07/05/26 13:18:32 gtKggc8gO
愛子は家を飛び出した。俺は後を追った。愛子は交差点を渡ろうとした。俺「止まれ！赤だ！」ドン！！
「・・・もしもし？大丈夫ですか？私の声が聞こえたら手を握ってください」愛子は担架の上にいた。やがてゆっくりと目を覚ました。愛子「・・・ぅう、私・・・あれ、しげ君はどこ・・・しげ君・・・」
「よかった、あなたが車にぶつかりそうになった時、とっさにあなたをかばった人がいたんです。しげ君・・・山野茂道さんとお知り合いですか？」
愛子「はい・・・」「落ち着いて聞いてください。彼は今、集中治療室にいて重傷です。彼があなたを救おうとしたんです」
愛子は震えていた。しかし少しずつ事態を飲み込んでいった。幸い、愛子のケガはすり傷程度だった。愛子「私、歩けます・・・しげ君のとこに連れていって下さい」
愛子は一人で座って待っていた。看護士が事故の時、身につけていた所持品を持ってきてくれた。
ぼろぼろになった愛子と俺の携帯だった。そこには北海道旅行の帰りに買ったおそろいの傷だらけのご当地キティちゃんのストラップがあった。愛子はそれをただ眺めていた。
ふと、愛子の中で俺との楽しかった思い出が次から次へとよみがえってきた。張り詰めていたものがほどけるかのように愛子は声をあげて泣いた。愛子「ひっく、しげ君、ひっく、私のせいで・・・」
しばらくして集中治療室から医師がでてきた。愛子は立ち上がった。愛子「しげ君は、しげ君は大丈夫なんですか？」医師は眉間にしわを寄せ軽くうつむいていた。
医師「まことに残念ですが・・・」