07/11/10 14:00:49 6moPkLKh0
ジャンプ編集部といえば、Gペン一丁の野郎どもが、漫画界の頂点を目指して切磋琢磨しあう、
勇壮な仕事場として、この世界に知られている。
締め切りが近付くと、編集者は作者から原稿を集め、製本に備え始める。
クオリティを保つために、面白くてもどんどん没にするから、没原稿は床に野ざらしにされる。
俺はいつもそれが狙いだ。
落ちている原稿の、できるだけ面白そうなものを10数枚ほど、
こっそり拾って仕事場に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人の祭が始まる。
俺はもう一度部屋中にかっさらってきた原稿をばら撒き、
ウォーッと叫びながら、原稿の海の中を転げ回る。
拾ってきた原稿は、若い才能がムンムン強烈で、俺の創作意欲を刺激する。
脳内のストーリーが、もうすでに痛いほど広がってしまっている。
原稿の中に顔を埋める。面白れぇ。
ゴム人間の迫力バトル、委員長のパンチラ、中二独特のオサレを、頭一杯に詰め込む。溜まんねえ。
面白ぇぜ、ワッショイ! ジャンプワッショイ!と叫びながら、原稿を拾う。
見比べ、一番面白いやつを選ぶ。
その原稿は、えんぴつの下書きだけで、やる気のなさがツーンと臭って臭って堪らない。
その原稿を書いた野郎は、ジャンプで二番目にキャリアの長い40代の、
サボり野郎だと、勝手に想像して、思いきり見ながら、
サボり野郎面白ぇぜ!俺がぱくってやるぜ!と絶叫し、
Gペンをいっそう激しく動かす。
そろそろ限界だ。
どうだ!面白いか!俺も面白いぜ!と叫びながら書き続ける。
サボり野郎の原稿は、Gペンのインクでベトベトに汚される。
サボり野郎、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の祭が済んだあと、他の原稿とまとめて、机の中にしまい込む。
新たなアイディアを手に入れられないときに備えて、非常用に使う。
ときどき一度使ったことも忘れて同じのを何回も使うこともあるんだぜ。