07/04/06 04:50:27 dOHoMCZP0
カズは小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。
当初、見知らぬ土地に来て間もなく当然友達もいない。
いつしかカズはノートに、自分が考えたすごろくを書くのに夢中になっていた。
それをカズはばあちゃんに見せては
「ここでモンスターが出るんだよ」
「ここに止まったら三回休み~」
カズのばあちゃんはニコニコしながら、「ほうそうかい、そいつはすごいねぇ」
と相づちを打っていた。
カズはそれが何故かすごく嬉しくて、何冊も何冊も書いていた。
やがてカズにも友達が出き、そんなこともせず友達と遊びまくってたころ
家の事情が解決され、カズは家に戻った。ばあちゃんは別れる時もニコニコしていて、
「おかあさんと一緒に暮らせるようになってよかったねぇ」と喜んでいた。
十数年前、カズのばあちゃんは死んだ。89歳の大往生だった。
遺品を整理していた母からカズは、「あんたに」と一冊のノートをもらった。
開いてみると、そこにはカズのばあちゃんが作ったすごろくが書かれてあった。
モンスターの絵らしき物が書かれていたり、何故かぬらりひょんとか
妖怪も混じっていたり。カズは「ばあちゃん、よく作ったな」とちょっと苦笑していた。
カズは最後のあがりのページを見た。「あがり」と達筆な字で書かれていた、その下に
「知良くんがワールドカップに行けますように」
カズは人前で初めて泣いた。