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一般民家
その家屋は石と泥をもって築立し、稲藁を葺いて屋根としている。茅は焚き火の用に使うという。
窓が小さく、大人が家に入って立つことが出来ないようだ。たいていの家に「床」というものが無く、
土の上に藁むしろを敷いて座す。その狭さ不潔さといい殆ど穴居の類である。
そういう家が表裏の別なく密集し、路地には乱石が磊落して、ほとんど足をいれることが出来ない。
村の中央の家に行こうとするには、どの路地をどう曲がっていけばよいのか分からないぐらいである。
寝起きするのも容易でないような家の中にはわずかに1、2の炊具を見る。
ただ、日本人の眼に入るのは、貧家に不釣合いなほど大きな黒色の磁器甕がどこの家にもあると
いうことである。これは木の樽が無いゆえの水を溜める甕であろう。質は頗る堅牢である。
庶民の姿
村民は、粗食に甘んじ寒寂に耐え、人間世界は斯くの如しと思うのみで、悠々として歳月を送る
風がある。奔走して労働し寸陰を惜しんで急するという気性は無い。
長煙管をもって煙を弄びながら余念無く日本人を見つめる姿は、山静かにして日長き殆ど太古の
少年の如しである。
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