07/06/07 20:11:10 BddUVNMY0
問題は極めて根が深く、同社が5月28日に発表した今6月期の第3四半期(06
年7月~07年3月)業績を見ると、売上高3241億円(前年同期比2.4倍)、
営業利益も92億円(同68%増)と好調そのもの。だが、これは人材派遣大手の
「グッドウィル・プレミア」(旧社名クリスタル)を昨秋に買収した効果が大きく、
この第3四半期において「人材派遣・請負事業」は売上高2480億円で116億円
の営業利益を稼ぎ出した。これに対し「介護・医療支援事業」は627億円の売上高
に対して17億円の営業赤字。老人ホーム事業や介護施設の給食事業などを手掛ける
「シニアレジデンス・レストラン事業」も10億円の営業赤字だった。
つまり、不正請求をやってさえ同社の介護事業は利益を計上できていないことにあ
る。逆に言えば、同社が本気で株式市場から評価される優良企業になろうとするので
あれば「選択と集中」によって介護事業から撤退し、高収益の人材派遣事業に特化し
た方がいいはずだ。このような極めて厳しい経営環境は同社に限ったものでなく、程
度の差こそあれ同業者に共通したもの。高収益の介護事業者など日本中のどこを探し
ても見当たらないのが実情なのだ。
ここでグッドウィル(コムスン)を糾弾して退場させるのは容易だ。しかし、それ
で本当に困るのは同社でなく、これから世界最大の高齢者大国になるこの国の国民全
員にほかならない。同社に代わる優良な担い手を育てるにも、介護報酬の引上げは不
可欠。一方で利用者はドンドン増えるのだから、その原資の介護保険料を払わされる
方も大変。高齢化社会はまだほんの入り口で本番はこれから。少ない賃金で昼夜を問
わず、苛酷な老人の入浴介助等を行うより、空調の効いた高層ビルでビジネスマン
(ウーマン)を気取る方が誰だって気持ちいいが、その親やそして将来は自身もお世
話になる可能性のある介護事業。国民全員で守り育てる視点が重要だ。関連する銘柄
の値動きにも注意を払いたい。(大戸)