07/05/28 21:30:56 mCD7FZc90
「婆ちゃん、エスパルス勝ったよ。5-0だって。この先、何年も
こんなことはないよ。こういう時に逝けたら幸せだね。本望だね。
婆ちゃんもそう思うだろ?僕は手伝うことしかできないけど・・・」
僕は溢れ出る愛情を両掌の力へと変えて行った。心なしか婆ちゃんが
幸せそうに頷いた気がした。時間はかからなかった。これでよかった
んだ、すべてが終わったんだ、僕は思った。王者の旗はいつの間にか
終わろうとしていた。次々に弾け飛ぶ華やかな花火を見上げながら、
婆ちゃんと過ごした長い月日を思い返した。そして僕も婆ちゃんと一
緒に旅立つことを決めた。ゆっくりとサイドスタンドの柵に足をかけ
ると、両手を大きく広げ、憧れの緑の芝を抱きかかえるように、二階
から上半身を乗り出す。重力が強引に僕の身体を芝に引き寄せていっ
た。とても幸せだった。この上ない幸せを感じながら、僕はこの世の
中にさよならを告げた。