包む大歓声。
そうだ、おまえたちにはマリンの風と、スタンドでテレビの前でにやにやしてる百戦錬磨の天の邪鬼がついている。
カブレラ・小林宏・里崎、それぞれの飛躍を賭けた勝負に乗せて、新たな空気読めない伝説が幕を開ける。